特許第6042603号(P6042603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6042603接続ケーブル及びこの接続ケーブルを備えた遊技機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042603
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】接続ケーブル及びこの接続ケーブルを備えた遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 326C
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-221401(P2011-221401)
(22)【出願日】2011年10月5日
(65)【公開番号】特開2013-81492(P2013-81492A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】中村 稔
【審査官】 ▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−151043(JP,A)
【文献】 特開2007−056599(JP,A)
【文献】 特開2011−050421(JP,A)
【文献】 特開2003−154137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被開閉体と前記被開閉体に開閉可能に軸支された開閉体とを電気的に接続する接続ケーブルであって、
伸縮可能な螺旋形状の螺旋部と、
一端側で前記螺旋部と連接し、他端側に設けられた接続部に向けて直線状に延設され、前記開閉体と電気的に接続される第一直線部と、
一端側で前記螺旋部と連接し、他端側に設けられた接続部に向けて直線状に延設され、前記被開閉体と電気的に接続される第二直線部と、
を備え、
前記開閉体の開閉動に伴って、前記第一直線部及び前記第二直線部が、前記螺旋部の螺旋軸に対して回動可能であり、
前記開閉体が前記被開閉体に対し閉じられた状態では、前記第一直線部と前記第二直線部の少なくとも一方が前記螺旋部の螺旋軸に対し同一方向を示さない所定の角度を有して配置されており、
前記開閉体が前記被開閉体に閉じられた状態から開かれるに伴って、前記所定の角度が大きくなり前記螺旋部の弾性により前記螺旋部が撓む動作を行い、後に、前記第一直線部又は前記第二直線部の少なくとも一方と前記螺旋部の螺旋軸とが同一方向を示すに近づくにつれ、前記螺旋部が前記螺旋軸の軸方向に伸張する動作も行うという、前記螺旋部が前記開閉体の開閉角度に応じて異なる2つの動作を行うことを特徴とする、
接続ケーブル。
【請求項2】
前記接続ケーブルは、複数の接続ケーブルからなり、
前記螺旋部は、複数の前記接続ケーブルを結束する結束部を両端側に有する、
請求項1に記載の接続ケーブル。
【請求項3】
前記第一直線部と前記第二直線部は、前記開閉体が前記被開閉体に閉じた状態では、前記第一直線部と前記第二直線部の方向が略同一の方向に配置される、
請求項1又は2に記載の接続ケーブル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続ケーブルを備えた、
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、メダル又パチンコ球を遊技媒体として用いる回動式遊技機等の遊技機の接続ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機の前扉を開閉する際に、本体部と前扉とを接続する接続ケーブルが断線することを防止するための接続ケーブル保持構造が知られている。例えば、特許文献1には、台間機の貸出データ転送用接続端子とパチンコ遊技機の中継基板の接続用端子とを接続する接続ケーブル保持構造が記載されている。特許文献1の第2の実施形態に係る接続ケーブル保持構造では、全部又は一部を螺旋状に形成して、螺旋軸方向に伸縮自在に設けることにより、前扉の開閉時における接続ケーブルの挟み込みや引っかけ等に起因する断線を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−116913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした接続ケーブル保持構造では、螺旋状に形成した信号ケーブルを螺旋軸方向に伸縮することにより、断線を防止しようとしているため、前扉を開く際には、その開き始めから開き終えるときまで、常に螺旋形状による伸縮力が作用することになり、接続ケーブルが貸出データ転送用接続端子や中継基板側の接続端子から引き抜かれてしまう可能性があるという課題がある。また、接続端子から引き抜かれてしまうことを防止する手段として、信号ケーブルを長くすることによって余裕を持たせることが考えられるが、この場合には、前扉を閉める際には貸出データ転送用接続端子と中継基板側の接続端子とが近づいた際に、信号ケーブルが自重により垂れ下がり、通信ケーブルの挟み込みや引っかかり等に起因して断線が生じる可能性があるという課題がある。更に、近年のパチンコ機では、送受信する信号が増えることに伴ってケーブルの数が増加傾向にあるため、ケーブル毎に螺旋を形成すると嵩張ってしまい挟み込みや引っかかり等の要因となる可能性が増大している。しかも、このような場合には、ケーブルを配置する際には必要なスペースも増大するため、配置スペースの確保にも苦慮することになる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、前扉の開閉時における接続ケーブルの挟み込みや引っかかり等に起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる接続ケーブル及び遊技機を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の接続ケーブルは、
被開閉体と前記被開閉体に開閉可能に軸支された開閉体とを電気的に接続する接続ケーブルであって、
伸縮可能な螺旋形状の螺旋部と、
一端側で前記螺旋部と連接し、他端側に設けられた接続部に向けて直線状に延設され、前記開閉体と電気的に接続される第一直線部と、
一端側で前記螺旋部と連接し、他端側に設けられた接続部に向けて直線状に延設され、前記被開閉体と電気的に接続される第二直線部と、
を備え、
前記開閉体の開閉動に伴って、前記第一直線部及び前記第二直線部が、前記螺旋部の螺旋軸に対して回動可能であり、
前記開閉体が前記被開閉体に対し閉じられた状態では、前記第一直線部と前記第二直線部の少なくとも一方が前記螺旋部の螺旋軸に対し同一方向を示さない所定の角度を有して配置されており、
前記開閉体が前記被開閉体に閉じられた状態から開かれるに伴って、前記所定の角度が大きくなり前記螺旋部の弾性により前記螺旋部が撓む動作を行い、後に、前記第一直線部又は前記第二直線部の少なくとも一方と前記螺旋部の螺旋軸とが同一方向を示すに近づくにつれ、前記螺旋部が前記螺旋軸の軸方向に伸張する動作も行うという、前記螺旋部が前記開閉体の開閉角度に応じて異なる2つの動作を行うことを特徴とする、
ものである。
【0008】
この接続ケーブルは伸縮可能な螺旋部と開閉体の開閉動に伴って螺旋部の螺旋軸に対して回動可能な第一直線部及び第二直線部とを有している。従って、開閉体が開動するに伴って、螺旋部が弾性変形すると共に、第一直線部又は第二直線部の少なくとも一方が螺旋部の螺旋軸に対して回動し、第一直線部又は第二直線部の少なくとも一方と螺旋部の螺旋軸とがなす角度が大きくなる。こうすることにより、開閉体の開動に伴って接続ケーブルにかかる力が螺旋部の有する弾性によって吸収され、開閉体の開動に柔軟に対応することで、接続ケーブルの抜け防止に役立つ。また、開閉体が被開閉体に対して閉じられる際には、螺旋部の弾性力が復元力として螺旋軸の中央に向けて作用することから、接続ケーブルの一部が自重によって垂れ下がったり、開閉体が移動する動線上に移動したりする可能性を低減し、接続ケーブルが挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができる。そして、螺旋部は開閉体が開く際において、螺旋部の弾性を利用して撓ませていることから、開閉体を閉じる際には、螺旋部は弾性変形し、開閉体が開く前の状態に戻ろうとするため、優れた収納性を発揮することができる。このとき、開閉体が被開閉体に閉じられた状態から開かれるに伴って、所定の角度が大きくなり螺旋部の弾性により螺旋部が撓む動作を行い、後に、第一直線部又は第二直線部の少なくとも一方と螺旋部の螺旋軸とが同一方向を示すに近づくにつれ、螺旋部が螺旋軸の軸方向に伸張する動作も行う。こうすることで、接続ケーブルが挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減しつつ、接続ケーブルの抜けを防止することができる。なお、「開閉体が移動する動線上」とは、開閉体が開閉する際に移動する軌跡のなかで、開閉体の端部が移動する軌跡を意味する。


【0009】
本発明の接続ケーブルにおいて、前記螺旋部は、前記開閉体が前記被開閉体に閉じられた状態では、前記螺旋部の螺旋軸の方向が上下方向であり、且つ、前記第一直線部と前記第二直線部の高さ位置を異ならせ、前記開閉体が前記被開閉体から開かれるに伴って、前記螺旋部の螺旋軸の方向が上下方向から水平方向に向かって傾倒し、前記開閉体が前記被開閉体に閉じられるに伴って、前記螺旋部の螺旋軸の方向が水平方向から上下方向に向かって傾起してもよい。こうすることにより、螺旋部を捩りコイルばねのように撓ませることで、開閉体の開動に伴う接続ケーブル全体に作用する負荷を、螺旋部を捩ることにより効率的に吸収し、開閉体の開動に柔軟に対応することができ、接続ケーブルの抜け防止に役立つ。また、螺旋部が撓むことにより螺旋軸が傾倒又は傾起するため、接続ケーブルの全体形状が大きく変形し、開閉体の開動に柔軟、且つ、素早く対応することができる。そして、開閉体が閉じられる際には、螺旋部の弾性力は螺旋軸の中央に向けて作用することから、接続ケーブルの一部が自重によって垂れ下がったり、開閉体が移動する動線上に移動したりする可能性を低減し、接続ケーブルが挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができる。そして、螺旋部は開閉体が開く際において、螺旋部の弾性を利用して撓ませていることから、開閉体を閉じる際には、螺旋部が弾性変形し、開閉体が開く前の状態に戻ろうとするため、優れた収納性を発揮することができる。なお、ここで「水平方向」とは、パチンコ遊技機の設置面に対して水平な方向を意味し、「上下方向」とは、パチンコ遊技機の設置面に対して垂直な方向(鉛直方向)を意味するものとする。
【0010】
この態様を採用した本発明の接続ケーブルにおいて、前記螺旋部は、前記開閉体が前記被開閉体から開かれるに伴って、前記螺旋部の螺旋軸の方向が上下方向から水平方向に向かって傾倒し、且つ、前記螺旋軸の軸方向に伸張し、前記開閉体が前記被開閉体から閉じられるに伴って、前記螺旋軸の軸方向に収縮し、且つ、前記螺旋部の螺旋軸の方向が水平方向から上下方向に向かって傾起してもよい。こうすることにより、開閉体をより大きな角度まで開かせたい場合であっても、螺旋部が螺旋軸方向に伸張することにより、接続ケーブルの抜けを防止しつつ、その大きな開閉角度に柔軟に対応して開閉体を開くことができる。また、開閉体を閉じる際には、まず螺旋部の弾性力が螺旋軸の中央に向かって作用して螺旋部が収縮することから、接続ケーブルの一部が自重によって垂れ下がったり、開閉体が移動する動線上に移動したりする可能性を低減し、接続ケーブルが挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0011】
本発明の接続ケーブルは、前記開閉体が前記被開閉体に閉じられた状態では、前記螺旋部の螺旋軸の方向が前後方向となるように前記螺旋部が配置され、且つ、前記第一直線部及び前記第二直線部が前記螺旋部の上端と下端の間にそれぞれ配置されてもよい。また、本発明の接続ケーブルは、前記開閉体が前記被開閉体に閉じた状態では、前記螺旋部の螺旋軸の方向が水平方向となるように前記螺旋部が配置され、且つ、前記第一直線部と前記第二直線部が前記螺旋部の上端と下端の間に配置されてもよい。こうすることにより、開閉体が被開閉体に対して開かれる際には、開閉体の開動に伴い接続ケーブル全体に作用する負荷を、螺旋部の弾性力により効率的に吸収し、開閉体の開動に柔軟に対応することができ、接続部の抜け防止にも役立つ。また、開閉体が被開閉体に閉じられた状態において、螺旋部の螺旋軸の方向が上下方向であり、且つ、前記第一直線部又は前記第二直線部が前記螺旋部の上端より上方又は下端より下方に配置した場合と比較して、接続ケーブルが占有する領域をより減少させることが可能となるため、特に、接続ケーブルが開閉体の上部又は下部に取り付けられた場合には、遊技機の遊技領域を広く確保することができ、接続ケーブルの一部が遊技者に視認される可能性を未然に低減することができる。
【0012】
この態様を採用した本発明の接続ケーブルにおいて、前記螺旋部は、前記開閉体が前記被開閉体から開かれるに伴って、前記開閉体が開く方向に前記螺旋部の螺旋軸が移動し、且つ、螺旋軸の方向に伸張し、前記開閉体が前記被開閉体から閉じられるに伴って、螺旋軸の方向に収縮し、且つ、前記開閉体が閉じる方向に前記螺旋部の螺旋軸が移動してもよい。こうすることにより、開閉体をより大きな角度まで開かせたい場合であっても、螺旋部が螺旋軸方向に伸張し、接続ケーブルの抜けを防止しつつ、より大きな開閉角度に柔軟に対応して開くことができる。また、開閉体を閉じる際には、まず螺旋部の弾性力が螺旋軸の中央に向かって作用し収縮することから、接続ケーブルの一部が自重によって垂れ下がったり、開閉体が移動する動線上に移動したりする可能性を低減し、接続ケーブルが挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0013】
本発明の接続ケーブルにおいて、前記接続ケーブルは、複数の接続ケーブルからなり、前記螺旋部は、複数の前記接続ケーブルを結束する結束部を両端側に有していてもよい。こうすれば、複数の接続ケーブルの束によって螺旋部が形成されるため、単一の接続ケーブルで螺旋部を形成する場合と比較して、螺旋部の弾性力をより強くすることができる。言い換えると、接続ケーブル全体の形状をより強固に維持することができるため、接続ケーブルの一部が開閉体が移動する動線上に移動したりして、開閉体の開閉時に、接続ケーブルが挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0014】
本発明の接続ケーブルにおいて、前記第一直線部と前記第二直線部は、前記開閉体が前記被開閉体に閉鎖された状態で、前記第一直線部と前記第二直線部の方向が略同一の方向に配置されていてもよい。こうすれば、開閉体が被開閉体に閉じた状態で、第一直線部、螺旋部及び第二直線部がコの字型を形成することになる。こうすることにより、開閉体が被開閉体に対して開閉される際には、開閉体の開閉動に伴う開閉体側から接続ケーブル全体に作用する負荷と、被開閉体側から接続ケーブル全体に作用する負荷とが、第一直線部と第二直線部の間に位置する螺旋部の弾性力に作用することにより、コの字型を形成していない場合と比較してより効率的に吸収し、開閉体の開閉動を柔軟に対応することができ、接続部の抜け防止にも役立つ。
【0015】
本発明の遊技機は、上述したいずれか1つに記載の接続ケーブルを備えたものである。この遊技機は、上述したいずれか1つの接続ケーブルを備えるから、これと同様の効果、例えば、開閉体の開閉時に、接続ケーブルの一部が自重によって垂れ下がったり、開閉体が移動する動線上に移動したりする可能性を低減し、接続ケーブルが挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、パチンコ遊技機20の構成の概略を示す概略図である。
図2図2は、パチンコ遊技機20の正面図である。
図3図3は、パチンコ遊技機20の構成の概略の一部を示す部分拡大斜視図である。
図4図4は、パチンコ遊技機20の背面図である。
図5図5は、パチンコ遊技機20内の電気的接続の概略を示すブロック図である。
図6図6は、前面枠60の開放時の接続ケーブル70の動きを説明するための説明図である。
図7図7は、他の実施の形態におけるパチンコ遊技機120の構成の概略の一部を示す拡大部分斜視図である。
図8図8は、他の実施形態における前面枠60の開放時の接続ケーブル70の動きを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、上記簡単に説明した図面に基づいて、本発明を実施するための形態を説明するにあたり、本実施の形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施の形態のパチンコ遊技機20及びパチンコ遊技機120が遊技機に相当し、接続ケーブル70が接続ケーブルに相当し、本体枠30が被開閉体に相当し、前面枠60が開閉体に相当し、螺旋部72が螺旋部に相当し、第一直線部74aが第一直線部に相当し、第二直線部74bが第二直線部に相当し、雌型接続コネクタ76a及び雌型接続コネクタ76bが接続部に相当し、結束部79が結束部に相当する。なお、パチンコ遊技機20の前面枠60の開閉操作を説明することにより、本発明の遊技機の動作の一例も明らかにしている。
【0018】
次に、図1図5を用いて、本発明の実施の形態の一例であるパチンコ遊技機20の構成を詳しく説明する。パチンコ遊技機20は、図1に示すように、パチンコホール等の島に上板と下板との間に挟持されて支持される外枠22と、外枠22に軸支される本体枠30と、本体枠30の一側に設けられ図示しない蝶番により開閉可能に軸着される前面枠60と、を備えている。
【0019】
本体枠30は、図2に示すように、遊技領域51を含む遊技盤50と、前面下部の一側方位置に回転可能に設けられた発射ハンドル32と、前面下部に設けられ図示しない遊技球を貯留する球受皿34と、球受皿34の下部であって本体枠30の両側部に設けられ演出音等を放音するスピーカ36と、を備えている。また、本体枠30の裏面側には、図4に示すように、上部に設けられた球タンク38から賞球又は貸球を供給する球払出装置40と、封入ケースに封入された球払出制御基板48及び主制御基板80を含む主基板等が設けられている。
【0020】
遊技盤50は、図2に示すように、略中央部に位置し入賞等による各種演出を表示する大型の液晶パネルを有する図柄変動表示装置52や図柄変動表示装置52の下方に位置する大入賞口58及び大入賞口58の両側方向に位置する複数の入賞口56を有し、風車や多数の障害釘からなる障害釘群が表面に適宜配置される遊技領域51を有している。球受皿34内の図示しない遊技球は、図示しない打球供給装置を経由して図示しない打球発射装置に導かれ、発射ハンドル32の回転度に応じた強さで遊技領域51内に発射される。図示しない発射装置によって障害釘群や入賞口56等を有する遊技領域51内に射出された遊技球は、風車や障害釘群を通過して入賞口56や大入賞口58に到達すると、入賞口56や大入賞口58に設けられた入賞球スイッチ46(図5参照)によって検出され、主制御基板80が入賞信号を受信することによって入賞として扱われる。この場合には、主制御基板80より球払出制御基板48に球払出信号が発信され、球タンク38から球払出装置40を介して賞球が球受皿34に供給されることにより、遊技者は賞球を得ることができる。
【0021】
主制御基板80は、図5に示すように、CPU81を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、遊技の演出を行う遊技プログラム等の各種プログラムを記憶したROM82と、一時的にデータを記憶するRAM83と、がそれぞれ電気的に接続された状態で配設されている。この主制御基板80は、各種基板及び皿満タンスイッチ42や空切り防止スイッチ44等の各種スイッチと電気的に接続されており、各種信号の送受信を行っている。図示しない遊技球が始動入賞口54に入賞すると、始動入賞口54に設けられた入賞球スイッチ46から入賞信号がCPU81に入力され、ROM82に予め記憶されている遊技プログラムに従い抽選が行われる。この抽選により所定の確率で大当たりが招来されると、図柄変動表示装置52やスピーカ36に各種演出を出力する出力信号を出力すると共に、球払出制御基板48を介して球払出装置40に球払出信号を出力し、球払出装置40より賞球が払出される。
【0022】
前面枠60は、図1に示すように、中央部にガラスやプラスチックからなる透明板62を有し、透明板62の周囲であって、前面枠60の四隅付近は不透明な不透明部64が設けられている。また、図2に示すように、透明板62の上部には装飾ランプ66が設けられており、装飾ランプ66と本体枠30とは、接続ケーブル70によって電気的に接続されている。前面枠60が閉じられた際には、遊技領域51が透明板62越しに視認可能な状態となる一方で、接続ケーブル70は不透明部64の裏面側に位置することになるため、視認することができない。
【0023】
接続ケーブル70は、図3に示すように、導線の表面を絶縁体で被覆したケーブルの束であり、遊技盤50の軸支側上部であって、前面枠60が閉じられた際には、不透明部64によって遊技者から視認できない位置に設けられている。この接続ケーブル70は、中央部に螺旋形状であって伸縮可能な螺旋部72が、螺旋部72の両端には第一直線部74a及び第二直線部74b(以下、「直線部74」とも言う)が、接続ケーブル70の両端部には雌型接続コネクタ76a及び雌型接続コネクタ76b(以下、「雌型接続コネクタ76」とも言う)がそれぞれ設けられており、前面枠60と本体枠30とにそれぞれ設けられた雄型接続コネクタ78a及び雄型接続コネクタ78b(以下、「雄型接続コネクタ78」とも言う)に電気的に接続可能となっている。この螺旋部72は、複数本の接続ケーブルの両端部に雌型接続コネクタ76a及び雌型接続コネクタ76bを組み付けた後、この複数本のケーブルの中央部を棒状の芯材等に巻き付けることにより、同一周期で円柱状に弾性を有した螺旋形状を形成し、その螺旋形状の端部(直線部74の螺旋部72側の端部)をテープや結束バンド、又は配線をきつく捩って解けないようにした部位である結束部79で固定したものである。こうすることにより、単一のケーブルで螺旋形状を作った場合には期待することができない、復元力と結束力を得ることができる。この復元力により、一定の力によって螺旋形状が変形した場合であっても、弾性力により元の形状に復元することができる。言い換えると、前面枠60の開閉という限定的な範囲内であれば、螺旋形状を保持し続けることのできる螺旋部72を容易に形成することができる。更に、螺旋部72の端部(直線部74の螺旋部72側の端部)を結束部79で固定することにより、前面枠60の繰り返し行われる開閉動により螺旋部72の螺旋形状の形状が緩み維持できなくなることを回避し、螺旋部72の弾性力を収束する(拡散しない)ことで、より高い弾性変形力を実現可能となる。なお、図中の螺旋部72の螺旋の巻き数は説明の都合上、実際の数より少ない。
【0024】
ここで、接続ケーブル70の取り付け位置について、更に詳しく説明する。接続ケーブル70は、図3に示すように、本体枠30に設けられた雄型接続コネクタ78bに雌型接続コネクタ76bが、前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aに雌型接続コネクタ76aがそれぞれ接続されており、本体枠30と前面枠60とを電気的に接続している。このとき、雄型接続コネクタ78bの位置は、雄型接続コネクタ78aの位置よりも螺旋軸71の軸方向に収縮した状態の螺旋部72の長さと同じ長さだけ低い位置に設けられているため、前面枠60が本体枠30に閉じられた状態では、第一直線部74aと第二直線部74bとが螺旋部72の螺旋軸71(図6参照)に対して略90°の角度に位置するように螺旋部72の両端部にて連通し、螺旋部72の螺旋軸71を上下方向に向けて配置され、第一直線部74a、螺旋部72及び第二直線部74bがコの字型を形成する。こうすることにより、コの字型を形成していない場合と比較して、前面枠60が本体枠30から開かれる際の開動に伴う第一直線部74aの変位をより柔軟に対応することができる。更に、接続ケーブル70の全体の形状をより強固に維持することができるため、接続ケーブル70の一部が自重により垂れ下がったり、前面枠60の動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブルが挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0025】
次に、こうして構成された本実施の形態のパチンコ遊技機20における前面枠60の開閉操作、特に、開閉操作時における接続ケーブル70の動きについて、図6を用いて詳しく説明する。ここで、図6は、前面枠60の開放時の接続ケーブル70の動きを説明するための説明図であり、本体枠30、前面枠60及び接続ケーブル70を上方から見た状態を模式的に示したものである。図6中、(A)は前面枠60が本体枠30に閉じられた状態を、(B)〜(D)は前面枠60が本体枠30から徐々に開放されていく状態をそれぞれ示している。また、図6中における螺旋軸71は螺旋部72の螺旋構造を説明するための仮想軸である。パチンコ遊技機20を使用する際には、図2に示すように、前面枠60は本体枠30に閉じた状態で使用される。しかしながら、玉詰まり等の故障や調整等により前面枠60を開く必要がある場合がある。このときは、図示しない鍵で解錠し、前面枠60の一端側に設けられた軸61を回転軸として、前面枠60の他端側を本体枠30から遠ざかる方向に回動する。このとき前面枠60の開閉角度が小さい場合には、図6(B)に示すように、前面枠60が開かれるに伴い、前面枠60の回動によって発生した回動力が前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから、雌型接続コネクタ76a、第一直線部74a、螺旋部72、第二直線部74b、雌型接続コネクタ76b、本体枠30に設けられた雄型接続コネクタ78bの順に伝達することになる。この回動力が順に伝達する際に、前面枠60が本体枠30に閉じられた状態では、第一直線部74a及び第二直線部74bが螺旋部72と連接してコの字型に配置されているから、第一直線部74a及び第二直線部7bが互いに遠ざかる方向に移動しようとする際に、螺旋部72の弾性を利用して螺旋部72を撓ませることにより効果的に回動力を吸収し、接続ケーブル70の抜けを防止しつつ、前面枠60の開動に柔軟に対応することができる。このようにして、第一直線部74aの雌型接続コネクタ76aと第二直線部74bの雌型接続コネクタ76bとは螺旋軸71を中心として互いに遠ざかる方向に移動するに伴って、前面枠60の回動力により、第一直線部74aが螺旋部72を前面枠60側に引っ張るため、螺旋部72は前面枠60側に傾倒し始める。
【0026】
そして、前面枠60の開放角度が大きくなるように軸61を回転中心として前面枠60を開くと、図6(C)に示すように、前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aと本体枠30に設けられた雄型接続コネクタ78bとの距離が大きく離れる。この際に、前面枠60からの回動力は、前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから雌型接続コネクタ76a、第一直線部74a、螺旋部72の順で伝達し、螺旋部72を捩りコイルばねのように撓ませることで、回動力が螺旋部72の弾性力により効果的に吸収され、前面枠60の開動に柔軟に対応することができ、雌型接続コネクタ76と雄型接続コネクタ78との抜け防止にも役立つ。また、螺旋部72の螺旋軸71が上下方向から水平方向に向けて大きく傾倒し、螺旋部72が前面枠60の方向に傾倒することで、第一直線部74aと第二直線部74b、螺旋部72がそれぞれ形状を維持したままの状態で、接続ケーブル70の全体形状が大きく直線状に変形し、前面枠60の開動に柔軟、且つ、素早く対応することができる。
【0027】
前面枠60の開放角度を更に大きな角度まで開かせたい場合には、図6(D)に示すように、軸61を回転中心として更に前面枠60を開くことになる。このような場合には、前面枠60に設けられ雄型接続コネクタ78aと本体枠30とに設けられた雄型接続コネクタ78bとの距離が更に離れ、前面枠60の回動力が前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから、雌型接続コネクタ76a、第一直線部74aの順に伝達され、螺旋部72が前面枠60の方向に引っ張られることになる。このようにして、螺旋部72が上下方向から水平方向に向けて大きく傾倒し、且つ、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に伸張することで、前面枠60の開放角度を更に大きく開かせた場合であっても、接続ケーブル70の抜けを防止しつつ、柔軟に対応させて開くことができる。
【0028】
次に、前面枠60を閉じる際の動きについて説明する。上述したように、前面枠60の開放角度が更に大きく開放されている状態では、図6(D)に示すように、螺旋部72の螺旋軸71が水平方向に向かって大きく傾倒し、且つ、螺旋軸71の軸方向に伸張した状態となっている。この状態から、軸61を回転軸として本体枠30に向かって前面枠60を閉じると、まず、螺旋部72の弾性力が螺旋軸71の中央に向けて作用し収縮する(図6(C)参照)。伸縮する螺旋部72を有しない場合には、前面枠60の開放角度を更に大きく開放する際に、その開放角度に対応すべく接続ケーブルの全長を予め長くしておく必要があるが、伸縮する螺旋部72を設けることにより、伸縮する螺旋部72を有しない場合と比較して、接続ケーブル70の一部が垂れ下がり難いため、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70の一部が弛んだり、自重により垂れ下がったりして、前面枠60と本体枠30との間に挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0029】
前面枠60を更に閉じると、図6(B)に示すように、前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから、雌型接続コネクタ76a、第一直線部74aの順に回動力が伝達し、螺旋部72が押圧される。そして、螺旋部72を介して第二直線部74b、雌型接続コネクタ76b、本体枠30に設けられた雄型接続コネクタ78bの順に伝達することになる。このように回動力が順に伝達する際に、螺旋部72の螺旋軸71が水平方向から上下方向に向けて大きく傾起し、螺旋部72の螺旋軸71が本体枠30の方向に傾起することで、第一直線部74a、第二直線部74b及び螺旋部72はそれぞれ形状を維持したまま接続ケーブル70の全体形状としては大きくコの字型に変形し、前面枠60の閉動に柔軟に、かつ素早く対応可能となる。また、回動力が順に伝達する際も、螺旋部72の弾性力は螺旋軸71の中心に向けて更に作用し続けることから、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70の一部が弛んだり、自重により垂れ下がったりして、前面枠60と本体枠30との間に挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができる。そして、螺旋部72は前面枠60を開く際において、螺旋部72を捩りコイルバネのように撓ませていることから、前面枠60を閉じる際には、螺旋部72は弾性変形し、接続ケーブル70を前面枠60が開く前の所定の位置に戻そうとし、優れた収納性を発揮することとなる。
【0030】
前面枠60を完全に閉じる場合には、図6(A)に示すように、前面枠60の回動力により前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから雌型接続コネクタ76a、第一直線部74aの順に螺旋部72を更に押圧する。そして、螺旋部72を介して第二直線部74b、雌型接続コネクタ76b、本体枠30に設けられた雄型接続コネクタ78bの順に回動力が伝達することとなる。この際も、回動力が順に伝達する際に、螺旋部72の弾性力は螺旋軸71の中央に向けて更に作用することから、接続ケーブル70の一部が弛んだり、自重により垂れ下がったりして、前面枠60と本体枠30との間に挟み込まれたり、引っかかったりすることに起因する断線が生じる可能性を未然に低減することができる。このようにして、第一直線部74aの雌型接続コネクタ76aと第二直線部74bの雌型接続コネクタ76bとは、螺旋部72を中心としてお互い近づく方向に移動する。それに伴い、前面枠60の回動力により、第一直線部74aが螺旋部72を押圧し、螺旋部72の螺旋軸71が前面枠60側に傾起する。
【0031】
以上詳述した本実施の形態のパチンコ遊技機20によれば、接続ケーブル70に伸縮可能な螺旋形状の螺旋部72と前面枠60の開動に伴って螺旋部72の螺旋軸71に対して回動可能な第一直線部74a及び第二直線部74bとが備えられているため、前面枠60が開動するに伴って、螺旋部72が弾性変形により伸縮すると共に、第一直線部74a及び第二直線部74bが螺旋部72の螺旋軸71に対して回動し、第一直線部74a及び第二直線部74bと螺旋部72の螺旋軸71とがなす角度が大きくなる。こうすることにより、前面枠60の開動に伴って接続ケーブル70にかかる力が螺旋部の有する弾性によって吸収され、前面枠60の開動に柔軟に対応することで、接続ケーブル70の抜け防止に役立つ。また、前面枠60を閉じる際には、弾性力が螺旋部72の中心に向けて作用することから、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。そして、螺旋部72は前面枠60を開く際において、螺旋部72の弾性を利用して撓ませていることから、前面枠60を閉じる際には、螺旋部72が弾性変形し、接続ケーブル70を前面枠60が開く前の所定の位置に戻ろうとし、優れた収納性を発揮することができる。
【0032】
また、螺旋部72は、前面枠60が本体枠30に閉じられた状態では、螺旋部72の螺旋軸71の方向が上下方向であり、且つ、第一直線部74aと第二直線部の高さ位置を異ならせ、前面枠60が本体枠30から開かれるに伴って、螺旋部72の螺旋軸71の方向が上下方向から水平方向に向かって傾倒し、前面枠60が本体枠30に閉じられるに伴って、螺旋部72の螺旋軸71の方向が水平方向から上下方向に向かって傾起するため、螺旋部72が捩りコイルばねのように撓むことで、前面枠60の開動に伴って接続ケーブル70全体に作用する負荷を、螺旋部72を捩ることにより効果的に吸収することができ、前面枠60の開動に柔軟に対応することができ、雌型接続コネクタ76と雄型接続コネクタ78とが抜け防止にも役立つ。また、螺旋部72が撓むことにより、螺旋部72の螺旋軸71が傾倒するため、接続ケーブル70の全体形状としては大きく直線状に変形し、前面枠60の開動に柔軟に、かつ、素早く対応可能となる。前面枠60を開く際において、螺旋部72は捩りコイルばねのように撓まされていることから、前面枠60を閉じる際には、螺旋部72が弾性変形し、前面枠60を開く前の所定の位置に戻そうとし、優れた収納性を発揮することとなる。
【0033】
更に、螺旋部72は、前面枠60が本体枠30から開かれるに伴って、螺旋部72の螺旋軸71の方向が上下方向から水平方向に向かって傾倒し、且つ、螺旋軸71の軸方向に伸張し、前面枠60が本体枠30に閉じられるに伴って、螺旋軸71の軸方向に伸縮し、且つ、螺旋部72の螺旋軸71の方向が水平方向から上下方向に向かって傾起するため、前面枠60をより大きな角度まで開かせたい場合であっても、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に伸張することにより、接続ケーブル70の抜けを防止しつつ、その大きな開閉角度に柔軟に対応させ開くことができる。また、前面枠60を閉じる際には、まず螺旋部72の弾性力が螺旋部72の中心に向けて作用し収縮することから、接続ケーブル70が垂れ下がる可能性を低減し、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0034】
更にまた、接続ケーブル70は複数の接続ケーブルの束であり、螺旋部72の両端側には複数の接続ケーブルを結束する結束部79を有しているため、接続ケーブル70は単一の接続ケーブルによって螺旋部72を形成する場合と比較して、螺旋部72の弾性力をより強くすることができる。言い換えると、接続ケーブル70全体の形状をより強固に維持することができるため、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0035】
次に、図7及び図8を用いて、他の実施の形態におけるパチンコ遊技機120における接続ケーブル70の動きについて説明する。なお、パチンコ遊技機120の構成は、接続ケーブル70が取り付けられる際の螺旋軸71の軸方向が異なること以外はパチンコ遊技機20と同様であるため、パチンコ遊技機20と同様の番号を付し、それぞれの構成に関する説明は省略する。ここで、図7は、他の実施の形態におけるパチンコ遊技機120の構成の概略の一部を示す拡大部分斜視図である。また、図8は、前面枠60の開放時の接続ケーブル70の動きを説明するための説明図であり、本体枠30、前面枠60及び接続ケーブル70を上方から見た状態を模式的に示したものである。図8中、(A)は前面枠60が本体枠30に閉じられた状態を、(B)〜(D)は前面枠60が本体枠30から徐々に開かれていく状態をそれぞれ示している。
【0036】
パチンコ遊技機120における前面枠60を開閉する際には、図示しない鍵で解錠し、前面枠60の一端側に設けられた軸61を回転軸として、前面枠60の他端側を本体枠30から遠ざかる方向に回動する。このとき前面枠60の開閉角度が小さい場合には、図8(B)及び(C)に示すように、前面枠60が開かれるに伴い、前面枠60の回動によって発生した回動力が前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから、雌型接続コネクタ76a、第一直線部74a、螺旋部72、第二直線部74b、雄型接続コネクタ78b、本体枠30に設けられた雄型接続コネクタ78bの順に回動力が伝達されることになる。この回動力が順に伝達される際に、前面枠60が本体枠30に閉じられた状態では、第一直線部74a及び第二直線部74bが螺旋部72と連接してコの字型に配置されているから、第一直線部74a及び第二直線部7bが互いに遠ざかる方向に移動しようとする際に、螺旋部72の弾性を利用して螺旋部72を撓ませることにより効果的に回動力を吸収し、接続ケーブル70の抜けを防止しつつ、前面枠60の開動に柔軟に対応することができる。このようにして、第一直線部74aの雄型接続コネクタ78aと第二直線部74bの雌型接続コネクタ76bとは、螺旋部72を中心として互いに遠ざかる方向に移動し、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に向かって前面枠60側に移動する。
【0037】
前面枠60の開放角度まで更に大きな角度まで開かせたい場合には、図8(D)に示すように、軸61を回転中心として更に前面枠60を開くこととなる。このような場合には、前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aと本体枠30に設けられた雌型接続コネクタ76bとの距離が更に離れることになるが、前面枠60の回動力は前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから、雌型接続コネクタ76a、第一直線部74aの順に伝達され、螺旋部72を引っ張ることとなる。このようにして、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に向かって前面枠60側に移動し、且つ、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に伸張することで、接続ケーブル70の抜けを防止しつつ、その大きな開閉角度に柔軟に対応させ開くことができる。
【0038】
次に、前面枠60を閉じる際の動きについて説明する。上述したように、前面枠60の開放角度が大きく開放されている状態では、図8(D)に示すように、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に沿って前面枠60側に移動し、且つ、伸張した状態となっている。この状態から、軸61を回転軸として本体枠30に向かって前面枠60を閉じると、まず、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に向かって収縮し、螺旋部72の全長が収縮する(図8(C)参照)。伸縮する螺旋部72を有しない場合には、前面枠60の開放角度を更に大きく開放する際に、その開放角度に対応すべく接続ケーブル70の全長を予め長くしておく必要があるが、前面枠60を閉じるに伴って、まず螺旋部72の弾性力は螺旋軸71の中央に向けて作用し収縮するため、伸縮する螺旋部72を有しない場合と比較して、接続ケーブル70が垂れ下がる可能性が低減し、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性をより低減することができる。
【0039】
更に軸61を回転軸として本体枠30に向かって前面枠60を閉じると、図8(B)に示すように、前面枠60の移動に伴い、前面枠60の回動力が前面枠60に設けられた雄型接続コネクタ78aから、雌型接続コネクタ76a、第一直線部74aの順に伝達し、螺旋部72が押圧される。そして、螺旋部72を介して第二直線部74b、雄型接続コネクタ78b、本体枠30に設けられた雄型接続コネクタ78bの順に回動力が伝達することとなる。回動力が順に伝達する際に、螺旋部72の弾性力は螺旋軸71の中心に向けて更に作用することから、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。そして、螺旋部72は前面枠60を開く際において、螺旋部72の弾性を利用して撓ませていることから、前面枠60を閉じる際には、螺旋部72が弾性変形し、接続ケーブル70を前面枠60が開く前の所定の位置に戻そうとし、優れた収納性を発揮することになる。このようにして、第一直線部74aの雌型接続コネクタ76aと第二直線部74bの雌型接続コネクタ76aとは螺旋部72を中心として互いに近づく方向に移動し、螺旋部72が螺旋軸71の軸方向に向かって本体枠30側に移動する。このため、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0040】
以上詳述した本実施の形態のパチンコ遊技機120によれば、前面枠60が本体枠30に閉じた状態では、螺旋部72の螺旋軸71の軸方向が水平方向となるように螺旋部72が配置され、且つ、前記第一直線部及び前記第二直線部が前記螺旋部の上端と下端の間にそれぞれ配置されている。このとき、螺旋部72の螺旋軸71の軸方向は前後方向でもある。このため、前面枠60が本体枠30から開かれる際には、前面枠60の移動に伴って第一直線部74aが移動し、螺旋部72が前面枠60の移動方向と同じ方向に容易に移動することができる。言い換えると、前面枠60が開かれるに伴って、回動力が螺旋部72の弾性力により効果的に吸収され、前面枠60の開動に柔軟に対応できると共に、前面枠60を閉じる時に、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。同時に、接続ケーブル70が上下方向に占有する領域が狭くなるため、パチンコ遊技機20の遊技領域を広く確保した場合であっても、接続ケーブル70が遊技者に視認される可能性を未然に低減することができる。
【0041】
また、前面枠60が本体枠30の方向に閉じるに伴って、螺旋部72が前面枠60に対して開く方向に移動し、且つ、螺旋部72の螺旋軸71の軸方向に伸張するため、前面枠60をより大きな角度まで開かせたい場合であっても、接続ケーブル70の抜けを防止しつつ、その大きな開閉角度に対応することができる。そして、前面枠60を閉じる際には、まず、螺旋部72の弾性力が螺旋部72の中心に向けて作用し収縮することから、接続ケーブル70が垂れ下がる可能性を低減し、接続ケーブル70の少なくとも一部が自重等によって垂れ下がったり、前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0043】
例えば、上述した実施の形態では、雌型接続コネクタ76aは雌型接続コネクタ76bよりも収縮した状態の螺旋部72の長さだけ低い位置に取り付けられているものとしたが、雌型接続コネクタ76aが雌型接続コネクタ76bよりも高い位置に取り付けられていても良い。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。また、雌型接続コネクタ76aと雌型接続コネクタ76bとの高さ方向の間隔は、収縮した状態の螺旋部72の長さに限定されるものでないが、収縮した状態の螺旋部72の長さよりも長いことが好ましい。収縮した状態の螺旋部72の長さより長い場合には、螺旋部72を螺旋軸71の軸方向が上下方向に配置することができるためである。
【0044】
上述した実施の形態では、接続ケーブル70は本体枠30の軸支側上部に設けられるものとしたが、本体枠30の軸支側下部に設けられても良い。接続ケーブル70は、接続ケーブル70の自重によって垂れ下がったり、接続ケーブル70の一部が前面枠60が移動する動線上に移動したりして、前面枠60の開閉時に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができるため、接続ケーブル70を本体枠30の下部に取り付けることができ、パチンコ遊技機20の設計の自由度を増加させることができる。
【0045】
上述した実施の形態では、前面枠60が本体枠30に閉じられた状態では、第一直線部74a及び第二直線部74bが略同一の方向に配置されるものとしたが、第一直線部74aは、螺旋部72から本体枠30の開放端側に向け、前面枠60の裏面に平行に沿うように配置され、第二直線部74bは、螺旋部72から本体枠30の開放端側に向け、本体枠30の裏面側に平行に沿うように配置されても良い。こうすれば、前面枠60の開動に伴って接続ケーブル70にかかる負荷を螺旋部72の撓みや捩り作用に効率的に変換することができるため、接続ケーブル70が断線する可能性を未然に低減することができる。
【0046】
上述した実施の形態において、前面枠60が本体枠30に閉じられた状態では、第一直線部74a及び第二直線部74bが略同一の方向に配置されるものとしたが、第一直線部74aが前面枠60と接続されておらず、且つ、第二直線部74bが本体枠30と接続されていない状態では、螺旋部72の螺旋軸71を軸方向から見た場合に、第一直線部74aと第二直線部74bとが形成する角度は、0°以上90°以下が望ましい。この角度が90°より大きくなると、前面枠60を本体枠30に閉じた際に螺旋部72に負担がかかりすぎて変形してしまうため好ましくなく、角度が0°以上90°以下の場合には、螺旋部72の弾性力を効率的に活用することができるため好ましい。
【0047】
上述した実施の形態において、雄型接続コネクタ78a及び雄型接続コネクタ78bは、前面枠60又は本体枠30に設けられるものとしたが、雄型接続コネクタ78aが前面枠60の裏面に平行に沿うように配置され、雄型接続コネクタ78bが本体枠30の表面に平行に沿うように配置されていてもよい。こうすれば、雌型接続コネクタ76aを雄型接続コネクタ78aに前面枠60に対して平行方向に差し込み、雌型接続コネクタ76bを雄型接続コネクタ78bに本体枠30に対して平行方向に差し込むことで、前面枠60を本体枠30に閉じた際に、雌型接続コネクタ76同士が衝突したり、雌型接続コネクタ76と接続ケーブル70の一部とが緩衝したりする可能性を未然に低減することができるため、接続ケーブル70が断線する可能性を未然に低減することができる。
【0048】
上述した実施の形態において、雄型接続コネクタ78a及び雄型接続コネクタ78bは、前面枠60又は本体枠30に設けられるものとしたが、雄型接続コネクタ78aが前面枠60の裏面に直交するように配置され、雄型接続コネクタ78bが本体枠30の表面に直交するように配置されていてもよい。こうすれば、雌型接続コネクタ76aを雄型接続コネクタ78aに前面枠60に対して直交方向に差し込み、雌型接続コネクタ76bを雄型接続コネクタ78bに本体枠30に対して直交方向に差し込むことで、螺旋部72の伸縮方向とそれぞれの雌型接続コネクタ76とが互いに直交する位置関係となるため、前面枠60を大きく開いた場合であっても、雄型接続コネクタ78から雌型接続コネクタ76が外れる可能性を低減することができる。
【0049】
上述した実施の形態において、前面枠60が本体枠30に閉じられた際の螺旋部72の螺旋軸71は直線であるものとしたが、必ずしも直線である必要は無く、所定の角度で弧を描くように湾曲していてもよい。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。この態様を採用した場合において、弧の向きは、前面枠60の開放端側に向けて凸になるように湾曲して形成しても良い。こうすれば、前面枠60の軸支側に向けて凹になるように配置されることになるため、前面枠60の開閉に際し、軸支側の端部より離れる方向に湾曲し、前面枠60の軸支側に向けて凸になるように湾曲して形成されている場合と比較して、接続ケーブル70の少なくとも一部が前面枠60の動線上に位置し、前面枠60を閉じる際に、接続ケーブル70が挟み込まれたり引っかかったり等することに起因して断線が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0050】
上述した実施の形態において、第一直線部74a及び第二直線部74bは、前面枠60が本体枠30に閉じられた際に、第一直線部74aと第二直線部74bとが略平行、又は螺旋部72の長さよりも短い距離となるように配置されてもよい。こうすれば、前面枠60が本体枠30に閉じられた際に接続ケーブル70が占める領域を少なくすることができるため、省スペース化に資する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上述した実施の形態で示すように、開閉部に用いる接続ケーブル、特に遊技機用の接続ケーブルとして利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
20…パチンコ遊技機、22…外枠、30…本体枠、32…発射ハンドル、34…球受皿、36…スピーカ、38…球タンク、40…球払出装置、42…皿満タンスイッチ、46…入賞球スイッチ、48…球払出制御基板、50…遊技盤、51…遊技領域、54…始動入賞口、56…入賞口、58…大入賞口、60…前面枠、61…軸、62…透明板、64…不透明部、66…装飾ランプ、70…接続ケーブル、71…螺旋軸71…螺旋部、73…螺旋軸、74…直線部、74a…第一直線部、74b…第二直線部、76…雌型接続コネクタ、76a…雌型接続コネクタ、76b…雌型接続コネクタ、78…雄型接続コネクタ、78a…雄型接続コネクタ、78b…雄型接続コネクタ、79…結束部、80…主制御基板、81…CPU、82…ROM、83…RAM、120…パチンコ遊技機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8