特許第6042425号(P6042425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6042425肺傷害、喘息、アナフィラキシー、血管性浮腫、全身性血管透過性症候群および鼻閉を処置するためのペプチド組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042425
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】肺傷害、喘息、アナフィラキシー、血管性浮腫、全身性血管透過性症候群および鼻閉を処置するためのペプチド組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/705 20060101AFI20161206BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20161206BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 47/48 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C07K14/705ZNA
   C07K7/08
   C07K7/06
   A61K37/02
   A61K47/48
   A61P11/00
   A61P11/06
   A61P7/10
   A61P37/08
   A61P11/02
【請求項の数】27
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-515930(P2014-515930)
(86)(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公表番号】特表2014-518211(P2014-518211A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】US2012042118
(87)【国際公開番号】WO2012174028
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年4月21日
(31)【優先権主張番号】61/496,409
(32)【優先日】2011年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503060525
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ イリノイ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】コマロバ, ユリア エー.
(72)【発明者】
【氏名】サキブ, ウズマ
(72)【発明者】
【氏名】ボーゲル, スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アスラー ビー.
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0190691(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0317773(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0111754(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/072843(WO,A1)
【文献】 LolC/E family lipoprotein releasing system, transmembrane protein [Rhodopirellula baltica WH47],NCBI Protein database [オンライン],2011年 4月 6日,ACCESSION EGF28231, [検索日 2016.02.16],インターネット: <URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/327541710/>
【文献】 ITPR3 protein, partial [Homo sapiens],NCBI protein database,2007年 7月25日,ACCESSION AAI46647, [検索日 2016.02.16],インターネット: <URL:http://http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/AAI46647.1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/705
C07K 7/06
C07K 7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1および配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる単離されたペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドが担体ペプチドに連結されている、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記担体ペプチドがアンテナペディアペプチド(AP)である、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドがミリストイル化されている、請求項3に記載のペプチド。
【請求項5】
薬学的に許容され得る賦形剤および請求項1に記載のペプチドを含む薬学的製剤。
【請求項6】
肺傷害を処置するための組成物であって、請求項1に記載のペプチドを含む組成物。
【請求項7】
前記肺傷害が水腫である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記肺傷害が炎症媒介性血管漏出である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記肺傷害が喘息である、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記喘息がアレルギー性喘息である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記喘息が慢性または急性である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
全身性血管透過性症候群を処置するための組成物であって、請求項1に記載のペプチドを含む組成物。
【請求項13】
前記全身性血管透過性症候群が内毒血症による、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記全身性血管透過性症候群が外傷による、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記全身性血管透過性症候群が複数回の輸注による、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記全身性血管透過性症候群が薬物処置の副作用として発生する、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記薬物処置が、癌を処置するためのIL−2の全身性使用である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
血管性浮腫を処置するための組成物であって、請求項1に記載のペプチドを含む組成物。
【請求項19】
前記血管性浮腫が、アレルゲン誘導性血管性浮腫および非アレルゲン誘導性血管性浮腫からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記アレルゲン誘導性血管性浮腫が喉頭血管性浮腫である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記喉頭血管性浮腫が食物アレルギーまたはハチ類刺傷毒注入の後に起こる、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記非アレルゲン誘導性血管性浮腫が補体因子1インヒビター欠乏誘導性または画像化造影色素誘導性血管性浮腫である、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
アナフィラキシーを処置するための組成物であって、請求項1に記載のペプチドを含む組成物。
【請求項24】
前記アナフィラキシーが、アレルゲン誘導性反応および非アレルギー性アナフィラキシー様反応からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記非アレルギー性アナフィラキシー様反応が造影色素による、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
アレルギー性鼻炎または非アレルギー性鼻炎に関連した鼻閉を処置するための組成物であって、請求項1に記載のペプチドを含む組成物。
【請求項27】
前記鼻閉が刺激物に関連するものであるかまたは呼吸器系ウイルスに関連するものである、請求項26に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、炎症媒介性血管漏出および浮腫の発生を始めとする肺傷害を処置するためのペプチドに関する。本発明はまた、このペプチドを用いて、喘息、アナフィラキシー、血管性浮腫、全身性血管透過性症候群、および鼻閉(nasal congestion)を処置することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
微小管(MT)細胞骨格は、内皮バリア制御の重要なコントロールポイントを提供する;しかしながら、この鍵となる細胞骨格要素の役割は十分には研究されていない。MT安定化薬のタキソールは、マウスモデルにおいて肺傷害を軽減することが示されており、そのことは、MTが、肺血管透過性の増加を媒介することにおいて重要である可能性があることを示唆している。しかしながら、タキソールは、一般的毒性を示し、そのことにより、医師および彼らの患者にとって不都合な薬物となっている。
【0003】
微小管末端結合タンパク質は、伸長中の微小管(MT)に結合し、かつMT崩壊事象を抑制する、高度に保存された、微小管プラス端トラッキングアクセサリー因子(plus−end tracking accessory factor)である。2つのそのような末端結合タンパク質である、EB1およびEB3は、内皮バリアの透過性の主要な決定要因である、内皮細胞骨格の動態および細胞形状変化を制御することに役割を果たす。
【0004】
Ca2+は、内皮透過性および血管恒常性を制御する、非常に万能のセカンドメッセンジャーである。PAR−1活性化の下流のホスホリパーゼCβ(PLCβ)の活性化は、ホスファチジル(phosphotidyl)イノシトール二リン酸(PIP2)のイノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)への加水分解を媒介する。IP3は、IP3感受性細胞内ストア、すなわち小胞体(ER)からのCa2+放出を刺激する。ERストアからのCa2+の枯渇は、ER膜上のIP3Rの活性化によって媒介され、細胞内Ca2+の一過性増加をもたらす。Ca2+移入または「流入」は、Ca2+およびMg2+を含む様々な陽イオンに対して透過性である一過性受容器電位カノニカル(transient receptor potential canonical;TRPC)チャネルによって媒介される。TRPC1およびTRPC4は、ERからの枯渇によって活性化される、内皮肺微小血管細胞におけるストア作動性Ca2+チャネル(store−operated Ca2+ channel;SOC)である。
【0005】
Ca2+の細胞内濃度の増加は、プロテインキナーゼCα(PKCα)の活性を上方制御する。PKCαは、マルチメディエータに対する内皮透過性応答の重要な制御因子である(2)。PKCαは、p120−カテニンをリン酸化し、それのVE−カドヘリンからの解離を媒介し、それにしたがって、VE−カドヘリン内部移行を生じる。PKCαはまた、p115RhoGEFおよびGDI−1をリン酸化することによってRhoA活性化の上流で働く。次に、RhoAは、Rhoキナーゼ(ROCK)を活性化することによってミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)のリン酸化誘導性阻害を促進する。MLCPの阻害は、MLCKのCa2+/カルモジュリン依存性活性化を伴い、その活性化は、MLCのリン酸化をもたらし、トロンビンおよびヒスタミンなどの炎症促進性メディエーターに応答したアクトミオシン収縮を誘導する。
【0006】
MT細胞骨格の完全性は、ERストアからのIP3誘導性Ca2+放出に必要とされる。MT不安定化剤またはMT安定化剤ノコダゾール、コルヒチン、およびタキソールによるMT動態の変化は、Ca2+のIP3ゲート化放出を阻害し、MT動態が、IP3Rの完全活性化に必要とされることを示唆している。MT細胞骨格は、ERのリモデリングに関与し、したがって、外部刺激に応答したCa2+波の組織化および伝播を確実にする。ERは、EB1およびEB3と間質相互作用分子1(STIM1)との直接的相互作用を通して、MT伸長末端に付着し、一緒に伸びる。HeLa(HeLa細胞はEB3を発現しない)におけるEB1の枯渇は、ER突出事象を減少させるが、タプシガルギン(thapsigargin)によるSOCの活性化を阻害せず、このことは、上皮細胞におけるSOCの活性化およびカルシウムシグナル伝達の伝播に何らかの他の機構が関与していることを示唆する。内皮細胞において、カベオラにおけるIP3Rの局在化は、ER Ca2+ストア枯渇およびSOC活性化の両方にとって重要な意味をもつ。これは、IP3Rの活性化および/またはそれのIP3に対する応答性が、カルシウムシグナル伝達の重要な要素であることを示す。MT細胞骨格は、IP3に応答してIP3R活性化を正に制御し、したがって、細胞中に細胞外シグナルを伝達し、生理的応答を誘発すると提唱される。
【0007】
米国における支持療法の進歩にも関わらず、敗血症の間の好中球浸潤およびサイトカインと炎症促進性メディエーターの放出に関連した複合性炎症応答である、急性肺傷害(ALI)により毎年約100,000人の患者が死亡している。その疾患の特性である、肺血管の透過性亢進は、肺水腫の形成をもたらす。内皮バリアの機能障害を予防または処置するための新規の治療が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本明細書に、単離されたペプチドが提供されている。そのペプチドは、KFARLWTEIPTAIT(配列番号1)、FTEIPTI(配列番号3)、それらの断片、またはそれらのバリアントを含んでもよい。そのペプチドはまた、KFARLWTEIPTAIT(配列番号1)、FTEIPTI(配列番号3)、それらの断片、またはそれらのバリアントからなってもよい。バリアントは、保存的置換を含んでもよい。バリアントは、最小EB結合コンセンサスモチーフ配列である、Ser/Thr−x−Ile−Pro配列を含有する任意のペプチド配列を含んでもよい。そのペプチドは、ミリストイル化されてもよいし、または担体ペプチドに連結されてもよい。担体ペプチドは、アンテナペディアペプチド(AP)であってもよい。ペプチドは、薬学的製剤の一部であってもよく、その製剤は、薬学的に許容され得る賦形剤を含んでもよい。
【0009】
肺傷害を処置する方法もまた本明細書で提供されており、その方法は、そのペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に、投与することを含み得る。肺傷害は、水腫、炎症媒介性血管漏出、または喘息であってもよく、喘息はアレルギー性喘息であってもよい。アレルギー性喘息は、慢性でも急性でもよい。
【0010】
全身性血管透過性症候群を処置する方法もまた本明細書で提供されており、その方法は、そのペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に、投与することを含み得る。その症候群は、内毒血症、外傷、または複数回の輸注(multiple transfusion)によるものであってもよい。その症候群はまた、薬物処置の副作用として発生したものであってもよく、その薬物処置は、癌を処置するためのIL−2の全身性使用であってもよい。
【0011】
血管性浮腫を処置する方法が本明細書で提供されており、その方法は、そのペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含み得る。血管性浮腫は、アレルゲン誘導性血管性浮腫でも非アレルゲン誘導性血管性浮腫でもよい。アレルゲン誘導性血管性浮腫は、喉頭血管性浮腫であってもよく、それは、食物アレルギーまたはハチ類(hymenopteran)刺傷毒注入の結果として起こってもよい。非アレルゲン誘導性血管性浮腫は、補体因子1インヒビター欠乏誘導性または画像化造影色素(imaging contrast dye)誘導性の血管性浮腫であってもよい。
【0012】
アナフィラキシーを処置する方法もまた本明細書で提供されており、その方法は、そのペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含み得る。アナフィラキシーは、アレルゲン誘導性反応でも非アレルギー性アナフィラキシー様反応でもよい。非アレルギー性アナフィラキシー様反応は、造影色素によるものであってもよい。
【0013】
全身性血管透過性を処置する方法が本明細書で提供されており、その方法は、そのペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含み得る。全身性血管透過性は、内毒血症に関連してもよい。
【0014】
鼻閉を処置する方法もまた本明細書で提供されており、その方法は、そのペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含み得る。鼻閉は、アレルギー性鼻炎または非アレルギー性鼻炎に関連してもよい。鼻閉は、刺激物に関連するものであってもよく、または呼吸器系ウイルスに関連するものであってもよい。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
KFARLWTEIPTAIT(配列番号1)、FTEIPTI(配列番号3)、それらの断片、およびそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる単離されたペプチド。
(項目2)
前記ペプチドが担体ペプチドに連結されている、項目1に記載のペプチド。
(項目3)
前記担体ペプチドがアンテナペディアペプチド(AP)である、項目2に記載のペプチド。
(項目4)
前記ペプチドがミリストイル化されている、項目3に記載のペプチド。
(項目5)
薬学的に許容され得る賦形剤および項目1に記載のペプチドを含む薬学的製剤。
(項目6)
肺傷害を処置する方法であって、項目1に記載のペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
(項目7)
前記肺傷害が水腫である、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記肺傷害が炎症媒介性血管漏出である、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記肺傷害が喘息である、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記喘息がアレルギー性喘息である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記喘息が慢性または急性である、項目10に記載の方法。
(項目12)
全身性血管透過性症候群を処置する方法であって、項目1に記載のペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
(項目13)
前記全身性血管透過性症候群が内毒血症による、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記全身性血管透過性症候群が外傷による、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記全身性血管透過性が複数回の輸注による、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記全身性血管透過性症候群が薬物処置の副作用として発生する、項目12に記載の方法。
(項目17)
前記薬物処置が、癌を処置するためのIL−2の全身性使用である、項目16に記載の方法。
(項目18)
血管性浮腫を処置する方法であって、項目1に記載のペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
(項目19)
前記血管性浮腫が、アレルゲン誘導性血管性浮腫および非アレルゲン誘導性血管性浮腫からなる群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記アレルゲン誘導性血管性浮腫が喉頭血管性浮腫である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記喉頭血管性浮腫が食物アレルギーまたはハチ類刺傷毒注入の後に起こる、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記非アレルゲン誘導性血管性浮腫が補体因子1インヒビター欠乏誘導性または画像化造影色素誘導性血管性浮腫である、項目19に記載の方法。
(項目23)
アナフィラキシーを処置する方法であって、項目1に記載のペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
(項目24)
前記アナフィラキシーが、アレルゲン誘導性反応および非アレルギー性アナフィラキシー様反応からなる群から選択される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記非アレルギー性アナフィラキシー様反応が造影色素による、項目24に記載の方法。
(項目26)
アレルギー性鼻炎または非アレルギー性鼻炎に関連した鼻閉を処置する方法であって、項目1に記載のペプチドを含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
(項目27)
前記鼻閉が刺激物に関連するものであるかまたは呼吸器系ウイルスに関連するものである、項目26に記載の方法。
(項目28)
配列番号1、配列番号3、それらの断片、およびそれらのバリアントからなる群から選択される配列を含む単離されたペプチド。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、EB3の枯渇が、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)−1の活性化に応答してのストアからのCa2+放出を阻害することを示す。A.EB1、EB3、およびルシフェラーゼのいずれかに対するshRNAを発現するHMVECに、Fura 2−AMをローディング(load)し、細胞外Ca2+の非存在下(−[Ca2+)および存在下(1.5mM[Ca2+)でトロンビン(50nM)での細胞の刺激後、340(Ca2+結合型)Fura/380(遊離Fura)比を計算した。矢印、トロンビン添加の時点。EB3の欠失が、細胞内Ca2+濃度の増加を著しく低下させたことに注目されたい。B.プロットは、基礎値に対する最大増加として計算されたトロンビン誘導性のCa2+の放出および移入についての平均±SDを示す。増加は、同じカバーガラスからの対照の非トランスフェクション細胞に対して正規化されている(n=9)。
図2図2は、肺の炎症の関連におけるEB3のIP3R3およびTRPC1との相互作用を示す。WTマウスおよびTLR4 KOマウスは、内毒素リポ多糖(LPS)(グラム陰性細菌の外膜の成分)の単回の腹腔内注射(i.p.)を受け、そのLPSは、10mg/体重kgで哺乳動物において強い免疫応答を誘発する。肺を、示された時点において単離した。EB3を全肺ホモジネートから免疫沈降した。生じた沈殿物を、TRPC1、IP、およびEB3についてプローブ(probe)した。TLR4(LPS受容体)の欠失はEB3のTRPC1との相互作用を変化させることに注目されたい。それはまた、IPへの結合の増加を阻止する。TLR4−/−肺におけるEB3のIPへの結合は、WTに匹敵することに注目されたい。データは、2つの独立した実験を代表する。
図3図3は、EB結合モチーフ(赤色で強調)を有するヒトIP受容体(IP3R 3型のアミノ酸794〜814)のアラインメントを示す。IPペプチド(配列番号1)は下部に緑色で示されている。
図4図4は、EB3構造のリボン表示(マゼンタ色)およびEB3の疎水性結合グルーブ(hydrophobic binding groove)へドッキングされたIP3R3由来ペプチド(配列番号1)(緑色の球と棒)を示す;180°回転が示されている。IP3R3誘導体ペプチドを、Discovery Studio 3.0ソフトウェアと共にZ−Dockプログラムを用いてドッキングさせた。そのペプチドとEB3との間の結合エネルギーは、−68.882kcal/molであると計算された。
図5図5は、IPペプチド(配列番号1)が、PAR−1活性化に応答してのERからのCa2+放出を阻害することを示す。A.AP付着IPペプチドまたは対照(AP)ペプチドで前処理されたHMVECに、Fura 2−AMをローディングし、細胞外Ca2+の非存在下および存在下で、トロンビン(50nM)での細胞の刺激後、340/380比を計算した。矢印、トロンビン添加の時点。B.プロットは、基礎値に対する最大増加として計算されたトロンビン誘導性のCa2+の放出および移入についての平均±SDを示す。増加は、同じ実験からの対照の未処理細胞に対して正規化されている(n=4)。
図6図6は、IPペプチド(配列番号1)が、エクスビボ肺調製物において、EB3とIPとの間の相互作用を阻害することを示す。単離された肺は、20分間の平衡灌流、その後、10μM AP−IPペプチドでの30分間の灌流を受けた。その5分後において、30μM PAR−1アゴニストペプチドTFLLRN−NH2(PAR−1 a.p.)を20分間、注入した(群IP+PAR−1)。別の群に、30μM PAR−1アゴニストペプチドだけを注入した(群PAR−1)。その後、肺を用いて肺ホモジネートを調製し、それを用いて、IPペプチドのEB3/IP相互作用への効果を決定した。EB3を、特異的抗体で免疫沈降し、生じた沈殿物を、EB3およびIPについてプローブした。PAR−1受容体の活性化は、EB3/IP相互作用を基礎レベル(対照群)と比較して有意に増加させたが(群PAR−1)、多量(profusion)のIPペプチドは、活性化された肺微小血管系においてこの相互作用を阻害することに注目されたい。
図7図7は、IPペプチド(配列番号1)が、PAR−1活性化に応答しての肺血管透過性(Kf,c、微小血管濾過係数)の増加を緩和することを示す。エクスビボ肺調製物は、20分間の平衡灌流、その後、10μM AP−IPペプチドでの30分間の灌流を受けた。その5分後において、30μM PAR−1アゴニストペプチドTFLLRN−NH2(PAR−1 a.p.)を、Kf,c測定前に20分間、注入した。1群あたりn=3〜5。バー±SD、ANOVAによりp<0.05。AP−IPで灌流された肺においてPAR−1活性化に応答した血管透過性の有意な変化はないことに注目されたい。
図8図8は、LPS誘導性炎症の関連において、IPペプチド(配列番号1)が、肺における好中球の浸潤を緩和することを示す。マウスは、LPS(30mg/体重kg;大腸菌LPS 0111:B4;LD50用量)の単回腹腔内注射を受け、2時間目および6時間目に、分析のために用いられた。肺をPBSで灌流し、重量を計り、凍結し、肺における肺好中球(PMN)の尺度である、肺ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定するために用いた。n=6マウス/群。
図9図9は、IPペプチド(配列番号1)がLPS誘導性敗血症における死亡を防ぐことを示す。LPS注射前にIPペプチドで処理されたマウスは、LD50(30mg/kg LPS、A)でチャレンジ(challenge)した対照マウスおよびLD90(50mg/kg LPS、B)でチャレンジした対照マウスにおける死亡率の低下を示した。(n=11〜15マウス/群、ANOVAにより対照処理(AP対照)に対してAP−IPがp<0.001)。マウスを、IPの後眼窩静脈内注射の前に、ケタミン、10mg/ml;キシラジン、0.25mg/ml、およびアセプロマジン、0.25mg/mlの混合物で麻酔した。
図10図10は、IPペプチド(配列番号1)が多微生物性敗血症における死亡を防ぐことを示す。IPペプチドで処理されたマウスは、CLP後の120時間の期間における死亡率の低下が認められる。6〜8週齢のCD−1マウスに、CLP手術の30分前、ならびに24時間後および48時間後に、IPペプチド(1μM/体重kg)を静脈内注射した。盲腸をそれの中間点で結紮し、盲腸内容物を、遠位部分の方へ優しく押した。16ゲージの針を用いて、盲腸を、盲腸の結紮部と先端との中間で、腸間膜から対腸間膜の方向(mesentric−to−anti−mesentric direction)へ穿刺した。腸間膜側および対腸間膜側の両方の貫通穴から少量の糞が押し出された。偽手術(sham)対照において、開腹手術のみを実施した。マウスを麻酔した。生存は、対照よりIPペプチド群において有意により高かった(n=10マウス/群)。死亡率の差を、ログランク検定によって評価した(p<0.05)。
図11図11は、マウス生存におけるIPペプチドの用量反応を示す。示された用量のIPペプチドで処理されたCD−1マウスに、LD80用量(50mg/kg LPS)でのLPSを腹腔内注射し、5日間、モニターした。生存率(%)を、対数スケールのペプチド用量に対してプロットした。S字形用量反応曲線をデータ点に当てはめた。n=10マウス/群。マウスを、ペプチドの後眼窩注射前に、麻酔導入チャンバー内の室内空気中2.5%イソフルランで麻酔した。同軸チューブを有する特別に設計された齧歯類フェイスマスク(Harvard Apparatus、AH 72−3026)を用いて、静脈内注射中、麻酔を維持した。
図12図12は、EBIN(配列番号3)(緑色の棒)およびIPペプチド(黄色の棒)(配列番号1)との複合体におけるEB3のリボン表示(マゼンタ色)を示す。計算された結合エネルギーは、IPRおよびEBINについて、それぞれ、−68.882および−60.251である。
図13図13は、EBIN(配列番号3)がIP3R3とEB3との間の相互作用を阻害することを示す。1μMのAP−EBINまたは対照ペプチド(AP)で前処理されたHPAECを、50nMのトロンビンでチャレンジした。EB3とIPとの間の相互作用を、トロンビン刺激後の種々の時点で分析した。EB3を特異的抗体で免疫沈降させ、生じた沈殿物を、EB3およびIPについてプローブした。EBINは、基礎において、およびトロンビン処理後において、EB3−IP相互作用を著しく低下させた。
図14図14は、Myr−EBIN(配列番号3)が、細胞内カルシウムにおけるアゴニスト誘導性増加を緩和することを示す。50nMトロンビン(A)または90μMヒスタミン(B)でのHPAEC単層の刺激後の[Ca2+]iトランジェント(transient)。平均値;n=20細胞。矢印、刺激の時点。EBIN(青色トレーサー)が、対照ペプチド(結合性喪失;FAEIPTI(配列番号4))処理細胞(赤色トレーサー)における[Ca2+]iトランジェントを著しく低下させたことに注目されたい。
図15図15は、EBIN(配列番号3)がアゴニスト誘導性内皮傍細胞透過性亢進を軽減することを示す。50nMのa−トロンビン(A)および50μMのヒスタミン(B)に応答した、HPAEC単層の経内皮電気抵抗(TER)における変化。TER値を、ベースライン抵抗に対して正規化した。Myr−EBIN(赤色プロット)は、対照ペプチドで処理された細胞(青色プロット)において観察されるような、トロンビンおよびヒスタミンに応答した細胞形状変化および傍細胞透過性亢進を阻止した。
図16図16は、EBIN(配列番号3)がアゴニスト誘導性NO産生を阻害することを示す。HPAECを、対照ペプチド(活性喪失)またはMyr−EBINで前処理し、基礎NO産生(A、L−アルギニンの添加への応答)およびアゴニスト誘導性NO産生(B、トロンビンおよびヒスタミン)を、最初の20分間の刺激の間、測定した。EBINは、基礎NOレベルに影響しなかったが、アゴニスト誘導性NOを有意に軽減した。、p<0.01および**、p<0.01。
図17図17は、EBIN(配列番号3)が、インビボでヒスタミン誘導性血管拡張を阻止することを示す。マウスにおける覚醒血圧測定 − マウスを麻酔し、動脈(頸動脈)および静脈(外頸)カテーテルの留置のために外科的に準備した。手術から1時間後、血圧を、圧力トランスデューサを用いて直接、モニターした。その後のAP−EBINペプチド(1μM/体重kg;緑色)または対照APペプチド(赤色)およびヒスタミン(10mg/体重kg)の静脈内(i.v.)注射を、頸静脈カテーテルを通して実施した;矢印は、注射の時点を示す。EBINはベースライン血圧への効果を生じなかったが、ヒスタミンに応答した血圧降下を阻止したことに注目されたい。n=6マウス/群。
図18図18は、EBIN(配列番号3)がLPS誘導性敗血症による死亡を防止することを示す。EBINで処理されたマウスは、LD90用量(50mg/kg;大腸菌LPS 0111:B4)でのLPS注射後120時間の間、死亡率の低下が認められる。雄CD1マウスを、LD90用量のLPSの腹腔内(i.p.)注射によってチャレンジした。実験群および対照群は、1μM/kgの濃度での細胞浸透性アンテナペディアペプチド(AP)のC末端に付着したEBINまたはAP単独の後眼窩の静脈内(i.v.)注射を受けた。マウスに、LPS投与の30分前、ならびに1時間後および24時間後の3回、注射した。マウスを、後眼窩注射前に、ケタミン(10mg/ml)、キシラジン(0.25mg/ml)、およびアセプロマジン(0.25mg/ml)の混合物で麻酔した。
図19図19は、EBIN(配列番号3)での前処理および後処理の、LPS誘導性敗血症による死亡率への効果を比較する。EBINで処理されたマウスは、LD90用量(50mg/kg;大腸菌LPS 0111:B4)でのLPS注射後120時間の間、死亡率の低下が認められる。雄CD1マウスを、LD90用量のLPSの腹腔内(i.p.)注射によってチャレンジさせた。実験群および対照群は、1μM/kgの濃度で、LPSの30分前(前処理)または30分後(後処理)にMyr−EBIN、またはMyr−対照結合性喪失ペプチドの尾静脈(i.v.)注射を受けた。前処理群のマウスには、LPS投与の30分前、ならびに1時間後および24時間後の3回、注射した;処理群のマウスには、LPS投与の30分後および24時間後の2回、注射した。マウスを、後眼窩注射前に、ケタミン(10mg/ml)、キシラジン(0.25mg/ml)、およびアセプロマジン(0.25mg/ml)の混合物で麻酔した。EBINでの後処理は、生存の若干の、しかし有意ではない向上を示している。
図20図20は、EBIN(配列番号3)が、IgE媒介性アナフィラキシー反応後の皮下血管漏れを予防することを示す。マウスは、耳(A)および背中(B)においてIgE−HSAの皮内注射を受け、24時間後、エバンスブルーおよびHSA(1〜3)または食塩水(4〜5)の静脈内注射を受けた。HSAの30分前に、群1と4は食塩水、群2は対照ペプチド(結合性喪失)、群3と5はMyr−EBINの静脈内注射(1μM/kg)を受けた。HSAの注射は局所的血管漏れを生じ、それは、EBINによって有意に軽減された(群3)ことに注目されたい。C.棒プロットは、エバンスブルーの血管漏れを示している。エバンスブルーを、耳組織から抽出し、エバンスブルー濃度を、λ=620nmで測定し、組織重量に対して正規化した。、p<0.05、n=6マウス/群。
図21図21は、内皮バリアの炎症誘導性透過性亢進におけるEB3の役割を示す。EB3は、炎症中、伸長中のMT末端とIPとの一過性相互作用を確立し、IPをIPに対してより敏感にし、ストアからのCa2+放出と、SOC依存性Ca2+移入との両方を正に制御する。これは、Ca2+シグナル伝達の増幅、ならびにp120−カテニンのPKCα媒介性リン酸化およびアクトミオシン収縮性を通しての透過性の増加を生じる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本発明者らは、イノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)受容体3型(IP)のEB3相互作用ドメイン由来のペプチドが、末端結合タンパク質3(EB3)とIPとの間の相互作用を低下させ、細胞形状変化に関連した内皮透過性応答の増加を緩和するという驚くべき発見をしている。
【0017】
理論によって縛られないが、下記に示された実施例に基づけば、内皮バリアの炎症誘導性透過性亢進におけるEB3の役割は、伸長中のMT末端とIPとの一過性相互作用を確立するその能力を中心とする。結果として、EB3は、IPをIP3に対してより敏感にし、小胞体(ER)からのCa2+放出を正に制御する。これは、SOC依存性Ca2+移入およびCa2+シグナル伝達の増幅をもたらす。細胞質Ca2+濃度の上昇は、p120−カテニンのPKCα媒介性リン酸化を誘導し、それは、結果として、VE−カドヘリン接着の解体を生じる。それはまた、RhoA依存性アクトミオシン収縮性を促進し、結果として、細胞形状変化を生じる。図21参照。
【0018】
下記の方法および材料は、細胞形状変化に関連した内皮透過性応答の増加を緩和し、したがって、肺傷害(肺における炎症媒介性血管漏出および水腫の発生が挙げられる)または敗血症、アナフィラキシー反応、もしくは急性免疫応答に関連し得る任意の他の器官の浮腫を処置するのに有用である。この方法および材料はまた、慢性炎症、癌、喘息、およびアテローム発生(artherogenesis)などの病理過程中の慢性血管漏れを軽減するために用いられてもよい。
【0019】
1.定義
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(and)」、および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに指示していない限り、複数の言及を含む。
【0020】
本明細書における数の範囲の記載について、同じ精度(degree of precision)のその間に介在するそれぞれの数が明確に企図される。例えば、6〜9の範囲について、7および8の数が、6および9に加えて企図され、範囲6.0〜7.0について、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数が明確に企図される。
【0021】
a.断片
本明細書で用いられる場合、「断片」は、参照のペプチドまたはポリペプチドまたは核酸の配列の一部を意味し得る。
【0022】
b.同一の
2つまたはそれより多くのポリペプチド配列またはヌクレオチド配列の関連において、本明細書で用いられる場合の「同一の」または「同一性」とは、それらの配列が、特定された領域にわたって同じである、特定されたパーセンテージの残基またはヌクレオチドを有することを意味し得る。パーセンテージは、2つの配列を最適に整列させ、特定された領域にわたって2つの配列を比較し、両方の配列において同一の残基が存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得、その一致した位置の数を、特定された領域における位置の総数で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算され得る。2つの配列が異なる長さのものであるか、またはアラインメントが1つもしくはより多くの互い違いの末端を生じ、かつ特定された比較領域が単一の配列のみを含む場合、単一の配列の残基は、計算の分母に含まれるが、分子には含まれない。
【0023】
c.ペプチド
本明細書で用いられる場合、「ペプチド」または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結した配列を指し得、天然のもの、合成のもの、または天然のものおよび合成のものの改変物もしくは組み合わせであってもよい。
【0024】
d.実質的に同一
本明細書で用いられる場合、「実質的に同一」とは、第1および第2のタンパク質配列またはヌクレオチド配列が、6〜100個またはそれより多くのアミノ酸またはヌクレオチド(amino acids nucleotides)の領域にわたって、少なくとも50%〜99%同一であることを意味し得る。
【0025】
e.処置
「処置すること(treating)」、「処置」、または「処置すること(to treat)」それぞれは、一時的に、または永久的に、状態または障害の症状、臨床徴候、または根底にある病態の出現を軽減し、抑制し、抑圧し、除去し、予防し、または遅くすることを意味し得る。状態または障害を予防することは、その疾患の発症前に被験体に本発明の作用物質を投与することを含む。状態または障害を抑制することは、その状態または障害の誘導後、しかしそれの臨床的出現の前に、被験体に本発明の作用物質を投与することを含む。状態または障害を抑圧することは、その疾患の臨床的出現後、被験体に本発明の作用物質を投与することを含む。
【0026】
f.バリアント
「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物活性を保持する、ペプチドまたはポリペプチドを意味し得る。「生物活性」の代表的な例としては、末端結合タンパク質、Toll様受容体(TLR)に結合する能力、および特異的抗体によって結合される能力が挙げられる。バリアントはまた、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を含む、参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味してもよい。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似した性質(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)の異なるアミノ酸と置き換えることは、典型的には、マイナーな変化を含むと当該技術分野において認識されている。これらのマイナーな変化は、当該技術分野において理解されているように、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮することによって、ある程度、同定することができる。Kyteら、J.Mol.Biol.157:105〜132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指標は、それの疎水性および電荷の考慮に基づいている。類似した疎水性親水性指標のアミノ酸が置換されてもなおタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野において知られている。1つの態様において、±2の疎水性親水性指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性もまた、生物学的機能を保持するタンパク質を生じる置換を明らかにするために用いることができる。ペプチドの関連におけるアミノ酸の親水性の考慮は、そのペプチドの最大の局所平均親水性の計算を可能にし、その計算は、抗原性および免疫原性とよく相関することが報告されている有用な尺度である。参考として本明細書に完全に援用されている米国特許第4,554,101号。当該技術分野において理解されているように、類似した親水性値を有するアミノ酸の置換は、生物活性、例えば、免疫原性を保持するペプチドを生じ得る。置換は、お互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸に関して実施され得る。アミノ酸の疎水性(hyrophobicity)指標および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その観察と一致して、生物学的機能に適合するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の性質によって明らかにされるような、アミノ酸(特にそれらのアミノ酸の側鎖)の相対的類似性に依存すると理解されている。
【0027】
2.ペプチド
ペプチドが本明細書で提供されており、そのペプチドは、アミノ酸配列KFARLWTEIPTAIT(配列番号1)、KFARLWAEIPTAIT(配列番号2)(IPペプチドとも本明細書で呼ばれている)、FTEIPTI(配列番号3)(末端結合阻害ペプチドまたは「EBIN」とも本明細書で呼ばれている)、本明細書の表3に開示されたペプチド、それらの断片、またはそれらのバリアントを含み得る。バリアントは、保存的置換を含んでもよい。ペプチドは、IPのEB結合コンセンサス配列などのEB結合コンセンサスモチーフ配列またはその断片を含み得る。IPのEB結合コンセンサス配列は、Ser/Thr−x−Ile−Proであり得る。ペプチドは、KFARLWTEIPTAIT(配列番号1)、KFARLWAEIPTAIT(配列番号2)、FTEIPTI(配列番号3)、Ser/Thr−x−Ile−Proを含むコンセンサス配列、本明細書の表3に開示されたペプチド、前述のものの断片、または前述のものの保存的バリアントからなり得る。バリアントは、最小EB結合コンセンサスモチーフ配列である、Ser/Thr−x−Ile−Pro配列を含有する任意のペプチド配列を含み得る。
【0028】
ペプチドは、コンジュゲートされてもよいし、ミリストイル化されてもよいし、または担体ペプチドなどの別のペプチドに連結されてもよい。ペプチドはアンテナペディアペプチドであってもよい。
【0029】
3.処置の方法
肺傷害を処置する方法が本明細書で提供されている。肺傷害は肺炎症であってもよく、それは、炎症媒介性血管漏出および/または水腫の発生であってもよい。肺傷害は、急性肺傷害であってもよい。肺傷害はまた、喘息を有する患者において観察されるような慢性血管漏れであってもよい。処置は、慢性血管漏れを軽減し得る。肺傷害は、内毒血症においてなどの、全身性血管透過性を含む、肺における血管の透過性亢進であってもよい。肺傷害は、敗血症、炎症、重症の多発外傷、唾液/胃内容吸引、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)、ショック、溺水、複数回の輸注、刺激物もしくは有毒フュームの吸入、アテローム発生(artherogenesis)、機械的傷害(人工呼吸器誘導性傷害)、または放射線曝露に関連してもよい。喘息を処置し、ならびに/または喘息を有する患者の肺機能および全般的健康を改善する方法もまた本明細書で提供されている。喘息は、アレルギー性喘息であってもよく、それは慢性でも急性でもよい。
【0030】
アレルゲン誘導性アナフィラキシーなどのアナフィラキシー、および造影色素に対するなどの非アレルギー性アナフィラキシー様反応を処置する方法もまた本明細書で提供されている。食物アレルギーまたはハチ類刺傷毒注入の結果として起こり得る喉頭浮腫などのアレルゲン誘導性血管性浮腫を含む血管性浮腫を処置する方法がさらに本明細書で提供されている。血管性浮腫はまた、補体因子1インヒビター欠乏誘導性または画像化造影色素誘導性アナフィラキシー様反応においてなどの非アレルゲン誘導性血管性浮腫であってもよい。
【0031】
全身性血管透過性症候群を処置する方法が本明細書で提供されている。その症候群は、内毒血症、外傷、または複数回の輸注によるものであってもよい。その症候群はまた、薬物処置の副作用として発生したものであってもよい。その薬物処置は、癌を処置するためのIL−2の全身性使用であってもよい。鼻閉を処置する方法もまた提供されている。その鼻閉は、アレルギー性または非アレルギー性鼻炎に関連してもよい。その鼻閉は、刺激物に関連するのであってもよく、または呼吸器系ウイルスに関連するものであってもよい。
【0032】
方法は、治療的有効量のそのペプチドを含む組成物を哺乳動物に投与することを含み得る。組成物は薬学的製剤であってもよい。そのペプチドを含む組成物は、肺傷害を処置するのに有用な1つまたはそれより多くの他のペプチド、化合物、および/または薬学的組成物と組み合わせて投与されてもよい。その1つまたはそれより多くの他のペプチド、化合物、および/または薬学的組成物は、肺傷害を処置する任意の作用物質であってもよく、それには、ニトログリセリンなどの前負荷軽減剤(preload reducer)およびフロセミド(Lasix)などの利尿剤が挙げられるが、それらに限定されない。そのような薬剤は、肺および身体の他の部分において静脈を拡張し、そのことは、心臓および肺に入る流圧を減少させる。他の1つまたはそれより多くの化合物としては、後負荷軽減剤(afterload reducer)が挙げられる。これらの薬物は、末梢血管を拡張し、圧負荷を左心室から取り除く。後負荷軽減薬剤のいくつかの例としては、ニトロプルシド(Nitropress)、エナラプリル(Vasotec)、およびカプトプリル(Capoten)が挙げられる。
【0033】
a.被験体
被験体は哺乳動物であってもよく、哺乳動物はヒトであってもよい。診断前に、被験体は、心臓の異常などの1つまたはそれより多くのリスク因子への曝露により肺傷害のリスクがあってもよい。1つまたはそれより多くのリスク因子としては、例えば、癌の家族歴を有する被験体、年齢、タバコの喫煙、アルコール飲料の飲用、および/または食事での摂取不足が挙げられ得る。被験体は、有毒フュームまたは放射線、機械的人工呼吸に曝されていてもよい。被験体は、熱傷創、炎症、重症の多発外傷、唾液/胃内容物の吸引、誤嚥性肺炎、敗血症、ショック、溺水、複数回の輸注を有してもよい。
【0034】
b.投与
本明細書に記載された方法を用いるペプチドの投与は、全身性に、経口で、非経口で、舌下に、経皮で、直腸性に、経粘膜で、局所的に、吸入で、バッカル投与で、経鼻で、またはそれらの組み合わせであってもよい。非経口投与としては、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、髄腔内、および関節内が挙げられるが、それらに限定されない。投与はまた、皮下、静脈内、気道内経由、または腫瘍内であってもよい。獣医学的用途については、ペプチドは、通常の獣医学的実践に従って、適切に許容され得る製剤として投与されてもよい。獣医師は、特定の動物に最も適切である投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。ペプチドは、ヒト患者、ネコ、イヌ、大型動物、またはトリに投与されてもよい。
【0035】
ペプチドは、単剤治療として、または他の処置と同時にもしくはメトロノームのように、投与されてもよく、その他の処置は、腫瘍の手術または除去であってもよい。本明細書で用いられる場合、用語「同時の」または「同時に」とは、ペプチドと他の処置とが、お互いに48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内、さらにより好ましくは6時間以内、最も好ましくは、3時間以下以内に投与されることを意味する。本明細書で用いられる場合、用語「メトロノームのように」とは、他方の処置とは異なる時点であって、かつ投与を繰り返すことに関して一定の頻度での、ペプチドの投与を意味する。
【0036】
ペプチドは、約120時間前、118時間前、116時間前、114時間前、112時間前、110時間前、108時間前、106時間前、104時間前、102時間前、100時間前、98時間前、96時間前、94時間前、92時間前、90時間前、88時間前、86時間前、84時間前、82時間前、80時間前、78時間前、76時間前、74時間前、72時間前、70時間前、68時間前、66時間前、64時間前、62時間前、60時間前、58時間前、56時間前、54時間前、52時間前、50時間前、48時間前、46時間前、44時間前、42時間前、40時間前、38時間前、36時間前、34時間前、32時間前、30時間前、28時間前、26時間前、24時間前、22時間前、20時間前、18時間前、16時間前、14時間前、12時間前、10時間前、8時間前、6時間前、4時間前、3時間前、2時間前、1時間前、55分前、50分前、45分前、40分前、35分前、30分前、25分前、20分前、15分前、10分前、9分前、8分前、7分前、6分前、5分前、4分前、3分前、2分前、および1分前を含む、別の処置より前の任意の時点で投与されてもよい。ペプチドは、約120時間前、118時間前、116時間前、114時間前、112時間前、110時間前、108時間前、106時間前、104時間前、102時間前、100時間前、98時間前、96時間前、94時間前、92時間前、90時間前、88時間前、86時間前、84時間前、82時間前、80時間前、78時間前、76時間前、74時間前、72時間前、70時間前、68時間前、66時間前、64時間前、62時間前、60時間前、58時間前、56時間前、54時間前、52時間前、50時間前、48時間前、46時間前、44時間前、42時間前、40時間前、38時間前、36時間前、34時間前、32時間前、30時間前、28時間前、26時間前、24時間前、22時間前、20時間前、18時間前、16時間前、14時間前、12時間前、10時間前、8時間前、6時間前、4時間前、3時間前、2時間前、1時間前、55分前、50分前、45分前、40分前、35分前、30分前、25分前、20分前、15分前、10分前、9分前、8分前、7分前、6分前、5分前、4分前、3分前、2分前、および1分前を含む、ペプチドの2回目の処置より前の任意の時点で投与されてもよい。
【0037】
ペプチドは、約1分後、2分後、3分後、4分後、5分後、6分後、7分後、8分後、9分後、10分後、15分後、20分後、25分後、30分後、35分後、40分後、45分後、50分後、55分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、14時間後、16時間後、18時間後、20時間後、22時間後、24時間後、26時間後、28時間後、30時間後、32時間後、34時間後、36時間後、38時間後、40時間後、42時間後、44時間後、46時間後、48時間後、50時間後、52時間後、54時間後、56時間後、58時間後、60時間後、62時間後、64時間後、66時間後、68時間後、70時間後、72時間後、74時間後、76時間後、78時間後、80時間後、82時間後、84時間後、86時間後、88時間後、90時間後、92時間後、94時間後、96時間後、98時間後、100時間後、102時間後、104時間後、106時間後、108時間後、110時間後、112時間後、114時間後、116時間後、118時間後、および120時間後を含む、別の処置後の任意の時点で投与されてもよい。ペプチドは、約120時間前後、118時間前後、116時間前後、114時間前後、112時間前後、110時間前後、108時間前後、106時間前後、104時間前後、102時間前後、100時間前後、98時間前後、96時間前後、94時間前後、92時間前後、90時間前後、88時間前後、86時間前後、84時間前後、82時間前後、80時間前後、78時間前後、76時間前後、74時間前後、72時間前後、70時間前後、68時間前後、66時間前後、64時間前後、62時間前後、60時間前後、58時間前後、56時間前後、54時間前後、52時間前後、50時間前後、48時間前後、46時間前後、44時間前後、42時間前後、40時間前後、38時間前後、36時間前後、34時間前後、32時間前後、30時間前後、28時間前後、26時間前後、24時間前後、22時間前後、20時間前後、18時間前後、16時間前後、14時間前後、12時間前後、10時間前後、8時間前後、6時間前後、4時間前後、3時間前後、2時間前後、1時間前後、55分前後、50分前後、45分前後、40分前後、35分前後、30分前後、25分前後、20分前後、15分前後、10分前後、9分前後、8分前後、7分前後、6分前後、5分前後、4分前後、3分前後、2分前後、および1分前後を含む、ペプチドの2回目の処置の前後(prior after)の任意の時点で投与されてもよい。
【0038】
c.製剤
方法は、ペプチドを投与することを含み得る。本明細書で提供されるペプチドは、従来の様式で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形をとってもよい。例えば、経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、および湿潤剤であり得る、従来の賦形剤を含有してもよい。結合剤としては、シロップ、アラビアゴム(accacia)、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、デンプンの粘質物、およびポリビニルピロリドンが挙げられるが、それらに限定されない。充填剤は、乳糖、糖、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、およびソルビトールであってもよい。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、およびシリカが挙げられるが、それらに限定されない。崩壊剤は、ジャガイモデンプン、およびデンプングリコール酸ナトリウムであってもよい。湿潤剤は、ラウリル硫酸ナトリウムであってもよい。錠剤は、当該技術分野においてよく知られた方法に従ってコーティングされてもよい。
【0039】
本明細書で提供されるペプチドはまた、水性または油性の懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、およびエリキシルなどの液体製剤であってもよい。ペプチドはまた、使用前に、水または他の適切な媒体での構成のための乾燥製造物として製剤化されてもよい。そのような液体調製物は、懸濁化剤、乳化剤、非水性媒体、および保存剤などの添加剤を含有してもよい。懸濁化剤は、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、ブドウ糖/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および硬化食用脂であってもよい。乳化剤は、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、およびアラビアゴムであってもよい。非水性溶媒は、食用油、アーモンドオイル、分留ヤシ油(fractionated coconut oil)、油性エステル、プロピレングリコール、およびエチルアルコールであってもよい。保存剤は、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピル、およびソルビン酸であってもよい。
【0040】
本明細書で提供されるペプチドはまた、坐剤として製剤化されてもよく、それは、カカオバターまたはグリセリドなどの坐剤基剤を含有してもよい。本明細書で提供されるペプチドはまた、吸入用に製剤化されてもよく、それは、乾燥粉末として投与され得る溶液、懸濁液、または乳濁液などの形、またはジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタンなどの噴射剤を用いるエアゾールの形をとってもよい。本明細書で提供されるペプチドはまた、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、薬用プラスター、パッチ、または膜などの水性または非水性の媒体を含む経皮製剤として製剤化されてもよい。
【0041】
本明細書で提供されるペプチドはまた、注射、腫瘍内注射、または持続注入によるなどの非経口投与用に製剤化されてもよい。注射用製剤は、油性または水性溶媒における懸濁液、溶液、または乳濁液の形をとってもよく、調合剤を含有してもよく、それには、懸濁剤、安定化剤、および分散剤が挙げられるが、それらに限定されない。ペプチドはまた、適切な溶媒での再構成のための粉末の形で提供されてもよく、その溶媒には、発熱物質を含まない滅菌水が挙げられるが、それに限定されない。
【0042】
本明細書で提供されるペプチドはまた、デポー調製物として製剤化されてもよく、それは、埋め込みにより、または筋肉内注射により投与されてもよい。ペプチドは、適切な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容され得る油中の乳濁液として)、イオン交換樹脂と共に、または難溶性誘導体として(例えば、難溶性塩として)製剤化されてもよい。
【0043】
d.投与量(dosage)
方法は、治療的有効量のペプチドを、それを必要とする患者に投与することを含み得る。治療に用いるのに必要とされる治療的有効量は、処置されることになっている状態の性質、TLR活性を活性化するために望まれる時間の長さ、および患者の年齢/状態によって異なる。しかしながら、一般的に、成人の処置に用いられる用量(dose)は、典型的には、1日あたり0.001mg/kg〜約200mg/kgの範囲である。用量は、1日あたり約0.05mg/kg〜約10g/kgであってもよい。望ましい用量は、便利には、単一用量で、または適切な間隔で投与される複数回用量として、例えば、1日あたり2回、3回、4回、またはそれより多くの部分用量として投与されてもよい。複数回用量が望まれるかまたは必要とされる場合がある。
【0044】
投与量は、約0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、175mg/kg、200mg/kg、225mg/kg、250mg/kg、275mg/kg、300mg/kg、325mg/kg、350mg/kg、375mg/kg、400mg/kg、425mg/kg、450mg/kg、475mg/kg、500mg/kg、525mg/kg、550mg/kg、575mg/kg、600mg/kg、625mg/kg、650mg/kg、675mg/kg、700mg/kg、725mg/kg、750mg/kg、775mg/kg、800mg/kg、825mg/kg、850mg/kg、875mg/kg、900mg/kg、925mg/kg、950mg/kg、975mg/kg、1g/kg、2g/kg、3g/kg、4g/kg、5g/kg、6g/kg、7g/kg、8g/kg、9g/kg、または10g/kgなどの任意の投与量であってもよい。
【0045】
4.キット
肺傷害を処置するために用いられ得るキットが本明細書で提供されている。キットは、これらのペプチドのうちの1つまたはそれより多くを含み得る。ペプチドは、薬学的組成物の一部であってもよい。キットは、キットを用いて、ペプチドまたは製剤を投与することを行うための使用説明書をさらに含んでもよい。
【0046】
キットはまた、バイアルまたは瓶などの1つまたはそれより多くの容器を含んでもよく、各容器が別々の試薬を含有する。キットは、本明細書に記載された方法をどのように実施するかまたは解釈するかを記載し得る、書面の使用説明書をさらに含んでもよい。
【0047】
本発明は、以下の非限定的実施例によって例証される、複数の態様を有する。
【実施例】
【0048】
実施例1
EB3の枯渇が、ストアからのCa2+放出を阻害する
【0049】
前の研究は、ERストアからのCa2+のIP3ゲート化放出を制御することにおけるMT細胞骨格の役割を示唆した。PAR−1シグナル伝達の下流のIP3感受性ストアからのCa2+の放出を制御するEB3の能力を試験した。PAR−1活性化に応答した、EB1に対するshRNAを発現するHMEC、EB3に対するshRNAを発現するHMEC、およびルシフェラーゼに対するshRNAを発現するHMECにおける細胞内Ca2+濃度の変化を決定した(図1)。本発明者らのベクターに基づいたsiRNA構築物をGFP−C1ベクターにクローニングしたため、本発明者らは、同じカバーガラスから非トランスフェクション細胞とトランスフェクション細胞における変化を比較することができた。EB1の枯渇は、対照の非トランスフェクション細胞またはルシフェラーゼに対するshRNAを発現する細胞と比較して、ストアからのCa2+の放出に少しの影響も有さなかった。対照的に、EB3の枯渇は、Ca2+放出の著しい阻害をもたらし、したがって、Ca2+流入の減少を生じた。EB1およびEB3の同時枯渇の影響は、EB3単独の枯渇に匹敵した(図1B)。これらのデータは、EB3がER Ca2+枯渇に必要とされることを示唆している。
【0050】
実施例2
Ca2+のIP3ゲート化放出の機構におけるEB3とIP3Rとの相互作用の役割
【0051】
活性が、ECにおけるCa2+のトロンビン誘導性放出にとって重要な意味をもつIPR 3型と、EB3は相互作用するかどうかを決定した。マウスを致死量未満の用量のLPSでチャレンジし、EB3とIPおよびTRPC1(SOC)チャネルとの関連を決定した。図2に示されているように、EB3は、休止内皮微小血管系においてIPと相互作用し、この相互作用のレベルは、LPS誘導性肺炎症中、増加する。興味深いことに、TRPC1もまた、炎症を起こしている(3時間のLPSチャレンジ)肺に沈殿するEB3内に見出された。これらの変化は、TLR4(LPS受容体)KOマウスにおいて観察されなかった。このことは、これらの相互作用と炎症との因果関係を示している。
【0052】
興味深いことに、IPは、EB結合コンセンサスモチーフであるSer/Thr−x−Ile−Pro(SxIP)を含有する。IP配列(KFARLWTEIPTAIT − 配列番号1)(図3)に基づいた短いペプチドは、−68.882kcal/molの自由エネルギー結合を有する、EB3に対する高い結合活性を示す(図4)。細胞浸透性アンテナペディアペプチド(AP)のC末端に付着したIP配列(10nM)での細胞の前処理は、トロンビンに応答したストアからのCa2+の放出を著しく減少させた(図5A)。このことは、IPとEB3との間の相互作用が、IPR活性化の機構において重要な意味をもつことを示唆している。IPRペプチドおよびタキソールの影響を、Ca2+放出の制御において比較した。トロンビン刺激前の20分間の5μg/mlのタキソールでの細胞の前処理は、IPペプチドと同じ程度で、ERからのCa2+の放出を阻害することが見出された(図5B)。
【0053】
実施例3
IPペプチドは、敗血症における炎症誘導性肺血管漏出および死亡を防止する
【0054】
血管内皮透過性を制御することにおけるEB3/IP3R相互作用の役割に取り組むために、本発明者らは、エクスビボ肺調製物を用いた。ペプチドを、PAR−1アゴニストペプチドの注入前の30分間、肺へ注入し、EB3とIPとの間の相互作用を、IPアッセイによって決定した(図6)。PAR−1の受容体の活性化は、基礎レベルと比較してEB3/IP相互作用を有意に増加させ、一方、多量(profusion)のIPペプチドは、活性化された肺微小血管系におけるこの相互作用を阻害した。結果的に、IPペプチドは、微小血管濾過係数Kf,cの変化によって測定したところ、肺血管透過性の増加を緩和した。図7は、IPペプチドが、PAR−1活性化に応答した微小血管透過性の増加を著しく軽減したことを示す。これらのデータは、EB3とIP3Rとの間の相互作用が、肺における炎症誘導性血管漏出および水腫の発生にとって重要である可能性があることを示唆している。
【0055】
最近の研究により、血管漏出が、敗血症における死亡に寄与する重要な因子であることが実証された。IPペプチドの薬理学的効果を、敗血症のLPS誘導性マウスモデルにおいて試験した。雄CD1マウスをLPS(30mg/体重kg)の腹腔内注射(i.p.)によってチャレンジし、肺炎症の尺度である、肺における好中球の浸潤を決定した。肺をPBSで灌流し、重量を計り、凍結し、活性化好中球のサインである肺ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定するために用いた。図8に示されているように、LPSチャレンジの30分前のIPペプチドでのマウスの処置は、対照ペプチドで処理された群と比較して、LPSチャレンジ後2時間目および6時間目において肺における好中球の浸潤を有意に低下させた。この観察は、IPペプチドが、LPS誘導性肺炎症および傷害を軽減したことを示唆している。結果的に、LPS投与の30分前および1時間後にIPペプチドでの処置を受けたマウスは、LD50チャレンジおよびLD80チャレンジの両方において対照群の生存率における著しい向上を示した(図9)。さらに、IPペプチドが、盲腸結紮穿孔(CLP)によって誘導される多微生物性敗血症から保護するかどうかを決定した。CLPは、急性肺傷害(ALI)を伴う致死性腹膜炎を引き起こす。それは、実験齧歯類における、よく受け入れられた(well−excepted)臨床的に関連した方法である。図10は、IPペプチドが、CLP後の動物の生存を向上させたことを示している。90%の対照マウスが最初の48時間以内に死亡したが、手術前、ならびに手術後24時間目および48時間目にIPを注射された動物は、有意により高い生存率を示した。
【0056】
これらのデータは、IPペプチド誘導体ペプチドが、肺透過性亢進を予防するために、ならびに炎症およびアテローム発生(artherogenesis)などの病理過程中に慢性血管漏れを軽減するために用いることができる可能性があることを示唆している。IPペプチドの用量応答を、敗血症のLPS誘導性マウスモデルにおいてさらに試験した。雄CD1マウスを、LD80用量でのLPSのi.p.注射によってチャレンジした。マウスは、体重の1kgあたり0.01μM、0.033μM、0.1μM、0.33μM、1.0μM、3.3μM、および10μMの用量におけるIPペプチドの後眼窩i.v.注射を受けた。マウスに、IPペプチドを、LPS投与の30分前、ならびに1時間後および24時間後の3回、注射した。各群における生存している動物のパーセントを、IP用量の関数としてプロットした。図11は、IPペプチドが対照群の生存率を向上させ、それは0.033μM/kgから始まって1μM/kgで最高効力に達したことを示している。IP用量の増加は、さらなる向上をもたらさなかったが、重要なことには、それは動物に死もまた引き起こさなかった。これらのデータは、IPペプチドが、この用量範囲内では毒性が低いことを示唆している。80nM/kgとしてのED50(有効用量、50%)を、以下の3パラメータロジスティック方程式を用いて計算した:
y=最低+(最高+最低)/1+10LogED50−x
式中、最低および最高は、応答の最低および最高である。提示されたデータは、IPが、高い効力および低い毒性を有する有望な薬物であることを示唆している。タキソールと対照的に、この薬物は、一般的な毒性を示すとは予想されない。
【0057】
EB3はERストアからのCa2+の放出を正に制御し、それによって、炎症促進性刺激に応答して内皮バリア透過性を増加させる。EB3とIPRとの間の相互作用は、Ca2+のIP3ゲート化放出の機構において重要である。IPペプチドは、肺における炎症媒介性血管漏出および水腫の発生を予防し、敗血症の2つの異なるモデルにおいてマウスの生存を著しく向上させる。
【0058】
実施例4
内皮透過性増加および肺水腫形成の機構におけるCa2+シグナル伝達のEB3制御の役割の決定
【0059】
本発明者らは、MT末端におけるEB3とERとの動力学的相互作用が、Ca2+波の伝播、および炎症促進性メディエーターに応答した内皮バリア透過性の増加に必要とされることを仮定する。
【0060】
仮説:ERからのCa2+のIP3ゲート化放出のEB3制御が、内皮透過性におけるMT依存性増加に必要とされる。本発明者らは、伸長中のMT末端におけるEB3の蓄積が、EB3とIP3Rとの一過性相互作用を促進し、(図21におけるモデルによって仮定されているように)ストアからのCa2+の放出を正に制御し、したがって、SOC依存性Ca2+移入、Ca2+依存性PKCαアイソフォームの活性化、p120−カテニンのPKCα媒介性リン酸化、およびVE−カドヘリンの内部移行を生じるという考えに取り組む。
【0061】
実施例5
持続性MT伸長およびIP3R活性化を制御することにおけるEB3の役割
【0062】
MT不安定化剤およびMT安定化剤は、IP3誘導性Ca2+放出を阻害する(11〜13)。本発明者らの予備的データは、内皮細胞におけるEB3の枯渇もまた、ストアからのCa2+のPAR−1媒介性放出を阻害するが、内皮細胞におけるEB1の枯渇はストアからのCa2+のPAR−1媒介性放出を阻害しないことを実証している。本発明者らは、EB3が、ERからのIP3誘導性Ca2+放出を、MT動態の制御を通して間接的に制御するかどうかを決定する。本発明者らは、本発明者らによって示されているように(20)、人工的EB3二量体を発現することによるEB3枯渇細胞におけるMT持続性伸長の回復がまた、ERからのCa2+のPAR−1媒介性放出を回復することができるかどうかを決定する。人工的二量体EB3−NL−LZは、既知のEBパートナーへの結合に関与するいずれのドメインも完全に欠いているため、EB3とIP3Rとの間の相互作用がIP3Rの活性化にとって重要な意味をもつならば、IP3誘導性Ca2+放出を回復させることは予想されない。したがって、本発明者らが人工的EB3二量体を発現する細胞においてIP3R活性の回復を観察するならば、本発明者らは、EB3が、ERからのアゴニスト誘導性Ca2+放出を、MT動態を介して間接的に制御すると結論づけるであろう。この実験は、HMLVECにおけるFura2−AMの340/380レシオメトリック画像化によって評価されているように、ERからのCa2+のトロンビン媒介性放出および細胞外Ca2+の流入を扱う。本発明者らの仮説の妥当性に基づいて、本発明者らは、EB3−NL−LZの発現が、ERからのCa2+のアゴニスト誘導性放出を回復しないであろうと予測する。
【0063】
実施例6
IP3Rの細胞内分布におけるEB3のIP3Rとの相互作用の役割
【0064】
本発明者らのデータを前提として、本発明者らは、EB3とIP3R 3型との相互作用が、受容体活性化の機構において重要である可能性があると提案した。IP3Rは、Ser/Thr−x−Ile−Pro(SxIP)コンセンサスモチーフを含有し(図17)、そのモチーフは、EB相互作用パートナーの特異的サインである。このモチーフの近くのSerまたはThrのリン酸化は、EB1のその既知のパートナーに対する親和性を著しく減少させる。本発明者らは、AP配列と融合した短いIP3R配列ペプチド(798〜811;KFARLWTEIPTAIT(配列番号1))がIP3RとEB3との間の相互作用を破壊するかどうか、およびそれが、Ca2+のトロンビン誘導性IP3ゲート化放出を阻害するかどうかを決定する。そのペプチドが細胞においてリン酸化され得る可能性がいくらかあるため、本発明者らは、Aviタグ付きIP3Rペプチドを発現し、そのリン酸化をオートラジオグラフィによって決定する。本発明者らが、ペプチドがリン酸化を受けることを見出したならば、本発明者らは、全ての他の研究についてもより強力であるように、最初のThrがAlaで置換されたリン酸化欠損ペプチド(リン酸化欠損ペプチド;KFARLWAEIPTAIT(配列番号2))を用いるだろう。そのペプチドのEB3への結合は、免疫共沈降およびプルダウンアッセイによって細胞において、およびインビトロで確認されるであろう。本発明者らは、このペプチドを用いて、細胞におけるEB3とIP3Rとの間の相互作用を破壊する。IP3Rペプチドが、トロンビンに応答したストアからのCa2+の放出を阻害するだろうということが、本発明者らの予想である。
【0065】
本発明者らは、EB3枯渇、またはブロッキングペプチドでのEB3とIP3Rとの間の相互作用の阻害が、IP3Rの細胞内分布を変化させるかどうかを調べる。IP3R 2型および3型は、主に、肺内皮微小血管系において発現している。IP3R 3型のカベオラへの動員が、ストアからのアゴニスト誘導性Ca2+放出に必要とされる。IP3の固有のIP3R 3型親和性が相対的に低いことを考慮すれば、IP3発生の部位に近接したその受容体の局在化は、Ca2+のIP3ゲート化放出にとって重要な意味をもつ可能性がある。したがって、本発明者らは、EB3が、IP3R3/TRPC1/TRPC4複合体の形成を通してER膜のカベオラへのテザリングを制御するかどうかを試験する。本発明者らは、トロンビン刺激の時間経過において、免疫蛍光染色により、および生細胞画像化により、IP3R3受容体の細胞内分布を決定する。EB3がIP3R3のカベオラへのテザリングによってCa2+のIP3ゲート化放出を制御することを本発明者らが見出すならば、本発明者らは、EB3が、IP3R3とTRPC1/TRPC4との間の相互作用を促進するかどうかを決定するだろう。
【0066】
実施例7
アゴニスト誘導性IP3Rリン酸化の機構におけるEB3の役割
【0067】
IP3Rは、CaMキナーゼII(CaMKII)に対する16個の可能性のある部位を含有し(26〜28)、CaMKII媒介性リン酸化は、IP3に対する受容体感受性を増加させる。予測されるCaMKIIリン酸化部位である、Thr804(図17)は、651〜1130の領域内に位置し、IP3結合とチャネル開口との間の機能的共役にとって重要な意味をもつ。したがって、Thr804のリン酸化は、IP3誘導性チャネル開口の機構において重要である可能性がある。EB3はCaMに結合し、CaMKIIの空間的かつ時間的活性化およびその受容体のリン酸化を指示する可能性がある。この考えに取り組むために、本発明者らは、EB3の枯渇、または特定のペプチドでのEB3とIP3Rとの間の相互作用の破壊が、IP3Rリン酸化を阻害するかどうかを決定する。IP3Rリン酸化のレベルを、オートラジオグラフィーによって評価する。本発明者らは、EB3枯渇およびIP3Rペプチドの両方が、IP3Rリン酸化のレベルを低下させるだろうと予想する。リン酸化の部位を、ホスホプロテオーム分析によって決定する。内因性IP3Rを、コンカナバリン(conconavalin)Aビーズを用いて、トロンビン処理の前および後にHLMVECから精製する。CaMKII部位の特異性を、CaMKII阻害剤有りで得られるリン酸化のプロファイルと、CaMKII阻害剤なしで得られるリン酸化のプロファイルとの比較によって決定する。本発明者らは、CaMKII部位を変異させ、IP3R3の細胞内分布における、およびCa2+のIP3ゲート化放出の機構におけるそれらの意義を決定する。
【0068】
別の一連の実験は、IP3RのCaMKII依存性リン酸化が、原形質膜におけるTRPC1/4へのその受容体の結合に共役しているかどうかを決定する。リン酸化は、伸長中のMT先端からIP3Rを放出し、TRPC1/4へのその結合を誘導する可能性がある。CaMKIIとIP3R3の共局在は、腸管の腸細胞、膵臓の腺房細胞、および表層粘液細胞の頂端領域に観察される。したがって、内皮細胞の管腔表面におけるCaMKIIとIP3R3の共分布が生じる可能性がある。本発明者らは、まず、休止HLMVECおよびトロンビン刺激HLMVECにおけるIP3R3とCaMKIIとの共局在を確認する。本発明者らはまた、FRET分析により受容体とキナーゼとの間の相互作用を決定する。CaMKIIの活性を、FRETに基づいたバイオセンサーであるCamui33(Yasunori Hayashi、Japanから入手した)を用いて評価する。CaMKIIの空間的活性化におけるEB3の役割を、同じアプローチを用いて決定する。
【0069】
実施例8
SOC誘起性Ca2+移入の機構におけるEB3とIP3Rとの相互作用の役割
【0070】
ERストアの枯渇は、SOC活性化およびCa2+移入の重要な機構である(34〜36)。一貫して、本発明者らは、EB3の枯渇はCa2+流入を低下させるが、EB1の枯渇はCa2+流入を低下させないことを見出した。本発明者らの予備的データを前提として、本発明者らは、EB3枯渇が、内皮細胞における主要なSOCチャネルである、TRPC1およびTRPC4のトロンビン誘導性活性化を阻害すると仮定した。この可能性に直接取り組むために、EB3 siRNAまたはIP3R3ペプチドで処理されたHLMVECを、ホールセルパッチクランプアッセイにおいて用いて、−50mVにおけるトロンビン誘導性内向き電流およびLa3+感受性内向き電流を測定する。本発明者らはまた、活性化チャネルの逆転電位を示すために電流−電圧(I−V)関係(−100〜+100mV)を評価する。この結果を、IP3R3がsiRNAで枯渇されるか、またはIP3Rアンタゴニストである2−アミノエトキシジフェニルボレート(2−APB)で阻害されるHLMVECにおいて得られるデータと比較する。補完的な実験は、特異的抗体またはsiRNAによる、TRPC1およびTRPC4の別々のまたは同時の不活性化が、EB3の枯渇と比較して、ホールセルコンダクタンスへ類似した効果を生じるかどうかに取り組む。本発明者らの仮説の妥当性において、本発明者らは、EB3枯渇がCa2+移入をTRPC1/4チャネルを通して阻害するだろうと予測する。これらの実験は、Fura2−AMレシオメトリック画像化による細胞内Ca2+濃度の変化の測定を伴う。
【0071】
別のセットの実験は、EB3の枯渇が、SOCおよびCa2+移入のタプシガルギン(TG)誘導性またはIP3誘導性(マイクロインジェクションによる細胞内送達)活性化を阻害することができるかどうかを決定する。TGは、筋/小胞体Ca2+ ATPアーゼを阻害し、結果として、IP3R活性化とは無関係に、ERからのCa2+の枯渇を生じる。両方のアプローチは、対照siRNA処理細胞においてSOC誘起性Ca2+移入の活性化を誘導することが予想されるが、EB3の枯渇は、IP3RのIP3誘導性活性化の場合のみCa2+移入を阻害する可能性がある。この実験は、SOC誘起性Ca2+移入を、IP3Rの活性化を通して間接的に制御することと、もしEB3(またはMT動態変化)がSOCチャネルそれ自体の活性化にいくらかの影響を及ぼすならば、直接的に制御することにおけるEB3の関与を区別するであろう。本発明者らは、これらの実験においてTRPC1/4チャネルの活性を示すために、ホールセルコンダクタンスおよび電流−電圧(I−V)関係を評価する。
【0072】
実施例9
内皮透過性増加および水腫形成の機構におけるEB3とIP3Rとの相互作用の役割
【0073】
本発明者らは、Ca2+シグナル伝達の伝播を生じるEB3とIP3Rとの間の相互作用が、PAR−1活性化に対する透過性応答の増加を増強するかどうかを決定する。この関連において、本発明者らは、IP3Rブロッキングペプチドで処理された細胞および肺において透過性バリアの増加に取り組む。本発明者らは、内皮バリアの変化の機能性尺度としてTERおよび経内皮アルブミン流束における変化を測定することによって内皮透過性増加を評価する。AJの完全性および細胞内ギャップの形成を、免疫染色により、(ビオチン化アッセイを用いる)VE−カドヘリン内部移行の定量的分析により、VE−カドヘリンとp120−カテニンとの間の相互作用により、決定する。本発明者らの仮説が妥当なものとして、本発明者らは、細胞内Ca2+濃度の増加の阻害が、結果として、より少ない細胞内ギャップ形成およびより安定したVE−カドヘリン接着によって反映される透過性応答の低下を生じるであろうことを予想する。細胞内Ca2+の増加は、p120−カテニンをリン酸化することによってAJの解体を媒介するPKCαを活性化するので、本発明者らは、PKCα活性化のレベル、およびPKCα特異的部位であるSer879におけるp120−カテニンリン酸化のレベルを決定する。PAR−1媒介性細胞収縮性もまた、EB3枯渇細胞において、またはIP3R3ペプチドで前処理された細胞において阻害されるかどうかを決定するために、本発明者らは、RhoAおよびMLCK−L活性化のレベルを分析する。IP3R3枯渇細胞またはIP3R3−/−マウス(37)から単離された肺微小血管内皮細胞を比較のために用いる。
【0074】
EB3とIP3Rとの間の相互作用が、微小血管透過性および肺水腫におけるアゴニスト誘導性増加を増強するかどうかを決定するために、本発明者らは、肺エクスビボモデルを用いる。マウスの灌流された肺調製物を用いて、細胞浸透性IP3Rペプチドが、肺血管透過性のPAR−1媒介性増加を阻害するかどうかを決定する。内皮微小血管透過性を、PAR1アゴニストペプチドの注入後、毛細血管濾過係数(Kf,c)および肺経血管125I−アルブミン流束を測定することによって評価する。本発明者らはまた、(Katsuhiko Mikoshiba、Japanから入手した)IP3R3−/−マウス、またはIP3R3がsiRNAによって枯渇しているだろうマウスを用いて、ペプチドで得られた結果を検証する。もし、IP3RとEB3との間の相互作用が肺微小血管透過性のアゴニスト誘導性増加を制御するのに必須であるという本発明者らの仮説が妥当であるならば、本発明者らは、IP3RペプチドおよびIP3R3−/−の両方が、PAR−1活性化に応答した微小血管透過性の増加の部分的阻害を明らかにする、匹敵する結果を生じるだろうと予想する。
【0075】
これらの研究の目標は、ERストアからのCa2+のIP3ゲート化放出を制御することにおけるEB3の役割を決定することである。本発明者らは、IP3Rリン酸化およびERの頂端部原形質膜への転位置の機構におけるEB3とIP3Rとの間の相互作用の意義を決定する。本発明者らは、本発明者らの仮説に基づいて、EB3とIP3Rとの間の相互作用がIP3R活性化のコントロールポイントを提供すると予測する。本発明者らの仮説が妥当であるならば、本発明者らは、細胞培養および肺において、EB3とIP3Rとの相互作用の破壊が、ERストアからのCa2+の放出を阻害し、透過性応答の増加を抑止するだろうと予想する。本発明者らは、EB3/IP3R相互作用が、1)IP3R3の、IP3生成に近接したカベオラへのテザリングにより、および2)CaMKIIによるIP3R3リン酸化を促進することにより、Ca2+のIP3ゲート化放出を制御するという以下の機構モデルを調べる。このように、肺微小血管研究と共に細胞培養実験は、EB3がIP3R3活性を制御する機構を同定するだろう。本発明者らは、その仮説の検証に基づいてこれらの研究からの新規な結論を引き出すことが可能であることに関して、問題を予見していない。全ての提案された技術は、本発明者らの研究室または共同研究者の研究室において確立され、それゆえに、実現可能である。
【0076】
MT細胞骨格は、休止細胞において内皮バリアの維持に重要な役割を果たし、炎症促進性刺激によって媒介されるような内皮透過性の増加を増強するための機構を提供する。持続性MT伸長を促進し、したがってEB3の抗崩壊活性によりMT動態を制御するMT末端結合タンパク質である、EB3は、急性肺傷害(ALI)および成人呼吸窮迫症候群(ARDS)などの炎症性疾患中のMT細胞骨格の再組織化および内皮バリア機能の損失をコントロールする主要な機構であり得る。提案された研究は、内皮血管透過性の増加および水腫形成の機構におけるPAR−1活性化に応答したERストアからのCa2+のIP3ゲート化放出を制御することにおけるEB3の役割に取り組む。本発明者らは、PKCα媒介性AJ解体およびRhoA/MLCK−L作動性アクトミオシン収縮性を通して内皮透過性の増加を媒介するCa2+波の組織化および伝播の機構におけるEB3とIP3R3との間の重要な可能性がある相互作用を定義する。
【0077】
実施例10
IPペプチドの切り詰めの、EB3に対する結合への影響
【0078】
計算的なインシリコのモデリングを用いて、KFARLWTEIPTAITペプチド(配列番号1)における各残基により提供される結合自由エネルギーへのエネルギー的寄与を推定した。アミノ酸配列:KFARLWTEIPTAIT(配列番号1)の切り詰め型バリアントをEB3界面へドッキングさせ、相互作用の自由エネルギーを計算した(表1)。データは、Thr−x−Ile−Proが最低の結合エネルギーを有し、隣接のアミノ酸が、EB3とペプチドとの間の相互作用を安定化することにおいて重要な役割を果たすことを示している。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例11
末端結合阻害ペプチド(EBIN)の構造に基づいた設計
【0081】
末端結合阻害ペプチド、すなわち、EBINを、計算的インシリコのアラニンスキャニングおよびIPRペプチドのEB結合ポケットへの完全に柔軟なドッキングに基づいて設計した(表2および3)。結合自由エネルギー(ΔG)を用いて、このペプチドとEBタンパク質との相互作用の安定化における各残基の寄与を決定した。
以下の基準を用いた:
ΔG値≧1=安定化残基
ΔG値≧−1=不安定化残基
ΔG値<−1〜0〜<1=中立残基
アラニンスキャニングは、安定化残基(0.50Kj/モル以上の正の結合エネルギーを有する;黒色で示されている)および不安定化残基(−1の負の結合エネルギーを有する;青色で示されている)を明らかにする。
【表2】

【表3】
【0082】
結果として、14個のアミノ酸IPRペプチドは、7個のアミノ酸の末端結合阻害ペプチド(EBIN;FTEIPTI(配列番号3))に減少した。図12は、EB3とEBINとの間の相互作用を示す。IP図12において黄色の棒で示されている)と同様に、EBINは、EB酸性テイルとコイルドコイルドメイン(coil−coiled domain)との間の疎水性グルーブ(hydrophobic grove)に結合する。EBINのEB3への計算されたエネルギー結合は−60.251kcal/molであり、それは、IPRとEB3との間のエネルギー結合と類似している。EBINの2位におけるトレオニンは、EB3界面への結合において重要な役割を果たしている。なぜなら、この残基のアラニンへの変異がその結合を完全に消失させるからである。したがって、単一のアミノ酸変異T→Aペプチド、FAEIPTI(配列番号4)を、結合性喪失の対照として用いた。
【0083】
実施例12
EBINは、EB3/IP相互作用を阻害し、炎症促進性メディエーターに応答した細胞内カルシウム流束を軽減する
【0084】
細胞におけるEBINの阻害性質を決定するために、1μMの濃度のEBINまたは対照ペプチドで前処理された、ヒト肺大動脈内皮細胞(HPAEC)単層をトロンビンでチャレンジした。EB3とIP受容体との間の相互作用を、ウェスタンブロット分析を用いて分析した。図13に示されているように、EBIN処理は、EB3とIPとの間の基礎相互作用およびトロンビン誘導性相互作用を軽減した。IPのIP3に対する応答性を調節することにおけるEB3の役割という考えと一致して、EBINは、トロンビンおよびヒスタミンに応答した細胞内カルシウム流束を有意に阻害した。図14は、1μM Myr−EBINまたは対照ペプチド(FAEIPTI)(配列番号4)で前処理され、かつ50nMトロンビンまたは90μMヒスタミンでチャレンジされたHPAECにおける340/380(結合型/遊離Fura−2M)比における変化を示す。EBINは、炎症促進性サイトカインでのHPAEC単層の刺激後の細胞内カルシウムにおけるアゴニスト誘導性増加([Ca2+]iトランジェント)を緩和したが、対照ペプチドは緩和しなかった。
【0085】
細胞形状変化および傍細胞透過性に対するEBINの影響を決定するために、HPAEC単層の経内皮抵抗性を測定した。図15は、EBINが、両方の炎症促進性メディエーターに応答したHPAEC単層の細胞形状変化および傍細胞透過性亢進を阻害したが、結合性喪失ペプチドに関しては阻害しなかったことを示す。これらの結果は、EBINのバリア保護効果が、内皮のカルシウムシグナル伝達および細胞形状変化の阻害に関連していることを示す。
【0086】
実施例13
EBINは、マウスにおいてNO産生およびヒスタミン誘導性血管拡張を阻害する
【0087】
NOを産生する内皮特異的酵素である一酸化窒素シンターゼ3(eNOS)の活性は、カルシウムシグナル伝達により、特にeNOSとカルモジュリンとの相互作用を通して、制御され、炎症中の内皮バリアの透過性亢進の既知の原因の1つである。EBINはカルシウムシグナル伝達を阻害するため、EBINのバリア保護効果は、部分的には、eNOSの阻害によると仮定された。したがって、NOの基礎産生およびアゴニスト誘導性産生に対するEBINの影響を測定した。FAS1フェムトスタット(femtostat)および電気化学的ソフトウェアを有するパーソナルコンピュータと連結されたポルフィリンNO電極(Gamry Instruments)を用いて、NO形成を測定した。NO濃度と比例する電極電流を、時間の関数として測定した。興味深いことに、EBINは、基礎NO産生に対する影響を示さなかった。このことは、EBINが構成的eNOS活性を阻害しないことを示唆している。しかしながら、EBINは、アゴニスト誘導性NO産生を有意に軽減した(図16)。これらの結果と一致して、マウスにおけるAP−EBINのi.v.注射は、収縮期血圧に対する影響を示さなかったが、EBINは、ヒスタミン誘導性血管拡張を有意に阻害した(図17)。これらのデータは、細胞培養実験において得られたデータに一致している。これらの結果は、EBINが、ヒスタミンに応答してNO生成を阻害することにより血管拡張を軽減することを示している。
【0088】
実施例14
EBINは、LPS誘導性敗血症における死亡およびアナフィラキシー後の血管漏れを防止する
【0089】
LPS誘導性敗血症による死亡率に対するEBINの影響を決定した。マウスは、LD90用量でのLPS投与の30分前および1時間後に、AP−EBINまたはAP対照ペプチドのi.v.後眼窩注射を受けた。EBINで処理されたマウスは、対照群と比較して生存率の著しい向上を示した(図18)。さらに、EBINの後処理もまた何らかの保護効果を示すかどうかを決定した。この実験において、Myr−EBINを、LPSチャレンジから30分後および24時間後に尾静脈内に注射した。図19に示されているように、EBINでの後処理は、対照群(結合性喪失ペプチド)と比較して生存率においてわずかな向上しかもたらさない。Ap−EBINに関する前の結果と一致して、Myr−EBINでの前処理は、生存率の有意な増加(p<0.05)を示した(図19)。全身性炎症前のEBINの投与は、よりはるかに高い有益な結果を生じたと結論づけられる。
【0090】
血漿VEGFの上昇の結果である気道微小血管透過性亢進は、典型的喘息およびその咳型を有する患者における異常な気道機能に寄与する重要な因子の一つである。急性アレルギー性喘息応答は、主にIgE媒介性過敏性によるため、本発明者らはまた、EBINが、IgE媒介性アナフィラキシー反応後の皮下血管漏れから保護するかどうかを決定した。図20は、EBINの静脈内注射が、耳(高い血管新生、A)および背中(低い血管新生、B)において皮下血管漏れ(エバンスブルー(Evan Blue)陽性領域のサイズおよび強度)を有意に軽減するが、対照の結合性喪失ペプチドはそれらを軽減しないことを示している。これらのデータは、EBINが、慢性型または急性型のアレルギー性喘息を有する患者の肺機能および全体的な健康を改善し、喘息性炎症性応答を抑えるために効果的に用いられ得ることを示している。
図1
図3
図5
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図8
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図17
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図19
図20
図2
図4
図6
図13
図21
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]