(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリを更に備え、前記パルス発生回路が、前記バッテリを用いて前記直流電流及び前記交流TENS電流を流すように構成されている、請求項1に記載のイオン導入デリバリーシステム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aは一体(ユニボディ)電極100の分解図である。電極100は、非導電性頂部層106と、導電性層102と、ゲル層118と、非導電性底部層112とを含む。導電性層102は、本体117と、遠位端104a及び近位端104bを有する単一(ユニタリ)テール104とを含む。近位端104bは本体117内に延伸し、遠位端104aは、コネクタ108に含まれるコネクタ筐体120の波状レセプタクル122内部に収容される。コネクタ筐体120の遠位端128は、電気刺激デバイス(図示せず)からのリードと結合するように構成されて、導電性層102を電気刺激デバイスに結合して、電気刺激デバイスが発生させる電気刺激電流を、電極100を介して患者の組織に印加することができるようになっている。また、コネクタ108は、コネクタ筐体120に適合するコネクタジャケット126も含む。
【0025】
非導電性頂部層106は、導電性層102の頂部114に沿って配置される。非導電性頂部層106は、PTE等の非導電性シート材料製であり得て、その底面107に接着剤を含み、その接着剤は、非導電性頂部層106を導電性層102に接着するのに用いられる。非導電性頂部層106の寸法は、導電性層102の寸法と略同一の広がりを持つものであるが、非導電性頂部層106のテール105は、導電性層102のテール104よりも短くなり得て、電極100を組み立てた際に、テール105が、テール104と波状レセプタクルとの間に介在しないようにする(
図2Bに示されるように)。
【0026】
導電性層102及びその単一テール104は好ましくはアルミニウムの連続片から形成されるが、他の金属や導電性プラスチック(例えば、カーボンを含浸させたポリマー)等の他の導体を用いてもよい。導電性層102及びその単一テール104は、例えば、導電材料のシートを打ち抜くことによって形成され得る。多重ストランドワイヤ製のピグテールを有する従来の電極とは異なり、単一テール104は導電性層102の本体117と連続している。この構成は、テール104と本体117との間の不規則な接続をなくして、導電性表面まわりに更に均一に電流を分布させるのに役立つ。この均一な分布は、導電性表面に不規則性を生じる可能性のあるホットスポットの形成を防止するのに役立ち、二種類の異種金属を接合する際に生じる腐食を回避する。また、導電性層102の単一テール104と本体117との間のインターフェースの引っ張り強度が、ストランドを扇状に広げることや多様な層の接着の質や均一性に依存する必要がなくなり、所定の製造バッチにおける電極間の機械特性がより一定になる。
【0027】
ゲル層118は導電性層102の下に配置される。導電性ハイドロゲル等の多様なゲルをゲル層118に用いることができる。しかしながら、アルミニウム等の導電性層102に適した一部の導電性材料は、ゲル層118に用いられる一般的に利用可能なゲルに対して容易に接着しない可能性がある。導電性層102とゲル層118との間の接着強度が十分ではない場合、使用中に導電性層102がゲル層118から剥離し得る(例えば、使用前に、ゲル層118を保護する裏張り(ライナ)材料から電極100を剥がす場合や、電極100を患者組織から取り外す場合)。剥離は患者及び医師にとって不都合なものであり、導電性層102とゲル層118との間の不均一な接触を生じさせることが多く、電気刺激中における患者組織にわたる電流の不均一性が生じて、患者を焼いたり、所望の治療領域を刺激するのに失敗したりし得る。アルミニウム導電性層102を用いた際に剥離が生じる可能性を低減する一方法は、ゲルの化学的性質を変更して、導電性層102とゲル層118との間の接着強度を改善することである。しかしながら、接着強度を改善する化学的な変更は、ゲル層118の“レジネス(脚線美,legginess)”(つまり、ゲル層118が広がったり伸びたりする性能)を低下させ得る。レジネスの低下したゲルは、患者組織の表面(皮膚の溝やその下にある骨等の不均一性を含む)に対するコンフォーマル性があまりよくなく、電極100と患者組織との間の不均一な接触が生じるので、不均一な電流分布が生じる。また、レジネスの低下したゲルを用いる電極は、レジネスの高いゲル(“粘着性が高く”、患者に接着し易く、繰り返し接着可能)と同程度に再利用することができず、治療中の電極の再配置の妨げとなる。
【0028】
十分に“レジネス”のあるゲル層118を用いながら剥離の可能性を低下させて均一な電流分布とするために、非導電性底部層112を、単一テール104の底部116に沿って配置し、その非導電性底部層112は、導電性層102とその本体117の一部との下に部分的に配置され且つゲル層118の下に部分的に配置された延長部124を含む。
図1Bは、ゲル層118に対する非導電性底部層112及び延長部124の相対的な位置の平面図である。電極テール126を持ち上げて患者組織から電極100を取り外すと、延長部124が、“スパチュラ(ゴムベラ)効果”で、ゲル層118の底部から組織を外すようにゲル層118を持ち上げて、導電性層102とゲル層118との間の剥離の可能性を低下させる。患者組織から電極100を取り外すこの追加的なテコの作用点を提供することによって、電極100が、ゲル層118に多様な物質(従来技術の電極において用いられていたタイプのゲル材料では不可能であったような剥離の危険性の低さを有する“レジネス”のより高いゲル材料等)を含むことを延長部124が可能にする。
【0029】
コネクタ108は、コネクタ筐体120及びコネクタジャケット126を含み、電気刺激デバイス(図示せず)からのリードと導電性層102との間の電気的インターフェースを提供する。コネクタ筐体120が導体製である一方、コネクタジャケット126は絶縁体製である。一部実施形態では、コネクタジャケット126は、コネクタ筐体120上に配置された熱収縮チューブのセグメントから形成されて、加熱されて、コネクタ筐体120の輪郭にモールドされる。一部実施形態では、コネクタジャケット126は、コネクタ筐体120を後で硬化する流体(シリコーンやプラスチック等)でコーティングすることによってコネクタ筐体120の上に形成される。また、コネクタジャケット126は、コネクタ筐体120をテープや他の材料で巻くことによっても形成可能である。波状レセプタクル122の形状を形成するように機械的に縮れさせる工程(
図2A及び
図2Bに示されるような)の前又は後に、コネクタジャケット126は、コネクタ筐体120の周りに配置され得て、また、波状レセプタクル122の端部を越えて延伸し得る。一部実施形態では、コネクタジャケット126が、波状レセプタクル122の端部を越えて、且つ、非導電性頂部層105の遠位端103を越えて延伸し得て、導電性コネクタ筐体120と導電性テール104の露出面とを、患者や、医師、他の電気デバイスとの偶発的接触から保護する。
【0030】
図2A及び
図2Bは、
図1の単一テール104の遠位端104aと係合された前後のコネクタ筐体120を示す。
図2Aでは、コネクタ筐体120は、導電性接続部202と、フラップ204a及び204bとを含む。コネクタ筐体120を単一テール104の遠位端104aと係合させるため、遠位端104aを導電性接続部202とフラップ204a及び204bとの間に挿入して、単一テール104の遠位端104aが、導電性接続部202との電気的接触点となるようにする。そして、フラップ204a及び204bを、遠位端104aの上に折り畳んで、フラップ204a及び204bと導電性接続部2020との間において遠位端104aを機械的に固定する。一部実施形態では、フラップ204a及び204bも導電体製となり、一部実施形態では、コネクタ筐体120全体が導電性となる。フラップ204a及び204bを単一テール104の遠位端104a上に折り畳んだ後に、コネクタ筐体120に一つ以上の波形ができるようにそのコネクタ筐体を縮れさせて、単一テール104の遠位端104aを受容する波状レセプタクル122を形成する。これらの波形は追加的な引張強度を提供して、長手方向の力によって単一テール104からコネクタ筐体120が離れることを防止し、また、単一テール104と導電性接続部202との間の電気接続を改善する。波状レセプタクルは、一つ、二つ、三つ、又はそれ以上の波形を含み得る。
【0031】
図3は、一体電極300の分解図である。電極300は、導電性層312の頂部に沿って配置された非導電性頂部層310と、導電性層312の下に配置されたゲル層314とを含む。また、電極300は、導電性層312の下に部分的に配置され且つゲル層314の下に部分的に配置された延長部318を備えた非導電性底部層316も含む。非導電性頂部層310、導電性層312、ゲル層314、及び非導電性底部層316の材料及び配置は、
図1の一体電極100の対応する構成要素に対して上述したものと同様である。導電性層312は、単一テール306も含み、その単一テール306はその遠位端306a及び張り出し部302を含む。導電性層312の張り出し部302、単一テール306及び本体307は、連続的な導体から形成される。また、非導電性底部層316も張り出し部320を含む。非導電性底部層316の張り出し部320は、単一テール306の張り出し部302と略同一の寸法を有し得る。一部実施形態では、導電性層312及び非導電性底部層326は同一の寸法に打ち抜かれる。
【0032】
図3は、単一テール306の遠位端306aの張り出し部302上に配置された第二の導電性層308も示す。一部実施形態では、第二の導電性層308は、導電性層312とは異なる導電体から形成される。例えば、導電性層312がアルミニウムから形成され得て、第二の導電性層308が、カーボンストリップ、炭素を含浸させた導電性ポリ塩化ビニル又はポリウレタン等の導電性プラスチックとなり得る。第二の導電性層308は、単一テール306の張り出し部302に追加的な剛性を与え得る。一部実施形態では、第二の導電性層308によって与えられる追加的な剛性は、自動製造設備(例えば変換設備)によって電極300用のコネクタ内に張り出し部302を形成することを可能にして、結果的にコネクタの機械的強度を増加させ得る。更なる説明を、張り出し部302から形成されたコネクタの代表的な(非限定的)実施形態について以下に与える。
図3は、非導電性材料から形成された底部支持層322も示し、これは、非導電性底部層316の張り出し部320に代えて又は加えて電極300内に含まれ得て、機械的支持を与える。
【0033】
図4A〜
図4Cは、
図3に示される電極300から形成されたコネクタ400を示す。
図4Aは、導電性層406の上に配置された非導電性頂部層404を示し、その遠位端に配置された張り出し部408を備えた電極テール402を形成している。張り出し部408は導電性層406の延長部であり、その上に配置された第二の導電性層422を有する。張り出し部408の側部420a及び420bを、例えばマンドリルや他の適切な製造プロセスを用いて、互いに向けて湾曲させる。
図4Bは、側部420a及び420bを互いにくっつけて形成されるチューブ410を示す。側部420a及び420bを、シーリング、接着、又はホチキスによって互いに取り付け得て、又は単純に重ねることができる。
図4Bは、熱収縮チューブ414のセグメントも示す。側部420a及び420bを近付けて、熱収縮チューブ414をチューブ410上に配置して、チューブ410を越えて単一テール406上にまで伸ばす。熱を加えると、好ましくは
図4Cに示されるように、熱収縮チューブ414が、単一テール406及びチューブ410に対してコンフォーマルになる。熱収縮チューブ414がチューブに対してコンフォーマルになると、熱収縮チューブ414がチューブ410に対する機械的支持を提供し、単一テール406がチューブ410と電極の使用者との間の電気的絶縁を提供する。チューブ410は内部通路412を形成し、これは、電気刺激リード(図示せず)からの雄型ピンを受容するように形成される。張り出し部408上の第二の導電性層422は、接続及び接続解除による摩耗及び断裂に対してコネクタ400を強くするのに役立つ。導電性層406の単一テールの張り出し部408からコネクタ400を形成するプロセスは、自動化され得て、これは、電極の均一性を更に改善する。
【0034】
図5はスナップ電極500の分解図である。電極500は、第一の開口516を備えた非導電性頂部層502と、第二の開口418を備えた導電性層504と、ゲル層506とを含む。非導電性頂部層502、導電性層504、及びゲル層506の材料及び配置は、
図1及び
図3の一体電極100及び300の対応する構成要素について上述したものと同様である。スナップ電極500は、第一の導電性筐体508と、導電性ポスト511を備えた第二の筐体510とを含み。その導電性ポスト511は第二の筐体510に固定されて、第一の導電性筐体508のレセプタクル(図示せず)内部にはまって、二つの筐体508及び510を接続する。第二の筐体510は、導電性層504の下に配置された第二の導電性筐体512を含む。第二の筐体510は、第二の導電性筐体512及び導電性層504の下であってゲル層506の上に配置された非導電性素子514も含む。第二の開口518は、第二の筐体510の一部を受容するようなサイズにされる。スナップ電極500を組み立てると、第二の筐体510が第一の導電性筐体508と係合して、層502及び504の開口516及び518を貫通するポスト511で、導電性層504及び非導電性頂部層502を挟み込む。
【0035】
非導電性素子514は、誘電体ポリマー等の絶縁体から形成されて、第二の導電性筐体512のフットプリント以上の周囲寸法を有する。使用時には、電気刺激デバイスからの電流が、電気リード(図示せず)から第一の導電性筐体508、導電性層504及び第二の導電性筐体512へと流れる。そして、電流はゲル層506を介して患者組織に分布する。非導電性素子514は、電流が非導電性素子514の周りでゲル層506を通って流れるようにして、過度の電流が、第二の導電性筐体512の真下のゲル層506の一部を介して患者組織に向かう最小抵抗経路をとることを防止することによって、第一の導電性筐体508及び第二の導電性筐体512aの真下における熱及び電流の蓄積(ホットスポット)を防止する。従来のスナップ電極は、導電性層とゲル層との間に非導電性素子を含まず、直接的な電気の流れに起因してスナップコネクタの下にホットスポットを形成する傾向があり、これは患者組織を焼く可能性がある。電極500は、第二の導電性筐体512から患者組織までの経路内に非導電性障壁を配置することによって、このようなホットスポットの可能性を低下させて、ゲル層506に対するより均一な電流分布をもたらす。
【0036】
図6は、第一の開口622を備えた非導電性頂部層620と、第二の開口618を備えた導電性層604と、ゲル層606と有するスナップ電極650の分解図である。非導電性頂部層620、導電性層604及びゲル層606の材料及び配置は、
図1、
図3及び
図5に示される電極に対して上述したものと同様である。スナップ電極640は第一の導電性筐体608及び第二の筐体624を更に含む。第二の開口618は、第二の筐体624のポスト部613を受容するようなサイズにされる。スナップ電極650を組み立てると、第二の筐体624のポスト部613が第一の導電性筐体608と係合して、
図5の電極500を参照して上述したように、導電性層604及び非導電性頂部層620に渡される。第一の導電性筐体608は、非導電性頂部層620の開口622を介して導電性層604と電気的に接触する。
【0037】
第二の筐体624は、誘電体ポリマー等の電気絶縁体から形成される。
図5のスナップ電極500と同様に、スナップ電極650も、第一の導電性筐体608の真下におけるホットスポットの形成を防止する。使用時には、非導電性の第二の筐体624が、第一の導電性筐体608からゲル層606を介して患者組織に向かう直接的な電気の流れに対する障壁として機能する。結果として、ゲル層606に対するより均一な電流分布が得られ、危険なホットスポットの可能性が減る。
【0038】
図7及び
図8は磁気コネクタ電極を示す。
図7は、磁気コネクタ電極700の分解図である。電極700は、ソケット712と、開口708を備えた非導電性頂部層706と、導電性磁性層704と、導電性層702と、ゲル層722とを含む。非導電性頂部層706、導電性層702、及びゲル層722の材料及び配置は、
図1、
図3、
図5及び
図6に示される電極に対して上述したものと同様である。ソケット712は、プラスチックなどのリジッドな非導電性材料から形成されて、非導電性頂部層706の上に結合されるか、接着されるか、又は他の方法で固定される。導電性磁性層704は、非導電性頂部層706の開口708の下に配置される。導電性磁性層704は、ステンレス鋼等のフェライト材料から形成され得るが、他の導電性磁性体ともなり得る。導電性層702は、アルミニウム等の導体から形成され得る。導電性磁性層704は、非導電性頂部層706と導電性層702との間に配置される。非導電性頂部層706の底面上の接着剤で、非導電性頂部層706と導電性層702との間に導電性磁性層704を挟み込むことによって、磁気コネクタ電極700を組み立てた際に導電性磁性層704を適所に保持する。
【0039】
図8は、磁気コネクタ電極850の分解図である。電極850は、開口810を備えた非導電性頂部層820と、ソケット814と、導電性磁性層804と、導電性層802と、ゲル層822とを含む。
図7の磁気コネクタ電極700とは異なり、
図8の磁気コネクタ電極は、非導電性頂部層820の下に配置されたソケット814を有する。
図8に示されるソケット814の具体的な実施形態は、頂部816及び底部818を有し、頂部816の直径が底部818の直径よりも小さくて、ソケット814の側部が、頂部816と底部818との間に張り出している。電極850が組み立てられると、ソケット814の頂部816が、非導電性頂部層820の開口を貫通する一方で、ソケット814の底部818は非導電性頂部層820の下に留まる。導電性磁性層804はソケット814の下に配置される。例えば、非導電性頂部層820と導電性層802との間の接着結合を用いて、ソケット814及び導電性磁性層804の両方が非導電性頂部層820と導電性層802との間に挟み込まれる。
【0040】
図7及び
図8の磁気コネクタ電極は、一以上の有利な特徴を与える。第一に、磁気接続機構の使用によって、患者又は医師が電極を接続又は接続解除するために機械的抵抗力を克服しなければならないスナップ接続機構と比較して、より滑らかな垂直方向における接続及び接続解除が得られる。関節炎の又は障害のある使用者が電極を接続及び接続解除することを容易にして、損傷した又は敏感な組織に不快な力を印加することを回避する。第二に、導電性磁性層(
図7の層704、
図8の層804)は、磁気リードコネクタ(
図9の磁気リードコネクタ904等)に含まれる磁石に引き寄せられるので、使用者が、
図7及び
図8の磁気コネクタ電極を背中等の見ることが難しい体の箇所に対して適所に適用及び接続することが簡単である。第三に、ソケット712及び814は、磁気リードコネクタ(
図9に示される磁気リードコネクタ902等)が導電性磁性層(
図7の層704、
図8の層804)と整列するように患者や医師が磁気リードコネクタを配置するのに役立ち、電極に対して磁気リードコネクタを保持するのに十分な磁気結合が得られる。一部実施形態では、ソケット(ソケット712や814等)の形状は、相補的形状の磁気リードコネクタのみがソケット内に収容されるように選択され得る(ソケットとコネクタの“鍵”と称する)。ソケット及びコネクタの鍵は、製造業者が一緒に機能するように設計された磁気リードコネクタと電極との組み合わせを製造して、治療的に有用ではなくなり得る他の磁気リードコネクタと電極との組み合わせの使用を防止することを可能にする。第四に、ソケット712及び814は、横方向の力(
図9に示されるリードワイヤ908に対する急な強い引っ張り等)によって磁気リードコネクタから電極から接続解除されることを防止する機械的障壁を提供する。病院では、横方向の引っ張りが接続解除の事象におけるかなりの割合を占めている。導電性磁性層(
図7の層704、
図8の層804)と磁気リードコネクタに含まれる磁石との間の磁力は、垂直方向よりも横方向において弱いので、ソケット712及び814がこのような引っ張りに対する追加的に安全性を提供する。
【0041】
図9は、電気刺激デバイス(図示せず)からのリードワイヤ908を
図7又は
図8の磁気コネクタ電極に係合させるのに使用可能な磁気リードコネクタ902を示す。磁気リードコネクタ902はコネクタベース部912を含み、その上に磁石904が固定される。磁石904はネオジム等の導体製であり、リードワイヤ908に電気的に接続される。一部実施形態では、磁石904が、リードワイヤ908又は中間導電性素子(図示せず)にはんだ付けされる。一部実施形態では、好ましくは、磁石904は、低温のままに保たれて、磁石904の結晶構造の変化や磁性への影響を防止する。一部実施形態では、磁石904は、金属の鉤爪システムを用いてコネクタベース部912に対して保持されて、その金属の鉤爪システムは、磁石904と摩擦でフィットするように形成された雌型受容器を含む。一部実施形態では、接着剤(導電性接着剤等)を用いて、磁石904をコネクタベース部912に取り付けることができる。
図9の磁気リードコネクタ902は、外壁906も含み、その外壁906は、非導電性材料から形成され得て、また、電極のソケットを取り囲むように構成され得る(
図7のソケット712や、
図8のソケット814の頂部816等であり、それぞれの図面に示される電極に磁気リードコネクタ902が係合した場合)。外壁906は、追加的な引っ張り強度を与え得て、リードワイヤ908に対する横方向の急な強い引っ張り等の横方向に印加される力によって、磁気リードコネクタ902が磁気コネクタ電極との接続状態からずれることを防止する。磁気リードコネクタ902の一部実施形態では、外壁が含まれない。磁気リードコネクタ902が
図7の電極700又は
図8の電極850に取り付けられる場合、磁石904はソケット712又は814内に収容されて、磁石904と導電性磁性層(
図7の層704、
図8の層804)との間の電気接続が得られる。使用時には、電気刺激電流が、電気刺激電流発生器(図示せず)から、リードワイヤ908、磁石904、導電性磁性層を通って、導電性層(
図7の層702、
図8の層802)に向かい、そして、ゲル層(
図7の層722、
図8の層822)を通って、患者組織に向かう。
【0042】
図10A及び
図10Bは、本願で説明される一体電極の構成法に従って形成可能な反転スナップ電極1000を示す。
図10Aは反転スナップ電極1000の分解図である。反転スナップ電極1000は、開口1004を備えた非導電性頂部層1002を含み、その開口1004は、非導電性頂部層1002の上又は内部に配置された強化リング1006によって取り囲まれている。強化リング1006は、非導電性材料(例えば、非導電性層や絶縁層としての使用に適していると本願で説明されるような材料)から成り、使用時にスナップコネクタを反転スナップ電極1000に対して接続及び接続解除する際における反転スナップ電極1000に対する機械的な強化を与え得る。反転スナップ電極は、くぼみ1010を備えた導電性層1008と、くぼみ1018を備えたゲル層とも含む。非導電性頂部層1002、導電性層1008、ゲル層1016の材料は、
図1及び
図3の一体電極100及び300の対応する構成要素に対して上述したものと同様である。非導電性素子1014は、導電性層1008のくぼみ1010とゲル層1016のくぼみ1018との間に配置される。
図10Bは、
図10Aの反転スナップ電極の断面図であり、非導電性頂部層1002と、導電性層10089と、くぼみ1010と、ゲル層1016と、くぼみ1018と、非導電性素子1014とが含まれている。
【0043】
導電性層1008のくぼみ1010は、ロール製造プロセス中における熱成形や真空成形等の多様な方法で機械的に形成可能である。くぼみ1010は、導電性層1008内部に雄型コネクタ(例えば、以下で詳述される
図11のコネクタ1100の雄型部1010)を受容するような雌型レセプタクルとして形成される。一部実施形態では、くぼみ1010は、標準的な雄型スナップコネクタをぴったりと受容するような寸法とされる。一部実施形態では、くぼみ1010は、カスタマイズされたサイズ又はカスタマイズされた形状の雄型コネクタをぴったりと受容するような寸法とされる。カスタマイズされた雄型コネクタは任意の深さや、幅、長さ、形状を有し得て、“鍵型”コネクタとして機能し得て、くぼみ1010によって形成されたレセプタクルに対して相補的な形状を有するコネクタのみが、反転スナップ電極1000としっかり係合することができる。反転スナップ電極1000(又は、本願で説明されるいずれかの電極及び電極システム)と共に鍵型コネクタを使用すると、(一群の鍵型電極のうちの)誤った電極が所定の電気治療デバイスと共に使用される可能性や、電気治療デバイス製造業者の許可なく製造された低品質の電極が鍵型コネクタと上手く係合してしまう可能性を低下させることによって、治療結果を改善し得る。
【0044】
特定の組み立てモードにおいて、非導電性素子1014が、導電性層1008とゲル層1016との間において、導電性層1008のくぼみ1010の底面の下に配置される。ゲル層1016のくぼみ1018は、くぼみ1010及び非導電性素子1014の形状と相補的であるが、好ましくは、ゲル層1016の底面を越えては延伸せず、平坦なゲル表面が患者組織に適用されるようにする。好ましい実施形態では、くぼみ1010を形成して非導電性素子1014を配置した後に、ゲル層1016を導電性層1008上に流し込んで、その後、ゲル層1016が適所で架橋する(これを“適所流し込み(pour−in−place)”プロセスと称する)。ゲル層1016及びそのくぼみ1016は、モールドでも形成され得るし、複数の個別のシートからも形成され得る。
図5の非導電性素子514について上述したように、非導電性素子1014は、電流が非導電性素子1014周りでゲル層1016を通って流れるようにして、過度の電流が、くぼみ1010の真下におけるゲル層1016の部分を通って患者組織に向かう最小抵抗経路をとることを防止することによって、くぼみ1010の下に“ホットスポット”が形成されることを防止する。
【0045】
反転スナップ電極1000は、標準的なスナップ電極に対して複数の利点を有し得る。第一に、(スナップ電極に基づいたシステムにおいて典型的なコネクタ内部ではなくて)電極自体の内部に雌型レセプタクルを含むことによって、雄型コネクタの深さが電極の厚さ内部に留められるので、反転スナップ電極1000は、既存のスナップ電極システムよりも薄い形状を提供する。この薄い形状は、ギプスや支持具内部といった既存のスナップ電極が適していない治療設定において反転スナップ電極1000を使用することを可能にする。また、反転スナップ電極1000の薄い形状は、患者が動いた際に電極又はコネクタが患者の衣服や他の物体にひっかかる可能性を減らして、既存の電極よりも活動的な患者(例えば、運動療法中の患者)の電気刺激やモニタリングにより適したものとなり得る。また、小型のリードピンを電極のリードワイヤの端部のソケット内に供給しなければならない従来の“薄い形状”の電極よりも、反転スナップ電極1000は使い易い。年配の患者にとっては一般的にリードピンの構成よりもスナップ電極の方が使い易いので、これは、特に年配の患者にとって有用である。また、導電性層1008を形成するのにロール材料(アルミニウムラミネート等)を使用することや、ゲル層1016を追加するのに適所注ぎ込みプロセスを用いることによって、手作業で組み立てられる電極や、製造中の多数の段階において材料を手動で移送して投入しなければならない機械によって組み立てられる電極と比較して、効率、信頼性、及び均一性が改善されて、製造上の利点を得ることができる。
【0046】
図11は、コネクタ1100の斜視図であり、このコネクタ1100は、
図10の反転スナップ電極1000等の反転スナップ電極とリードワイヤ1106を係合させるように構成されている。コネクタ1100は、コネクタベース部1104を含み、その上に雄型部1102が配置される。雄型部1102は、導体製であり、リードワイヤ1106に電気的に接続される。一部実施形態では、雄型部1102は、上述の反転スナップ電極1000の導電性層1008のくぼみ1010を形成するためのものと同じ又は同様の製造法(例えば、真空成形や熱成形)を用いて形成され、また、導電性層1008と同じ又は同様の材料から形成され得る。図示されるように、雄型部1102は、コネクタベース部1104から開口1110を通って非導電性頂部層1108内に延伸している。コネクタベース部1104と向き合う非導電性頂部層1109の表面は接着性であり得て、非導電性頂部層1108とコネクタベース部との間において雄型部1102を機械的に捕獲し得る。一部実施形態では、反転スナップ電極1000用のコネクタに非導電性頂部層1108が含まれず、雄型部1102が、接着剤、タブ、又は他の固定手段を用いて、コネクタベース部1104に固定される。リードコネクタ110を
図10の反転スナップ電極1000に取り付けると、雄型部1102が、くぼみ1010によって形成されたレセプタクル内部に収容されて、リードワイヤ1106と導電性層1108との間の電気接続が得られる。使用時には、電気刺激電流が、電気刺激電流発生器(図示せず)から、リードワイヤ1106を通って導電性層1108に流れ、そして、患者組織へと流れる。
図10を参照して上述したように、コネクタ1100を反転スナップ電極1000と係合させると、これら二つが、既存のスナップ電極-コネクタ組み立て体よりも薄い形状を有し得て、性能が改善され、多様な治療及び診断環境における使用範囲が広がり得る。
【0047】
電極設計の追加的なバリエーションも考えられる。例えば、
図12は、上述の単一の本体及びテール構造と同様の複数の電極構造を含む電極システム1200の分解図である。電極システム1200は、非導電性頂部層1202と、第一の電極1204と、絶縁層1206と、第二の電極1208と、ゲル層1210とを含む。第一の電極1204及び第二の電極1208は、
図1及び
図3に関して上述したような単一の導電性材料から構成される。第一の電極1204は、単一テール1222及び本体を含む。絶縁層1206は、第一の電極1204の本体の1224の外径に略適合するようなサイズのホール1214を含む。第二の電極1208は、単一テール1220及び本体1221を含む。第二の電極1208の本体1221は、絶縁層1206の外径に略適合するようなサイズのホール1212を含む。ゲル層1210は、第一のゲルセグメント1210a及び第二のゲルセグメント1210bを含む。第一のゲルセグメント1210aは、第二の電極1208の本体1221の寸法に略適合するようなサイズにされ、第二のゲルセグメント1210bは、第一の電極1204の本体1224の寸法に略適合するようなサイズにされる。非導電性頂部層1202は、第二の電極1208の本体1221の外径に略適合する外径を有し得る。非導電性頂部層1202の底面には接着剤がコーティングされ得て、その接着剤に、第一の電極1204、絶縁層1206及び第二の電極1208が付着し得る。これらの構成要素が非導電性頂部層1202に付着すると、絶縁層1206の厚さが、第二の電極1208の底面の下まで延伸し得て、第一のゲルセグメント1210a及び第二のゲルセグメント1210bがその組み立て体の底部に付着した際に、絶縁層1206の底部が、ゲル層1210の底部と略同一の平面内に存在して、実質的に均一な表面が患者組織に付着するようになる。
【0048】
図13は、
図12の電極システム1200の説明に従って構築された電極システム1300の分解図である。電極システム1300は、非導電性頂部層1302と、第一の電極1304と、絶縁層1306と、第二の電極1308と、ゲル層1310とを含む。第一の電極1304及び第二の電極1308は、
図1、
図3及び
図12を参照して上述したように、単一の導電性材料から構成される。第一の電極1304は、単一テール1322と、本体1324と、ホール1316とを含む。絶縁層1306は、第一の電極1304の本体1324の外径に略適合するようなサイズのホール1314を含む。第二の電極1308は、単一テール1320と、ホール1312を備えた本体1321とを含み、そのホール1312は、絶縁層1306の外径に略適合するようなサイズにされる。ゲル層1310は、第一のゲルセグメント1310a及び第二のゲルセグメント1310bを含む。ゲルセグメント1310aの寸法は、第二の電極1308の本体1321の寸法に略適合するようなサイズにされ、ゲルセグメント1310bの寸法は、第一の電極1304の本体1324の寸法に略適合するようなサイズにされる。
【0049】
図14は、電極システム1400の分解図である。電極システム1400は、ホール1406を備えた非導電性頂部層1404を含む。更に、電極システム1400は、基板1412上に取り付け又は印刷された複数の導電性領域1402a、1402b、1402c及び1402dを含む。基板1412は、各導電性領域1402に対する導電性トレース1422を備えたテール部1414を含む。更に、基板1412はホール1408を含む。また、電極システム1400は、複数の開口1418a、1418b、1418c及び1418dを有する絶縁層1416も含む。各開口1418は、各導電性領域1402と整列するように配置される。更に、絶縁層1416は、ホール1408及びホール1406と同心円状に整列したホール1410を含む。また、電極システム1400は、複数の下セグメント1420a、1420b、1420c及び1420dを有するゲル層1422も含む。電極システム1400を組み立てると、各ゲルセグメント1420は、絶縁層1416の各開口1418内に配置される。電極システム1400の使用時には、ゲルセグメント1420が、導電性領域1402と患者組織との間に介在する。
【0050】
電極システム1400は、特に、2チャンネル干渉性電気刺激及びTENS治療に向いている。電極システム1400の中心のホールは、医師用の作業領域を与え、縫合や、ドラッグデリバリー用のニードルスティック、検査等の他の医療行為の準備のための又はそれらの行為中に患者組織を麻痺させることができる。また、ホールは、患者組織に対して電極を適所に配置することも容易にする。つまり、患者又は医師が、各導電性領域を別々に配置することなく、患者の疼痛部位に対してホールを“中心に置く”ことができる。更に、電極システム1400の使い易さは、患者に対する電気治療の治療効果を実証する有利な方法を提供し、その患者はその使用からの利点を得ることができる。つまり、電極システム1400及び電気刺激を患者組織に素早く適用することができ、数秒の間に明確な効果が得られる。
【0051】
図15A及び
図15Bはそれぞれ、接続素子を分離するために電極テール上の導電性トレースを電気的に接続するのに使用可能な接続システムの正面図及び背面図である。
図15Aでは、テール1414は、四つの導電部1422を備えるものとして示されている。各導電部は、一組の第一の歯部1502及び一組の第二の歯部1504によって穴開けされ、第一及び第二の歯部は、複数のコネクタ1506に取り付けられる。コネクタ1506は第一の歯部1502及び第二の歯部1506を含み、導体から形成され、電極システム(
図14の電極システム1400等)を電気刺激デバイス(図示せず)に電気接続するためにワイヤや他の導電性リードに取り付け可能である。
図15Bは、導電部1422に取り付けられたコネクタ1506を備えたテール1414の背面図である。
【0052】
図16は、患者の指1602に配置されたカスタマイズ切断された電極1600の斜視図である。一部実施形態では、医師又は患者が、患者組織の特定の輪郭にフィットするように本願で説明される一体電極(導電体の連続片から一体形成された電極本体及び電極テールを含む)を切断することができる。例えば、医師は、患者の指1602の治療領域にフィットするように、一般的なハサミを用いて大きな電極(例えば、
図1及び
図3の電極)から
図16の電極1600を切り出すことができる。従来の電極は、導電性ポリマーに対する多様な接触点を形成するために扇状に広げられた多重ストランドテールを含むので、扇状に広げられたストランドを損傷させずに、このように切断することができないものである。本願で説明される電極は、患者固有の輪郭及び治療目標に対して電極の形状及びサイズを医師がカスタマイズすることを可能にして、電気刺激の伝達を改善する。
【0053】
図17及び
図18はそれぞれ、二つのリボン状電極1700及び1800の平面図である。各電極は、一体形成されたテールを備える導電性層を含む。一部実施形態では、電極1700及び1800の本体の寸法は略3/4インチ×5インチであるが、他の寸法も使用可能である。
図17の電極1700のテール1702は、電極1700の主軸に対して長手方向に向けられているが、
図18の電極1800のテール1802は、電極1800の主軸に対して垂直に向けられている。こうしたリボン状電極は、手首や膝等の患者の身体の一部の周りに巻かれ得る。本願で説明される一体構築法は、扇状に広げられた金属接続に起因するホットスポットや異種金属の腐食の危険性がなく、リボン状電極1700及び1800等の多様な形状の電極を製造することを可能にする。
【0054】
図19Aは、電極本体1900(本願で説明されるいずれかの電極と共に使用可能である)の一部の断面図である。非導電性頂部層1904が導電性層1906の上に配置されて、導電性層1906を覆う。追加的な導電性層及び非導電性層も電極本体1900(又は他の電極本体)に含まれ得るが、簡単のため、
図19Aには示されていない。ゲル層1908が、導電性層1906の下に配置され、ゲル層1906に隣接したゲルコーティング1910が本体1900の側部まわりに延在して、導電性層1906の周囲側面1902を覆う。周囲側面1902上のゲルコーティング1910の存在は、電流がゲルコーティング1910又はゲル層1908を迂回して、患者又は医師の組織に直接入り込み、痛みを伴うショックや不均一な電流分布を生じさせるのを防止するのに役立つ。
図19Aに示されるゲルコーティング1910の構成を、例えば、材料層から電極を打ち抜くことによって得ることができる。
【0055】
図19Bは、電極テール1920(本願で説明されるいずれかの電極と共に使用可能であり、例えば、電極本体の単一延長部として本願で説明される)の断面図である。電極テール1920は、非導電性頂部層1922と、導電性層1924と、非導電性底部層1926とを含む。追加的な導電性層及び非導電性層も電極テール1920に含まれ得るが、簡単のため、
図19Bには示されていない。電極テール1920は、左側面1928a及び右側面1928bも含む。絶縁コーティング1930が側面1928に沿って配置されると、電極テール1920の側部に沿った患者若しくは医師と導電性層1924との間における、又は導電性層1924と他の電気的に晒された表面(他の電極のテール等)との間における意図していない電気接触を防止するのに役立つ。図示されるように、絶縁コーティング1930bは、左側面1928aを覆う左コーティング領域1930aと、右側面1928bを覆う右コーティング領域1930bとを有する。一部実施形態では、絶縁コーティング1930は、液状で適用されるシリコーンである。
【0056】
自動製造プロセスを用いて、本願で説明される電極を形成することができる。一部実施形態では、電極は、特に接着剤の分配、積層化、及び切断によってロールストックから電極を製造する回転変換機を用いて形成される。二つ目の自動製造プロセスを用いて、コネクタ(
図4A〜
図4Cに示される単一導電性テール406の張り出し部408から形成されたコネクタ400等)を形成したり、コネクタ(
図2A〜
図2Bに示される波状レセプタクル122を備えたコネクタ筐体120や、
図15A〜
図15Bに示されるコネクタ1506等)を取り付けたりすることができる。
【0057】
図20Aは、電子機器層2012を備えた刺激システム2000の分解図である。
図12の電極システム1200と同様に、刺激システム2000は、複数の電極構造を含む。特に、刺激システム2000は、非導電性頂部層2002と、第一の電極2004と、絶縁層2006と、第二の電極2008と、ゲル層2010とを含み、そのゲル層2010は、第一のゲルセグメント2010a及び第二のゲルセグメント2010bを有する。第一の電極2004及び第二の電極2008は、
図12の対応する構造を参照して上述したように構築され、非導電性頂部層2002、絶縁層2006及びゲル層2010についても同様である。
図12の電極システム1200とは異なり、刺激システム2000は、非導電性頂部層2002及び第一の電極2004の下に配置された電子機器層2012を含む。非導電性層2026が電子機器層2012と第一の電極2004との間に配置される。一部実施形態では、非導電性層2026は、電子機器層2012の底面又は第一の電極2004の頂面の上の非導電性材料(非導電性プラスチック等)のコーティング状となる。
【0058】
電子機器層2012は、一以上の電気刺激処置を実施するための回路を含む。一部実施形態では、電子機器層2012は、所定の又はプログラム可能な電気刺激プロトロコルを実施するようにパッシブ電気部品及びアクティブ電気部品を備えて構成された印刷回路板を含む。これらの電気部品は、機械実行可能ロジックを備えて構成された一つ以上の制御マイクロプロセッサを含み得て、電子機器層2012に含まれる一つ以上の電源(印刷型又はコイル型の電池)からのエネルギーを、第一の電極2004及び第二の電極2008の一方又は両方を介して患者組織内に流すことのできる電気刺激電流に変換することを制御する。電子機器層2012は、回路部品を接続する一つ以上のサブ層(図示せず)の上に導体の印刷トレースを含み得る。電子機器層2012に含まれる回路部品の間に、パルス発生器2024が存在する。パルス発生器2024は、第一の電極2004及び第二の電極2008を介してそれぞれ患者組織に伝えられる二つの異なるチャネルの電気信号を発生させる。以下、
図21〜
図24を参照して、パルス発生器の多様な例示的実施形態について説明する。
【0059】
刺激システム2000において、電子機器層2012は、接触点2014a(電子機器層2012内の)及び2016a(第一の電極2004内の)を介して第一の電極2004に電気的に接続される。これらの接触点2014a及び2016aは、穴開けによって電気的に接続されて、電子機器層2012内の接触点2014aが、第一の電極2004の接触点2016aと整列して且つ隣接して配置されて、電子機器層2012及び第一の電極2004が、接触点2014a及び2016aにおいて穴開けされて、電子機器層2012に含まれる導体と第一の電極2004との間に電気接続が形成される。一部実施形態では、ピンやロッド又は他の硬い部材を電子機器層2012の導電部を貫通するようにさして、導電部を変形させて、電子機器層2012から離れるように延伸する導体の突出部によって囲まれたホールを形成することによって、穴開け接続が形成される。一部実施形態では、突出部はギザギザで不規則であるが、他の実施形態では、導電性層の本体に予め切れ目が付けられていて、又は、突出部がより規則的な間隔及びサイズになるように作製される。電子機器層2012を非導電性層2026によって第一の電極2004から離隔すると、突出部が非導電性層2026を通って延伸して、第一の電極2004に対して折り曲げられて、電子機器層2012の導電部と第一の電極2004との間の電気接続が形成される。一部実施形態では、電子機器層2012、非導電性層2026及び第一の電極2004が積層されて、その全積層体に対して穴開け工程が行われる。
【0060】
電子機器層2012が、穴開け箇所以外の全ての点において非導電性層2026によって第一の電極2004から分離されるので、接触点2014a及び2016a間の穴は、パルス発生器2024の適切なチャネル(例えば、第一のチャネル)が発生させた電気信号を、電子機器層2012の残りの構成要素を短絡させることなく、第一の電極2004まで流すことができる。
図20には、電子機器層2012と第一の電極2004との間に一つの接触点のみが示されているが、任意の数の接触点を用いることができる。また、刺激システム2000は、接触点2016aの下に配置された非導電性素子2018aも含み、上述のようにゲル層2010内部でのホットスポットの形成を防止し得る。
【0061】
一組以上の同様の接触点を設けることができる。
図20Aに示されるように、第二の組の接触点2014b及び2016bがそれぞれ電子機器層2012、第二の電極2008に含まれる。パルス発生器2024の第二のチャネルで発生した電気信号を第二の電極2008に送信する。接触点2014b及び2016bは、上述の穴開け法を用いて接続される。また、刺激デバイス2000は、接触点2016bの下に配置された非導電性素子2018bも含む。
図20Bは、
図20Aの刺激デバイスの断面図である。
図20には二つの電極及び単一の電子機器層が示されているが、任意の数の電極及び任意の数の電子機器層を所望の配向で配置して用いることができる(本願で説明されるいずれかの電極等)。この接続構造を用いて、パルス発生器2024の異なる複数の出力チャネルを、かさばるワイヤを用いたり手作業ではんだ付けする必要なく、刺激システム2000内部の異なる複数の電極に向けることができる。一部実施形態では、穴開け接続は、電子機器層2012、第一の電極2004、第二の電極2008、非導電性層2026を提供する材料ロールに作用する回転変換設備によって形成される。本願で説明される電極及びシステムの製造における穴開けプロセスや他のステップは、以前では実現不可能であった構造の効率的な製造を可能にして、製造された製品の品質を改善し得る。例えば、自動電極製造プロセスは、手作業の組み立てプロセスよりも監視が簡単であり(例えば、カメラや他のセンサを用いて)、製造エラーをより簡単に検出することを可能にして、不適切な電極が市場に投入されることを防止する。
【0062】
電子機器層2012は、電気スイッチ2022a、2022b及び2022cも含む。これらの電気スイッチは、スイッチの表面上に働く力に対して電気的応答を提供する部品であり、ボタンの押下又は他のユーザー入力を検知するためのユーザーインターフェースの設計において一般的に用いられている。三つのボタン2020a、2020b及び2020cがそれぞれ電気スイッチ2022a、2022b及び2022cの上に配置されて、非導電性頂部層2002の開口2018a、2018b及び2018cと整列される。電気スイッチ2022a、2022b及び2022cは、電子機器層2012に含まれるマイクロプロセッサや他の回路と電気通信して、刺激システム2000によって与えられる電気刺激を開始又は調節する。
図20Aに示されるように、“ON”と記された電源ボタン2020bを使用者又は医師が押して、電気スイッチ2022bを作動させて、電気刺激を開始(停止)させることができる。それぞれ“+”、“−”と記されたボタン2020a、2020cは、患者又は医師がこれらのボタンを用いて、強度調節スイッチ2022a及び2022cを作動させて、刺激デバイス2000によって与えられる電気刺激の強度を上げ下げする(又は、発生する刺激電流の振幅又は周波数を変更する)ためのものである。キー2020a、2020b及び2020cの代わりに又はこれらに加えて使用可能な追加的なユーザーインターフェースがMueller等の特許文献1に開示されていて、その全内容は参照として本願に組み込まれる。
【0063】
刺激デバイス2000の電子機器層2012に含まれる回路は、一以上の電気刺激プロトコル(つまり、所定の電流又は電圧の波形)を発生させるように構成され得る。こうした電気刺激プロトコルは、電子機器層2012に含まれるメモリ(EEPROM等)や、論理ゲートや他の回路(例えばASIC)を用いて回路内にエンコーディングされ得る。一部実施形態では、刺激デバイス2000は、電源ボタン2020bを押した際に単一の電気刺激プロトコルを提供するように構成される(例えば、特定のTENS治療や特定のイオン導入治療)。単一の電気刺激プロトコルは、特定の症状(例えば、痛みや筋肉の張り)を処置することを対象としたものであり得て、刺激システム2000がパッケージングされて、患者組織に対して刺激システム2000を配置する方法の説明書と共に、医師及び患者に提供される。そして、刺激システム2000を作動させて、電源ボタン2020bを押下することによって電気治療が与えられる。一部実施形態では、刺激システム2000は、電源ボタン2020bを押しても反応しなくなる前に所定の回数のみ使用できる。刺激システム2000をオンにした回数は、電子機器層2012に含まれるEEPROMや他のメモリに記憶され得て、マイクロプロセッサが、最大使用回数を表す固定値に向けてカウントアップ又はカウントダウンを行うように構成され得る。一部実施形態では、電気刺激プロトコルは、所定の期間(例えば、30分間)にわたって電気刺激処置を提供し得る。その期間は、電子機器層2012に含まれるタイマー回路や、電子機器層2012の化学的な又は他のスイッチによって守られ得る。
【0064】
一部実施形態では、刺激デバイス2000の電子機器層2012に含まれる回路は、イオン導入処置及びそれに続くTENS処置を提供するように構成される。このような実施形態では、ゲルセグメント2010a及び2010bが、ドラッグデリバリー容器に交換されて、その容器は、第一の電極2004及び第二の電極2008を介してDC(直流)電流が印加された際に容器から患者の皮膚内に届けられる帯電化合物を含んでいる。ドラッグデリバリー容器は、例えば、ドラッグデリバリーマトリクスを含み得て、その中に治療化合物が懸濁されている。
【0065】
図21は、イオン導入及びTENS治療を提供するように構成された刺激システム(
図20の刺激システム2000等)の動作を示すフロー図である。ステップ2102では、刺激システム2000が、治療化合物を患者組織内に届ける電場を印加することによって、イオン導入処置を提供する。ステップ2104において、刺激システム2000が、イオン導入処置時間が経過したことを検知すると、刺激システム2000は、TENS処置の提供を開始する。上述のように、刺激システム2000は、電子機器層2012に含まれるタイマー回路を用いて、又は電子機器層2012の化学的又は他のスイッチによって、イオン導入処置時間が経過したことをステップ2104において決定し得る。
【0066】
イオン導入処置及びTENS処置の提供は、同じ組の電極(つまり、第一の電極2004及び第二の電極2008)を用いて行われ得るが、これらの電極には異なる波形が印加される。
図22は、波形2200の第一の部分2200aの間イオン導入処置を提供して、波形2200の第二の部分2200bの間TENS処置を提供するために刺激デバイス2000が発生させる例示的な波形2200を示す。第一の部分2200aはDC部分であり、期間T
Iにわたる第一の電極2004と第二の電極2008との間の一方通行の電流を表す。波形2200の第一の部分2200aは、治療化合物を患者組織内に届ける電場を提供する。イオン導入処置が
図23Aに示されていて、電流が、第一の電極2004(及びこれに対応する容器2302)と第二の電極2008(及びこれに対応する容器2304)との間で患者組織2308を通って一方向に印加されている。結果として、治療化合物2306が患者組織2308内に届けられる。
【0067】
刺激デバイス2000がイオン導入処置の時間が終了したと決定すると(
図22の垂直線2202で表される)、刺激デバイス2000の電子機器層2012に含まれる回路が、AC(交流)波形を発生し始める。一部実施形態では、この回路は、Hブリッジトランジスタ構成を含む。
図22に示される第二の部分2200bは矩形、二相性で対照的な波形であるが、他のAC波形も使用可能である。TENS処置が
図23Bに示されていて、電流が、第一の電極2004(及びその対応する容器2302)と第二の電極2008(及びその対応する容器2304)との間において患者組織2308を介して二方向(矢印2310及び2312によって示される)に印加される。好ましい実施形態では、波形のTENS部分はDC成分を有さず、イオン導入処置時間に達した後においては、刺激システムが容器内に残存している治療化合物を送らないようにする。追加的に、残留化合物の存在は、刺激システムの電極と患者組織との間の境界における導電性を改善し得る。
【0068】
好ましい実施形態では、イオン導入処置用のエネルギーを提供する(
図21のステップ2102において)のと同じ電源(例えば、バッテリ)を用いて、TENS処置用のエネルギーを提供する(
図21のステップ2106において)。既存の一部のイオン導入デバイスでは、イオン導入処置が完了した後に追加的なバッテリ電力が残り得るが、こうしたデバイスが使い捨てであれば、バッテリを捨てることで、そのエネルギーが失われる。対照的に、
図21のプロセスに従って動作するように構成された刺激システムでは、バッテリに残っている電力を、TENS治療用の電流を発生させるのに用いることができて、その電流は、バッテリが枯渇するか又は所定の停止時間に達するまで続き得る。このように構成されたデバイスは、痛みを処置するためにイオン導入治療を受けている患者にとって特に有用であり、この場合、イオン導入処置に続いて痛みを和らげるTENS処置が患者の不快感を更に低下させ得る。追加的に、イオン導入処置と同じ物理的デバイスを用いてTENS処置を適用することによって、多数のデバイスを取り外したり適用したりすることに付随する皮膚の炎症を低減し、イオン導入処置及びTENS処置が患者の身体の別の場所に誤って配置される危険性を排除して、既存の技術を改善する。
【0069】
図24は、
図20の刺激システム2000の電子機器層2012に含まれ得る例示的な回路2010のブロック図である。回路2010は、電源2400と、パルス発生器2402と、電源スイッチ2404と、強度調節入力部2406と、出力部2408とを含む。電源2400は、回路2010の電力を提供し、例えば、一つ以上の印刷型又はコイン型の電池を含み得る。一部実施形態では、電源2400は、電力フィルタリング及び/又は電圧調節回路も含む。電源2400は、電源スイッチ2022b(
図20)及びパルス発生器2402に電気的に結合される。電源スイッチ2022bは、電源ボタン2020b(
図20)を介して使用者からの入力を受信して、回路2010に電力を供給するように電源2400と共に動作する。
【0070】
パルス発生器2402は、第一の電極2004及び第二の電極2008(
図20)を介して患者組織に伝えられる電気信号を発生させる。パルス発生器2402は、2チャネル出力部2408に電気的に結合されて、2チャネル出力部2408に電気信号を提供する。そして、2チャネル出力部2408の各チャネルは、第一の電極2004及び第二の電極2008(
図20)の一方と接続されて、患者の治療箇所に電気信号を伝える。強度調節入力部2406(
図20の強度調節スイッチ2022a及び2022cを含む)は、パルス発生器2402に電気的に結合されて、強度調節ボタン2020a及び2020c(
図20)を介して使用者からの入力を受信する。強度調節入力部2406は、2チャネル出力部2408に送られる電気信号を強度を調節するようにパルス発生器2402と共に動作する。適切なパルス発生器のいくつかの例が、共にMorawetz等の特許文献2及び特許文献3に記載されていて、その全内容は参照として本願に組み込まれる。一部実施形態では、パルス発生器2402の発生させる電気信号は、単変調パルス(SMP,simple modulated pulse)信号である。他の構成及び電気信号も考えられる。
【0071】
図25は、
図24の回路2410を実現するのに使用可能な回路2500の電気回路図である。回路2500は、電源2500と、パルス発生器2502と、電源スイッチ2504と、振幅調節スイッチ2506と、出力部2508とを含む。電源2500は、バッテリ2512と、サーミスタ2514と、昇圧器2516と、他の電気部品とを含む。電源2500は、パルス発生器2502に電気的に結合されて、それに電力を供給する。また、電源2504は、コネクタブロック2520に電気的に結合されたものとして示されていて、そのコネクタブロック2520は、電源2500の電力を供給して、バッテリ2512を充電するのに用いられる。充電のエネルギーは、例えば家庭用電源や商用電源から得られ得て、電源出力や車両の電源を介して利用可能であり、12Vのコンセントを介してアクセス可能である。サーミスタ2514は、バッテリ2512とコネクタブロック2520との間に電気的に結合されて、バッテリ2512が充電中に過熱しないことを保証するためにバッテリの2512の温度を検出するのに用いられる。一部実施形態(使い捨ての応用のためのものを含む)では、
図20の刺激システム2000の電子回路層に含まれる電源は充電可能ではなく、この場合、充電機能を提供する回路2500の構成要素は含まれない。
【0072】
電源スイッチ2504は、回路2500をオン、オフにするのに用いられる。電源スイッチ2504は、例えば、上述のように、
図20の電源ボタン2020bによって容易に制御可能である。一部実施形態では、電源スイッチ2504は、図示されるように、単極双投(SPDT, single-pole double-throw)スイッチである。また、電源2500は、昇圧器2516も含み、これは、バッテリ2512によって供給される電力の電圧レベルを所望の電圧レベルに上昇させるように動作する。パルス発生器2502は、電源2500から電力を受けて、電気信号を発生させる。電気信号は、パルス発生器2502によって提供されて出力部2508に送られる。パルス発生器2502は、振幅調節スイッチ2506を含む。振幅調節スイッチ2506は、例えば、
図20の強度調節ボタン2020a及び2020cによって容易に制御可能である。この実施形態では、振幅調節スイッチ2506は電位差計である。電位差計が調節されると、パルス発生器2502が発生させる電気信号の強度がそれに応じて増大するか減少する。パルス発生器2502は、第一のタイマー2530及び第二のタイマー2532並びに
図25に示されるような追加回路を含む。
【0073】
また、パルス発生器2502は出力段2540も含む。簡単のため、
図25に示される出力段2540には、1チャネル用の出力部(つまり、第一の電極2004及び第二の電極2008のうち一方に提供される出力部)しか示されていないが、第二の出力チャネルも同様に設けられる。出力段2540は、MOSFET2542及び変圧器2544を含む。出力段2540は、電気信号を出力部2508に送る前に電気信号の出力電圧を上昇させて、その出力部2508が患者組織に伝えるための電極に電気的に結合される。
【0074】
図26は、
図20の刺激システム2000の電子機器層2012に含まれ得る例示的な回路2600のブロック図である。この実施形態では、回路2600は、一次デジタル回路から形成される。回路2600は、電源2602と、バッテリ2604と、制御プロセッサ2606と、電源スイッチ2025b(
図20)と、強度調節入力物2610と、データ通信デバイス2612と、データストレージデバイス2614と、出力段2616と、出力部2618とを含む。動作中において、電源2602はバッテリから2604から電力を受ける。電源2602は、電力を回路2600の他の構成要素に供給する前に、バッテリの電力を所望の電圧に変換する。電源2602はバッテリ充電器2630も含む。バッテリ充電器2630は、外部電源2620からの電力を受けて、バッテリ2604を充電する。
図25を参照して上述したように、一部実施形態では、
図20の刺激デバイス2000の電子機器層2012に含まれる電源は充電可能ではなく、この場合、充電機能を提供する回路2600の構成要素は含まれない。
【0075】
制御プロセッサ2606は、回路2600の動作を制御する。制御プロセッサ2606は、電源2602によって電力供給されて、出力段2616に提供される電気信号を発生させる。また、制御プロセッサ2606は、電源スイッチ2022b及び強度調節入力部2610にも電気的に結合される。制御プロセッサ2606は、電源スイッチ2022bの状態を監視する。制御プロセッサ2606が、電源スイッチの状態が変化したことを検出すると(例えば、使用者が
図20の電源ボタン2020bを押すことに応答して)、制御プロセッサ2606は、それに応じて回路2600をオン又はオフにする。また、制御プロセッサ2606は、強度調節入力部2610(例えば、
図20の強度調節スイッチ2022a及び2022c)の状態も監視する。制御プロセッサ2606が、強度調節入力部2610の状態が変化したことを検出すると(例えば、
図20の強度調節ボタン2020a及び2020bを使用者が押したことに応答して)、それに応じて、制御プロセッサ2606は、出力段2616に提供される電気信号の強度を増大又は減少させる。
【0076】
制御プロセッサ2606は、コンピュータ可読ファームウェア2634を記憶しているメモリ2632を含む。ファームウェア2634は、制御プロセッサ2606によって実行されるソフトウェア命令及びアルゴリズムを含み、制御プロセッサ2606によって実行される論理演算を定める。ファームウェア2634のソフトウェア命令及びアルゴリズムを用いて、電気刺激デバイスを所望のモード(経皮電気神経刺激治療を提供するモードや、筋肉刺激治療を提供するモード等)で動作させることができる。一部実施形態では、回路2600は、データ通信デバイス2612を含む。データ通信デバイスは、有線又は無線の通信デバイスを含み、シリアルバス通信デバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス通信デバイス)、ローカルエリアネットワーク通信デバイス(例えば、イーサネット(登録商標)通信デバイス)、モデム、ワイヤレスエリアネットワークデバイス(例えば、802.11x通信デバイス)、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク通信デバイス(例えば、ブルートゥース(登録商標)通信デバイス)、他の通信デバイス等が挙げられる。データ通信デバイス2612を用いて、他のデバイスとデータを送受信することができる。例えば、データ通信デバイス2612を用いて、異なるバージョンのファームウェア2634を回路2600ダウンロードして、制御プロセッサ2606の動作を変更して、
図20の刺激システム2000を所望のモード(イオン導入治療を提供するモード等)で動作させることができる。特定の実施形態では、ファームウェアアルゴリズムは、使用者によってダウンロード可能となる前に購入しなければならないものである。特定の実施形態では、使用者は、ファームウェアアルゴリズムをダウンロードする前に、ウェブサーバの患者インターフェース又は同様の他のインターフェースにアクセスしなければならない。また、回路2600は、メモリカードや他の既知のデータストレージデバイス等のデータストレージデバイス2614も含む。一部実施形態では、データストレージデバイス2614はメモリ2632の一部である。データ通信デバイス2612を用いて他のデバイスへのデータのアップロードを行うこともできる。例えば、制御プロセッサ2606は、データストレージデバイス2614内に電気刺激伝達の記録を記憶し得る。制御プロセッサ2606を用いて、データの記録をデータ通信デバイス2614に送信することによって、外部デバイスに治療の記録をアップロードすることができる。
【0077】
回路2600をオンにすると、制御プロセッサ2606は治療電気信号を発生させて、その信号を出力段2616に提供する。出力段2616は、電気信号を変換及びフィルタリングして、その電気信号を出力部2618に提供する。出力部2618は、
図20の刺激システム2000の第一の電極2004及び第二の電極2008のうち一方に電気的に結合されて、電気信号を患者組織に伝える。
図25を参照して上述したように、簡単のため、
図26には、1チャネル用の出力部(つまり、第一の電極2004及び第二の電極2008のうち一方に提供される出力部)しか示されていないが、第二の出力チャネルも同様に設けられる。
【0078】
図27は、
図26の回路2600を実施するのに使用可能な回路2700の電気回路図である。回路2700は、回路2600の動作を制御する制御プロセッサ2706を含み、また、電源2702と、バッテリ2704と、電源スイッチ2708と、振幅調節スイッチ2710と、出力段2716と、出力部2718とも含む。また、上述のように、回路2700は、バッテリ2704を充電するのに使用可能な外部電源2720にも接続可能である。バッテリ2704(リチウムイオンバッテリであり得る)は、電源2702に電力を提供する。電源2702は、リチウムイオン充電管理制御装置(既製品として入手可能である)及び昇圧器2732並びに図示されている他の電気的構成要素を含む。また、電源2702は、上述のように5V DC電源等の外部電源2720に接続可能である。バッテリ2704が充電可能である一部実施形態では、バッテリ2704は、充電中のバッテリ2704の温度を監視するためのサーミスタを含む。
【0079】
制御プロセッサ2706は、回路2700の動作を制御する。制御プロセッサ2706は、8ビットマイクロプロセッサを含み得て、又は、他のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU,central processing unit)、マイクロコントローラ、プログラマブル論理デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル信号処理(DSP,digital signal processing)デバイス等の一以上の他の処理デバイスを含み得る。制御プロセッサ2706は、縮小命令セットコンピューティング(RISC,reduced instruction set computing)デバイスや、複数命令セットコンピューティング(CISC,complex instruction set computing)デバイス等の一般的なもの、又は、特定用途向け集積回路(ASIC,application specific integrated circuit)デバイス等の特別設計処理デバイスであり得る。
【0080】
制御プロセッサ2706は、電源スイッチ2708及び振幅調節スイッチ2710に電気的に結合される。電源スイッチ2708は、制御プロセッサ2706に信号を提供し、それに応じて、制御プロセッサ2706が、オン状態とオフ状態とで回路2700を変更する。振幅調節スイッチ2710は、制御プロセッサ2706に電気信号を提供し、制御プロセッサ2706は、回路2700が発生させる電気信号の強度を調節するのに用いられる。制御プロセッサ2706が発生させる電気信号は、出力段2716に送られる。
【0081】
出力段2716は、制御プロセッサ2706から受信した電気信号を適切なフォーマットに変換して、電気信号を出力部2718に提供する。簡単のため、
図27に示される出力段2716には、1チャネル用の出力部(つまり、
図20の通信システム2000の第一の電極2004及び第二の電極2008のうち一方に提供される出力部)のみが示されているが、第二の出力チャネルも同様に設けられる。図示されるように、出力段2716は、MOSFET2742及び変圧器2744を含む。他の実施形態では、変圧器2744が含まれず、フライバックコンバータや、適切な出力信号を発生させる他のコンバータが用いられる。
【0082】
上述の説明は単に例示的なものであり、本願で与えられる詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本開示には複数の実施形態が与えられているが、開示されるシステム、デバイス及び方法並びにそれらの構成要素が、本開示の範囲から逸脱せず、多数の他の具体的な形式で実現可能であることを理解されたい。
【0083】
本開示を読んだ後においては、当業者には多様なバリエーション及び修正が想起されるものであり、開示される特徴を、本願で開示される一以上の他の特徴との任意の組み合わせ及びサブコンビネーションで実施し得る(多数の従属項の組み合わせ及びサブコンビネーション等)。上記で説明又は例示した多様な特徴(その構成要素を含む)は、他のシステムと組み合わせたり統合したりすることができるものであり、更には、特定の特徴を省略したり実施しなかったりし得る。
【0084】
変更例、置換例及び修正例は、本願で開示される情報の範囲を逸脱せずに当業者には実施可能なものである。本願でひかれる全ての参考文献は、その全体が参照として本願に組み込まれ、本願の一部を成すものである。