特許第6042565号(P6042565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042565
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ユーザ端末、プロセッサ及び基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20161206BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04W72/04
   H04W92/18
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-551652(P2015-551652)
(86)(22)【出願日】2015年9月24日
(86)【国際出願番号】JP2015076887
(87)【国際公開番号】WO2016047671
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2015年10月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-197608(P2014-197608)
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】安達 裕之
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/008067(WO,A1)
【文献】 Qualcomm Incorporated,Resource allocation for Mode 1 D2D broadcast communication,3GPP TSG-RAN WG2 #86 R2-142589,2014年 5月 9日,pp.1-7
【文献】 Orange,Pseudo-CR on description of the Direct Discovery Authorization procedure,3GPP TSG CT4 Meeting #65 C4-141082,2014年 5月23日,pp.1-5
【文献】 Huawei, HiSilicon,Discussion on ProSe-BSR Format,3GPP TSG RAN WG2 Meeting #87 R2-143810,2014年 8月22日,pp.1-3
【文献】 General Dynamics UK Ltd,Including the target Group ID in the ProSe-BSR,3GPP TSG-RAN2#87 R2-143092,2014年 8月 8日,pp.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接的な端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ自ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの送信を希望するグループを示す第1のグループ識別子と、前記端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ自ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの受信を希望するグループを示す第2のグループ識別子と、を一のメッセージに含めて前記基地局へ送信する処理を実行するコントローラを備えることを特徴とするユーザ端末。
【請求項2】
直接的な端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ自プロセッサが制御するユーザ端末が前記端末間通信によるデータの送信を希望するグループを示す第1のグループ識別子と、前記端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ前記ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの受信を希望するグループを示す第2のグループ識別子と、を一のメッセージに含めて前記基地局へ送信する処理を実行することを特徴とするプロセッサ。
【請求項3】
直接的な端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつユーザ端末が前記端末間通信によるデータの送信を希望するグループを示す第1のグループ識別子と、前記端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ前記ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの受信を希望するグループを示す第2のグループ識別子と、が含まれる一のメッセージを前記ユーザ端末から受信する処理を実行するコントローラを備えることを特徴とする基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、D2D近傍サービスをサポートする移動通信システムにおいて用いられるユーザ端末及び基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、リリース12以降の新機能として、端末間(Device to Device:D2D)近傍サービスの導入が検討されている(非特許文献1参照)。
【0003】
D2D近傍サービス(D2D ProSe)は、同期がとられた複数のユーザ端末からなる同期クラスタ内で直接的な端末間通信を可能とするサービスである。D2D近傍サービスは、近傍端末を発見するD2D発見手順(Discovery)と、直接的な端末間通信であるD2D通信(Communication)と、を含む。
【0004】
ところで、ユーザ端末は、D2D近傍サービスにおけるD2D無線信号の送信と受信とを同一タイミングで行うことができないという問題(いわゆる、Half−Duplex問題)がある。このため、同期がとられた複数のユーザ端末からなる同期クラスタを形成する全てのユーザ端末がセルカバレッジ内に位置するIn−coverageシナリオでは、基地局が、D2D無線信号を送信するための時間・周波数リソースの割り当てを行うことが議論されている。基地局は、同期クラスタ内でD2D無線信号を同一タイミングで送信する複数のユーザ端末が存在しないように、時間・周波数リソースの割り当てを行うことによって、Half−Duplex問題を解消できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP技術報告書 「TR 36.843 V12.0.1」 2014年3月27日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態に係るユーザ端末は、直接的な端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ自ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの送信を希望するグループを示す第1のグループ識別子と、前記端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ自ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの受信を希望するグループを示す第2のグループ識別子と、を一のメッセージに含めて前記基地局へ送信する処理を実行するコントローラを備える
一実施形態に係るプロセッサは、直接的な端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ自プロセッサが制御するユーザ端末が前記端末間通信によるデータの送信を希望するグループを示す第1のグループ識別子と、前記端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ前記ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの受信を希望するグループを示す第2のグループ識別子と、を一のメッセージに含めて前記基地局へ送信する処理を実行する。
一実施形態に係る基地局は、直接的な端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつユーザ端末が前記端末間通信によるデータの送信を希望するグループを示す第1のグループ識別子と、前記端末間通信を行うグループを示すグループ識別子であって、かつ前記ユーザ端末が前記端末間通信によるデータの受信を希望するグループを示す第2のグループ識別子と、が含まれる一のメッセージを前記ユーザ端末から受信する処理を実行するコントローラを備えることを特徴とする基地局。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、LTEシステムの構成図である。
図2図2は、UEのブロック図である。
図3図3は、eNBのブロック図である。
図4図4は、プロトコルスタック図である。
図5図5は、無線フレームの構成図である。
図6図6は、D2D近傍サービスにおけるD2D無線信号の送信タイミングが同時になるケースを説明するための説明図である。
図7図7は、第1実施形態に係る動作を説明するためのシーケンス図である。
図8図8は、第1実施形態の変更例1に係る動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
上述の従来技術では、1つのユーザ端末が、複数のD2Dグループ(同期クラスタ)に所属するケースが想定されていない。このため、第1及び第2のD2Dグループに所属するユーザ端末が、第1のD2Dグループに対してD2D無線信号を送信するタイミングは、第1のD2Dグループに所属する第1端末の送信タイミングと異なったとしても、第2のD2Dグループに所属する第2端末の送信タイミングと同時になる可能性がある。その結果、ユーザ端末は、第2端末からのD2D無線信号の受信を失敗する虞がある。
【0010】
そこで、本出願は、ユーザ端末が、複数のD2Dグループに所属する場合であっても、D2D無線信号の受信の失敗を低減可能とすることを目的とする。
【0011】
実施形態に係るユーザ端末は、直接的な端末間通信であるD2D通信において複数のD2Dグループのそれぞれに対応付けられた識別子からなる複数のグループ識別子のうち少なくとも1以上のグループ識別子をD2D通信におけるデータの送信先の識別子として基地局に送信する制御を行うコントローラを備える。
【0012】
実施形態において、前記コントローラは、前記D2D通信における送信待ちのデータを報告するためのバッファ状態報告を送信する前又は送信するタイミングで、前記1以上のグループ識別子を前記基地局に送信する制御を行う。
【0013】
実施形態において、前記コントローラは、前記ユーザ端末において前記D2D通信の送信の指示があった場合に、前記1以上のグループ識別子を前記基地局に送信する制御を行う。
【0014】
実施形態に係るプロセッサは、ユーザ端末に備えられる。前記プロセッサは、直接的な端末間通信であるD2D通信において複数のD2Dグループのそれぞれに対応付けられた識別子からなる複数のグループ識別子のうち少なくとも1以上のグループ識別子をD2D通信におけるデータの送信先の識別子として基地局に送信するようにユーザ端末を制御する。
【0015】
なお、本実施形態は、以下の内容も含むことに留意すべきである。
【0016】
第1実施形態に係るユーザ端末は、D2D近傍サービスをサポートする移動通信システムにおいて用いられる。前記ユーザ端末は、前記D2D近傍サービスにおいて自ユーザ端末に関連する複数のD2Dグループのそれぞれに対応付けられた識別子からなる複数のグループ識別子を記憶する記憶部と、前記自ユーザ端末が基地局に接続する際に、前記複数のグループ識別子のうち少なくとも1以上のグループ識別子を前記基地局に送信する制御を行う制御部と、を備える。
【0017】
第1実施形態において、前記少なくとも1以上のグループ識別子は、前記複数のD2Dグループのうち前記自ユーザ端末が参加可能な全てのD2Dグループを示す識別子である。
【0018】
第1実施形態において、前記少なくとも1以上のグループ識別子は、前記複数のD2Dグループのうち前記自ユーザ端末がD2D無線信号の送信及び受信の少なくとも一方を希望するD2Dグループを示す識別子である。
【0019】
第1実施形態において、前記少なくとも1以上のグループ識別子は、前記複数のD2Dグループのうち他のD2Dグループよりも優先するD2Dグループを示す識別子である。
【0020】
第1実施形態に係るユーザ端末は、D2D近傍サービスをサポートする移動通信システムにおいて用いられる。前記ユーザ端末は、前記D2D近傍サービスにおいて自ユーザ端末に関連する複数のD2Dグループのそれぞれに対応付けられた識別子からなる複数のグループ識別子を記憶する記憶部と、前記複数のグループ識別子のうち少なくとも1以上のグループ識別子を含むProSe指示を前記基地局に送信する制御を行う制御部と、を備える。
【0021】
第1実施形態において、前記制御部は、前記D2D近傍サービスにおける送信待ちのデータを報告するためのバッファ状態報告を前記基地局に送信する制御を行う。前記制御部は、前記バッファ状態報告とは異なるタイミングで、前記ProSe指示を前記基地局に送信する制御を行う。
【0022】
第1実施形態において、前記制御部は、前記自ユーザ端末が前記D2D近傍サービスに興味を持った場合に、前記ProSe指示を前記基地局に送信する制御を行う。
【0023】
第1実施形態において、前記少なくとも1以上のグループ識別子は、前記複数のD2Dグループのうち前記自ユーザ端末がD2D無線信号の送信及び受信の少なくとも一方を希望するD2Dグループを示す識別子である。
【0024】
第1実施形態において、前記少なくとも1以上のグループ識別子は、前記複数のD2Dグループのうち他のD2Dグループよりも優先するD2Dグループを示す識別子である。
【0025】
第1実施形態に係るユーザ端末は、D2D近傍サービスをサポートする移動通信システムにおいて用いられる。前記ユーザ端末は、前記D2D近傍サービスにおいて自ユーザ端末に関連する複数のD2Dグループのそれぞれに対応付けられた識別子からなる複数のグループ識別子を記憶する記憶部と、前記D2D近傍サービスにおける送信待ちのデータを報告するためのバッファ状態報告を送信する制御を行う制御部と、を備える。前記制御部は、前記バッファ状態報告に、前記複数のD2Dグループのうち前記自ユーザ端末がD2D無線信号の受信を希望するD2Dグループを示す識別子を含める。
【0026】
第1実施形態において、前記少なくとも1以上のグループ識別子は、前記複数のD2Dグループのうち他のD2Dグループよりも優先するD2Dグループを示す識別子である。
【0027】
第1実施形態(の変更例2)に係る基地局は、D2D近傍サービスをサポートする移動通信システムにおいて用いられる。前記基地局は、前記基地局の上位ネットワーク装置から、前記D2D近傍サービスにおいて所定のユーザ端末に関連するD2Dグループに対応する少なくとも1以上のグループ識別子を受信する受信部を備える。
【0028】
第1実施形態において、前記少なくとも1以上のグループ識別子は、前記所定のユーザ端末が参加可能な全てのD2Dグループを示す識別子である。
【0029】
第1実施形態において、前記所定のユーザ端末が前記基地局に接続する際に、前記所定のユーザ端末に関連するD2Dグループに対応する少なくとも1以上のグループ識別子を受信する。
【0030】
第1実施形態において、前記所定のユーザ端末に関連するD2Dグループに対応する少なくとも1以上のグループ識別子は、前記基地局の上位ネットワーク装置から通知されるコンテキスト情報に含まれる。
【0031】
第1実施形態に係るユーザ端末は、D2D近傍サービスをサポートする移動通信システムにおいて用いられる。前記ユーザ端末は、前記D2D近傍サービスにおいて自ユーザ端末に関連する複数のD2Dグループのうち少なくとも自ユーザ端末が情報を送信する先のD2Dグループとは異なるD2Dグループに関連する情報を基地局に送信する。
【0032】
なお、特許請求の範囲に記載の「グループ識別子」及び「D2Dグループに関連する情報」は、D2Dグループを直接的に示す識別子であってもよいし、D2Dグループを間接的に示す識別子(インデックス)であってもよい。
【0033】
[第1実施形態]
以下において、本出願の内容をLTEシステムに適用する場合の第1実施形態を説明する。
【0034】
(システム構成)
図1は、実施形態に係るLTEシステムの構成図である。図1に示すように、実施形態に係るLTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
【0035】
UE100は、ユーザ端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、接続先のセル(サービングセル)との無線通信を行う。UE100の構成については後述する。
【0036】
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200の構成については後述する。
【0037】
eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータのルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能などを有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
【0038】
EPC20は、コアネットワークに相当する。E−UTRAN10及びEPC20によりLTEシステムのネットワーク(LTEネットワーク)が構成される。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300と、OAM(Operation and Maintenance)400とを含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御などを行う。S−GWは、ユーザデータの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。
【0039】
OAM400は、オペレータによって管理されるサーバ装置であり、E−UTRAN10の保守及び監視を行う。
【0040】
図2は、UE100のブロック図である。図2に示すように、UE100は、アンテナ101、無線送受信機110、ユーザインターフェイス120、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機130、バッテリ140、メモリ150、及びプロセッサ160を備える。メモリ150は記憶部に相当し、プロセッサ160は制御部に相当する。UE100は、GNSS受信機130を有していなくてもよい。また、メモリ150をプロセッサ160と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサ160’としてもよい。
【0041】
アンテナ101及び無線送受信機110は、無線信号の送受信に用いられる。無線送受信機110は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナ101から送信する。また、無線送受信機110は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してプロセッサ160に出力する。
【0042】
ユーザインターフェイス120は、UE100を所持するユーザとのインターフェイスであり、例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及び各種ボタンなどを含む。ユーザインターフェイス120は、ユーザからの操作を受け付けて、該操作の内容を示す信号をプロセッサ160に出力する。GNSS受信機130は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をプロセッサ160に出力する。バッテリ140は、UE100の各ブロックに供給すべき電力を蓄える。
【0043】
メモリ150は、プロセッサ160により実行されるプログラム、及びプロセッサ160による処理に使用される情報を記憶する。プロセッサ160は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ150に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサ160は、さらに、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサ160は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0044】
図3は、eNB200のブロック図である。図3に示すように、eNB200は、アンテナ201、無線送受信機210、ネットワークインターフェイス220、メモリ230、及びプロセッサ240を備える。なお、メモリ230をプロセッサ240と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサ240’としてもよい。
【0045】
アンテナ201及び無線送受信機210は、無線信号の送受信に用いられる。無線送受信機210は、プロセッサ240が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナ201から送信する。また、無線送受信機210は、アンテナ201が受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してプロセッサ240に出力する。
【0046】
ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信に用いられる。
【0047】
メモリ230は、プロセッサ240により実行されるプログラム、及びプロセッサ240による処理に使用される情報を記憶する。プロセッサ240は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ230に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ240は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0048】
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
【0049】
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。
【0050】
MAC層は、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式)、UE100への割当リソースブロックを決定(スケジューリング)するスケジューラを含む。
【0051】
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。
【0052】
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0053】
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のための制御信号(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態であり、そうでない場合、UE100はRRCアイドル状態である。
【0054】
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
【0055】
図5は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンク(DL)にはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンク(UL)にはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
【0056】
図5に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのサブキャリア及び1つのシンボルによりリソースエレメントが構成される。UE100に割り当てられる無線リソースのうち、周波数リソースはリソースブロックにより構成され、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により構成される。
【0057】
(D2D近傍サービス)
以下において、D2D近傍サービスについて説明する。実施形態に係るLTEシステムは、D2D近傍サービスをサポートする。D2D近傍サービスについては非特許文献1に記載されているが、ここではその概要を説明する。
【0058】
D2D近傍サービス(D2D ProSe)は、同期がとられた複数のUE100からなる同期クラスタ内で直接的なUE間通信を可能とするサービスである。D2D近傍サービスは、近傍UEを発見するD2D発見手順(Discovery)と、直接的なUE間通信であるD2D通信(Communication)と、を含む。D2D通信は、Direct communicationとも称される。
【0059】
同期クラスタを形成する全UE100がセルカバレッジ内に位置するシナリオを「カバレッジ内(In coverage)」という。同期クラスタを形成する全UE100がセルカバレッジ外に位置するシナリオを「カバレッジ外(Out of coverage)」という。同期クラスタのうち一部のUE100がセルカバレッジ内に位置し、残りのUE100がセルカバレッジ外に位置するシナリオを「部分的カバレッジ(Partial coverage)」という。
【0060】
カバレッジ内では、例えばeNB200がD2D同期元となる。D2D非同期元は、D2D同期信号を送信せずにD2D同期元に同期する。D2D同期元であるeNB200は、D2D近傍サービスに使用可能な無線リソースを示すD2Dリソース情報を、ブロードキャスト信号により送信する。D2Dリソース情報は、例えば、D2D発見手順に使用可能な無線リソースを示す情報(Discoveryリソース情報)及びD2D通信に使用可能な無線リソースを示す情報(Communicationリソース情報)を含む。D2D非同期元であるUE100は、eNB200から受信するD2Dリソース情報に基づいて、D2D発見手順及びD2D通信を行う。Communicationリソース情報は、データの送受信に使用可能な無線リソースを示す情報(データリソース情報)だけでなく、スケジューリング割当(SA:Scheduling Assignment)の送受信に使用可能な無線リソースを示す情報(SAリソース情報)を含んでもよい。SAは、D2D通信におけるデータの受信のための時間・周波数リソースの位置を示す情報である。SAは、コンテンツとしてのD2Dデータ(の時間・周波数リソース)の時間・周波数位置を示す情報を含む。
【0061】
カバレッジ外又は部分的カバレッジでは、例えばUE100がD2D同期元となる。カバレッジ外では、D2D同期元であるUE100は、D2D近傍サービスに使用可能な無線リソースを示すD2Dリソース情報を、例えばD2D同期信号により送信する。D2D同期信号は、端末間同期を確立するD2D同期手順において送信される信号である。D2D同期信号は、D2DSS及び物理D2D同期チャネル(PD2DSCH)を含む。D2DSSは、時間・周波数の同期基準を提供する信号である。PD2DSCHは、D2DSSよりも多くの情報を運搬する物理チャネルである。PD2DSCHは、上述したD2Dリソース情報(Discoveryリソース情報、Communicationリソース情報)を運搬する。或いは、D2DSSにD2Dリソース情報を関連付けることにより、PD2DSCHを不要としてもよい。
【0062】
D2D発見手順では、近傍端末を発見するための発見信号(以下、Discovery信号)が送信される。D2D発見手順の方式として、UE100に固有に割り当てられない無線リソースがDiscovery信号の送信に使用される第1の発見方式(Type 1 discovery)と、UE100毎に固有に割り当てられる無線リソースがDiscovery信号の送信に使用される第2の発見方式(Type 2 discovery)とがある。第2の発見方式では、Discovery信号の送信毎に個別に割り当てられた無線リソース、又は、半固定的(semi−persistently)に割り当てられた無線リソースが使用される。
【0063】
また、D2D通信(D2D Communication)のモードとして、eNB200又はリレーノードがD2Dデータ(D2Dデータ及び/又は制御データ)を送信するための無線リソースを割り当てる第1のモード(Mode 1)と、UE100自身が、D2Dデータを送信するための無線リソースをリソースプールから選択する第2のモード(Mode 2)と、がある。UE100は、いずれかのモードでD2D通信を行う。例えば、RRCコネクティッド状態のUE100は、第1のモードでD2D通信を行い、カバレッジ外のUE100は、第2のモードでD2D通信を行う。
【0064】
(D2Dグループ・D2Dグループ識別子)
次に、D2Dグループ(ProSeグループ)及びD2Dグループ識別子について説明する。D2Dグループは、D2D近傍サービスを利用する(又は利用することを希望する)UE100によって構成されるグループである。例えば、D2Dグループは、同期クラスタを形成するUE100によって構成されるグループである。
【0065】
本実施形態において、UE100は、D2Dグループに対応付けられたD2Dグループ識別子に基づいて、自UE100が所属するD2DグループからのD2D無線信号であるのか否かを判断する。このため、UE100は、D2D近傍サービスにおいて自UE100に関連するD2Dグループに対応するD2Dグループ識別子を記憶する。UE100は、少なくとも複数のD2Dグループに所属した場合、自UE100に関連する複数のD2Dグループのそれぞれに対応付けられた識別子からなる複数のD2Dグループ識別子をメモリ150に記憶する。
【0066】
D2Dグループ識別子は、例えば、D2Dグループ毎に割り当てられた識別子である。或いは、D2D近傍サービスにおけるアプリケーションに対応付けられた識別子であってもよい。或いは、UE100が、過去に所属したD2Dグループの識別子であってもよいし、現在所属しているD2Dグループの識別子であってもよい。
【0067】
本実施形態において、UE100は、少なくとも以下のケースのいずれかにおいて、メモリ150に記憶された複数のD2Dグループ識別子のうち少なくとも1以上のD2Dグループ識別子をeNB200に送信する。
【0068】
第1のケースでは、UE100は、eNB200に接続する際に、少なくとも1以上のD2Dグループ識別子をeNB200に送信する。具体的には、UE100は、RRC接続確立(RRC Connection Establishment)に関連するメッセージに、D2Dグループ識別子を含めて、当該メッセージをeNB200に送信する。例えば、UE100は、RRC接続要求メッセージ(RRC Connection Request message)にD2Dグループ識別子を含めたり、RRC接続セットアップ完了メッセージ(RRC Connection Setup Complete message)に含めたりする。
【0069】
第2のケースでは、UE100は、D2D近傍サービスに関連する情報を送信するためのProSe指示(ProSe Indication)に少なくとも1以上のD2Dグループ識別子を含めて、当該ProSe指示をeNB200に送信する。また、UE100は、D2D近傍サービスに興味がある場合に、ProSe指示をeNB200に送信してもよい。ProSe指示は、例えば、D2D近傍サービスに興味があることを示す情報を含む。ここで、UE100がD2D近傍サービスに興味がある場合とは、UE100の制御部160に対して、D2D近傍サービスの送信又は受信の指示の入力があった場合又はそれに相当する指示の入力があった場合等を含んでもよい。また、UE100は、D2D近傍サービスにおける送信待ちのデータを報告するためのバッファ状態報告(以下、ProSe BSR)を送信する前にProSe指示を送ってもよい。そうすれば、予め基地局がUE100のD2D近傍サービスに関連する情報を取得でき、管理することができ、リソースの割り当て等に役立てることができる。なお、ProSe指示は、ProSe BSRとは異なる。従って、UE100は、ProSe BSRとは異なるタイミングで、ProSe指示を送信することができる。UE100は、ProSe BSRと同じタイミングで、ProSe指示を送信してもよい。
【0070】
第3のケースでは、UE100は、D2D近傍サービスにおける送信待ちのデータを報告するためのバッファ状態報告(以下、ProSe BSR)を送信する場合に、少なくとも1以上のD2Dグループ識別子をeNB200に送信する。UE100は、ProSe BSRにD2Dグループ識別子を含める。
【0071】
次に、メモリ150に記憶された複数のD2Dグループ識別子のうち、UE100がeNB200に送信するD2Dグループ識別子について説明する。
【0072】
第1に、UE100は、複数のD2DグループのうちUE100が参加可能な全てのD2Dグループを示す識別子(以下、所属グループID)を、D2Dグループ識別子としてeNB200に送信する。所属グループIDは、メモリ150に記憶されている全てのD2Dグループ識別子であってもよいし、UE100が実際に発見しているD2Dグループを示す識別子であってもよいし、UE100が実際に所属しているD2Dグループを示す識別子であってもよい。
【0073】
第2に、UE100は、複数のD2DグループのうちUE100がD2D無線信号(Communication信号、Discovery信号など)の送信及び受信の少なくとも一方を希望するD2Dグループを示す識別子(以下、興味グループID)を、D2Dグループ識別子としてeNB200に送信する。興味グループIDは、例えば、UE100がD2D無線信号のモニタ(監視)を希望するD2Dグループを示すIDである。また、興味グループIDは、UE100が実際にD2D無線信号のモニタ(監視)をしているD2Dグループを示すIDであってもよい。
【0074】
第3に、UE100は、複数のD2Dグループのうち他のD2Dグループよりも優先するD2Dグループを示す識別子(以下、優先グループID)を、D2Dグループ識別子としてeNB200に送信する。優先グループIDは、UE100が他のD2DグループよりもD2D無線信号の送信及び受信を優先するD2Dグループを示す識別子である。或いは、優先グループIDは、D2D無線信号の受信を失敗したくないD2Dグループを示す識別子であってもよい。或いは、優先グループIDは、優先順位と対応付けられたD2Dグループ識別子であってもよい。
【0075】
上述した第1から第3のケースにおいて、UE100は、所属グループID、興味グループID及び優先グループIDの少なくともいずれか一つをD2Dグループ識別子としてeNB200に送信することができる。
【0076】
第2のケースでは、UE100は、興味グループID及び優先グループIDのいずれかをD2Dグループ識別子としてeNB200に送信することが好ましい。興味グループID又は優先グループIDの数は、所属グループIDの数よりも少ない可能性が高いため、メッセージサイズの増大を抑制できる。
【0077】
第3のケースでは、UE100は、優先グループIDをD2Dグループ識別子としてeNB200に送信することが好ましい。ProSe BSRは、高頻度で送信されるため、eNB200が、D2D近傍サービスにおける時間・周波数リソース(D2Dリソース)をUE100に割り当てる際に、UE100の興味(好み)を動的に反映可能である。
さらに、高頻度で送信されるProSe BSRには、優先グループID(のみ)を含めることによって、メッセージサイズの増大を抑制できる。
【0078】
なお、第3のケースにおいて、UE100は、所属グループID、興味グループID及び優先グループIDとは別に、D2D無線信号の送信を希望するD2Dグループを示す(すなわち、D2Dデータの送信先を示す)D2Dグループ識別子をProSe BSRに含めてもよい。
【0079】
(第1実施形態に係る動作)
次に、第1実施形態に係る動作について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、D2D近傍サービスにおけるD2D無線信号の送信タイミングが同時になるケースを説明するための説明図である。図7は、本実施形態に係る動作を説明するためのシーケンス図である。
【0080】
UE100−1及びUE100−2が、eNB200が管理するセルに在圏し、In coverageにおいてD2D通信を行うケースを想定する(図7参照)。UE100−1は、D2DグループA及びD2DグループBに所属する。UE100−2は、D2DグループBに所属する。例えば、UE100−1が、D2DグループA宛てにD2D通信信号を送信するために、eNB200にD2Dリソース(具体的には、SAリソース)を要求する。一方、UE100−2が、D2DグループB宛てにD2D通信信号を送信するためにeNB200にD2Dリソースを要求する。この場合、eNB200は、D2DグループA内において他のUEがUE100−1と同時にD2D通信信号を送信しないように、D2Dリソースのスケジューリングを行う。一方、eNB200は、D2DグループB内において他のUEがUE100−2と同時にD2D通信信号を送信しないように、D2Dリソースのスケジューリングを行う。しかしながら、UE100−1は、D2DグループA宛てにD2D通信信号を送信するため、eNB200は、UE100−2のスケジューリングにおいて、UE100−1の送信を考慮しない。従って、図6に示すように、eNB200は、UE100−1及びUE100−2に対して、同じタイミングのD2Dリソースを割り当てる可能性がある。その結果、同一タイミングで送信と受信とをできないUE100−1は、UE100−2と同一タイミングでSAを送信するため、グループ2に所属しているにもかかわらず、UE100−2からのSAを受信できない。また、SAによってデータの時間・周波数方向位置が指定されている場合には、UE100は、D2Dデータの送信に使用されるデータ領域をモニタしたとしても、UE100−2と同一タイミングでデータを送信するため、UE100−2からのデータを受信できない。
【0081】
そこで、以下の動作によって、UE100−1が複数のD2Dグループに所属する場合であっても、UE100−1のD2D無線信号の受信失敗を低減できる。
【0082】
図7に示すように、UE100−1、2、3、…が、eNB200が管理するセルに在圏する。UE100−1は、D2DグループA及びD2DグループBに所属する。UE100−2は、D2DグループBに所属する。UE100−3、4、5…は、D2DグループA及びD2DグループBの少なくともいずれかに所属する。UE100−1は、D2DグループA及びD2DグループBのそれぞれを示す識別子を記憶する。UE100−2は、D2DグループBを示す識別子を記憶する。
【0083】
ステップS101において、UE100−1は、所属グループIDとしてD2DグループA及びD2DグループBのそれぞれを示す識別子をeNB200に送信する。UE100は、eNB200に接続する際に、所属グループIDを送信してもよいし、D2D近傍サービスに興味がある場合に、所属グループIDを送信してもよい。
【0084】
ステップS102において、UE100−2は、UE100−1と同様にして、所属グループIDとしてD2DグループBを示す識別子をeNB200に送信する。
【0085】
ステップS103において、UE100−1は、D2Dデータの送信先を示すD2Dグループ識別子としてD2DグループAを示す識別子を含むProSe BSRをeNB200に送信する。
【0086】
ステップS104において、UE100−2は、D2Dデータの送信先を示すD2Dグループ識別子としてD2DグループBを示す識別子を含むProSe BSRをeNB200に送信する。
【0087】
ステップS105において、eNB200は、UE100−1からのProSe BSRにD2Dデータの送信先を示すD2DグループAを示す識別子が含まれるため、D2DグループAに所属し、且つ、送信を希望する他のUEが存在するか否かを判定する。eNB200は、UE100−2からの所属グループID(B)に基づいて、送信を希望するUE100−2が、D2DグループBに所属すると判定する。その結果、eNB200は、D2DグループAに所属し、送信を希望するUEは、UE100−1だけである(すなわち、他のUEが存在しない)と判定する。
【0088】
ステップS106において、eNB200は、UE100−2からのProSe BSRにD2Dデータの送信先を示すD2DグループBを示す識別子が含まれるため、D2DグループBに所属し、且つ、送信を希望する他のUEが存在するか否かを判定する。eNB200は、UE100−1からの所属グループID(A、B)に基づいて、送信を希望するUE100−1が、D2DグループBに所属すると判定する。その結果、eNB200は、D2DグループBに所属し、送信を希望するUEは、UE100−1及びUE100−2である(すなわち、他のUEが存在する)と判定する。
【0089】
eNB200は、同一グループ内において、2以上のUE100がD2D無線信号を同時に送信しないようにD2Dリソースの割り当てを行う。また、eNB200は、上述の判定結果に基づいて、UE100−1がD2DグループBを送信先としてないにもかかわらず、UE100−1及びUE100−2の送信タイミングが異なるようにD2Dリソースの割り当てを行う。
【0090】
本実施形態では、上述の通り、eNB200は、所属グループIDに基づいて、D2Dリソースのスケジューリングを行う。
【0091】
ステップS107において、eNB200は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれに割り当てたD2Dリソース情報(送信リソース割当)を送信する。
【0092】
ステップS108において、UE100−1は、eNB200から受信したD2Dリソース情報に基づいて、D2DグループAに対してD2D通信信号(D2Dデータ)を送信する。
【0093】
ステップS109において、UE100−2は、eNB200から受信したD2Dリソース情報に基づいて、D2DグループBに対してD2D通信信号(D2Dデータ)を送信する。
【0094】
UE100−1及びUE100−2のD2D通信信号の送信タイミングは異なるため、UE100−1は、UE100−2のD2D通信信号を受信することができる。
【0095】
また、上記第1実施形態について、UE100が所属グループIDを送信する場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、所属グループIDに代えて、または加えて興味グループID及び優先グループIDのうちの少なくとも一つを送信してもよい。
【0096】
(変更例1)
次に、第1実施形態の変更例1について、図8を用いて説明する。図8は、第1実施形態の変更例1に係る動作を説明するためのシーケンス図である。上述の第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は、適宜省略する。
【0097】
第1実施形態では、eNB200は、所属グループIDに基づいて、スケジューリングを行っていた。本変更例では、eNB200は、優先グループIDに基づいて、スケジューリングを行う。
【0098】
ステップS201において、UE100−1は、D2Dデータの送信先を示すD2Dグループ識別子としてD2DグループAを示す識別子と、優先グループIDとしてD2DグループBを示す識別子と、を含むProSe BSRをeNB200に送信する。ここで、優先グループIDは、D2Dデータの送信先を示すD2Dグループ識別子と異なるため、UE100−1がD2D無線信号の受信を希望するD2Dグループを示す。
【0099】
ステップS202において、UE100−2は、D2Dデータの送信先を示すD2Dグループ識別子としてD2DグループBを示す識別子を含むProSe BSRをeNB200に送信する。
【0100】
ステップS203において、UE100−1からのProSe BSRにD2Dデータの送信先を示すD2DグループAを示す識別子が含まれるため、D2DグループAへの送信を希望するUEが他に存在するか否かを判定する。eNB200は、UE100−2は、D2DグループBを送信先としているため、D2DグループAへの送信を希望するUEはUE100−1だけである(すなわち、他のUEが存在しない)と判定する。
【0101】
ステップS204において、UE100−1からのProSe BSRに優先グループIDとしてD2DグループBを示す識別子が含まれるため、優先D2DグループBへの送信を希望するUEが存在するか否かを判定する。eNB200は、UE100−2からのProSe BSRにD2Dデータの送信先を示すD2DグループBを示す識別子が含まれるため、優先D2DグループBへの送信を希望するUEがUE100−2であると判定する。
【0102】
ステップS205において、UE100−2からのProSe BSRにD2Dデータの送信先を示すD2DグループBを示す識別子が含まれるため、D2DグループBへの送信を希望するUEが他に存在するか否かを判定する。eNB200は、D2DグループBへの送信を希望するUEはUE100−2だけである(すなわち、他のUEが存在しない)と判定する。
【0103】
eNB200は、上述の判定結果に基づいて、D2DグループBがUE100−1の優先D2Dグループであるため、UE100−1がD2DグループBを送信先としてないにもかかわらず、UE100−1及びUE100−2の送信タイミングが異なるようにD2Dリソースの割り当てを行う。
【0104】
ステップS206からS208は、ステップS107からS109に対応する。
【0105】
また、上記変更例1について、UE100が優先グループIDを送信する場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、優先グループIDに代えて、または加えて所属グループID及び興味グループIDのうちの少なくとも一つを送信してもよい。
【0106】
(変更例2)
次に、第1実施形態の変更例2について説明する。第1実施形態では、eNB200は、UE100から所属グループIDを取得していた。eNB200は、所属グループIDを、UE100の代わりに、eNB200の上位ネットワーク装置(higher layer)から所属グループIDを受信(取得)してもよい。
【0107】
例えば、eNB200は、UE100がeNB200に接続する際に、上位ネットワーク装置(例えば、MME)から、所属グループIDを含むUE100に関するコンテキスト情報(UE Context)を取得してもよい。上位ネットワーク装置で管理される情報は、一般的に更新頻度が低いため、eNB200は、興味グループID及び優先グループIDと比べると静的な情報とみなせる所属グループIDを上位ネットワーク装置から取得することが好ましい。なお、eNB200は、上位ネットワーク装置から所属グループIDに限らず、興味グループID及び/又は優先グループIDを取得してもよい。
【0108】
或いは、eNB200は、UE100からProSe指示を受信した場合に、eNB200の上位ネットワーク装置から所属グループIDを取得してもよい。例えば、eNB200は、UE100からProSe指示の受信に応じて、上位ネットワーク装置にProSe指示の送信元であるUE100の所属グループIDを要求してもよい。
【0109】
(まとめ)
上述した第1実施形態では、UE100−1は、eNB200に接続する際に、1以上のD2Dグループ識別子をeNB200に送信する制御を行う。或いは、UE100−1は、D2D近傍サービスに興味がある場合に、1以上のD2Dグループ識別子をeNB200に送信する制御を行う。eNB200は、予め取得したD2Dグループ識別子に基づいて、UE100−1がD2DグループBを送信先としてないにもかかわらず、UE100−1及びUE100−2の送信タイミングが異なるようにD2Dリソースの割り当てを行うことができる。その結果、UE100−1は、UE100−1の送信先でないD2DグループからのD2D無線信号を受信することができる。
【0110】
また、上述した第1実施形態の変更例1では、UE100−1は、ProSe BSRにUE100−1がD2D無線信号の受信を希望するD2Dグループを示す識別子(優先グループID)を含めて、当該ProSe BSRをeNB200に送信する。eNB200は、優先グループIDに基づいて、UE100−1がD2DグループBを送信先としてないにもかかわらず、UE100−1及びUE100−2の送信タイミングが異なるようにD2Dリソースの割り当てを行うことができる。その結果、UE100−1は、UE100−1の送信先でないD2DグループからのD2D無線信号を受信することができる。
【0111】
また、上述した第1実施形態の変更例2では、eNB200は、D2Dグループ識別子を含むコンテキスト情報を上位ネットワーク装置から受信する。これにより、eNB200は、UE100からD2Dグループ識別子を取得できない場合であっても、UE100−1及びUE100−2の送信タイミングが異なるようにD2Dリソースの割り当てを行うことができる。
【0112】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、同一セル内においてD2D近傍サービスを利用するケースを説明した。第2実施形態では、異なるセルにおいてD2D近傍サービスを利用するケースを説明する。
【0113】
第2実施形態において、各eNB200は、自身が管理するセル毎に受信専用区間(すなわち、送信禁止区間)を設定する。当該受信専用区間では、UE100は、D2D無線信号のモニタ(受信)のみを行うことができ、D2D無線信号の送信を行うことができない。eNB200は、自身の受信専用区間と近隣eNB200の受信専用区間と重複しないように設定してもよい。
【0114】
eNB200は、eNB200において設定された受信専用区間を近隣eNB200に通知する。また、eNB200は、自局において設定された受信専用区間及び近隣eNB200において設定された受信専用区間を配下のUE100にSIBによって又は各UE個別の信号によって通知する。受信専用区間は、D2Dリソースとして通知されてもよい。
【0115】
UE100は、自セルの受信専用区間では、D2D無線信号を送信できないため、他セルに在圏する他のUEが、UE100が在圏するセルの受信専用区間においてD2D無線信号を送信することによって、UE100のD2D無線信号の送信によって他のUEからのD2D無線信号を受信できないというHalf−Duplex問題を解消できる。従って、各UEは、D2D近傍サービスの相手端末が在圏するセルの受信専用区間において、D2D無線信号を送信することによって、Half−Duplex問題に起因したD2D無線信号の受信失敗を抑制できる。
【0116】
特に、X2インターフェイスを用いたeNB200どうしの協調は遅延が発生する可能性があり、且つ、Rel.12においてX2インターフェイスを用いた協調が想定されてない。このため、異なるeNB200に接続するUEどうしがD2D近傍サービスを利用する場合、UE100の個別のスケジューリングに依存しない第2実施形態に係る方法であれば、Half−Duplex問題を適切に解消できる。
【0117】
[その他の実施形態]
上述した第1実施形態では、D2D通信(D2D Communication)を例に挙げて説明したが、D2D発見手順において同様の動作が実行されてもよい。
【0118】
また、上述した第1実施形態では、eNB200が、スケジューリングを行うケースを説明したが、これに限られない。Out of coverageケース(又はPartial coverageケース)において、クラスタにおける同期の基準となり、当該クラスタにおいてD2D通信を制御するUEである「クラスタヘッド」が、スケジューリングを行うケースでは、UE100は、eNB200の代わりに、クラスタヘッドに、D2Dグループ識別子を送信してもよい。クラスタヘッドは、上述のeNB200と同様に、D2Dグループ識別子に基づいて、D2Dリソースのスケジューリングを行ってもよい。
【0119】
上述した各実施形態において、UE100は、D2Dグループに対応付けられたD2Dグループ識別子の代わりに、D2Dグループに対応付けられ、且つ、D2Dグループ識別子よりも情報量が少ないグループインデックス(Group index)をeNB200に送信してもよい。例えば、グループインデックスは、D2Dグループ識別子の一部が省略されたものである。
【0120】
各実施形態では特に触れていないが、UE100が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体であってもよい。
【0121】
或いは、UE100が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサ(上述したプロセッサ160又はプロセッサ160’)によって構成されるチップが提供されてもよい。
【0122】
上述した各実施形態では、セルラ通信システムの一例としてLTEシステムを説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本出願の内容を適用してもよい。
【0123】
なお、日本国特許出願第2014−197608号(2014年9月26日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8