特許第6042571号(P6042571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042571
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】収容可能な航空機客室乗務員用の座席
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20161206BHJP
   A47C 9/00 20060101ALI20161206BHJP
   A47C 4/04 20060101ALI20161206BHJP
   B60N 2/30 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B64D11/06
   A47C9/00 Z
   A47C4/04 Z
   B60N2/30
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-561744(P2015-561744)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公表番号】特表2016-515062(P2016-515062A)
(43)【公表日】2016年5月26日
(86)【国際出願番号】US2014022142
(87)【国際公開番号】WO2014138706
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2015年11月2日
(31)【優先権主張番号】61/775,180
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/198,139
(32)【優先日】2014年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】B/E Aerospace, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ウェイド
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー、ジェイムズ ブライアン
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0318918(US,A1)
【文献】 米国特許第4645145(US,A)
【文献】 実開昭58−171730(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
A47C 4/04
A47C 9/00
B60N 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機収納区画から延びる収納可能な椅子であって、
前記収納区画内に存在する固定ボックスと、
前記収納可能な椅子を前記収納区画の中及び外に水平に移動させるために、前記固定ボックスに接続されたスレッドと、
前記スレッドに取り付けられた椅子であって、背もたれ及び座部を備える椅子と、を備え、
前記椅子の座部は、中央パネルと、左パネルと、右パネルとを備え、前記左パネル及び右パネルは、第1及び第2ヒンジによって、前記中央パネルにそれぞれ接続されて、前記左パネル及び右パネルが前記第1及び第2ヒンジの周りを少なくとも90度回転することを可能にし、
前記椅子の背もたれは、中央カラムと、左カラムと、右カラムとを備え、前記左カラム及び右カラムは、第3及び第4ヒンジによって、前記中央カラムにそれぞれ接続されて、前記左カラム及び右カラムが前記第3及び第4ヒンジの周りを少なくとも90度回転することを可能にする、
収納可能な椅子。
【請求項2】
前記スレッドは、前記椅子が前記収納区画から現れる際に、前記椅子を持ち上げる垂直リフトを備える、請求項1に記載の収納可能な椅子。
【請求項3】
前記収容可能な椅子が使われていない時は、前記区画の内部に前記収納可能な椅子を係止する解除可能係止機構をさらに備える、請求項1に記載の収納可能な椅子。
【請求項4】
前記椅子を単一の動作で折り畳む解除可能なラッチをさらに備える、請求項1に記載の収納可能な椅子。
【請求項5】
垂直スライドに接続された解除ケーブルであって、前記垂直スライドから前記椅子の係止を解錠する解除ケーブルをさらに備える、請求項1に記載の収納可能な椅子。
【請求項6】
前記椅子の座部を前記スレッドに接続する安定化ロッドをさらに備える、請求項1に記載の収納可能な椅子。
【請求項7】
前記固定ボックスを前記スレッドの上部に接続する延長可能なコネクタをさらに備える、請求項1に記載の収納可能な椅子。
【請求項8】
前記スレッドは、A字型トラス構造を備える、請求項1に記載の収納可能な椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月8日に出願された米国仮特許出願第61/775,180号、及び、2014年3月5日に出願された米国非仮特許出願第14/198,139号の優先権を主張し、それらの内容を参照により組み込む。
【背景技術】
【0002】
あらゆる航空機において、効率性及び経済性は重要な要素であり、特に、小型の民間航空機においては、重要な要素である。一通路型の民間航空機では、大型航空機と比較して、座席を1列追加することによる利益性の割合が高いため、特に、収容可能な座席数に関して切迫している。しかし、これらの小型航空機の間取り図は、他の制約によって一般的に固定されており、それにより、利用可能な座席数は限られている。座席を追加可能な配置であれば、どんな配置でも、結果として利益性の機会に結びつく重大な進歩となる。
【0003】
一通路型の航空機の大半は、図1に示すような後部化粧室及びギャレー配置を有する。この配置において、第1及び第2化粧室15、17は、航空機10の中央通路21の両側の後部ドア11、13の前に配置されており、乗客の座席19の最終列の後ろに位置する。さらに、完全なギャレー20が、後部ドア11、13の後部であって、航空機圧力ドーム30の前に位置している。ギャレー20は、一般的に、客室の最後部分の全幅に亘って延び、ギャレーカート、収納ユニット、オーブン、飲料メーカーなどを備える。
【0004】
今日の民間航空業界において、航空会社は、乗客が利用可能な座席数を最大化するような客室配置を好む。残念ながら、航空機の座席数を増加させると、化粧室や食事サービスのギャレーに利用可能な空間を削減してしまう。従って、図1に示すような一通路型の航空機の後部において、乗客の座席を少なくとも1列追加できる空間を提供し、乗客への満足のいくレベルの食事サービスの提供を支援することができるギャレーを提供する、高度な乗客ソリューション(「HPS」)が求められている。さらに、身体の不自由な方(PRM)が入ることができる少なくとも1つの化粧室、及び、少なくとも1席の客室乗務員用の座席(CAS)を備えるようなHPSが求められている。
【0005】
米国仮特許出願第61/763,284号は、高度な乗客ソリューションの要求を満たす、航空機の小型航空機ギャレー及び化粧室配置を開示する。この配置では、ギャレーや他の構成要素の性能または機能を犠牲にすることなく、座席がもう一列追加される。しかし、ギャレー及び新たな座席の列を構成するために、客室乗務員用の座席の新しい設計が必要となる。本発明は、使用されていない時は、壁の中に後退し、折り畳まれた構成から展開される客室乗務員用の座席であって、小さな収納区画に座席を収納できる新しい客室乗務員用の座席に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用されていない時は、狭い区画に収納可能な航空機の客室乗務員用の座席である。当該座席は、スレッド上を収納区画から滑り出て、完全な乗務員用の座席になるように展開される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来の一通路型航空機の平面図である。
図2】座席を1列追加したギャレーの高度な乗客ソリューション構成の平面図である。
図3図2の実施形態において後方を見た拡大正面図である。
図4】周辺構造を影にして乗務員用の座席区画の後方を見た斜視図である。
図5】乗務員用の座席が乗務員用の座席区画から延びている斜視図である。
図6】乗務員用の座席が適切な位置に持ち上げられている斜視図である。
図7】客室乗務員用の座席が完全に展開された切り取り図である。
図8】客室乗務員用の座席及び区画の外のスレッド(sled)の立面斜視図である。
図9】客室乗務員用の座席の立面斜視図である。
図10】座席の立面斜視図である。
図11】固定ボックスの拡大立面斜視図である。
図12】水平スライド上のスレッド及び座席アセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述した要求を満たす本発明に係るHPSの好適な実施形態を、図2及び図3に示す。図2に示すように、本配置では、一通路型の航空機100において、後部ドア11、13と、以前最終列だった座席119との間に、追加された列の乗客用の座席130が位置する。さらに、化粧室/ギャレーの組み合わされた配置120が後部ドア11、13の後部に位置し、少なくとも部分的に後方に延び、航空機の圧力ドーム130内に入り込んでいる。図2及び図3に示す配置において、化粧室/ギャレー配置120は、片側にギャレー部分110、反対側に、1組の前方を向いた化粧室140、150を備える。各化粧室140、150は、ドア141、151を備える。ギャレー部分110は、複数の標準的な収納ユニットの収納117、複数のギャレーカートまたは台車の収納113、少なくとも1つのゴミ用台車112、流し台119、及び、オーブン115及び湯沸かし器118を含む複数の食事サービス挿入口を備える。電気パネル114も、設けられる。さらに、ギャレーは、ギャレーのゴミ廃棄ユニット(GWDU)111を備える。
【0009】
図3に示すように、客室乗務員用の座席(CAS)収納区画160は、ギャレー部分110と機内化粧室140との間に設けることができる。図4から図7は、客室乗務員用の座席161の引き出し及び展開を示す。図4は、区画160に完全に収納された客室乗務員用の座席161を示す。客室乗務員用の座席収納区画160内には、区画160内を水平に摺動可能な三角形のスレッド(sled)200がある。重りのついた固定ボックス180は、スレッド200及び座席アセンブリ161を固定し、スレッドが区画160を越えて延びすぎてしまうことを防止する。客室乗務員用の座席161は、折り畳み式の背もたれ190及び折り畳み式の座部195から成り、背もたれ190と座部195の両方が、折り畳むために一対のヒンジに沿って折り畳まれ、それにより、収納区画160内に装入されることが好ましい。図5において、スレッド200は、固定ボックス180から区画160の開口に向かって水平に動かされて、折り畳まれた座部195が区画から現れ始める。ロッド210は、スレッド200が区画160から離れて延びすぎないように、スレッド200と固定ボックス180との接触を維持する(図11参照)。スレッド200は、底面に車輪またはローラを有してもよく、あるいは、区画160の底部の水平トラックに沿って滑らかに動いてもよい。図6において、客室乗務員用の座席は、収納区画160から完全に現れ、スレッド200は、区画内に残り、ロッド210を介して固定ボックス180に接続されている。さらに、椅子161がスレッドの垂直リフト上で、機械、油圧、または手動により、持ち上げられる。座席は、座席の下側から引き出された、座席を水平位置に維持する、一対の安定化ロッド220によって支持される。
【0010】
図7は、完全に延びて垂直位置にあり、座部195が座るのに快適な地面からの高さにある、椅子161を示す。好適な実施形態において、当該高さは、様々な乗務員に適応させるように調整可能である。背もたれ190及び座部195は、それぞれの対のヒンジに沿って回転して開き、従来の椅子構成に一致する完全に展開された状態で示されている。座部の上には、カバーまたは当て物(図示せず)が置かれて乗務員の快適さを付加するとともに、衣服または肌がヒンジや他の鋭い面に引っかかることを防止する。
【0011】
図8は、固定ボックス180、スレッド200及び客室乗務員用の座席を含む、区画160の外側の客室乗務員用の座席アセンブリ161を示す。ロッド210は、固定ボックス180をスレッド200に接続し、安定化ロッド220は、アセンブリの座部195をスレッド200に接続し、座部195の端を支持して、座部195に重みがかかった際に、高さ及び安全位置に維持されるようにする。延長可能コネクタロッド230もまた、固定ボックス180をスレッド200に接続する(図12参照)。図9において、スレッド200は、「A」字型トラス構造240と、椅子の背を取り付けるための略垂直カラム250であって、背もたれ190がボルトで留められる、または、別の方法で固定されることができる板260を備える略垂直カラム250とを備えて示される。図10は、背もたれ190及び座部195を有する椅子を示す。背もたれ190は、中央カラム270、左カラム272及び右カラム274で形成される。左及び右カラム272、274は、垂直連続ヒンジ276または他のタイプのヒンジに沿って、中央カラム270に固定される。ヒンジは、中央カラム270の面に対して少なくとも90度の回転を許容し、背もたれ190が小型の構成に「折り畳まれる」ことを可能にする。同様に、座部195は、中央パネル280、左パネル282及び右パネル284で形成される。左及び右パネル282、284は、水平連続ヒンジ286または他のタイプのヒンジに沿って中央パネル280に固定される。ヒンジ286は、中央パネル280の面に対して少なくとも90度の回転を許容し、座部195が小型の構成に「折り畳まれる」ことを可能にする。
【0012】
図12は、固定ボックス180、スライド200及び椅子161を含む客室乗務員用の座席アセンブリの側面図である。水平スライド300は、スライド200の底部に配置されてアセンブリが区画160の中及び外に移動することを可能にする。同様に、垂直スライド310は、椅子が床から、図7に示すような垂直に延びた位置に移動し、収納のために床位置に戻ることを可能にする。水平スライド300は、浮出しラッチ330で構成され、最初の押し込みで、椅子アセンブリを収納位置に係止し、2回目の押し込みで、ラッチを解除し、椅子が水平に延びた位置に摺動可能にする。また、垂直スライドは、垂直スライド310及び椅子161が、プッシュボタンアクチュエータ350で開始される1回の押し込み動作で折り畳まれることを可能にするプッシュトゥクローズラッチ340を備えることができる。解除ケーブル360及びハンドル365は、垂直スライド310に接続されて、垂直スライド310から椅子161の係止を解除する。
【0013】
小型の構成において、乗務員用の椅子は、区画160内に完全に入り込み、その後、離陸、着陸及び休憩時間などの必要な際に、引き出すことができる。スレッドにより、椅子の垂直調整が可能となり、様々な安定化部材により、確実に、強固で安全な座席となる。収納可能な乗務員用の座席を改善されたギャレー及び間取り図の他の特徴と組み合わせることにより、民間航空機に座席の列を追加することができ、各フライトにおける航空機の効率性及び利益性を著しく改善することができる。
【0014】
本発明のこれら及び他の特徴及び効果は、上記記載及び図面を見ることで、当業者に明らかであろう。本発明の特定の形態を図示及び記載したが、本発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で、本明細書に記載された実施形態に様々な変形及び代替が可能であることは、前述から明らかであろう。従って、本発明は、前述の記載及び図面に限定されるものではなく、それらの記載及び図面は、本発明の例示である。本発明の範囲は、当業者によって認識されるであろう、あらゆる変形及び代替を含むものである。
図1
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