【文献】
Olonbayar, S. 他,Synchronisation performance of wireless sensor networks,Ultra-Wideband, 2008. ICUWB 2008. IEEE International Conference on,米国,IEEE,2008年 9月10日,Volume: 2,pp.59-62
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記個別信号パルスまたは前記信号パルスシーケンス(SIF)にはそれぞれ信号休止(SP)が続き、該信号休止は前記プレアンブルサブシンボル(C)間のシンボル間干渉を回避するために設けられている、請求項1または2に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、工業的環境でも低いデータパケット損失率で、制御ネットワークのネットワークノード間でデータパケットを確実に伝送することのできる、制御ネットワークのネットワークノード間でのデータパケットの無線伝送方法および無線伝送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明により、請求項1に記載された特徴を備える方法によって解決される。
【0008】
本発明は、制御ネットワークのネットワークノード間でデータパケットを無線伝送する方法を提供するものであり、データパケットは同期化のために、所定数のプレアンブルシンボルからなるそれぞれ1つのプレアンブルを有しており、第1の動作モードでは、プレアンブルのプレアンブルシンボルの各プレアンブルサブシンボルが伝送された個別信号パルスの位相によって符号化され、データパケットで伝送されたプレアンブルの信号識別能力を高めるための第2の動作モードでは、個別信号パルスの代わりに信号パルスシーケンスがプレアンブルサブシンボルの符号化のために伝送され、この信号パルスシーケンスでは個別信号パルスが複数回反復して伝送される。
【0009】
したがって本発明の方法では、プレアンブルの識別を容易にし、データパケット損失率を有意に低下する付加的な動作モードが導入される。
【0010】
本発明の方法の実施形態では第1の動作モードにおいて、プレアンブルサブシンボル間のシンボル間干渉(ISI)を回避するために設けられた信号休止が個別信号パルスに随伴する。
【0011】
本発明の方法の実施形態では第2の動作モードにおいても、プレアンブルサブシンボル間のシンボル間干渉(ISI)を回避するために設けられた信号休止が信号パルスシーケンスに随伴する。
【0012】
本発明の方法の実施形態では、プレアンブルの各プレアンブルシンボルが所定数のプレアンブルサブシンボルによって三値に符号化される。
【0013】
本発明の方法の実施形態では、第1の動作モードにおいて個別信号パルスが正、負または中性の符号を有する。
【0014】
本発明の方法の実施形態では、第2の動作モードにおいて信号パルスシーケンスの信号パルスもそれぞれ正、負、または中性の符号を有する。
【0015】
本発明の方法の別の実施形態では、第1の動作モードにおいて各プレアンブルサブシンボルが所定のパルス持続時間を備える個別信号パルスを有し、個別信号パルスには信号休止が付随し、この信号休止の持続時間は第1の拡散係数だけ前記個別信号パルスのパルス持続時間よりも長い。
【0016】
本発明の方法の別の実施形態では、第2の動作モードにおいて各プレアンブルサブシンボルが、位相が同じであり順次連続する所定数の個別信号パルスからなる信号パルスシーケンスを有し、信号パルスシーケンスの各個別信号パルスは所定のパルス持続時間を有する。
【0017】
本発明の方法の別の実施形態では、信号パルスシーケンスに、持続時間が第2の拡散係数だけ信号パルスシーケンスの持続時間よりも長い信号パルスが随伴する。
【0018】
本発明の方法の別の実施形態では、信号パルスシーケンスに、第1の動作モードでのプレアンブルサブシンボルの持続時間から信号パルスシーケンスの持続時間を減じた持続時間に対応する持続時間の信号パルスが随伴する。
【0019】
本発明の方法の実施形態では、第1の動作モードにおいて、プレアンブルのプレアンブルシンボルの各プレアンブルサブシンボルが、伝送される個別信号パルスの位相によって規格IEEE802.15.4aに対応して符号化される。
【0020】
本発明の方法の別の実施形態では、第1の動作モードで伝送される個別信号パルスと、第2の動作モードで伝送される信号パルスシーケンスの信号パルスとが、スペクトルパルス応答の極性から一義的に位相の定まるパルス形状を有する。
【0021】
本発明の方法の別の実施形態では、このパルス形状はガウスパルス形状である。
【0022】
本発明の方法の別の実施形態では、このパルス形状はガウスダブレットパルス形状である。
【0023】
本発明の方法の別の実施形態では、このパルス形状はルート・レイズド・コサインパルス形状である。
【0024】
本発明の方法の別の実施形態では、データパケットのプレアンブルは、2
n1のプレアンブルシンボルを備える同期化ヘッダと、2
n2のプレアンブルシンボルを備えるスタートフレームデリミタ(SFD)とを有し、n1、n2は自然数である。
【0025】
本発明の方法の別の実施形態では、プレアンブルの受信された同期化ヘッダに基づきSYNC相関装置によって第1の相関値が計算され、この相関値に依存して制御ネットワーク内のネットワークノードの受信増幅器が調整される。
【0026】
本発明の方法の別の実施形態では、プレアンブルの受信されたスタートフレームデリミタ(SFD)に基づきSFD相関装置によって第2の相関値が、受信されたデータパケット内の有効データの開始を検知するために計算される。
【0027】
本発明の方法の別の実施形態では、個別信号パルスのパルス持続時間は約2nsである。
【0028】
本発明の方法の別の実施形態では、第2の動作モードにおいて信号パルスシーケンスの順次連続する個別信号パルスの数NはN=4である。
【0029】
本発明はさらに、請求項31に記載の特徴を備えるネットワークノードを有する無線制御ネットワークに関するものである。
【0030】
本発明は、データパケットを伝送するネットワークノードを備える無線制御ネットワークを提供するものであり、データパケットは同期化のために、所定数のプレアンブルシンボルからなるそれぞれ1つのプレアンブルを有しており、第1の動作モードでは、プレアンブルのプレアンブルシンボルの各プレアンブルサブシンボルが伝送された個別信号パルスの位相によって符号化され、第2の動作モードではデータパケットで伝送されたプレアンブルの信号識別能力を高めるために、個別信号パルスの代わりに信号パルスシーケンスがプレアンブルサブシンボルの符号化のために伝送され、この信号パルスシーケンスでは個別信号パルスが複数回反復される。
【0031】
本発明の無線制御ネットワークの実施形態では、無線制御ネットワークが第1の動作モードにおいてIEEE802.15.4aネットワークを形成する。
【0032】
本発明の方法および本発明の無線制御ネットワークのさらなる実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の無線制御ネットワークでは、データパケットDPがネットワークノード1間で伝送される。
図1から分かるように、図示の実施例で制御ネットワークのネットワークノード1は送信装置2および受信装置3からなり、これらはそれぞれデータ処理装置4、たとえばCPUまたはマイクロプロセッサに接続されている。さらに送信装置2と受信装置3は送受信アンテナ5に接続されている。送受信アンテナ5を介してネットワークノード1は、無線インタフェースにより無線制御ネットワークの他のネットワークノードと通信する。
【0035】
実施形態では、送信装置2と受信装置3とがそれぞれ別個のアンテナを有する。すなわち送信装置2は送信アンテナに接続されており、受信装置3は受信アンテナに接続されている。ネットワークノード1は、とりわけアクチュエータ、センサおよび固有の電流供給源のような別の装置または回路部分を含むことができる。無線インタフェースを介してネットワークノード1は、データパケットDPを他のネットワークノードと通信のために交換する。これらのデータパケットDPは同期化のために、所定数のプレアンブルシンボルSからなるそれぞれ1つのプレアンブルPREを有している。
【0036】
第1の動作モードでは、プレアンブルPREのシンボルSのプレアンブル1の各プレアンブルサブシンボルCが伝送された個別信号パルスの位相によって符号化される。第2の動作モードではデータパケットDPで伝送されたプレアンブルPREの信号識別能力を高めるために、個別信号パルスの代わりに信号パルスシーケンスSIFがそれぞれのプレアンブルサブシンボルCの符号化のために伝送され、この個別信号パルスの信号パルスシーケンスSIFを形成するために第1の動作モードで使用される個別信号パルスが複数回反復して伝送される。
【0037】
第2の動作モードでは、データパケットDPで伝送されたプレアンブルPREの信号識別能力が第1の動作モードに対して高められる。これによりネットワークノード1の受信装置3は受信されたデータパケットのプレアンブルPREを簡単に識別することができる。これによりデータパケット損失率DPVRが有意に低下する。実施形態では、
図1に示したようにネットワークノード1が2つの動作モード間で切換可能である。その代わりにネットワークノード1は特定の動作モード、とりわけ第2の動作モードに対して前もって構成しておくことができる。
【0038】
第1の動作モードでも第2の動作モードでも、個別信号パルスまたは信号パルスシーケンスSIFにはそれぞれ信号休止SPが後に続く。この信号休止は、プレアンブルサブシンボルC間のシンボル間干渉を回避するために設けられている。ここで各プレアンブルシンボルSは、好ましくは所定数のプレアンブルサブシンボルCによって三値に符号化されている。三値に符号化される場合には、個別信号パルスまたは信号パルスシーケンスSIFの信号パルスはそれぞれ正、負または中性の符号を有する。プレアンブルサブシンボルCは、第1の動作モードでは所定のパルス持続時間の個別信号パルスを有する。このパルス持続時間はたとえば2nsである。ここで第1の動作モードでは、個別信号パルスは信号休止SPの後に続き、この信号休止の持続時間は実施形態では、第1の拡散係数L1だけ個別信号パルスのパルス持続時間より長い。
【0039】
第1の動作モードでは、プレアンブルPREのプレアンブルシンボルSの各プレアンブルサブシンボルCが伝送された個別信号パルスの位相によって符号化されているが、第2の動作モードではデータパケットDPで伝送されたプレアンブルPREの信号識別能力を高めるために、個別信号パルスの代わりに信号パルスシーケンスSIFがそれぞれのプレアンブルサブシンボルCを符号化するために伝送される。ここで各プレアンブルサブシンボルCは、第2の動作モードでは、位相が同じであり順次連続する所定数の個別信号パルスからなる信号パルスシーケンスSIFを有する。信号パルスシーケンスSIFの各信号パルスは、所定のパルス持続時間を有する。信号パルスシーケンスには信号休止SPが後に続く。この信号休止SPは実施形態では、第2の拡散係数L2だけ信号パルスシーケンスSIFの持続時間よりも長い。
【0040】
択一的な実施形態では、信号休止SPが、第1の動作モードでのプレアンブルサブシンボルCの持続時間から信号パルスシーケンスSIFの持続時間を減じた持続時間に相当する持続時間を有する。この実施形態は、プレアンブルサブシンボル長が全体として両動作モードで同じままであるという利点を有する。これにより第1の実施形態と比較して待ち時間が短くなる。したがって、信号休止に時間が第2の拡散係数L2だけ信号パルスシーケンスの時間よりも長い第1の変形実施例または実施形態は、信号のマルチパス信号伝播に対して高い耐性を有する。
【0041】
本発明の可能な実施形態では、
図1に示したネットワークノードの第1の動作モードにおいて、プレアンブルPREのプレアンブルシンボルSの各プレアンブルサブシンボルCが、伝送される個別信号パルスの位相によって規格IEEE802.15.4aに準拠して符号化される。したがって
図1に示したネットワークノード1は標準規格であり、第2の動作モードによって拡張される。第2の動作モードで伝送される信号パルスシーケンスSIFは、パルス形状が実施形態では第1の動作モードで伝送されるパルスまたは個別信号パルスのパルス形状に相当する信号パルスからなる。ここで信号パルスシーケンスSIFの信号パルスのパルス形状の位相は、スペクトルパルス応答から一義的に得られる。
【0042】
別の実施形態では、このパルス形状はガウスパルス形状である。その代わりにパルス形状は、ガウスダブレットパルス形状またはルートライズドコサイン(RRC)形状とすることもできる。
図1に示したようにネットワークノード1から発するデータパケットDPは同期化のためにそれぞれ1つのプレアンブルPREを有する。ここでデータパケットDPのプレアンブルは好ましくは2
n1のプレアンブルシンボルを備える1つの同期化ヘッダSYNCと、2
n2のプレアンブルシンボルを備える1つのスタートフレームデリミタを含み、n1,n2は自然数である。
【0043】
本発明のネットワークノード1の可能な実施形態では、受信装置3が相関装置を含む。
【0044】
可能な実施形態では、データパケットDPのプレアンブルPRE受信された同期化ヘッダSYNCに基づいて、SYNC相関装置によってネットワークノード1の受信装置3内で第1の相関値が計算され、その相関値に依存してネットワークノード1の受信増幅器が調整される。
【0045】
可能な実施形態では、ネットワークノード1の受信装置3がいわゆるSFD相関装置を有する。プレアンブルPREのスタートフレームデリミタSFDに基づき、受信装置3のこのSFD相関装置によって、受信されたデータパケットDP内の有効データの開始を検出するために第2の相関値が計算される。
【0046】
図1に示したネットワークノード1内の受信装置3は、超広帯域(UWB)インパルス応答(IR)受信器とすることができ、この受信器は可能な実施形態では
図2に示すように構成されている。受信装置3または受信器3は
図2に示すように、アンテナ5を介して受信された信号をダウンコンバートするためのHF段6を有する。HF段6は1つまたは複数の信号増幅器ならびにバンドパスフィルタBPFを含むことができ、ベースバンド信号を形成する。このベースバンド信号は信号二乗段7に印加される。ダウンコンバートされ、バンドパスフィルタリングされた信号は二乗され、信号積分器8に印加される。信号積分器8は信号をシンボル時間Tsで積分し、積分された値をアナログ/デジタル変換器9に印加する。形成されたデジタル値はデータ処理装置、たとえば
図1に示したデータ処理装置4に供給される。さらに受信装置3は
図2に示すように累積装置10を含む。この累積装置10はプレアンブルサブシンボルCに関するデジタル値を累積する。この累積装置10は可能な実施形態では、オーバサンプリング係数OFによって調整される。オーバサンプリング係数OFはプレアンブルサブシンボルの持続時間Tcとシンボルの持続時間Tsとの比から得られる。
【0047】
累積装置10は出力側で受信装置3の第1の相関装置11と接続されている。受信装置3により受信されたデータパケットDPはプレアンブルPREを含んでおり、このプレアンブルPREは同期化ヘッダSYNCとスタートフレームデリミタSFDからなる。
図2に示したプレアングル同期化ヘッダ相関装置11は、プレアンブルPREの受信された同期化ヘッダSYNCに基づき、第1の相関値KW1を計算する。この第1の相関値KW1は自動利得制御器12に出力される。自動利得制御器12または増幅制御部12は、第1の相関値KW1に依存して、HF段6に含まれている少なくとも1つの受信増幅器の増幅率を、受信された信号に受信装置を整合するために調整する。相関装置11は
図2に示した実施形態ではレジスタ13に接続されている。このレジスタにはプレアンブルサブシンボルCまたはプレアンブルチップC、たとえば31のプレアンブルサブシンボルが存在する。レジスタに記憶されたプレアンブルサブシンボルCは、記憶された識別テンプレートを形成する。相関装置11から出力された相関値は、受信されたプレアンブルPREがどれだけ予想されるプレアンブルに似ているかを指示する。相関値は、可能な実施形態では閾値比較器によって閾値THと比較される。計算された相関値が閾値を上回ると直ちに、受信されたプレアンブルPREが予想されるプレアンブルに対応することが識別される。したがって閾値THを上回るとプレアンブルシンボルが識別される。
【0048】
図2に示した実施形態では、受信されたデータパケットDPのスタートフレームデリミタSFDに基づきSFD相関装置14よって第2の相関値KW2が、データパケットDP内の有効データの開始を選択するために計算される。SFD相関器14はレジスタ15に接続されており、このレジスタにはたとえば予想されるスタートフレームデリミタSFDの所定のプレアンブルシンボルSが存在する。スタートフレームデリミタSFDが識別されると、データ処理装置4が
図2に示すように、ADC9から出力された有効データのデータ処理をするために作動される。
【0049】
図3は、
図1に示されたネットワークノード1に使用される送信装置2の実施例を示す概略的ブロック回路図である。
図3に示した実施例で送信装置2は超広帯域(UWB)インパルス応答(IR)送信器である。
図3に示した回路部分は、本発明の方法で使用されるデータパケットDPのプレアンブルPREを生成する。たとえばRAMメモリであるデータメモリ16内には、たとえば8つのプレアンブルコードPコード1からPコード8がある。これらはそれぞれ所定数のプレアンブルサブシンボルCを含んでおり、たとえば31のプレアンブルサブシンボルCを含んでいる。プレアンブルコード内のプレアンブルサブシンボルCの数は、
図3に示すようにコード長CLを形成する。第2のデータメモリ17には標準SFD(スタートフレームデリミタ)コードのプレアンブルシンボルが存在する。たとえばRAMである2つのデータメモリ16,17は制御論理回路18によってアドレシングされる。さらに制御論理回路18は、
図3に示すように制御線路を介して2つのマルチプレクサ19,20を制御する。制御論理回路18は複数のカウンタを含むことができる。
【0050】
制御論理回路18のカウンタは、可能な実施形態では値ゼロから拡散係数L1まで計数する。計数値がゼロのときマルチプレクサ19の第1の入力端E1が導通され、このカウンタがその他の計数値のときマルチプレクサ19の第2の入力端が導通される。そしてメモリ16でちょうどアドレシングされたプレアンブルコードのプレアンブルサブシンボルCiにゼロまたはゼロ値の数が付加される。付加されたゼロ値の数は信号休止SPを形成し、拡散係数L−1に相当する。拡散係数Lは、制御論理回路18の可能な実施形態では調整可能である。拡散係数Lがたとえば16であれば、メモリ16から読み出される各プレアンブルサブシンボルCには15が付加され、それから次のプレアンブルサブシンボルCが導通される。マルチプレクサ19内に形成されたプレアンブルサブシンボルCのシーケンスはそれぞれ拡散係数Lに対応する数のゼロ値を有するようになり、
図3に示すように乗算器21に供給される。乗算器はメモリ17から読み出された標準SFDコードのプレアンブルシンボルをマルチプレクサ19から出力されたシーケンスと乗算する。プレアンブルPREが完成されると直ちに、制御論理回路18はマルチプレクサ20をデータ入力端に切り換える。このデータ入力端はたとえば
図1に示したデータ処理装置4と接続されている。マルチプレクサ20の出力端はパルス形成器22と接続されており、このパルス形成器の出力端はHF段23に接続されている。
【0051】
可能な実施形態で制御論理回路18は、カウンタをクロッキングするための集積クロック発生器を有する。可能な実施形態でクロック発生器は500MHzの周波数のクロック信号を発生する。このクロック信号はマルチプレクサ19を制御するためにカウンタに印加される。その代わりにクロック信号CLKを外部から制御論理回路18に供給することもできる。
【0052】
図4aは、本発明の方法および装置に使用されるデータパケットDPのプレアンブルPREのデータ構造を示す。プレアンブルPREはスタートフレームデリミタSFDを備える同期化ヘッダSYNCからなる。同期化ヘッダSYNCは好ましくは2
n1のプレアンブルシンボルSからなる。
図4aに示した実施例では、同期化ヘッダSYNCはたとえば64のプレアンブルシンボルSを有する(n1=6)。さらにプレアンブルPREは、2
n2のプレアンブルシンボルを備えるスタートフレームデリミタSFD、たとえば
図4aに示すように8つのプレアンブルシンボルを備えるスタートフレームデリミタSFDを含む(n2=3)。各プレアンブルシンボルSはプレアンブルサブシンボルCまたはコードチップCiからなる。本発明の方法の第1の動作モードでは、プレアンブルPREのプレアンブルシンボルSの各プレアンブルサブシンボルCが伝送された個別信号パルスの位相によって符号化される。このことは各コードチップCiが、信号休止SPを形成するゼロ値のシーケンスが後に続く個別信号パルスを有していることを意味する。信号休止SPは、プレアンブルサブシンボルまたはコードチップCi間のシンボル間干渉ISIを回避するために用いられる。信号パルスは好ましくは正、負、または中性の符号を有する。ここで各プレアンブルシンボルSは、好ましくは所定数のプレアンブルサブシンボルCによって三値に符号化される。好ましくは各プレアンブルサブシンボルは、
図4aに示すように31のプレアンブルシンボルによって三値に符号化される。各プレアンブルサブシンボルまたはコードチップCiの開始時に第1の動作モードでは、たとえば2nsの所定のパルス持続時間の個別信号パルスが設けられる。個別信号パルスには複数のゼロ値が続く。ゼロ値の数は拡散係数Lマイナス1により与えられる。拡散係数L=16であれば、個別信号パルスに15のゼロ値が、拡散係数Lが64であれば個別信号パルスに63のゼロ値が続く。ゼロ値の数が多ければ多いほど、すなわち後続の信号休止SPが長ければ長いほど、プレアンブルPREはマルチパス信号伝播による障害に対して強い耐性を有する。しかしプレアンブルサブシンボルの長さが長いと待ち時間が大きくなる。本発明の方法の第1の動作モードでは、各プレアンブルサブシンボルまたはコードチップCiが伝送される個別信号パルスの位相によって符号化され、個別信号パルスは所定のパルス形状および所定のパルス持続時間を有する。個別信号パルスは、ガウスパルス形状、ガウスダブレットパルス形状またはルートライズドコサイン(RRC)パルス形状とすることができる。個別信号パルスのパルス持続時間は2ns以下であるから、個別信号パルスは伝送時にわずかなエネルギー量しか有しておらず、とりわけノイズのある環境では受信装置の側で識別するのが困難である。
【0053】
図5aは、本発明の方法の第1の動作モードにおける信号伝送を説明する信号線図である。この動作モードではまず個別信号パルスが伝送され、所定数のゼロ値が続く。ゼロ値の数は拡散係数Lにより決定される。たとえば拡散係数L=16のとき15のゼロ値が伝送される。パルス持続時間が2nsであれば、プレアンブルサブシンボルCの持続時間Tcは16×2ns=32nsである。拡散係数が64のとき、プレアンブルサブシンボルの持続時間Tcは128nsである。たとえばプレアンブルシンボルS内のプレアンブルサブシンボルCの数またはコード長CLがCL=31であれば、プレアンブルPRE内のシンボルの持続時間は約4μsである。
図5aに示した例では、まず正の符号の個別信号パルスが伝送され、それに負の符号の個別信号パルスが続く。
【0054】
本発明の方法の可能な実施形態では各プレアンブルサブシンボルCが三値に符号化されており、各個別信号パルスはそれぞれ正、負または中性の符号VZを有する。他の符号化、たとえば2進符号化も可能である。
【0055】
図5bは、本発明の方法の第2の動作モードを説明するための信号線図である。第2の動作モードでは、データパケットDPで伝送されるプレアンブルPREの信号識別能力を高めるために、個別信号パルスではなく信号パルスシーケンスSIFがプレアンブルシンボルSの符号化のために伝送される。ここで第1の動作モードで伝送される個別信号パルスは何回も繰り返して伝送される。第2の動作モードでは各プレアンブルサブシンボルCが、順次連続し位相が同じである所定数Nの個別信号パルスを有する。
図5bに示された例で信号パルスシーケンスSIFは順次連続する4つの個別信号パルス(N=4)を有する。4つのパルスからなる信号パルスシーケンスSIFには信号休止SPが後に続く。可能な変形実施形態では、信号休止SPは第2の拡散係数L2だけ信号パルスシーケンスの時間よりも長い。拡散係数L2は、第1の動作モードで使用された拡散係数L1と同じでよい。第2の拡散係数L2が、たとえば
図5bの実施例のように16であれば、信号パルスシーケンスSIFには4×15=60のゼロ値を含む信号休止SPが続く。そして次のコードチップCit1またはプレアンブルサブシンボルの次の信号パルスシーケンスSIFが続く。これは
図5bに示す例では負の符号を有する順次連続する4つの信号パルスからなる信号パルスシーケンスSIFである。
【0056】
択一的な実施形態では、信号休止SPの時間は、第1の動作モードでのプレアンブルサブシンボルCまたはチップコードの持続時間から信号パルスシーケンスSIFの持続時間を減じた持続時間に相当する。この実施形態は、コードチップCiまたはプレアンブルサブシンボルの持続時間が両方の動作モードで同じ長さであるという利点を提供する。その点で、他の択一的実施形態と比較してプレアンブルサブシンボルの長さが短いので待ち時間が改善される。マルチパス信号伝播による障害に対する耐性は、とくに
図5bに示した実施形態では信号休止SPの長さが長く、これと結び付いてプレアンブルサブシンボルC間のシンボル間干渉ISIが小さいので比較的に高くなっている。
【0057】
したがって
図5bに示した第2の動作モードでは、プレアンブルPRE内で個別信号パルスではなく信号パルスシーケンスSIFが伝送される。この信号パルスシーケンスSIFには比較的長い信号休止SPが続く。この信号休止SPは
図5bに示した実施形態では信号パルスシーケンスSIFのパルスの数に相応して延長される。
図5bに示した変形実施形態では、平均照射エネルギーは変化せず、エネルギー収支は一定のままである。
【0058】
本発明の方法では第2の動作モードで、プレアンブルPREのプレアンブルシンボルSが
図5bに示す変形実施形態では延長される。これにより識別能力が、データパケットDPの反復を回避できるほどに改善または向上される。好ましくはプレアンブルシンボルSの変形は時間およびエネルギーに関しては中性であるが、好ましいことにはデータパケット損失率DPVRは格段に低下される。
【0059】
本発明の方法で好ましくはパルス波形は、スペクトルパルス応答の極性から位相が一義的に定められるように選択される。たとえばパルス波形として、ガウスパルス波形、ガウスダブレットパルス波形、またはルートライズドコサインパルス波形が選択される。
【0060】
可能な実施形態では、受信装置3で受信されたシンボルの符号VZが二乗の前に求められ、この求められた符号VZがプレアンブル識別のために使用される。この変形実施形態では、プレアンブルシンボルSの識別のための識別能力がさらに改善または向上される。本実施形態ではそのために、
図2に示した受信装置3でHF段6の後方に符号識別回路が設けられている。この符号識別回路は信号パルスの符号VZを求め、求められた符号をAD変換段9の後方にビットまたは符号ビットとして再び挿入する。
【0061】
図4bは、本発明の方法で使用されるデータパケットDPの詳細を示す。データ部分はバースト位置変調(BPM)により変調することができる。ここでは非常に短くエネルギーの高いパルスシーケンスを送信することができ、これに長い休止が続く。伝送された情報は、シンボルに対する時間内のパルスバースト位置により変調される。すなわち前半分か後半分かで変調される。ここでは常に半分の前4分の1だけが使用される。すなわち各シンボル時間の最初の4分の1と第3の4分の1が使用される。各半分の第2の4分の1は、シンボル間干渉を低減するために安全間隔またはガードインターバルGIとして設けられる。したがってシンボルインターバルは
図4bに示すデータ構造を有する。シンボルインターバルは長さT
BPPMを有する2つの半分からなり、両半分にはそれぞれ第2の半分がガードインターバルGIとして空けられている。残った2つの4分の1は長さt
burstの複数のオン・ホッピング位置に分割される。各データビットごとに、組織畳み込み復号器のチェックサムを含む第2のビットがパルスバーストの個々のパルスの位相に符号化される。
【0062】
図6は、制御ネットワークのネットワークノード1間でデータパケットDPを伝送するための本発明の方法におけるデータパケット損失率DPVRの低減を説明するための線図である。SN比SNRが上昇し、データパケット損失率DPVRが低下することが
図6から分かる。さらにデータパケット損失率DPVRは、プレアンブルバースト長PBLの増大とともに低下する。
【0063】
曲線Iは、個別に伝送された個別信号パルス(N=1)の位相により符号化されるプレアンブルサブシンボルCについてのデータパケット損失率DPVRを示す。したがって曲線Iは、制御ネットワークのネットワークノード1間でデータパケットDPを無線伝送する本発明の方法の第1の動作モードにおける特性を示す。
【0064】
曲線IIは、信号パルスシーケンスSIFの順次連続するN=2の信号パルスにおける第2の動作モードでのデータパケット損失率DPVRの特性を示す。信号パルスシーケンスSIF内の信号パルスの数が第2の動作モードでN=4であれば、
図6の曲線IIIの特性が生じる。
【0065】
図6から分かるように、信号パルスが4つ順次連続すれば(N=4)、データパケット損失率DPVRはほぼゼロに低下する。このことによりSN比=−15dBであってもほぼ100%の同期化が達成される。
【0066】
加えて符号識別を行うと、
図7に示されるようなSN比に依存するデータパケット損失率DPVRの経過が得られる。
図7から、プレアンブルコードの符号識別を行うことにより、符号識別を行わない受信器と比較して9dBもSN比が悪くても同じデータパケット損失率DPVRが達成されることが分かる。
図7の曲線Iは符号識別を行わない場合を示し、曲線IIは符号識別を行う受信装置の場合の経過を示す。