(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、保持具(2、4)を、より高い引張力が印加される縦方向の端部(12)から固定表面領域が距離をおかれるように、試料(1)に平坦に固定することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
さらに、複数の試料(1)が同時に引き離され、その際、それらを引き離すための引張力が共通の加圧作動流体(35)を使用することによって気圧式または液圧式で生成されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
プレート状のガラス物品の製造方法であって、前記ガラス物品の試料について端部強度を請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法によって検査し、その端部強度に基づいて最小の曲げ半径を測定し、且つ、前記試料が得られた前記ガラス物品と同様である他のガラス物品を曲げ、その際、曲げ半径は測定された最小曲げ半径を超過しない、前記方法。
ガラス物品としてガラスリボンを製造し、且つその製造後にガラスリボンをロールへと巻き取り、その際、ロール内側でのガラスリボンの曲げ半径が最小曲げ半径を超過しない、請求項9に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、脆性材料製のプレート状の部品の端部強度を測定できる改善された測定方法および相応の測定装置を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、独立請求項の対象によって解決される。有利な実施態様および本発明の改良態様は、それぞれの従属請求項内に示される。
【0009】
本発明を以下で、添付の図に基づいて説明する。図面において、同一の参照番号は同一または相応の要素に関する。以下の図面が示される:
図1 プレート状の脆性破壊部品の破壊強度を測定するための従来の測定装置、
図2 脆性材料製のストリップ状の試料であって、その端部に本発明による測定装置の保持具を備えられた前記試料、
図3 図2に図示された装置の試料端部上の平面図、
図4 ストリップ状の試料における同一の機械的応力の線(等値線)の分布、
図5 本発明による方法を行うための測定装置、
図6 本発明によって測定された曲げ半径を有するガラスリボンのロール、
図7〜9 破壊試験から得られた統計的パラメータの関数としての、ガラス物品の曲げ試験のための最大曲げ半径および最小曲げ半径、
図10 ローリングにより、予め規定された曲げ半径を有する局所的な曲げが印加されたガラスリボンの形態でのガラス物品。
【0010】
ガラス物品の機械的特性の評価における基本的な問題は、第一に、脆性材料の強度の統計的な性質である。ガラスは、例えば延性材料の場合のような弾性限界の観点における強度は有さず、むしろ例えば平均値および散乱によって特徴付けられる破壊統計を有する。従ってガラス強度の測定は、適切な数のランダム試料において行う必要がある(例えばK. Nattermann, A. Habeck: “Bruchstatistik” [破壊統計]、“Festigkeit von Glas−Grundlagen and Messverfahren” [ガラスの強度−基本および測定方法]内、ISBN3−921089−30−1を参照)。特に、生産をモニターするためには、傾向の方向/目標値のずれを示すためのいわゆる管理図が有用である(例えばISO 7870による)。
【0011】
2点曲げ法によって、薄いガラスの端部強度を測定することができる。
図1はこの方法を行うための測定装置2を示す。この方法においては、薄いガラスの試料10が2つの支持プレート25、26の間で挟まれ、その後、それらのプレート25、26を寄せることによって曲げられる。
【0012】
この場合、不均一な状態の応力(試料10の中央で最大)が試料にわたって生じる。従って、試料10の曲げ半径も2つの支持プレート25、26の間の中央で最小である。
【0013】
その際、破壊時の引張応力を、破壊時に存在する最小の曲げ半径R
minを測定することによって、且つ、この値に基づく端部での相応の引張応力を測定することによって測定できる。ここで、引張応力σは曲げ半径に反比例する。曲げ半径R
minは、2つの支持プレート25、26の間の距離に依存する。従って、試料10の破壊時の引張応力を測定するために、破壊の時点での2つの支持プレート51、52の間の距離を簡単に記録することができる。
【0014】
この方法における測定領域の長さは可変であるが、しかし、端部の強度が大きいほど短くなる。一般に、著しく大きな製品の強度を見積もるために、小さい試料における測定結果が使用される。その場合、破損確率を計算するために以下の関係を使用できる:
(1) F
product=1−(1−F
sample)
L
前記指数Lは
(2) L=L
product/L
sample
によって与えられる。
【0015】
ここで、F
sampleおよびF
productは、それぞれ測定試料および最終製品の破損確率であり、L
sampleは測定試料上での測定長であり、且つL
productは最終製品の端部長である。
【0016】
理解されるとおり、製品の端部長と試料との間の比は前記式の指数の中にあり、この理由のために結果に及ぼす影響が非常に大きい。相応して、指数が大きくなると製品の計算された破損確率における不確実性も上昇する。
【0017】
2点曲げ法においては、この方法による非常に短い測定長ゆえに、大きな製品については、この比ひいては破損確率の測定における不確実性が非常に大きい。さらに、「低減された試料の長さ」は、L
product/L
sampleの比の中に含まれ、且つ、各々の試料について個々に計算されなければならない。これは、曲げ応力が試料の長さにわたって分布され、従って一定の応力を使用して「架空の」測定長を計算しなければならないという事実に起因する。追加的な仮定がこの計算に含まれ、且つ、大きな試料に対して結果の不正確性がさらに高まる。
【0018】
この方法においては試料10の全体が曲げられるので、試料10の両方の端部も常にそれらの強度に関して試験される。試料10において、2つの端部が異なった方法で製造される場合、この測定方法は、強度品質が悪い方を製造する製造方法を試験するためにのみ使用できる。
【0019】
以下で本発明を薄いガラスのストリップ状の試料に基づく例示的な実施態様において記載する。しかしながら、本発明を同様の方法で他のプレート状の部品に適用することもできる。特段記載されない限り、薄いガラスまたは薄いガラス試料の代わりに、他の脆性材料、特にガラスセラミックまたはセラミックを使用することも可能である。
【0020】
要約すると、現在慣例的な測定方法の欠点は以下の点で構成される:
・ 測定長が非常に短い。このことが、大きな試料についての再計算において大きな不確実性をもたらす、
・ 試料の長さにわたる応力分布が不均一である。このことも、大きな試料についての再計算においてさらなる不確実性をもたらす、
・ 両方の端部が等しく応力に供されるので、異なって製造された端部を互いに独立して測定できない、
・ 試料全体が曲げられるため、表面領域も曲げ軸の方向における高い引張応力下にあり、その結果、端部および表面の品質次第では破壊が表面で起こり得る、
・ 該方法は均質な厚さの試料のためのみに適しており、なぜなら、そうでなければ、生じる曲げ変形の計算のために使用される近似法がもはや有効ではないからである。
【0021】
本発明による測定方法および測定装置は、実質的に、これまで慣用の2点曲げ法の上述の5つの欠点の全てを解決する:
・ 実質的に任意の長さの試料を使用できる、
・ 試料における応力が、測定範囲にわたって充分に一定である、
・ 試料の2つの端部で引張応力が著しく異なるので、破壊は1つの端部に優先的に起因し、前記端部を予め規定することができ、ひいては他の端部と充分に独立して調査することができる、
・ 表面上の引張応力は、印加された応力プロファイルによって著しく低減される、
・ 試料の厚さ分布が既知である、不均質な厚さの試料もこの方法で調査することができ、なぜなら応力分布を計算するための分析的な解法が存在するからである。
【0022】
前記の課題は、長い試料が短い端部で引き離される本発明によって解決される(引張試験)。これによって力が伝達される点は、好ましくは試料の基底面の重心に隣接する。力が伝達される点が重心にある場合、試料の幅全体にわたって一定の引張応力が生じる。力が伝達される点のシフトは追加的なトルクを付与し、それが典型的には線形または少なくともほぼ線形に下降する応力曲線をもたらすが、しかしいずれにせよ、それは端部に起因し、試料の幅全体にわたる。
【0023】
力が伝達される点の、または試料の短い端部沿いのその位置の適切な選択によって、試験される端部および対向する端部での応力の間の比を調整することが可能であり、その結果、選択された端部の試験が可能である。
【0024】
従って、本発明は、脆性材料製のプレート状の部品の端部の強度を測定する方法を提供し、その際、対向する2つの側面および試料の長手方向に延びる2つの縦方向の端部を有する脆性材料製のストリップ状の試料を準備する。ストリップ状の試料の2つの端部の各々を保持具に接続する。その後、2つの保持具を引き離すことにより、ストリップ状の試料が、試料の長手方向に向く引張応力に供される。ここで、引張応力が、試料の縦方向の2つの端部の間を走る中心線に関して非対称的に伝達されることにより、縦方向の端部の一方に、縦方向の反対側の端部よりも高い引張応力が印加される。その後、試料が破壊するまで引張応力を増加し、且つ、試料の破壊時の引張応力を記録する。この代わりに、予め規定された最大値が達成される程度まで引張応力を増加させることもできる。その際、試料が引張応力の最大値に耐えるかどうかを測定することができる。この方法で、プレート状の材料が、端部強度における特定の要求を満たすかどうかを測定することが可能である。
【0025】
試料が破壊するまで応力を受ける場合、ガラスの強度の統計的なパラメータを測定するために、上述の方法をいくつかの試料で繰り返す。好ましくは、統計的な強度のパラメータ、例えばワイブル分布を測定するために、少なくとも10、好ましくは少なくとも20の試料を試験する。予め規定された引張応力の最大値までの荷重を用いた実施態様のために、統計的な値、例えば破損確率を測定するためにいくつかの試料を使用する方法を繰り返すことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本方法を説明するために、
図2は、ストリップ状の試料1を1つの側面10における平面図で示す。
図3は、該装置を縦方向の1つの端部12における平面図で示す。試料1がストリップ状の形状をしているので、それは長手方向5に延びる2つの縦方向の端部12、13を有する。それぞれの保持具2または4が、ストリップ状の試料1の端部15、16で固定される。
【0028】
試料1は実質的に任意の長さのものであってよい。しかしながらそれは、縦方向の端部の測定範囲において充分に均質な応力プロファイルに調節するために、好ましくは底端部の長さの少なくとも2倍の長さを有するべきである。従って、好ましくは長さが幅の少なくとも2倍長い試料が使用される。例示的な実施態様によれば、寸法20mm×50mmを有する試料が使用される。
【0029】
図に示されるような保持具2、4の特別な形態に限定されることはなく、一般に金属が保持具用の材料として好ましい。金属は脆性材料、例えば特にガラスと比べてより大きな引張力を吸収することができる。しかしながら、引張応力に関してより強い他の材料も保持具として考慮に入れられる。例えば、プラスチックまたは複合材料を保持具のために使用することもできる。
【0030】
20〜300μmの範囲の厚さを有する薄いガラスを試験するために、例えば好ましくは0.1mm〜0.5mmの範囲の厚さを有するプレート状の保持具2、4が好ましい。例示的な実施態様によれば、
図2および3に示される保持具2、4は厚さ0.2ミリメートルを有する。しかしながら明らかに、本発明の適用性に関して、ガラスの厚さについての制限はない。従って、より厚いガラス、例えば1.5mmまでの厚さを有するガラスを、必要があれば相応のより厚い保持具2、4を用いて本発明による方法によって試験することができる。
【0031】
本発明による方法を、特に薄いガラス試料、例えば{10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、65μm、70μm、75μm、85μm、100μm、110μm、120μm、145μm、160μm、180μm、200μm、210μm、250μm}の集合からの厚さtを有するガラスに適用できる。
【0032】
保持具2、4上に印加された引張応力を、固定具を介して、ひいてはストリップ状の試料1上に伝達するために、保持具2、4は各々、力の伝達具を有し、それはここでは鳩目20の形態である。例えば、鳩目20を引張装置の適した固定具内で吊り下げることができる。保持具2、4は、力の伝達具が試料1の端部12、13の1つに向かってストリップ状の試料1の中心線18に対して偏るように、試料1に固定される。力の伝達具は、力の伝達点(引張力の分布の重心を意味する)を規定する。鳩目20またはそれらと相補性のピンが力の伝達具として使用される場合、力の伝達点は典型的には鳩目またはピンの中心に位置する。
【0033】
好ましくは、保持具2、4は試料1の端部14、15に接着接合部7によって接続される。接着接合部7として、一成分系または二成分系の接着剤を使用することが可能である。本発明のさらに他の実施態様によれば、両面接着テープも可能である。接着による取り付けは、保持具の固定部14内で行われる。この場合、固定部14は試料1と重なる保持具2、4の一部であり、且つ、示された例においては、試料1とそれぞれの保持具2、4とを固定する表面領域を規定する。
【0034】
図2および
図3に基づいて示されるとおり、試料1は、好ましくは引張方向に対して交差する方向で可能な限り大きい幅を有する表面領域にわたって、それぞれの保持具2、4に接続される。結果として、試料1内での引張応力の分布は、可能な限り保持具2、4の近くで既に可能な限り線形である。試料の幅の大部分にわたって延びる、試料1に対する保持具2、4の平坦な接続のおかげで、試料1内の過剰な引張応力も可能な範囲で防止される。
【0035】
これを強調するために、
図4は試料1における応力分布のシミュレーションを示す。1つだけの保持具および試料1の1つの縦方向の断面を図示する。好ましくは同様の保持具2、4を使用する場合、応力プロファイルも試料1の中心に対して対称である。
図4で図示されるケースでは、力の伝達点または鳩目20の位置は、縦方向の端部13での応力が正確にゼロになるように選択される。
【0036】
応力分布は引張応力の等値線22に基づいて図示され、前記等値線は量に関して同一の引張応力の線である。力の伝達具としての鳩目20は
図4の図面において試料1の中心線18に関して、縦方向の端部12に向かう方向に偏っている。従って、縦方向の端部12では、対向する縦方向の端部13よりも高い引張応力が印加される。
【0037】
図4の基本において理解されるとおり、引張応力の等値線は、保持具2の固定部14からの縦方向の短い距離の後で既に、縦方向の端部12に対して並行である。その際、この領域において、縦方向の端部12での引張応力も一定のままである。そのように変化しない引張応力を、試験されるべき縦方向の端部の最大限可能な長さにわたって得るためには、上記のとおり、固定部14が、ストリップ状の最大限可能な試料の幅にわたって延びていることが有利である。従って一般に、
図2〜4に示される保持具2、4の特別な設計に限定されることはなく、本発明の好ましい実施態様によれば、保持具2、4の少なくとも1つが平坦に試料1に接続され、その際、固定する表面領域は、ストリップ状の試料の幅の少なくとも3/4の幅にわたって、好ましくは少なくとも5/6の幅にわたって、およびより好ましくは全幅にわたって延びる幅を有する。
【0038】
図3の基本から理解できるとおり、特に、保持具2、4を試料1の1つの側面の上(ここでは側面10の上)のみで接着により取り付けることで、一般に充分に固定される。このことにより、試料1の準備が容易になる。従って、本発明の実施態様によれば、保持具2、4は試料1の側面10、11の1つの片側上で固定される。このことは、2つの側面10、11の間での応力において本質的に違いをみちびく。しかしながら、応力におけるそれらの違いは無視できることが判明している。より大きな力では、試料の湾曲が生じることがある。この場合、第二の保持具を対向する側面に鏡面対称で固定することができる。
【0039】
図2〜
図4の例に基づき、本発明のさらに他の有利な改良態様が理解できる。試験されるべきガラスの端部(前記例においては、縦方向の端部12)と、保持具2、4の端部との間に重なりはない。その代わりに、金属の保持具の端部が短い試料端部上を試料1内へと走る。この理由は、試料の端部と保持具の端部とが交差する点で、脆性材料内、例えば特にガラス内に引張応力が生じ、それらの応力が測定範囲における応力よりも明らかに大きいことをシミュレーションが示していることである。換言すれば、保持具2、4は、試料1の上で、固定表面領域(前記例においては固定部14の表面領域によって与えられる)が、試験されるべき縦方向の端部12、つまり、より高い引張応力が作用する縦方向の端部から距離をおいて平らに固定される。示される例において、固定部14は、縦方向の端部12から、ストリップ状の試料の幅のおおよそ1/18に相当する距離dだけ離れている。
【0040】
しかしながら、距離dが長くなると、引張応力の等値線22が試験されるべき縦方向の端部で並行になり縦方向の端部に沿って引張応力が一定になる、固定部14からの距離も長くなる。従って、一般に例示的な実施態様に限定されることなく、本発明の改良態様においては、縦方向の端部から固定する表面領域への距離はストリップ状の試料1の幅の最大1/10である。他方で、上記で議論された過剰な引張応力の作用を防止するために、本発明のさらに他の改良態様によれば、縦方向の端部12からの固定領域の距離が少なくとも試料1の厚さと同じぐらいの長さであることが一般に好ましい。それらの上述の改良態様は、耳部(border)のない周縁部のために特に適している。対照的に、ガラス板の製造に起因して耳部が存在する場合、本発明のさらなる実施態様によれば、距離dは少なくとも耳部の幅と同じぐらいの長さであるべきである。換言すれば、この場合の固定表面領域は、好ましくはそれが本質的に試料の一定の厚さの領域内で耳部に隣接するように選択される。耳部は様々な製造方法、例えばダウンドロー法およびオーバーフローフュージョン法によって、並びにプリフォームからガラスリボンを引き抜くことによって作り出される。
【0041】
力を伝達するための保持具2、4の付近では、測定されるべき縦方向の端部において応力は均質ではない。これは、固定部14に隣接する試料の領域において直線的に走っていない引張応力の等値線に基づき、
図4において理解することができる。固定表面の深さのほぼ2倍のガラス底端部からの距離のところでのみ、変化しない引張応力が試験されるべき縦方向の端部に印加される。
【0042】
力を伝達するための保持具2、4の周辺領域において、端部の応力は、底端部からさらに離れた測定領域よりも著しく小さい。この「保持部領域」において破壊が生じるならば、該試料は破棄されるべきである。
【0043】
力とトルクとの両方のバランスが試料中で支配的でなければならないという手がかりを通じて、均質な厚さを有する単純な場合の縦方向の端部12、13での応力を測定することが可能である。以下の関係が力のバランスに当てはまる:
(3) 力のバランス:
【数1】
【0044】
以下の関係がさらに当てはまる:
(4) トルクのバランス:
【数2】
【0045】
ここで、F
zは引張力であり、且つσは試料1における応力分布である。x
sは重心のx座標であり(x軸は試料の幅に沿って、または引張方向に対して垂直に走る)、且つ、以下によって計算される:
(5) 底領域の重心:
【数3】
【0046】
さらに、線形の応力曲線が試料1の2つの縦方向の端部12、13の間で支配的であり(引張方向に対して垂直、または試料の端部に対して垂直な方向を示すx方向において)、且つ応力が試料の厚さ(y方向)にわたって均質であることを考慮に入れる場合、以下の関係が生じる:
(6) 線形の応力曲線
【数4】
【0047】
従って、各々の試料について、試料中での応力分布を力の伝達点x
Fの関数として計算することができる。これは特に、厚さ分布が既知である場合の不均質な厚さの試料について当てはまる。技術的な手法を使用することによって、例えば有限要素法計算によって応力の分布を計算すること、および特に任意の形状および厚さの分布の試料についてそれを行うことが可能である。
【0048】
さらには、引張応力が試料の幅全体にわたって存在する必要はない。その代わりに、引張応力が縦方向の端部の1つで消滅すること、またはさらには、試験されるべき縦方向の端部に対向する縦方向の端部で圧縮応力が存在することが可能である。しかしながら、圧縮力に供される端部は湾曲が回避されなければならない。縦方向の端部(
図2の例においては縦方向の端部12)で、引張応力が対向する縦方向の端部(
図2における縦方向の端部)よりも実質的に大きくなるように、引張応力を導入できることもさらに有効である。このように、破壊は主により大きな応力に供される端部に由来する。
【0049】
式(6)および
図4の例によれば、一方の縦方向の端部から他方の縦方向の端部へと下降する応力曲線に起因し、該領域は2点曲げ法の場合よりも著しく少ない応力に供される。それに応じて、表面領域の破壊は遙かによりまれにしか生じない。
【0050】
図5は、脆性材料製のストリップ状の試料1の端部強度を測定するための装置29の例示的な実施態様を示す。
【0051】
プレート状の脆性材料の端部強度を測定するための本発明による装置29は一般に、例示的な実施態様に限定されずに、
・ 脆性材料製のストリップ状の試料1の端部を固定するための2つの離れた保持具2、4、並びに
・ 前記保持具2、4の1つに引張力を印加し、保持具2、4に固定されたストリップ状の試料1の長手方向に引張力が伝達するように設定されている引張試験装置30
を含み、その際、
・ 引張試験装置30は、さらに、引張力が連続的に増加し、且つ印加された引張力下で試料が破壊する際に、引張力の、または引張力に相応する値の現在の値が表示または記録されるように設定される。ここでもまた、予め規定された引張力になるまで引張力を増加させることができ、その際、引張試験装置30は試料が引張力または引張力に相応する値の予め規定された最大値に耐えるかどうかを記録するように設定される。既に説明されたとおり、保持具2、4は、引張試験装置30の引張力を保持具2、4に伝達するための力の伝達具を有し、その際、それらの力の伝達具は、引張方向に対して垂直に見た場合に保持具2、4の固定部13の中心に対し側方に偏って配置されるので、保持具2、4に固定された試料1の縦方向の端部12、13上の引張力が異なる。
【0052】
測定された値の間違いを防ぐために、試験の間、試料1のいかなるよじれも防がれる場合が有利である。このために、本発明の改良態様によれば、
図5内に示される例のように、2つの可動台部37が使用され、その両方は同一のガイドレール39の上を走り、従って互いに関して軸に沿って動くことができるのみである。可動台部37の各々の上にピン31が位置しており、そこで鳩目20を用いて保持具2、4を吊すことができる。
【0053】
本発明の改良態様によれば、引張試験装置30は、気圧式または液圧式の引張装置32を含む。このために、図示された例において可動台部37の1つを、気圧式シリンダを介してガイドレール39の載置フレームに接続する。引張装置32に加圧下で作動流体が供給されると、気圧式シリンダが可動台部37に力を印加し、可動台部がガイドレールに沿って対向する保持具
4から離れた方向に向けられる。
【0054】
液圧式または気圧式引張装置32が有利であり、なぜなら作動流体35の圧力に基づき試料に印加される引張力を容易に計算できるからである。従って、本発明の他の改良態様によれば、気圧式または液圧式の引張装置32の作動流体35の圧力を記録するための圧力センサ34が備えられる。従って、作動流体の圧力は引張力に相応する値を表す。作動流体35として適しているのは例えば空気である。
【0055】
圧力センサ34は、圧力値を記録および/または表示できる記録装置40に接続される。作動流体35の圧力が圧力源36によって連続的に増加され、且つ試料1が加圧された作動流体35によって印加された引張力下で破壊する場合、引張力の、または引張力に相応する値の現在の値を記録装置40によって表示および/または記録する。
【0056】
圧力源を、記録装置40によって、またはオーバーライディング制御装置によって、圧力が徐々に増加するように制御することもできる。しかしながら、単純な実施態様によれば、圧力源36を、作動流体35の圧力が時間制御で増加するように設定することもできる。
【0057】
試料1が破壊する時点を測定するための、およびこの時点で印加された引張力を読み取るもしくはメモリに保存するための様々な方法がある。例えば、圧力の経過を記録し、且つ破壊により試料の反力が急激に喪失することに基づき、圧力の急峻な低下が起きたら、その低下の前に支配的である値を表示および/または記録することができる。他の単純な可能性は、試料1が破壊する際に移動する可動台部37によって作動されるスイッチ42を備えることである。その際、スイッチ42によって発せられたスイッチの信号が、引張力の、または相応する値、例えば
図5の例における圧力センサ34の測定された圧力の値の、現在の値を記録する契機となる。
【0058】
試料1を試験するための引張力を液圧式または気圧式で生成することは、他の特別な利点をもたらす。複数の気圧式または液圧式の引張装置32を圧力源36に同時に接続することができる。従って、引張装置32を使用して複数の試料1を同時に試験することも可能である。引張装置32が同一である場合、作動流体の圧力は、試料1への同一の引張力の印加をもたらす。その際、作動流体の引張力または圧力を、全ての試料1が破壊するまで連続的に増加させることができる。各々の破壊が検出され且つ破壊時点での引張力または引張力に相応する値がそれぞれ記録される。
【0059】
従って、本発明の実施態様によれば、複数の試料を、それらの2つの保持具2、4のところで同時に引っ張るかまたは引き離し、その際、試料を引き離すための引張力は、慣例的な加圧作動流体を用いて気圧式または液圧式で生成される。
【0060】
本発明はとりわけ、曲げ荷重下での破壊確率分布のパラメータを測定し、且つ、それらのパラメータに基づき、試験された脆性材料製の物品が耐えることができる曲げ半径を充分に高い確度で測定するために適している。該方法において、予め規定された最大破損率での曲げ荷重下で予め規定された寿命を測定することも可能である。これについての用途は、薄いガラスリボンの巻き取りである。かかる巻き取りは、製造された直後のガラスリボンを切り分ける必要がない。その代わりに、長いガラスリボンを前記のように保管および/または輸送でき、後の時点でそれをさらに解き且つ切り分けることによりさらに加工する。ここで、ガラスリボンの長さが長いので(典型的な長さは例えば20〜300メートルである)、破壊確率も増加するという問題がある。しかしながら、単独の破壊は一般に、ガラスのロール全体が使用不能であるという結果になる。
【0061】
従って、本発明の態様によれば、本発明はプレート状のガラス物品の製造に関し、その際、かかるガラス物品の試料についての端部強度を本発明による方法によって検査し、その端部強度に基づいて最小の曲げ半径を測定し、且つ、好ましくは前記試料が得られたガラス物品と同様である他のガラス物品を曲げ、その際、曲げ半径は測定された最小曲げ半径以上である。同一の厚さの同一のガラスから製造され且つ同様に製造された端部を有するガラス物品が、同様のガラス物品としてみなされる。
【0062】
特に、上記のとおり、ガラス物品はガラスリボンであってよく、その際、ガラスリボンはその製造後に巻取られてロールを形成し、その際、ガラスのロール内側の巻き半径は最小曲げ半径以上である。
【0063】
図6はそのようなガラス100のリボンで構成されたそのようなガラスロール103を示す。ガラスのロールの内側104は、巻取られたガラスリボン100の最内層によって形成され、その際、コア上にガラスリボン100を巻くことも可能である。らせん巻きの結果、ガラスリボン100の個々の層の曲げ半径は、外側に向かってより大きくなる。従って、破壊確率について支配的な要素である最小曲げ半径は内側104に存在する。さらに、ガラス材料を保護するために、シート材料107がそれに巻き込まれ、ガラスリボン100の個々の層が互いの上部に直接的に存在せずに、シート材料107によって分離されることができる。以下でさらに議論されるとおり、ガラス物品、例えばガラスのロール100を、本発明の手段によって、保証された強度の観点で最適化することができ、同時に、最もコンパクトな寸法が可能である。
【0064】
ガラス物品は好ましくはリチウムアルミニウムシリケートガラス、ソーダライムシリケートガラス、ボロシリケートガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、または無アルカリまたは低アルカリアルミノシリケートガラスで構成される。そのようなガラスは、例えば引き出し法、例えばダウンドロー法、オーバーフローフュージョン法によって、またはフロート技術を用いて製造される。
【0065】
有利には、鉄が少ない、または鉄不含のガラス、特にFe
2O
3含有率が0.05質量%未満、好ましくは0.03質量%未満であるものを使用でき、なぜなら、前記ガラスは低減された吸収率を有し、従って特に透過率の増加を可能にするからである。
【0066】
しかしながら、他の用途のためには、灰色のガラスまたは着色ガラスも好ましい。
【0067】
1つの実施態様によれば、その用途のために予め応力をかけられたガラスまたはガラスセラミックが使用される。このガラスまたはガラスセラミックを、イオン交換によって化学的に、熱的に、または熱および化学的な方法の組み合わせによって予め応力をかけることができる。
【0068】
光学ガラス、例えば重フリントガラス、重ランタンフリントガラス、フリントガラス、軽フリントガラス、クラウンガラス、ボロシリケートクラウンガラス、バリウムクラウンガラス、重クラウンガラス、またはフッ素クラウンガラスもガラス材料としてはたらくことができる。
【0069】
有利には、鉄が少ない、または鉄不含のガラス、特にFe
2O
3含有率が0.05質量%未満、好ましくは0.03質量%未満であるものを使用でき、なぜなら、前記ガラスは低減された吸収率、ひいては特に増加した透過率を有するからである。
【0070】
しかしながら、他の用途のためには、灰色のガラスまたは着色ガラスも好ましい。
【0071】
本発明は特に、既に高い強度であるガラスの機械的特性を最適化するために適している。高強度のガラスは、典型的にはガラスも高い機械的負荷にさらされる用途のために使用される。従って、そのようなガラスは表面領域において作用する曲げ応力に耐えるように設計されている。この場合特に、ガラスの端部は著しく弱い点になる。最終的に、高強度のガラス製のガラス板は実際に、板の端部が傷を有し且つ曲げ荷重にも供される場合にすぐに割れる。その際、例えば個々のガラス板が大きな板を分割することによって仕上げられる場合に、端部がそれらの品質において一定のままであるかどうかを本発明の手段によって調査することが可能である。例えば摩耗のせいで、切断用ホイールがガラス端部に損傷を残す場合が考えられる。この場合、ガラス板全体の強度が著しく低下する。その際、該方法を使用して、製造された製品におけるそのような変化を非常に正確に測定し、且つ、端部の形成における改善の効率を試験することができる。本発明によって端部強度をモニターすることによって強度の増加を達成できる高強度のガラスを以下に示す。
【0072】
1つの実施態様によれば、以下の構成を有するガラスが適しており、ここで、モル組成はモルパーセントで示されている:
【0073】
さらに、フッ素のモル含有率のB
2O
3のモル含有率に対する商、即ちF/B
2O
3が、0.0003〜15、好ましくは0.0003〜11、特に好ましくは0.0003〜10の範囲内であることが補助条件として適用される。それらのガラスは化学的に予め応力をかけられていてよく、且つ、モバイル用のディスプレイにおいてカバーガラスとして使用できる。
【0074】
この場合、組成物は好ましくは以下の成分を含有する:
【0075】
特に好ましくは、組成物は以下の成分を含有する:
【0076】
本発明の改良態様によれば、以下から構成されるガラス組成のボロシリケートガラスが好ましい(質量%):
並びに、適宜、着色酸化物の添加剤、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、Nd
2O
3、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3、希土類酸化物: 含有率0〜5質量、または、「黒ガラス」のためには含有率0〜15質量%、並びに、清澄剤、例えばAs
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F、CeO
2: 0〜2質量%。
【0077】
無アルカリボロシリケートガラスは、ガラスの他の適した群を構成する。この場合、以下の組成(質量パーセント)が好ましい:
【0078】
それらのガラスはUS2002/0032117号A1内にも記載されており、その内容も、ガラス組成およびガラス特性に関する全範囲において本願の対象を構成する。この類のガラスは、商品名AF32として本出願人によって販売されている。
【0079】
以下の表は、さらなる無アルカリボロシリケートガラスの成分の含有率を示し、並びに右の欄においてはこのガラスに基づく同様の特性を有するガラスの類の組成範囲を示す:
【0080】
好ましいガラスの種類のさらに他の分類は、以下の組成(質量パーセント)を有するボロシリケートガラスを含む:
【0081】
このガラス分類のガラスは、SchottガラスD 263である。より正確な組成を有するガラスは、US2013/207058号A1内にも記載されており、その内容もガラス組成およびその特性に関する全範囲において本願の対象を構成する。
【0082】
ソーダライムガラスも適している。以下の表に挙げられているのは、2つの例示的な実施態様および好ましい組成範囲による成分の質量パーセントでの割合である:
【表1】
【0083】
ガラス2は、フロート法によるシートガラスの製造のために特によく適している。
【0084】
1つの実施態様によれば、さらにガラスとして以下から構成される組成のソーダライムシリケートガラスが使用される(質量%):
並びに、適宜、着色酸化物の添加剤、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、Nd
2O
3、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3、希土類酸化物: 含有率0〜5質量、または、「黒ガラス」のためには含有率0〜15質量%、並びに、清澄剤、例えばAs
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F、CeO
2: 0〜2質量%。
【0085】
本発明のさらに他の実施態様によれば、以下から構成される組成のリチウムアルミニウムシリケートガラスがガラス材料として使用される(質量%):
並びに、適宜、着色酸化物の添加剤、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、Nd
2O
3、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3、希土類酸化物: 含有率0〜1質量%、並びに、清澄剤、例えばAs
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F、CeO
2: 0〜2質量%。
【0086】
以下から構成されるガラス組成のアルカリアルミノシリケートガラスが担体材料としての使用のためにさらに好ましい(質量%):
並びに、適宜、着色酸化物の添加剤、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、Nd
2O
3、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3、希土類酸化物: 含有率0〜5質量、または、「黒ガラス」のためには含有率0〜15質量%、並びに、清澄剤、例えばAs
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F、CeO
2: 0〜2質量%。
【0087】
以下から構成されるガラス組成の無アルカリアルミノシリケートガラスが担体材料としてさらに好ましく使用される(質量%):
並びに、適宜、着色酸化物の添加剤、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、Nd
2O
3、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3、希土類酸化物: 含有率0〜5質量、または、「黒ガラス」のためには含有率0〜15質量%、並びに、清澄剤、例えばAs
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F、CeO
2: 0〜2質量%。
【0088】
以下から構成されるガラス組成の低アルカリアルミノシリケートガラスがさらに好ましく使用される(質量%):
並びに、適宜、着色酸化物の添加剤、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、Nd
2O
3、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3、希土類酸化物: 含有率0〜5質量、または、「黒ガラス」のためには含有率0〜15質量%、並びに、清澄剤、例えばAs
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F、CeO
2: 0〜2質量%。
【0089】
例えば薄いガラス、例えばSchott AG、Mainzの、商品名D263、D263 eco、B270、B270 eco、Borofloat、Xensation Cover、Xensation cover 3D、AF45、AF37、AF 32、またはAF32 ecoとして市販されているものを使用することが可能である。
【0090】
他の実施態様において、脆性材料は、ガラスセラミック、特にガラスセラミック板の形態であり、その際、ガラスセラミックはセラミック化されたアルミノシリケートガラスまたはリチウムアルミノシリケートガラス、特に化学的および/または熱的に硬化された、セラミック化されたアルミノシリケートガラスまたはリチウムアルミノシリケートガラスで構成される。他の実施態様において、脆性材料はセラミック化可能な出発ガラスを含み、前記出発ガラスは燃焼に際してセラミック化するか、または熱の作用下で連続してセラミック化され、且つそのことによって高められた防火安全性がもたらされる。
【0091】
好ましくは、出発ガラスの以下の組成を有するガラスセラミックまたはセラミック化可能なガラスが使用される(質量%):
【0092】
他の実施態様において、以下の組成を有するガラスセラミックまたはセラミック化可能なガラスが出発ガラスとして好ましく使用される(質量%):
【0093】
他の実施態様において、以下の組成を有するガラスセラミックまたはセラミック化可能なガラスが出発ガラスとして好ましく使用される(質量%):
【0094】
ガラスセラミックは好ましくは高石英混晶またはキータイト混晶を支配的な結晶相として含有する。微結晶の大きさは好ましくは70nm未満、より好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下である。
【0095】
その際、本発明による方法または装置は、大きな表面積を有するガラス物品、例えば薄いガラスリボン100、特に巻かれた薄いガラスリボン100を有するガラスのロール103の形態での前記ガラスリボンのための破壊試験を、ガラス物品が破壊されないことを確実にして、特に曲げ荷重に起因する規定された引張荷重に耐えるように特定するためにも適している。このために、ガラス物品をさらに使用するか、またはさらに加工する前に、ガラス物品を規定された曲げ荷重に供し、前記の規定された曲げ荷重は本発明による方法によって得られたデータを使用することによって示される。従って、その際、ガラス物品はいかなる場合でも、破壊することなく非常に高い確率でこの大きさの曲げ荷重に耐える。本発明のこの実施態様を、以下でより詳細に説明する。
【0096】
プレート状の脆性材料の端部強度を測定するための本発明による方法において、破壊応力σ
1・・・σ
NについてのN個の値で構成されるランダム試料を採用し、且つ値
【数5】
がそこから計算され、ここで、Eはガラスの弾性率を示し、且つt
iはi番目の試料の端部での厚さを示す。値R
iは、端部に同一の引張応力で応力がかけられた際の引張応力に相応する曲げ半径である。これらの値から、ランダム試料について、曲げ半径についての平均値<R>および分散sが、好ましくは以下に従って計算される:
【数6】
【0097】
その際、ガラス物品全体、特にガラスシートが曲げられ、その相対分散s/<R>に依存して、2つの曲げ方向についてのその曲げ半径R
PTは、
図7における曲線によって規定される領域内、即ち、2つの曲線R
PT,maxとR
PT,minとの間にある。曲がりは、ガラス物品がローラーを通過することによって生成される。
図7において示されるグラフにおいては、試料1が破壊した際の、ガラス物品の曲げ半径の、曲げ半径の平均値<R>に対する比が、縦座標上に相対分散s/<R>の関数としてプロットされている。
【0098】
ランダム試料Nの数が少なくとも20であり、引張応力または相応の曲げ半径R
iについての最大値の10%および最小値の10%がランダム試料から破棄され、且つ、その残り(いわゆる「補強されたランダム試料」)のみから、平均値および分散が式(8)および(9)に従って導出される。その際、ガラス物品を、好ましくはローラー上で引っ張ることによって曲げることができ、相対分散s/<R>に依存して、それらの曲げ半径R
PTは、2つの反対の曲げ方向についての
図8内の曲線R
PT,minおよびR
PT,maxによって定義された領域内にある。
【0099】
R
PT,maxおよびR
PT,minの値は、相対分散s/<R>に関係する。相対分散が高い場合、これは、破壊試験における曲げ応力または相応して曲げ半径に大きなばらつきがあることを意味する。相応して、より高いばらつきでは、ガラス物品全体の破壊試験のためにより大きな曲げ半径も選択されて、前記選択された曲げ半径に相応する特定の破壊強度を保証することができる。
【0100】
等価なガラス物品の試料の破壊強度の相対分散に方向付けられ且つできるだけ小さな曲げ半径を有する狭い範囲を規定する
図7または
図8による曲線R
PT,max/<R>(s/<R>)とR
PT,min/<R>(s/<R>)との間の曲げ半径を選択することによって、非常に高い破壊強度を保証し、且つさらに、実際には著しく弱い点を有するガラス物品に対する破壊試験における不合格品を制限することが可能である。
【0101】
図7および
図8の曲線R
PT,max/<R>とR
PT,min/<R>との間の領域は、互いに対してわずかに変位している。上述の両方の試験条件について、即ち、一方では
図7によるR
PT,max/<R>〜R
PT,min/<R>の範囲内の値が望まれるランダム試料、且つ他方では、
図8によるR
PT,max/<R>〜R
PT,min/<R>の範囲内の相応の曲げ半径が生じる、調整されたランダム試料について、包括的な範囲を特定することが可能である。このために、
図9は、
図7および8の曲線R
PT,max/<R>およびR
PT,min/<R>、並びに好ましい限界値R
min/<R>(s/<R>)、R
max/<R>(s/<R>)を示し、その間に曲線R
PT,max/<R>およびR
PT,min/<R>がある。
【0102】
従って、本発明の実施態様によれば、薄い平坦なガラス物品全体の破壊試験のための曲げ半径は、それがR
min/(s/<R>)、R
max/(s/<R>)の範囲内にあるように選択される。この場合、曲げ半径R
min/(s/<R>)、R
max/(s/<R>)について以下の関係が用いられる:
【数7】
【0103】
従って、本発明は、高い破壊強度を有するプレート状のガラス物品(例えば薄いガラスリボン100またはガラスのロール103)を提供するための方法であって、
・ プレート状の脆性材料の端部強度を測定するための本発明による方法によって、複数の試料1(総数N)を使用して、試料1が各々破壊する引張応力を測定し、
・ それらの値から、各々の試料1が破壊する際の引張応力に相応する曲げ半径R
iの平均値<R>を計算し、且つ前記平均値を使用して、
・ 分散sを好ましくは
【数8】
によって計算し、その際、
・ 試料(1)と同じガラス材料製のガラス物品、好ましくはガラスリボン(100)を曲げて、前記ガラス物品が曲げ半径R
PTまたは相応の引張応力に耐えるかどうかを試験し、その際、
・ 前記曲げ半径R
PTは、相対分散s/<R>に依存する半径R
min〜R
maxの範囲内にあるように選択され、その際、
・ 半径R
minおよびR
maxは、上記の式i)およびii)によって与えられる、
前記方法にも関する。
【0104】
半径R
iを、特に式(7)によって決定できる。
【0105】
本発明に関して同様のガラス材料とは、同様の端部処理を用いた、同一の組成且つ同一の厚さのガラスであると理解されるべきである。特に、このために、試料1がそれ自体、ガラス物品から切り出される。選択的に、試料1を、提供されるべき実際のガラス物品と同様の方法で、前もってまたは後で製造された他のガラス物品から得ることができる。例えば本発明による方法によって試験された試料1の端部が、それらの特性に関してガラス物品の単数または複数の端部とは異なる場合、試料1の引張強度についての測定結果からガラス物品の端部強度における結論をそのまま引き出すことはもはや不可能である。
【0106】
このために、
図10はガラスリボン100の形態のガラス物品を模式的に示し、前記ガラス物品は矢印に沿って進められ、且つロールまたはローラー8、9の上を導かれて、ローラー8、9によって予め規定された曲げ半径R
PTを有する曲げがガラスリボン上に局所的に付与される。ガラス物品は好ましくは曲げ方向とは反対の曲げを用いて試験される。このために、
図10の例においては、ローラー8、9がガラスリボン100の上下に配置されて、ガラスリボンがローラー8、9の1つの周りで2つの側面10、11の各々のところで曲げられる。
【0107】
1つの実施態様によれば、好ましくは非常に大きい表面積を有し且つガラスリボンの形態で延伸されているガラス物品全体が、R
min〜R
maxの範囲内の曲げ半径を有する曲げ応力に耐えることを確認するために、その長手方向の端部がその総長の少なくとも3/4に沿って、好ましくはその長さ全体に沿って、少なくとも曲げ半径R
PTで曲げられる。
【0108】
既に述べられたとおり、調節されたランダム試料を、値<R>(破壊時の曲げ半径の平均値)およびs(破壊時の曲げ半径の分散)を、少なくとも20個の試料について破壊時の曲げ半径または引張応力を測定することによって測定するために使用することができ、且つ式(7)を使用した再計算を行い、且つ、曲げ半径または引張応力の最大値および最小値、好ましくは最大値および最小値の10%を破棄し、且つ、残っている値を使用して平均値および分散を計算する。
【0109】
その際、上述の本発明の実施態様を使用して、予め規定された曲げ半径での曲げ荷重下で保証されたまたは予め規定された破壊強度を有するプレート状のガラス物品を製造でき、その際、それらの端部またはガラス物品の少なくとも1つの端部は、その端部の長さ全体に沿って曲げ半径RPTを有する曲げ荷重に耐え、その際、上記式i)、ii)に相応する曲げ半径は、
【数9】
の範囲内にあり、ここで<R>は平均値であり、且つ
【数10】
は、ガラス物品のガラス材料と同じガラス材料製のN個の試料からの複数の破壊時の曲げ半径の分散であり、試料1が各々破壊する際の曲げ半径R
iは、好ましくは、脆性材料製の平坦な試料1の破壊強度を調査するための本発明による方法を用いて測定される。
【0110】
ガラス物品が、少なくとも20メートル、好ましくは少なくとも50メートルの長さを有する薄いガラスリボンであることが特に好ましい。好ましくは、ガラスリボン100は、破壊強度については少なくとも20メートルの端部の長さ全体に沿って試験され、且つ、ガラスリボンが耐える相応の曲げ半径を確認することが可能である。
【0111】
本発明が上述の例示的な実施態様に限定されず、むしろ様々な方式に変更でき、特に、個々の例示的な実施態様の特徴を互い組み合わせることができることは、当業者にとって明らかである。