(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記感光性導電フィルムをラミネートする工程の前に、前記引き回し回路パターンの前記遮光性金属層の露出表面のうち、電極パターンとの重複部分を粗す粗化工程を備える、請求項1〜5のいずれかに記載のタッチセンサの形成方法。
前記粗化工程における粗面がJIS B 0601:2001に準拠して測定する算術平均粗さ(Ra)で1nm〜50nmである、請求項6記載のタッチセンサの形成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、本発明者らは、銀繊維などの導電性繊維を含有する導電層を基材フィルムの両面に設け、両面同時に別々のパターンで導電層をパターニングすることを検討していたが、アクティブエリアの外周の引き回し回路をどうやって基材フィルムの両面に形成するかが問題であった。すなわち、銀繊維などの導電性繊維を含有する導電インクを用いインクジェット印刷やシルクスクリーン印刷にて印刷する手法は考えられるが、これらの手法では基材フィルムの両面に同時に加工することが出来ず、また表裏面の位置合わせ精度も良くない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の第1態様は、UVカット性能を有する基材フィルムの両面に遮光性金属層、該遮光性金属層上に各々第1感光性樹脂層を形成する工程と、
前記遮光性金属層上の前記第1感光性樹脂層に、両面で異なるパターンマスクを介して、UV光を照射する露光工程と、
露光した前記第1感光性樹脂層を現像することによりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンで被覆されていない部分の前記遮光性金属層を除去することにより引き回し回路パターンを形成するエッチング工程と、
前記引き回し回路パターンを覆う前記第1感光性樹脂層を少なくとも接続部で剥離除去する工程と、
前記基材フィルムの両面にラミネートされた前記感光性導電フィルムの前記第2感光性樹脂層に、両面で異なるパターンマスクを介して、UV光を照射する露光工程と、
露光した前記第2感光性樹脂層を現像することにより、前記第2感光性樹脂層の除去される部分に積層された前記導電層も一緒に除去し、前記引き回し回路パターンと電気的に接続された電極パターンを形成する現像工程と、を備える、タッチセンサの形成方法を提供する。
【0011】
また、本発明の第2態様は、前記第2感光性樹脂層の厚みが1μm〜2μmである、第1態様のタッチセンサの形成方法を提供する。
【0012】
また、本発明の第3態様は、UVカット性能を有する基材フィルムの両面に遮光性金属層、該遮光性金属層上に各々第1感光性樹脂層を形成する工程と、
前記遮光性金属層上の前記第1感光性樹脂層に、両面で異なるパターンマスクを介して、UV光を照射する露光工程と、
露光した前記第1感光性樹脂層を現像することによりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンで被覆されていない部分の前記遮光性金属層を除去することにより引き回し回路パターンを形成するエッチング工程と、
前記引き回し回路パターンを覆う前記第1感光性樹脂層を少なくとも接続部で剥離除去する工程と、
支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられ第2感光性樹脂層と、該第2感光性樹脂層上に設けられた導電性繊維を含有する導電層とを備える感光性導電フィルムを、前記基材フィルムの前記引き回し回路パターンが形成された両面に前記導電層が密着するようにラミネートする工程と、
前記基材フィルムの両面にラミネートされた前記感光性導電フィルムの前記第2感光性樹脂層に、両面で異なるパターンマスクを介して、UV光を照射する露光工程と、
露光した前記第2感光性樹脂層を現像することにより、前記第2感光性樹脂層の除去される部分に積層された前記導電層も一緒に除去し、前記引き回し回路パターンと電気的に接続された電極パターンを形成する現像工程と、を備える、タッチセンサの形成方法を提供する。
【0013】
また、本発明の第4態様は、前記第2感光性樹脂層及び前記導電層の合計厚みが1〜3μmである、第1〜3態様のいずれかのタッチセンサの形成方法を提供する。
【0014】
また、本発明の第5態様は、前記第1感光性樹脂層を剥離除去する工程が前記第1感光性樹脂層を全て除去するものであり、
さらに、前記感光性導電フィルムをラミネートする工程の前に、前記引き回し回路パターンの前記遮光性金属層をPAS層を前記接続部を除いて被覆する工程を備える、第1〜4態様のいずれかのタッチセンサの形成方法を提供する。
【0015】
また、本発明の第6態様は、さらに、前記感光性導電フィルムをラミネートする工程の前に、前記引き回し回路パターンの前記遮光性金属層の露出表面のうち、電極パターンとの重複部分を粗す粗化工程を備える、第1〜5態様のいずれかのタッチセンサの形成方法を提供する。
【0016】
また、本発明の第7態様は、前記粗化工程における粗面がJIS B 0601:2001に準拠して測定する算術平均粗さ(Ra)で1nm〜50nmである、第6態様のタッチセンサの形成方法を提供する。
【0017】
また、本発明の第8態様は、 基材フィルムと、該基材フィルムの両面に第1〜7態様のいずれかの方法により形成された引き回し回路パターン及び電極パターンを備える、タッチセンサを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のタッチセンサの製造方法及びタッチセンサは、上記のように構成したので、引き回し回路パターンを基材フィルムの両面に同時に加工することが出来、表裏面の位置合わせ精度に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
下記で、本発明に係る実施形態を図面に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明の実施例に記載した部位や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
〔第一実施形態〕
<タッチセンサ>
タッチセンサ30は、電子機器表示窓のカバーガラスの裏面に貼り合わせられた、静電容量方式のものである。具体的には、
図1に示すように、透明な基材フィルム1と、基材フィルム1の両面に各々、中央部1aの電極パターン25を有するように形成された透明導電膜と、外枠部1bの引き回し回路パターン5を有するように形成された遮光性導電膜とを備えている。
【0022】
ここでタッチセンサ30の中央窓部1aに形成される電極パターン25について補足説明する。当該電極パターン25は表裏でパターンが異なる。例えば、
図2に示すように、基材フィルム1の裏面には、平面視して菱形形状を持つ菱形電極251aと、この菱形電極251a複数を図中縦方向(Y方向)に貫く接続配線251bとを中央部1aに備えている。複数の菱形電極251aと接続配線251bとは、相互に電気的に接続されている。また、このような、接続配線251b及びそれに貫かれた複数の菱形電極251aを一組として、当該一組が図中横方向(X方向)に繰り返し配列される。一方、これと同じようにして、基材フィルム1の表面には、複数の菱形電極252aと、それらを貫く接続配線252bとを中央部1aに備えている。ただし、この場合、接続配線252bの延在方向は、接続配線251bのそれとは異なり、図中横方向(X方向)である。また、それに伴い、接続配線252b及びそれに貫かれた複数の菱形電極252aからなる一組が、繰り返し配列される方向は、図中縦方向(Y方向)である。そして、
図2から明らかなように、菱形電極251aは、複数の接続配線252b間の隙間を埋めるように配置される一方、菱形電極252aは、複数の接続配線251b間の隙間を埋めるように配置される。
図2では更に、菱形電極251aと菱形電極252aとの配置関係は相補的である。つまり、菱形電極251aをマトリクス状に配列する場合に生じる菱形形状の隙間を埋めるように、複数の菱形電極252aは配列されているのである。
【0023】
このようにX方向電極及びY方向電極が平面視して格子を形作るように配置されているので、この格子上のいずれかの位置にユーザの指等がカバーガラスを介して触れれば、当該指等とそれが触れるX方向電極との間にコンデンサが形成され、また、当該指等とそれが触れるY方向電極との間にコンデンサが形成される。このコンデンサの形成によって、当該のX方向電極及びY方向電極の静電容量は増大する。外部回路の位置検出部は、このような場合において生じる静電容量の変化量、あるいは更には最大の静電容量をもつX方向電極及びY方向電極を検出し、どこに触れたかを、特定値たるX座標値及びY座標値の組として取得することが可能となる。
【0024】
前記構成を有するタッチセンサを得る方法を、以下に詳しく説明する。
【0025】
<引き回し回路の形成方法>
第一実施形態に係る発明の引き回し回路の形成方法は、UVカット性能を有する基材フィルム1の両面に遮光性金属層2、該遮光性金属層2上に各々第1感光性樹脂層3を形成する工程(
図3参照)と、前記遮光性金属層2上の前記第1感光性樹脂層3に、両面で異なるパターンマスク10,11を介して、UV光15を照射する露光工程(
図4参照)と、露光した前記第1感光性樹脂層3を現像することによりレジストパターン4を形成する工程(
図5参照)と、前記レジストパターン4で被覆されていない部分の前記遮光性金属層2を除去することにより引き回し回路パターン5を形成するエッチング工程(
図6参照)と、前記引き回し回路パターン5を覆う前記第1感光性樹脂層3を全て剥離除去する工程(
図7参照)と、前記引き回し回路パターン5の前記遮光性金属層2をPAS層6を前記接続部5aを除いて被覆する工程(
図8参照)とを備える。
【0026】
(1.遮光性金属層、第1感光性樹脂層の積層工程)
基材フィルム1としては、透明性、柔軟性、及び絶縁性等に優れた材料を用いて構成されていることが好ましい。このような要求を満足する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやアクリル系樹脂等の汎用樹脂、ポリアセタール系樹脂やポリカーボネート系樹脂等の汎用エンジニアリング樹脂、ポリスルホン系樹脂やポリフェニレンサルファイド系樹脂等のスーパーエンジニアリング樹脂等からなる樹脂フィルムが例示される。基材フィルム1の厚みは、例えば、25μm〜100μmとすることができる。なお、基材フィルム1は、フィルムガラス等を用いて構成されても良い。
【0027】
ところで、本実施形態のような透明な基材フィルム1を中心として、その両面に電極及び引き回し回路を設ける構成では、後述する電極パターン25の形成方法においてフォトリソグラフィ法にて第2感光性樹脂層23の硬化パターン24を形成する際に、基材フィルム1の一方の面側から照射されたUV光15のうち、第2感光性樹脂層23に吸収されなかったUV光15が、基材フィルム1の他方の面側の第2感光性樹脂層23に到達するため、基材フィルム1の両面に異なるパターンの電極を同時に形成することはできないことが問題となる。
【0028】
そこで、両面同時露光を行なう場合には、基材フィルム1としてUVカット機能を有する層を用いる。基材フィルム1としてUVカット機能を有する層を用いることにより、基材フィルム1の一方の面側から照射されたUV光15のうち、第2感光性樹脂層23に吸収されなかった光が、基材フィルム1の他方の面側の第2感光性樹脂層23に到達することを防止することができる。UV光15をカットするために用いられる光吸収材料としては、UV吸収剤やUV吸収機能を有する樹脂などが挙げられ、基材フィルム1にUV吸収剤を添加させたり、基材フィルム1を構成する樹脂とUV吸収機能を有する樹脂とを共重合させたりすることができる。
【0029】
基材フィルム1に含有されるUV吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などが挙げられる。具体的には、例えばベンゾトリアゾール系UV吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。また、例えばトリアジン系UV吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を混合して使用してもよい。
【0030】
また、UV吸収機能を有する樹脂は、上記で挙げたベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などの非反応性UV吸収剤に、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基などの重合性二重結合を有する官能基や、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などを導入したものである。これらの樹脂と、基材フィルム1層20、40に含有される樹脂を共重合させてUV吸収機能を有する基材フィルム1として用いることができる。
【0031】
光吸収材料の含有量は、基材フィルム1の一方の面の第2感光性樹脂層23に吸収されなかった光が他方の面の第2感光性樹脂層23に到達することを防止できれば特に限定されない。
【0032】
遮光性金属層2は、導電率が高くかつ遮光性の良い単一の金属膜やそれらの合金または化合物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。その好ましい金属の例としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、錫などが挙げられる。とくに銅箔からなる厚み20〜1000nmの金属膜は、導電性、遮光性に優れるため非常に好ましい。より好ましくは、厚み30nm以上である。さらに好ましくは、100〜500nmにするとよい。100nm以上の厚みに設定することで高い導電性の遮光性金属層2が得られ、500nm以下にすることで取り扱いやすく加工性に優れた遮光性金属層2が得られるからである。
【0033】
第1感光性樹脂層3は、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等で露光し、後述するアルカリ性水溶液等で現像が可能な厚さ10〜20μmのアクリル系フォトレジスト材料などで構成する。第1感光性樹脂層3の形成方法は、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法、ドライフィルムレジスト法などの各種方法により全面形成した後に露光・現像してパターニングするとよいが、中でもドライフィルムレジスト法がより好ましい。
【0034】
ドライフィルムレジスト法に用いるドライフィルムレジスト(DFR)は、前記した各第1感光性樹脂層3となる感光層がベースフィルムとカバーフィルムによってサンドウィッチされているフィルムである。上記した印刷法、コート法、塗装法などは、片面コーティングしかできず効率が悪いなどの問題があるのに対し、ドライフィルムレジスト法は、カバーフィルムを剥離した後に感光層を加熱ロールで接着する方法であるため、生産性が高く、多様な要求に応じられることから主流になっている。なお、露光は、通常、ベースフィルムの上からパターンマスクを配置して行ない(図示せず)、ベースフィルムを剥離した後に現像を行なう。ドライフィルムレジストのベースフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートなどからなるものを用いることができる。また、ドライフィルムレジストのカバーフィルムとしては、ポリエチレンなどからなるものを用いることができる。
【0035】
(2.露光工程)
露光工程での露光方法としては、パターンマスクを通してUV光15を画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。UV光15の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザ等の紫外線を有効に放射するものも用いられる。また、レーザ露光法などを用いた直接描画法によりUV光15を画像状に照射する方法を採用してもよい。
【0036】
ところで、樹脂フィルムからなる基材フィルム1には伸びの問題がある。それゆえに前記積層体の第1感光性樹脂層3のパターニングは、本発明のように両面同時露光によるのが適している。何故なら、第1感光性樹脂層3のパターニングを片面ずつ露光して行う場合、片面のパターニングが終了し、露光装置に積層体の表裏を入れ替えて再び取り付け際に基材フィルム1に伸びが生ずると、表面の硬化パターン3aと裏面の硬化パターン3aとが位置ずれを起こすことになるからである。
図2に示す例の場合、菱形電極251aと菱形電極252aとの配置関係は相補的であるので電極パターン25の精度は重要であり、表面の硬化パターン3a(最終的に引き回し回路の反転パターン)と裏面の硬化パターン3a(最終的に引き回し回路の反転パターン)とが位置ずれを起こすと、これら電極パターン25との接続が不確実になる。
【0037】
両面同時露光の際、遮光性導電膜が反対側の面のUV光15を遮断するので、同時に違うマスクパターンで露光しても反対側の第1感光性樹脂層3のパターニングに影響を及ぼすこともない。したがって、両面同時に露光することが可能なため、表面の硬化パターン3aと裏面の硬化パターン3aとの位置あわせがしやすく、一回の工程で両面パターン化でき、生産性も優れる。
【0038】
なお、表マスク及び裏マスクのアライメントは、両面露光装置の公知のマスクアライメント方法を用いることができる。たとえば、表マスク及び裏マスクにそれぞれマスク用アライメントマークを形成し、カメラ等の光学的に読み込むセンサが、一対のマスク用アライメントマーク同士の重畳状態を読み取ることで表マスク及び裏マスクの相対的な位置情報を得る。そして、得られた位置情報に基づいて、マスク位置調整機構が、一対のマスク用アライメントマーク同士が中心を合わせて重合するように表マスク及び裏マスクを相対的に移動させることで、表マスク及び裏マスクのアライメントを行う方法などである。
【0039】
上記の工程を経ることにより、基材フィルム1両面の遮光性金属層2上に、硬化パターン3aを有する第1感光性樹脂層3を各々備えたものが得られる(
図4参照)。
【0040】
(3.現像工程)
現像工程では、ウェット現像により第1感光性樹脂層3の硬化部以外の部分が完全に除去される。これにより、所定のパターンを有するレジストパターン4が形成される。
【0041】
ウェット現像は、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の感光性樹脂に対応した現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により行われる。
【0042】
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0043】
また、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる水系現像液を用いることができる。ここで、アルカリ水溶液に含まれる塩基としては、上述の塩基以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール、1、3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンが挙げられる。有機溶剤としては、例えば、3アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量添加することもできる。
【0044】
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。これらのうち、高圧スプレー方式を用いることが、解像度向上の観点から好ましい。
【0045】
上記の工程を経ることにより、基材フィルム1両面の遮光性金属層2上に、レジストパターン4として機能する第1感光性樹脂層3を各々備えたものが得られる(
図5参照)。
【0046】
(4.エッチング工程)
エッチング工程では、塩化第二鉄などのエッチング液で遮光性金属層2を同時にエッチングし、レジストパターン4が形成されていない部分の遮光性金属層2を除去する。
【0047】
上記の工程を経ることにより、基材フィルム1の両面に、引き回し回路パターン5を各々備えたものが得られる(
図6参照)。
【0048】
(5.レジスト剥離工程)
本実施形態のレジスト剥離工程では、パターン化された遮光性金属層2上に残存する第1感光性樹脂層3をレジスト剥離液でもって全て剥離し、遮光性金属層2の表面全体を一旦、露出させる(
図7参照)。
【0049】
レジスト剥離液としては、酸性剥離液またはアルカリ性剥離液が使用されている。酸性剥離液の代表的なものとしては、アルキルベンゼンスルホン酸に、フェノール化合物、塩素系溶剤、芳香族炭化水素等を配合した剥離液が市販されている。また、アルカリ性剥離液としては、水溶性有機アミンと、ジメチルスルホキシドのような有機溶剤とからなる剥離液が市販されている。
【0050】
(6.PAS層形成工程)
PAS(パッシベーション)層は、前記引き回し回路パターン5の接続部5a以外を被覆し、前記引き回し回路パターン5を保護する絶縁性の防錆層として機能している(
図8参照)。PAS層6は、前記レジストパターン4と同様の材料、方法を用いることができる。
【0051】
<電極パターンの形成方法>
本実施形態に係る発明の電極パターン25の形成方法は、前記した引き回し回路パターン5の各形成工程の後、以下の工程を経て行われる。
すなわち、支持フィルム21と、該支持フィルム21上に設けられ導電性繊維を含有する導電層22と、該導電層22上に設けられた第2感光性樹脂層23とを備える感光性導電フィルム20を、前記基材フィルム1の前記引き回し回路パターン5が形成された両面に前記第2感光性樹脂層23が密着するようにラミネートする工程(
図9参照)と、前記基材フィルム1の両面にラミネートされた前記感光性導電フィルム20の前記第2感光性樹脂層23に、両面で異なるパターンマスク12,13を介して、UV光15を照射する露光工程(
図10工程)と、露光した前記第2感光性樹脂層23を現像することにより、前記第2感光性樹脂層23の除去される部分に積層された前記導電層22も一緒に除去し、前記引き回し回路パターン5と電気的に接続された電極パターン25を形成する現像工程(
図11参照)と、を備える。これらの工程を経ることにより、基材フィルム1上にパターニングされた導電膜(電極パターン25)を備えるタッチセンサが得られる。
【0052】
(7.ラミネート工程)
図9に示すラミネート工程は、例えば、感光性導電フィルム20を、加熱しながら感光性樹脂層側を基材フィルム1に圧着することにより積層する方法により行なわれる。なお、この作業は、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。
【0053】
支持フィルム21としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。なお、これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂層から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されたもの或いは材質であったりしてはならない。
【0054】
また、支持フィルム21の厚みは、5〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、15〜100μmであることが特に好ましい。支持フィルム21の厚みが5μm未満であると、機械的強度が低下し、導電層22を形成するために導電性繊維分散液若しくは第2感光性樹脂層23を形成するために感光性樹脂組成物を塗工する工程、又は露光した感光性樹脂層3を現像する前に支持フィルム21を剥離する工程において、支持フィルム21が破れやすくなる傾向がある。一方、支持フィルム21の厚みが300μmを超えると、支持フィルム21を介してUV光15を第2感光性樹脂層23に照射する場合にパターンの解像度が低下する傾向があり、また価格が高くなる傾向にある。
【0055】
支持フィルム21のヘーズ値は、感度及び解像度を良好にできる観点から、0.01〜5.0%であることが好ましく、0.01〜3.0%であることがより好ましく、0.01〜2.0%であることが特に好ましく、0.01〜1.0%であることが極めて好ましい。なお、ヘーズ値はJIS K 7105に準拠して測定することができ、例えば、NDH−1001DP(日本電色工業(株)製、商品名)等の市販の濁度計などで測定が可能である。
【0056】
導電層22に含有される導電性繊維としては、例えば、金、銀、白金などの金属繊維、及びカーボンナノチューブなどの炭素繊維が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性の観点からは、金繊維又は銀繊維を用いることが好ましい。金繊維及び銀繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、形成される導電膜の導電性を容易に調整できる観点からは、銀繊維がより好ましい。
【0057】
上記の金属繊維は、例えば、金属イオンをNaBH4等の還元剤で還元する方法、又は、ポリオール法により調製することができる。
【0058】
導電性繊維の繊維径は、1nm〜50nmであることが好ましく、2nm〜20nmであることがより好ましく、3nm〜10nmであることが特に好ましい。また、導電性繊維の繊維長は、1μm〜100μmであることが好ましく、2μm〜50μmであることがより好ましく、3μm〜10μmであることが特に好ましい。
【0059】
導電層22は、導電性繊維同士が接触してなる網目構造を有することが好ましい。このような網目構造を有する導電層22は、本実施形態では第2感光性樹脂層23の支持フィルム21側表面に形成され、支持フィルム21を剥離したときに露出する表面においてその面方向に導電性が得られるのであればよい。したがって、本明細書中の「導電層22上に設けられた第2感光性樹脂層23」との定義においては、網目構造を有する導電層22が第2感光性樹脂層23の支持フィルム21側表層に含まれる形態で形成されている場合も入っている。
【0060】
導電層22の厚みは、本感光性導電フィルム20を用いて形成される導電膜若しくは導電パターンの用途や求められる導電性によっても異なるが、1μm以下であることが好ましく、1nm〜0.5μmであることがより好ましく、5nm〜0.1μmであることが特に好ましい。導電層22の厚みが1μm以下であると、450〜650nmの波長域での光透過率が高く、パターン形成性にも優れ、特に透明電極の作製に好適なものとなる。
【0061】
導電性繊維を含有する導電層22は、例えば、支持フィルム21上に、上述した導電性繊維を水及び/又は有機溶剤、必要に応じて界面活性剤などの分散安定剤などを加えた導電性繊維分散液を塗工した後、乾燥することにより形成することができる。乾燥後、支持フィルム21上に形成した導電層22は、必要に応じてラミネートされてもよい。塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、30〜150℃で1〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。導電層22において、導電性繊維は界面活性剤や分散安定剤と共存していてもかまわない。
【0062】
第2感光性樹脂層23としては、(a)バインダーポリマー、(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(c)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物から形成されるものが挙げられる。
【0063】
(a)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物の反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0065】
(c)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0066】
第2感光性樹脂層23は、導電層22を形成した支持フィルム21上に、溶剤に溶解した、固形分10〜60質量%程度の感光性樹脂組成物の溶液を塗布、乾燥することにより形成できる。但し、この場合、乾燥後の感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。
【0067】
塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。塗工後、有機溶剤等を除去するための乾燥は、70〜150℃で5〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
【0068】
第2感光性樹脂層23の厚みは、一般に、乾燥後の厚みで1μm〜15μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。この厚みが1μm未満では塗工が困難となる傾向があり、15μmを超えると光透過の低下による感度が不十分となり転写する感光性樹脂層の光硬化性が低下する傾向がある。
さらに、本実施形態のように、感光性導電フィルム20が支持フィルム21側から、導電性繊維を含有する導電層22、第2感光性樹脂層23の順になる場合、第2感光性樹脂層23の厚みは2μm以下であることが特に好ましい。厚みが2μmを超えると引き回し回路との導通性が低下する傾向がある。
【0069】
本実施形態の感光性導電フィルム20において、上記導電層22及び上記第2感光性樹脂層23の積層体は、両層の合計膜厚を1〜10μmとしたときに450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。導電層22及び第2感光性樹脂層23がこのような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
また、上記導電層22及び上記第2感光性樹脂層23の合計厚みは、3μm以下であることがより好ましい。厚みが3μmを超えると、電極パターン25の形成された箇所と形成されていない箇所との段差が大きくなるため、パターン見えが生ずる。
【0070】
感光性導電フィルム20は、接着層等の層を更に有していてもよい。
【0071】
(8.露光工程)
本実施形態の露光工程では、導電層22上の支持フィルム21がUV光15に対して透明である場合には、支持フィルム21を通してUV光15を照射することができ、支持フィルム21が遮光性である場合には、支持フィルム21を除去した後に第2感光性樹脂層23にUV光15を照射する。
【0072】
露光方法の詳細については、引き回し回路パターン5の形成方法における露光工程で説明した内容と共通するので、共通する内容についてはここでの説明を省略する。
【0073】
なお、本実施形態の基材フィルム1は、前述の通り、UVカット機能を備えたものであり、両面同時露光を行なう場合には、基材フィルム1としてUVカット機能を有する層を用いる。基材フィルム1としてUVカット機能を有する層を用いることにより、基材フィルム1の一方の面側から照射されたUV光15のうち、第2感光性樹脂層23に吸収されなかった光が、基材フィルム1の他方の面側の第2感光性樹脂層23に到達することを防止することができる。
【0074】
上記の工程を経ることにより、基材フィルム1の引き回し回路パターン5が形成された両面に、硬化パターン24を有する第2感光性樹脂層23を各々備えたものが得られる(
図10参照)。なお、本実施形態においては、第2感光性樹脂層23を、支持フィルム21の剥離後、必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことにより更に硬化してもよい。
【0075】
(9.現像工程)
本実施形態の現像工程では、第2感光性樹脂層23の硬化部以外の部分が除去される。具体的には、導電層22上に透明な支持フィルム21が存在している場合には、まず支持フィルム21を除去し、その後、ウェット現像により第2感光性樹脂層23の硬化部以外の部分を除去する。これにより、所定のパターンを有する樹脂硬化層上に導電性繊維を含有する導電層22が残り、電極パターン25が形成される(
図11参照)。
【0076】
ウェット現像の詳細については、引き回し回路パターン5の形成方法における現像工程で説明した内容と共通するので、共通する内容についてはここでの説明を省略する。
【0077】
なお、本実施形態の電極パターン25の形成方法においては、現像後に必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことにより導電パターンを更に硬化してもよい。
【0078】
このように、本発明のタッチセンサの製造方法によれば、引き回し回路パターンを基材フィルムの両面に同時に加工することが出来、表裏面の位置合わせ精度に優れたタッチパネルが得られる。
【0079】
〔第二実施形態〕
<別の電極パターンの形成方法>
本実施形態は、第一実施形態に係るタッチセンサの製造方法と、電極パターン25の形成方法が一部異なる。
すなわち、本実施形態に係る発明の電極パターン25の形成方法は、支持フィルム21と、該支持フィルム21上に設けられ第2感光性樹脂層23と、該第2感光性樹脂層23上に設けられた導電性繊維を含有する導電層22とを備える感光性導電フィルム20を、前記基材フィルム1の前記引き回し回路パターン5が形成された両面に前記導電層22が密着するようにラミネートする工程(
図12参照)と、前記基材フィルム1の両面にラミネートされた前記感光性導電フィルム20の前記第2感光性樹脂層23に、両面で異なるパターンマスク12,13を介して、UV光15を照射する露光工程(
図13参照)と、 露光した前記第2感光性樹脂層23を現像することにより、前記第2感光性樹脂層23の除去される部分に積層された前記導電層22も一緒に除去し、前記引き回し回路パターン5と電気的に接続された電極パターン25を形成する現像工程(
図14参照)と、を備える、これらの工程を経ることにより、基材フィルム上にパターニングされた導電膜(電極パターン25)を備えるタッチセンサが得られる。
【0080】
第一実施形態が支持フィルム21側から導電層22、第2感光性樹脂層23の順で積層された感光性導電フィルム20(いわゆるフェースアップタイプ)であるのに対し、本実施形態は、支持フィルム21側から第2感光性樹脂層23、導電層22の順で積層された感光性導電フィルム20(いわゆるフェースダウンタイプ)である点で、両者は相違する。なお、本明細書中の「第2感光性樹脂層23上に設けられた導電性繊維を含有する導電層22」との定義においては、網目構造を有する導電層22が第2感光性樹脂層23の支持フィルム21とは反対側表層に含まれる形態で形成されている場合も入っている。
【0081】
フェースダウンとすることにより、引き回し回路パターン5を有する遮光性金属層2と電極パターン25を有する導電層22とが直接接触できるようになる。よって、第2感光性樹脂層23の厚みを薄くしなくても、引き回し回路と電極との導通が確実にとれる。
【0082】
その他の第一実施形態と共通する構成については、省略する。
【0083】
〔第三実施形態〕
第一実施形態及び第二実施形態において、さらに下記構成を追加してもよい。
すなわち、前記感光性導電フィルム20をラミネートする工程の前に、前記引き回し回路パターン5の前記遮光性金属層2の露出表面のうち、電極パターン25との重複部分を粗す粗化工程を備えていてもよい。
【0084】
このような工程を加えることにより、前記引き回し回路パターン5の電極パターン25との密着性が向上する。前記粗化工程における粗面がJIS B 0601:2001に準拠して測定する算術平均粗さ(Ra)で1nm〜50nmであるのが好ましい。
【0085】
〔変化例〕
また、上記各実施形態の引き回し回路の形成方法においては、遮光性金属層2上に残存する第1感光性樹脂層3をレジスト剥離液でもって全て剥離し、その後に当該引き回し回路パターン5の接続部5a以外をPAS層6で被覆しているが、これに限定されない。例えば、遮光性金属層2上に残存する第1感光性樹脂層3を接続部5aのみ剥離してもよい。この場合、残存する第1感光性樹脂層3がPAS層6として機能する。
【課題】 引き回し回路パターンを基材フィルムの両面に同時に加工することが出来、表裏面の引き回し回路パターンの位置合わせ精度に優れた、タッチセンサの製造方法及びタッチセンサを提供する。
【解決手段】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられ導電性繊維を含有する導電層と、該導電層上に設けられた第2感光性樹脂層とを備える感光性導電フィルムを用い、両面同時露光及び現像して、基材フィルムの両面に電極パターンを形成するタッチセンサの製造方法において、