(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リフト装置を使用して駐車車両を格納するための下階駐車部分および上階駐車部分を有する駐車スペースを形成し、駐車スペースの前記下階駐車部分に複数台の下階用固定側駆動ユニットを配置し、前記下階用固定側駆動ユニットの外周部に立設したフレーム柱上に前記上階駐車部分の複数台の上階用固定側駆動ユニットを固定する駐車装置の据え付け方法において、
前記下階駐車部分に前記下階用固定側駆動ユニットを設置する設置工程と、前記リフト装置に配置した可動側トレー上に、クレーン装置を備えた作業台装置を搭載する工程と、前記作業台装置を搭載した状態の前記可動側トレーを前記下階駐車部分の前記下階用固定側駆動ユニット上に移動する移動工程と、他の可動側トレー上に前記上階駐車部分を構成する前記フレーム柱を搬入する工程と、前記フレーム柱を搭載した状態の前記他の可動側トレーを、前記作業台装置を搭載した状態の前記可動側トレーに隣接した前記下階駐車部分の他の前記下階用固定側駆動ユニット上に移動する移動工程と、前記クレーン装置を使用して前記フレーム柱を立設する立設工程と、前記作業台装置を搭載した状態の前記可動側トレーを前記リフト装置へ戻し前記上階用固定側駆動ユニットを搬入する搬入工程と、前記作業台装置および前記上階用固定側駆動ユニットを搭載した状態の前記可動側トレーを前記下階駐車部分へ移動する移動工程と、前記上階用固定側駆動ユニットを組み立てる組み立て工程と、からなることを特徴とする駐車装置の据え付け方法。
前記作業台装置を搭載した状態の前記可動側トレーと、前記フレーム柱を搭載した状態の前記他の可動側トレーとは、本設用の可動トレーを使用したことを特徴とする請求項1に記載の駐車装置の据え付け方法。
前記作業台装置として、前記可動側トレー上に搭載した固定枠部と、前記固定枠部を搭載した前記可動側トレーの長手方向に分散して配置して前記固定枠部に取り付けた二台のクレーン装置と、前記固定枠部の中央上部に前記上階用固定側駆動ユニットを持ち上げ可能に構成した持ち上げ装置を有することを特徴とする請求項1に記載の駐車装置の据え付け方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図3は、本発明の一実施の形態による駐車装置の概略構成を示している。
【0018】
駐車装置建屋1の出入り口2から乗り込んだ駐車車両3は、可動側トレー
11上に搭載された状態でリフト装置5により駐車スペースへと移動させられる。リフト装置5は、紙面の手前と奥側に対向して配置した一対の縦ガイドレール6,7と、この縦ガイドレール6,7を後方の壁面に固定する支持脚8と、縦ガイドレール6,7に沿って上下方向に移動可能な昇降部分9と、この昇降部分9を駆動するために使用される駆動装置ユニット10と、駐車車両3を搭載可能で、かつリフト装置5と駐車スペース間で移動可能に構成した可動側トレー11とを有している。
【0019】
可動側トレー11上に搭載した駐車車両3を格納する駐車スペースは、複数台の下階用固定側駆動ユニット27を固定した駐車スペースの下階駐車部分12と、複数台の上階用固定側駆動ユニット49を固定した駐車スペースの上階駐車部分13とを有している。下階駐車部分12に配置した下階用固定側駆動ユニット27の外周部には、下端を固定した複数本のフレーム柱14が樹立され、各フレーム柱14の上端部で上階用固定側駆動ユニット49を支持している。詳細な図示は省略しているが、下階駐車部分12および上階駐車部分13の床部に配置した下階用固定側駆動ユニット27および上階用固定側駆動ユニット49は、可動側トレー11と対向する部分に周知の方向転換式駆動機構が構成されており、制御盤からの指令に基づいて方向転換式駆動機構を駆動することによって可動側トレー11を任意の前後左右位置へと移動することができるように構成されている。
【0020】
駐車装置建屋1には、リフト装置5を構成するために縦方向にピットが掘られているため、リフト装置5の上部にはリフト開口部が存在している。組み立て後の使用状態では、このリフト開口部はターンテーブルなどの構成によって塞がれ、駐車装置建屋1の出入り口2から乗り込んだ駐車車両3はリフト装置5の昇降部分9によってのみ駐車スペースへと移動できる。一方、組み立て前においては、リフト開口部にターンテーブルなどの構成がまだ配置されておらず、リフト装置5の上部に存在するこのリフト開口部からのみ駐車装置を構成する各種部品の搬入が可能である。
【0021】
次に、本発明の一実施の形態による駐車装置の据え付け方法について説明する。
【0022】
先ず、据え付け方法のフローチャートを示す
図1のステップS1として、駐車装置を構成する各種部品をリフト装置5の上部に存在するリフト開口部から吊り降ろすための準備となる据え付け準備工程を実施する。
【0023】
リフト装置5の上部に存在するリフト開口部よりもさらに上方部に位置する駐車装置建屋1の天井部には、建屋横梁15,16などが存在している。そこで建屋横梁15,16間に、駐車装置建屋1の出入り口2から乗り込んだ駐車車両3の進入方向に伸びた作業用レール17をしっかりと支持固定し、この作業用レール17に沿って走行可能な電動チェーンブロック装置18を配置する。電動チェーンブロック装置18は、この実施例の配置および構成に限らず、他の構成のものであっても良し、協働する複数台を設置しても良い。
【0024】
次に、
図1に示したステップS2として、リフト装置5における前半の組み立て工程を実施する。
【0025】
リフト装置5としは種々の構成のものを採用することができるが、全体の組み立て状態でリフト開口部から搬入することはできないので、駐車装置建屋1の出入り口2やリフト開口部の大きさを考慮して複数のユニットに分割し、搬入した後に、ピット内で組み立てるようにしている。
【0026】
ここで例示しているリフト装置5は、
図4〜
図6に示すように回転軸19に一対のスプロケット20,21を有して構成されピット下部に設置することになる駆動装置ユニット10と、この駆動装置ユニット10の両側に対向配置することになる一対の縦ガイドレール6,7と、この縦ガイドレール6,7間をその高さ方向の中間部で機械的に結合することになる中間連結用横梁22と、可回転的に支持した一対のスプロケット23,24を有し縦ガイドレール6,7の上部間を機械的に結合することになる上部連結用横梁25などの主要な構成要素を有している。
【0027】
ここで作業者は最初に、ピット内に設置することになる駆動装置ユニット10を駐車装置建屋1の出入り口2から搬入しリフト開口部近傍に仮置きする。この駆動装置ユニット10は、中央部に電動機26を有し、電動機26によって回転駆動される回転軸19の両側にスプロケット21,22が結合されている。リフト開口部の上方部には、
図2に示すように作業用レール17が既に配置されており、作業者は、この作業用レール17に沿って移動可能に配置した電動チェーンブロック装置18を用いて、仮置き状態の駆動装置ユニット10に玉掛けする。その後、作業者は、
図4に示すように電動チェーンブロック装置18を操作しながら駆動装置ユニット10をピット下部に吊り降ろし、所定の床面位置に設置して、電動チェーンブロック装置18と切り離す。この作業は、一般的には、ピット下部に安全柵を設置するなどの安全対策を施した状態で行う。
【0028】
その後、同じ電動チェーンブロック装置18を用いてリフト装置5の他の構成部品を順次、下部ピット内に吊り降ろし、リフト装置5の前半組み立て工程を実施する。例えば、作業者は、駆動装置ユニット10の両側に位置することになる一対の縦ガイドレール6,7をそれぞれ吊り降し、位置決めをしながらその下端部をピット下部の所定位置の床面に固定する。その後、作業者は、
図5に示すように中間連結用横梁22を吊り降ろし、両縦ガイドレール6,7の高さ方向の中間部をこの中間連結用横梁22によって機械的に結合して安定した結合構成とする。同様にして、作業者は、可回転的に支持した一対のスプロケット23,24を有する上部連結用横梁25を吊り降ろし、
図6に示すように両縦ガイドレール6,7の上部間を上部連結用横梁25によって機械的に結合する。さらに、作業者は、両縦ガイドレール6,7の結合構成をより安定させるために、
図3に示した支持脚8によって背後の壁面に固定する。これらの作業に際して、ピット下部に作業用足場を構築し、この作業用足場を利用しながら作業を行う。
【0029】
次に、リフト装置における駆動系の組み立てを行う前に、
図1に示したステップS3として駐車スペースの下階駐車部分12の組み立て工程を行う。
【0030】
この駐車スペースの下階駐車部分12の組み立て工程は、ステップS2として示したリフト装置5の前半組み立て工程前に実施することも可能である。下階駐車部分12の床には、下階用固定側駆動部ユニット27が複数台設置され、駐車車両を搭載することになる可動側トレー11がその下階用固定側駆動部ユニット27の上方部に位置したとき、制御盤を通しての制御によって可動側トレー11を任意の方向に駆動することができる構成となる。
【0031】
図7に示すように下階用固定側駆動部ユニット27は、ほぼ四角形の枠体28に駆動用モータ29や、駆動モータ29によって駆動される送りローラ30などを組み込んで予め組み立てられた状態で搬送されて来る。作業者は、この下階用固定側駆動部ユニット27を、駐車装置建屋1の出入り口2から台車などを使用して一台ずつ搬入しリフト開口部近傍に仮置きする。
【0032】
その後、作業者は、
図4に示した電動チェーンブロック装置18を用いて仮置き状態の下階用固定側駆動部ユニット27に玉掛けし、次いで、
図7に示すように電動チェーンブロック装置18を操作しながら下階用固定側駆動部ユニット27を下部ピット内に吊り降ろし、ピット下部に既に配置している台車31に搭載してから、電動チェーンブロック装置18を切り離す。
【0033】
その後、作業者は、この台車31を利用して下階用固定側駆動部ユニット27を下階駐車部分12の所定の位置まで移動する。所定位置に達したとき、作業者は、その位置に三脚チェーンブロック装置を複数台設置し、各三脚チェーンブロック装置を用いて下階用固定側駆動部ユニット27を仮保持した状態にして、台車31を取り外す。続いて、作業者は、各三脚チェーンブロック装置を操作して下階用固定側駆動部ユニット27を予め床面に固定していた取り付けベースの受け部材上に降ろし、同部に固定する。この作業は、下階用固定側駆動部ユニット27の台数に応じて繰り返して行う。
【0034】
一部の作業者は、ステップS3を終了した後、
図1のステップS4として各下階用固定側駆動部ユニット27の各駆動モータ29のための電源との配線接続作業や、制御盤との配線接続作業を始める。このステップS4としての作業が完了した時点で、作業者は、制御盤、または制御盤に接続した作業用の簡易操作装置を使用して、各下階用固定側駆動部ユニット27の各駆動モータ29の駆動制御を行えるようにし、それらの上方部に位置した場合の可動側トレーを所定方向へ駆動できるようにする。
【0035】
ステップS4の作業に並行しながら、
図1に示したステップS5として、リフト装置5における駆動系の組み立て工程を実施する。
【0036】
上述したようにリフト装置5は、ステップS2の前半組み立て工程によって
図5に示した状態にまで既に組み立てられている。この状態から、作業者は、
図8に示すようにバランスウエイト32や、昇降部分9や、駆動チェーン33,34などの駆動力伝達系の構成部品を先の作業工程と同様に電動チェーンブロック装置18を用いてピット部に順次搬入しながら組み立てて行く。
【0037】
駆動系の具体的な構成によっても異なるが、作業者は、駆動装置ユニット10の回転軸19に結合した一対のスプロケット20,21に噛み合わせた一対の駆動チェーン33の一端部をバランスウエイト32に連結し、一対の駆動チェーン33の他端部を昇降部分9に連結する。これと同時に、作業者は、上部連結用横梁25に可回転的に支持した一対のスプロケット23,24に噛み合わせた一対の駆動チェーン34の一端部をバランスウエイト32に連結し、一対の駆動チェーン34の他端部を昇降部分9に連結する。
【0038】
その後、作業者は、フォーク部材35やレール部材36を順次、電動チェーンブロック装置18を用いて吊り降ろし、昇降部分9に結合して行く。最後に、作業者は、同様に電動チェーンブロック装置18を用いて
図9に示した本設用の可動側トレー37を吊り降ろし、レール部材36の上に本設用の可動側トレー37を配置する。
【0039】
一部の作業者は、ステップS3を終了した後、または遅くともステップS5を終了した後、ステップS6としてリフト装置5における各部の電源との配線接続作業や、制御盤との配線接続作業を始める。作業者は、このステップS6としての作業が完了した時点で、制御盤、または制御盤に接続した作業用の簡易操作装置を使用して、駆動装置ユニット10の電動機26を駆動制御してリフト装置5による昇降や、可動側トレー37を下階駐車部分12側へ駆動する制御を行えるようにする。
【0040】
次に、
図1に示したステップS7として、駐車スペースの上階駐車部分13の組み立て工程を行う。
【0041】
このステップS7に示した駐車スペースの上階駐車部分13の組み立て工程は、
図2に詳細を示したように、ステップS8〜S15に示す各工程を含んでおり、先ず、ステップS8として示す前段作業としての作業台装置の搬入および組み立て工程について説明する。
【0042】
図9および
図10に示すように作業台装置38は、これ以降の作業工程で使用するためのものであり、枠体で構成した固定枠部39と、この固定枠部39の四隅にそれぞれ構成されて上部に伸ばされたとき後述する上階用固定側駆動部ユニットを保持することができるように構成した複数の保持腕部40と、固定枠部39の両側、つまり
図10に示すように対向配置した両縦ガイドレール6,7側にそれぞれが位置するように取り付けられた二台の折り畳み式のクレーン装置41,42と、固定枠部39の上部に載置された状態で後述する上階用固定側駆動部ユニットを保持することができるように構成した押し上げ式リフト装置等の持ち上げ装置43とを有して構成されている。
【0043】
先ず、作業者は、折り畳んだ状態のクレーン装置41,42を取り付けた作業台装置38を駐車装置建屋の出入り口から搬入してリフト開口部近傍に仮置きする。その後、先の作業工程の場合と同様に作業者は、電動チェーンブロック装置18を用いて仮置き状態の作業台装置38に玉掛けする。次いで、作業者は、電動チェーンブロック装置18を操作しながら作業台装置38をピット内に吊り降ろし、
図9に示すように本設用の可動側トレー37上に搭載してから、電動チェーンブロック装置18を切り離す。その後、作業者は、同様に電動チェーンブロック装置18を用いて畳んだ状態の持ち上げ装置43を吊り下げ、
図9に示しているように作業台装置38の上部に持ち上げ装置43を載せてから、電動チェーンブロック装置18を切り離し、続いて、持ち上げ装置43を作業台装置38に固定する。
【0044】
このとき、作業台装置38の搬入および組み立て工程を行う作業者は、
図9に示すように本設用の可動側トレー37上で行うことができるので、仮設用の作業台を設置することなく簡単に行うことができるし、また本設用の可動側トレー37は四角形の板状であるため、床の感覚で安全に作業を行うことができる。
【0045】
尚、このときまでに、
図1のステップS4およびステップS6として示した可動側トレー37を駆動制御するために使用する制御盤の配置や、制御盤との電気的な配線接続作業や、作業用の簡易操作装置の接続作業が完了している。従って、作業者は、簡易操作装置を操作して可動側トレー37を駆動制御できる状態となっている。
【0046】
そこで、
図2のステップS9として、本設用の可動側トレー37を下階駐車部分12へ移動する移動工程を実施する。作業者は、制御盤等を操作しながら、
図9で説明したように組み立てた作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37を、既に設置している下階用固定側駆動部ユニット27を利用しながら駐車スペースの下階駐車部分12へと移動する。下階駐車部分12には、
図11に示すように先ず、作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37が配置される。
【0047】
次いで、
図2に示したステップS10として、他の可動側トレー44上にフレーム柱45を搬入する搬入工程を実施する。
【0048】
このフレーム柱45は、
図11〜
図13に示したように駐車スペースの下階駐車部分12に既に設置している下階用固定側駆動部ユニット27の四隅に直接または受け部材51を介して設置位置が決められる下部固定部46と、駐車スペースの上階駐車部分13に設置されることになる上階用固定側駆動部ユニットの四隅に直接または受け部材を介して所定の位置に保持することになる上部固定部47と、下部固定部46と上部固定部47間を結合する柱状部48とを有している。
【0049】
作業者は、本設用の可動側トレー37および作業台装置38を移動した後、リフト装置5のレール部材36上に、電動チェーンブロック装置18を用いて
図12に示した他の本設用の可動側トレー44を吊り降ろして配置する。続いて、作業者は、
図12に示したように他の可動側トレー44の上に、電動チェーンブロック装置18を用いて複数本のフレーム柱45を吊り降ろす。
【0050】
このフレーム柱45の吊り降ろしを行う作業者は、
図12に示すように安全のためにフレーム柱45の真下を避けた近傍や、安全な位置の本設用の可動側トレー44上で作業を行うことができるので、仮設用の作業台を設置することなく簡単に行うことができるし、また本設用の可動側トレー44は四角形の板状であるため、床の感覚で安全に作業を行うことができる。
【0051】
次に、
図2に示したステップS11として、他の可動側トレー44を下階駐車部分12へ移動する移動工程を実施する。
【0052】
作業者は、再び制御盤などを通して他の可動側トレー44の移動操作を行い、他の可動側トレー44を、
図11に示すように既に設置している下階用固定側駆動部ユニット27を利用しながら下階駐車部分12へと移動し、先に移動を完了している本設用の可動側トレー37に並置させる。
【0053】
このとき、可動側トレー44上に配置したフレーム柱45は、
図11に示すように作業台装置38のクレーン装置41およびクレーン装置42の腕部を延ばして使用したとき、それぞれのクレーン装置41,42がフレーム柱45を吊り上げることができるように、可動側トレー44上でその長手方向に分散して配置している。
【0054】
次に、作業者は、
図13に示すように可動側トレー37上に配置した作業台装置38を使用するために、そのクレーン装置41、42の腕部を折り畳んだ状態から延ばした状態にする。作業者は、図示の左側に位置するクレーン装置42を使用して、隣の可動側トレー44上に配置した一本のフレーム柱45を吊り上げ、図示の左側でその下部を付設床面上の所定の位置に移動させながら下部固定部46を固定する。クレーン装置42を操作する作業者は、図示の左側に位置するクレーン装置42を使用して、それが届く範囲内で他のフレーム柱45に対しても同様に据え付け作業を行う。
【0055】
その後、作業者は、図示の右側に位置するクレーン装置41を使用して、隣の可動側トレー44上に配置した一本のフレーム柱45を吊り上げ、図示の左側でその下部を付設床面上の所定の位置に移動させながら下部固定部46を固定する。クレーン装置41を操作する作業者は、図示の右側に位置するクレーン装置41を使用して、それが届く範囲内で他のフレーム柱45に対しても同様に据え付け作業を行う。
【0056】
駐車スペースの下階駐車部分12に配置される下階用固定側駆動部ユニット27の数に応じて、
図2に示したステップS10〜12の工程を繰り返しながら、フレーム柱45の供給を行うことができる。または、
図11に示した作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37の近傍に、可動側トレー44以外にも、複数本のフレーム柱45を搭載した状態の他の可動側トレーを予め配置しておき、作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37を移動させながら同様の作業を繰り返しても良い。いずれの場合も、
図11に示すように作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37に隣接して、複数本のフレーム柱45を搭載した状態の少なくとも一台の可動側トレーを配置する。
【0057】
続いて、
図2に示したステップS13として、作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37をリフト装置5へと戻し、上階用固定側駆動部ユニット49を搬入する搬入工程を実施する。
【0058】
作業者は、先ず、可動側トレー37上に搭載している作業台装置38のクレーン装置41,42の腕部を、延ばした状態から折り畳んだ状態に戻し、再び、制御盤などを通して
図14に示すように作業台装置38を搭載したまま可動側トレー37をリフト装置5へと移動する。
【0059】
次いで、作業者は、
図14に示すように作業台装置38の四隅の構成した複数の保持腕部40を上部へ延ばす。この状態で、作業者は、駐車スペースの上階駐車部分13に配置することになる上階用固定側駆動部ユニット49をこれまでと同様に、電動チェーンブロック装置18を用いながら上階用固定側駆動部ユニット49を下部ピット内に吊り降ろす。この上階用固定側駆動部ユニット49は、既に説明した下階用固定側駆動部ユニット27と同一構成である。このとき作業者は、作業台装置38の各保持腕部40上に上階用固定側駆動部ユニット49を搭載し保持させてから、電動チェーンブロック装置18を切り離す。上階用固定側駆動部ユニット49の保持をより安定させるために、作業者は持ち上げ装置43を作動して上部を上方へと移動させ、この持ち上げ装置43によっても上階用固定側駆動部ユニット49を支持した状態としても良い。いずれの場合も、上方部に持ち上げた上階用固定側駆動部ユニット49は、下階駐車部分へ移動した時、既に立設しているフレーム柱45の上部固定部47と衝突しない高さに保持する。
【0060】
次に、
図2に示したステップS14として、作業台装置38および上階用固定側駆動部ユニット49を搭載した状態の可動側トレー37を下階駐車部分12へと移動する移動工程を行う。
【0061】
このとき作業者は、制御盤などを通して操作し、作業台装置38および上階用固定側駆動部ユニット49を搭載した状態の可動側トレー37をリフト装置5上から、
図15に示すように既にフレーム柱45を固定した状態の下階用固定側駆動部ユニット27上へと移動させる。
【0062】
次に、
図2に示したステップS15として、持ち上げ装置43を使用して上階駐車部分13に上階用固定側駆動部ユニット49を組み立てる組み立て工程を実施する。
【0063】
このとき作業者は、
図15に示すように作業台装置38の各保持腕部40を下げて収納状態に戻し、上階用固定側駆動部ユニット49を持ち上げ装置43だけで支持した状態にする。その後、作業者は、持ち上げ装置43を操作して、ゆっくりと上階用固定側駆動部ユニット49を下げながらフレーム柱45の上部固定部47との対応位置に保持させ、この状態で両者を結合する。その後、作業者は、駐車スペースの上階駐車部分13に配置することになる上階用固定側駆動部ユニット49の数に応じて、
図14および
図15で説明した作業を繰り返す。
【0064】
このように作業台装置38としては、クレーン装置41,42と持ち上げ装置43を有した一体型として構成すると共に、可動側トレー37上に搭載して使用するようにしているため、可動側トレー37をリフト装置5と駐車スペースの下階駐車部分12間で移動させることによって、駐車スペースの上階駐車部分13を構成することができる。しかも、ステップS7で示した上階駐車部分13の組み立て工程中に、作業台装置38を解体することもなく、他の作業台と入れ替えることもないないので、作業は簡単で短時間に行うことができる。
【0065】
また、作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37の近傍に、予め複数本のフレーム柱45を搭載した状態の他の可動側トレー44を配置しておくため、作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37を、リフト装置5と、下階駐車部分12の下階用固定側駆動部ユニット27間で移動させる回数を少なくして作業を簡素化することが出来る。
【0066】
さらに作業台装置38としては、可動側トレー37の長手方向に分散して配置した二台のクレーン装置41,42を有した一体型として構成すると共に、可動側トレー37上に搭載して使用するようにしているため、作業台装置38を可動側トレー37上で複雑に動かすことなくステップS9としてのフレーム柱45の組み立て工程を行うことができる。しかも、作業台装置38を可動側トレー37上で複雑に動かすことがないので、作業台装置38を簡略化した構成とすることができる。
【0067】
次に、
図1に示すステップS16として、残りの可動側トレーの搬入および設置工程を行う。
【0068】
先に説明したように、作業台装置38やフレーム柱45の搬入作業のために、既に二枚の本設用の可動側トレー37,44を設置しているので、これを考慮して他の本設用可動側トレーを搬入する。リフト装置5のレール部材36の高さ位置は、駐車スペースの下階駐車部分12に対応する高さとなっており、作業者は、下階駐車部分12に配置している他の下階用固定側駆動部ユニット27に対応させることになる他の本設用可動側トレー50を電動チェーンブロック装置18によってリフト装置5のレール部材36上に吊り降ろす。その後、作業者は、制御盤を通して可動側トレー50を駆動し、対応する位置の下階用固定側駆動部ユニット27上に配置させる。
【0069】
下階駐車部分12の作業が完了したら、作業者は、制御盤を通してリフト装置5のレール部材36の高さを駐車スペースの上階駐車部分13に対応する高さにまで移動させ、上階駐車部分13に配置している他の上階用固定側駆動部ユニット49に対させることになる他の本設用可動側トレー50を電動チェーンブロック装置18によってリフト装置5のレール部材36上に吊り降ろす。その後、作業者は、制御盤を通して可動側トレー50を駆動し、対応する位置の上階用固定側駆動部ユニット49上に配置させる。
【0070】
最後に、
図1に示したステップ
S17として、可動側トレー37に搭載していた作業台装置38を回収する工程を実施する。
【0071】
作業者は、制御盤などを通してステップS7で使用していた作業台装置38を搭載していた可動側トレー37を下階駐車部分12からリフト装置5に搭載した状態へと移動させた後、リフト装置5を上方へ駆動し、電動チェーンブロック装置18を使用して作業台装置38を回収する。
【0072】
尚、作業台装置38やフレーム柱45の搬入作業のために使用する本設用の可動側トレー37,44は、必ずしも本設用ではなく類似形状の作業用可動側トレーでも良い。作業用可動側トレーを使用した場合は、先ず、作業用可動側トレーの搬出を行った後に、ステップS16で示した他の本設用可動側トレー50の搬入および設置工程を行う。
【0073】
また、上述した実施の形態では、下階駐車部分12に配置する可動側トレー37上に搭載して使用する固定枠部39と、固定枠部39を搭載した可動側トレー37の長手方向に分散して配置して固定枠部に取り付けた二台のクレーン装置41,42と、固定枠部39の中央上部に上階用固定側駆動ユニット49を持ち上げ可能な押し上げ式リフト装置などの持ち上げ装置43を搭載した作業台装置38を使用することを前提に説明した。このため、全体としての組み立て工程を簡素にすることができるが、少なくとも1台のクレーン装置を備えた作業台装置38を使用し、下階駐車部分12の下階用固定側駆動ユニット27上へと移動した作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37と、フレーム柱45を搭載した状態の他の可動側トレーを可動側トレー37に隣接して配置する工程を含むことによって、同様の効果を得ることができる。
【0074】
以上説明したように本発明による駐車装置の据え付け方法は、駐車スペースの下階駐車部分12に下階用固定側駆動ユニット27を設置する設置工程と、リフト装置5に可動側トレー37を配置し、可動側トレー37上に、クレーン装置を備えた作業台装置38を搭載する工程と、作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37を下階駐車部分12の下階用固定側駆動ユニット27上に移動する移動工程と、他の可動側トレー44上に上階駐車部分13を構成するフレーム柱45を搬入する工程と、フレーム柱45を搭載した状態の他の可動側トレーを可動側トレー37に隣接した下階駐車部分12の他の下階用固定側駆動ユニット27上に移動する移動工程と、クレーン装置を使用して既に配置している下階用固定側駆動ユニット27の周囲にフレーム柱45を立設する立設工程とを実施するようにしている。
【0075】
このため、下階駐車部分に、作業台装置のクレーン装置を搭載した状態の可動側トレーと、フレーム柱を搭載した状態の他の可動側トレーとを近接して配置することができ、作業台装置38のクレーン装置を利用して、上階駐車部分13を構成するためのフレーム柱45を吊り上げながら設置する作業を簡単に行うことができるようになり、他の方法でフレーム柱を搬送する場合に比べて、可動側トレー37の移動回数を減らして組み立て作業全体を簡素にすることができる。先ず、フレーム柱45を下階駐車部分12に移動し、このフレーム柱45を1枚の可動側トレーから降ろし、その後、1枚の可動側トレーをリフト装置5へ戻して、その上に作業台装置38を構成した場合に比べて、可動側トレーの移動回数を少なくして組み立て作業全体を簡素にすることができる。
【0076】
また本発明は、作業台装置38を搭載した状態の可動側トレー37と、フレーム柱45を搭載した他の可動側トレー44とは、本設用の可動側トレーとしたため、その後に本設用トレーを配置するとき、既に少なくとも2つの本設用トレー37,44が配置されているので、本設用トレーの配置工程を簡略化することができる。
【0077】
また本発明による駐車装置の据え付け方法は、作業台装置38として、下階駐車部分12に配置する可動側トレー37上に搭載して使用する固定枠部39と、固定枠部39を搭載した可動側トレー37の長手方向に分散して配置して固定枠部に取り付けた二台のクレーン装置41,42と、固定枠部39の中央上部に上階用固定側駆動ユニット49を持ち上げ可能な押し上げ式装置などの持ち上げ装置43を搭載して構成したものを使用している。
【0078】
このような作業台装置38を使用すると、下階駐車部分12に設置した下階用固定側駆動ユニット27とリフト装置5間で移動させながら、上階駐車部分13を構成するためのフレーム柱45を吊り上げながら設置する工程と、上階駐車部分13に設置する上階用固定側駆動部ユニット49を持ち上げながら移動し組み立てる工程とのために使用することができる。従って、クレーン装置41,42と持ち上げ装置43を従来のように入れ替える作業を行うことなく、作業台装置38をリフト装置5と下階駐車部分12間で往復移動させるだけで済み、据え付け作業を効率的に、かつ簡単に行うことができる。しかも、二台のクレーン装置41,42を可動側トレー37の長手方向に分散して配置しているため、作業台装置38の向きを変えることなくフレーム柱45を持ち上げて設置する作業を行うことが可能となり、また、この作業台装置38を搭載した可動側トレー37は、本設用の可動側トレーに求められる動きだけで対応することができるようになり、本設用の可動側トレー37の使用を可能とすると共に、向きを変える機構を使用しない分だけ構成を簡略化することができる。
【0079】
なお、上記一実施例では、地下に据え付ける駐車装置の例を示したが、地上または地下と地上の両方にわたって据え付けられる駐車装置にも適用出来るものである。また、フレーム柱を搭載した状態の前記他の可動側トレー44を1枚のみ用いた例を示したが複数用いることもできる。