特許第6042601号(P6042601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042601
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】予備混合式の燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/00 20060101AFI20161206BHJP
   F24H 9/18 20060101ALN20161206BHJP
【FI】
   F23N5/00 N
   F23N5/00 C
   F23N5/00 U
   !F24H9/18 302A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-161644(P2011-161644)
(22)【出願日】2011年7月25日
(65)【公開番号】特開2012-26715(P2012-26715A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2014年5月27日
(31)【優先権主張番号】10170814.7
(32)【優先日】2010年7月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511180086
【氏名又は名称】ホヴァルヴェルク・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルレ,ゲルハルド
(72)【発明者】
【氏名】ケブ,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】テリアン,マルクス
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−296010(JP,A)
【文献】 特開平10−300071(JP,A)
【文献】 特開平08−128609(JP,A)
【文献】 実用新案登録第2561911(JP,Y2)
【文献】 特開平04−032610(JP,A)
【文献】 実開昭49−135844(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/02
F23D 14/62
F23K 5/10
F23L 1/00
F23L 13/00
F23N 1/02
F23N 3/02
F23N 5/00
F24H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と空気からなる燃焼混合気を送風機(2)の吐出口(8)から燃焼シリンダ(9)を介して燃焼ゾーンへ送出する送風機(2)を含み、前記送風機(2)の上流側に配置された混合装置(3)が燃焼混合気を前処理する、暖房ボイラのための予備混合式の燃焼装置(1)において、前記送風機(2)の前記吐出口(8)を開放する位置と前記送風機(2)の前記吐出口(8)を狭める位置との間で位置調節可能である、前記送風機(2)の前記吐出口(8)と前記燃焼シリンダ(9)との間に配設された流量低減部材(13)を備える流量低減装置(10)を有し、前記流量低減部材(13)は、前記燃焼装置(1)の始動時には前記送風機(2)の前記吐出口(8)を狭める位置に配置され、かつ燃焼混合気の点火後には前記送風機(2)の前記吐出口(8)を開放する位置に配置されていることを特徴とする予備混合式の燃焼装置。
【請求項2】
前記流量低減部材(13)が前記送風機(2)の前記吐出口(8)を狭める位置にあるとき前記吐出口(8)の解放断面積は前記流量低減部材(13)が開いた位置にあるときの前記吐出口(8)の断面積の15%から45%であることを特徴とする、請求項1に記載の予備混合式の燃焼装置(1)。
【請求項3】
前記流量低減部材(13)は回転可能に支承されたフラップ部材であることを特徴とする、請求項1または2に記載の予備混合式の燃焼装置(1)。
【請求項4】
前記流量低減装置(10)は前記送風機(2)の前記吐出口(8)を開放する位置へ前記流量低減部材(13)を押圧する力を印加する復帰部材を有していることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の予備混合式の燃焼装置(1)。
【請求項5】
前記流量低減装置(10)は電磁石(15)を有しており、該電磁石は、前記燃焼装置(1)の始動時に前記電磁石(15)が前記流量低減部材(13)を前記送風機(2)の前記吐出口(8)を開放する位置から前記送風機(2)の前記吐出口(8)を狭める位置へ前記復帰部材の力に抗して動くように、前記燃焼装置(1)と結合されていることを特徴とする、請求項4に記載の予備混合式の燃焼装置(1)。
【請求項6】
燃料と空気で形成される燃焼混合気が送風機(2)の上流側に配置された混合装置(3)によって前処理され、送風機(2)の吐出口(8)から燃焼混合気が燃焼シリンダ(9)を介して燃焼ゾーンへ送出される、暖房ボイラのための予備混合式の燃焼装置(1)を始動させる方法において、前記燃焼装置(1)の始動と同時に、前記送風機(2)の前記吐出口(8)と前記燃焼シリンダ(9)との間に配置された流量低減装置(10)の流量低減部材(13)が、前記送風機(2)の前記吐出口(8)を開放する位置から前記送風機(2)の前記吐出口(8)を狭める位置へと動くことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記流量低減部材(13)が前記送風機(2)の前記吐出口(8)を狭める位置にあるとき前記吐出口(8)の解放断面積は前記流量低減部材(13)が開いた位置にあるときの前記吐出口(8)の断面積の15%から45%まで狭められることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記燃焼装置(1)の始動後に前記流量低減部材(13)は前記送風機(2)の前記吐出口(8)を狭める位置から前記送風機(2)の前記吐出口(8)を解放する位置へ動くことを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料と空気からなる燃焼混合気を送風機の吐出口から燃焼シリンダを介して燃焼ゾーンへ送出する送風機を含み、送風機の上流側に配置された混合装置が燃焼混合気を前処理する、暖房ボイラのための予備混合式の燃焼装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、燃料と空気から形成される燃焼混合気が送風機の上流側に配置された混合装置によって前処理され、送風機の吐出口から燃焼混合気が燃焼シリンダを介して燃焼ゾーンへ送出される、暖房ボイラのための予備混合式の燃焼装置を始動させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
予備混合式の燃焼装置を備える暖房ボイラは従来技術から知られており、ビルや住宅で暖房用の水および/または雑用水を温めるのに利用される。このような従来型の暖房ボイラの作動時には、熱交換器パイプの中の高温の燃焼排ガスが、暖房ボイラの内部にある暖房用の水および/または雑用水に通される。このとき燃焼排ガスが冷却されて最終的に凝縮する。従来型の暖房ボイラとは異なり、いわゆる復水ボイラでは、燃焼排ガスの熱に加えて、燃焼排ガス中の水蒸気の凝縮熱も利用され、それにより、使用される燃料のエネルギー含有量がほぼ完全に活用される。
【0004】
上に述べた型式の暖房ボイラにおいて、燃焼装置の始動は、燃焼混合気の点火の問題につながる可能性のある特別にクリティカルな段階となる。一般に、燃焼ガスで作動する燃焼装置では、始動段階中に空気の割合を減らし、それにより、燃料で過飽和した燃焼混合気を確実に点火できるようにすることが知られている。さらに従来技術より、燃焼装置の始動段階中に空気量が引き下げられ、および/または燃料量が引き上げられるコントローラが知られており、確実な点火が行われるまで、同時に燃焼混合気を変化させながら、このようなプロセスが周期的に反復される。空気割合の引き下げ、および/または燃料割合の引き上げという方策は、まず第1に、暖房ボイラを連続動作でできるだけ有害物質を少なく作動できるようにする目的に資するものであるが、この方策は暖房ボイラの始動段階中にも適用される。
【0005】
それに応じて公知の技術の欠点は、要求される目標加熱出力の値に合わせて燃焼混合気が常に即座に調整され、始動段階中には目標空気割合が低減されるか、または目標ガス割合が引き上げられ、そのために有害物質の排出量が増えてしまうという点にある。これに加えて、可燃性の燃焼混合気が始動段階中にほとんど急激と言ってよいほどに燃焼ゾーンへ流れ込み、その結果、点火が負荷動作への飛躍を引き起こすことになる。このようなプロセスは、暖房ボイラの燃焼室内での望ましくない圧力衝撃ないし脈動につながり、燃焼装置の障害につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた種類の予備混合式の燃焼装置において、暖房ボイラの確実な始動を設計的に簡単な仕方で保証し、障害を防止する解決法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明によると、冒頭に述べた種類の予備混合式の燃焼装置において、送風機の吐出口を開放ないし解放する位置と送風機の吐出口を狭める位置との間で調節可能である、送風機の吐出口と燃焼シリンダとの間に配置された流量低減部材を備える流量低減装置によって解決される。
【0008】
同様に上述の課題は、冒頭に述べた種類の方法において、燃焼装置の始動と同時に、送風機の吐出口と燃焼シリンダとの間に配置された流量低減装置の流量低減部材が、送風機の吐出口を開放ないし解放する位置から送風機の吐出口を狭める位置へと動くことによって解決される。
【0009】
本発明の好ましく好都合な実施形態や発展例は、従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明により、予備混合式の燃焼装置における燃料混合気の確実な点火が、設計的に簡単な仕方で保証されるという可能性が開かれる。流量低減装置の流量低減部材により、予備混合式の燃焼装置の始動時に送風機の吐出口の断面積を変更することで、燃焼シリンダへと流れる燃料混合気の圧力と速度を調節ないし制御することができ、それにより、確実な点火のための条件が与えられる。点火条件の調節ないし制御が可能なので、燃焼装置の「柔らかい」始動ないし「ソフトな」始動が可能であり、それによって始動段階で脈動を防止することができる。これに加えて点火条件の調節ないし制御は、排ガス通路のチムニー状況が厳しい場合にも、燃焼装置を確実に始動させるように作用する。
【0011】
本発明の枠内において、燃焼装置の「柔らかい」始動ないし「ソフトな」始動のためには、および始動脈動の回避のためには、比較的高い送風機圧力と、比較的低い燃焼混合気の流動速度とが有益であることが見出されている。このことは、本発明の燃焼装置の実施形態において、流量低減部材が燃焼装置の始動時に送風機の吐出口を狭める位置に配置されることによって実現される。そして燃焼混合気の点火が完了した直後に、流量低減部材は送風機の吐出口を開放する位置へと動き、燃焼装置の作動中はこの位置のままに保たれる。
【0012】
本発明による燃焼装置の実施形態では、流量低減部材が送風機の吐出口を狭める位置にあるときの吐出口の解放断面積は、流量低減部材が開いた位置にあるときの吐出口の断面積の15%から45%であることが意図される。同様に、本発明は方法の発展例において、流量低減部材が送風機の吐出口を狭める位置にあるときの吐出口の解放断面積は、流量低減部材が開いた位置にあるときの吐出口の断面積の15%から45%に狭められることを意図している。それに応じて送風機の吐出口の断面積は流量低減部材によって狭められ、すなわち、吐出口の本来の断面積の55%から85%だけ狭められる。送風機の吐出口の解放される断面積は30%に狭められるのが好ましく、それにより、比較的高い送風機圧力と比較的低い燃焼混合気の流動速度が燃焼ゾーンで実現される。
【0013】
さらに、本発明の燃焼装置の実施形態において、流量低減部材は回転可能に支承されたフラップ部材であることを意図している。それにより、燃焼混合気が貫流する吐出口の流量断面積の変更を、および点火条件の調節ないし制御を、設計的に簡単な仕方で実現することができる。しかしながら、本発明は、フラップ部材の形態の流量低減部材に限定されるものではない。むしろ当業者ならば理解できるように、流量の変更を惹起する別案の実施形態も考えられる。たとえば、流量低減部材は遮蔽スライダとして構成されていてもよい。
【0014】
予備混合式の燃焼装置ないし暖房ボイラの作動時には、流量低減部材は送風機の吐出口を開放する位置にある。流量低減部材のこの位置が暖房ボイラ動作の進行中に確保されるようにするために、本発明は実施形態において、流量装置は、送風機の吐出口を開放ないし解放する位置へ流量低減部材を押圧する力を印加する復帰部材を有していることを意図している。このような復帰部材は、たとえば送風機の吐出口を解放する位置へと流量低減部材に初期応力をかける、ないしは押圧された状態に保つ、復帰ばねの形態で構成されていてよい。
【0015】
流量低減部材は、燃料装置の始動段階のときにのみ、ないしは燃料混合気の点火段階中にだけ、送風機の吐出口を狭める位置にある。この位置を流量低減部材によって占めることができるようにするために、本発明によると、流量低減装置は電磁石を有しており、該電磁石は、燃焼装置の始動の時点では電磁石が流量低減部材を送風機の吐出口を開く位置から送風機の吐出口を狭める位置へと復帰部材の力に抗して動かすように、燃焼装置と結合されていることが意図される。この目的のために電磁石は、たとえば燃焼装置の点火制御部と結合されていてよい。点火制御部は、点火電極を活動化するための点火トランスにも電磁石にも相応の電圧が並行して、ないしは同時に印加されるように作用し、それによって点火と同時に電磁石が活動化されて、電磁石が流量低減部材の位置の変化を惹起する。点火制御部によって点火トランスと電磁石が一緒に同時に活動化することで、電磁石が流量低減部材を実際に燃焼装置の始動段階中にのみ、送風機の吐出口を狭める位置へ動かすことが保証される。そして始動段階が成功した後は、電磁石と点火電極に電圧が印加されることはなくなるので、流量低減部材に作用する復帰部材の力によって、流量低減部材は送風機の吐出口を開く位置に戻されてその位置で保持される。
【0016】
電磁石に代えて、流量低減装置は流量低減部材のポジションないし位置を変更するために、これ以外の適当な位置調節手段を有することができる。たとえば電磁石に代えて、点火段階中にのみ流量低減部材を送風機の吐出口を開放する位置から送風機の吐出口を狭める位置へ動かし、および再び戻るように動かす、点火制御部と結合された電動モータまたは点火制御部と結合された空気圧式の位置調節手段を使用することもできるであろう。本発明は方法の発展例において、燃焼装置の始動後に、すなわち始動段階の成功後ないし燃焼混合気の点火の成功後に、流量低減部材が送風機の吐出口を狭める位置から送風機の吐出口を解放する位置へ動くことを意図している。このように、送風機の吐出口を狭めることは始動プロセスの時点で講じられる方策であるにすぎない。燃焼混合気が点火されるとただちに、送風機の吐出口の全部ないし本来の断面積が再び解放される。
【0017】
当然のことながら、上に述べた構成要件および以下に説明する構成要件はそれぞれ記載の組み合わせにおいてばかりでなく、それ以外の組み合わせでも単独でも、本発明の枠組から外れることなく適用可能である。本発明の枠組は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0018】
本発明の対象物のその他の具体的事項、構成要件、および利点は、本発明の好ましい実施例が一例として示されている図面と関連する以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による予備混合式の燃焼装置を示す斜視図である。
図2】本発明による予備混合式の燃焼装置を示す側面図である。
図3】流量低減装置を示す詳細部分図である。
図4】流量低減装置を組み立てられた状態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
復水ボイラとして構成されていてよい詳しくは図示しない暖房ボイラのための、図1図2に示す予備混合式の燃焼装置1は、燃料(たとえばガス)と空気が組み合わされてなる燃料混合気を、図面には示さない燃焼ゾーンへ送出する送風機2を含んでいる。送風機2は、保守目的や洗浄目的のために保持装置7によって旋回可能に保持される、いわゆるバーナードア6に組み付けられている。燃焼混合気は送風機2の上流側に配置された混合装置3で前処理され、この混合装置はベンチュリ管の形態で構成されており、空気ないし燃焼空気がこれによって送出される。混合装置3に横から連通する供給配管4によって空気に燃焼ガスが供給され、ガスの割合はバルブ5によって調整可能である。燃焼混合気の均一化は、送風機2の内部での集中的な混合によって実現される。
【0021】
燃焼ガスと燃焼空気からなる燃焼混合気は、図2に詳しく図示する送風機2の吐出口8を介して、送風機2の下方に配置されてその下で垂直方向に延びる燃焼シリンダ9に入る。そして、燃焼シリンダ9の中にある燃焼混合気は、半径方向で燃焼シリンダ9の図示しない通過口からその外に出て燃焼ゾーンへ流入し、そこで燃焼混合気は燃焼装置1の始動段階のときに、燃焼シリンダ9から半径方向で間隔をおく点火電極によって点火される。火炎の監視は、同じく燃焼シリンダ9の外部に配置されたイオン化電極によって、従来技術から知られている仕方で行われる。
【0022】
本発明によると、さらに予備混合式の燃焼装置1は、送風機2の吐出口8と燃焼シリンダ9との間に配置された流量低減装置10を含んでいる。図3図4に詳しく図示する流量低減装置10は、送風機2の吐出口8と燃焼シリンダ9との間に配置され、そこで送風機2および燃焼シリンダ9の対応するフランジ区域に取り付けられ、ないしは組み付けられた差込プレート11を含んでいる。差込プレート11は、送風機2の吐出口8の断面積に呼応する貫通孔12を有している。差込プレート11の貫通孔12には、遮蔽フラップの形態の流量低減部材13が配置されている。流量低減部材13は駆動軸14と回転不能に結合されるとともに、これによって差込プレート11の貫通孔12で回転可能に支承されている。流量低減部材13が回転することで、燃焼混合気が貫流する断面積を変更することができ、それにより、燃焼シリンダ9へ流れ込む燃焼混合気の圧力と速度を調節ないし制御することができる。当業者であれば理解できるように、別案として、流量低減部材は送風機2の吐出口8に直接配置されて、そこで支承されていてもよく、そうすれば差込プレート11の部品は不要になる。
【0023】
回転可能に支承された流量低減部材13は、送風機2の吐出口8を開放する位置と、送風機2の吐出口8を狭める位置との間で位置調節可能である。このとき、図2に示す流量低減部材13の位置は、送風機2の吐出口8を開放ないし解放する位置に相当している。この位置を流量低減部材13がとるのは燃焼装置1の本来の動作時であり、すなわち燃焼混合気の点火後である。それに対して燃焼装置1の始動段階では、流量低減部材13は送風機2の吐出口8を狭める位置に配置され、この位置のとき、燃焼混合気が貫流する断面積を低減させる。
【0024】
燃焼装置1の始動段階中に、ないしは燃焼混合気の点火段階中に、送風機2の吐出口8の断面積を狭めることは、送風機圧力の上昇と、燃焼混合気の流動速度の低減を惹起することが見出されており、このことは、燃焼ゾーンにある燃焼混合気の点火に好ましく作用する。
【0025】
このように、燃焼装置1の始動時に吐出口8が完全にではなく一部分だけ、流量低減部材13によって遮蔽される。本発明によると、流量低減部材13が送風機2の吐出口8を狭める位置にあるとき、吐出口8の解放断面積は、流量低減部材13が開いた位置にあるときの吐出口8の断面積の約15%から45%である。このとき吐出口8の断面積の低減の度合いは暖房ボイラのサイズないし出力に依存して決まり、吐出口8の解放される断面積を吐出口8の断面積の約30%まで狭めることが、暖房ボイラの始動段階中には特別に好ましいことが判明している。
【0026】
このように燃焼装置1の始動時には、流量低減部材13が送風機2の吐出口8を狭める位置に配置される。そして燃焼混合気の点火が成功した後、流量低減部材13は送風機2の吐出口8を開放する位置へと回動し、それにより、送風機2から送出される燃焼混合気は、流量低減部材13から及ぼされる制限を実質的に受けることなく燃焼シリンダ9へと流れ、燃焼混合気の圧力と速度は送風機2によってのみ規定されることになる。
【0027】
送風機2の吐出口8を開放する位置への流量低減部材13の位置の切換は、図示しない復帰部材によって惹起される。たとえば復帰部材は、流量低減部材13が送風機2の吐出口8を開放する位置へ押圧される力を印加するばね部材の形態で構成されていてよい。送風機の吐出口8を狭める位置へと流量低減部材13を回動ないし旋回させるために、流量低減装置10は、送風機2の側方に配置され、流量低減装置10と結合された電磁石15を有している。電磁石15はレバー機構16を介して、差込プレート11から突き出している駆動軸14の端部と結合されており、これに加えて、燃焼装置1すなわちその点火制御部とも制御工学的に結合されている。このような結合は、燃焼混合気の点火時ないしは燃焼装置1の始動時に、点火電極の制御と並行して電圧が電磁石15に印加されることを惹起し、それにより、往復式ソレノイドの形式で施工された電磁石15の、レバー機構16と結合されたフォークヘッド17が動かされる。点火電極と電磁石15への電圧の並行する印加は、たとえば、これら両方の部品と結合された点火トランス18によって行うことができる。電磁石15に電圧が印加されているとき、フォークヘッド17の運動はレバー機構16を介して駆動軸14へ伝えられ、流量低減部材13の旋回ないし回動につながる。それにより流量低減部材13は、送風機2の吐出口8を開放する位置から送風機2の吐出口8を狭める位置へと復帰部材の力に抗して動き、それによって最終的に送風機の吐出口8の解放断面積が低減される。点火トランスの電圧が存在しなくなると、すぐに電磁石15へも電圧が印加されなくなる。それによって復帰部材が、送風機2の吐出口8を開放する位置へと流量低減部材13を押圧し、その結果、送風機2の吐出口8が実質的に解放されて、燃焼混合気が妨げられることなく通過して流れることができるようになる。
【0028】
当業者であれば理解できるように、流量低減装置は電磁石に代えて、流量低減部材の位置を燃焼装置またはその点火制御部からの信号依存的および/または電圧依存的に変更する、これ以外の適当な位置調節手段を有することもできる。たとえば電動モータや空気圧式の位置調節手段を、フラップ部材として構成された流量低減部材を動かすために利用することができ、この場合、電動モータまたは空気圧式の位置調節手段の活動化は、燃焼装置1またはその点火制御部と制御工学的に結合されていてよい。
【0029】
暖房ボイラのための予備混合式の燃焼装置1を始動させる本発明の方法では、燃料ないし燃焼ガスと燃焼空気とで形成される燃焼混合気が、送風機2の上流側に配置された混合装置3によって前処理される。そして前処理された燃焼混合気は、送風機2によって吐出口8から燃焼シリンダ9を経て燃焼ゾーンへと送出される。燃焼装置1の始動段階中にのみ、送風機2の吐出口8と燃焼シリンダ9との間に配置された流量低減装置10の流量低減部材13が、送風機2の吐出口8を開放する位置から送風機2の吐出口8を狭める位置へと動き、このとき吐出口8の解放断面積は、流量低減部材13が開いた位置にあるときの吐出口8の断面積の15%から45%まで、好ましくは30%まで狭められる。そして燃焼装置1の始動後、流量低減部材13は送風機2の吐出口8を狭める位置から、送風機2の吐出口8を解放する位置へと動く。このようにして、普通ならば障害につながりかねない暖房ボイラの始動段階中の脈動を回避することができる。
【0030】
以上に説明した本発明は、当然ながら、説明および図示した実施形態に限定されるものではない。図示した実施形態には、それによって本発明の範囲を外れることなく、意図される用途に即して当業者に想到可能な数多くの改変を行うことができる。このとき本発明には、発明の詳細な説明に含まれているものの一切および/または図面に示されているものの一切が属しており、具体的な実施例から離れて当業者に想到可能であるものも包含される。
図1
図2
図3
図4