(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンは、例えば、外周面に複数個の図柄が付されている3個の回転リールと、各回転リールの外周面に付されている図柄のうちの3個を表示するための図柄表示窓と、図柄表示窓に表示される、縦3列横3行に配列した合計9個の図柄のうち、所定の3個を通るように定めた複数本の入賞ラインと、各回転リールの回転を開始させるためのスタートスイッチと、各回転リールの回転を停止させるためのものであって各回転リールにそれぞれ対応して設けられているストップスイッチと、を備えている。
そして、メダルの投入等により賭け数が設定されると、入賞ラインが設定され、また、1回の遊技に必要な賭け数が設定されていることを条件に、スタートスイッチが操作されると、複数の役のいずれかに当選したか又はハズレかの抽選(役抽選)が行われるとともに、すべての回転リールの回転が開始し、その後、3個のストップスイッチのうちの1個を操作すると、当該ストップスイッチに対応した回転リールの回転が停止し、3個すべてのストップスイッチの操作を終えると、3個すべての回転リールの回転が停止している。
【0003】
このとき、入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の図柄の組合せであると、所定の利益が遊技者に対して付与される。
ここで、従来のスロットマシンでは、入賞ライン上の図柄の組合せが所定の図柄の組合せであるか否かの判定及び遊技者に付与する利益の決定は多数の処理を経て行われていた。
具体的に
図18から22を参照しながら説明すると、次のように行われていた。
遊技機に備えられているROMには予め、
図18(A)から(D)に示した、回転リールの図柄配列データ、入賞ラインデータ、図柄組合データ及び上限枚数データを記憶させておく。ここで、図柄配列データとは、各回転リールの外周面に付された図柄51の配列に関するデータである。また、入賞ラインデータとは、入賞ラインLに関する位置データである。また、図柄組合データとは、各図柄51の組合せごとに定められた遊技者に付与する利益であるメダルの払い出し枚数等(配当)に関するデータである。また、上限枚数データとは、遊技者に払い出すメダルの枚数の上限値に関するデータである。
【0004】
すべての回転リールが停止すると、図柄表示窓に、9個の図柄51(停止出目37とする。)が表示される遊技機であるとする。そして、停止出目37のうち、入賞ラインL上に表示されている図柄51の組合せを図柄配列データと入賞ラインデータをもとに判定する。そして、入賞ラインL上の図柄51の組合せと図柄組合データを比較し、図柄組合データ内に記憶されている図柄51の組合せの中で一致するものがある場合、入賞ラインL上の図柄51の組合せに対して付与される配当を遊技機のRAMに一時的に記憶する。一致しない場合、配当0枚として記憶する。複数の入賞ラインLを設定している場合は、すべての入賞ラインLについて、入賞ラインL上の図柄51の組合せ及び、その組合せに対して付与される配当を判定し、その配当を記憶する。
【0005】
そして、各入賞ラインL上の図柄51の組合せに対して付与される配当の合計を算出し、配当の合計値を遊技機のRAMに一時的に記憶する。最後に、配当の合計値と上限枚数データとを比較して、合計値が上限値を超える場合は、算出した配当の合計値を上限値に書き換え、遊技者に付与する配当を決定する。
例えば、入賞ラインLとして
図18(B)に示すように第1入賞ラインL1と第2入賞ラインL2の2本が設定されており、
図18(C)に示すように、入賞ラインL上の図柄51の組合せに対する配当が設定されおり、付与される配当の上限値が
図18(D)に示すように、15枚だとする。
【0006】
停止した際に
図19(A)に示した停止出目37が図柄表示窓に表示されたとする。
図18(B)、
図19(A)及び(B)に示すように、第1入賞ラインL1上に表示された図柄51は、左上段・中中段・右下段に表示された「3$・3$・3$」である。「3$・3$・3$」の組合せと、
図18(C)に示した図柄組合データに記憶された図柄51の組合せと、を比較すると、「3$・3$・3$」の組合せは図柄組合データに記憶されている。そして、当該図柄51の組合せに対して付与される配当は15枚であるから、配当15枚を記憶する。同様に第2入賞ラインL2上に表示された図柄51について判定すると「コイン・3$・コイン」であって、図柄組合データには記憶されていない。よって、「コイン・3$・コイン」についての配当0枚を記憶する。記憶された配当15枚と0枚の合計値は15枚であって、配当の上限値15枚以下であるから、当該合計値である15枚を遊技者に付与する配当として決定する。
【0007】
停止した際に
図20(A)に示した停止出目37が図柄表示窓に表示されたとする。前述の
図19(A)に示した停止出目37を判定した場合と同様に判定する。その結果、
図20(B)に示すように、第1入賞ラインL1上には配当8枚が付与される「3$・コイン・リプレイ」の図柄51の組合せが、第2入賞ラインL2上には配当8枚が付与される「コイン・コイン・コイン」の図柄51の組合せが表示されていることとなるため、この2つの組合せに対する配当を記憶する。2つの配当を合算すると16枚となり、配当の上限値15枚を超えるため、算出した値16枚を上限値15枚に書き換えて、付与する配当を15枚と決定する。
【0008】
停止した際に
図21(A)に示した停止出目37が図柄表示窓に表示されたとする。前述の
図19(A)に示した停止出目37を判定した場合と同様に判定する。その結果、
図21(B)に示すように、第1入賞ラインL1上には配当0枚の「コイン・リプレイ・コイン」が、第2入賞ラインL2上には再遊技(リプレイ)が付与される「リプレイ・リプレイ・リプレイ」が表示されている。そして、配当0枚とリプレイを記憶する。コインの払い出しに関する配当はないため、配当をリプレイと決定する。
停止した際に
図22(A)に示した停止出目37が図柄表示窓に表示されたとする。前述の
図19(A)に示した停止出目37を判定した場合と同様に判定する。その結果、第1入賞ラインL1上にも第2入賞ラインL2上にも、図柄組合データに記憶されている図柄51の組合せと一致するものはない。よって、
図22(B)に示すように、付与する配当は第1入賞ラインL1と第2入賞ラインL2上、どちらにおいても0枚と記憶し、その合計値0枚は配当の上限値15枚以下であるから、配当を0枚と決定する。
【0009】
このようにして遊技者に付与する利益を決定する方法と同様の方法が、特許文献1にも開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に示すように、多数の処理を経て、遊技者へ付与する利益を決定する場合、データ処理に使用するRAMの容量を大きくする必要がある。また、多数の処理を必要とするシステムはCPUへの負荷も大きくなる。
そこで、本発明においては、遊技者へ付与する利益を決定するまでの処理を簡易化し、かつ、データ処理に必要なROMやRAMの容量を抑えることのできる遊技機を提供することにある。
特に、図柄配列データ、入賞ラインデータ、図柄組み合わせデータ及び上限枚数データを極力使用しないようにした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、外周面に複数個の図柄51が付された複数個の回転リール52と、各回転リール52の図柄51を視認可能とする図柄表示窓36と、各回転リール52の回転を開始させるためのスタートスイッチ43と、各回転リール52の回転を個々に停止させるためのストップスイッチ44と、前記スタートスイッチ43の操作に基づき役の当否を判断する役抽選手段210と、前記回転リール52の回転を開始するとともに、前記ストップスイッチ44の操作に基づき前記回転リール52の回転を停止可能な制御装置100と、を備えた遊技機10において、前記制御装置100は、前記各回転リール52の
回転を停止
させたときに前記図柄表示窓36に表示される複数の図柄である停止出目
37が
複数種類設定され、各回転リール52毎の停止出目37の組み合わせとこの各回転リール52毎の停止出目37の組み合わせに対応して付与する利益とを配当テーブルとして記憶する配当テーブル記憶手段410と、利益を付与するための払出実行手段420と、
前記ストップスイッチ44の操作
タイミングによって、前記役抽選手段210の抽選結果に対応した停止出目37となるように停止させることができない場合は、利益が付与されることのない停止出目37となるように停止させ、前記役抽選手段210の抽選結果に対応した停止出目37となるように停止させることができる場合は、その停止出目
37となるように前記各回転リール52を停止させる停止制御手段222と、を有し、すべての回転リール52が停止したときの停止出目37が決定した際に、入賞ラインLを参酌することなく、前記配当テーブルから付与する利益を読み出し、前記払出実行手段420によって利益を付与するように形成され、複数の回転リール52の各回転リール52において、異なった停止位置となった場合でも停止した回転リール52の前記図柄表示窓36に表示された図柄51の配列が同一となることがあり得るように各回転リール52の図柄51の配列を形成したことを特徴とする。
【0013】
本発明は、停止出目とメダルの払い出し枚数とを直接リンク付け、特定の停止出目で停止した時には、対応した払い出し枚数のメダルを払い出すようになっている。
本発明において、「抽選結果に対応した停止出目37」とは、抽選結果に対応した利益を付与することのできる停止出目37のことである。「この停止出目37と少なくとも停止出目37に対応して付与する利益とを配当テーブルとして記憶する配当テーブル記憶手段410」の「少なくとも」は、「停止出目37と少なくとも停止出目37に対応して付与する利益と、停止出目37と少なくとも停止出目37に対応した払出しがない停止出目37とを配当テーブルとして記憶する配当テーブル記憶手段410」を含むためのものである。
【0014】
また、「できるだけ前記抽選結果に対応した停止出目37となるように前記各回転リール52を停止させる」とは、具体的には、次に示す通りである。ストップスイッチ44の操作タイミングによっては、抽選結果に対応した停止出目37となるように停止させることができないこともある。このような場合は、利益が付与されることのない停止出目37となるように停止させる。また、抽選結果に対応した停止出目37となる場合にあっては、その停止出目37となるように停止させる。
また、すべての回転リール52が停止したときの停止出目37の決定方法に特に制限はない。例えば、停止制御手段222によって、停止位置とその停止位置における図柄表示窓36に表示される図柄51の配列を決定することで、すべての回転リール52が停止するとともに停止出目37を決定させてもよい。
【0015】
また、「複数の回転リール52の各回転リール52において、異なった停止位置となった場合でも停止した回転リール52の前記図柄表示窓36に表示された図柄51の配列が同一となることがあり得るよう」な回転リール52の一例として、各回転リール52に付された図柄51のうち3つの図柄51が表示されるように図柄表示窓36が形成されている場合には、次のような回転リール52があげられる。コマ番号0〜2に該当する位置に付された図柄51の配列と、コマ番号5〜7に該当する位置に付された図柄51の配列と、が等しくなるように形成された回転リール52である。つまり、図柄表示窓36の上段でコマ番号が0に該当する位置が停止した場合と、コマ番号が5に該当する位置で停止した場合とで、図柄表示窓36に表示される図柄51の配列が等しくなるように形成された回転リール52である。
【0016】
本発明は更に、前記配当テーブルにおいては、停止出目37と、付与する利益の有無の対応について記憶されており、前記停止制御手段222においては、前記役抽選手段210の抽選結果と、前記ストップスイッチ44の操作に基づいて、前記配当テーブルに記憶されている複数種類の停止出目37のうち、いずれかの停止出目37となるように各回転リール52を停止させることを特徴とする。
本発明においては、配当テーブルにおいて、利益を付与する停止出目37だけでなく、利益を付与しない停止出目37についても、利益無と対応させて記憶している。
【0017】
また、配当テーブルにない停止出目37には停止しないように、停止制御手段222によって制御されている。
また、本発明は、外周面に複数個の図柄51が付された複数個の回転リール52と、各回転リール52の図柄51を視認可能とする図柄表示窓36と、各回転リール52の回転を開始させるためのスタートスイッチ43と、各回転リール52の回転を個々に停止させるためのストップスイッチ44と、前記スタートスイッチ43の操作に基づき役の当否を判断する役抽選手段210と、前記回転リール52の回転を開始するとともに、前記ストップスイッチ44の操作に基づき前記回転リール52の回転を停止可能な制御装置100と、を備えた遊技機10において、前記制御装置100は、前記各回転リール52の
回転を停止
させたときに前記図柄表示窓36に表示される複数の図柄である停止出目37が
複数種類設定され、各回転リール52毎の停止出目37の組み合わせとこの各回転リール52毎の停止出目37の組み合わせに対応して付与する利益とを配当テーブルとして記憶する配当テーブル記憶手段410と、利益を付与するための払出実行手段420と、複数の回転リール52のそれぞれに付された図柄51の配列を各回転リール52の位置に対応させた対応図柄配列テーブルを記憶する対応図柄配列テーブル記憶手段240と、複数の回転リール52の各回転リール52において、ストップスイッチ44の操作に基づいて停止可能範囲にある前記図柄表示窓36に表示される図柄51の配列が、抽選結果に基づく前記停止出目37に対応するか否かを対応図柄配列テーブルに基づいて判定し、対応する位置があった場合に停止させる判断停止制御手段223と、を有し、すべての回転リール52が停止したときの停止出目37が決定した際に、入賞ラインLを参酌することなく、前記配当テーブルから付与する利益を読み出し、前記払出実行手段420によって利益を付与するように形成され、複数の回転リール52の各回転リール52において、異なった停止位置となった場合でも停止した回転リール52の前記図柄表示窓36に表示された図柄51の配列が同一となることがあり得るように各回転リール52の図柄51の配列を形成したことを特徴とする。
【0018】
本発明においては、判断停止制御手段223及び対応図柄配列テーブル記憶手段240によって停止出目37が決定し、決定した停止出目37が配当テーブルの停止出目37と一致する場合には、その停止出目37と対応する利益を読み出し、読み出した利益を払出実行手段420によって付与する。
【発明の効果】
【0019】
(本発明の効果)
本発明において、すべての回転リールが停止し、このときの停止出目が決まり、決まった停止出目と配当テーブルの停止出目とが一致する場合に、その停止出目と対応する利益を配当テーブルから読み出し払出実行手段によって払い出す。つまり、すべての回転リールが停止してから遊技者に利益を付与するまでに、複数の処理を踏む必要がなく、従来に比して処理を簡略化することができる。
また、本発明における各回転リールは、異なった停止位置となった場合でも停止した回転リールの図柄表示窓に表示された図柄の配列が同一となることがあり得るように図柄の配列が形成されているため、停止出目のパターンを減らすことができ、配当テーブル記憶手段において使用するデータ量を減らすことができる。
【0020】
本発明においては、配当テーブルに記憶されている複数種類の停止出目のうち、いずれかの停止出目となるように停止制御手段によって制御されており、複数の回転リールのそれぞれに付された図柄の配列から考えられるすべての停止出目について記憶しなくともよい。そのため、配当テーブル記憶手段のデータ量を制御することができる。
また、利益無しについても記憶するため、停止結果である停止出目と配当テーブルの停止出目とが一致するか否かについては判定する必要がなく、すべての回転リールが停止してから遊技者に利益を付与するまでの処理をさらに簡略化することができる。
【0021】
本発明は前述のように、対応図柄配列テーブルを記憶し、停止位置をストップスイッチの操作後、都度妥当な停止位置であるかの判定をする。第1及び第2の発明における停止制御手段と比して、停止位置や当該位置で停止した際に図柄表示窓に表示される図柄の配列を記憶する必要がないぶん、記憶量を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、遊技機10の方を向いて位置している遊技者から見て、遊技機10から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向も、遊技者から見た場合の左方向や、右方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、遊技機10の所定位置に固定した状態における遊技者から見た方向を意味する。
(遊技機10)
本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンを、以下、
図1を参照しながら説明する。本実施の形態に係る遊技機10は、前方向に向かって開口する四角箱状の筐体20と、この筐体20の正面開口を開閉自在に覆う前扉30と、を備えている。
【0024】
前扉30には、上部に備えられた薄板樹脂からなる上パネル31と、下部に備えられた下パネル32と、が設けられている。
上パネル31の略中央には、後述する3個の回転リール52の円周上の図柄51を見ることができる透過可能な図柄表示窓36が形成されている。
図柄表示窓36の後方向(奥方向)であって、筐体20の内部には、前記3個の回転リール52を横並びに備えたリールユニット50が配置されている。
図柄表示窓36の下方であって、下パネル32の上方には、前扉30の前方向へ向けて突出する、遊技者が操作する種々のスイッチを備えた操作部40が設けられている。
【0025】
前扉30の下部の後方向(奥方向)には、メダルを貯留することができ、かつメダルを払い出すことができる貯留払出手段33(
図3参照)である、いわゆるホッパーユニット(図示せず)と、電源投入又は電源遮断のための操作が可能な電源スイッチを有すると共に各部品に電力を供給するための電源装置(図示せず)と、が配置されている。
前扉30の下部には、所定の場合に貯留払出手段33からメダルが払い出されるメダル払出口34が形成されている。このメダル払出口34の下方には、メダル払出口34から払い出されたメダルを貯留するため、上方に向かって開口する皿状のメダル受け皿35が形成されている。
【0026】
また、前記前扉30には、遊技者に役抽選の当選等の種々の情報を音や光や映像等で報知させる報知手段60が形成されている。
また、筐体20の内部には、遊技機10を制御するための制御装置100が備えられている。
(リールユニット50)
リールユニット50は、3個の前記回転リール52と、前記回転リール52を回転させるための3個の駆動モータ(図示せず)と、前記駆動モータ及び前記回転リール52を保持するユニットホルダ(図示せず)と、を有する。
【0027】
3個の回転リール52は、左から順に左回転リール53、中回転リール54及び右回転リール55である。3個の回転リール52の外周面には、
図2に示す、「コイン」、「3$」、「リプレイ」の複数の図柄51が付されている。これらの図柄51はそれぞれの図柄51がプリントされたテープを回転リール52の外周面に貼付することで、回転リール52の外周面に形成されている。なお、
図2の図柄51の番号(コマ番号)は、回転リール52の外周面に物理的に付されているものではなく、仮想的な番号である。
また、本実施の形態における各回転リール52に付された図柄51は、
図2に示すように付されている。
図2に示すように、異なった停止位置で回転リール52が停止した場合であっても、停止した回転リール52の図柄表示窓36に表示された縦3個の図柄51の配列が同一となることがあり得るように図柄51の配列が形成されている。
【0028】
(図柄表示窓36)
図柄表示窓36は、回転リール52の正面側に設けられており、3個すべての回転リール52の回転が停止した際に、縦3列横3行に配置した合計9個の図柄51の配列である停止出目37を視認するためのものである。
なお、本明細書においては、停止出目37を構成する9個の図柄51の位置を表すにあたっては、左回転リール53の回転が停止した際に図柄表示窓36に表示される3個の図柄51が停止した位置は上から順に「左上段」「左中段」「左下段」と表現する。また、中回転リール54の回転が停止した際に図柄表示窓36に表示される3個の図柄51が停止した位置は上から順に「中上段」「中中段」「中下段」と表現する。また、右回転リール55の回転が停止した際に図柄表示窓36に表示される3個の図柄51が停止した位置は上から順に「右上段」「右中段」「右下段」と表現する。
【0029】
(操作部40)
操作部40は、図柄表示窓36の下方であって、下パネル32の上方に、前扉30の前方向へ向けて突出して設けられており、操作部40には、遊技者が操作可能な種々のスイッチ等が備えられている。
操作部40の上面右側には、遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口42が設けられている。
このメダル投入口42の下には、クレジット機能(投入枚数を電子データとして電子的に記憶し管理する機能)により遊技機10の内部にクレジットメダルとして貯留したメダルの全てを払い出すための精算スイッチ48が設けられている。なお、本実施の形態に係る遊技機10においては、最大50枚までクレジットメダルとして内部に貯留可能である。また、このクレジットメダルとして貯留可能な最大枚数である50枚を最大クレジットメダル数とする。
【0030】
この精算スイッチ48の左側には、操作により対応する回転リール52の回転を停止させるため、3個の回転リール52のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ44が設けられている。この3個のストップスイッチ44は、左から順に左回転リール53を停止させるための左ストップスイッチ45、中回転リール54を停止させるための中ストップスイッチ46、右回転リール55を停止させるための右ストップスイッチ47である。これらのストップスイッチ44は、複数の回転リール52にそれぞれ対応して設けられ、複数の回転リール52の図柄51の変動表示の開始後、遊技者の操作により回転リール52の図柄51の変動表示を個別に停止させるためのものである。
【0031】
このストップスイッチ44の左側には、回転リール52の回転を開始させるためのスタートスイッチ43が設けられている。すなわち、このスタートスイッチ43は、遊技者の操作により図柄表示窓36に表示される図柄51の変動表示を開始させるためのものである。
このスタートスイッチ43の上には、クレジットしたメダル数から最大投入枚数(具体的には3枚)に達するまで投入可能なメダル数を減じて3枚のメダル投入に代えるマックスベットスイッチ49が設けられている。なお、マックスベットスイッチ49に加えて、又はマックスベットスイッチ49に代えて、クレジットしたメダル数を1枚減じて1枚のメダル投入に代えるシングルベットスイッチを設けてもよい。なお、マックスベットスイッチ49とメダル投入口42との間に、操作手段41として遊技の進行に関与しないスイッチとしてのチャンススイッチのようなものを設けてもよい。そして、この操作手段41としてのチャンススイッチを所定の契機で遊技者に1回又は所定回数以上、操作させることで所定の特典を付与するようにしてもよい。
【0032】
上述したスタートスイッチ43、ストップスイッチ44、精算スイッチ48及びマックスベットスイッチ49により、遊技者が操作可能な操作手段41(
図3参照)が構成されている。操作手段41の操作が、制御装置100内の後述するメイン制御装置200を動かす契機となり、また、操作手段41はメイン制御装置200によって制御される。
(報知手段60)
報知手段60は、前扉30に配置されているものであって、
図1に示すように、スピーカー61と、表示装置67と、演出用ランプ64と、を備えている(
図3参照)。なお、回転リール52は、通常、遊技進行のために用いられるが、遊技の進行を停止している状態において、通常の回転動作とは異なる挙動による演出(いわゆるリール演出)を示すことにより報知手段60の一種として使用してもよい。
【0033】
前記スピーカー61は、前扉30の上部左右に配置された上部スピーカー62と、前扉30の下部左右に配置された下部スピーカー63と、を備えている。
前記表示装置67は、前扉30に備えられ、図柄表示窓36の上部に備えられた、種々の映像を表示するための表示デバイスであり、動画を含んだ映像の表示を行うための液晶表示装置67を有する演出ユニットを構成するものである。
前記演出用ランプ64は、前扉30の上部に配置された上部ランプ65と、前扉30の下部の左右に配置された下部ランプ66と、を備えている。
【0034】
スピーカー61、表示装置67及び演出用ランプ64から構成された報知手段60は、制御装置100内の後述するサブ制御部装置300によって制御されている(
図3参照)。
(制御装置100)
図3に示すように、遊技機10の内部には、遊技機10の全体の動作を制御するための制御装置100が形成されている。この制御装置100は、遊技の進行を制御するメイン制御装置200と、このメイン制御装置200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出のうち、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を制御するサブ制御装置300と、を備えている。
【0035】
メイン制御装置200及びサブ制御装置300は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/Oポートを備えたマイクロコンピュータにより構成される。CPUは、タイマ割込などの割込機能を持ち、ROMに記憶されたプログラムを実行して、種々の処理を行う。ROMは、CPUが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶し、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の一時的な記憶領域、例えば役抽選の抽選結果を記憶するための記憶領域として使用される。
なお、メイン制御装置200とサブ制御装置300との間は、メイン制御装置200への不正操作を防止するために、メイン制御装置200からサブ制御装置300への一方向の通信により行われ、サブ制御装置300からメイン制御装置200への逆方向の通信は行われていない(すなわち双方向の通信ではない)。
【0036】
(メイン制御装置200)
メイン制御装置200は遊技の進行を制御するものであって、
図3に示すように、スタートスイッチ43、ストップスイッチ44、マックスベットスイッチ49、精算スイッチ48の入力を受け付け、役抽選を行い、リールユニット50及び貯留払出手段33の作動を制御する。
また、メイン制御装置200は、役抽選手段210、リール制御手段220(開始制御手段221、停止制御手段222)、払出制御手段400及び送信手段230の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。以上の構成をもって、メイン制御装置200は、役の抽選を行い、回転リール52の回転及び停止を制御し、遊技者へのメダルの払い出し等、遊技の進行を行う手段として機能することとなる。以下、本実施における遊技について説明する。
【0037】
メダル投入口42からメダルを投入すること、又は、マックスベットスイッチ49を操作することによって、規定の賭け数(3枚)が設定されていることを条件に、スタートスイッチ43を操作すると、賭け数が確定し、役抽選手段210により、複数の役のいずれかに当選したか又はハズレたかの抽選(役抽選)が行われる。
また、役抽選とほぼ同時に、前回の遊技での回転リール52の回転開始時から所定の時間(本実施の形態では、4.1秒)が経過しているか否かが判定され、所定の時間が経過すると、3個すべての回転リール52の回転が開始する。ここで、本実施の形態では、リール制御手段220の開始制御手段221により、回転リール52の回転開始が制御されている。
【0038】
回転リール52の回転開始後、所定の条件(本実施の形態では、回転リール52を加速する処理を実行した後、所定のセンサにより回転リール52の回転位置が基準位置であることを検出すること)が成立すると、ストップスイッチ44の操作が可能な状態(停止操作可能状態)となる。その後に、3個のストップスイッチ44のうち1個を操作すると、当該ストップスイッチ44に対応した回転リール52の回転が停止する。そして、3個すべてのストップスイッチ44の操作を終えると、3個すべての回転リール52の回転が停止する。ここで、本実施の形態では、リール制御手段220の停止制御手段222により、役抽選手段210によって決定した役と、ストップスイッチ44の操作タイミングとに基づいて回転リール52の停止が制御されている。
【0039】
3個すべての回転リール52が停止した後、払出制御手段400により、図柄表示窓36に表示された停止出目37に基づいて、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の利益を遊技者に付与するか否かを決定し、実行する。これにより、1回の遊技が終了する。
(役)
本実施の形態では、役として、大別すると、小役(メダルの払い出しを伴う役)及び再遊技役(遊技者所有のメダルを使用することなく次回の遊技を開始可能とする役、いわゆるリプレイ役)が設けられている。
【0040】
また、本実施の形態における遊技機10は、図柄表示窓36に表示される停止出目37によって、当選した役を構成する図柄51の組合せが所定の有効なライン(所定の役に対応する図柄51の組合せが当該ライン上に揃ったときに所定の利益が付与されるラインのことであり、以下、入賞ラインLとする。)上に停止した場合に、入賞となり、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の利益を遊技者に付与する。
「入賞ラインL」は、当選役が当該ライン上に並んだ場合に入賞となるラインを意味し、「入賞」とは、入賞ラインL上に当選役の図柄51の組合せが揃うことを意味する。本実施の形態において、入賞ラインLは、
図4に示すように、第1入賞ラインL1及び第2入賞ラインL2の2本が設定されている。第1入賞ラインL1は、図柄表示窓36に表示される図柄51のうち、「左上段、中中段、右下段」に表示される図柄51を結んだラインである。また、第2入賞ラインL2は、図柄表示窓36に表示される図柄51のうち、「左中段、中中段、右中段」に表示される図柄51を結んだラインである。
【0041】
但し、本実施の形態における遊技機10では、入賞ラインL上に当選した役を構成する図柄51の組合せが並んだか否かの判定は行っていない。後述するように、停止出目37と、この停止出目37に対応した所定の利益(配当)とを記憶した配当テーブルによって、入賞があるか否か、及びそのときの利益を判断している。
また、本実施の形態における、役に対応する図柄51の組合せとその役が入賞したときに遊技者へ付与する利益(配当)は、
図5に示すように予め決められている。なお、当選役が小役である際の払い出し枚数の上限値は15枚である。
【0042】
なお、本実施の形態では、
図2に示した回転リール52に付された図柄51の配列についてのテーブル(いわゆる図柄配列テーブル)、
図4に示した入賞ラインLを示す位置及び入賞ラインL上に当選した役を構成する図柄51の組合せが並んだか否かの判定、及び
図5に示した役に対応する図柄51の組合せとその役に対する配当の対応関係は記憶していない。また、入賞ラインL上に停止した図柄51だけを記憶し、入賞したか否かを決定しているものでもない。入賞か否かの決定方法については、払出制御手段400の項で説明する。
(役抽選手段210)
役抽選手段210は、メイン制御装置200が備える手段であり、スタートスイッチ43の操作を契機に、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの抽選(役抽選)を行うためのものである。役抽選手段210は、役に当選したか否かを決定するための抽選テーブルを備えており、メイン制御装置200のROM上に記憶されている。役抽選手段210は、抽選テーブルに関する抽選データと、所定範囲の整数値を繰り返してカウントするループカウンタを有する所定の乱数発生手段(乱数発生回路)が発生した乱数のうちから抽出した乱数とを比較して、当選か否かを判定する。また、役抽選手段210による処理は、後述するステップ112(
図9参照)において行われる。
【0043】
なお、役抽選手段210の役抽選に用いる抽選確率は、予めプログラムされた範囲内で遊技ホールの管理者により変更可能に形成されている。具体的には、その抽選確率を規定するための値である設定値を変更するための筐体20内部の設定変更スイッチ(図示せず)を操作することにより、複数の設定値(例えば、1〜6の6個)のうちいずれか1つを選択することで、前記複数の役の前記抽選確率の一部または全ての変更が可能となる。本実施の形態では、1〜6の6個の設定値が設けられ、設定値の数値が大きくなるほど、抽選確率が遊技者に原則として有利になり得るように規定されている。
【0044】
(リール制御手段220)
リール制御手段220は、メイン制御装置200が備える手段であり、各回転リール52の回転を開始させるための開始制御手段221と、各回転リール52の回転を停止させるための停止制御を行う停止制御手段222と、を有する。開始制御手段221は、遊技者によるスタートスイッチ43の操作により、すべての回転リール52の回転を開始させ、予め定めた所定の回転速度に到達した状態で、当該回転速度を維持するように設定されている。停止制御手段222は、役抽選手段210によって決定した役と、ストップスイッチ44の操作タイミングに基づいて回転リール52の停止を制御する。
【0045】
(停止制御手段222)
第1の実施の形態における停止制御手段222は、いわゆるテーブル制御である。テーブル制御とは、停止テーブルに従って各回転リール52の停止位置を決定し、この決定した停止位置で各回転リール52の回転を停止させるものである。
また、停止テーブルとは、各回転リール52の停止位置を決定するためのものであって、各ストップスイッチ44が操作されたときの対応する回転リール52の回転位置に応じて、各回転リール52の「停止位置の決定に係る情報(停止位置決定情報)」を予め定めたものである。この停止テーブルは、役に対応して設けられている。役に対応した停止テーブルは、その役に対応した図柄51の組合せが(
図5参照)、いずれかの有効な入賞ラインL上に揃い得るように、かつ、その役以外の役に対応した図柄51の組合せについてはいずれの有効な入賞ラインL上にも揃わないように、各回転リール52の停止位置決定情報を定めている。停止位置決定情報としては、例えば、滑りコマ数を定めてもよく、滑りコマ数は、例えば、0以上4以下の範囲内で定められる。
【0046】
また、本実施の形態におけるテーブル制御の停止テーブルは停止位置決定情報に加え、停止位置における図柄表示窓36に表示される図柄51の配列(
図6参照)として記憶されている。具体的には、停止制御手段222によって、左回転リール53のコマ番号0にあたる位置が図柄表示窓36の上段に位置したときに左ストップスイッチ45を押した場合には、1コマ滑って、コマ番号19にあたる位置が図柄表示窓36の上段で停止すると制御されているとする。この場合、
図2に示した回転リール52に付された図柄51の配列より、図柄表示窓36には上段から「コイン・3$・コイン」の順に表示されることがわかる。この停止位置における図柄51の配列が、
図6に示すように、停止位置決定情報(この場合にあっては滑りコマ数1)に加え停止テーブルに記憶されている。
【0047】
本実施の形態における停止制御手段222の停止テーブルにおいて停止位置決定情報とその停止位置における表示される図柄51の配列とを対応させて記憶しているため、すべてのストップスイッチ44が押されると、停止位置が決定するとともに、停止した際に図柄表示窓36に表示される図柄51の配列も決定されることとなる。
(払出制御手段400)
払出制御手段400は、停止制御手段222によって決定した停止出目37に基づいて入賞したか否かを判定し、遊技者に付与する利益を読み出し、メダルの払出や再遊技の処理を行うためのものである。
【0048】
また、払出制御手段400は、
図3に示すように、配当テーブル記憶手段410及び払出実行手段420の各手段を有する。
(配当テーブル記憶手段410)
配当テーブル記憶手段410とは、
図7に示す、配当テーブルを記憶するためのものである。配当テーブルとは、停止制御手段222によって図柄表示窓36に表示される可能性のあるすべての停止出目37のうち入賞する停止出目37と、その停止出目37における所定の利益(配当)と、を対応させたものである。ここで、停止出目37は、各回転リール52の停止時の図柄51の配列として記憶されている。
【0049】
ここで、停止出目37に対応した所定の利益(配当)は、
図4に示す第1入賞ラインL1と第2入賞ラインL2、
図5に示す予め決められた役に対応する図柄51の組合せとその役が入賞したときに遊技者へ付与する利益(配当)、及び払い出し枚数の上限値に基づいて決定する。例えば、第1入賞ラインL1上に「3$・コイン・リプレイ」の図柄51の組合せが、第2入賞ラインL2上に「コイン・コイン・コイン」の図柄51の組合せが並ぶ停止出目37について考える。
図5に示すように、これらの図柄51の組合せは、それぞれ入賞する組合せに該当するため、第1入賞ラインL1上及び第2入賞ラインL2上においてそれぞれ入賞し、8枚ずつの利益が付与されることとなる。よって、合計16枚の利益が付与されることとなるが、払い出し枚数の上限値は15枚であるため、この停止出目37における配当は15枚となる。このようにして、停止制御手段222によって図柄表示窓36に表示される可能性のあるすべての停止出目37のうち、入賞する停止出目37の配当を決定する。そして、決定した配当及び停止出目37の関係を現したものを配当テーブルとすると、
図7に示した配当テーブルとなる。ここで、停止出目37は、各回転リール52の停止時の図柄51の配列とし、この停止時の図柄51の配列として表した。また、配当テーブルにおける停止時の図柄51の配列a、b、c、d、e、f、g及びhとは、それぞれ、
図6に示した図柄51の配列を意味する。
【0050】
(払出実行手段420)
払出実行手段420とは、停止制御手段222によって決定した停止出目37に該当する停止出目37が配当テーブルに記憶された停止出目37と一致する場合は、その一致する停止出目37に対応する配当を読み出し、払出等の利益付与を実行するものである。
(送信手段230)
送信手段230は、サブ制御装置300へ信号を送信するためのものである。
(サブ制御装置300)
サブ制御装置300は、メイン制御装置200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出のうち、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を制御するものであって、メイン制御装置200から信号を入力し、表示装置67等の報知手段60の作動を制御する。
【0051】
サブ制御装置300は、
図3に示すように、受信手段310及び表示演出実行手段320の各手段を有し、出力側には、報知手段60としての表示装置67、スピーカー61、演出用ランプ64の各パーツが接続されている。
受信手段310は、送信手段230からの信号を受信するものである。
表示演出実行手段320は、受信手段310によって受信したメイン制御装置200からの信号に基づいて、報知手段60により行われる演出を実行するためのものである。なお、これらの手段はメイン制御装置200に配置してもよいものであり、表示演出実行手段320を、サブ制御装置300ではなくメイン制御装置200に配置してもよい。
【0052】
以上の構成をもって、サブ制御装置300は、メイン制御装置200からの信号を受けて、遊技の進行に伴う演出を行うものである。
(遊技制御処理)
以上のように構成された遊技機10のメイン制御装置200が1回の遊技毎に実行する一般的な遊技制御処理について、
図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップ111において、メイン制御装置200により、スタートスイッチ43の操作があったか否かの判定が行われる。ここで、スタートスイッチ43の操作があったと判定されると、メイン制御装置200により、賭け数の設定が不可能な状態とされる。その後、次のステップ112に進む。一方、スタートスイッチ43の操作がないと判定されると、再度ステップ111となる。
【0053】
なお、このステップ111の前提として、賭け数設定処理が行われている。この賭け数設定処理では、賭け数として規定の賭け数が設定されたか否かが判定されるものである。具体的には、メイン制御装置200により、当該遊技の賭け数として設定されているメダルの枚数が規定の賭け数(本実施の形態においては3)に達しているか否かの判定が行われる。
ステップ112において、役抽選手段210により、役抽選処理が行われる。また、このとき、役抽選の結果がメイン制御装置200からサブ制御装置300へ送信される。この処理が終了すると、次のステップ113に進む。
【0054】
ステップ113において、リールユニット50における回転リール52の回転変動処理が行われる。回転リール52が所定の回転速度に達した後、遊技者による停止操作が有効となり、メイン制御装置200により、回転中の回転リール52に対応するストップスイッチ44の操作があった場合に、停止制御手段222により、各回転リール52の回転が停止させられるとともに、停止結果としての停止出目37を表示された図柄51の配列としてメイン制御装置200に形成された所定の記憶領域に記憶する。すべての停止操作終了後、メイン制御装置200の送信手段230からサブ制御装置300の受信手段310へすべての回転リール52の回転停止情報が送信される。そして、すべての回転リール52の回転変動処理が終了すると、次のステップ114に進む。
【0055】
ステップ114において、払出制御手段400により、メダルの払出枚数に対応した払出処理が行われる。払出実行手段420により、ステップ113において記憶された表示された図柄51の配列としての停止出目37が配当テーブルに記憶された停止出目37と一致するか否かを判定し、一致する場合は、その一致する停止出目37に対応する配当を読み出し、払出等の利益付与を実行する。また、一致しない場合は、払出処理は行われず、当該処理が終了する。
(まとめ)
以上のように構成された遊技機10においては、例えば、停止制御手段222によってすべての回転リール52が停止した際に、図柄表示窓36の上段に停止するコマ番号が左から順に「0・0・0」であったとすると、同時に図柄表示窓36に表示された停止出目37も決定される。具体的には、左回転リール53のコマ番号0にあたる位置が図柄表示窓36の上段で停止すると、図柄表示窓36には、上段から「3$・コイン・RP」の順で表示される。この図柄51の配列にあたる表示された図柄51の配列は
図6より表示された図柄51の配列aと規定している。同様に中回転リール54及び右回転リール55のコマ番号0にあたる位置が図柄表示窓36の上段で停止すると、図柄表示窓36には表示された図柄51の配列e及び表示された図柄51の配列dが表示されることとなる。ここで、これらの表示された図柄51の配列の決定については、停止位置決定情報とともに、停止テーブルに記憶されているため、回転リール52の停止位置が決定するとともに、図柄表示窓36に表示される停止出目37が表示された図柄51の配列である「配列a・配列e・配列d」として決定することとなる。この表示された図柄51の配列をメイン制御装置200に形成された所定の記憶領域に一時的に記憶する。
【0056】
記憶された表示された図柄51の配列が配当テーブルに記憶された停止出目37と一致するか否かを判定する。「配列a・配列e・配列d」の組合せは配当テーブル上のものと一致するため、この停止出目37に対応する配当である、配当15枚を読み出し、メダルを遊技者に払い出し、処理を終了する。
このように、払出処理を1つの処理(ステップ114)で終了することができるため、メイン制御装置200のCPUへの負荷を軽減することができる。
また、停止出目37の決定からメダルの払出までに必要なデータのうち、予め記憶させておくデータとしては、停止テーブルと配当テーブルに関するデータだけで済むため、メイン制御装置200のRAMへの負荷も大きくない。
【0057】
すなわち、従来の遊技機が有していた図柄配列データ、入賞ラインデータ、図柄組み合わせデータ及び上限枚数データを使用しないので、記憶容量の低減を図ることができる。
また、各回転リール52は、異なった停止位置となった場合でも停止した回転リール52の図柄表示窓36に表示された図柄51の配列が同一となることがあり得るように図柄51の配列が形成されているため、停止出目37のパターンを減らすことができ、配当テーブル記憶手段410において使用するデータ量を減らすことができる。
なお、本実施の形態においては、役として、小役及び再遊技役を設けたが、これに限らず、ボーナスゲーム、ATゲーム、ARTゲーム等への移行役を設けてもよい。
【0058】
なお、本実施の形態における各回転リール52の外周面には、
図2に示したように、20個の図柄51が付されているが、20個以上付してもよい。また、図柄51も
図2に示したものに限らない。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を、
図9から12に基づいて説明する。
第2の実施の形態におけるメイン制御装置200は、
図3に示すように、第1の実施の形態と同様、役抽選手段210、リール制御手段220、払出制御手段400及び送信手段230からなる。また、サブ制御装置300についても第1の実施の形態と同様の構成になっている。
【0059】
しかし、配当を決定する入賞ラインL及び役と図柄51の組合せと配当との関係、停止制御手段222、及び払出制御手段400が第1の実施の形態と異なる。以下それぞれについて詳細に説明する。
(入賞ラインL)
第2の実施の形態における入賞ラインLは、
図9に示すように、第1入賞ラインL1及び第3入賞ラインL3の2本が設定されている。第1入賞ラインL1は、図柄表示窓36に表示される図柄51のうち、「左上段、中中段、右下段」に表示される図柄51を結んだラインである。また、第3入賞ラインL3は、図柄表示窓36に表示される図柄51のうち、「左下段、中中段、右上段」に表示される図柄51を結んだラインである。
【0060】
(役と図柄51の組合せと配当との関係)
第2の実施の形態における、役と図柄51の組合せと配当との関係は
図10に示すようになっている。第1の実施の形態と同様、役としては、大別すると、小役及び再遊技役が設けられている。また、小役に対応する図柄51の組合せは、12通り設定されており、再遊技役に対応する図柄51の組合せは1通り設定されている。
(停止制御手段222)
第2の実施の形態においては、停止制御手段222によって図柄表示窓36に表示される停止出目37が
図11(A)〜(K)に示す11通りの停止出目37となるように制御されている。言い換えると、第2の実施の形態においては、
図11(A)〜(K)に示す11通りの停止出目37以外の停止出目37は図柄表示窓36に表示されないように、停止制御手段222によって制御されている。また、第2の実施の形態における停止制御手段222はテーブル制御によって制御されている。第1の実施の形態と同様、テーブル制御の停止テーブルは停止位置決定情報に加え、停止位置における図柄表示窓36に表示される各回転リール52の図柄51の配列(
図6参照)が記憶されている。そのため、すべてのストップスイッチ44が押されると、停止位置が決定するとともに、停止した際の停止出目37も各回転リール52に表示された図柄51の配列として決定されている。
【0061】
(払出制御手段400)
第2の実施の形態における払出制御手段400を構成する配当テーブル記憶手段410に記憶された配当テーブルは、
図12に示すように、停止制御手段222によって表示される11通りの停止出目37と、その停止出目37における所定の利益(配当)又は利益無しと、を対応させたものである。ここで、所定の利益(配当)は、
図9に示す入賞ラインL及び
図10に示す役と図柄51の組合せと配当との関係に基づいて決定
する。また、停止出目37は、各回転リール52に表示される図柄51の配列とし、この表示される図柄51の配列として表した。
【0062】
(まとめ)
第2の実施の形態においては、配当テーブルに記憶されている複数種類の停止出目37のうち、いずれかの停止出目37となるように停止制御手段222によって制御されており、複数の回転リール52のそれぞれに付された図柄51の配列から考えられるすべての停止出目37について記憶しなくともよい。そのため、配当テーブル記憶手段410のデータ量を制御することができる。
また、利益無しについても記憶するため、停止結果である停止出目37と配当テーブルの停止出目37とが一致するか否かについては判定する必要がなく、すべての回転リール52が停止してから遊技者に利益を付与するまでの処理をさらに簡略化することができる。
【0063】
またこの第2の実施の形態においても、従来の遊技機が有していた図柄配列データ、入賞ラインデータ、図柄組み合わせデータ及び上限枚数データを使用しないので、記憶容量の低減を図ることができる。
(第1及び第2の実施の形態の変形例)
第1及び第2の実施の形態において、停止制御手段222にかかる停止テーブルには停止位置決定情報とともに、その停止位置で停止したときの図柄表示窓36に表示される図柄51の配列も記憶されているが、表示される図柄51の配列について記憶せず、後述する対応図柄配列テーブルを記憶するための対応図柄配列テーブル記憶手段240及び停止出目判定手段を有しても良い。
【0064】
(対応図柄配列テーブル記憶手段240)
対応図柄配列テーブル記憶手段240とは、
図13に示す、対応図柄配列テーブルを記憶するためのものであり、従来の遊技機の図柄配列データを変形させたテーブルである。対応図柄配列テーブルとは、
図2に示す図柄配列テーブルに基づいて作成したものであって、各回転リール52の位置と、所定の位置で前記回転リール52の位置が停止した際に前記図柄表示窓36に表示される回転リール52の図柄51の配列とを、対応させたものである。具体的には、回転リール52が停止した際の図柄表示窓36の上段に停止したコマ番号と、回転リール52に付された図柄51のうち図柄表示窓36に表示される図柄51の配列と、を対応させて記憶したものである。このとき、図柄51の配列で共通の並びは同一の配列として記憶する。より具体的には、本実施の形態において、回転リール52の外周面には、
図2に示す図柄51が付されているため、例えば左回転リール53のコマ番号0の位置が図柄表示窓36の上段に停止した場合、図柄表示窓36には上段から順に、「3$・コイン・リプレイ」が表示される。そして、
図6に示すように、この上段から順に表示された図柄51の配列「3$・コイン・リプレイ」を配列aとすると、対応図柄配列テーブルには、
図13に示すように、左回転リール53のコマ番号0と配列aとを対応させて記憶する。同様に、左回転リール53が停止した際に図柄表示窓36の上段に停止したコマ番号が1である場合、図柄表示窓36には上段から順に、「コイン・リプレイ・コイン」が表示され、この図柄51の配列を
図6に示すように配列bとして、
図13に示すように、対応図柄配列テーブルには左回転リール53のコマ番号1と配列bとを対応させて記憶する。ここで、左回転リール53が停止した際に図柄表示窓36の上段に停止したコマ番号が5である場合、図柄表示窓36には配列aである「3$・コイン・リプレイ」が表示されるため、左回転リール53のコマ番号5と配列aとを対応させて記憶する。このように、異なるコマ番号が図柄表示窓36の上段に停止しても、図柄表示窓36に表示される図柄51の配列が同じ場合、同じ配列として記憶する。以上のように回転リール52ごとに、回転リール52が停止した際の図柄表示窓36の上段に停止したコマ番号と、図柄表示窓36に表示される図柄51の配列と、を対応させると
図13に示すような、対応図柄配列テーブルとなる。ここで、対応図柄配列テーブルにおける配列a、b、c、d、e、f、g及びhとは、それぞれ、
図6に示す図柄51の配列を意味する。なお、
図6に示すような、配列a、b、c、d、e、f、g及びhそれぞれに対応する図柄51の配列を記憶する必要はない。
【0065】
(停止出目判定手段)
停止出目判定手段とは、停止制御によってすべての回転リール52が停止した際に表示される停止出目37を対応図柄配列テーブルに基づいて判定し記憶するものである。
(まとめ)
第1及び第2の実施の形態の変形例においては、停止テーブルを用いて停止した場合に図柄表示窓36に表示される図柄51の配列は記憶せず、すべての回転リール52が停止した後に、停止出目判定手段によって、対応図柄配列テーブルに基づいて停止出目37を決定する。
【0066】
つまり、停止出目37の判定を行うため、すべての回転リール52が停止してから遊技者に利益を付与するまでの処理は増えるが、停止テーブルにおいては、停止位置決定情報のみを記憶するため、停止テーブルの記憶量を減らすことができる。
またこの第1及び第2の実施の形態の変形例においても、従来の遊技機が有していた入賞ラインデータ、図柄組み合わせデータ及び上限枚数データを使用しないので、記憶容量の低減を図ることができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態における遊技機10は、
図14に示すように、停止制御手段222ではなく判断停止制御手段223であることと、対応図柄配列テーブル記憶手段240を有することが第1の実施の形態と異なる。
【0067】
(判断停止制御手段223)
判断停止制御手段223とは、役抽選手段210の抽選結果とストップスイッチ44の操作とに基づいて、各回転リール52を停止可能範囲にある前記図柄表示窓36に表示される図柄51の配列が、抽選結果に基づく停止出目37に対応するか否かを対応図柄配列テーブルに基づいて判定し、対応する位置があった場合に停止させるものである。つまり、停止位置における図柄51の配列は対応図柄配列テーブルによって判定されるので、停止した際の停止出目37は、図柄51の配列としてとして決定することとなる。
【0068】
(まとめ)
第3の実施の形態においては、判断停止制御手段223によってすべての回転リール52が停止した際に、停止結果である停止出目37が決定される。判断停止制御手段223により決定された停止出目37が配当テーブルに記憶された停止出目37と一致するか否かを判定し、一致する場合は、その一致する停止出目37に対応する配当を読み出し、払出実行手段420により払出等の利益付与を実行する。また、一致しない場合は、払出処理は行われず、当該処理が終了する。
【0069】
第3の実施の形態においては、第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態に比べて、停止出目37の判定を行うため、すべての回転リール52が停止してから遊技者に利益を付与するまでの処理は増えるが、判断停止制御223において記憶しておくデータがないため、第1及び第2の実施の形態と遜色なくデータ量を減らすことができる。
またこの第3の実施の形態においても、従来の遊技機が有していた入賞ラインデータ、図柄組み合わせデータ及び上限枚数データを使用しないので、記憶容量の低減を図ることができる。
【0070】
(変形例)
対応図柄配列テーブル及び配当テーブルに用いる配列a〜hは、入賞ラインL上の図柄51が等しければ他の図柄51が違ったとしても同じ絵柄として認識してもよい。例えば、第1及び第3の実施の形態において、第1入賞ラインL1及び第2入賞ラインL2は「左上段」「左中段」「中中段」「上中段」「上下段」を通る。つまり、中回転リール54において、入賞の有無に影響を与える図柄51は中段の図柄51だけである。そこで、中中段の図柄51が等しい絵柄は同じ絵柄とすると、
図16に示すように、中回転リール54に付された図柄51のうち図柄表示窓36に表示される可能性のある図柄51の配列としての絵柄の種類は、「配列RP、配列ハズレ、配列小役」の3つとなる。そのため、第1及び第3の実施の形態における対応図柄配列テーブルは
図15に示すように書き直すことができる。また第1及び第3の実施の形態における配当テーブルについても同様に
図17に示すように書き直すことができる。このように、入賞ラインLが通る図柄51が等しい場合は、同じ配列として記憶することで、配当テーブルのデータ量を減らすことができ、メイン制御装置200にかかる負荷を軽減できる。なお、第2の実施の形態においても、第1入賞ラインL1及び第3入賞ラインL3は共に「中中段」を通るため、同様に配当テーブルのデータ量を減らすことができる。
【解決手段】各回転リールの停止結果である複数種類の停止出目が設定され、この停止出目と少なくとも停止出目に対応して付与する利益とを配当テーブルとして記憶する配当テーブル記憶手段を有し、すべての回転リールが停止した際に図柄表示窓に表示される停止出目と、配当テーブルの停止出目とを比較し、遊技者に付与する利益を決定する。また、複数の回転リールの各回転リールにおいて、異なった停止位置となった場合でも停止した回転リールの図柄表示窓に表示された図柄の配列が同一となることがあり得るように各回転リールの図柄の配列を形成する。