(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の複数のセルは、セルを含み、該セルは、3.50mmから5.50mmの間の幅、および2.50mmから4.5mmの間の高さを有する、請求項1に記載の医療デバイス。
前記自己拡張部材は、薄膜試験方法を使用して試験されるとき、0.0010N/mmよりも大きいか、または0.0010N/mmに等しい半径方向力測定値を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の医療デバイス。
前記自己拡張部材は、薄膜試験方法を使用して試験されるとき、0.026N/mmよりも小さいか、または、0.026N/mmに等しい恒常的外向き力を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の医療デバイス。
前記自己拡張部材は、2ピン試験方法を使用して試験されるとき、約2.4から14.6gf/cmの間の半径方向力測定値を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の医療デバイス。
前記自己拡張部材は、マイクロカテーテル内への挿入のための、略コイル状の管状構成を有する体積縮小形態に修正されることができ、前記遠位部分の縁が該体積縮小コイル状構成にオーバーラップされて、該体積縮小コイル状構成において、該自己拡張部材は、少なくとも1つの半径方向に複数の層を有する、請求項10に記載の医療デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0019】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全技術的および科学的用語は、一般に、当業者によって理解されるものと同一意味を有する。本明細書に説明されるもことに類似または同等の任意の方法および材料が、本明細書に説明される実施形態の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法、デバイス、および材料が、本明細書に説明される。
【0020】
(デバイス)
図1−3を参照すると、血流回復のための、および/または埋込式部材として使用するためのデバイス10は、ガイドワイヤ12と、接続機構14と、自己拡張部材16とを備えることができる。
【0021】
自己拡張部材16は、メッシュ構造を備えることができる。メッシュ構造は、例えば、予成形された管をレーザ切断(すなわち、エッチング)することによって、レーザ溶接によって、多数のフィラメントを相互接続することによって、または他の好適な方法によって、形成することができる。好ましい配列では、自己拡張部材16は、例えば、
図1−3に見られるように、デバイスの長さに沿った長手方向細隙(すなわち、切断部)が、存在するように、最初に、管からレーザ切断される。代替実施形態では、自己拡張部材は、平坦シート上でメッシュパターンを切断し、次いで、平坦シートを略管状またはコイル状形状に巻着することによって、形成することができる。自己拡張部材16を形成するための他の方法もまた、可能である。
【0022】
好ましい配列では、自己拡張部材16は、ニチノール(登録商標)等の形状記憶特性を有する合金から形成することができるが、他の材料もまた、可能である。いくつかの実施形態では、自己拡張部材16は、型押構造が、恒常的に確立されるように、材料に通例印加される温度において、焼き戻し処理を受けることができる。
【0023】
図2、3A、および3Bを継続して参照すると、自己拡張部材16は、複数の個々のフィラメント18および個々のセル20、ならびに第1の縁22および第2の縁24を備えることができる。第1の縁22および第2の縁24は、例えば、管の長さに沿って、予成形されたエッチング管を長手方向に切断するステップから形成することができる。第1の縁22および第2の縁24は、波状、すなわち、正弦波パターンを有するように示されるが、いくつかの実施形態では、第1および第2の縁22、24は、直線、すなわち、線形構成、または任意の他の好適な構成を有することができる。同様に、個々のフィラメント18は、特定の波状または正弦波パターンを有するように示されるが、他の実施形態では、個々のフィラメント18は、異なるパターンを有することができる。
【0024】
図2、3A、および3Bを継続して参照すると、自己拡張部材16は、自己拡張部材16が、体積縮小形態にある時、縁22および24が、相互にオーバーラップされるように、丸まることができる。体積縮小形態にある間、自己拡張部材16は、ワイヤメッシュロール、すなわち、一片の紙と同様に、マイクロカテーテル内に導入され、マイクロカテーテル内で移動することができるように、丸まることができる。自己拡張部材16は、体積縮小形態および完全または部分的に拡張されるときの両方にある間、中心の長手方向軸を有することができる。マイクロカテーテルからの解放に応じて、丸まった自己拡張部材16は、跳開し、完全に拡張された形状をとるよう試みることができる。拡張に応じて、自己拡張部材16は、血管の内側壁に向かって、すなわち、血管の内側壁を閉塞する血栓に向かって拡張することができる。拡張後、血管内の自己拡張部材16の任意のオーバーラップの程度は、血管サイズによって統制することができる。例えば、血管が狭いほど、縁22および24のオーバーラップは、大きくなり得る一方、血管が広いほど、オーバーラップは、小さくなり得るか、または「はみ出して重なる」ことさえ生じ得、その場合、縁22および24は、血管内の開放間隙または空間によって分離される。
【0025】
自己拡張部材16は、種々の長さおよび直径を有することができる。いくつかの実施形態では、自己拡張部材16は、15mmから40mmに及ぶ、長手方向軸に沿って近位から遠位に測定される長さを有することができるが、他の範囲およびサイズもまた、可能である。自己拡張部材16はまた、具体的直径を有することができ、直径は、自己拡張部材16が、完全に自由に拡張される時に測定される。いくつかの実施形態では、自己拡張部材16は、サイズ18マイクロカテーテル(すなわち、内径約0.21インチを有するマイクロカテーテル)内で使用されるように、直径約3mmから4mmを有することができる。いくつかの実施形態では、自己拡張部材16は、サイズ27マイクロカテーテル(すなわち、内径約0.027インチを有するマイクロカテーテル)内で使用されるように、直径約5mmから6mmを有することができる。他の範囲および値もまた、可能である。
【0026】
図3Aおよび3Bを継続して参照すると、自己拡張部材16の実施形態は、体積縮小形態において、種々のオーバーラップ度を被り、オーバーラップ26のゾーンを形成することができる。自己拡張部材16は、オーバーラップ度(例えば、角度α
1、α
2等によって表される)に応じて、種々の直径Δ
1、Δ
2等をとることができる。
図3Bに例示されるように、オーバーラップ区域26は、血管サイズに応じて、サイズおよび構成を変動させることができる。血管内側にある時、自己拡張部材16のオーバーラップ区域26は、有利には、血栓に対して、把持および/または保定能力を提供することができる。例えば、自己拡張部材16が、血栓に対して拡張すると、オーバーラップ区域26の個々のフィラメント18および個々のセル20は、血栓内に埋め込まれ、それを把持または保定することができる。オーバーラップ区域26は、血栓を把持または保定するように作用する、半径方向に、フィラメント18の複数の層が存在するという事実によって、付加的把持または保定を提供することができる。したがって、フィラメント18の1層のみを血栓内に埋め込む代わりに、オーバーラップ区域26は、血栓内に埋め込まれる、フィラメント20の2つ以上の層を備えることができる。オーバーラップ区域26は、フィラメント18の層が、血栓が自己拡張部材16から滑動および/または摺動することを阻止することができるため、特に、血栓の除去を試みる時に有用であることが証明され得る。
【0027】
加えて、自己拡張部材16が、長手方向細隙または他のタイプの細隙(例えば、自己拡張部材16の長手方向軸に対してある角度における細隙)を有する場合、個々のセル20は、有利には、拡張に応じて、その全体的形状を保定することができる。例えば、自己拡張デバイス16が、血管内で拡張している間、セル20は、第1および第2の縁22、24が、相互に対して自由に移動するという事実によって、概して、
図2に例示される形状を保定することができる。細隙、すなわち、開放管設計を伴わない場合、個々のセル20の形状は、自己拡張デバイス16が、拡張および収縮するにつれて、歪曲(例えば、狭小化または拡大化)する傾向となり得る。個々のセル20の本形状変化は、不利なことに、自己拡張デバイス16に、その血栓の把持を喪失させ得る。本形状変化はまた、不利なことに、個々のセル20に、セル20が、形状を変化させるにつれて、血栓の一部を「摘取」させ、したがって、血栓破片(例えば、血栓の小片)を逃出させ、塊がさらに下流で発生する可能性を上昇させ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、自己拡張部材16は、近位部分28および遠位部分30を備えることができる。
図1および2に例示されるように、近位部分28は、テーパ状部を備えることができる。いくつかの実施形態では、近位部分28は、遠位部分28の個々のセル20と異なるサイズを有する、個々のセル20を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、近位部分28は、遠位部分30の個々のセル20より大きいサイズを有する、個々のセル20を有することができる。近位部分28は、接続機構14、または自己拡張部材16をガイドワイヤ12に接続する、デバイス10に沿ったいくつかの他の接続点に向かって、徐々にテーパ状になることができる。例えば、いくつかの実施形態では、接続機構14は、自己拡張部材16とガイドワイヤ12との間に、概して、非取外し可能界面または遷移点を備えることができる。いくつかの実施形態では、接続機構14は、ガイドワイヤ12および自己拡張部材16と一体的に形成することができる。
【0029】
近位部分28のテーパ状部は、ガイドワイヤ12に対して、種々の角度にあることができる。例えば、いくつかの実施形態では、テーパ状部は、ガイドワイヤ12に対して、角度約45度を有することができるが、他の角度もまた、可能である。いくつかの実施形態では、テーパ状部は、縁22、24が、遠位部分30から接続機構14に直線に延在しないように、縁22、24に沿って、略「s」形状の構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、「s」形状は、テーパ状部分28に、近位部分28と遠位部分30との間のより平滑な遷移を与え、個々のフィラメント18内の応力を低減させることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、近位部分28のテーパ状部は、有利には、デバイス10および自己拡張部材16の後退および再設置を促進することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、テーパ状近位部分28はまた、概して、血流回復手技の間、血管壁に接触せず、概して、血管内の血流に干渉しないように設計することができる。例えば、いくつかの実施形態では、概して、遠位部分30、その個々のフィラメント18、および個々のセル20のみ、血管壁および/または血栓に接触する。
【0032】
図1−3を継続して参照すると、自己拡張デバイス16は、概して、軟質、すなわち、展性、または概して、硬質、または胼胝状の両方である、血栓に係合し、それを除去するように設計することができる。前述のように、多くの現在のデバイスは、血栓を通して穿刺し、次いで、近位に引張することによって、血栓を除去するように設計される、または血栓に係合し、それを除去する前に、血栓の遠位で完全に展開するように設計される。これらのデバイスは、可変厚および場所の軟質および硬質血栓両方に係合し、それを除去するために効果がない。
【0033】
しかしながら、前述の自己拡張部材16は、有利には、可変厚および場所の軟質および硬質血栓の両方に係合するように設計することができる。例えば、自己拡張部材16は、自己拡張部材16が、広範囲の血栓に係合し、それを除去するように最適に構成されるように、具体的フィラメント長、幅、および厚を有するように設計することができる。
【0034】
図2および3Aを参照すると、好ましい配列では、近位部分28における個々のフィラメント18は、0.040mmから0.090mmに及ぶ個々のフィラメント幅「a」、および0.045mmから0.080mmに及ぶ、個々のフィラメント厚「b」を有することができるが、近位部分28における個々のフィラメント幅および厚さに対する他の範囲および値もまた、可能である。幅「a」は、本明細書に説明されるように、概して、
図2における矢印によって例示されるように測定することができる。厚さ「b」は、フィラメント幅に対して本明細書に説明されるように、概して、
図3における矢印によって例示されるように測定することができる(例えば、
図2のページから外方に延在し、幅「a」に対する測定値に対して垂直方向に)。幅「a」は、例えば、Visicon Automated Inspection System等のシステム、または他の好適なシステムを使用して、測定することができる。厚さ「b」は、例えば、Heidenhain
Inspection System等のシステム、または他の好適なシステムを使用して、測定することができる。
【0035】
図2を継続して参照すると、好ましい配列では、自己拡張部材16は、近位部分28に「涙滴状」領域34を含むことができる。涙滴状領域34は、前述の個々のセル20のうちの1つを備えることができ、自己拡張部材16における他のフィラメント18より広くおよび/または強い、個々のフィラメント18を含むことができる。涙滴状領域34は、テーパ状部分における自己拡張部材16に付加的安定性および強度を提供し、マイクロカテーテル32内への自己拡張部材16の回収可能性を促進し、および/または自己拡張部材16の再設置を促進することができる。例えば、涙滴状領域34は、0.080mmから0.14mmに及ぶが、他の範囲および値もまた、可能である、個々のフィラメント幅「a」を伴う、フィラメント18を有することができる。
図2を継続して参照すると、自己拡張部材16はさらに、コネクタフィラメント36を含むことができる。コネクタフィラメント36は、好ましい配列では、0.050mmから0.0825mmに及ぶ、個々のフィラメント厚「b」、および0.050mmから0.0825mmに及ぶ、個々のフィラメント幅「a」を有することができるが、他の範囲および値もまた、可能である。
図2を継続して参照すると、好ましい配列では、自己拡張部材16の遠位部分30における個々のフィラメント18は、0.040mmから0.075mmに及ぶ、個々のフィラメント厚「b」、および0.038mmから0.082mmに及ぶ、個々のフィラメント幅「a」を有することができるが、他の範囲および値もまた、可能である。いくつかの実施形態では、自己拡張部材16の遠位部分30における個々のフィラメントは、0.048mmから0.067mmに及ぶ、平均フィラメント厚「b」、および平均0.053mmから0.067mmに及ぶ、個々のフィラメント幅「a」を有することができるが、平均値に対する他の範囲もまた、可能である。
【0036】
図2を継続して参照すると、自己拡張部材16の個々のセル20もまた、自己拡張部材16が、広範囲の血栓に係合し、それを除去するように最適に構成されるように、設計および定寸することができる。例えば、好ましい配列では、自己拡張部材16の遠位部分30における個々のセル20は、自己拡張部材16の長手方向軸に沿って測定時、幅(
図2では、「w」と標識される)3.50mmから5.50mmを有することができるが、他の範囲および値もまた、可能である。遠位部分30における個々のセル20はさらに、幅に垂直方向に沿って測定時、高さ(
図2では、「h」と標識される)2.50mmから4.50mmを有することができるが、他の範囲および値もまた、可能である。いくつかの実施形態では、近位部分28および/または遠位部分30におけるセルサイズは、近位および/または遠位部分28、30内の個々のフィラメント厚および幅同様に、変動することができる。好ましい配列では、略大型セルサイズ(例えば、セルサイズ3.5mm×2.50mm)を伴う、自己拡張部材16は、高円周方向適合性、可撓性、および軸方向剛性を提供し、それによって、広範囲の血栓の捕捉および除去を促進することができる。
【0037】
図2を継続して参照すると、自己拡張部材の全フィラメント長16と除去される血栓の総長との間の関係は、自己拡張部材16が、特定のサイズの血栓に係合し、それを除去するように最適に構成されるかどうかを決定する支援をすることができることが分かる。
【0038】
例えば、全フィラメント長は、SolidWorks等のプログラムを使用して、血栓長に暴露される総利用可能フィラメント長を測定することによって、見出すことができる。総利用可能フィラメント長は、自己拡張部材16の遠位部分30における全フィラメント、または概して、血栓に暴露される、自己拡張部材16のその部分の組み合わせられた総長(例えば、
図2における、各フィラメントの経路に沿って辿ることによって測定される長さ)に相当する。総血栓長は、例えば、血栓の長さを可視化および測定するように、マイクロカテーテルによって、血栓を横断させ、血栓の遠位にあるマイクロカテーテルを通して、造影剤を注入し、次いで、血栓の近位にあるガイドカテーテルを通して、造影剤を注入することによって、見出すことができる。好ましい配列では、全フィラメント長対総血栓長の比率は、10から15であるが、他の範囲および値もまた、可能である。したがって、例えば、全フィラメント長255mm、およびフィラメント長対血栓長比12.75を有する、自己拡張部材16は、理想的には、最大20mmの長さに及ぶ、血栓に係合し、それを除去するために適合される。
【0039】
図4および5を参照すると、自己拡張部材16はさらに、広範囲の軟質および硬質両方の血栓に最適に係合し、それを除去するために、展開され、マイクロカテーテル32から解放されると、具体的力を生成するように設計することができる。血栓を横断して、自己拡張部材16を展開させることによって、自己拡張部材16は、自己拡張部材16内に貯蔵される弾性エネルギーによって、より大きな直径に自己拡張することができる。自己拡張部材16は、貯蔵された弾性エネルギーと周囲血管壁および/または血栓からの対抗力との間の平衡に到達するまで、血管内で拡張することができる。自己拡張部材16のフィラメント18およびセル20は、血栓に穿刺し、血栓の自己拡張部材16への接着および埋入を促進することができ、自己拡張部材16の拡張力は、血管壁からの血栓の駆逐を促進することができる。
【0040】
例えば、自己拡張部材16の貯蔵された弾性エネルギーは、半径方向力(RF)および恒常的外向き力(COF)として知られる、外向き力を生成することができる。半径方向力は、自己拡張部材16の圧縮の間、自己拡張部材16によって付与される、外向き力に相当する。恒常的外向き力は、自己拡張部材16の減圧、すなわち、拡張の間、自己拡張部材16によって付与される、外向き力に相当する。好ましい配列では、COFは、破裂し、すなわち、血管壁に損傷を及ぼすほど高くならないように設計することができる。好ましい配列では、RFは、周囲血管環境からの圧縮力に抵抗し、血管内腔の開存性を維持し、血栓部位を通して、流動を回復するために十分に高くなるように設計することができる。
【0041】
展開および血栓回収の間、最大COFおよびRFは、自己拡張部材16が、最小推奨直径血管内側で展開および後退されるときに生じ得る。反対に、COFおよびRFは、自己拡張部材16が、最大推奨直径血管内側で展開および後退されるとき、最小となり得る。自己拡張部材16の丸まったオーバーラップ性質は、特に、より小さい直径血管において、COFおよびRFを向上させ、自己拡張部材16への血栓の埋込を増加させることができる。
【0042】
生体構造、生理学的環境、血管機械的特性、流動特性、圧力、応力、および歪みを含むが、それらに限定されない、そのような要因を考慮することによって、方法は、自己拡張部材16に対して、最適半径方向および恒常的外向き力を決定するように開発された。
【0043】
半径方向力は、種々の方法によって測定することができる。例えば、2ピン方法は、略管状の自己拡張部材16が、2つのピンを包囲かつ囲繞するように、2つの伸長平行ピンにわたって、自己拡張部材16を留置(例えば、摺動)させることによって、半径方向力を測定することができる。2つのピンにわたって留置されると、近位部分28上の近位テーパ状部およびキー溝構造46は、概して、2つの伸長ピン間の半分、かつ片側に対して位置することができる。2つのピンの両端は、引張試験機械内に留置することができる。試験機械が、装填されると、機械は、力が、自己拡張部材16にかかるように、ピンを相互から引き離すことができる。自己拡張部材16が、ピンの一方から滑動する時、半径方向力を測定することができる。
【0044】
薄膜方法もまた、半径方向力を測定するために使用することができ、加えて、恒常的外向き力を測定するためにも使用することができる。薄膜方法は、概して、自己拡張部材16の周囲に巻回されたPTFEの薄膜を使用して、円周方向に360度、自己拡張部材16を圧縮および減圧するステップを備えることができる。薄膜方法は、自己拡張部材16の拡張および収縮の両方に対して、自己拡張部材16の直径変化対力を測定することができる。
【0045】
薄膜方法を使用する好ましい配列では、自己拡張部材16は、血管壁または血栓に接触するように構成される、自己拡張部材16の部分(例えば、遠位部分30)の長さ1mmあたり0.0010N以上の半径方向力測定値を有することができる。本単位における長さは、近位から遠位方向測定値を指す(すなわち、
図1では、左から右に移動する)。自己拡張部材16は、血管壁または血栓に接触するように構成される、自己拡張部材16の部分の長さ1mmあたり0.026N以下の恒常的外向き力を有することができる。2ピン方法を使用する好ましい配列では、自己拡張部材16は、血管壁または血栓に接触するように構成される、自己拡張部材16の部分の長さ1インチあたり約6から37gfの半径方向力測定値を有することができる。
【0046】
図4および5は、種々の異なるサイズの血管直径において、種々の異なるサイズの自己拡張部材16で行われた試験測定を例示し、半径方向および恒常的外向き力が、自己拡張部材16のサイズおよび血管のサイズに応じて、どのように変動し得るかを示す。チャートでは、3mm径、4mm径等である。自己拡張部材は、概して、拘束されていない時の自己拡張部材16の直径を指す。
【0047】
生体構造、生理学的環境、血管機械的特性、流動特性、圧力、応力、および歪みを含むが、それらに限定されない、そのような要因を考慮することによって、方法はまた、自己拡張部材16に対する最適駆逐力を決定するように開発された。駆逐力は、完全に展開された自己拡張部材16を、血管(例えば、動脈)壁に沿って、軸方向に滑動させるために必要な力である。下限駆逐力を決定することは、自己拡張部材16が、その展開された場所から駆逐することなく、その生理学的環境(例えば、血流および剪断応力による力)に耐えることができることを確実にすることを支援することができる。上限駆逐力を決定することは、意図されない解離または血管壁への損傷を生じさせることなく、自己拡張部材16およびデバイス10の後退に耐えるための血管の能力を評価することを支援することができる。駆逐試験方法は、例えば、管類内の規定された長さに沿って、デバイスを引張し、滑動が生じる力を記録することによって、完全に展開された自己拡張部材16が動脈を模倣するインビトロモデルに沿って軸方向に滑動するようにさせるために必要な力を測定するステップを含むことができる。駆逐試験は、管類のある区画を通して、規定された長さに沿って自己拡張部材16を一旦引張し、滑動が生じる力を記録するステップを備える。好ましい配列では、自己拡張部材16は、0.010Nから0.700Nに及ぶ範囲の駆逐力を有することができるが、他の範囲および値もまた、可能である。
【0048】
図2、6、および7を参照すると、いくつかの実施形態では、自己拡張部材16はさらに、少なくとも1つの遠位要素38を含むことができる。遠位要素38は、遠位部分30に取着される、またはそれと一体的に形成することができる。遠位要素38は、例えば、白金遠位マーカバンドを備えることができる。マーカバンドとして、遠位要素38は、血流回復手技の間の自己拡張部材16の場所または複数の場所を識別するために、撮像プロセスの間、使用することができる。国際公開第WO2009/105710号(参照することによって、全体が組み込まれる)は、マーカバンドの種々の用途および自己拡張部材16の撮像について説明している。
【0049】
好ましい配列では、自己拡張部材16は、複数の遠位要素38を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、自己拡張部材16は、自己拡張部材16の遠位端に沿って、略円周方向に配列される3つまたは4つの遠位要素38を備えることができるが、他の数および/または配列もまた、可能である。遠位要素38は、血栓の一部を引っ掛ける、捕捉する、および/または把持するための「フック状」要素を備えることができる。例えば、
図6Aに例示される、遠位要素38の構成の使用は、血栓を回収する際に有用であり得ることが分かっている。特に、自己拡張要素16の端部に沿って、3つまたは4つのそのような遠位要素38が存在する実施形態では、遠位要素38自体のみで、栓の回収の間、血栓を捕捉する、および/または血栓保定を支援することが可能であることが分かっている。遠位要素は、自己拡張部材16の残りから若干内向きに突出することができるため、血栓は、遠位要素38の形状に接着することができる。いくつかの実施形態では、遠位要素38は、自己拡張部材16の遠位端に沿って、円周方向および長手方向の両方に交互することができる。遠位要素38の交互留置は、例えば、血栓の長さに沿って、異なる場所において、血栓を複数の遠位要素38に接着させることができる。
【0050】
加えて、いくつかの実施形態では、自己拡張部材16の遠位端は、フィラメント18、および/または自己拡張部材16の遠位部分30の残りに対して角度付けられる、遠位要素38を含むことができる。例えば、
図7を参照すると、好ましい配列では、自己拡張部材16の遠位端は、内向きに(すなわち、血管内腔の中心の長手方向軸に向かって)屈曲させられる、フィラメント18を含む。遠位要素38を含むことができる、屈曲または角度付けられたフィラメント18は、回収の間、血栓の捕捉および/または保定に寄与し、促進することができる。例えば、血栓が、回収の間、自己拡張部材16に沿って、遠位に移動を開始する場合(すなわち、血栓が、「滑動」を開始する場合)、血栓は、フィラメント18および/または遠位要素38の若干内向き屈曲内に捕捉され得る。示される実施形態は、内向きに角度付けられた屈曲を含むが、他の実施形態では、屈曲は、外向きに(すなわち、内腔の中心軸から離れて)角度付けることができる。加えて、血管の中心の長手方向軸に対する角度の程度は、変動することができる。いくつかの実施形態では、例えば、自己拡張部材16の遠位端に沿ったフィラメント18は、中心の長手方向軸に対して、約10から30度に角度付けることができる。いくつかの実施形態では、フィラメント18は、約20度に角度付けることができる。いくつかの実施形態では、フィラメント18は、約30度で角度付けることができる。他の角度および角度に対する範囲もまた、可能である。
【0051】
図1、8A、および8Bを参照すると、いくつかの実施形態では、接続機構14は、容易に自己拡張機構16を解放するための解放可能接続機構を備えることができる。いくつかの実施形態では、接続機構14は、ガイドワイヤ12と自己拡張部材16との間に接続点を形成することができ、自己拡張部材16を解放するように意図されない。いくつかの実施形態では、接続機構14は、ガイドワイヤ12および/または自己拡張部材16の一部を形成することができる。
【0052】
手技および自己拡張部材16の意図された用途に応じて、自己拡張部材16の解放を可能にする接続機構14を有することが有利となり得る。例えば、血流回復手技の間、複雑な血管系あるいは血管壁を損傷する危険性のため、血栓を完全に回収するのは、困難および/または危険であることが証明され得る。自己拡張部材16を残すことが、外科医または他の医療従事者に利用可能な唯一の選択肢であることが証明される場合もある。他の状況では、自己拡張部材16は、薬物溶出能力を含むことができる、および/または血栓溶解を促進する、特定のタイプの薬物によってコーティングすることができる。そのような状況では、血栓が、薬物によって溶解されている間、自己拡張部材16を解放し自己拡張部材に、血栓を血管壁に対して係留させることが有利となり得る。自己拡張部材16のための種々のタイプの材料、薬物、および/またはコーティングは、例えば、国際公開第WO2009/105710号(参照することによって、全体が組み込まれる)に説明されている。
【0053】
加えて、前述の自己拡張部材16は、血流回復手技の間の使用の文脈において説明されたが、自己拡張部材16はまた、または代替として、埋込式部材(例えば、ステント)として使用することができる。例えば、自己拡張部材16は、血管内の狭窄、動脈瘤、または他の適切な場所において、接続機構14を通して解放することができる。自己拡張部材16は、血管壁を開放したまま保持する、および/または閉塞部材として作用するように、拡張し、血管壁に係合することができる。前述のフィラメント厚、幅、セルサイズ、および力は、流動回復のために設計された自己拡張部材16のために最適化することができるが、これらの値はまた、埋込式部材として使用するために設計された自己拡張部材16のために最適化することができる。いくつかの実施形態では、それらは、同一値である。
【0054】
図8A−8Cを継続して参照すると、自己拡張部材16を解放するための接続機構14は、例えば、電解分離可能領域40を備えることができる。他のタイプの接続機構もまた、可能である(例えば、単純機械的接続、または接続面積の加熱および溶融を伴う接続)が、好ましい配列では、接続機構14は、電解質と接触すると、電気エネルギーの影響下、溶解する、接続を備える。電解分離可能領域40は、ステンレス鋼等の電解分離可能材料の暴露片を備えることができるが、他の材料もまた、可能である。電解分離可能領域40は、パリレン等の強化材料によってコーティングすることができるが、他のタイプのコーティング材料もまた、可能である。いくつかの実施形態では、電解分離可能領域40は、ガイドワイヤ12の一部を備えることができる。好ましい配列では、電解分離可能領域の長さは、0.1mmから0.5mm、より好ましくは、0.2mmから0.4mmの範囲に及ぶことができるが、他の範囲および値もまた、可能である。
【0055】
図8Aを継続して参照すると、好ましい配列では、接続機構14はさらに、ステム42の遠位端に位置するボール44を有するステム42を備えることができる。ステム42および/またはボール44は、絶縁材料および/または接着剤によってコーティングされ、電気電流が、接続機構14を通って自己拡張部材16へと進行することを阻止または防止することができる。接続機構14はさらに、キー溝構造46を備えることができる。キー溝構造46は、ステム42および/またはボール44を受容し、ステム42および/またはボール44を適所に係止するように構成される、細隙および/または開口部を備えることができる。いくつかの実施形態では、キー溝構造46は、自己拡張部材16の近位部分28の一部を備えることができる。いくつかの実施形態では、キー溝構造46は、ニチノール(登録商標)を備えることができるが、他の材料もまた、可能である。
【0056】
図8Aを継続して参照すると、好ましい配列では、接続機構14はさらに、外筒48を備えることができる。外筒48は、キー溝構造46、ステム42、および/またはボール44を囲繞することができる。外筒48は、白金から成ることができるが、他の材料もまた、可能である。外筒48は、例えば、近位放射線不透過性マーカを備えることができる。接続機構14は、遠位ガイドワイヤ区画52を囲繞する収縮管類50をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、遠位ガイドワイヤ区画52は、コイル54を備えることができる。分離可能領域38と同様に、遠位ガイドワイヤ区画52は、パリレンによってコーティングすることができるが、他の材料もまた、可能である。
【0057】
接続機構14の全体的構造は、自己拡張部材16が、所定の点において解放するように構成することができる。例えば、自己拡張部材16は、概して、自己拡張部材16の取り外しの間、電解分離可能領域40のみ、血液中に分解し、自己拡張部材16が、電解分離可能領域40において、ガイドワイヤ12からきれいに分離し、血管内に解放されるように、電気電流から絶縁することができる。
【0058】
図8Bおよび8Cを参照すると、接続機構14の他の実施形態およびタイプもまた、可能である。例えば、
図8Bおよび8Cの両方では、接続機構14は、電解質と接触すると、電気エネルギーの影響下、溶解する、ダンベル形状の要素56を備えることができる。ダンベル形状の要素56の近位(すなわち、ガイドワイヤ側)端では、
図8Bのように、螺旋構造58は、ガイドワイヤ12の強化螺旋60と相互作用することができる。遠位端では、ボール形状の要素62は、レーザ溶接技法を用いて、白金螺旋64に接続され、順に、自己拡張部材16の近位端に位置する、接続点66と連結されるように配列することができる。いくつかの実施形態では、白金螺旋64は、自己拡張部材16のX線反射近位マーカとしての役割を果たすことができる。ボール形状の要素62と接続点66との間の継合を強化するために、補強ワイヤ68を提供することができる。代替として、白金螺旋64はまた、それにかけられる張力および推力に耐えるように設計することができる。
【0059】
図8Bを継続して参照すると、ダンベル形状の分離要素56は、電気エネルギーの影響下において、電解質中で腐食を受ける鋼鉄材料を含むことができる。腐食を加速させ、分離時間を短縮させるために、例えば、研磨方法または熱処理を適用することによるダンベル形状の要素56の構造的または化学的脆弱化が、有益となり得る。いくつかの実施形態では、電解質にアクセス可能なダンベル形状の要素56の部分は、長さ0.1mmから0.5mm、特に、0.3mmを有するが、他の範囲および値もまた、可能である。
【0060】
図1および8Bを継続して参照すると、螺旋構造58は、溶接を介して、ガイドワイヤ12のダンベル形状の要素56および補強螺旋60の両方に固着させることができる。ガイドワイヤ12自体、マイクロカテーテル32内に摺動可能に収容することができる。
【0061】
図8Cを参照すると、いくつかの実施形態では、ダンベル形状の要素56は、各端に、ボール形状の要素62を有する。ボール形状の要素62は、それぞれ、螺旋60、64を介して、自己拡張部材16の接続点66に対して遠位に、およびガイドワイヤ12に対して近位に、接続することができる。
【0062】
図9A−Fを参照すると、いくつかの実施形態では、自己拡張部材16は、分岐、二叉血管、および/または多枝血管において、流動回復デバイスおよび/または埋込式部材(例えば、ステント)として使用するために特異的に設計することができる。例えば、
図9Aを参照すると、血栓は、内頸動脈および前大脳動脈、または内頸動脈および中大脳動脈、または脳底動脈および後大脳動脈等の神経血管系内の分岐に位置し得る。
図9Bを参照すると、血栓はまた、類似血管内の2つの別個の塊として、2つの血管(すなわち、二叉血管)に位置することができる。
図9Cおよび9Dを参照すると、血栓はまた、複数の血管内にある1つの塊として、または複数の血管内にある複数の塊として、多枝血管に位置し得る。そのような塊を伴う血管は、例えば、頭蓋内内頸、前大脳、および中大脳動脈と、脳底動脈ならびに両後大脳動脈および大脳動脈に位置し得る。
【0063】
図9Eおよび9Fを参照すると、自己拡張部材16は、
図9A−Dに例示されるタイプの血管および塊を収容する、形状および/またはサイズを有することができる。例えば、自己拡張部材16は、前述の近位部分28と同様に、近位部分70を有することができる。自己拡張部材はさらに、2つ以上の分岐74に分割される、遠位部分72を有することができる。分岐74は、一般に、神経血管系に見出される、例えば、異なるタイプの分岐および分裂に特異的に設計することができる。前述の遠位部分30と同様に、遠位部分72は、血栓または血管壁に対して拡張するように構成することができる。自己拡張部材16の少なくとも一部は、
図3Aおよび3Bに見られるタイプのコイル状構成を促進するな細隙および/または切断部であることができる。分岐、二叉血管、および/または多枝血管において使用するための自己拡張部材16もまた、同様に、前述および
図2に例示される自己拡張部材16と同一タイプのフィラメント18およびセル20を有することができる。
【0064】
デバイス10の実施形態が、本明細書に説明されたが、デバイス10の種々の他の実施形態は、例えば、米国特許第7,300,458号、米国特許出願公開第2008/0125855号、および国際公開第WO2009/105710号(それぞれ、参照することによって、全体が組み込まれる)に見出すことができる。
【0065】
(方法)
図10−15を参照すると、前述のように、ガイドワイヤ12および自己拡張部材16を含む、デバイス10は、流動回復デバイスとして使用することができる。例えば、デバイス10は、大頭蓋内血管閉塞のため、虚血性脳卒中を経験した医療患者における血流を回復するために使用することができる。好ましい配列では、デバイス10は、例えば、
図10に見られるように、マイクロカテーテル32およびバルーンガイドカテーテル76と併用することができる。デバイス10は、非常に蛇行性であって、小さく、かつ薄い壁血管から、血栓を回収することができる。デバイス10は、内頸動脈、中大脳動脈のM1およびM2区分、前大脳動脈、脳底動脈、および椎骨動脈等、直径、例えば、2.0mmから5.5mmに及ぶ、血管を治療するために使用することができるが、他の範囲、サイズ、および特定の血管もまた、可能である。
【0066】
流動回復手技の間、バルーンガイドカテーテル76は、血管系を通して、治療面積に向かって移動させられることができる。バルーンガイドカテーテル76の遠位端に位置するバルーン78は、80の壁に対して拡張することができる。マイクロカテーテル32は、最初に、バルーンガイドカテーテル76を通して送達されることができる。自己拡張可能部材16は、次いで、マイクロカテーテル32を通して送達されることができる。代替として、自己拡張部材16は、マイクロカテーテル32によって送達されることができる。自己拡張部材16は、体積縮小形態で、マイクロカテーテル32内にあることができる。マイクロカテーテル32は、血管80を通して前進させられ、血栓82に隣接して留置されることができる。自己拡張部材16は、近位部分28が血栓82の上流にあり、遠位要素38が血栓の下流にあり、および自己拡張部材16の遠位部分30が血栓82に隣接して半径方向に位置するように設置されることができる。好ましい配列では、マイクロカテーテル32は、マイクロカテーテル32の遠位先端84が血栓82を越えるように、血栓82に沿って留置されることができ、遠位先端84は、約0mmから約10mm以上、または約3mmから約5mmだけ血栓82を越えるが、他の範囲および値もまた、可能である。好ましい配列では、自己拡張部材16の遠位部分30は、遠位部分30の一部が、血栓82の近位および遠位の両方に延在するように設置されることができる。
【0067】
図13に例示されるように、自己拡張部材16は、マイクロカテーテル32が抜脱される(すなわち、近位に引張される)間、ガイドワイヤ12を静止状態に保持することによって、固定位置に保持することができる。マイクロカテーテルが抜脱されるにつれて、自己拡張部材16は、その体積縮小形態から解放され、拡張することができる。自己拡張部材16は、その非拘束形態の少なくとも一部を呈し、それによって、遠位部分30の少なくとも一部ならびにそのフィラメント18およびセル20を、血栓82に穿刺接触させるように拡張することができる。自己拡張部材16の一部が、調節される必要がある場合、ガイドワイヤ12および/またはマイクロカテーテル32は、ともにまたは個々に移動することができ、必要に応じて、自己拡張デバイス16は、マイクロカテーテル内に戻され、次いで、再展開することができる。テーパ状の近位部分28は、このタイプの再設置を促進することができる。
【0068】
展開されると、自己拡張部材16は、前述のように、半径方向外向き力を血栓82に付与し、したがって、血栓82の断面積を縮小させ、血栓82を越えて、血管80を通る少なくとも部分的な血流を直ちに再確立するためのチャネルを形成し、および/または血管壁から血栓を弛緩させることができる。いくつかの実施形態では、例えば、自己拡張部材16が展開された後に、元々の血栓82の円周の約10%から約60%が、血管壁から分離されることができ、接着および摩擦を介して血管壁上に吊架する血栓82の能力を相応して低減させることができる。いくつかの実施形態では、血栓82の断面積は、展開された自己拡張部材16によって有意に縮小させることができ、その元々の断面積の約30%から約95%、より一般的には、その元々の断面積の約50%から約80%を有する血栓82をもたらす。いくつかの実施形態では、例えば、組織プラスミノゲン活性化物質(tPA)等の有効量の塊溶解薬物の血栓82の部位への投与がさらに、血流回復手技の間に適用され、血栓82の溶解を向上させることができる。いくつかの実施形態では、自己拡張部材16によって生成される開放チャネルは、血栓82の暴露表面積を増加させ、それによって、そのような塊溶解薬物によって血栓82のより迅速な溶解を促進することができる。
【0069】
自己拡張部材16によって、少なくとも部分的血流を直ぐに回復することは、周知の装置および方法が、流動を再確立するために時間がかかり得、永続的神経学的欠損の危険性および程度が、症状の発現から血流回復までの時間の増加に伴って、急速に増大することが定着しているため、血栓によって閉塞した大脳動脈を治療するための周知の装置および方法に勝る有利な利点を提供することができる。例えば、即時の流動回復は、穿通開存性を維持することを支援することに有利であり得る。したがって、血栓82を越えての即時の流動回復は、人体内の近傍穿通血管の閉塞を阻止することができる。
【0070】
加えて、閉塞した面積の遠位にある血管は、多くの場合、血流および酸素が奪われ得る。少なくともいくつかの部分的血流の即時回復に続いて、最終的に、完全血流の回復を通して、血流を徐々に回復することは、血栓の遠位にある血管への灌流傷害(すなわち、血流の突然の完全回復によって生じる傷害)を阻止する支援をし得る。自己拡張部材16の初期拡張は、血管に、血流、圧力、応力、および歪みの変化に反応および適応するための時間を持たせ、血管を変化の発現に調整させることができる。
【0071】
図14および15を継続して参照すると、自己拡張部材16が、血栓82に係合し、それを捕捉すると、血栓82を除去することができる。ガイドワイヤ12を引き戻すことに先立って、マイクロカテーテル32を操作することができる。例えば、マイクロカテーテル32は、自己拡張部材16に対して、所定の点まで前方に移動することができる。マイクロカテーテル32および/または自己拡張部材16に沿ったマーカの使用は、マイクロカテーテル32および自己拡張部材16の相対的場所を決定するために使用することができる。例えば、マイクロカテーテル32は、近位部分28または接続機構14(例えば、外筒48)上のマーカを被覆するまで、遠位に移動することができる。マイクロカテーテル32および自己拡張部材16は、次いで、ともに除去することができる。そのようなマーカの使用の説明は、例えば、国際公開第WO2009/105710号(参照することによって、全体が組み込まれる)に見出すことができる。
【0072】
血栓82が除去されるにつれて、自己拡張部材16の遠位要素36および/または屈曲遠位端は、血栓82の把持および/または引張を補助し、それによって、滑動を阻止することができる。加えて、血管サイズの直径が変化するにつれ、自己拡張部材16は、血管サイズに対応するように、拡張または収縮することによって、継続的に調節することができる。自己拡張部材16が、拡張または収縮するにつれて、セル20は、概して、前述のように、その同一の形状およびサイズを維持し、それによって、血栓82の望ましくない滑動または解離を阻止することができる。
【0073】
図10および15を参照すると、デバイス10および血栓82の回収の間、血栓82を通して、またはそれを越えて、流動回復のために生成された初期チャネルは、開放した状態のままであることができる。バルーン78は、最大近位流動制御を提供するように、膨張されたままであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、バルーン78は、血管を通して、バルーン78から、自己拡張部材16に向かって、近位に流動がないことを確実にすることができる。回収手技の一部として、自己拡張部材16が、バルーンガイドカテーテルの遠位先端86近傍にあるとき、強制的吸引によって、バルーンガイドカテーテル76を通して、継続的吸引を採用することができる。例えば、バルーンガイドカテーテル76は、バルーン78を拡張するための注射器88と、吸引のための別個の注射器90とを含むことができる。吸引補助は、自己拡張部材16および血栓82を通して、逆流を可能にすることができる。逆流を伴う吸引は、遠位血管系が、回収プロセスの間、血管を通して、血液灌流を継続させる支援することができ、遠位塞栓の可能性を阻止することができる。自己拡張デバイス16および血栓82を横断して血流を有することは、天然溶血の潜在性と、提供される場合、血栓溶解剤のための表面積増加の利点を伴い得る。逆流を伴う吸引はまた、血栓82の除去を補助することによって、血栓回収プロセスを補助することができる。流動は、吸引によって、バルーンガイドカテーテル76の内腔に向かって指向され得る。自己拡張部材16および血栓82は、したがって、バルーンガイドカテーテル76の内腔に流入するように、流動によって補助され得る。いくつかの実施形態では、バルーンガイドカテーテル76内への抜脱が、吸引の間、何らかの理由から、困難である場合、バルーン78は、収縮され、バルーンガイドカテーテル76、マイクロカテーテル32、およびデバイス10は、ユニットとして、吸引を維持しながら、同時に抜脱することができる。
【0074】
図16A−Cを参照すると、自己拡張部材16は、代替として、または加えて、分岐、二叉血管、および/または多枝血管を横断して、流動回復を補助するために使用することができる。例えば、
図1、9A、および/または9Bに例示される自己拡張部材16は、分岐に設置される、血栓82を除去する支援をするために使用することができる。特に、いくつかの実施形態では、
図1の自己拡張部材16自体、分岐面積から、塊を引張および回収するために十分に強固であることができる。他の実施形態では、
図9Aまたは9Bに例示される自己拡張部材16を使用することができる。
【0075】
図17を参照すると、前述のように、デバイス10は、自己拡張部材16の取り外しを可能にする、接続機構14を含むことができる。血流回復手技の間、自己拡張部材16は、通常、取り外されない。むしろ、ガイドワイヤ12に接続されたままであって、マイクロカテーテル32によって、血栓82とともに、バルーンガイドカテーテル76内に引き戻すことができる。しかしながら、いくつかの手技の間、外科医または他の医療従事者は、自己拡張部材16を取り外すことが必要または有利であると決定してもよい。例えば、自己拡張部材16の展開後、自己拡張部材16は、前述のように、少なくとも部分的流動回復を開始することができる。患者の特定の生体構造および/または物理的状態に応じて、外科医または他の医療従事者は、血管系を通して、マイクロカテーテル32またはバルーンガイドカテーテル76内へと血栓82の引張継続を試みるのではなく、展開後、自己拡張部材16を残すことがより安全であると決定してもよい。代替として、外科医は、血栓82のさらなる抜脱が、血管系内への血栓82の滑動または喪失をもたらし得ると決定してもよい。これらまたは他の類似状況では、有利には、取り外しを可能にする接続機構14を使用して、自己拡張部材16を取り外すことができる。
【0076】
加えて、前述のように、デバイス10は、埋込式部材として使用するためのデバイス(例えば、ステント)として使用することができる。例えば、ガイドワイヤ12、接続機構14、および自己拡張部材16は、マイクロカテーテル32を通して、狭窄または動脈瘤等の治療部位に送達することができる。前述の方法と同様に、マイクロカテーテルは、抜脱されることができ、自己拡張部材16は、血管壁に対して拡張することができる。流動回復デバイスとしての使用と同様に、必要に応じて、自己拡張部材16は、最初の試みにおいて、正確に留置されない場合、再設置することができる。自己拡張部材16が、治療部位における所望の場所に来ると、自己拡張部材16は、次いで、ガイドワイヤ12から取り外され、埋込式部材として使用することができる。
【0077】
これらの発明は、ある好ましい実施形態および実施例の文脈において開示されたが、本発明は、具体的に開示される実施形態以外に、本発明の他の代替実施形態および/または用途ならびにその明白な修正および均等物にも及ぶことが、当業者によって理解されるであろう。加えて、本発明のいくつかの変形例が、詳細に図示および説明されたが、これらの発明の範囲内にある、他の修正も、本開示に基づいて、当業者に容易に明白となるであろう。また、実施形態の具体的特徴および側面の種々の組み合わせまたは部分的組み合わせを行うこともでき、依然として発明の範囲内であることが想定される。開示される実施形態の種々の特徴および側面は、開示される発明の可変モードを形成するために、相互に組み合わせる、または代用することができることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される本発明の少なくともいくつかの範囲は、前述の特定の開示される実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。