特許第6042682号(P6042682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042682
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20161206BHJP
   H01L 51/42 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H02B9/00 Z
   H01L31/04 100
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-213957(P2012-213957)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-68509(P2014-68509A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】茨木 博
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−278755(JP,A)
【文献】 特開2001−085716(JP,A)
【文献】 特開2010−288325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
H01L 51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根に設置され、直列接続した複数の太陽電池により太陽光を受光して直流電力を生成する太陽電池列と、
前記太陽電池列で生成した直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給する直交流変換手段と、
を備えた太陽光発電システムに於いて、
前記建物の火災を検知して火災検知信号を出力する火災検知手段と、
前記火災検知手段からの火災検知信号を受信した場合に、前記太陽電池列の出力端子を前記直交流変換手段側から切り離すと共に、切り離した前記出力端子間に、所定の抵抗値をもつ抵抗手段を接続して所定の安全端子電圧以下とする感電防止手段と、
を設けたことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
請求項1記載の太陽光発電システムに於いて、前記抵抗手段は、前記太陽電池列の出力端子間への接続で供給される直流電力に対応した定格電力の抵抗器とすることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項3】
請求項1記載の太陽光発電システムに於いて、前記抵抗手段を、セメント抵抗器又は巻線抵抗器としたことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項4】
請求項1記載の太陽光発電システムに於いて、
前記感電防止手段は、
連動する常開リレー接点と常閉リレー接点を有し、前記常開リレー接点を、前記太陽電池列の出力端子と前記直交変換手段の入力端子を結ぶ電路に挿入接続すると共に、前記常閉リレー接点を、前記太陽電池列の出力端子間に前記抵抗手段を接続する電路に挿入接続したリレーと、
定常運転状態で前記リレーを作動して、前記常開リレー接点の閉成により前記太陽電池列で生成した直流電力を前記直交変換手段へ供給すると共に、前記常閉リレー接点の開成により前記抵抗手段を前記太陽電池列の出力端子から切り離し、前記火災検知手段から火災検知信号を受信した場合に、前記リレーを非作動として、前記常開リレー接点の開成により前記太陽電池列を前記直交変換手段から切り離す共に、前記常閉リレー接点の閉成により前記抵抗手段を前記太陽電池列の出力端子間に接続する制御手段と、
を備えたことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項5】
請求項4記載の太陽光発電システムに於いて、前記リレーの常開リレー接点を、前記太陽電池列の出力端子と前記直交変換手段の入力端子を結ぶ正負電路の各々に挿入接続することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項6】
請求項1記載の太陽光発電システムに於いて、
前記感電防止手段は、
連動する常開リレー接点と常閉リレー接点を有し、前記常開リレー接点を、前記太陽電池列の出力端子と前記直交変換手段の入力端子を結ぶ電路に挿入接続したリレーと、
前記常開リレー接点の1次側の正負電路間に前記抵抗手段を直列接続したスイッチング手段と、
定常運転状態で前記リレーを作動して、前記常開リレー接点の閉成により前記太陽電池列で生成した直流電力を前記直交変換手段へ供給すると共に、前記スイッチング手段をオフに制御して前記抵抗手段を前記太陽電池列の出力端子から切り離し、前記火災検知手段から火災検知信号を受信した場合に、前記リレーを非作動として、前記常開リレー接点の開成により前記太陽電池列を前記直交変換手段から切り離す共に、前記スイッチング手段をオンに制御して前記抵抗手段を前記太陽電池列の出力端子間に接続する制御手段と、
を備えたことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項7】
請求項6記載の太陽光発電システムに於いて、前記スイッチング手段は、サイリスタ又はトランジスタを含むことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項8】
請求項1記載の太陽光発電システムに於いて、前記火災検知手段は、
前記建物内の警戒区域に設置され、火災を検知した場合に連動元を示す火災警報を出力すると共に火災連動信号を無線又は有線送信し、他の火災警報手段が無線又は有線送信した火災連動信号を受信した場合に連動先を示す火災警報を出力する火災警報手段と、
前記火災警報手段が無線又は有線送信した火災連動信号を受信した場合に前記感電防止手段へ火災検知信号を出力するアダプタ手段と、
を備えたことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項9】
請求項1記載の太陽光発電システムに於いて、前記火災検知手段は、
前記建物内の警戒区域に設置され、火災検知端末機器により火災を検知した場合に防災受信機から火災警報を出力すると共に火災連動信号を外部へ無線又は有線送信する自動火災報知設備と、
前記防災受信機が無線又は有線送信した前記火災連動信号を受信した場合に前記感電防止手段へ火災検知信号を出力するアダプタ手段と、
を備えたことを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根に設置された太陽電池モジュールで生成した直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給する太陽光発電システムに関にする。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光エネルギーを利用した太陽光発電システムの設置が拡大しており、特に、東日本大震災における原子力発電所事故を契機に、一般住宅への普及が急速に進んでいる。
【0003】
太陽光発電システムは、建物の屋根に設置した太陽電池モジュールによって発電された直流電力を、パワーコンディショナによって交流電力に変換し、商用電力系統と連携することによって建物内の機器に電力を供給すると共に、発電電力を電力会社に売電することを可能とする。
【0004】
ここで、太陽電池モジュールは単体では出力電圧が低いため、太陽電池モジュールを複数枚直列に接続したものを1単位とし、これを太陽電池ストリングス(太陽電池列)といい、太陽電池ストリングスを建物の屋根の南面、北面、東面、西面などの例えば4系統に分けて配置して並列接続することで、一つの太陽光発電システムを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−238246号公報
【特許文献2】特開2009−064809号公報
【特許文献3】特開2011−044703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような太陽光発電システムの一般住宅への広範な普及に伴い、火災に見舞われた建物に太陽光発電システムが設置されている場合も今後は増加することが想定される。
【0007】
太陽光発電システムが設置された建物が火災に見舞われた場合、消防活動の際に屋根に設置している太陽電池モジュールに破壊器具を使用することがあるが、その際に消防隊員が感電により受傷する恐れがある。実際に消防隊員が感電した事例も報告されており、そのための対策を太陽光発電システム側で採ることが強く望まれる。
【0008】
本発明は、建物の火災に伴い太陽光モジュールに破壊器具を使用しても感電事故を起こさないようする保護機能を備えた太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(太陽光発電システム)
本発明は、
建物の屋根に設置され、直列接続した複数の太陽電池により太陽光を受光して直流電力を生成する太陽電池列と、
太陽電池列で生成した直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給する直交変換手段と、
を備えた太陽光発電システムに於いて、
建物の火災を検知して火災検知信号を出力する火災検知手段と、
火災検知手段からの火災検知信号を受信した場合に、太陽電池列の出力端子を直交変換手段側から切り離すと共に、切り離した出力端子間に、所定の抵抗値をもつ抵抗手段を接続して所定の安全端子電圧以下とする感電防止手段と、
を設けたことを特徴とする。
【0010】
(抵抗器の電力損失)
抵抗手段は、太陽電池列の出力端子間への接続で供給される直流電力に対応した定格電力の抵抗器とする。また、抵抗手段を、セメント抵抗器又は巻線抵抗器とする。
【0011】
(リレーによる感電防止手段)
感電防止手段は、
連動する常開リレー接点と常閉リレー接点を有し、常開リレー接点を、太陽電池列の出力端子と直交変換手段の入力端子を結ぶ電路に挿入接続すると共に、常閉リレー接点を、太陽電池列の出力端子間に抵抗手段を接続する電路に挿入接続したリレーと、
定常運転状態でリレーを作動して、常開リレー接点の閉成により太陽電池列で生成した直流電力を直交変換手段へ供給すると共に、常閉リレー接点の開成により抵抗手段を太陽電池列の出力端子から切り離し、火災検知手段から火災検知信号を受信した場合に、リレーを非作動として、常開リレー接点の開成により太陽電池列を直交変換手段から切り離す共に、常閉リレー接点の閉成により抵抗手段を太陽電池列の出力端子間に接続する制御手段と、
を備える。
【0012】
(正負電路の切り離し)
リレーの常開リレー接点を、太陽電池列の出力端子と直交変換手段の入力端子を結ぶ正負電路の各々に挿入接続する。
【0013】
(リレーとスイッチング手段による感電防止手段)
感電防止手段は、
連動する常開リレー接点と常閉リレー接点を有し、常開リレー接点を、太陽電池列の出力端子と直交変換手段の入力端子を結ぶ電路に挿入接続したリレーと、
常開リレー接点の1次側の正負電路間に抵抗手段を直列接続したスイッチング手段と、
定常運転状態でリレーを作動して、常開リレー接点の閉成により太陽電池列で生成した直流電力を直交変換手段へ供給すると共に、スイッチング手段をオフに制御して抵抗手段を太陽電池列の出力端子から切り離し、火災検知手段から火災検知信号を受信した場合に、リレーを非作動として、常開リレー接点の開成により太陽電池列を直交変換手段から切り離す共に、スイッチング手段をオンに制御して抵抗手段を太陽電池列の出力端子間に接続する制御手段と、
を備える。ここで、スイッチング手段は、サイリスタ又はトランジスタを含む。
【0014】
(火災警報手段)
火災検知手段は、
建物内の警戒区域に設置され、火災を検知した場合に連動元を示す火災警報を出力すると共に火災連動信号を無線又は有線送信し、他の火災警報手段が無線又は有線送信した火災連動信号を受信した場合に連動先を示す火災警報を出力する火災警報手段と、
火災警報手段が無線又は有線送信した火災連動信号を受信した場合に感電防止手段へ火災検知信号を出力するアダプタ手段と、
を備える。
【0015】
(自動火災報知設備)
火災検知手段は、
建物内の警戒区域に設置され、火災検知端末機器により火災を検知した場合に防災受信機から火災警報を出力すると共に火災連動信号を外部へ無線又は有線送信する自動火災報知設備と、
防災受信機が無線又は有線送信した火災連動信号を受信した場合に感電防止手段へ火災検知信号を出力するアダプタ手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の太陽光発電システムは、建物の火災を検知して火災検知信号を出力する火災検知手段からの火災検知信号を受信した場合に、感電防止手段により太陽電池列の出力端子を直交変換手段から切り離すと共に、切り離した出力端子間に、所定の抵抗値をもつ抵抗手段を接続して所定の安全端子電圧以下とするようにしたため、太陽電池列が太陽光エネルギーを受けて発電していても、太陽電池のVI特性(出力特性)における出力短絡時の短絡電流に近い負荷電流を流すことで、出力端子間の電圧(抵抗手段の両端電圧)を例えば10ボルト以下の安全な電圧以下に抑えた感電防止状態とし、この状態で屋根に設置している太陽電池モジュールに消防隊員が破壊器具を使用してモジュール電極等に触れても、電極電圧が低いことから流れる電流はわずかであり、消防隊員が受傷するような感電事故に至ることはなく、太陽電池モジュールを設置している屋根などの高所で感電を恐れることなく安全に消防活動を行うことを可能とする。
【0017】
ここで、太陽電池列の出力端子間に抵抗手段を接続した状態は、太陽電池のVI特性(出力特性)において、負荷に対する供給電力がゼロとなる最小電力点に近い動作点に制御した場合と同じ状態であり、これにより消防隊員が破壊器具を使用してモジュール電極等に触れても、受傷するような感電事故に至ることはない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】住宅に設置した本発明の太陽光発電システムを示した説明図
図2】本発明による太陽光発電システムの第1実施形態を示したブロック図
図3】太陽電池の出力特性を示したグラフ図
図4】本発明による太陽光発電システムの第2実施形態を示したブロック図
図5】本発明による太陽光発電システムの第3実施形態を示したブロック図
図6】サイリスタを用いた感電防止回路部の実施形態を示した回路図
図7】トランジスタを用いた感電防止回路部の実施形態を示した回路図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[太陽光発電システムの概要]
図1は住宅に設置した本発明の太陽光発電システムを示した説明図である。図1において、太陽光発電システムは、住宅1の屋根に太陽電池モジュール12を設置し、太陽光エネルギーを直流電力に変換して出力する。なお、太陽電池モジュール12は太陽電池パネルともいう。
【0020】
太陽電池モジュール12は、1枚当りの出力は小さいことから、複数枚の太陽電池モジュールを直列接続して一つのグループを作り、このグループを太陽電池ストリングスとしている。なお、太陽電池ストリングスは請求項の太陽電池列に対応する。
【0021】
複数枚の太陽電池モジュール12で構成した太陽電池ストリングスからの電力線は接続箱3に集められ、接続箱3は複数の太陽電池ストリングからの電力線を並列接続してひとつにまとめ、パワーコンディショナ4に送り出している。
【0022】
パワーコンディショナ4は、太陽電池モジュール12で発電した直流電力を、一般の電気機器で使用できる交流電力に変換する働きをし、このため直交変換手段として機能するDC/ACインバータを備えている。また、パワーコンディショナ4は、電力会社の商用交流系統に接続できるよう電圧、周波数、相数、線数などの整合を取る役割を果たす。更に、パワーコンディショナ4は、太陽電池モジュール12が最大電力で発電できるように最大電力点追従制御を行う。
【0023】
パワーコンディショナ4に対してはモニタ装置5が接続され、モニタ装置5には表示部と操作部を備え、太陽光発電システムの運転状態の表示、障害表示、必要な運転操作などを行う。
【0024】
パワーコンディショナ4からの電力線は分電盤6に接続され、また分電盤6には電力会社の商用交流系統の例えば柱上トランス11からの電力線が電力メータ7を経由して接続され、分電盤6から太陽電池システム又は商用交流系統による交流電力を住宅内に設置した電気機器などの負荷に供給している。また、パワーコンディショナ4から出力した太陽電池システムの発電に基づく交流電力を、分電盤6から電力メータ7を介して電力会社の商用交流系統に供給する売電も可能とする。
【0025】
このような太陽光発電システムにつき、本発明にあっては、火災に見舞われた場合に、太陽電池モジュール12の発電電力を最小限に抑え、消防隊員が消火活動による太陽電池モジュール12に破壊器具を使用しても感電しないように電圧を下げる感電防止手段として機能する感電防止回路部を例えば接続箱3又はパワーコンディショナ4に設けている。この感電防止回路部は、住宅1の火災を検知して作動させる必要があることから、火災検知手段として機能する無線連動型の住警器8と、アダプタ手段として機能するアダプタ装置9を住宅1に設けている。
【0026】
住警器8は、住宅等における火災を検知して警報する住宅用火災警報器として知られており、電池電源で動作し、火災に伴う温度又は煙濃度を検出するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備え、センサ部による温度又は煙濃度の検出信号に基づき火災を検知すると警報部から連動元を示す火災警報を出力し、また火災連動信号を他の住警器へ無線送信し、他の住警器8で連動先を示す火災警報音を出力させる。
【0027】
アダプタ装置9は、住警器8と同様に電池電源で動作し、住警器8が無線送信した火災連動信号を受信した場合に、例えば無電圧接点信号として火災検知信号を、モニタ装置5を介してパワーコンディショナ4側に設けた感電防止回路部に出力して作動させるようにしている。
【0028】
なお、火災検知手段は、無線連動型の住警器8とアダプタ装置9で構成する以外に、連動機能をもたないスタンドアロン型の住警器を住宅1に設置し、この住警器から移報信号線をモニタ装置5に接続し、火災を検出して警報した場合に出力される火災移報信号を、モニタ装置を介して火災検知信号として、パワーコンディショナ4側に設けた感電防止回路部に出力して作動させるようにしても良い。
【0029】
[第1実施形態]
(システム構成の概略)
図2は本発明による太陽光発電システムの第1実施形態を示したブロック図である。図2において、本実施形態の太陽光発電システムは、太陽電池列として機能する太陽電池ストリングス10−1〜10−n、感電防止手段として機能する感電防止回路部14−1〜14−n、逆流阻止用ダイオード20、サージアブソーバ22,主開閉器(ブレーカ)25、直交流変換手段として機能するDC/ACインバータ16、商用交流系統18及び制御部38を備える。
【0030】
ここで、感電防止回路部14−1〜14−n及び逆流阻止用ダイオード20は、図1に示した接続箱3に収納し、サージアブソーバ22,主開閉器(ブレーカ)25及びDC/ACインバータ16は、図1に示したパワーコンディショナ4に収納している。また、商用交流系統18は、図1に示した分電盤6の出力となる住宅内の交流系統及び電力メータ7を備えた電力会社の交流系統に対応する。
【0031】
なお、太陽電池ストリングス10−1〜10−n及び感電防止回路部14−1〜14−nをそれぞれ区別しない場合は、以下、太陽電池ストリングス10及び感電防止回路部14という。
【0032】
太陽電池ストリングス10−1〜10−nは、所定枚数の太陽電池モジュール12を直列接続しており、住宅の屋根の例えば東西南北の4面等に分けて設置しており、本実施形態では、太陽電池ストリングス10−1〜10−nを構成する太陽電池モジュール12を同じ枚数とすることで、太陽光を受ける条件が同じであれば、太陽電池ストリングス10−1〜10−nの出力する直流電力は略同じになる。
【0033】
逆流阻止用ダイオード20はブロッキングダイオードとも呼ばれ、太陽電池ストリングス10−1〜10−nの間で電圧差が生じても、電圧の低い方のストリングスへ逆流しないようにする。
【0034】
太陽電池ストリングス10−1〜10−nから引き出された電力線は、逆流阻止用ダイオード20を介して並列接続し、さらに主開閉器25を介してDC/ACインバータ16の入力に接続している。主開閉器25の一次側にはサージアブソーバ22を接続し、太陽電池ストリングス10側で受けた雷サージ電流を吸収シテDC/ACインバータ16を保護している。
【0035】
DC/ACインバータ16は太陽電池ストリングス10から出力された直流電力を交流電力に変換して商用交流系統18に連系している。またDC/ACインバータ16は太陽電池ストリングス10から最大電力が得られるように、最大電力点追従制御を行っている。
【0036】
(最大電力点追従制御)
DC/ACインバータ16による最大電力点追従制御は、天候によって変化する照度に対し太陽電池ストリングス10から最も効率良く発電電力を得られるように、インバータ目標指令値(出力電流指示値)や目標電圧を設定し、太陽電池ストリングス10の発電出力電圧と発電出力電流を制御する。
【0037】
図3は太陽電池の出力特性を示したグラフ図であり、図3(A)は出力電圧Vと出力電流Iと関係を示すVI特性であり、図3(B)は発電電力Pと出力電圧Vの関係を示すPV特性である。
【0038】
図3(A)に示すように、太陽電池ストリングス10の出力開放時は、出力電流Iは0アンペアなので、a点が動作点となる。このときの出力電圧Vを開放電圧Vcという。一方、太陽電池ストリングス10の出力短絡時は、出力電圧Vは0ボルトなので、b点が動作点となる。このときの出力電流Iを短絡電流Isという。
【0039】
太陽電池ストリングス10の出力端子に負荷抵抗を接続した時は、負荷抵抗の大きさに対応して動作点が変化する。負荷抵抗が0オームであれば太陽電池ストリングス10の出力短絡と同じであり、動作点はb点となる。負荷抵抗の抵抗値を徐々に増加させると、動作点はb点からc点を経てa点に移動する。
【0040】
次に図3(B)のPV特性を参照すると、太陽電池ストリングス10から取出す電力Pは、出力電圧Vと出力電流Iの積(P=V×I)であることから、図3(A)のa点ではV=0ボルトなので、0ワットとなり、b点ではI=0アンペアなので、0ワットとなり、図示のPV特性が得られる。
【0041】
ここで、電圧Vと電流Iの積で決まる矩形の面積が最大となる点、即ち電力Pが最大電力Pmaxとなる点を最大電力点cといい、最大電力点cの出力電圧を最大電力点電圧Vp、出力電流を最大電力点電流Ipという。
【0042】
DC/ACコンバータ16は、図3の最大電力点cに対応したインバータ目標指令値(出力電流指示値)や目標電圧を設定し、検出した出力電流と出力電圧との偏差をなくすように制御し、太陽電池ストリングス10から最大電力が得られるようにしている。
【0043】
(感電防止回路部)
図2に示すように、太陽電池ストリングス10−1〜10−nに対しては感電防止回路部14−1〜14−nを設けている。感電防止回路部14は、制御手段として機能する制御部38により制御される。図1に示した住警器8が火災を検知して無線送信した火災連動信号をアダプタ装置9で受信して火災検知信号を出力した場合、この火災検知信号はモニタ装置5を経由して例えばパワーコンディショナ4に設けた制御部38で受信する。
【0044】
火災検知信号を受信した制御部38は、感電防止回路部14へ制御信号を出力し、太陽電池ストリングス10の出力端子側をDC/ACインバータ16から切り離すと共に、切り離した出力端子間に、所定の抵抗値をもつ抵抗手段である感電防止用抵抗36を接続して所定の安全端子電圧以下とする。
【0045】
ここで、人体に影響を及ぼす危険電圧は通常数十ボルト以上であることが知られており、感電防止用抵抗36の接続による所定の安全端子電圧以下の電圧とは、危険電圧未満の電圧とすればよいが、望ましくは人体が濡れていたとしても影響のない例えば20ボルト以下とする。
【0046】
感電防止回路部14は、2回路の常開リレー接点28,30と常閉リレー接点32,34を備えたリレー24を備え、常開リレー接点28,30を、太陽電池ストリングス10の出力端子とDC/ACインバータ16の入力端子を結ぶ電路に挿入接続すると共に、常閉リレー接点32,34を、太陽電池ストリングス10の出力端子間に感電防止用抵抗36を接続する電路に挿入接続している。
【0047】
制御部38は、火災検知信号を受信していない定常運転状態ではリレー24を作動し、常開リレー接点28,30の閉成により太陽電池ストリングス10で生成した直流電力をDC/ACインバータ16へ供給すると共に、常閉リレー接点32,34の開成により感電防止用抵抗36を太陽電池ストリングス10の出力端子から切り離している。
【0048】
一方、制御部38は、住警器8の火災検知に基づく火災検知信号を受信した場合、リレー24を非作動として、常開リレー接点28,30の開成により太陽電池ストリングス10をDC/ACインバータ16から切り離す共に、常閉リレー接点32,34の閉成により感電防止用抵抗36を太陽電池ストリングス10の出力端子間に接続し、所定の安全端子電圧以下とする。
【0049】
太陽電池ストリングス10の出力端子間に感電防止用抵抗36を接続した場合の動作点は、図3(A)のVI特性におけるd点となり、d点を感電防止点といい、この電圧を感電防止電圧Vsafeという。
【0050】
感電防止点dは、出力短絡時のb点に近い動作点とし、感電防止電圧Vsafeは、出力開放時のa点の開放電圧Vcに対し例えば1/10以下の電圧となるように設定する。
【0051】
太陽電池ストリングス10の公称最大出力に対応した開放電圧Vcが例えば100ボルトであったとすると、感電防止電圧Vsafeは10ボルトとなるように、感電防止用抵抗36の抵抗値を決定する。
【0052】
また、図3(B)のPV特性において、感電防止電圧Vsafeに対応した電力は、そのときの出力電流Isafeとの積できまる出力短絡時の0ワットに近い電力Psafeと低い電力に抑えている。このため感電防止用抵抗36としては、感電防止点dに対応した電力Psafeの値以上の定格ワット数をもつ抵抗器を使用する必要があり、このように比較的大きな定格ワット数をもつ抵抗器としては、例えばセメント抵抗器又は巻線抵抗器を使用する。
【0053】
また、感電防止回路部14のリレー24は2回路の常開リレー接点28,30と太陽電池列ストリングス10の出力端子とDC/ACインバータ16の入力端子を結ぶ正負の電路の各々に挿入接続しており、これにより両者を完全に切り離し、何れか一方又は両方が火災に伴う火炎に暴露して焼損することで電気的な異常を起こしても、相互に影響を及ぼさないようにしている。
【0054】
なお、本実施形態では、感電防止回路部14−1〜14−nに分けてリレー24を設けているが、リレー接点の回路数が多いリレーを使用する場合には、複数の感電防止回路に対し一台のリレーを割り当てるようにしても良い。
【0055】
(太陽光発電システムを設置した住宅火災)
図2の第1実施形態による太陽光発電システムを設置した図1の住宅1が火災に見舞われた場合の制御は次のようになる。
【0056】
住宅1で万一火災が発生した場合、火元となった部屋に設置している住警器8が例えば火災に伴う煙濃度を検知し、煙濃度が所定の閾値以上となった場合、連動元を示す火災警報音を出力すると共に警報表示である住警器8に搭載されたLEDを点灯し、更に、火災連動信号を無線送信する。
【0057】
火災を検知して警報した住警器8が送信した火災連動信号は、住宅1に設置している他の住警器8で受信され、連動先を示す火災警報音を出力すると共に警報表示である住警器8に搭載されたLEDを例えば点滅する。
【0058】
火災を検知して警報した住警器8が送信した火災連動信号は、アダプタ装置9でも受信され、アダプタ装置9は火災検知信号を出力し、火災検知信号はモニタ装置5を経由してパワーコンディショナ4に設けた図2の制御部38へ送られる。
【0059】
制御部38は、定常運転中、感電防止回路部14のリレー24に通電して作動し、その常開リレー接点28,30を閉じると共に、常閉リレー接点32,34を開いており、太陽電池ストリングス10から出力した直流電力をDC/ACインバータ16に入力して交流電力に変換し、また感電防止用抵抗36を太陽電池ストリングス10から切り離している。
【0060】
この状態で火災検知信号を受信した制御部38からの通電を停止することでリレー24を非作動に切替え、常開リレー接点28,30を開くと共に、常閉リレー接点32,34を閉じ、太陽電池ストリングス10の直流電力をDC/ACインバータ16から切り離すと共に、感電防止用抵抗36を太陽電池ストリングス10の出力に接続し、出力端子電圧を例えば20ボルト以下の安全な感電防止電圧Vsafeに切り替える。
【0061】
また、火災が拡大して住宅1の屋根裏まで火が回り、更に屋根に設置している太陽電池ストリングス10も火炎に暴露される状況に至り、その後、消火活動により火災が抑制されると、消防隊員は屋根裏に注水するため、破壊器具を使用して屋根を破り、そこから注水して消火する。この場合、屋根には太陽電池ストリングス10を配置しているため、消防隊員は破壊器具を使用して太陽電池ストリングス10を壊して屋根に穴を空け、屋根裏に注水する。
【0062】
この場合、太陽電池ストリングス10に破壊器具を使用した際に、従来の太陽電池ストリングス10では、その出力端子電圧は例えば開放出力電圧に対応した例えば60〜100ボルトといった危険電圧以上となっており、破壊器具の使用により太陽電池電極に破壊器具が触れると感電を起こす。特に、破壊器具を使用する消防隊員は放水に伴って濡れており、感電事故を起こし易い状態にあり、消防火活動に大きな危険を伴っている。
【0063】
これに対し本発明の太陽光発電システムにあっては、火災を検知した段階で、太陽電池ストリングス10の出力端子電圧が所定の安全端子電圧以下に切り替えられ、太陽電池ストリングス10に破壊器具を使用して電極などに接触しても、電圧が低いことから人体に影響を及ぼすような感電事故は起こさず、安心して消防活動を行うことができる。
【0064】
また、太陽電池ストリングス10に破壊機器を使用した際の感電事故は、太陽光発電を行っている昼間の火災が問題になるが、夜間の火災においても、火災の炎や消防活動に必要な照明による光を受けて発電が行われ、太陽電池ストリングス10に破壊機器を使用した際の感電は夜間の火災でも問題となるが、火災を検知した場合の本実施形態の感電防止回路部14の作動により、消防隊員の感電事故を確実に防止できる。
【0065】
[第2実施形態]
図4は本発明による太陽光発電システムの第2実施形態を示したブロック図であり、太陽電池ストリングスとD/Aインバータとの間に、DC/DCコンバータを配置して直流出力電圧を揃えるようにしたことを特徴とする。
【0066】
図4において、本実施形態の太陽光発電システムは、太陽電池ストリングス10−1〜10−n、感電防止回路部14−1〜14−n、主開閉器(ブレーカ)25、直交流変換手段として機能するDC/ACインバータ16、商用交流系統18及び制御部38を備えた点は図2の第1実施形態と同じであるが、感電防止回路部14−1〜14−nに続いてDC/DCコンバータ42−1〜42−nを設け、その二次側を並列接続し、主開閉器25を介してDC/ACインバータ16の入力に接続した点で相違する。またDC/DCコンバータ42−1〜42−nの一次側にサージアブソーバ22を接続している。
【0067】
DC/DCコンバータ42−1〜42−nは、太陽電池ストリングス10−1〜10−nから出力する電圧が異なることを想定し、これを所定の電圧に変換した後に合せてDC/ACインバータ16に入力する。
【0068】
例えば屋根の東西南北の4面に分けて4系統の太陽電池ストリングス10−1〜10−4を設置する場合、4面の配置面積が全て同じとはならず、太陽電池モジュール12の枚数が相違し、その結果、出力特性は同じにはならない。また太陽電池モジュール12の枚数が同じでも、屋根面での日射量に相違があるため出力特性が同じにはならない。このため図2のように、太陽電池ストリングス10−1〜10−nの出力を並列接続してDC/ACインバータ16に入力していると、各々異なる出力特性をもつため、最大電力点から外れた動作点で発電する太陽電池ストリングスが存在することになる。
【0069】
これに対し本実施形態にあっては、太陽電池ストリンクス10−1〜10−nの各々に独立してDC/DCコンバータ42−1〜42−nを設けて動作し、接続した太陽電池ストリングス10−1〜10−nが最大の電力を発電できるように、最大電力点追従制御を行う。
【0070】
太陽電池ストリングス10−1〜10−nとDC/DCコンバータ42−1〜42−nの間に設けた感電防止回路部14−1〜14−nは、図2の実施形態と同じであり、制御部38は火災検知信号を受信した場合にリレー24の通電を停止して非作動に切替え、常開リレー接点28,30を開くと共に、常閉リレー接点32,34を閉じ、太陽電池ストリングス10−1〜10−nを直流電力をDC/DCインバータ42−1〜42−nから切り離すと共に、感電防止用抵抗36を太陽電池ストリングス10−1〜10−nの出力に接続し、出力端子電圧を例えば20ボルト以下の安全な感電防止電圧vsafeに切り替える。
【0071】
なお、本実施形態にあっては、感電防止回路部14−1〜14−n、サージアブソーバ22、DC/DCコンバータ42−1〜42−n、主開閉器(ブレーカ)25、DC/ACインバータ16及び制御部38は、図1に示したパワーコンディショナ4に設ける。
【0072】
[第3実施形態]
図5は本発明による太陽光発電システムの第3実施形態を示したブロック図であり、太陽電池モジュールが標準枚数により少ない太陽電池ストリングスに、昇圧用のDC/DCコンバータを配置して直流出力電圧を揃えるようにしたことを特徴とする。
【0073】
図5において、本実施形態の太陽光発電システムは、2系統の太陽電池ストリングス10−1,10−2を例にとっており、太陽電池ストリングス10−1の太陽電池モジュール12は所定の標準枚数であるが、太陽電池ストリングス10−2の太陽電池モジュール12は標準枚数未満となっている。
【0074】
このため太陽電池ストリングス10−1,10−2を並列接続してDC/ACインバータ16に接続しても、それぞれ最大電力となる動作点が異なるため、合成したPV特性に基づいて最大電力点制御を行っても、それぞれ最大電力を足し合わせた電力を出力することはできない。
【0075】
そこで標準枚数未満の太陽電池モジュール12を設けた太陽電池ストリングス10−2側にDC/DCコンバータ42を設け、太陽電池ストリングス10−2の出力電圧を太陽電池ストリングス10−1に合せることにより、最大電力となる動作点を同じにして最大電力点制御を行い、太陽電池ストリングス10−1,10−2の発電電力を最大限有効に引き出すようにしている。
【0076】
ここで、標準枚数の太陽電池ストリングス10−1側は、図2の実施形態と同様、感電防止回路部14−1、逆流阻止用ダイオード20を備え、一方、標準枚数未満の太陽電池ストリングス10−2側は、図3の実施形態と同様、感電防止回路部14−2、サージアブソーバ22,DC/DCインバータ42を備え、続いて両者を並列接続した後に主開閉器25を介してDC/ACインバータ16に入力接続し、また、主開閉器25の一次側にサージアブソーバ22を接続している。
【0077】
太陽電池ストリングス10−1,10−2に続いて設けた感電防止回路部14−1,14−2は、図2の実施形態と同じであり、制御部38は火災検知信号を受信した場合にリレー24への通電を停止して非作動に切替え、常開リレー接点28,30を開くと共に、常閉リレー接点32,34を閉じ、太陽電池ストリングス10の直流電力をDC/ACインバータ16から切り離すと共に、感電防止用抵抗36を太陽電池ストリングス10の出力に接続し、出力端子電圧を例えば20ボルト以下の安全な感電防止電圧vsafeに切り替える。
【0078】
[スイッチング素子を用いた感電防止回路部]
図6はスイッチング素子としてサイリスタを用いた感電防止回路部の実施形態を示した回路図である。図6において、感電防止回路部14は、太陽電池ストリングス10からの電路にリレー24の常開リレー接点28,30を挿入接続し、また、常開リレー接点28,30の一次側の電路間に、感電防止用抵抗36とサイリスタ44を直列接続している。サイリスタ44のゲートには、図2に示したと同じ制御部からゲート制御線を接続する。
【0079】
定常運転中、リレー24は制御部38からの通電で作動状態にあり、常開リレー接点28,30を閉じ、太陽電池ストリングス10の太陽発電による直流電力をDC/ACコンバータへ出力している。また、サイリスタ44はオフしており、感電防止用抵抗36を切り離している。
【0080】
火災を検知した場合には、制御部38からの通電を停止してリレー24を非作動とし、常開リレー接点28,30を開いてDC/ACインバータとの接続を切り離し、同時に制御部38からゲート制御信号(パルス制御信号)E1を出力し、サイリスタ44をターンオンし、太陽電池ストリングス10の出力端子間に感電防止用抵抗36を接続し、端子間電圧を所定の安全端子電圧以下とする。
【0081】
図7はスイッチング素子としてトランジスタを用いた感電防止回路部の実施形態を示した回路図である。図7において、感電防止回路部14は、太陽電池ストリングス10からの電路にリレー24の常開リレー接点28,30を挿入接続し、また、常開リレー接点28,30の一次側の電路間に、感電防止用抵抗36をトランジスタ46により接続している。トランジスタ46のベースには、図2に示したと同じ制御部から制御線を接続する。
【0082】
定常運転中、リレー24は制御部38からの通電により作動状態にあり、常開リレー接点28,30を閉じ、太陽電池ストリングス10の太陽発電による直流電力をDC/ACコンバータへ出力している。また、トランジスタ46はオフしており、感電防止用抵抗36を切り離している。
【0083】
火災を検知した場合には、制御部38からの通電を停止してリレー24を非作動とし、常開リレー接点28,30を開いてDC/ACインバータとの接続を切り離し、同時に制御部38から制御信号E2を出力し、トランジスタ46をオンし、太陽電池ストリングス10の出力端子間に感電防止用抵抗36を接続し、端子間電圧を所定の安全端子電圧以下とする。
【0084】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、一般住宅に設置する太陽光発電システムを例にとっているが、公共施設や工場などに設置する規模の大きな太陽光発電システムについても適用することができる。この場合にも太陽電池ストリングス毎に感電防止回路部を設けるが、火災検知に基づく感電防止回路部の作動は、火災を検知した区域の太陽電池ストリングについて行うように制御する。
【0085】
また、上記の実施形態は、太陽電池ストリングス毎に感電防止回路部を設けているが、太陽電池ストリングスに設けた太陽電池モジュール毎に感電防止回路部を設けても良い。この場合には感電防止用抵抗を接続した場合の太陽電池モジュールの動作点の発電電力は小さくなるので、感電防止用抵抗として定格ワット数の小さい小型で安価な抵抗器を使用できる。
【0086】
また、上記の実施形態にあっては、火災検出手段して、無線連動型の住警器とアダプタ装置を例にとっているが、住警器の代わりとして、自動火災報知設備の火災検知信号を用いるようにしてもよい。この場合の火災検出手段は、建物内の警戒区域に設置され、火災検知端末機器(火災感知器、押し釦通報装置、スプリンクラー設備)により火災を検知した場合に防災受信機から火災警報を出力すると共に火災連動信号を外部へ無線又は有線送信する自動火災報知設備と、防災受信機が無線又は有線送信した火災連動信号を受信した場合に感電防止回路部へ火災検知信号を出力するアダプタ装置とで構成する。
【0087】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0088】
1:住宅
3:接続箱
4:パワーコンディショナ
5:モニタ装置
6:分電盤
7:電力メータ
8:住警器
9:アダプタ装置
10−1〜10−n:太陽電池ストリングス
12:太陽電池モジュール
14−1〜14−n:感電防止回路部
16:DC/ACインバータ
18:商用交流系統
20:逆流阻止ダイオード
22:サージアブソーバ
24:リレー
25:主開閉器
28,30:常開リレー接点
32,34:常閉リレー接点
36:感電防止用抵抗
38:制御部
42,42−1〜42−n:DC/DCコンバータ
44:サイリスタ
46:トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7