(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第1開口部及び前記複数の第2開口部の各々は、2つの方向へそれぞれ延びた2つの部位を結合したV字状又は逆V字状の平面視形状を有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
前記複数の第1開口部及び前記複数の第2開口部の各々は、3つの方向へそれぞれ延びた3つの部位を結合したY字状又は逆Y字状の平面視形状を有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
前記複数の第1開口部及び前記複数の第2開口部の各々は、4つの方向へそれぞれ延びた4つの部位を結合したX字状の平面視形状を有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の視角特性を改善する技術の1つとして、液晶層を挟んで対向配置される上下電極のそれぞれに複数の開口部(スリット)を設けることにより、液晶層への電圧印加時に液晶層の液晶分子の配向ドメインが1つの画素内において複数の方向に分割されるようにしたマルチドメイン配向技術が知られている。例えば、特許第4107978号公報(特許文献1)には、上電極の各開口部と下電極の各開口部を平面視において各々の短辺方向で交互に配置することにより、電圧印加時の液晶層に互いの液晶分子の配向方向が180°異なる2つの配向ドメインが得られるようにした液晶表示装置(液晶表示素子)が開示されている。また、特許第4846402号公報(特許文献2)には、上電極の開口部と下電極の開口部のそれぞれについて異なる2方向へ各開口部の長手方向を設定して配置することにより、電圧印加時の液晶層に互いの液晶分子の配向方向が90°異なる4つの配向ドメインが得られるようにした液晶表示装置(液晶表示素子)が開示されている。
【0003】
さらに、特許第4884176号公報(特許文献3)には、上電極の開口部と下電極の開口部のそれぞれについて異なる2方向へ各開口部の長手方向を設定して配置する場合において、平面視において上電極の開口部と下電極の開口部とが互いに半ピッチずれて交互に配置されるようにすることにより、電圧印加時の液晶層に互いの液晶分子の配向方向が90°異なる4つの配向ドメインが得られるようにした液晶表示装置(液晶表示素子)が開示されている。このような構成によれば、特許文献2の液晶表示装置に比較して、隣接する開口部同士の相互間距離をより大きくすることができるため、電極の電気抵抗が高くなることや電極の断線が発生する確率を大幅に低下することが可能になる。
【0004】
ところで、一般に液晶表示装置を製造する際において、上下基板の重ね合わせ時の位置合わせ精度は比較的に低い。したがって、上記のように上下基板の各電極にそれぞれ設けられた開口部の相互の位置を精度よく合わせながら上下基板を重ね合わせることは難しい。そして、各電極に開口部を有する上下基板の位置関係にズレが生じた場合には、電圧印加時における配向均一性が著しく低下する場合があり、透過率の低下や外観上の表示ムラによる表示品位の低下を招く懸念がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、参考例1の液晶表示装置における複数の開口部の平面視形状を示す図である。
【
図2】
図2(A)はシミュレーション解析に用いた上基板の電極構造を示す図であり、
図2(B)はシミュレーション解析に用いた下基板の電極構造を示す図である。
【
図3】
図3(A)は配向組織の計算結果を示す図である。
図3(B)は下電極が右方向へずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。
図3(C)は下電極が左方向へずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。
【
図4】
図4は、参考例2の液晶表示装置における複数の開口部の平面視形状を示す図である。
【
図5】
図5(A)はシミュレーション解析に用いた上基板の電極構造を示す図であり、
図5(B)はシミュレーション解析に用いた下基板の電極構造を示す図である。
【
図6】
図6(A)は配向組織の計算結果を示す図である。
図6(B)は下電極が右方向へ10μmずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。
図6(C)は下電極が右方向へ20μmずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の液晶表示装置の基本構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1開口部および第2開口部の詳細構造を示す平面図である。
【
図9】
図9(A)はシミュレーション解析に用いた第1電極の構造を示す図であり、
図9(B)はシミュレーション解析に用いた第2電極の構造を示す図である。
【
図11】
図11(A)は、第2実施形態の液晶表示装置における第1開口部および第2開口部の詳細構造を示す平面図である。
図11(B)は、第3実施形態の液晶表示装置における第1開口部および第2開口部の詳細構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(参考例1)
上下基板の位置ズレによる影響を検討するための参考例として、上記した特許文献3に示されるような、上下基板の各電極にそれぞれ複数の開口部が設けられた液晶表示装置の電圧印加時の配向組織をシミュレーション解析した。
【0013】
図1は、参考例1の液晶表示装置における複数の開口部の平面視形状を示す図である。
図1に示すように、上基板の上電極には一方向に延びた形状の複数の第1開口部101が市松状に配置されており、下基板の下電極には一方向に延びた形状の複数の第2開口部102が市松状に配置されている。各第1開口部101は、各々の長手方向が異なる2方向のいずれかに沿って配置されており、左右方向に隣り合う第1開口部101同士の長手方向は同じ方向に揃っており、上下方向に隣り合う第1開口部101同士の長手方向は互い違いの方向になっている。上基板と下基板の各外側にはそれぞれ偏光板が配置される。そして、一方の偏光板はその吸収軸が左右方向に設定され、他方の偏光板はその吸収軸が上下方向に設定される。上記した2つの方向のそれぞれは、一方の偏光板の吸収軸に対して、時計回りまたは反時計回りに略45°回転している。平面視において、上基板の1つの第1開口部101に着目すると、その一端側は左右方向において隣り合う2つの第2開口部102のそれぞれの一端側と部分的に重なっている。詳細には、第1開口部101の短辺は、隣り合う第2開口部102の長辺と接している。ここで、図示のように各第1開口部101、各第2開口部102の長辺長さをL、短辺長さ(開口部幅)をS、短辺方向において隣り合う第1開口部101と第2開口部102の長辺間距離をPと定義する。
【0014】
なお、シミュレーション解析の条件は以下のとおりである(後述する参考例2および各実施形態においても同様)。本解析はシンテック製液晶表示機3次元解析シミュレーターLCD MASTER 3D バージョン7により行った。計算領域は80×80μm、面内分割数は20×20メッシュ、セル厚は4μmに設定し、厚さ方向の分割数は20とした。上電極と下電極の各構造は上下左右方向とも周期的な構造と定義した。液晶層は電圧無印加時においてプレティルト角90°の完全垂直配向とし、液晶材料には屈折率異方性Δnが略0.09、誘電率異方性が負の液晶材料を想定した。上基板の電極に4V、下基板の電極に0Vを印加し、液晶層の配向状態が定常状態になったときの配向組織像を計算した。なお、表側偏光板は吸収軸を左右方向に設定し、裏側偏光板は吸収軸を上下方向に設定した。
【0015】
図2(A)はシミュレーション解析に用いた上基板の電極構造を示す図であり、
図2(B)はシミュレーション解析に用いた下基板の電極構造を示す図である。各第1開口部および各第2開口部の長辺長さLは略56μmまたは略48μm、開口部幅Sは略14μm、短辺方向において隣り合う第1開口部と第2開口部の長辺間距離Pは略21μmである。
図3(A)は配向組織の計算結果を示す図である。第1開口部と第2開口部とが重なる屈曲部分において暗領域が発生するがこれは液晶分子の配向方向がこの屈曲部分を境界に90°回転しているためである。さらに屈曲部分の凸部側では略円状と線状が重なった特異なパターンの暗領域が観察されている。それ以外の領域においては概ね、第1開口部、第2開口部のそれぞれの長辺エッジに直交する方位に液晶分子が配向しており均一な配向状態が得られている。このため、外観上、均一な表示状態が得られると考えられる。
【0016】
次に、上下基板の貼り合わせ時の位置精度が十分でない場合の一例として、下基板の下電極が右方向または左方向へ略10μmずれて重ね合わせられた場合について上記と同様に配向組織のシミュレーション解析を行った。
図3(B)は下電極が右方向へずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。配向組織の画像中央付近に配置される第1開口部と第2開口部は重なりがない構造となり、画像上側付近に配置される第1開口部と第2開口部は、いずれか一方の一端が他方の長辺よりも外側に飛び出した構造となる。配向組織の画像中央においては上記した
図2(A)の場合と同様なパターンの暗領域が形成されているが、配向組織の画像上側においては複雑なパターンの暗領域が形成されている。
図3(C)は下電極が左方向へずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。配向組織の画像中央付近に配置される第1開口部と第2開口部は、いずれか一方の一端が他方の長辺よりも外側に飛び出した構造となり、配向組織の画像上側付近に配置される第1開口部と第2開口部は重なりがない構造となる。配向組織の画像中央においては上記した
図2(A)の場合に比べて非常に複雑なパターンの暗領域が形成されており、配向組織の画像上側付近では上記した
図2(A)の場合と同様なパターンの暗領域が形成されている。このように、左右方向への略10μmの基板の位置ずれによっても配向組織の変化が著しく大きく、暗領域の面積が増加し、外観上の配向不均一性を誘発する可能性があると考えられる。
【0017】
(参考例2)
上下基板の位置ズレによる影響を検討するための参考例として、上記した特許文献2に示されるような、上下基板の各電極にそれぞれ複数の開口部が設けられた液晶表示装置の電圧印加時の配向組織をシミュレーション解析した。
【0018】
図4は、参考例2の液晶表示装置における複数の開口部の平面視形状を示す図である。
図4に示すように、上基板の上電極には周期的に屈曲して一方向に延在する第1開口部101が複数配置されており、下基板の下電極には第1開口部101と同様に周期的に屈曲して一方向に延在する複数の第2開口部102が配置されている。各第1開口部101および各第2開口部102の屈曲する方向は、それぞれの延在方向である左右方向を基準として時計回り、反時計回りに略45°である。また、各第1開口部101と各第2開口部102は、互いに重ならない状態で上下方向において交互に配置されている。上基板と下基板の各外側にはそれぞれ偏光板が配置される。そして、一方の偏光板はその吸収軸が左右方向に設定され、他方の偏光板はその吸収軸が上下方向に設定される。上記した第1方向、第2方向のそれぞれは、一方の偏光板の吸収軸に対して、時計回りまたは反時計回りに略45°回転している。ここで、図示のように各第1開口部101、各第2開口部102の近接する屈曲部分の相互間長さをL、開口部幅をS、短辺方向において隣り合う第1開口部101と第2開口部102の長辺間距離をPと定義する。
【0019】
図5(A)はシミュレーション解析に用いた上基板の電極構造を示す図であり、
図5(B)はシミュレーション解析に用いた下基板の電極構造を示す図である。各第1開口部および各第2開口部の屈曲部分の相互間長さLは約56μm、開口部幅Sは略14μm、短辺方向において隣り合う第1開口部と第2開口部の長辺間距離Pは約21μmである。
図6(A)は配向組織の計算結果を示す図である。第1開口部と第2開口部のそれぞれの屈曲部分の間においては液晶分子の配向方向が90°回転することによる暗領域が発生するがそれ以外は良好な配向均一性が得られている。液晶分子はそのほとんどが各第1開口部または各第2開口部の長辺エッジに対して直交する方向に配向しており、実効開口率が高く、外観上の表示均一性に優れると考えられる。
【0020】
次に、上下基板の貼り合わせ時の位置精度が十分でない場合の一例として、下基板の下電極が右方向へ略10μmまたは略20μmずれて重ね合わせられた場合について上記と同様に配向組織のシミュレーション解析を行った。
図6(B)は下電極が右方向へ10μmずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。
図6(C)は下電極が右方向へ20μmずれた場合の配向組織の計算結果を示す図である。
図6(B)および
図6(C)に示すように、下電極がずれたとしても第1開口部と第2開口部のそれぞれの屈曲点同士を結ぶ暗領域は保持されており、その周辺の配向が乱れることによる暗領域の発生は観察されない。外観上も配向乱れが観察されにくいことが考えられる。したがって、
図4に示した構造の開口部を用いた液晶表示装置は、上下基板の左右方向における位置ずれに対してマージンが比較的に大きいと考えられる。しかし、各開口部は屈曲しながら左右方向へ長く連なっていることから、電極の断線を生じやすい。また、4つの配向方向に対応する各ドメインの面積は上下基板の位置ずれの影響を受けやすく、視角特性への影響が懸念される。したがって、電極の断線を生じないように分断部分を屈曲部や直線部分に設けることが考えられるが、この分断部分の配置によっては配向均一性が乱れて暗領域が増加したり、表示均一性が損なわれたりする可能性がある。また、電極の電気抵抗の上昇を抑制する工夫も必要である。
【0021】
このような上下基板の位置ズレに起因する透過率の低下や表示品位の低下を防ぐことが可能な液晶表示装置の実施形態について以下で詳細に説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図7は、第1実施形態の液晶表示装置の基本構造を示す断面図である。この液晶表示装置は、対向配置された第1基板11および第2基板12と、第1基板11に設けられた第1電極13と、第2基板12に設けられた第2電極14と、第1基板11と第2基板12の間に配置された液晶層17、を基本構成として備える。例えば、本実施形態の液晶表示装置は、電極同士の重なり合う領域が表示したい文字や図案を形作るように構成され、基本的に予め定めた文字等のみを表示可能であり、概ね、有効表示領域内における面積比で50%以下程度の領域が文字等の表示に寄与するものであるセグメント表示型の液晶表示装置である。なお、液晶表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配列されたドットマトリクス表示型であってもよいし、セグメント表示型とドットマトリクス型が混合したものであってもよい。
【0023】
第1基板11および第2基板12は、それぞれ例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。図示のように、第1基板11と第2基板12は、所定の間隙(例えば4μm程度)を設けて貼り合わされている。
【0024】
第1電極13は、第1基板11の一面側に設けられている。同様に、第2電極14は、第2基板12の一面側に設けられている。第1電極13および第2電極14は、それぞれ例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。第1電極13には複数の第1開口部18が設けられており、第2電極14には複数の第2開口部19が設けられている。各第1開口部18および各第2開口部19の詳細構造については後述する。
【0025】
第1配向膜15は、第1基板11の一面側に第1電極13を覆うようにして設けられている。第2配向膜16は、第2基板12の一面側に第2電極14を覆うようにして設けられている。これらの第1配向膜15、第2配向膜16としては、液晶層17の配向状態を垂直配向に規制する垂直配向膜が用いられている。各配向膜にはラビング処理等の一軸配向処理は施されていない。
【0026】
液晶層17は、第1基板11と第2基板12の間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負の液晶材料を用いて液晶層17が構成される。液晶材料の屈折率異方性Δnは、例えば0.09程度である。液晶層17に図示された太線は、液晶層17における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。本実施形態の液晶層17は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向が第1基板11および第2基板12の各基板面に対して垂直となる垂直配向に設定されている。
【0027】
第1偏光板21は、第1基板11の外側に配置されている。同様に、第2偏光板22は、第2基板12の外側に配置されている。第1偏光板21と第2偏光板22は、各々の吸収軸が互いに略直交するように配置されている。また、各偏光板と各基板との間には適宜Cプレート等の光学補償板が配置されてもよい。例えば本実施形態では、第1基板11と第1偏光板21の間、第2基板12と第2偏光板22の間のそれぞれに光学補償板23、24が配置されている。
【0028】
図8は、第1開口部および第2開口部の詳細構造を示す平面図である。各第1開口部18は、平面視において、互いに異なる2つの方向へ延びた2つの部位をそれぞれの端部で結合してなる逆V字状の形状を有する。図示の各第1開口部18は、2つの部位の長手方向が略90°の角度で結合している。そして、各第1開口部18は、各部位の延びた方向とは異なる方向である図中の上下方向およびこれに直交する左右方向のそれぞれに対して市松状に周期的に配列されている。同様に、各第2開口部19は、平面視において、互いに異なる2つの方向へ延びた2つの部位をそれぞれの端部で結合してなる逆V字状の形状を有する。図示の各第2開口部19は、2つの部位の長手方向が略90°の角度で結合している。そして、各第2開口部19は、各部位の延びた方向とは異なる方向である図中の上下方向および左右方向のそれぞれに対して市松状に周期的に配列されている。
【0029】
各第1開口部18と各第2開口部19は、上下方向と左右方向のそれぞれについて互いに略1/2ピッチずれて配置されている。このため、上下方向および左右方向のいずれについても、第1開口部18と第2開口部19とが1つずつ交互に配置されている。なお、平面視で左右方向において隣り合う第1開口部18と第2開口部19は、一端(一方の短辺)において互いに多少重なっていてもよいが、第1基板11と第2基板12の位置合わせマージンをより拡大するためには、
図8に示すように両者が重ならないようにすること
、すなわち両者の近接する部位間に隙間を設けて配置されることが好ましい。
【0030】
次に、上記
図8に示した電極構造を有する液晶表示装置の配向組織のシミュレーション解析結果について説明する。
図9(A)はシミュレーション解析に用いた第1電極の構造を示す図であり、
図9(B)はシミュレーション解析に用いた第2電極の構造を示す図である。第1開口部および第2開口部の各々の屈曲部分の頂点から一方の短辺端部までの距離Lを略54μm、開口部幅Sを略14μm、隣り合う第1開口部と第2開口部の各々の長辺エッジ間距離Pを略21μmと設定した。なお、屈曲部分の角度は略90°である。
図10は、配向組織の計算結果を示す図である。図示のように、各第1開口部および第2開口部の各々の屈曲部分の相互間には暗領域が形成されているがいずれも均一である。また、隣接する第1開口部と第2開口部の相互間の下側にはループ状の暗領域が観察されるがこれは隣接する第1開口部と第2開口部が離れて配置されているためである。
【0031】
このように本実施形態の液晶表示装置では、第1基板と第2基板に位置ずれが生じても、上記した参考例1,2の場合に比べて暗領域の面積が減少し、外観観察における配向均一性は改善されると考えられ、かつ各電極の抵抗上昇を抑制できると考えられる。また、4つの配向方向に対応するドメインの面積不均一への影響が抑制され、外観観察時における表示品位の低下を抑制できると考えられる。
【0032】
なお、上記した第1開口部および第2開口部の各々は平面視において逆V字状に形成されていたが、基板面内で180°回転したV字状としてもよいし、基板面内で90°回転または270°回転した形状(横V字状)としてもよい。さらに、各偏光板とともに45°回転したV字状、135°回転したV字状としてもよい。また、第1開口部および第2開口部の各々の屈曲部分の角度は90°±10°程度に設定することが好ましい。さらに、液晶表示装置の有効表示領域を複数に分割し、それぞれにおいて屈曲部分の角度が異なっていてもよい。また、上記した例では第1開口部および第2開口部の各々の長辺部分は直線状であったが、曲線状としてもよいし、多数の線分が屈曲して結合した集合線状としてもよい。さらに、屈曲部分は鋭角や鈍角ではなく曲線状の角でもよい。
【0033】
(第2実施形態)
図11(A)は、第2実施形態の液晶表示装置における第1開口部および第2開口部の詳細構造を示す平面図である。なお、液晶表示装置の全体構成は第1実施形態と同様である(
図7参照)。各第1開口部18は、平面視において、互いに異なる3つの方向へ延びた3つの部位をそれぞれの端部で結合してなる逆Y字状の形状を有する。そして、各第1開口部18は、各部位のうちの2つの延びた方向とは異なる方向である図中の上下方向およびこれに直交する左右方向のそれぞれに対して市松状に周期的に配列されている。同様に、各第2開口部19は、平面視において、互いに異なる3つの方向へ延びた3つの部位をそれぞれの端部で結合してなる逆Y字状の形状を有する。そして、各第2開口部19は、各部位のうちの2つの延びた方向とは異なる方向である図中の上下方向および左右方向のそれぞれに対して市松状に周期的に配列されている。図示の例では、各第1開口部18および第2開口部19は、3つの部位が互いに略120°の角度をもって結合しており、かつ3つの部位の長手方向長さがほぼ等しい。
【0034】
各第1開口部18と各第2開口部19は、上下方向と左右方向のそれぞれについて互いに略1/2ピッチずれて配置されている。このため、上下方向および左右方向のいずれについても、第1開口部18と第2開口部19とが1つずつ交互に配置されている。なお、平面視で左右方向において隣り合う第1開口部18と第2開口部19は、一端(一方の短辺)において互いに多少重なっていてもよいが、第1基板11と第2基板12の位置合わせマージンをより拡大するためには、
図11(A)に示すように両者が重ならないようにすること
、すなわち両者の近接する一端間に隙間を設けて配置されることが好ましい。
【0035】
このような第1開口部18および第2開口部19を用いることで、左斜め方向および右斜め方向へそれぞれ延在する2つの部位(枝部)によって2つの配向方向へ分かれた配向ドメインが形成される際に、これらのドメイン境界の位置を上下方向に延在する部位によって制御することができる。したがって、外観観察状の配向均一性を改善する効果が期待できる。
【0036】
なお、各第1開口部18および各第2開口部19において、上下方向に延在する部位は、配向方向が90°異なる配向ドメインの間に配置されることか好ましいが、その長さは右斜め方向および左斜め方向のそれぞれに延在する部位よりも長手方向長さが短く設定されてもよい。また、上下方向において隣り合う第1開口部18と第2開口部19の一部が互いに重なってもよいし、図示のように重ならなくてもよい。また、各第1開口部18および各第2開口部19における3つの部位が互いになす角度は図示した例のように等しいことがより好ましいが、等しくなくてもよい。例えば、上下方向に延在する部位と右斜め方向に延在する部位および左斜め方向に延在する部位のそれぞれとのなす角度を等しくし、かつこの角度を右斜め方向に延在する部位と左斜め方向に延在する部位のなす角度よりも小さくし、または大きくしてもよい。また、図示の例では各第1開口部18および各第2開口部19を逆Y字状にしていたが、上下反転させてY字状としてもよいし、90°または270°回転させた形状としてもよい。このとき、偏光板も併せて回転配置するのであれば、各吸収軸を時計回りまたは反時計回りに略45°、略135°回転させてもよい。
【0037】
(第3実施形態)
図11(B)は、第3実施形態の液晶表示装置における第1開口部および第2開口部の詳細構造を示す平面図である。なお、液晶表示装置の全体構成は第1実施形態と同様である(
図7参照)。各第1開口部18は、平面視において、互いに異なる4つの方向へ延びた4つの部位をそれぞれの端部で結合してなるX字状の形状を有する。そして、各第1開口部18は、各部位の延びた方向とは異なる方向である図中の上下方向および左右方向のそれぞれに対して市松状に周期的に配列されている。同様に、各第2開口部19は、平面視において、互いに異なる3つの方向へ延びた3つの部位をそれぞれの端部で結合してなる逆Y字状の形状を有する。そして、各第2開口部19は、各部位の延びた方向とは異なる方向である図中の上下方向およびこれに直交する左右方向のそれぞれに対して市松状に周期的に配列されている。図示の例では、各第1開口部18および第2開口部19は、4つの部位が互いに略90°の角度をもって結合しており、かつ4つの部位の長手方向長さがほぼ等しい。
【0038】
各第1開口部18と各第2開口部19は、上下方向と左右方向のそれぞれについて互いに略1/2ピッチずれて配置されている。このため、上下方向および左右方向のいずれについても、第1開口部18と第2開口部19とが1つずつ交互に配置されている。なお、平面視で左右方向において隣り合う第1開口部18と第2開口部19は、一端(一方の短辺)において互いに多少重なっていてもよいが、第1基板11と第2基板12の位置合わせマージンをより拡大するためには、図
11(B)に示すように両者が重ならないようにすること
、すなわち両者の近接する一端間に隙間を設けて配置されることが好ましい。なお、各第1開口部18および各第2開口部19における4つの部位が互いになす角度は図示した例のように等しいことがより好ましいが、等しくなくてもよい。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。