【実施例】
【0036】
以下、実施例をあげて具体的に説明する。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表す。
インクジェット記録用インクの組成を表1にまとめる。インクジェット記録用インクは、合計が100部になるように、着色剤、顔料分散剤、有機溶剤、バインダ樹脂を調製した。予め、有機蛍光顔料と顔料分散剤を有機溶剤に溶解した顔料分散体と、有機カラー顔料と顔料分散剤を有機溶剤に分散した顔料分散体とを混合した顔料分散体に、バインダ樹脂、有機溶剤を添加し、60℃に過熱しながら攪拌機を用いて1200rpmの回転速度で4時間撹拌しバインダ樹脂を溶解させインクジェット記録用インクを得た。
【0037】
【表1】
【0038】
(実施例1)
有機溶剤はBGAcを78.6部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を10.0部、有機シアン顔料を0.3部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を1.7部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を2.6部使用したインクを作成した。
(実施例2)
有機溶剤はBGAcを78.2部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を8.0部、有機シアン顔料を1.0部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を1.0部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を5.0部使用したインクを作成した。
(実施例3)
有機溶剤はBGAcを77.0部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を12.0部、有機シアン顔料を0.2部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を3.0部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を1.0部使用したインクを作成した。
(実施例4)
有機溶剤はBGAcを82.0部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を8.0部、有機シアン顔料を0.2部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を2.0部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を1.0部使用したインクを作成した。
(実施例5)
有機溶剤はBGAcを76.2部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を12.0部、有機シアン顔料を1.0部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を3.0部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を1.0部使用したインクを作成した。
【0039】
(比較例1)
有機溶剤はBGAcを82.0部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を6.0部、有機シアン顔料を1.0部、顔料分散剤を0.9部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を2.5部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を3.8部使用したインクを作成した。
(比較例2)
有機溶剤はBGAcを73.3部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を15.0部、有機シアン顔料を0.2部、顔料分散剤を5.2部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を1.5部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を1.0部使用したインクを作成した。
(比較例3)
有機溶剤はBGAcを77.1部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を12.0部、有機シアン顔料を0.1部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を4.0部使用したインクを作成した。
(比較例4)
有機溶剤はBGAcを75.0部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を12.0部、有機シアン顔料を1.2部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂はアクリル樹脂(平均分子量50000)を5.0部使用したインクを作成した。
【0040】
(比較例5)
有機溶剤はBGAcを77.9部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を10.0部、有機シアン顔料を0.3部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を4.0部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を1.0部使用したインクを作成した。
(比較例6)
有機溶剤はBGAcを76.9部、GBLを3.8部、有機蛍光イエロー顔料を10.0部、有機シアン顔料を0.3部、顔料分散剤を3.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を0.5部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を5.5部使用したインクを作成した。
(比較例7)
有機溶剤はBGAcを84.9部、GBLを3.8部、有機シアン顔料を1.0部、有機イエロー顔料を4.0部、顔料分散剤を2.0部、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂(平均分子量25000)を1.7部、アクリル樹脂(平均分子量50000)を2.6部使用したインクを作成した。
【0041】
上述の実施例1から実施例5、比較例1から比較例7で得られたインクジェット記録用インクを視認性試験、CIE1976クロマティクネス指数試験、粒状感試験、ブロッキング性試験、薬品耐性試験、物理耐性試験、光沢性試験、インク保存安定性試験、連続吐出性能試験を行った。試験結果は下記の基準で評価した。評価結果は表2に示すとおりである。
【0042】
【表2】
【0043】
<視認性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、比較対照物として3Mスコッチカル蛍光色フィルムシリーズ(住友スリーエム社製)のグリーンを用い目視にて視認性を評価した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:比較対照物と同等以上の視認性を得ることができた。
×:比較対照物と同等の視認性を得ることができなかった。
【0044】
<CIE1976クロマティクネス指数試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、X−Rite938分光側色計(X−Rite社製)でCIE1976クロマティクネス指数(a*、b*)を測定し評価した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:CIE1976クロマティクネス指数が−90≦a*≦−55かつ45≦b*≦90の範囲内であった。
×:CIE1976クロマティクネス指数がa*≦−55または45≦b*の範囲内であった。
【0045】
<粒状感試験>
インクジェット記録用インクを、インクジェット記録装置IP−5620(セイコーアイ・インフォテック社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に印字して評価した。グリーンインクは印字濃度を10%きざみで印字して粒状感の有無を官能的に評価した。又、蛍光イエローインクとシアンインクをインクジェットで印字して混色させグリーンを表現する場合、印字濃度が100%になるように各インクを10%きざみで印字して粒状感の有無を官能的に評価した。印字環境は、室温23℃湿度50%環境下で評価した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:各階調にて粒状感は見られなかった。
△:印字濃度が10から40%の低階調で粒状間が見られた。
×:印字濃度が10から70%の低から中階調で粒状間が見られた。
【0046】
<ブロッキング性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を1平方センチメートルの正方形に裁断し、塗布面同士を重ねて、500gの加重をかけて1日放置した。放置後、重ねた塗布面を引き剥がし、塗布面の剥がれの有無を評価した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:塗布面の剥がれはみられなかった。
×:塗布面の剥がれがみられた。
【0047】
<薬品耐性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、以下の薬品をそれぞれ浸漬させた布で20回擦り塗布面を目視で評価した。耐性評価に使用した薬品は、50%エタノール水溶液、中性洗剤、アルカリ洗剤、酸素系漂白剤、塩素系漂白剤である。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:すべての薬品で塗布面の異常は確認されなかった。
△:いくつかの薬品で塗布面の異常が確認された。
×:すべての薬品で塗布面の異常が確認された。
【0048】
<物理耐性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、以下の試験方法で耐性を評価した。用いた試験方法は、塗布面を試験用布片(JIS染色堅ろう度試験用)で50往復擦る擦過試験、塗布面のクロスカット試験、塗布面を折り曲げる耐折曲げ試験、塗布面同士を50回擦る耐もみ試験である。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:塗布面がすべての方法で剥れなかった。
△:塗布面がいくつかの方法で剥れた。
×:塗布面がすべての方法で剥れた。
【0049】
<光沢性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、光沢度計micro−TRI−gloss(BYK−Gardner社製)を用いて測定角度60°の光沢を測定した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:光沢度は60以上であった。
△:光沢度は20以上60未満であった。
×:光沢度は20未満であった。
【0050】
<インク保存安定性試験>
インクジェット記録用インクを、60℃で4週間、及び、−15℃で4週間保存させ、保存前後の粘度を測定して変化率を算出した。インクジェット記録用インクの粘度は、東機産業社製の粘度計VISCOMETER TV−33にて測定した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:60℃、及び、−15℃保存前後における粘度変化率が、±5%未満であった。
△:60℃、及び、−15℃保存前後における粘度変化率の一方が、±5%未満であった。
×:60℃、及び、−15℃保存前後における粘度変化率が、±5%以上であった。
【0051】
<連続印字性試験>
インクジェット記録用インクを、インクジェット記録装置IP−5620(セイコーアイ・インフォテック社製)を用いてPVC基材(METAMARK社製MD5)に印字し連続印字性能を評価した。6.0メートルの評価画像を濃度通常の標準モードと、濃度通常及び高濃度の高画質モードで連続印字して、印字前後のノズル抜け(不吐出ノズルの有無)を測定した。測定環境は、室温15℃湿度30%、室温23℃湿度50%、室温30℃湿度70%の3環境下で評価した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:各環境下にて印字前後のノズル抜けは見られなかった。
△:一部の環境下にて印字前後でノズル抜けが見られた。
×:全ての環境下にて印字前後でノズル抜けが見られた。
【0052】
ここで、実施例と比較例を比較する。
比較例1は、インク中のバインダ樹脂総量が6重量%を超えているため、インクの保存安定性、連続印字安定性が不良であることがわかる。更に、インク中の顔料分散剤濃度が1重量%未満であるため、インクの保存安定性が不良であることがわかる。更に、インク中の有機蛍光イエロー顔料濃度が8重量%未満であるため、視認性の不良、且つCIE1976クロマティクネス指数が範囲外であることがわかる。
【0053】
比較例2は、インク中のバインダ総量が3重量%未満であるため、ブロッキング性、薬品耐性、物理耐性、連続印字性試が不良であることがわかる。更に、有機蛍光イエロー顔料濃度が12重量%を超えているため、CIE1976クロマティクネス指数が範囲外であることがわかる。更に、インク中の顔料分散剤濃度が5.2重量%を超えているため、印字物のブロッキング性、薬品耐性が不良であることがわかる。
【0054】
比較例3は、インク中のバインダ樹脂にメタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂を併用していないため、ブロッキング性が不良であることがわかる。更に、インク中の有機シアン顔料濃度が0.2重量%未満のため、CIE1976クロマティクネス指数が範囲外であることがわかる。
【0055】
比較例4は、インク中のバインダ樹脂に塩酢ビ樹脂を併用していないため、薬品耐性、物理耐性、連続印字性が不良であることがわかる。更に、インク中の有機シアン顔料濃度が1重量%を超えているため、CIE1976クロマティクネス指数が範囲外であることがわかる。
【0056】
比較例5は、インク中のバインダ樹脂である塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が3.0を超えているためブロッキング性が不良であることがわかる。
比較例6は、インク中のバインダ樹脂である塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が0.1未満であるため薬品耐性、物理耐性が不良であることがわかる。
【0057】
比較例7は、インク中に有機蛍光イエロー顔料を使用せず、有機イエロー顔料と有機シアン顔料でグリーンを表現しているため、視認性が不良であることがわかる。更に、インク中に有機蛍光イエロー顔料を使用していないため、CIE1976クロマティクネス指数が範囲外であることがわかる。
【0058】
実施例1は、インク中の有機蛍光イエロー顔料の含有量が10.0重量%、且つ有機シアン顔料の含有量が0.3重量%で、バインダ樹脂に塩酢ビ樹脂とメタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂を併用し、塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が0.65、バインダ樹脂総量が4.3重量%であるため、視認性、CIE1976クロマティクネス指数の範囲、粒状感、ブロッキング性、薬品耐性、物理耐性、光沢性、インクの保存安定性、連続印字性の全ての試験で良好な結果となることが分かる。
【0059】
実施例2は、インク中の有機蛍光イエロー顔料の含有量が8.0重量%、且つ有機シアン顔料の含有量が1.0重量%で、バインダ樹脂に塩酢ビ樹脂とメタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂を併用し、塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が0.2、バインダ樹脂総量が6.0重量%であるため、視認性、CIE1976クロマティクネス指数の範囲、粒状感、ブロッキング性、薬品耐性、物理耐性、光沢性、インクの保存安定性、連続印字性の全ての試験で良好な結果となることが分かる。
【0060】
実施例3は、インク中に有機蛍光イエロー顔料の含有量が12.0重量%、且つ有機シアン顔料の含有量が0.2重量%で、バインダ樹脂に塩酢ビ樹脂とメタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂を併用し、塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が3.0、バインダ樹脂総量が4.0重量%であるため、視認性、CIE1976クロマティクネス指数の範囲、粒状感、ブロッキング性、薬品耐性、物理耐性、光沢性、インクの保存安定性、連続印字性の全ての試験で良好な結果となることが分かる。
【0061】
実施例4は、有機蛍光イエロー顔料の含有量が8.0重量%、且つ有機シアン顔料の含有量が0.2重量%で、バインダ樹脂に塩酢ビ樹脂とメタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂を併用し、塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が2.0、バインダ樹脂総量が3.0重量%であるため、視認性、CIE1976クロマティクネス指数の範囲、粒状感、ブロッキング性、薬品耐性、物理耐性、光沢性、インクの保存安定性、連続印字性の全ての試験で良好な結果となることが分かる。
【0062】
実施例5は、有機蛍光イエロー顔料の含有量が12.0重量%、且つ有機シアン顔料の含有量が1.0重量%で、バインダ樹脂に塩酢ビ樹脂とメタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂を併用し、塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が3.0、バインダ樹脂総量が4.0重量%であるため、視認性、CIE1976クロマティクネス指数の範囲、粒状感、ブロッキング性、薬品耐性、物理耐性、光沢性、インクの保存安定性、連続印字性の全ての試験で良好な結果となることが分かる。
【0063】
更に、実施例1から実施例5は、CIE1976クロマティクネス指数が−90≦a*≦−55、45≦b*≦90の範囲内であるため、印字物の濃度、広い色域であることが分かる。
以上のことから、有機蛍光イエロー顔料の含有量は8以上12重量%以下が好ましいことがわかる。
更に有機シアン顔料の含有量は0.2以上1.0重量%以下が好ましいことがわかる。
【0064】
更に、バインダ樹脂に塩酢ビ樹脂のみを用いた場合、インク中の有機蛍光顔料濃度が高いため、記録基材との十分な密着性を確保するために、必要なバインダ樹脂を添加すると、インクジェット記録用インクの粘度が高くなり、記録ヘッドからの安定的な吐出性能を得ることが困難となることがわかる。更に、記録ヘッドから吐出可能な粘度に調整した場合、インク中に十分なバインダ樹脂量を添加できず、記録基材との密着性が不十分となることがわかる。
【0065】
更に、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂のみを用いた場合、記録基材との密着性、及び薬品耐性を十分に得ることができないばかりか、インク中の固形分濃度が高くなり記録ヘッドからの安定的な吐出性能を得ることが困難となることがわかる。
更に、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂と、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂とを併用する必要があることがわかる。
【0066】
表2に示す結果を比較することで、有機蛍光イエロー顔料の含有量は8以上12重量%以下、更に有機シアン顔料の含有量は0.2以上1.0重量%以下であり、有機蛍光顔料をインクジェット記録用インク中に溶解させ、バインダ樹脂は塩酢ビ樹脂と、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルを構成モノマーとしたアクリル樹脂とを併用し、塩酢ビ樹脂とアクリル樹脂の比率が0.1以上3.0以下であり、バインダ樹脂の総量が3以上6重量%とすることで、インクジェット記録用インクの安全性、保存安定性、記録ヘッドからの安定的な吐出性能、印字物の乾燥性を有し、さらに高い濃度で、且つ粒状感を無くすことができ、色域が拡大するインクジェット記録用インク、及び、インクカートリッジを提供できることがわかる。
【0067】
ここで、インクジェット記録装置による記録方法について説明する。記録基材の上空を主走査方向に往復走査するキャリッジに記録ヘッドが搭載され、複数走査で記録するシャトル方式のインクジェット記録装置を用いる。例えば4回の走査で記録させる場合、記録基材を副走査方向に記録ヘッドの4分の1の幅毎に搬送させ、各搬送後にインクを吐出することで、記録基材の同位置にノズルを変えて4回の吐出ができる。
【0068】
まず、キャリッジを主走査方向に走査させながら記録基材上にインクを吐出する。次に副走査方向に記録ヘッドの4分の1の幅だけ記録基材を移動させ、キャリッジを主走査方向に走査させながら記録基材上にインクを吐出させ、続けて2回行い、合計4回の走査で最大4回同じ位置にインクを吐出することができる。すなわち、高濃度で記録を行うことができ、視認性に優れ、また有機蛍光イエロー顔料が厚く定着するので耐光性も高まる。