(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインの受電部に介装されて該商用電源ラインから受電した商用電力を所定電圧の直流電力に変換し、変換した直流電力を前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインに給電する交流・直流変換器と、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインに接続された直流駆動型のLED照明器具とを備え、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインを直流電源ラインとして用いて前記LED照明器具を点灯駆動するLED照明システムであって、
前記交流・直流変換器は、直流電力の入力も可能に構成されており、予め設定された複数の給電エリアのそれぞれに敷設されて各給電エリアの照明用電源系統を個別に構築した既設の商用電源ラインの受電部に設けられた過電流ブレーカーの二次側に介装され、
太陽光発電電力および/または風力発電電力および/または特定時間帯における商用電力から得られバッテリーに蓄えられた直流電力は該バッテリーの充放電を制御する充放電制御手段を介して前記既設の商用電源ラインの受電部に商用電力を給電する商用電源ラインとは独立した直流電源ラインを通して前記交流・直流変換器に入力されることを特徴とするLED照明システム。
前記直流駆動型のLED照明器具は、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインに接続された既存の照明器具ソケットに装着可能なプラグ構造を有し、前記既存の照明器具ソケットに極性を合わせて着脱自在に装着されるものである請求項1または2に記載のLED照明システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら個々のLED照明器具毎に前述した電源回路やLED駆動回路を組み込むと、LED照明器具の構成が複雑化することのみならず、その製造コストが嵩んで高価格化することが否めない。しかも電球としての外観形状・寸法を大幅に変更することなく、前記LEDユニットの駆動に伴う発熱や前記電源回路での発熱についても対策を講じることが必要であり、低価格なLED照明器具を実現する上での課題となる。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、LED照明器具を直流駆動型とすることでその価格を低減し、照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインを有効に活用しながら該商用電源ラインに上記直流駆動型のLED照明器具を接続することで設備コストの低減を図ったLED照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するべく本発明に係るLED照明システムは、照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインの受電部に介装されて該商用電源ラインから受電した商用電力を所定電圧の直流電力に変換し、変換した直流電力を前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインに給電する交流・直流変換器と、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインに接続された直流駆動型のLED照明器具とを備え、
前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインを直流電源ラインとして用いて前記LED照明器具を点灯駆動することを特徴としている。
【0007】
好ましくは前記交流・直流変換器は、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインの受電部に設けられた過電流ブレーカーの二次側(負荷側)に介装されて、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインのホット側(黒色または赤色の被覆線)を正極ラインとし、該商用電源ラインのクール側(白色の被覆線)を負極ラインとして前記所定電圧の直流電力を給電するように設けられる。
【0008】
前記交流・直流変換器については、予め設定された給電エリア毎に敷設されて各給電エリアの照明用電源系統を構築した複数の商用電源ラインの受電部にそれぞれ設けることが望ましい。尚、上記予め設定された給電エリアとは、例えばホテルにおける個々の客室や異なる階床、更には廊下やホール等の使用目的を異にするエリア、或いは床面積に応じて予め区画したエリア等を指す。
【0009】
また前記直流駆動型のLED照明器具は、例えば前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインに接続された既存の照明器具ソケット、例えばE26型口金ソケットやE17型口金ソケットに装着可能なプラグ構造を有し、該照明器具ソケットに極性を合わせて着脱自在に装着されるように構成される。例えば前記照明器具ソケットの中心電極部は商用電源ラインのホット側に接続されて正電極として用いられ、また前記照明器具ソケットの口金凹部は商用電源ラインのクール側に接続されて負電極として用いられる。
【0010】
尚、前記交流・直流変換器は、前記商用電源ラインを介して受電する商用電力に代えて直流電力を受電し、該直流電力を昇降圧変換して前記所定電圧の直流電力を得るコンバータ機能を備えることが望ましい。ちなみに前記直流電力は、例えば太陽光発電電力および/または風力発電電力であって、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインの受電部に商用電力を給電する商用電源ラインとは独立した専用の直流電源ラインを介して前記交流・直流変換器に給電することが望ましい。この際、前記太陽光発電電力および/または風力発電電力を、特定時間帯における商用電源電力と共に直流電力エネルギーとして大容量のバッテリーに蓄え、該バッテリーから直流電力として給電することが望ましい。
【0011】
尚、前記商用電源ラインとは独立した直流電源ラインを介して直流電力を受電する場合には、前記交流・直流変換器に代えて、前記直流電力を昇降圧変換して前記所定電圧の直流電力を得る専用のコンバータを用いることも勿論可能である。
【発明の効果】
【0012】
上記構成のLED照明システムによれば、個々のLED照明器具に交流・直流変換器を含む電源回路やLED駆動回路等を組み込む必要がなく、例えばLEDユニットとLED駆動電流制限用の抵抗、或いは定電流回路を組み込むだけで良いので、該LED照明器具自体の構成の簡略化と低価格化を図ることができる。また発熱量も少なく抑えることができるので、従来の一般的な交流駆動型のLED電球に見られるような大掛かりな発熱対策を講じる必要もなくなる。
【0013】
しかも予め設定された給電エリアにおける照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインの受電部に、具体的には過電流ブレーカーの二次側に交流・直流変換器を介装し、前記照明用電源系統を構築した既設の商用電源ラインをそのまま直流電源ラインとして用いるので、全体的な設備コスト(改装コスト)を大幅に低減することができる。また限られた給電エリアにおける照明用電源系統に直流電力を供給するだけで良いので、前記交流・直流変換器として電力容量の小さい小型で安価なものを用いることができ、その設置も容易である。
【0014】
更には太陽光発電電力や風力発電電力を利用する場合においても、直流電力エネルギーとしてバッテリーに蓄えた上記太陽光発電電力や風力発電電力をわざわざ交流電力に変換して商用電源ラインに給電する必要がないので、直流・交流変換のための大掛かりな設備コストが不要である。従って照明用電源として太陽光発電電力や風力発電電力を低コストで導入することが可能となる等の効果が奏せられる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るLED照明システムについて、ホテルの客室照明に適用した場合を例に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係るLED照明システムの要部概略構成図であり、図中一点鎖線で囲む領域A,Bはホテルにおける個々の客室エリアを示している。これらの各客室エリアA,Bには照明用電源系統(以下、照明系と略す)およびコンセント用電源系統(以下、コンセント系と略す)をそれぞれ構築する商用電源ライン10,20が敷設されており、前記照明系の商用電源ライン10には複数の照明器具11が、また前記コンセント系の商用電源ライン20には複数のコンセント21がそれぞれ接続される。
【0018】
尚、照明系の商用電源ライン10およびコンセント系の商用電源ライン20は、例えば前記客室エリアA,B毎に設けられた商用電源(100Vの交流)の受電部にそれぞれ設けられた過電流ブレーカー30の二次側(負荷側)において、その出力電源ラインを図示しないジョイントを介して2系統に分岐して設定される。
【0019】
また前記客室エリアA,Bの過電流ブレーカー30に給電される商用電源(交流電力)は、
図1に示すようにホテル等の建屋に引き込まれた商用交流電源ライン31を介して分電盤32に取り込まれ、該分電盤32において予め区画設定された複数の給電エリア毎に分配されて前記客室エリアA,Bにそれぞれ給電される。この分電盤32から前記各客室エリアA,Bへの分配給電は、複数の給電エリアに対応付けて互いに独立させて敷設(屋内配線)した複数の商用交流電源ライン33を介して行われる。
【0020】
一方、前記複数の照明器具11は、一般的にはスイッチ12を介して前記商用電源ライン10に接続された照明器具ソケット(
図2を参照)13に着脱自在に装着され、該照明器具ソケット13を介して前記商用電源ライン10に接続される。ちなみに前記照明器具11として、例えばE26型またはE17型の口金凸部を持つ白熱灯や、いわゆる電球型蛍光ランプ、或いは一般的な交流用LED電球を用いる場合には、前記照明器具ソケット13には、例えば
図2に示すようなE26型またはE17型の口金凹部を持つ電球ソケットが用いられる。
【0021】
尚、前記商用電源ライン10に、直管形または円環形の蛍光ランプを照明器具本体に装着したシーリングライトのような照明器具11が接続されている場合には、この実施形態においては前記蛍光ランプを装着した照明器具本体と共に一括して、上述した照明器具ソケット13に取り換えられる。或いは後述する直流駆動型のLEDパネル照明器具に交換される。
【0022】
ここで本発明に係るLED照明システムが特徴とするところは、
図1に示すように、前記各客室エリアA,Bにおける100Vの交流電力の受電部に設けられた前記過電流ブレーカー30の二次側(負荷側)の、特に前記照明系の商用電源ライン10の受電部に、100Vの交流電力(商用電源)を所定電圧(例えば24V)の直流電力に変換する交流・直流変換器(AC・DC変換器)40を介装し、この交流・直流変換器40にて変換した直流電力を前記照明系の商用電源ライン10に給電するようにした点にある。換言すればを前記照明系の商用電源ライン10をそのまま直流電源ライン50として転用し、この直流電源ライン50に前記交流・直流変換器40にて変換した直流電力を給電するようにした点にある。
【0023】
この直流電源ライン50(商用電源ライン10)への直流電力の給電は、
図2に例示するように前記商用電源ライン10のホット側(黒色または赤色の被覆線)10aを前記直流電源ライン50の正極ライン(直流電圧のプラス側)とし、前記商用電源ライン10のクール側(白色の被覆線,アース側)10bを前記直流電源ライン50の負極ライン(直流電圧のマイナス側)として行われる。この結果、既設の照明系の商用電源ライン(交流電源ライン)10が、そのまま新たな照明電源系統をなす直流電源ライン50として用いられる。そして前記照明系の商用電源ライン10に接続されていた照明器具ソケット13は、機能的にはその中心電極部13aを正電極、口金凹部13bを負電極とした直流用の電球ソケットとして用いられる。
【0024】
一方、上述した如く直流用の電球ソケットとして用いられる前記照明器具ソケット13に装着される照明器具11は、E26型またはE17型の口金凸部を持つ直流駆動型のLED照明器具(LEDランプ)60からなる。この直流駆動型のLEDランプ60は、例えば
図2に示すように光拡散板をなすアクリル等の半透明の球状バルブ体61の内部にLEDユニット(光源)62と、LED駆動電流制限用の抵抗(図示せず)を組み込んだ構成を有する。この直流駆動型のLED照明器具(LEDランプ)60の、例えばLEDユニット62における各LEDのカソードは該LEDランプ60の口金凹部(負電極)63に接続され、また上記LEDのアノードは前記LED駆動電流制限用の抵抗を介して該LEDランプ60の中心突起電極64に接続される。
【0025】
ちなみに前記LEDユニット62は、例えば複数の高輝度LEDをプリント配線基板に表面実装したものからなる。このプリント配線基板の裏面側に前記LED駆動電流制限用の抵抗(チップ抵抗)が実装される。尚、複数の高輝度LEDを表面実装したプリント配線基板の裏面側に、電源レギュレータICと抵抗とからなる定電流回路を実装した一体型のLEDユニット62を用いることも勿論可能である。
【0026】
換言すれば上記直流駆動型のLEDランプ60は、従来一般的な交流電力用の電球型LED照明器具から、前述した商用交流電源(AC100V)を整流した後、電圧変換して直流電力を生成する電源回路(例えばスイッチングレギュレータ)や、この電源回路にて生成された直流電力を前記LEDユニットに加えて発光駆動するLED駆動回路等の電子回路を省き、LEDユニット62とLED駆動電流制限用の抵抗、またはレギュレータICと抵抗とからなる定電流回路を組み込んだだけの簡素な構成となっている。そして前記直流電源ライン50から給電される直流電力にて前記LEDユニット62を直接的に発光駆動するものとなっている。これ故、前記LEDランプ60の製造コスト自体が、従来一般的な交流電力用の電球型LED照明器具に比較して大幅に安価に抑えられている。
【0027】
かくしてこのような直流駆動型のLEDランプ60を、前述した直流電源ライン40に接続された照明器具ソケット13にそれぞれ装着して構築されるLED照明システムによれば、その設備コストを十分安価に抑えることができる。即ち、前記直流駆動型のLEDランプ60が上述したように安価であり、また前記照明系の商用電源ライン10の受電部に介装する前記交流・直流変換器40についても該商用電源ライン10に接続される前記LEDランプ60の最大装着個数を見込んだ比較的電力容量の小さい安価なものを用いることができる。更には既設の照明系の商用電源ライン10をそのまま前記直流電源ライン50として転用するので、システム全体の設備コスト(改装コスト)を十分に低く抑えることができる。なお、直流駆動型のLEDランプ60に使用するLEDの仕様によっては、LED駆動電流制限用の抵抗を省くことも可能である。
【0028】
また直管形または円環形の蛍光ランプを照明器具本体に装着したシーリングライトのような蛍光灯照明器具11に代えて、直流駆動型のLEDパネル照明器具(図示せず)を前記直流電源ライン50に接続して用いる場合にも、該直流駆動型のLEDパネル照明器具を安価に実現することができるので、同様にシステム全体の設備コスト(改装コスト)を十分に低く抑えることができる。
【0029】
この場合には前記直流駆動型のLEDパネル照明器具を、例えばアクリル板等の光拡散板として機能するパネル体の裏面側またはその端面を囲んで帯状の可撓性プリント配線基板(テープ状のフレキシブル基板)に複数のLEDを実装したLEDユニット62を配設し、上記複数のLEDをLED駆動電流制限用の抵抗を介して、またはレギュレータICと抵抗とからなる定電流回路にて発光駆動するように構成とする。そして前記直流電源ライン50から給電される直流電力にて前記LEDユニット62を直接的に発光駆動する構成とすれば、前述したLEDランプ60と同様に該直流駆動型のLEDパネル照明器具を安価に実現できる。
【0030】
ところで上述した如く構築されたLED照明システムにおける前記直流電源ライン50に、太陽光発電や風力発電によって得られた電力を供給して該LED照明システムを稼働することも有用である。この場合には、例えば
図3に示すように、ホテル等の建屋の屋上に設置した太陽光電池パネル71にて得られる太陽光発電エネルギー(直流)を太陽光発電制御部72の制御の下でバッテリー装置73に内蔵された大容量のバッテリー(蓄電器;図示せず)に蓄積(充電)する。
【0031】
また同様にホテル等の建屋の屋上に設置された風力発電機74にて得られた風力発電エネルギー(交流)を、風力発電制御部75の制御の下で直流電力エネルギーに変換して前記バッテリー装置73に内蔵された前記大容量のバッテリーに蓄積(充電)する。更には交流電源盤(上位の分電盤)76を介して得られる特定時間帯の商用交流電源(いわゆる深夜電力)を交流・直流変換器77を介して前記バッテリー装置73に内蔵された前記大容量のバッテリーに蓄積(充電)する。
【0032】
そして前記大容量のバッテリーに蓄積された電力エネルギー(直流)を、前記バッテリー装置73に組み込まれた充放電制御部78の制御の下で、前記商用電源ライン33とは独立した直流電源ライン79を介して前述した各給電エリア毎に給電する。この直流電源ライン79を介する直流電力の前記バッテリーからの給電は、前述した各給電エリアにそれぞれ敷設されている直流電源ライン50の受電部に設けられた前記交流・直流変換器40まで行われる。
【0033】
このようにして太陽光発電電力エネルギーや風力発電電力エネルギーを、更には特定時間帯における商用電力のエネルギーをバッテリーに蓄え、該バッテリーから直流電源ライン79を介して給電される直流電力を用いて前記直流電源ライン50に接続された直流駆動型のLEDランプ60や直流駆動型のLEDパネル照明器具を点灯駆動する場合には、前記交流・直流変換器40を、例えば
図4に示すように構成することが望ましい。
【0034】
即ち、
図4に示すように前記交流・直流変換器40を、交流入力端子ACinに加えられる交流電力を全波整流するダイオードブリッジ回路41と、このダイオードブリッジ回路41の出力(脈流)を平滑化する入力コンデンサ42と、この入力コンデンサ42にて平滑化された入力電圧VinをMOS-FET等のスイッチング素子を用いてスイッチングして所定電圧の直流電力を得る直流コンバータ43と、この直流コンバータ43の出力を平滑化して直流出力端子DCoutから出力する出力コンデンサ44とを主体として構成する。その上で、更に直流入力端子DCinに与えられる直流電力を逆流防止用のダイオード45を介して前記入力コンデンサ42に加えるように構成する。
【0035】
上記直流コンバータ43としては、例えばインダクタンスとコンデンサとからなる直列共振回路(図示せず)を備え、前記スイッチング素子をオン・オフ制御する高周波パルス信号をPWM変調して入力電圧Vinを前記直列共振回路に印加して昇降圧した所定電圧の直流電力を得る共振型の昇降圧チョッパ回路を用いるようにすれば良い。このような直流コンバータ(昇降圧チョッパ回路)43を主体として構成される交流・直流変換器40によれば、前述したように照明系の商用電源ライン10に介装して商用電源(交流)を所定電圧の直流電力に変換する場合のみならず、将来的に前述したバッテリーから直流電源ライン79を介して給電される直流電力の利用が可能となった時点においても、当該LED照明システムをそのまま有効に活用することが可能となる。
【0036】
しかし
図4に例示する構成の交流・直流変換器40においては、交流入力端子ACinから受電した交流電力を整流・平滑して得られる入力電圧Vinと、直流入力端子DCinに与えられる直流電力の入力電圧Vinとが大きく異なるので。前記直流コンバータ43としては幅広い入力電圧Vinに対応可能な入出力特性が要求される。従ってLED照明システムを構築する初期時には100Vの商用電力を直流に変換するだけの機能を備えた前記交流・直流変換器40を用い、その後、前記直流電源ライン79を介して給電される直流電力の利用が可能となった時点で、前記直流電源ライン79から給電される直流電力を昇降圧して所定の直流電圧を得る直流コンバータ(昇降圧チョッパ回路)を、前記交流・直流変換器40に代えて用いることが好ましい。
【0037】
このような直流コンバータ(昇降圧チョッパ回路)としては、前記直流電源ライン79を介して給電された直流電力の電圧が比較的安定しているので、前述したように幅広い入力電圧Vinに対応可能な入出力特性が不要であり、従って構成の簡素な安価なものを用いることができる。そしてこのような直流コンバータを用いれば、仮に前記バッテリーから前記直流電源ライン79を介して給電された直流電力の電圧がその伝送損失によって低下しても、該直流コンバータ(昇降圧チョッパ回路)により昇圧することができるので、その電圧降下を効果的に補償して前記直流電源ライン50に給電する直流電圧を略一定に保つことができる。従って前述した直流駆動型のLEDランプ60や直流駆動型のLEDパネル照明器具を安定に点灯駆動することができる。
【0038】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば照明系の商用電源ライン10に前記交流・直流変換器40を介装して該照明系の商用電源ライン10を直流電源ライン50として用いる給電エリアは、複数階の建屋における各階床毎に区間したエリアであっても良く、或いはホテルにおける個々の客室を単位として区画したエリア、更には廊下やホール等の使用目的を異にするエリア、或いは床面積に応じて予め区画したエリア等であっても良い。具体的には、例えばホテルにおける各階床の廊下を互いに独立した給電エリアとして設定し、これらの給電エリア(廊下)に設けられたフットライトやダウンライトを本LED照明システムにて点灯駆動するようにすれば良い。
【0039】
また前記スイッチ12として白熱電球の明るさを変化させる調光器付きのスイッチが用いられている場合には、例えば
図5に示すようなパルス点灯制御型の調光器付きスイッチに交換するようにすれば良い。この
図5に例示するパルス点灯制御型の調光器付きスイッチは、入力電圧Vinを抵抗分圧して設定される制御電圧Vthに応じてパルスの幅が可変設定されるPWM変調器15aの出力を用いてMOS-FET等の半導体スイッチ15bをオン・オフ駆動し、該半導体スイッチ15bがオンのときにだけ前記直流電圧をパルス的に出力するように構成される。
【0040】
このような調光器付きスイッチによれば、前記直流駆動型のLEDランプ60や直流駆動型のLEDパネル照明器具に加える直流電圧を間欠的にオン・オフすることで該LEDランプ60やLEDパネル照明器具をパルス点灯駆動することができる。そして抵抗器の操作により前記制御電圧Vthを変えてパルス幅(デューティ比)を変えることで単位時間当たりの点灯駆動時間を変化させ、これによって簡易に調光することが可能となる。
【0041】
このような調光器もまた、商用交流電力の電圧を変化させる従来一般的な調光器に比較して、24V程度の入力直流電圧Vinをスイッチングするだけで良いので、比較的耐圧の低い汎用の半導体スイッチ15bを用いて安価に実現することができ、従って本LED調光システムに導入するのに好適である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。