(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】剥離強度測定ユニットを取付けた駆動体と試料台の平面図である。
【
図5】試料台に保持具を使用して試料を装着した状態を示す平面図である。
【
図6】剥離強度測定ユニットを取付けた駆動体と試料台との関係を示す正面図である。
【
図7】第1接触子の押圧部と試料の平行を測定する状態を示す装置の要部拡大側面図である。
【
図8】剥離強度測定ユニットに第1接触子を装着した状態の正面図である。
【
図9】剥離強度測定ユニットを駆動体のユニット支持体に取付けた状態を示す側面図である。
【
図10】第1接触子の下端が浮いた状態を示す要部拡大正面図である。
【
図11】第1接触子の下端が傾斜した状態を示す要部拡大正面図である。
【
図12】被膜・塗膜の所定界面に第1接触子の押圧部を垂直に当てた状態の要部拡大断面図である。
【
図13】粘質性塗膜を第1接触子で押圧した剥離状態を撮影した状態を示す要部拡大説明図である。
【
図14】硬質性塗膜を第1接触子で押圧した剥離状態を撮影した状態を示す要部拡大説明図である。
【
図15】
図13、14の剥離状態をパソコンの表示部にグラフ表示した状態を示す模式図である。
【
図17】第2接触子に垂直荷重を負荷して試料の表面を押圧した状態の模式図である。
【
図18】垂直荷重を受けた第2接触子の移動と共に変形して滑る直前の状態を示す模式図である。
【
図19】第2接触子の摩擦抵抗により試料が滑る状態をパソコンの表示部にグラフ表示した状態を示す模式図である。
【
図21】垂直荷重を受けた第3接触子が試料の表面を押圧した状態の模式図である。
【
図22】垂直荷重を受けた第3接触子が試料を引っ掻いた状態を示す模式図である。
【
図23】第3接触子により試料を引っ掻いた状態をパソコンの表示部にグラフ表示した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、
図1は本発明に係る測定装置の斜視図、
図2は本発明に係る測定装置の正面図、
図3は本発明に係る測定装置の模式図、
図4は剥離強度測定ユニットを取付けた駆動体と試料台の平面図、
図5は試料台に保持具を使用して試料を装着した状態を示す平面図、
図6は剥離強度測定ユニットを取付けた駆動体と試料台との関係を示す正面図、
図7は第1接触子の押圧部と試料の平行を測定する状態を示す装置の要部拡大側面図、
図8は剥離強度測定ユニットに第1接触子を装着した状態の正面図、
図9は剥離強度測定ユニットを駆動体のユニット支持体に取付ける状態を示す側面図、
図10はレンズ部からみて第1接触子の下端が浮いた状態を示す要部拡大正面図、
図11はレンズ部からみて第1接触子の下端が傾斜した状態を示す要部拡大正面図、
図12は被膜・塗膜の所定界面に第1接触子の押圧部を垂直に当てた状態の要部拡大断面図、
図13は粘質性塗膜を第1接触子で押圧した剥離状態を撮影した状態を示す要部拡大説明図、
図14は硬質性塗膜を第1接触子で押圧した剥離状態を撮影した状態を示す要部拡大説明図、
図15は
図13、14の剥離状態をパソコンの表示部にグラフ表示した状態を示す模式図である。
【0010】
測定装置1は、
図1、2に示すごとく、本体2に内蔵した駆動源6をON、OFFさせるスイッチ3と、駆動体20の速度、移動距離を入力設定するための操作パネル4を設け、前記本体2の上面に走行可能に位置した駆動体20の一側に試料Sを載置する試料台7を取付け、前記駆動体20の一側に取付けたユニット支持体21に、試料台7に載置した試料Sを評価(剥離・摩擦抵抗・引掻抵抗)測定する複数の測定ユニット30、40、50を着脱・交換可能に取付け、該測定ユニットでそれぞれ評価(測定)をパソコン67の表示部68にグラフ表示および数値表示して記録部69に保存し、且つ、前記試料Sの評価・挙動(状態)を映像ユニット60のレンズ部63で撮影してモニター64に可視化すると共に、評価映像をパソコン67の映像記録部70に保存するデータ処理手段66により構成されている。
【0011】
前記本体2に設けた操作パネル4は、前記駆動体20を走行させる駆動部6(アクチュエータ)の速度を秒速約1μmから1mmの範囲で設定可能とし、移動距離は約5mmから15mmの範囲で前後動可能に設定することができる。また、駆動部6は、測定中に剥離抵抗力が力センサーの測定基準を超えた場合、駆動源を瞬時に停止させて力センサーが破損するのを防止する安全機能を設けてある。
【0012】
前記試料台7は、
図4、6に示すごとく、前記本体2に位置した昇降部8の昇降軸9に取付けてなり、前記昇降軸9は昇降部8の一側に設けた昇降ねじ10で昇降動可能に形成してある。前記試料台7は、上部に試料Sを載せる試料板13と、昇降軸9に取付けた下面板14との間に、前記試料板13を前後左右に移動させる調整手段Hを設けてある。この調整手段Hは、前記試料板13を前後動させる第1調整板16と、前記試料板13を左右動させる第2調整板18とからなり、該第1、2調整板は、それぞれ一側に取付けを第1調節ねじ15と第2調整ねじ17で前後左右に移動可能に取付けてある。前記昇降ねじ10および第1、2調節ねじ15、17により試料台7をミクロ単位で上下、前後、左右動させることができる。この作動に使用するねじは、例えば、公知のマイクロメータを使用する。
【0013】
前記試料板13は、
図4、5に示すごとく、表面に多数のねじ穴13aを設け、形状や大きさまたは種類によって相違する試料Sを、前記試料板13のねじ穴13aに試料を固定するためのさまざまな治具Tを固定して試料の測定を可能に形成してある
【0014】
前記駆動体20は、
図3、4に示すごとく、一側(試料台側)にユニット支持体21を駆動体20の移動方向と直角方向に回動可能に取付け、該ユニット支持体の正面に設けた取付部22に、試料Sの評価目的が相違する各種測定ユニット30、40、50を着脱・交換可能に取付けてある。
【0015】
前記ユニット支持体21の回動は、駆動体20にそれぞれ軸支した一対の調節ねじ25、25で、ユニット支持体21の頂点に取付けた作動板26の両側に位置させ、調節ねじ25、25で作動板26を時計方向または反時計方向に押圧することにより、ユニット支持体21をミクロ単位で回動させることができる。したがって、剥離強度測定ユニット30に取付けた第1接触子35の傾きを調整して試料Sとの水平方向を微調整することができる。この駆動体20に取付けた調節ねじ25、25は、前記第1、2調節ねじと同様に微調整が可能な、例えば、公知のマイクロメータを取付けてある。
【0016】
前記ユニット支持体21に設けた取付部22は、
図9に示すごとく、中央の軸心方向に設けた係止軸23を測定ユニット30のユニット本体31に設けた挿通穴31aに挿通して着脱可能に取付けてある。
【0017】
前記ユニット支持体21に取付ける各種測定ユニットは、試料Sに塗布した被膜・塗膜の剥離強度を評価する剥離強度測定ユニット30と、試料の静・動摩擦抵抗を評価する摩擦測定ユニット40と、試料の引っ掻き抵抗を評価する引掻抵抗測定ユニット50からなる。
【0018】
前記剥離強度測定ユニット30は、
図8、9に示すごとく、水平方向の圧力を検知する力センサー(ロードセル)34を内蔵したユニット本体31の正面中央に設けた係止溝部32に、一定幅の押圧部36を有する第1接触子35を係止ねじ33、33で着脱可能に取付けてある。
【0019】
前記ユニット本体31は、下面中央に前記第1接触子35を背面から光を照射するバックライト38を取付けてある。この第1接触子35は、正面側に設けた垂直な壁面の下端に一定幅を有する押圧部36を形成し、該押圧部の後方を斜めに切欠いたすくい角37を設けてある。
【0020】
剥離強度測定ユニット30による評価測定は、
図12に示すごとく、第1接触子35の押圧部36と測定する試料Sの塗膜層Aの端面とを直接当接させ、前記駆動体20をX方向に微移動させたときに生じる押圧力で塗膜層Aと第1接触子
35との間に発生する抵抗力を力センサー34で感知した電気信号をデータ処理手段66であるパソコン67に送って表示部68にグラフ表示すると同時に、剥離状態を映像ユニット60のレンズ部63で剥離挙動を撮影してモニター64で可視化してその映像をパソコン67の
映像記録部70に入力保存することができる。
【0021】
試料Sに塗布した塗膜層の界面を剥離して接着強度を測定する剥離強度測定ユニット30の第1接触子35は、前記したごとく、押圧部36の下端が一定幅を有しているため被膜・塗膜の界面と平行に位置させることが要求される。しかし、各塗膜Aの界面は薄いため第1接触子35の押圧部36が被膜・塗膜の界面と離れたり傾斜していると正確な剥離強度を評価することができない。そこで、
図7に示すごとく、ユニット本体31の下部に取付けたバックライト38を第1接触子35の背面側から照射し、試料台7を挟んで正面側から映像ユニット60のレンズ部63で押圧部36と被膜・塗膜Aとの平行関係をモニター64で確認して照度の変化によりミクロ単位で調整することができる。
【0022】
例えば、
図10に示すごとく、押圧部36が試料台13の表面から離れている場合は、バックライト38の光がレンズ部63に入光して離れていることが確認できるので、昇降部9の昇降ねじ10で高さを微調整する。また、
図11に示すごとく、下端が試料台7に対し斜めになっている場合は、バックライトの光が偏って光るため駆動体20の調節ねじ25、25を回動させてユニット支持体21を時計方向または反時計方向に回動させてバックライト38の光が線状で水平になるように微調整することができる。
【0023】
前記第1接触子35と試料Sとの平行調整をする映像ユニット60は、モニター64に映る映像を光学的に可能な範囲で広角からズームして拡大することができ、そのため試料Sと第1接触子35との平行状態を正確に確認して設定することができる。したがって、薄い被膜・塗膜の界面を正確に押圧して剥離強度を評価することができる。
【0024】
剥離強度測定ユニット30による測定は、
図12に示すごとく、第1接触子35の押圧部36と測定する試料Sである被膜・塗膜の端面と直接当接させ、前記駆動体20をX方向に微移動、例えば、秒速5μから15μ、好ましくは、秒速10μの超低速で移動させることで、熱害や不安定な挙動を除外した押圧力で、被膜・塗膜に発生する抵抗力を力センサー34で感知しながら
図13、14に示すごとく、被膜・塗膜の破壊状態を映像ユニット60のレンズ部63で撮影することができる。一方、レンズ部63で撮影した被膜・塗膜の破壊状態を、
図15に示すごとく、パソコン67の表示部68にグラフ表示とデータの数値をデジタル表示すると共に記録部69に保存する。
【0025】
また、塗膜の剥離状態は、
図13に示すごとく、粘度の強い試料(ポリエステル系塗膜)は、塗膜がロール状に巻かれながら剥がれていく様子をモニター64で可視することができる。粘度の低い試料(熱硬化性塗膜)は、
図14に示すごとく、押圧力により塗膜が破断しながら剥がれていく様子をモニターで可視することができる。レンズ部63による映像は、モニター64に拡大された映像が映るので、最弱層で破壊されている様子を評価することができる。
【0026】
摩擦抵抗測定ユニット40は、
図16に示すごとく、先端に球状の頭部45を有した第2接触子44を取付け、該第2接触子の垂直方向の同一軸心に一定の垂直荷重を負荷する加圧部46を設け、該加圧部に錘を載せて試料Sの静・動摩擦抵抗を測定するものである。
摩擦抵抗測定ユニット40の第2接触子44に一定垂直荷重(Z方向)を負荷させて駆動体20を微移動、例えば、秒速5μから15μ、好ましくは、秒速10μの超低速で移動させることで、熱害や不安定な挙動を除外して正確な測定を可能とすることができる。また、第2接触子44の移動で試料Sが変形してどれだけの抵抗力(X方向)を有するかを測定することができる(
図15)。
【0027】
測定は、試料Sが押し付けられる圧力(垂直荷重)Z下で、第2接触子44が移動する方向Xの力により、試料Sと第2接触子20との間に発生する抵抗力を測定し、第2接触子44の移動により試料が変形に耐えられず滑った瞬間の挙動をパソコン67の表示部68にグラフ表示すると共に、その挙動をレンズ部63で撮影してモニター64で見ることができ、且つ、その情報をパソコン67に試料として映像記録部70に保存することができる。
【0028】
摩擦抵抗測定ユニット40による測定は、
図17、18に示すごとく、第2接触子44を超低速(約秒速5から15μ)好ましくは、秒速10μの超低速で移動させることで、熱害や不安定な挙動を除外して正確な測定を可能とする。試料の変形挙動を伴う静摩擦及び、動摩擦抵抗を
図19に示すごとく、パソコン67の表示部68にグラフ表示でき、且つ、その挙動をレンズ部63で撮影してモニター64で可視すると同時に前記したごとく、パソコン67に映像を試料として保存することができる。
【0029】
前記引掻き抵抗測定ユニット50は、
図20に示すごとく、ダイヤモンドやサファイヤなどの硬度性を有する鉱物材で形成した円錐形の頭部55を有した第3接触子54を先端に取付けてなり、ユニット本体51に内蔵した力センサー(ロードセル)53で、第3接触子54と同一軸心上に設けた加圧部56の垂直荷重(Z方向)(例10g、20g、30g・・・)を段階的に変化させながら試料の抵抗力(X方向)と試料の引っ掻き抵抗を評価するものである。
【0030】
引っ掻き抵抗の評価は、
図21、22に示すごとく、一定の垂直荷重(Z方向)下で、第3接触子54をX方向に超低速で移動させることで、熱害や不安定な挙動を除外し正確な測定を可能とし、荷重が増すごとに第3接触子54の頭部55が試料Sの内部に食い込み、引っ掻き傷幅をもって引っ掻き強度として評価することができる。第3接触子54の頭部55が円錐型をなしているため引っ掻き強度の低い試料ほど接触子54の頭部55が深く食い込み、引っ掻き幅が広くなる。
【0031】
一方、垂直荷重(Z方向)は、段階的に重量を増加させて接触子54の頭部55と試料Sとの間で発生する抵抗力を測定することにより、引っ掻き傷の入らない垂直荷重の領域では、抵抗力は、垂直荷重に比例する。いわゆる摩擦の領域である。しかし、この領域を超えると比例関係が無くなり抵抗力が増大する。この時点が引掻き発生点と理解することができる。
【0032】
これらの測定に於いては、
図23に示すごとく、パソコン67の表示部68にグラフ表示と数値をデジタル表示する。また、その挙動をレンズ部63により撮影した映像をモニター64で可視し、且つ、パソコン67に映像を試料として映像記録部70に保存することができる。
【0033】
前記映像ユニット60は、前記本体2の一側に回転可能に軸支した自在アーム61の先端にCCDカメラとLEDライトを内蔵したレンズ部63を取付け、該レンズ部のレンズは光学的に接写からズーム撮影まで可能とし、前記したごとく、剥離強度測定ユニット30に取付けた第1接触子35の調整や、各測定ユニットで行う評価測定時の評価挙動を撮影してモニター64に表示すると共に、その映像をパソコン67の映像記録部70に保存することができる。
【0034】
データ処理手段66は、各測定ユニット30、40、50のユニット本体31、41、51にそれぞれ内蔵した力センサー34、43、53で感知した押圧抵抗力、垂直荷重と摩擦抵抗力を摩擦係数或いは抵抗力(重量)などの電気信号を増幅して前記A/D変換器73でデジタル信号に変換し、該信号を電気的に接続しているパソコン67の表示部68にグラフ表示または数値をデジタル表示すると共に、前記データを記録部69に保存する。前記映像ユニット60のレンズ部63で撮影した画像は、ビデオキャプチャ
65を介してパソコン67の映像記録部70に保存する。
以上
【0035】
前記力センサー34、43、53は、接触子で感知したX方向の抵抗力、摩擦抵抗力の微弱電圧信号を増幅器(図示せず)で増幅して送信するもので、増幅されたアナログ信号をA/D変換器73でデジタル信号に変換してデータ処理手段66であるパソコン67の表示部68でグラフや数値として表示し、記録部69に保存する。
【0036】
前記試料Sは、被膜や塗膜の性能やワックス効果、金属材、ガラス材、繊維材、紙材、フイルム材,木材、陶磁器またはゴムなどの平坦面または曲線を有する有体物の評価などを行うことができる。
【0037】
以下、本発明の実施の形態に係る測定装置1の作用について説明すると、
図8、9に示すごとく、第1接触子35を有した剥離強度測定ユニット30を取付けた測定装置1で、試料Sである被膜・塗膜の剥離強度を測定する場合、測定装置1の電源スイッチ3をONにして操作パネル4で駆動体20の移動速度と移動距離を設定する。
【0038】
次いで、剥離強度測定ユニット30の第1接触子35と試料台7に載置した試料Sとの平行を調整する。
図7に示すごとく、ユニット本体31の下部に取付けたバックライト38を第1接触子35の背面側から照射し、試料台7を挟んで反対側から映像ユニット60のレンズ部63で第1接触子35の押圧部36と被膜・塗膜との平行をモニターで確認し、照度の変化によりミクロ単位で平行位置を調整する。被膜・塗膜は界面が薄いため、第1接触子35の押圧部36と被膜・塗膜とが平行でなければ正確な剥離強度を評価することができないからである。
【0039】
調整は、
図10に示すごとく、レンズ部63で撮影された映像はモニター64に拡大されて映るので、押圧部36と試料台7が離れている場合は、バックライト38の光が押圧部36の下端と試料台7の間から入光するため、離れている幅が分かり、昇降部8の昇降ねじ10で高さをミクロ単位で調整する。
【0040】
また、
図11に示すごとく、押圧部36の下端が試料に対し傾いている場合は、駆動体20に取付けた調節ねじ25、25でユニット支持体21を時計方向または反時計方向に回動させてバックライト38の光を水平の線状に当たるように調整する。上記したごとく、昇降ねじ10または調節ねじ25を操作して押圧板36を各層が薄い被膜・塗膜層の界面に押当てることができるので正確な測定を行うことができる。
【0041】
剥離強度測定ユニット30による測定は、
図12に示すごとく、第1接触子35の押圧部36と測定する試料Sである被膜・塗膜の端面Aと直接当接させ、前記駆動体20をX方向に微移動させたときに生じる押圧力で、被膜・塗膜に発生する抵抗力を力センサー34で感知しながら
図13、14に示すごとく、被膜・塗膜の破壊状態を映像ユニット60のレンズ部63で撮影することができる。
【0042】
一方、レンズ部63で撮影した被膜・塗膜の破壊状態は、
図15に示すごとく、パソコン67の表示部68にグラフ表示とデータの数値をデジタル表示すると共に記録部69に保存する。
【0043】
塗膜の剥離状態は、粘度の高いい試料(ポリエステル系塗膜)は、
図13に示すごとく、塗膜がロール状に巻かれながら剥がれていく様子をモニター64で可視することができる。粘度の低い試料(熱硬化性塗膜)は、
図14に示すごとく、押圧力により塗膜が破断しながら剥がれていく様子をモニターで可視することができる。レンズ部63による映像は、モニター64に拡大された映像が映るので、最弱層で破壊されている様子を評価することができる。
【0044】
剥離強度測定ユニット30による測定は、押圧部36の正面と被膜・塗膜の端面Aが直接当接した状態を0としてスタートし、一定の押圧力で押圧しながら測定するので、最初から所定層の剥離強度を正確に評価することができる。
【0045】
この押圧部36の押圧力は力センサー34で感知し、X方向の抵抗力(重量)を電気信号として増幅させてA/D変換器73によりデジタル信号に変換してパソコン67の表示部68にグラフ表示すると共に前記データを記録部69に保存させる。一方、試料Sの剥離強度を評価している状態を映像ユニット60のレンズ部63で撮影し、画像をモニター64で可視化すると共にビデオキャプチャ65を介してパソコン67の映像記録部70に保存する。
【0046】
摩擦抵抗測定ユニット40による測定は、加圧部45により一定の垂直荷重を加えた第2接触子44を試料Sの表面に当接させて試料の静・動摩擦抵抗を測定するもので、
図16に示すごとく、ユニット本体41に第2接触子44と同一軸心上の垂直方向に取付けた加圧部45で試料Sに一定の垂直荷重(Z方向)を負荷させて、駆動体20を超低速(秒速5から15μ)好ましくは、10μで微移動させたとき、第2接触子44の押圧力で試料Sが変形して抵抗力(X方向)を有するかを測定する。
【0047】
試料Sの表面に接触させた第2接触子44をX方向に微移動させると、
図18に示すごとく、試料Sが変形しながら滑る瞬間を表示部68にグラフ表示して評価することができる。特に、摩擦抵抗測定ユニット40は、第2接触子44を超低速で移動させることにより、粘弾性を有する試料の場合、その粘弾性挙動を伴う静摩擦及び動摩擦抵抗を評価することができると同時に、その挙動をレンズ部63により撮影してモニター64で可視することができ、且つ、その状態をパソコン67の映像記録部70に保存することができる。
【0048】
引掻き抵抗測定ユニット50は、
図20に示すごとく、第3接触子54と同一軸心上でユニット本体41の上方に設けた加圧部56に錘の重量を変更可能に取付けて形成し、第3接触子54の頭部55を硬度性を有するサファイヤ針で形成してある。この引掻き抵抗測定ユニット50の加圧部56に負荷を段階的に変化させながら試料Sの表面を第3接触子54で移動させることにより引っ掻き抵抗を測定することができる。
【0049】
引っ掻き抵抗の評価は、
図22に示すごとく、第3接触子54に一定の垂直方向の負荷を与えて試料S上を微移動させながら重量を増加させると、一定の垂直荷重(Z方向)下で、第3接触子54をX方向に超低速で移動させてとき、第3接触子54の頭部55が試料Sの内部に食い込み、引っ掻き傷幅をもって引っ掻き強度として評価することができる。
【0050】
接触子54の頭部55が円錐型をなしているため引っ掻き強度の低い試料ほど接触子54の頭部55が深く食い込み、引っ掻き幅が広くなる。一方、垂直荷重(Z方向)を段階的(10g、20g、30g、・・・)に増加させて接触子54の頭部55と試料Sとの間で発生する抵抗力を測定することにより引っ掻き傷の入らない垂直荷重の領域では、抵抗力は、垂直荷重に比例する。いわゆる摩擦の領域である。
【0051】
しかし、この領域を超えると比例関係が無くなり抵抗力が増大する。この時点が引掻き発生点と理解することができる。これらの測定に於いては、前記したごとく、パソコン67の表示部68にグラフ表示と数値をデジタル表示すると共に、その挙動をレンズ部63により撮影した映像をモニター64で可視し、且つ、パソコン67に映像を試料として映像記録部70に保存することができる。