(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の層と前記第2の層との間に位置付けられる前記1つ以上の追加の層の少なくとも1つが、メルトブローン繊維又はナノファイバーから作られ、前記第1の層が、スパンレイド繊維から作られる、請求項5に記載の多層不織布ウェブ。
前記第1の層及び前記第1の層と前記第2の層との間に位置付けられる前記任意の追加の層の合計坪量が、少なくとも1gsmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層不織布ウェブ。
当該多層不織布ウェブは、前記第1の外側表面から見たときに、前記第2の層の下方に位置付けられる1つ以上の追加の層を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層不織布ウェブ。
前記第1の層及び前記第1の層と前記第2の層との間に位置付けられる前記任意の1つ以上の追加の層が、共に40%超の不透明度を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層不織布ウェブ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語の定義
「吸収性物品」とは、身体排泄物を吸収し収容する装置、より具体的には、身体より排泄される様々な排泄物を吸収及び収容するための、着用者の身体に接して、又はこれと近接するように配置された装置を指す。吸収性物品は、おむつ(乳幼児用おむつ又は成人用失禁おむつ)、パンツ、生理用ナプキン、又は生理用パッドなどの女性用衛生用品、胸パッド、介護用マット、よだれ掛け、拭き取り用品などを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「排出物」には、尿、血液、膣排泄物、母乳、汗、及び糞便が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい吸収性物品には、おむつ、パンツ、生理用ナプキン、生理用パッド、及び個人衛生用ウェットシートのような拭き取り用品がある。
【0013】
「二成分」とは、2つの個別のポリマー成分、ポリマー成分の2つの個別の配合物、又は1つの個別のポリマー成分及び1つの個別のポリマー成分の配合物を含む断面を有する繊維を指す。「二成分繊維」は、用語「多成分繊維」に包含される。二成分繊維は、例えば、同心コア−シース下位横断面、偏心コア−シース下位横断面、並列した下位横断面、放射状下位横断面などを含む、任意の形状又は配列の2つの異なる成分の下位横断面に分割される総断面を有し得る。
【0014】
不織布ウェブ上の「結合領域率」は、本明細書に記載される結合領域率方法に従って測定され、百分率で表される、ウェブの総表面積に対する結合型押が占める面積の比である。
【0015】
「清掃用物品」とは、スイーパー又はモップなどの家庭内の種々の表面及び衣類を清掃するための物品を指し、通常、モップ用又はスイーパー用リントに使用される乾式又は湿式の使い捨ての布を含む。清掃用物品はまた、洗濯物袋、乾燥機袋、及び清掃シートを含む。
【0016】
「色」は、本明細書で使用するとき、原色、二次色、三次色、それらの組み合わせ、並びに黒及び白を含む、CIELAB色空間内の任意の色を含む。本明細書で使用するとき、「白」は、L
*>90、−2<a
*<2、及び−2<b
*<2を有する色として定義される。
【0017】
CIE L
*a
*b
*(「CIELAB」)は、国際照明委員会によって規定された最も一般的に使用される色空間である(CIEは、フランス語Comission Internationale de I’eclairageの頭文字)。これは、人間の目に見える全ての色を描写し、基準として使用されるデバイスに依存しないモデルとなるように作成された。
【0018】
CIELABの3つの座標は、色の明るさ(L
*=0で黒を生じ、L
*=100は白の拡散色を示す。白の反射色は更に高くなり得る。)、赤/マゼンタと緑との間の位置(a
*、負の値は緑を示し、正の値はマゼンタを示す)、及び黄と青との間の位置(b
*、負の値は青を示し、正の値は黄を示す)を表している。L、a及びbの後のアスタリスク(
*)は、正式な名称の一部であり、故にL
*、a
*、及びb
*と表され、ハンターのL、a及びbと区別される。
【0019】
ウェブ材料に対して「横断方向」とは、ウェブ材料に沿った、ウェブ材料が製造される製造ラインにわたってウェブ材料の前進移動方向に対して略垂直な方向を指す。
【0020】
「使い捨て」は、通常の意味では、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、20回未満、10回未満、5回未満、又は2回未満の後に、処分又は廃棄される物品を意味するのに使用される。使い捨て吸収性物品が、おむつ、パンツ、生理用ナプキン、生理用パッド、又は個人衛生用のウェットシートである場合、その使い捨て吸収性物品は、ほとんどの場合、一回の使用後に廃棄される。
【0021】
「おむつ」とは、幼児及び失禁症状のある人が着用者の腰部及び脚部を取り巻くように、胴体下部の周りに一般的に着用され、具体的には、尿及び糞便を受容し収容するように適合された吸収性物品を指す。本明細書で使用するとき、用語「おむつ」は、以下で定義される「パンツ」も含む。
【0022】
ウェブ材料に関して「機械方向」とは、ウェブ材料に沿った、ウェブ材料が製造される製造ラインにわたってウェブ材料の前進移動方向に対して略平行な方向を指す。
【0023】
「単成分」とは、単一ポリマー成分又はポリマー成分の単一配合物で形成される繊維を指し、二成分繊維又は多成分繊維と区別される。
【0024】
「多成分」とは、複数の個別のポリマー成分、複数の個別のポリマー成分の配合物、又は少なくとも1つの個別のポリマー成分及び少なくとも1つの個別のポリマー成分の配合物を含む断面を有する繊維を指す。
【0025】
「多成分繊維」は、「二成分繊維」を含むがこれに限定されない。多成分繊維は、例えば、同軸下位横断面、同心コア−シース下位横断面、偏心コア−シース下位横断面、並列した下位横断面、海島型下位横断面、分割されたパイ型下位横断面などを含む、任意の形状又は配列の、異なる成分の下位横断面に分割される総断面を有し得る。
【0026】
「多層不織布ウェブ」は、複数の繊維層からなる不織布ウェブであり、各層は、1つの連続製造プロセスにおいて積み重ねて敷設され、多層不織布ウェブの繊維は、複数の繊維層が敷設された後にのみ互いに統合及び結合されて自立型ウェブを形成する。したがって、異なる層内の繊維は、多層不織布ウェブに組み込まれる前は、実質的に互いに結合されていないが、その代わり、多層不織布ウェブに組み込まれた後は、全層の繊維が互いにパターン結合される。しかしながら、個々の層は、通常、層を2つのローラー間のニップを通過させることによる、又は移動敷設ベルト上の繊維層の上を押圧するローラーによる、圧縮工程を経てもよい。このような圧縮工程では、認識可能な融合された結合部位は形成されない。したがって、予備成形された、自立型ウェブからなる積層体は、本明細書で使用するとき、用語「多層不織布ウェブ」に含まれない。
【0027】
「不織布ウェブ」は、局部的圧縮及び/又は熱若しくは超音波エネルギーの付加によって生成される1つ以上の結合及び結合型押のパターン、又はそれらの組合せによって互いに統合及び結合された、一方向又は無作為に配向された繊維で製造されたウェブである。本用語には、織られた、編まれた、又は、糸若しくはフィラメントで縫い合わされた布地は含まれない。繊維は、天然由来のものであっても人工由来のものであってもよく、ステープル繊維若しくは連続フィラメントであっても、又はその場で形成されたものであってもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mm超の範囲の直径を有し、幾つかの異なる形態、すなわち、短繊維(ステープル又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、撚り合わせていない連続フィラメントの束(タウ糸)、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)として提供されている。不織布は、メルトブローイング、スパンレイド、溶剤紡糸、電界紡糸、及びカーディングなどの多くのプロセスによって形成することができる。本明細書で使用するとき、「スパンレイド」は、接着などの更なる処理を施すことなく、スパンボンド技術によって製造される繊維を指す。不織布繊維の坪量は、通常、一平方メートル当たりのグラム(gsm)で表される。本発明では、多層不織布ウェブは、例えば、多層不織布ウェブのかさばりを改善するために、熱及び/又は圧縮(超音波接合を含む)により得られる結合によって統合及び結合されることに加えて、水流交絡及び/又はニードルパンチングにより統合及び結合されてもよい。
【0028】
「パンツ」は、本明細書で使用するとき、乳幼児又は成人の着用者用に設計されるウエスト開口部及び脚部開口部を有する使い捨て衣類を指す。パンツは、着用者の脚を脚部開口部に挿入し、パンツを着用者の胴体下部の周囲にまでずらすことによって着用者に対して定位置に置くことができる。パンツは、再締着可能及び/又は再締着不可能な結合を使用して、物品の一部分を一緒に接合するなどの非限定的な任意の好適な技術(例えば、シーム、溶接、接着、粘着結合、留め具など)によって予備形成され得る。パンツは、物品の外周に沿った任意の位置において予備成形することができる(例えば、側面固定、前腰部固定)。
【0029】
使い捨て吸収性物品
本発明の不織布ウェブを含む典型的な使い捨て吸収性物品をおむつ20の形態で
図1に示す。
【0030】
より詳細には、
図1は、例示的なおむつ20を広げた状態の平面図であり、おむつ20の構造をより明瞭に示すために、構造の表面の一部が切り取られている。このおむつ20は、例示のみの目的のためだけに示されており、本発明の多層不織布ウェブは、多種多様のおむつ又は他の吸収性物品に含まれ得る。
【0031】
図1に示すように、吸収性物品(ここではおむつ)は、液体透過性トップシート24と、液体不透過性バックシート26と、好ましくは少なくともトップシート24の一部とバックシート26との間に位置付けられる吸収性コア28と、を含むことができる。吸収性コア28は、吸収性物品で受けた液体を吸収及び収容することができ、超吸収性ポリマー60を含み得る。おむつ20はまた、必要に応じて、上下の収集層(52、54)を有する収集システムを含むことができる。
【0032】
おむつはまた、伸縮性レッグカフ32及びバリアレッグカフ34、並びに接着性締結システム又はフックアンドループ締結部材などの締結システムを含んでもよく、締結システムは、ランディングゾーン44(例えば、フックアンドループ締結システムのループを提供する不織布ウェブ)と協働する、接着性テープタブ又はフック要素を含むテープタブなどのテープタブ42を含み得る。更に、おむつは、背面弾性腰部機構及び前面弾性腰部機構、サイドパネル、又はローション塗布などの、図示されないその他の要素を含んでもよい。
【0033】
図1に示されるおむつ20は、概念的に、第1の腰部区域36と、第1の腰部区域36に対向する第2の腰部区域38と、第1の腰部区域36と第2の腰部区域38との間に位置する股部区域37とに分割することができる。長手方向中心線80は、おむつをその長さに沿って2等分に分離する想像線である。横断方向中心線90は、広げたおむつの平面内の長手方向線80に対して垂直であり、かつおむつの全長の中央を通過するイメージ線である。おむつ20の外周部は、おむつ20の外側縁部によって画定される。おむつの長手方向縁部は、おむつ20の長手方向中心線80に概ね平行であってもよく、終縁部は、長手方向縁部間にあり、おむつ20の横断方向中心線90に概ね平行であってもよい。
【0034】
おむつ20のシャーシ22は、おむつ20の本体を含む。シャーシ22は吸収性コア28、及び好ましくはトップシート24及び/又はバックシート26を含む外側カバーを備える。おむつの大部分は一体型であり、故におむつは、別個の部分が共に合体して形成され、調和した統一体を形成し、別個のホルダー及び/又はライナーのような別個の操作部分を必要としない。
【0035】
シャーシ22は、後方耳部40、前方耳部46及び/又は取り付けられたバリアカフ34などの任意の他の機構を有するおむつの本体構造体を含み、複合型おむつ構造体を形成する。トップシート24、バックシート26、及び吸収性コア28は、具体的に、グルー接着又は熱エンボス加工により、様々な既知の構成に組み立てられてもよい。例示的なおむつの構成が、米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、及び同第6,004,306号に、概略的に記載される。
【0036】
おむつ20は、液体及び他の身体の排泄物を改善して収容するレッグカフ32を備えてもよい。レッグカフ32はまた、レッグバンド、サイドフラップ、バリアカフ、又は弾性カフと呼ばれてもよい。通常、各レッグカフは、おむつの使用中に効果的な封止部を提供するため、例えば、脚部開口部領域でのトップシートとバックシートとの間などの、おむつのシャーシ内に含まれる、
図1に誇張した形態で示す1つ以上のゴムひも33を含むことになる。また、通常、レッグカフは、脚部領域の収容を改善する「直立型」の弾性フラップ(バリアレッグカフ34)を含む。
【0037】
当然ながら、任意の使い捨て吸収性物品の設計は、本発明の1つ以上の多層不織布ウェブを含み得ることが認識されるであろう。上記の本開示は、例示の目的のために過ぎない。
【0038】
多層不織布ウェブ
本発明は、少なくとも第1及び第2の層を含む多層不織布ウェブを目的とし、第1の層は多層不織布ウェブの第1の外側表面を形成する。第1の層の繊維と第2の層の繊維とは、互いに色において異なる。本明細書で使用するとき、「色における差異」又は「色において異なる」とは、(例えば、青と緑などの)異なる色、並びに(例えば、明るい青と暗い青などの)同じ色の異なる濃淡を意味する。また、本明細書で使用するとき、白、黒、及びグレーの濃淡も色とみなす。第1及び第2の層の繊維間の色における差異は、(以下でより詳細に説明するように)多層不織布ウェブがパターン結合された後、多層不織布ウェブの結合領域と非結合領域との間において少なくとも0.7又は少なくとも1.0のdelta E
*を得るよう十分な大きさである必要がある。色における差異は、第1及び第2の層の繊維に対して異なる着色をすることによって得られる。
【0039】
多層不織布ウェブは、パターン結合される。通常、結合パターンは、熱及び/若しくは圧力の使用、並びに/又は超音波接合によって付与される。熱、圧力及び/又は超音波エネルギーの使用により、結合領域の異なる層の繊維は互いに緊密にプレスされ、繊維の塑性変形を生じる。特に、結合が熱又は熱及び圧力によってなされる場合は、結合領域の繊維は、完全に又は部分的に溶融し、結合領域において、異なる層の個々の繊維が互いに融合(合体)し、フィルム状構造を形成する。結合領域では、変形された/融合された繊維は、第1及び第2の層(及び必要に応じて更なる層)の繊維の材料を含む。
【0040】
この結合により、外側表面を形成する層より下方の層の繊維は、結合領域における多層不織布ウェブの外側から、より識別し易くなる。多層不織布ウェブの第1の外側表面を見るとき、非結合領域の外観は、主に第1の、外側層の繊維の外観によって決定されるが、一方、結合領域の外観は、第1の、外側層の繊維、並びに第2の層の繊維及び任意の更なる層の繊維の両方によって決定される。非結合領域では、第1の層及び(第1の外側表面から見たときに)第2の層の上方に位置付けられる任意の更なる層の繊維は、第2の層の繊維を「マスクする」光を屈折させる。このマスキング効果は、一般に、(複数の)色素及び/又は可視光スペクトルの波長に近い小さな直径を有する繊維(すなわち、特に1.0μmに近いか又はそれより小さい径の繊維)のレベルの増加とともに増加する。結合領域では、繊維は変形され、プレスされ、又は互いに融合され、結合領域は、光の屈折を回折し得る個々の繊維を有さず、融合した繊維塊が、異なる視覚的外観を生成する。理論に束縛されるものではないが、繊維の圧縮/融合により、一定レベルの層間混合が結合領域で起こり得、これにより、第2の層が第1の層と異なって着色されると、結合領域の異なる色の外観が強調される。
【0041】
第1及び第2の層の繊維及び任意の更なる層の繊維が、その色における差異によって、第1の外側表面の結合領域が第1の色を有し、第1の外側表面の非結合領域が第1の色とは異なる第2の色を有するように選択される。第1の外側表面上では、本明細書で以下に開示される試験方法によって測定されるとき、結合領域と非結合領域との間のdelta E
*は、少なくとも0.7である。結合領域と非結合領域との間のdelta E
*は、少なくとも1.0、又は少なくとも2.0、又は少なくとも2.5、又は少なくとも3.0、又は少なくとも4.0、又は少なくとも5.0、又は少なくとも10、又は少なくとも15であってもよい。非結合領域と視覚的に異なる結合領域を得るために、0.7であるdelta E
*は既に十分であり、視覚的な差異が肉眼で認識可能であることがわかっている。しかし、delta E
*が増加するにつれて、結合領域は、非結合領域に対して、より識別し易く、より明瞭になる。
【0042】
更に、色の違いは、delta C
*及びdelta H
*を用いて見出すことができる。結合領域と非結合領域との間に、少なくとも1、又は少なくとも3、又は少なくとも5であるdelta C
*を有し得る多層不織布ウェブを提供することによって、十分かつ有意な色の違いが得られることが分かっている。また、結合領域と非結合領域との間に、少なくとも1、又は少なくとも1.2、又は少なくとも1.5、又は少なくとも2であるdelta H
*を有し得る多層不織布ウェブを提供することによって、十分かつ有意な色の差異を得ることができる。
【0043】
注目すべきは、本発明の多層不織布ウェブにおいては、結合パターンの導入により異なる色が同時に得られるので、異なる色を有する領域が結合領域と一致することである。それ故、多層不織布ウェブの表面上に単純に印刷を付与することによって、本発明における効果を「模倣」するためには、正確に結合領域に印刷される場合にしか同一の視覚的効果は達成されず、したがって、非常に正確で要求の厳しい製造プロセスが必要となる。しかしながら、そのようなコスト効率の高い複雑な製造プロセスを用いる場合でも、得られる多層不織布ウェブは、例えば、上述したような使用中の印刷の摩擦落ち又は流れ落ちのリスクを増大させるなどの欠点を依然として有するであろう。本発明では、少なくとも0.7、又は少なくとも1.0、又は少なくとも2.5、又は少なくとも3.0、又は少なくとも4.0、又は少なくとも5.0、又は少なくとも10、又は少なくとも15の結合領域と非結合領域との間のdelta E
*は、多層不織布ウェブの異なる層間の色における差異によって得られ、多層不織布ウェブの表面上に(結合パターンに対応する)印刷することによっては得られない。
【0044】
結合領域は、(繊維が、圧縮及び/又は互いに融合されているため、)通常、不織布ウェブにおいて厚みが低減された領域である。多層不織布ウェブにおいて色における差異及び厚みにおける差異を併せ持つことにより、強調された3次元的な外観を有し、かつ、例えば吸収性物品の表面シートとして用いられる場合には、良好な流体処理特性を有する(高速液体吸収性を示唆する)ものとして知覚される多層不織布ウェブが得られることが分かっている。
【0045】
多層不織布ウェブは、少なくとも第1及び第2の層を含む。多層不織布ウェブは、第1及び第2の層のみから構成されてもよい。しかしながら、多層不織布ウェブは、更なる層を含んでもよく、多層不織布ウェブは、3つ以上の層を含んでもよい(例えば、多層不織布ウェブは、3つ、4つ、5つ又は6つ以上の層から構成されてもよい)。
【0046】
多層不織布ウェブの第1の層は、多層不織布ウェブの第1の外側表面を形成する。多層不織布ウェブが第1及び第2の層以外も含む実施形態では、第2の層は第1の層と直接接触していてもよい。あるいは、第2の層は第1の層と直接接触していなくてもよく、その代わりに、1つ以上の追加の層が、第1の層と第2の層との間に設けられる。第2の層は、多層不織布ウェブの第2の外側表面を形成しても形成しなくてもよい(しかしながら、多層不織布ウェブが第1及び第2の層のみからなる場合、第2の層は当然、第2の外側表面を形成するであろう)。
【0047】
本発明において有用な、好適な多層不織布ウェブには、スパンレイド層、メルトブローン層、及びナノファイバーの層が含まれる。一般に、スパンレイド繊維の直径は、メルトブローン繊維の直径と比較して大きく、メルトブローン繊維は、ナノファイバーよりも幾分大きい直径を有する。スパンレイド繊維は、通常、10μm〜30μmの直径を有する。メルトブローン繊維は、0.5μm〜10μmの直径を有し、一方、ナノファイバーは、一般に、0.01μm〜1.5μmの直径を有する。ナノファイバーは、米国特許第7,922,943B2号に開示されているような高度なメルトブローン、米国特許第7,931,457B2号に開示されているようなメルトフィルムのフィブリル化、又は米国特許第6,616,435B2号に開示されているような電界紡糸を含む異なるプロセスによって製造することができる。多層不織布ウェブはまた、カーディング繊維(いわゆるステープル繊維)の層で製造されてもよく、または、多層不織布ウェブは、カーディング繊維の1つ以上の層、並びにスパンレイド、メルトブローン及び/又はナノ繊維の1つ以上の層を含んでもよい。例としては、スパンレイド層、メルトブローン層、及び更なるスパンレイド層を含むSMS多層不織布ウェブが挙げられるが、これに限定されない。本発明の別の好適な多層不織布ウェブには、SMMS構造(2つの外側スパンレイド層及び2つの内側メルトブローン層)又はSMMMS構造(3つの内側メルトブローン層を有する2つの外側スパンレイド層)が含まれる。他の好適な多層不織布ウェブには、スパンレイド層、ナノファイバー層、及び更なるスパンレイド層を含むSNS材料、又はスパンレイド層、メルトブローン層、ナノファイバー層、及び更なるスパンレイド層を含むSMNS材料がある。
【0048】
多層不織布ウェブの外側表面を形成するスパンレイド層を有する多層不織布ウェブは、毛羽立ちに良好な耐性を有する傾向がある。すなわち、多層不織布ウェブの表面に露出した繊維は、小径の微細繊維(メルトブローン繊維又はナノファイバーなど)のように容易に摩耗したり、多層不織布ウェブから引き出されたりしない。これは、物品が着用されるとき、多層不織布ウェブが、衣類に面する表面が衣類又は他の物品(カーペットなど)に擦られる、おむつなどの使い捨て吸収性物品の衣類に面する表面の少なくとも一部を形成する場合、特に有益であり得る。
【0049】
一方、外側表面がメルトブローン層又はナノファイバーの層からなる多層不織布ウェブは、繊維が相当に小さい直径を有するので、所定の坪量の繊維層で、外側表面上により均一な外観を与えることができる。したがって、第1の層の繊維は、非結合領域において、より容易に第2の層(及び任意の追加の層)の繊維を「マスクする」ことができる。
【0050】
良好な表面の耐摩耗性及び第2の層に含まれる繊維の良好なマスキングの両方を可能にするために、多層不織布ウェブは、スパンレイド繊維からなる第1の層、及び第1の層と第2の層との間に位置付けられる、メルトブローン繊維又はナノファイバーからなる追加の(第3の)層を含んでもよい。そのような多層不織布ウェブでは、第1の層と追加の(第3の)層は白色であってもよい。
【0051】
多層不織布ウェブの第1又は第2の層のうちの少なくとも1つは、ポリオレフィンのような熱可塑性繊維で形成されてもよい。しかしながら、特に第1及び第2の層の繊維間の色における差異が比較的小さい場合、多層不織布ウェブの第1及び第2の層の両方が熱可塑性繊維から形成されてもよい。多層不織布ウェブが、1つ以上の追加の層を含む場合、これらの追加の層の1つ以上もまた、熱可塑性繊維で形成されてもよい。一実施形態では、多層不織布ウェブの全ての層が熱可塑性繊維から形成される。
【0052】
しかしながら、熱可塑性繊維が十分、結合領域に含まれる限り、結合領域(すなわち、全体として多層不織布ウェブ)は、熱可塑性繊維から形成されていない層を含んでもよい。したがって、多層不織布ウェブの1つ以上の層は、天然繊維などの非熱可塑性繊維で製造されてもよい。
【0053】
一般に、多層不織布ウェブは、1つ以上の熱可塑性ポリマーから形成されてもよい。好適な不織繊維材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド又は特にポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン6−6、並びにこれらの組み合わせ(これらの配合物及びコポリマーなど)などのポリマー材料が挙げられるがこれに限定されない。PPを含む樹脂は、ポリプロピレンが相対的に低費用であること、またそれから形成される繊維の表面摩擦特性(すなわち、相対的に滑らかで、滑りやすい感触である)のために、特に有用であり得る。PEを含む樹脂も、ポリエチレンが相対的に柔軟性/たわみ性があり、またより一層滑らかな/滑りやすい表面摩擦特性のために、望ましい。互いに関して、PPは今のところ、より低費用であり、それから形成される繊維はより大きい引張強度を有しており、一方、PEは今のところ、より費用が高く、それから形成される繊維はより小さい引張強度を有するが、たわみ性がより大きく、滑らかな/滑りやすい感触がより大きい。
【0054】
したがって、PP及びPEの樹脂の配合物から、それらの利点と欠点とを釣り合わせるようにポリマーの最良の割合のバランスを見つけ、多層不織布ウェブ繊維を形成することが望ましい。幾つかの実施例では、繊維は、米国特許第5,266,392号に記載されるものなどの、PP/PE配合物から形成され得る。
【0055】
多層不織布ウェブの全部又は一部の層の繊維は、円形の断面を有する立体繊維(solid fiber)であってもよい。あるいは、全部又は一部の層の繊維は、中空繊維であってもよく、及び/又は成形された、すなわち、マルチローバル断面などの非円形断面を有していてもよい。多層不織布ウェブは、立体繊維の1つ以上の層及び中空繊維の1つ以上の他の層を含んでもよい。
【0056】
多層不織布ウェブの全部又は一部の層の繊維は、単成分繊維であってもよい。あるいは、全部又は一部の層の繊維は、二成分繊維のような多成分繊維であってもよい。多層不織布ウェブは、1つ以上の単成分繊維の層及び二成分繊維などの他の1つ以上の多成分繊維の層を含んでもよい。
【0057】
多層不織布ウェブは、任意の坪量で形成することができる。しかしながら、坪量が相対的に高くなると、外見のキャリパー及びかさばりが相対的に大きくなる一方、費用も相対的に大きくなる。一方、多層不織布ウェブの坪量は、個々の層が十分に高い繊維量を有し、結合領域と非結合領域との間のdelta E
*が少なくとも0.7である多層不織布ウェブが得られるように、十分に高くなければならない。本発明の不織布に好適な坪量は、200gsm以下、又は7gsm〜70gsm、又は10gsm〜50gsm、又は12gsm〜30gsmであることが分かっている。第1の層の坪量は、1gsm〜10gsm、又は2gsm〜10gsm、又は3gsm〜8gsmであってもよい。第2の層の坪量も、1gsm〜100gsm、又は2gsm〜50gsm、又は3gsm〜10gsmであってもよい。
【0058】
個々の層の好適な坪量はまた、使用される繊維の種類、及び追加の繊維層の有無に依存する。第1の層がスパンレイド繊維からなる場合、追加の(第3の)層が第1の層と第2の層との間に配置されていない場合(すなわち、非結合領域において、第2の層の繊維が、第1の層の繊維によって単に隠されている場合)には、坪量は5gsm〜50gsmであってもよい。第1の層の繊維がメルトブローン又はナノファイバーからなる場合、及び/又は(複数の)追加の層が、第1の層と第2の層との間に配置される場合、第1の層の坪量は1gsm〜50gsmであってもよい。
【0059】
一般に、本発明の多層不織布ウェブの結合領域と非結合領域との間で所望の程度の色における差異を得るためには、(第1の外側表面から見たときに)第2の層の上方に置かれる層は、第2の層の上方に置かれる層の非結合領域を通る第2の層の色を透けて見えにくくするように、十分な坪量を有するべきである。したがって、第1の外側表面から見たときに第2の層の上方に置かれる全ての層の合計坪量は、少なくとも5gsmであってもよく、又は1gsm〜100gsm、又は3gsm〜50gsm、又は5gsm〜40gsm、又は8gsm〜30gsmであるべきである。第1の外側表面から見たときに第1の層のみが第2の層の上方に置かれる実施形態では、第1の層の坪量は、少なくとも5gsmであってもよく、又は5gsm〜100gsm、又は8gsm〜50gsmであるべきである。多層不織布ウェブが、第1の層に加えて、第1の外側表面から見たときに第2の層の上方に置かれる更なる層を有する場合、第2の層の上方に置かれる全ての層の合計坪量が少なくとも5gsmである限り、第1の層の坪量は、3gsm未満であってもよい。しかしながら、このような実施形態においては、第2の層の上方に置かれる追加の層が、白色などの第1の層と同じか又は少なくとも類似の色を有することが望ましい。
【0060】
例えば、十分な量の白色顔料(二酸化チタンなど)を使用することによって、繊維が十分に着色されている場合、第1の外側表面から見たとき、第2の層の上方に置かれる層のより低い坪量により、望ましいマスキング効果(すなわち、最終的には、結合領域と非結合領域との間の必要なdelta E
*)を提供することができる。
【0061】
したがって、第2の層の上方に置かれる繊維層に対して、坪量、着色の程度、及び繊維の種類(スパンレイド又はメルトブローンなど)の適切な組み合わせを選択することにより、十分なマスキングを得ることができる。一般に、良好なマスキング特性のためには、第1の層及び第1の層と第2の層との間に位置付けられる任意の1つ以上の追加の層が共に、以下に述べる試験方法によって測定される際、40%超、又は45%超、又は60%超の不透明度であってもよい。
【0062】
多層不織布ウェブの第1の外側表面を形成する第1の層は、白色顔料を含んでもよい。これにより、第1の層は、第2の層及び非結合領域における第1の層の下方の任意の更なる層を隠すために良好な不透明性を提供することができる。好適な白色顔料の一例は、二酸化チタン(TiO
2)である。TiO
2は、明るさ及び比較的高い屈折率をもたらす。繊維が形成され得る(複数種類の)ポリマーに、不織布の第1の層の最大5.0重量%までの量でTiO
2を添加することは、所望の結果を達成するために効果的であり得ると考えられる。しかしながら、TiO
2は比較的硬い研磨材であるため、TiO
2を5.0重量%超の量で含むと、紡糸口金の損耗及び/又は目詰まり、繊維構造物及び/又はそれらの間のカレンダー結合の分断及び弱体化、繊維の表面摩擦特性の不要な増加(により滑らかでない感触をもたらす)、並びに下流処理設備部品の許容不可能に早い損耗を含む、有害な影響を有する場合がある。5.0重量%のTiO
2は上限として、第1の層において、重量%で4.0重量%以下、又は3.0重量%以下、又は2.0%重量%以下のTiO
2を含むことがより望ましい。
【0063】
第1の層の繊維と第2の層の繊維とは、互いに着色において異なる。
【0064】
本明細書で使用するとき、「着色において異なる」又は「着色における差異」は、以下を意味する。
a)第1の層の繊維が第2の層の顔料とは異なる顔料を含む。
b)第1の層の繊維が、顔料の異なる組み合わせを含む。
c)第1の層の繊維が、第2の層に対して異なる量の(複数の)同じ顔料を含む。
d)選択肢a)〜c)の任意の組み合わせ。
【0065】
顔料は材料であり、有機でも無機でもよい。顔料は、波長選択吸収の結果として、反射光又は透過光の色を変化させる。この物理的プロセスは、材料が発光する、蛍光、リン光、及び他の発光形態とは異なる。顔料は、一般に不溶性の粉末で、染料とは異なり、それ自体が液体であるか又は溶媒に可溶である(溶液が得られる)。染料は、不織布ウェブの表面にグラフィック、パターン又は画像などの印刷を施すために使用されることが多い。したがって、これらの染料は、不織布ウェブの繊維の一部を形成するのではなく、ウェブ表面上に適用される。それとは反対に、本発明において、顔料は多層不織布ウェブの繊維内に含まれ、これにより、顔料によって多層不織布ウェブに付与される(複数の)色の摩擦落ち又は流れ落ちのリスクを排除することができる。
【0066】
本発明では、顔料は、通常、熱可塑性材料と混合され、その繊維が製造される。多くの場合、熱可塑性材料は、いわゆるマスターバッチで着色され、多量の熱可塑性材料が溶融され、1つ以上の顔料で着色される。均一に着色された熱可塑性材料は、その後、固化され、通常はペレットに形成され、それらは多層不織布ウェブ(又は多層不織布ウェブの個々の層)の製造に使用され得る。本発明に有用な着色されたマスターバッチは、BASFにより供給されるLufilen及びLuprofil、並びにClariantにより供給されるポリオレフィン繊維用のRemafin、ポリエステル繊維用のRenol−AT、ポリアミド繊維用のRenol−AN、及び再生可能ポリマー用のCESAである。したがって、顔料は、溶融した熱可塑性材料中で懸濁され、その後、熱可塑性材料が紡糸口金を通過させられ、不織布ウェブを形成する繊維が形成され、敷設される。
【0067】
充填剤は、繊維の熱可塑性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)などのより高価な材料の消費量を下げるために、不織布ウェブの繊維などの材料によく添加される粒子である。しかしながら、充填剤は、繊維の熱可塑性材料よりも高価であってもよく、繊維及び得られる不織布ウェブに所望の特性を付与する、又は熱可塑性材料の加工性(溶融粘度の低下など)を改善するために使用することができる。本発明では、充填剤は、多層不織布ウェブの結合領域と非結合領域との間の色における差異を付与、又は少なくとも色における差異に寄与するように選択することができる。充填剤粒子は、有機でも無機でもよい。充填剤の代表的な例は、二酸化チタンであり、多層不織布ウェブに白色を付与することができる。別の例は、炭酸カルシウム(CaCO
3)であり、これはまた、より高い不透明性をもたらし得る。本発明では、充填剤は、多層不織布ウェブに色(二酸化チタンにより付与される白色など)を付与することができる限り、顔料とみなされる。
【0068】
多層不織布ウェブの第1の層は、望ましくは、第2の層及び下方の任意の更なる層の非白色を隠すためのマスキング層の一種として機能してもよい。中空繊維、ナノファイバー及び少なくとも0.5重量%の白色顔料を含む繊維は、良好なマスキング特性をもたらすために、特に有益であることが分かっている。したがって、第1の層の繊維は、中空繊維、ナノファイバー、及び少なくとも0.5重量%の白色顔料を含む繊維からなるか又はそれを含んでもよい。
【0069】
一般に、第1の層の繊維は第2の層の繊維よりも明るい色を有する(すなわち、その色がより高いL
*値を有する)ことが望ましく、その結果、結合領域は非結合領域に比べてより強い、かつ/又は濃い色を呈する。
【0070】
多層不織布ウェブの第2の層は、非白色であってもよい。したがって、第2の層の繊維は、青色顔料、黄色顔料又は緑色顔料などの非白色顔料を含んでもよい。第2の層の繊維は、メルトブローン繊維、スパンレイド繊維又はステープル繊維であってもよい。
【0071】
多層不織布ウェブは、追加の第3の層を含んでもよい。第3の層は、第1の層と第2の層との間に位置付けられてもよい。このような実施形態では、第3の層は、第1及び第2の層と直接接触していてもよく、又は、多層不織布ウェブが、第1、第2、及び第3の層に加えて更なる層を含む場合、第3の層は第1の層のみと、又は第2の層のみと直接接触していてもよい。あるいは、第3の層は、多層不織布ウェブの第2の外側表面を形成してもよい。
【0072】
第3の層が第1の層と第2の層との間に位置付けられる場合、第1の表面から見たときに第2の層の繊維のマスキングを増加させるために、第3の層の繊維は、メルトブローン又はナノファイバーであってもよい(したがって、第3の層は、第1の層に更に追加される「マスキング層」である)。第3の層が、第2の層の下方に位置付けられ、第2の外側表面を形成する場合、第3の層の繊維は、第2の外側表面に改善された耐摩耗性を提供するために、スパンレイド繊維であってもよい(したがって、第3の層は外側表面形成層である)。多層不織布ウェブの第2の外側表面を形成する第3の層は、例えば、使い捨て吸収性物品で後方耳部材料として使用される場合など、多層不織布ウェブが使用中に両側の表面から見える場合には、特に有益であり得る。
【0073】
多層不織布ウェブは、マスキング層であり、第1の層と第2の層との間に配置される、第3の層(メルトブローン又はナノファイバー層など)を含んでもよく、第2の外側表面を形成する、外側の表面形成層である第4の層(スパンレイド繊維層など)を更に含んでもよい。一般に、第1、第3、及び第4の層は、白などの同色又は実質的に同色であってもよい。
【0074】
また、多層不織布ウェブは、例えば、第2の層と第4の層との間に位置付けられ、第2の外側表面から見たときに、多層不織布ウェブに対して第2の層の繊維の追加のマスキングを提供する、(メルトブローン又はナノファイバー層などの)第5の層を含んでもよい。これらの実施形態では、第5の層は、第4の(第2の外側の表面形成)層と同色、又は実質的に同色であることが望ましい。一般に、第1、第3、第4及び第5の層は、白などの同色又は実質的に同色であってもよい。このような5つの層を含む実施形態は、多層ウェブが、両方の外側表面から消費者に見える吸収性物品の構成要素として使用される場合(例えば、多層不織布ウェブが、後方及び/又は前方耳部材料、及び/又は伸縮性レッグカフ及び/又はバリアレッグカフとして使用される場合)、特に有益である。
【0075】
多層不織布ウェブが、第1及び第2の層に加えて1つ以上の更なる層を含む場合、その1つ以上の追加の層(複数可)は、第1及び第2の層と色において異なっていてもよく、又は第1の層若しくは第2の層のいずれかと同じ色であってもよい。したがって、(複数の)追加の層は、第1及び第2の層と着色において異なっていてもよい。代替的には、(複数の)追加の層は、第1又は第2の層と着色が同じであってもよい。更に代替的には、(複数の)追加の層は、着色がなくてもよい。
【0076】
多層不織布ウェブが、第1及び第2の層に加えて複数の更なる層を含む場合、これらの追加の層は全て、類似色(すなわち、類似の着色)であってもよい。あるいは、追加の各層は、着色に関して互いに異なる。また、1つ以上の追加の層は着色され、一方、1つ以上の他の追加の層は着色がなくてもよい。
【0077】
(複数の)追加の層の繊維は、メルトブローン繊維、スパンレイド繊維、ナノファイバー、又はステープル繊維であってもよい。異なる追加の層は、異なる繊維で製造されてもよく、例えば、第3の層が、メルトブローン繊維で製造されてもよく、一方、第4の層が、ナノファイバーで製造されてもよい。あるいは、追加の層は全て同種の繊維で製造されてもよく、例えば、全てがスパンレイド繊維で製造されてもよく、又は全てがメルトブローン繊維で製造されてもよい。
【0078】
異なる第1及び第2の層並びに任意の更なる層を組み合わせる際に、多くの可能なバリエーションをが考えられ、本発明によって、結合領域及び非結合領域の全種類の色の組み合わせによる多数の実施形態が可能となり、多種多様の異なる多層不織布ウェブを得ることができることが明らかである。
【0079】
本発明の多層不織布ウェブは、パターン結合される。本明細書で使用するとき、「パターン結合された」という用語は、連続した非結合領域に囲まれる(繰り返しパターンとして構成されてもよい)複数の個々の結合領域、並びに複数の個々の非結合領域を囲む連続した結合領域を含む。また、「パターン結合された」という用語は、例えば、縦方向又は横方向に延びるストライプ又はウェブとして、互いに交互に現れる結合領域及び非結合領域を含む。結合領域全体、すなわち、全ての結合領域を合わせた合計は、多層不織布ウェブの全体の面積の5%〜80%、又は、多層不織布ウェブの全体の面積の5%〜50%、若しくは10%〜40%であるべきである。全体の結合領域は、以下の結合領域率試験方法によって測定することができる。しかしながら、結合領域が、カレンダー結合によって導入される場合、パターン化されたカレンダーロールの全表面積に対するパターンロール上の隆起領域の割合は、結合領域としてみなすことができる。
【0080】
多層不織布ウェブが、複数の個々の結合領域を有する場合には、多層不織布ウェブの結合パターンに含まれる個々の結合領域のサイズは、少なくとも0.3mm
2、又は少なくとも0.4mm
2、又は少なくとも0.5mm
2、又は少なくとも0.7mm
2であってもよく、それらは、10mm
2以下、又は5mm
2以下であってもよい。個々の結合領域のサイズが全て類似していなければ、全ての個々の結合領域のサイズは、0.3mm
2〜5mm
2、又は0.4mm
2〜5mm
2、又は0.5mm
2〜5mm
2の範囲であってもよい。一般に、結合領域と非結合領域との間のdelta E
*が比較的大きい(5より大きい、又は10より大きいなど)多層不織布ウェブでは、小さい個々の結合領域(0.3mm
2〜0.6mm
2など)は肉眼で容易に見え、一方、小さいdelta E
*(5未満など)では、(0.6mm
2超など)わずかに大きい個々の結合領域を有することが望ましい。また、比較的高い坪量(12gsm超、又は15gsm超など)の多層不織布ウェブでは、小さい個々の結合領域(0.3mm
2〜0.7mm
2など)は、肉眼で容易に見え、一方、低い坪量(15gsm未満、又は12gsm未満など)では、(0.6mm
2超など)わずかに大きい個々の結合領域を有することが望ましい。設計の特質を伝えるために、消費者によって容易に知覚され得る結合パターンのデザインが好ましい。本明細書で使用するとき、「消費者に認識可能なパターン」とは、少なくとも5%、又は少なくとも10%の結合領域率を有する、少なくとも0.6mm
2、又は少なくとも0.9mm
2、好ましくは2mm
2超の面積を有するパターンである。結合領域率は、50%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは15%未満であってもよい。
【0081】
本発明の多層不織布ウェブは、上記の使い捨ておむつなど、吸収性物品に使用することができる。例えば、多層不織布ウェブは、トップシート、バックシート、後方耳部、前方耳部、締結システム(ランディングゾーン又は締結テープの少なくとも一部など)、伸縮性レッグカフ及び/又はバリアレッグカフの一部又は全部を形成することができる。多層不織布ウェブが吸収性物品のトップシートの一部又は全部を形成する場合、物品の使用時に多層不織布ウェブの第1の表面は、着用者の皮膚に対向する場合がある。多層不織布ウェブが、バックシート、後方耳部、前方耳部、ランディングゾーン、及び/又は締結テープの一部又は全部を形成する場合、物品の使用時に多層不織布ウェブの第1の表面は、着用者の衣類に対向する場合がある。
【0082】
多層不織布ウェブは、以下の方法によって製造することができる。
【0083】
第1の繊維層が、ベルトやドラムなどの支持部材上に敷設される。繊維は、当該技術分野において周知のように、適切な方法によって、繊維に加工される溶融熱可塑性材料から製造されてもよい。
【0084】
第2の繊維層が、第1の繊維層の上方に敷設される。これらの繊維もまた、溶融熱可塑性材料から製造されてもよい。
【0085】
あるいは、第2の繊維層は、第1の繊維層を敷設する前に敷設されてもよく、その結果、第1の層は第2の層の上方に敷設される。
【0086】
第1の層の繊維と第2の層の繊維とは、例えば、互いに着色において異なることによって、互いに色において異なる。
【0087】
積み重ねて敷設された後、第1及び第2の層は、結合パターンによって互いに結合される。結合は、熱、圧力、超音波エネルギー、又はそれらの組み合わせの適用によってなされてもよい。
【0088】
結合パターンが適用されると、第1の表面の結合領域は、第1の色を有し、第1の表面の非結合領域は、第1の色と異なる第2の色を有する。第1の外側表面上では、結合領域と非結合領域との間のdelta E
*は、少なくとも0.7、又は少なくとも1.0、又は少なくとも2.5、又は少なくとも3.0、又は少なくとも4.0、又は少なくとも5.0、又は少なくとも10、又は少なくとも15である。
【0089】
本発明の多層不織布ウェブの1つ、複数、又は全ての層は、任意の好適な樹脂から、(複数種類の)樹脂が加熱され、圧力下で紡糸口金を通過させられる従来の方法によって形なされてもよい。紡糸口金は、(複数種類の)ポリマーの繊維を放出し、それは次に移動ベルトを打つように移動ベルト上に方向付けられ、多少ランダムな配向で敷設されてスパンレイド芯を形成する。芯は、次に、多層不織布ウェブの全ての層が敷設された後、カレンダー結合され、不織布ウェブを形成し得る。しかしながら、ステープル繊維のカーディングなど、他の周知の製造技術もまた、本発明の多層不織布ウェブの1つ、複数、又は全ての層を製造するために使用されてもよい。
【0090】
結合パターンは、熱、圧力、又は熱と圧力の組み合わせ、並びに超音波ボンディングの使用、並びに熱、圧力及び/又は超音波ボンディングの組み合わせによって多層不織布ウェブに付与されてもよい。結合パターンを提供するための好適な技術は、カレンダー結合によるものである。カレンダー結合は、多層不織布材料を一対の回転するカレンダーローラー間のニップに通し、これにより繊維を圧縮・統合して多層不織布ウェブを形成することによって達成され得る。カレンダーローラーの一方又は双方は、ニップにて圧縮される、重なり合い、密に隣接している繊維間の塑性変形、噛み合い、及び/又は熱結合/融合を促進するために、加熱されてもよい。カレンダーローラーは、それらがニップにて所望の圧縮力/圧力を付与するように、制御可能な量の力によって共に付勢される結合メカニズムの操作可能な構成要素を形成してもよい。幾つかのプロセスでは、圧縮単独で、繊維内に、それらが重なり合い、密に隣接している場所で互いに接して付勢される際に、高速変形及び繊維内に発生する摩擦熱の結果として結合を生じさせるのに十分なエネルギーを発生することができ、塑性変形及び噛み合い、並びに可能であれば熱結合/融合をもたらすため、加熱は不要とみなされ得る。幾つかのプロセスでは、超音波エネルギー源が、超音波振動を繊維に伝送し、同様に繊維内に熱エネルギーを発生させて結合を強化するように、結合メカニズムに含まれてもよい。カレンダーローラーの一方又は双方は、ニップにおいて不織布材料にかかる結合圧力が、突出部の外向きの面に集中し、陥凹領域では低減又は実質的に除去されるように、機械加工、エッチング、彫刻された、ないしは別の方法で突出部と陥凹領域とのパターンをその上に有する周辺面を有してもよい。結果として、多層不織布ウェブを形成する繊維間の型押しされた結合パターンは、カレンダーローラー上の突出部のパターンと概ね対応して、多層不織布ウェブ上に形成される。一方のカレンダーローラーは、滑らかでパターンを有さない円筒状面を有してもよく、また他方のローラーは、記載されるようにパターンを有して形成されてもよい。この組み合わせは、形成されたカレンダーローラー上のパターンを概ね反映して、ウェブ上にパターンを付与するであろう。幾つかの実施例では、双方のカレンダーローラーがパターンを有して形成されてもよく、特定の実施例では、例えば、米国特許第5,370,764号に記載されるように、ウェブ上に組み合わせパターンを型押しするように組み合わさって作用する異なるパターンを有してもよい。
【0091】
一方のカレンダーロールに突出部が形成され、他方のカレンダーロールは実質的に滑らかな外側表面を有する実施形態では、第1の外側表面が、突出部が形成されたカレンダーロールに直接接触するように、多層不織布ウェブがパターン結合されることが好ましい。
【0092】
突出部及び陥凹領域の繰り返しパターンは、一方のカレンダーローラー上に形成されてもよい。例えば、カレンダーロールの突出部は、菱形、ダイヤモンド形、又はその他の形状の突出部の隆起表面であり、それらの間の領域は陥凹領域を表している。理論によって拘束されることを意図しないが、引張強度と同様に、多層不織布ウェブ上に型押しされた結合型押の視覚的影響は突出部表面から得られ、突出部表面の面積に影響を受け得ると考えられる。したがって、個々の突出部表面の面積は、少なくとも0.3mm
2、又は少なくとも0.4mm
2、又は少なくとも0.5mm
2、又は少なくとも0.7mm
2からであり、それらはまた、10mm
2以下、又は5mm
2以下となり得ることが望ましいと考えられる。個々の突出部領域のサイズがすべて類似しているわけではない場合、全ての個々の突出部領域の大きさは、0.3mm
2〜5mm
2、又は0.4mm
2〜5mm
2、又は0.5mm
2〜5mm
2の範囲であってもよい。突出部表面は、図示されるようなダイヤモンド形を有していてもよく、あるいは、ダイヤモンド形、矩形、正方形、又は楕円形は、キルトの様にステッチの外観を模倣する望ましい効果を有し得ると考えられるが、他の任意の好適な形状を有してもよい。
【0093】
カレンダーロール上の突出部表面は、それらが実質的に陥凹領域の繰り返しパターンを取り囲むように配置されていてもよい。したがって、陥凹領域は、突出部の連続領域(すなわち、隆起領域)に囲まれるアイランド状の領域である。その後、得られる多層不織布ウェブは、複数の個々の非結合領域を区切る連続結合領域を有することになるであろう。カレンダーロール上の陥凹部は、幾何学的形状の形態であってもよい。幾何学的形状は、ダイヤモンド形若しくは正方形であってもよく、または、三角形、ダイヤモンド形、平行四辺形、他の多角形、円、ハート形、月形などを含むがそれらに限定されない、他の形状であってもよい。
【0094】
試験方法
delta E
*の測定
結合領域と非結合領域の色差分析
結合パターンの色差の測定は、CIE L
*a
*b
*表色系(CIELAB)に基づく。1200dpiで24ビットカラーの最小値を走査することが可能で、カラーマネジメントの手動制御機能を有する、フラットベッドスキャナ(好適なスキャナは、Long Beach CA、Epson America Inc.製のEpson Perfection V750 Proである)を使用して画像を取得する。スキャナを、カラーマネジメントソフトウェア(好適なパッケージは、Grand Rapids,MI、X−Riteから入手可能なMonacoEZColorである)を使用してANSI方式IT8.7/2−1993に準拠したカラー反射ターゲットに対して校正し、スキャナプロファイルを構築する。校正したスキャナプロファイルを、CIE L
*a
*b
*におけるサンプリングをサポートするイメージングプログラム(好適なプログラムは、San Jose,CA、Adobe Systems Inc.から入手可能なPhotoshop S4である)内で開き、結合及び非結合領域を測定する。
【0095】
校正前の30分間、スキャナの電源をオンにする。スキャナガラス上に、IT8ターゲットを、表を下にして置き、スキャナのふたを閉じる。MonacoEZColorソフトウェアを開き、スキャナに付属するTwainソフトウェアを使用して取得画像を選択する。Twainソフトウェア内で、アンシャープマスク設定及びそのソフトウェアに含まれ得る全ての自動色補正又はカラーマネジメントオプションの選択を解除する。自動カラーマネジメントを無効にすることができない場合、そのスキャナは、この用途には不適である。200dpi、24ビットカラーでプレビュースキャンを取得する。スキャンした画像が真っ直ぐであり、第1の外側表面が上向きであることを確認する。ターゲットの縁部に画像をトリミングし、ターゲットの周りの全ての余白を除いて、最終的な画像を取得する。MonacoEZColorソフトウェアは、この画像を使用して、含まれる基準ファイルと比較し、Photoshopと互換性のある校正したカラープロファイルを生成及びエクスポートする。プロファイルが作成された後、スキャン解像度(dpi)は変更可能であるが、他の全ての設定は、サンプルの撮像中、一定に保たれる必要がある。
【0096】
対象の結合領域を含有する多層不織布ウェブの第1の外側表面を特定する。多層不織布ウェブの一片を取り除く。取り扱いの便宜上、サンプルサイズは75mm×75mm片であってもよいが、当業者によって理解されるように、より小さなサンプルサイズを使用してもよい。多層不織布ウェブが、吸収性物品などの製品から取り除かれる必要がある場合、極低温凍結スプレー(cryogenic freeze spray)(例えば、TX、Control Company製のCytoFreeze)を使用して製品から試料を取り除く必要があり得る。試験前に、約23℃±2℃、約50%±2%の相対湿度で、2時間、サンプルを前処理する。
【0097】
スキャナのふたを開け、第1の外側表面をガラスに対向させて、スキャナガラス上に試料を配置する。白色の背景で(この試験方法では、白は、L
*>94、−2<a
*<2、及び−2<b
*<2を有する色と定義される)試料を覆い、ふたを閉じる。試料のスキャンを取得し、600dpi、24ビットカラーでPhotoshopにインポートする。画像に、校正したスキャナプロファイルを割り当て、モードをLab Colorに変更する(Photoshopの「Lab Color」は、CIE L
*a
*b
*規格に対応する)。「スポイト」色選択ツールを選択する。隣接する非結合領域のピクセルを含むことなく、結合領域内にできるだけ多くの画素を含むように、ツールのサンプリングサイズを設定する。スポイトツールを使用して、不織布画像内の10の異なる結合領域でL
*a
*b
*値を測定し、記録する。10の個々のL
*a
*b
*値を平均し、それぞれ、L
1、a
1、b
1として記録する。不織布画像内の10の非結合領域に対して同様に測定を繰り返し、平均した値を、L
2、a
2、b
2として記録する。以下の式を使用して、結合領域と非結合領域との間の色差(delta E
*)を計算し記録する。
【0098】
【数1】
そして、0.01の単位まで記録する。サンプルセット毎に、合計3つの実質的に同一の不織布ウェブを測定する。3つのdelta E
**値を平均し、0.1の単位まで記録する。
【0099】
有用であり得る他の色分析を、delta Chroma(delta C
*)及びdelta Hue(delta H
*)の計算を使用して行う。
Delta C
*=square−root(a
*12+b
*12)−square−root(a
*22+b
*22)
2
Delta H
*=square−root[(a
*2−a
*1)
2+(b
*2−b
*1)
2−(Delta C
*)
2]
【0100】
結合型押の画像分析
面積及び距離の測定を、反射モードにおいて少なくとも4800dpiの解像度でスキャン可能なフラットベッドスキャナを使用して、生成された画像上で実施する(好適なスキャナは、米国、EpsonのEpson Perfection V750 Proである)。分析は、ImageJ software(米国、National Institutes of HealthのVs.1.43u)を使用して実施し、NISTによって認定された定規に対して校正される。
【0101】
対象の結合領域を含有する多層不織布ウェブの第1の外側表面を特定する。多層不織布ウェブの一片を取り除く。取り扱いの便宜上、サンプルサイズは75mm×75mm片であってもよいが、当業者によって理解されるように、小さなサンプルサイズを使用してもよい。多層不織布ウェブが、吸収性物品などの製品から取り除かれる必要がある場合、極低温凍結スプレー(例えば、TX、Control Company製のCytoFreeze)を使用して製品から試料を取り除く必要があり得る。試験前に、約23℃±2℃、約50%±2%の相対湿度で、2時間、サンプルに前処理する。
【0102】
試料を、第1の外側表面が定規に直に隣接し、ガラスに対向するように、フラットベッドスキャナ上に配置する。不織布ウェブサンプルの側縁の一方が定規に平行になるように配置される。黒色の裏材を試料の上に配置し、スキャナの蓋を閉じる。8ビットグレイスケール、反射モード、4800dpiで、不織布ウェブ及び定規からなる画像を取得し、ファイルを保存する。画像ファイルをImageJで開き、画像化された定規を使用して直線校正を実施する。
【0103】
個々の結合領域の平均
結合領域の縁部を明確に判別することができるように、対象の領域を拡大する。エリアツールで、手動で結合領域の外周をトレースする。0.001mm
2の単位まで面積を計算し記録する。合計10の、試料全体に渡って無作為に選択される隣接しない結合領域について繰り返す。サンプルセット毎に、合計3つの実質的に同一の多層不織布ウェブサンプルを測定する。全30の結合領域の平均と標準偏差を計算する。
【0104】
結合パターンが、個々の結合領域のサイズが大きく異なるものである場合、最大及び最小の結合領域が、前の段落で述べたようにそれぞれ求めることができ、個々の結合領域の大きさの範囲を求めることができる。
【0105】
結合領域率
結合領域と非結合領域との単一の反復パターンを特定し、その反復パターンがフィールドを埋めるように画像を拡大する。ImageJで、反復パターンを包含するボックスを描画する。結合パターンが結合領域の反復パターンを含まない場合は、結合領域率が、これらのサンプルの平均値として求められるよう、満足のいくまでの複数の異なるサンプルを取り、測定する。必要なサンプル数は、結合パターンがどの程度不均一であるかに依存し得る。(サンプル数は10から100又はそれ以上であってもよい)。ボックスの面積を計算し、0.01mm
2の単位まで記録する。次に、エリアツールで、ボックス内全体の個々の結合領域又はその一部をトレースし、ボックス内の全ての結合領域又はその一部の面積を計算する。0.01mm
2の単位まで記録する。計算は以下のように行う。
【0106】
結合領域率=(ボックス内の結合型押しの面積の和)/(ボックスの面積)×100%試料全体に渡って無作為に選択される隣接しない全5つの対象の領域について繰り返す。結合領域率として0.01%の単位まで記録する。全ての結合領域率測定値の平均及び標準偏差を計算し、0.001の単位まで記録する。
【0107】
結合パターンが、分散する個々の非結合領域を有する連続した結合領域からなる場合、基本的には同じ試験方法を用いることができるが、個々の結合領域をトレースするのではなく、非結合領域がトレースされ、計算はそれに応じて調整される。
【0108】
不透明度測定方法
材料の不透明度とは、その材料によって遮断される光の度合いである。より高い不透明度値は、その材料がより高度に光を遮断することを示す。不透明度は、0°照明/45°検出、周辺の光学的形状、HunterLab LabScan XE running Universal Software(Hunter Associates Laboratory Inc.(Reston,VA)から入手可能)などのコンピュータインターフェースを有する分光光度計を使用して測定することができる。計器校正及び測定は、販売元による標準白黒校正プレートを使用して行う。全ての試験を約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施する。標準に設定されたUVフィルタと共に、分光光度計を、XYZカラースケール、D65光源、10°標準観測者に対して構成する。計器を、製造者の手順に従い、3.05cm(1.20インチ)ポート寸法及び2.54cm(1.00インチ)視野域を使用して標準化する。校正後、ソフトウェアをY不透明度手順に設定する。
【0109】
試料を得るためには、多層不織布ウェブは、第1の外側表面から見たときに第2の層の上方に敷設されるレイヤのみで製造されなければならない。したがって、得られる層状布は、第1の層のみ、又は多層不織布ウェブが、第1の層と第2の層との間に追加の層を有する場合は、第1の層及びこれらの追加の層のいずれかからなる。(複数の)層は、完全な多層不織布ウェブが結合されたであろう方法と同じ方法で結合されたパターンである。上述で特定した各部位の中心において、50.8mm×50.8mmの小片を切断する。試験前に、約23℃±2℃、約50%±2%の相対湿度で、2時間、サンプルを前処理する。
【0110】
試料を測定ポート上に配置する。試料は、第1の外側表面をポートに向けた状態で、完全にポートを覆う必要がある。試料を、白色標準プレートで覆う。読み取りを行った後、試料を動かすことなく、白色タイルを取り除き黒色標準タイルに置き換える。2度目の読み取り値を取得し、不透明度を以下のように計算する。
不透明度=Y値[(黒色裏材)/Y値[(白色裏材)×100
【0111】
合計5つの実質的に同一のサンプルを分析し、その不透明度の結果を記録する。ウェブの測定値に対する平均不透明度及び標準偏差を、0.01%の単位まで計算し、記録する。
【0112】
色堅牢度測定
多層不織布ウェブの色堅牢度を、「Colorfastness to Crocking:Roatary Vertical Crockmeter Method」と称する試験方法AATCC(米国繊維化学技術・染色技術協会)116〜2005に従って測定する。試験方法の項目1.2に関しては、乾燥サンプルを採取して色堅牢度を測定する。試験試料のサイズは7cm
2(1inch
2)未満であってもよく、これは試験方法の項目7に示されている。例えば、サンプルは、長さ25mm、幅10mmほどに小さくてもよい。
【0113】
本明細書で参照されるProcter & Gamble Companyに譲渡された全ての特許及び特許出願(それらに記載されている特許も含む)は、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み入れられる。
【0114】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0115】
「発明を実施するための形態」で引用する全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本明細書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同一用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義を適用する。
【0116】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。