(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
[点検支援システム1の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る点検支援システム1の全体構成を示したシステム図である。通信回線1000は、インターネットや電話網、移動体通信網などの通信回線である。点検支援システム1は、火災報知設備2の点検を行う者(以下、「点検者」と称する)が行う点検作業を支援するシステムであり、受信機30、サーバ装置10、携帯端末20、通信端末40で構成されている。点検者は、携帯端末20を所持して火災報知設備2の点検を行う。点検者が火災報知設備2の点検を行う場合、受信機30に接続された通信端末40、サーバ装置10及び携帯端末20が通信回線1000を介して通信を行うことにより、点検者は、点検作業の支援を受けることができる。
【0014】
火災報知設備2は、建築物などの施設の内部に設置されている設備である。本実施形態に係る火災報知設備2は、R型(Record type)の受信機30、火災感知器50−1、50−2、・・・、50−n(以下、それぞれを区別しない場合には火災感知器50という)、発信機51を有する。火災感知器50及び発信機51は、受信機30に接続されている。
【0015】
火災感知器50には、周囲の温度を検知する熱感知器や、煙を感知する煙感知器などがあり、それぞれに固有のアドレスが割り当てられている。例えば、周囲の温度を検知する火災感知器50は、検知した温度を示す情報と、自身に割り当てられているアドレスとを受信機30へ送信し、煙を感知する火災感知器50は、感知した煙の状態を示す情報と、自身に割り当てられているアドレスとを受信機30へ送信する。発信機51は、火災の発見者により操作されるボタンを有しており、発信機51にも固有のアドレスが割り当てられている。発信機51は、ボタンが操作されると、ボタンが操作されたことを示す情報と、自身に割り当てられているアドレスとを受信機30へ送信する。
【0016】
また、火災報知設備2は、受信機30に接続されている中継器65−1〜65−4(以下、それぞれを区別しない場合には中継器65という)にも、それぞれ固有のアドレスが割り当てられている。
中継器65−1には地区音響装置61が接続され、中継器65−2には防火戸62Aが接続されている。また、中継器65−3にはシャッター62Bが接続され、中継器65−4には排煙機62Cが接続されている。なお、防火戸62A、シャッター62B及び排煙機62Cを、以下では総称して、防排煙機器62という。
【0017】
中継器65−1は、受信機30から送られる制御信号を受信し、受信した制御信号に基いて地区音響装置61を制御する。中継器65−2は、受信機30から送られる制御信号を受信し、受信した制御信号に基いて防火戸62Aを制御する。中継器65−3は、受信機30から送られる制御信号を受信し、受信した制御信号に基いてシャッター62Bを制御する。中継器65−4は、受信機30から送られる制御信号を受信し、受信した制御信号に基いて排煙機62Cを制御する。なお、中継器65に接続される装置の数は、
図1に示した数に限定されるものではなく、
図1に示した数より多い数や少ない数であってもよい。
【0018】
受信機30は、火災感知器50や発信機51から送信される情報に基いて火災の発生を検知し、火災の発生場所を特定する。受信機30は、火災の発生を検知し、火災の発生場所を特定すると、火災の発生を知らせるメッセージや、火災が発生した場所の表示、火災が発生した場所にある火災感知器50や発信機51のアドレスの表示などを行う。
また、受信機30は、通信端末40と接続されることにより、通信回線1000を介して火災等の火災報知設備2の情報を外部に出力(送信)したり、外部から送信されたコマンドに応じて防排煙機器62の試験を行ったりする制御装置70として機能する。
なお、本実施形態においては、受信機30と通信端末40とで制御装置70として機能するが、制御装置70は、受信機30及び通信端末40の機能を有した一つの装置として実現されてもよい。
また、火災報知設備2は、
図1においては1つのみ記載されているが、複数の施設に設置されている。このため、通信回線1000を介してサーバ装置10と通信が可能な制御装置70は、施設の数に応じて複数存在する場合がある。各施設にはそれぞれ固有の「物件番号」が割り当てられている。
【0019】
[携帯端末20の構成]
携帯端末20は、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン又はタブレット端末など、通信回線1000に接続して通信を行うことが可能な装置である。携帯端末20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ、操作手段及び画像の表示手段として機能するタッチスクリーン、通信インターフェースなどを有している。携帯端末20の不揮発性メモリは、点検者が所持する携帯端末20に割り当てられた端末IDを記憶している。携帯端末20においては、CPUは、ROMや不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行し、携帯端末20の各部を制御する。
【0020】
携帯端末20のCPUがプログラムを実行すると、通信回線1000を介してサーバ装置10と通信を行う機能や、サーバ装置10から取得したウェブページを表示する機能などが実現する。
図2には、携帯端末20の一例である機能ブロック図が示されている。携帯端末20は、
図2に示したように、受付部201、コマンド送信部202及び情報受信部203を有する。
【0021】
受付部201は、受信機30を制御するためのユーザインターフェースや火災報知設備2が有する装置の試験結果をタッチスクリーンに表示し、火災報知設備2が有する装置の試験を行うためのコマンドを点検者から受け付けるブロックである。コマンド送信部202は、受付部201が受け付けたコマンドをサーバ装置10へ送信するブロックである。情報受信部203は、サーバ装置10から送信された情報を受信するブロックである。
【0022】
[サーバ装置10の構成]
サーバ装置10は、CPU、ROM、RAM、ディスプレイ装置、不揮発性メモリ、キーボードやマウスなどの操作手段及び通信回線1000を介した通信を行う通信インターフェースを備えたコンピュータ装置である。
【0023】
サーバ装置10の不揮発性メモリは、
図3に示した点検予定テーブルを記憶している。点検予定テーブルは、「端末ID」、「物件番号」、「点検対象装置」、「点検期間」のフィールドを有する。「端末ID」のフィールドには、点検者が所持する携帯端末20に割り当てられた端末IDが格納される。「物件番号」のフィールドには、点検の対象となる火災報知設備2が設置されている施設の物件番号が格納される。「点検対象装置」のフィールドには、火災報知設備2において点検の対象となる装置に割り当てられているアドレスが格納される。例えば、アドレスが1の装置からアドレスが85の装置までを点検する場合、
図3に示したように、個々の装置のアドレスではなく、アドレスの範囲が格納される。「点検期間」のフィールドには、点検者が点検を行う日時と時間帯を示す情報が格納される。
【0024】
サーバ装置10においては、CPUは、ROMや不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行し、サーバ装置10の各部を制御する。サーバ装置10のCPUがプログラムを実行すると、携帯端末20から送信されたコマンドを通信端末40へ送信する機能や、火災報知設備2の状態等を携帯端末20に表示させるページを生成し、生成したページを携帯端末20へ送信する機能などが実現する。これらの機能が実現することにより、サーバ装置10は、火災報知設備2の点検を支援する点検支援装置として機能する。
図2には、サーバ装置10の一例である機能ブロック図が示されている。サーバ装置10は、
図2に示したように、作動情報表示指示部101と、コマンド中継部102と、情報生成部103とを有する。
【0025】
作動情報表示指示部101は、通信端末40から送信された防排煙機器62が動作したことを示す作動情報に基づいて、携帯端末20に表示させるページを生成し、携帯端末20に送信するブロックである。コマンド中継部102は、携帯端末20から送信されたコマンドを通信端末40へ転送するブロックである。情報生成部103は、携帯端末20からの要求に応じて携帯端末20に表示させるページのデータを生成し、生成したデータを携帯端末20へ送信するブロックである。
【0026】
[通信端末40の構成]
通信端末40は、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン又はタブレット端末など、通信回線1000に接続して通信を行うことが可能な装置である。通信端末40は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、操作手段及び表示手段として機能するタッチスクリーン、通信回線1000を介した通信を行う通信インターフェース、受信機30と通信を行うインターフェースなどを有する。通信端末40の不揮発性メモリは、点検者が点検する施設に割り当てられている物件番号を記憶する。通信端末40においては、CPUは、ROMや不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行し、通信端末40の各部を制御する。
【0027】
通信端末40のCPUがプログラムを実行すると、通信回線1000を介した通信を行う機能や受信機30と通信を行う機能などが実現する。
図2には、通信端末40の一例である機能ブロック図が示されている。通信端末40は、
図2に示したように、作動情報送信部401と、コマンド受信部402とを有する。
【0028】
作動情報送信部401は、受信機30から出力された作動情報を通信回線1000を介してサーバ装置10へ送信するブロックである。コマンド受信部402は、携帯端末20から送信されてサーバ装置10で中継されたコマンドを受信するブロックである。
【0029】
[受信機30の構成]
受信機30は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、操作手段及び表示手段として機能するタッチスクリーン、通信端末40と通信を行う通信インターフェース、火災感知器50や中継器65が接続されるインターフェースなどを有する。
【0030】
また、受信機30の不揮発性メモリは、
図4に示した設置データテーブルを記憶している。設置データテーブルは、「アドレス」、「種別」、「メッセージ」及び「連動アドレス」のフィールドを有する。
「アドレス」のフィールドには、火災感知器50のアドレスや発信機51のアドレス、中継器65のアドレスなど、火災報知設備2に係る装置の各々に割り当てられているアドレスが格納される。
「種別」のフィールドには、同じレコードに格納されているアドレスで特定される装置の種別を示す情報が格納される。例えば、アドレスが「1」である火災感知器50が、周囲の温度を検知する熱感知器である場合、
図4に示したようにアドレスの「1」に対応付けて「熱感知器」という情報が格納される。また、アドレスが「35」である装置が、地区音響装置61を制御する中継器65−1である場合、アドレスの「35」に対応付けて「地区音響装置」という情報が格納される。
【0031】
「メッセージ」のフィールドには、同じレコードに格納されているアドレスで特定される装置の設置場所を示す情報が格納される。例えば、アドレスが「1」である火災感知器50が、施設の1階の第1会議室に配置されている場合、
図4に示したようにアドレスの「1」に対応付けて、「1階第1会議室」という情報が格納される。
「連動アドレス」のフィールドには、中継器65に接続されている装置を、どの装置に連動して動作させるかを規定する情報が格納される。例えば、アドレス「1」が割り当てられた火災感知器50−1からの信号で火災の発生を検知したときに防火戸62Aを閉める場合、
図4に示したように防火戸62Aが接続されている中継器のアドレスの「37」に対応付けて、火災感知器50−1のアドレスである「1」という情報が格納される。なお、例えば、防火戸62Aが、アドレスが1から15の範囲の火災感知器50や発信機51に連動して動作する場合、連動アドレスのフィールドには、「1−15」というように、防火戸62Aを動作させる火災感知器50や発信機51のアドレスの範囲を格納してもよい。
【0032】
受信機30においては、CPUは、ROMや不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行し、受信機30の各部を制御する。
図2には、受信機30の一例である機能ブロック図が示されている。受信機30は、作動情報出力部301と、試験部302と、作動信号受信部303とを有する。
【0033】
作動情報出力部301は、中継器65から送信された防排煙機器62が動作したことを示す作動信号に基づいて、試験対象となった装置の作動情報を通信端末40に出力するブロックである。試験部302は、コマンド受信部402が受信したコマンドを取得し、取得したコマンドに基いて、火災報知設備2が有する装置の試験を行うブロックである。具体的には、試験部302は、取得したコマンドに基いて、試験として試験対象となる装置に接続される中継器65に接続されている防排煙機器62を動作させる制御信号を送信する。作動信号受信部303は、中継器65から送信された作動信号を受信するブロックである。
【0034】
なお、試験部302は、受信機30が有するタッチスクリーンにおいて、火災報知設備2が有する装置の試験を指示する操作が行われた場合にも、行われた操作に基いて試験を行う。なお、受信機30が、通信回線1000を介した通信を行う機能を備える場合、作動情報送信部401とコマンド受信部402とを、受信機30が有することとなる。
【0035】
[中継器65の構成]
中継器65は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、受信機30が接続されるインターフェースなどを有する。中継器65においては、CPUは、ROMや不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行し、中継器65の各部を制御する。
図2には、中継器65の一例である機能ブロック図が示されている。中継器65は、作動制御部651と、作動信号監視部652と、作動信号送信部653とを有する。
【0036】
作動制御部651は、受信機30から送信される制御信号に基づいて、試験対象となる装置の作動を制御するブロックである。作動信号監視部652は、試験対象となる装置から送信される作動信号を監視、受信するブロックである。作動信号送信部653は、作動信号を受信機30に送信するブロックである。
【0037】
[防排煙機器62の構成]
防排煙機器62は、当該機器を作動させるための駆動部と、作動信号を中継器65に出力するための回路構成とを有する。
図2には、防排煙機器62の一例である機能ブロック図が示されている。防排煙機器62は、作動信号発生部621と、作動入力部622とを有する。
【0038】
作動信号発生部621は、防排煙機器62が作動したことを示す作動信号を発生するブロックである。例えば、シャッター62Bの場合であれば、シャッター62Bの下限に設置されたリミットスイッチに触れることによる電圧変化により中継器65にシャッター62Bが作動したことを伝える。作動入力部622は、防排煙機器62が作動していない状態において、作動信号発生部621に作動信号を発生させるブロックである。例えば、シャッター62Bの場合であれば、シャッター62Bが作動していない状態において、上記のリミットスイッチをオン状態とすることにより、擬似的にシャッター62Bが作動した状態を作り出す。リミットスイッチをオン状態とする操作は、例えば、シャッター62B近傍に設けられたスイッチを用いて行われる。
【0039】
なお、ここで、防排煙機器62の「作動」とは、防火戸62Aやシャッター62Bの場合であれば、これらを閉鎖するように駆動部が動作したことを意味する。また、排煙機62Cの場合であれば、排煙機62Cの排煙ファンを回転させるために駆動部が動作したことを意味する。
【0040】
[実施形態の動作例]
次に、点検支援システム1の動作例について説明する。まず、携帯端末20を所持している点検者は、火災報知設備2の点検作業を開始する場合、携帯端末20を操作してウェブブラウザを起動する(
図5:ステップSa1)。点検者は、ウェブブラウザが起動した携帯端末20を操作してサーバ装置10へアクセスする。
携帯端末20がサーバ装置10へアクセスすると(ステップSa2)、サーバ装置10は、携帯端末20に対して端末IDを要求するメッセージを送信する(ステップSa3)。携帯端末20は、このメッセージを受信すると、不揮発性メモリに記憶されている端末IDを、この要求に応じてサーバ装置10へ送信する(ステップSa4)。
【0041】
サーバ装置10は、携帯端末20から送信された端末IDを受信すると、受信した端末IDが格納されているレコードを、点検予定テーブルにおいて検索する。例えば、サーバ装置10は、受信した端末IDが「578」である場合、端末IDのフィールドに「578」が格納されているレコードを点検予定テーブルにおいて検索する。ここで、
図3に示した点検予定テーブルの場合、端末ID「578」が格納されている1行目のレコードが検索される。
【0042】
次にサーバ装置10は、検索されたレコードに格納されている点検期間を抽出し、この時点の日時が抽出した点検期間内であるか判断する。サーバ装置10は、この時点の日時が抽出した点検期間内である場合、検索されたレコードに格納されている物件番号を抽出する。サーバ装置10は、設置データテーブルを要求するメッセージを、抽出した物件番号を記憶した通信端末40を宛先として送信する(ステップSa5)。
【0043】
このメッセージは、通信端末40で受信され、受信機30へ送られる(ステップSa6)。受信機30は、このメッセージを受信すると、不揮発性メモリに記憶している設置データテーブルを通信端末40へ出力する(ステップSa7)。通信端末40は、受信機30から出力された設置データテーブルをサーバ装置10へ送信する(ステップSa8)。
【0044】
サーバ装置10は、通信端末40から送信された設置データテーブルを物件番号に関連付けて記憶する。また、サーバ装置10は、ウェブページのデータを携帯端末20へ送信する(ステップSa9)。このデータを受信した携帯端末20においては、
図7に例示したウェブページが表示される(ステップSa10)。
図7に示した例においては、ウェブページ内にメインメニューが表示され複数のボタンが配置されている。ここで、点検者が「手動制御」のボタンの位置に触れると、携帯端末20がサーバ装置10と通信を行い(ステップSa11、Sa12)、
図8に例示した手動制御メニューを有するウェブページのデータが携帯端末20へ送信され、当該ウェブページが表示される(ステップSa13)。
【0045】
図8に例示した画面が表示されている状態において、点検者が数字ボタンの位置に触れると(ステップSa14)、触れた位置にあるボタンに対応した数字が、アドレスの表示領域に表示される(ステップSa15)。例えば、点検者が「37」のボタンの位置に触れると、
図9に例示したように、アドレスの表示領域に「37」が表示される。携帯端末20は、アドレスの表示領域に数字を表示すると、表示した数字、即ちアドレスを端末IDとともにサーバ装置10へ送信する(ステップSa16)。
【0046】
サーバ装置10は、携帯端末20から送信されたアドレスと端末IDを受信すると、受信した端末IDが格納されているレコードを点検予定テーブルにおいて検索し、受信したアドレスおよび受信した時間が、検索されたレコードに格納されている点検対象装置および点検器間内であるかを判断する。範囲内でない場合には、サーバ装置10は、点検範囲内でないことを知らせるウェッブページのデータを携帯端末20へ送信する。範囲内である場合には、サーバ装置10は、端末IDに基き物件番号を割り出し、受信したアドレスが格納されているレコードを、記憶した該当する物件番号の設置データテーブルにおいて検索する。例えば、サーバ装置10は、受信したアドレスが「37」である場合、アドレスのフィールドに「37」が格納されているレコードを設置データテーブルにおいて検索する。ここで、
図4に示した設置データテーブルの場合、アドレス「37」が格納されているレコードが検索される。サーバ装置10は、検索されたレコードの「種別」のフィールドと「メッセージ」のフィールドに格納されている情報を抽出し(ステップSa17)、抽出した情報を表示するウェブページのデータを携帯端末20へ送信する(ステップSa18)。例えば、
図4の設置データテーブルの、アドレス「37」が格納されているレコードが検索された場合、種別の情報として「防火戸」が表示され、「メッセージ」の情報として「1階西階段」が表示されるウェブページのデータが送信される。携帯端末20は、サーバ装置10から送信されたデータを受信すると、
図10に例示したウェブページを表示する。
なお、当該ウェブページでは、表示されている装置に対する作動試験の指示がまだ携帯端末20により行われていないため、「復帰」ボタンが非アクティブとなり、グレー表示される。
【0047】
次に、点検者は、表示されている装置の試験を行う場合、画面に表示されている「作動」ボタンの位置に触れる(ステップSa19)。点検者が「作動」ボタンの位置に触れると、表示されているアドレスの装置の試験の実行を指示するコマンドが入力されたことになり、入力されたコマンドを受付部201が受け付ける。受付部201が受け付けたコマンドは、表示されているアドレス及び記憶している端末IDと共にコマンド送信部202へ送られる。コマンド送信部202は、送られたコマンド、アドレス及び端末IDをサーバ装置10へ送信する。例えば、表示されているアドレスが「37」の場合、試験の実行を指示するコマンドと、アドレスの「37」がサーバ装置10へ送信される(ステップSa20)。なお、
図8〜10に例示した画面が表示されている状態において、点検者が「終了」のボタンの位置に触れると、携帯端末20で表示される画面は、
図7の画面に戻り、メニュー部分の表示がメインメニューに遷移する。
【0048】
サーバ装置10は、携帯端末20から送信されたコマンド、アドレス及び端末IDを受信し、受信したコマンドとアドレスの送信先を特定する(ステップSa21)。なお、送信先を特定する動作は、ステップSa4で端末IDを受信したときと同様であるため、その説明を省略する。コマンド中継部102は、携帯端末20から送信されたコマンドとアドレスとを、送信先として特定した通信端末40へ送信する(ステップSa22)。サーバ装置10から送信されたコマンド及びアドレスは、通信端末40により受信される。通信端末40のコマンド受信部402は、受信したコマンド及びアドレスを受信機30へ出力する(
図6:ステップSa23)。
【0049】
この出力されたコマンド及びアドレスは、試験部302が取得する。試験部302は、取得したコマンド及びアドレスに応じて、火災報知設備2が有する装置を試験する(ステップSa24)。例えば、試験部302は、取得したアドレスが「37」である場合、防火戸62Aが接続されている中継器65に対して試験の実行を指示する制御信号を送信する。
【0050】
制御信号を受信した中継器65の作動制御部651は、受信機30から送信された制御信号に基づいて、試験対象となる防火戸62Aの作動を制御する(ステップSa25)。具体的には、作動制御部651は、防火戸62Aを閉鎖するように防火戸62Aの駆動部を制御する。中継器65によって作動を制御された防火戸62Aの作動信号発生部621は、防火戸62Aが作動すると、防火戸62Aが作動したことを示す作動信号を発生する。中継器65の作動信号監視部652は、防火戸62Aから送信される作動信号を監視し、防火戸62Aにおいて作動信号が発生すると、当該信号を受信する(ステップSa26)。中継器65の作動信号送信部653は、防火戸62Aにおいて発生した作動信号を、防火戸62Aが接続されている中継器65(自己)のアドレスとともに受信機30に送信する(ステップSa27)。
【0051】
受信機30の作動信号受信部303は、中継器65から送信された作動信号とアドレスとを受信する。受信機30は、設置データテーブルにおいて受信したアドレスが格納されているレコードの「メッセージ」のフィールドに格納されているメッセージと、「種別」のフィールドに格納されている装置種別を抽出する。次に作動情報出力部301は、試験対象となった装置が作動したことを示す作動情報、当該装置のアドレス、抽出した装置種別及び抽出したメッセージを通信端末40へ出力する(ステップSa28)。
【0052】
通信端末40へ出力された作動情報、アドレス、メッセージ及び装置種別は、作動情報送信部401が受信する。作動情報送信部401は、受信した作動情報、アドレス、メッセージ、装置種別及び記憶している物件番号をサーバ装置10へ送信する(ステップSa29)。
サーバ装置10の作動情報表示指示部101は、通信端末40から送信された作動情報、アドレス、メッセージ、装置種別及び物件番号を受信する。作動情報表示指示部101が、作動情報、アドレス、装置種別及び物件番号を受信すると、サーバ装置10は、ウェブページのデータの送信先を特定する(ステップSa30)。具体的には、サーバ装置10は、受信した物件番号が格納されているレコードを点検予定テーブルにおいて検索する。例えば、サーバ装置10は、受信した物件番号が「011」である場合、物件番号のフィールドにおいて「011」が格納されているレコードを点検予定テーブルにおいて検索する。ここで、
図3に示した点検予定テーブルの場合、物件番号「011」が格納されている1行目のレコードが検索される。
【0053】
次にサーバ装置10は、検索されたレコードに格納されている点検期間を抽出し、この時点の日時が抽出した点検期間内であるか判断する。サーバ装置10は、この時点の日時が抽出した点検期間内である場合、検索されたレコードの「点検対象装置」のフィールドに受信したアドレスが格納されているか判断する。例えば、受信したアドレスが「37」である場合、検索されたレコードの点検対象装置のフィールドには、「1−55」というように、1から55までのアドレスを示す情報が格納されているため、受信したアドレスが格納されていることになる。
【0054】
情報生成部103は、受信したアドレスが検索されたレコードに格納されている場合、検索されたレコードに格納されている端末IDを抽出し、抽出した端末IDで特定される携帯端末20に表示させるウェブページのデータを生成する(ステップSa31)。
具体的には、情報生成部103は、
図11に例示したように、試験対象となった装置が作動したことを知らせるメッセージ(作動中)、受信した装置種別(防火戸)、受信したアドレス(37)、受信したメッセージ(一階西階段)及び
図7に例示した手動制御メニューを有するウェブページを表すデータを生成する。この生成されたデータは、作動情報表示指示部101により、上記の抽出された端末IDで特定される携帯端末20へ送信される(ステップSa32)。
【0055】
携帯端末20の情報受信部203は、サーバ装置10から送信されたデータを受信する。情報受信部203がデータを受信すると、携帯端末20は、受信したデータが表すウェブページをタッチスクリーンに表示する(ステップSa33)。これにより、
図11に例示したウェブページが携帯端末20において表示される。なお、当該ウェブページでは、表示されている装置に対する作動試験の指示がすでに携帯端末20により行われているため、「作動」ボタンが非アクティブとなり、グレー表示される。一方、「復帰」ボタンは、アクティブとなっている。
【0056】
図11に例示した画面が表示されている状態において、点検者が「復帰」ボタンの位置に触れると(ステップSa34)、表示されているアドレスの装置の復帰を指示するコマンドが入力されたことになり、入力されたコマンドを受付部201が受け付ける。受付部201が受け付けたコマンドは、表示されているアドレス及び記憶している端末IDと共にコマンド送信部202へ送られる。コマンド送信部202は、送られたコマンド、アドレス及び端末IDをサーバ装置10へ送信する(ステップSa35)。
【0057】
サーバ装置10は、携帯端末20から送信されたコマンド、アドレス及び端末IDを受信し、受信したコマンドとアドレスの送信先を特定する(ステップSa36)。なお、送信先を特定する動作は、ステップSa4で端末IDを受信したときと同様であるため、その説明を省略する。コマンド中継部102は、携帯端末20から送信されたコマンドとアドレスとを、送信先として特定した通信端末40へ送信する(ステップSa37)。サーバ装置10から送信されたコマンド及びアドレスは、通信端末40により受信される。通信端末40のコマンド受信部402は、受信したコマンド及びアドレスを受信機30へ出力する(ステップSa38)。
【0058】
受信機30は、出力されたコマンド及びアドレスに応じて、防排煙機器62の復帰を行う(ステップSa39)。例えば、試験部302は、取得したアドレスが「37」である場合、防火戸62Aに接続される中継器65に対して防火戸62Aの復帰を指示する制御信号を送信する。制御信号を受信した中継器65は、受信機30から送信された制御信号に基づいて、制御対象となる防火戸62Aの復帰を行う(ステップSa40)。具体的には、中継器65は、防火戸62Aを開放するように防火戸62Aの駆動部を制御する。なお、制御対象がシャッター62Bであった場合には、中継器65は、シャッター62Bを開くようにシャッター62Bの駆動部を制御する。
【0059】
なお、上述した実施形態において、試験の実行を指示するコマンドの送信先となった防排煙機器62において所定の時間内に作動信号が発生しなかった場合には、異常の発生を示す情報が中継器65から受信機30へ送信され、この情報は、通信端末40を介してサーバ装置10へ送信される。サーバ装置10は、この情報を受信すると、携帯端末20から送信されたアドレスの防排煙機器62に異常があることを示すウェブページを携帯端末20へ送信し、携帯端末20は、送信されたウェブページを表示する。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、点検者が受信機30を操作しなくても、携帯端末20を操作することにより、防排煙機器62の作動試験を行うことができる。
また、本実施形態においては、試験を行った防排煙機器62は、作動し、携帯端末20は、
図11に例示したように、試験を行った防排煙機器62のアドレスや設置場所、種別などを表示する。作動している装置がある場所と、携帯端末20に表示された設置場所との一致を点検者が確認すれば、設置データテーブルにおけるアドレスと設置場所(メッセージ)との対応付けが正しいか確認することができる。
【0061】
なお、携帯端末20に表示された設置場所に点検者がいるにも関わらず、表示された設置場所にある防排煙機器62が作動していない場合、指定されたアドレスの防排煙機器62は他の場所にあることになり、アドレスと設置場所(メッセージ)との対応付けが誤っていることになる。この場合、防排煙機器62に設定されているアドレス又は設置データテーブルの内容を設定し直せばよい。
【0062】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0063】
上記の実施形態に係る動作例では、携帯端末20に対する操作を契機として、
図9に例示されるような作動試験を指示するための画面が携帯端末20に表示されるが、防排煙機器62に対する操作を契機として、当該画面を携帯端末20に表示させるようにしてもよい。
図12は、本変形例に係る動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0064】
点検者が防排煙機器62に対して所定の操作を行うと、防排煙機器62の作動入力部622は、防排煙機器62が作動していない状態において、作動信号発生部621に作動信号を発生させる(ステップSb1)。中継器65の作動信号監視部652は、防排煙機器62から送信される作動信号を監視し、防排煙機器62において作動信号が発生すると、当該信号を受信する(ステップSb2)。中継器65の作動信号送信部653は、防排煙機器62において発生した作動信号を、防排煙機器62のアドレスとともに受信機30に送信する(ステップSb3)。
【0065】
受信機30の作動信号受信部303は、中継器65から送信された作動信号とアドレスとを受信する。受信機30は、設置データテーブルにおいて受信したアドレスが格納されているレコードの「メッセージ」のフィールドに格納されているメッセージと、「種別」のフィールドに格納されている装置種別を抽出する。次に作動情報出力部301は、防排煙機器62が作動したことを示す作動情報、当該装置のアドレス、抽出した装置種別及び抽出したメッセージを通信端末40へ出力する(ステップSb4)。
【0066】
通信端末40へ出力された作動情報、アドレス、メッセージ及び装置種別は、作動情報送信部401が受信する。作動情報送信部401は、受信した作動情報、アドレス、メッセージ、装置種別及び記憶している物件番号をサーバ装置10へ送信する(ステップSb5)。
サーバ装置10の作動情報表示指示部101は、通信端末40から送信された作動情報、アドレス、メッセージ、装置種別及び物件番号を受信する。作動情報表示指示部101が、作動情報、アドレス、装置種別及び物件番号を受信すると、サーバ装置10は、ウェブページのデータの送信先を特定する(ステップSb6)。具体的には、サーバ装置10は、受信した物件番号が格納されているレコードを点検予定テーブルにおいて検索する。
【0067】
次にサーバ装置10は、検索されたレコードに格納されている点検期間を抽出し、この時点の日時が抽出した点検期間内であるか判断する。サーバ装置10は、この時点の日時が抽出した点検期間内である場合、検索されたレコードの「点検対象装置」のフィールドに受信したアドレスが格納されているか判断する。
【0068】
情報生成部103は、受信したアドレスが検索されたレコードに格納されている場合、検索されたレコードに格納されている端末IDを抽出し、抽出した端末IDで特定される携帯端末20に表示させるウェブページのデータを生成する(ステップSb7)。
具体的には、情報生成部103は、
図11に例示したように、防排煙機器62が作動したことを知らせるメッセージ(作動中)、受信した装置種別(防火戸)、受信したアドレス(37)、受信したメッセージ(一階西階段)及び
図7に例示した手動制御メニューを有するウェブページを表すデータを生成する。この生成されたデータは、作動情報表示指示部101により、上記の抽出された端末IDで特定される携帯端末20へ送信される(ステップSb8)。
【0069】
携帯端末20の情報受信部203は、サーバ装置10から送信されたデータを受信する。情報受信部203がデータを受信すると、携帯端末20は、受信したデータが表すウェブページをタッチスクリーンに表示する(ステップSb9)。これにより、
図11に例示したウェブページが携帯端末20において表示される。なお、当該ウェブページでは、表示されている装置に対する作動試験の指示が携帯端末20によって行われていないため、「復帰」ボタンが非アクティブとなり、グレー表示される。一方、「作動」ボタンは、アクティブとなっている。
【0070】
図11に例示した画面が表示されている状態において、点検者が「作動」ボタンの位置に触れると、表示されているアドレスの装置の作動を指示するコマンドが入力されたことになり、入力されたコマンドを受付部201が受け付ける。受付部201が受け付けたコマンドは、表示されているアドレス及び記憶している端末IDと共にコマンド送信部202へ送られる。コマンド送信部202は、送られたコマンド、アドレス及び端末IDをサーバ装置10へ送信する。これ以降の処理は、
図5及び
図6のステップSa21〜Sa40の処理と共通するため、その説明を省略する。
【0071】
本変形例によれば、点検者は、防排煙機器62を作動させなくても、携帯端末20に表示される作動情報を確認することにより、自身が操作した防排煙機器62が、設置データテーブルにおいて、正しい設置場所(メッセージ)と対応づけられているか否かを確認することができる。また、点検者は、自身が操作した防排煙機器62が、設置データテーブルにおいて、正しい設置場所(メッセージ)と対応づけられていることを確認してから作動試験を行うことができるため、誤って異なる場所の防排煙機器62を作動させてしまうことを防ぐことができる。また、
図11に示されるように、試験対象が指定された状態で画面が表示されるため、点検者は「作動」ボタンを押すだけで、目的の防排煙機器62の試験を行うことができる。
【0072】
また、上述した実施形態において、受信機30はR型となっているが、R型に限定されるものではなく、P型(Proprietary-type)の受信機であってもよい。
また、上述した実施形態においては、地区音響装置61や防火戸62A、シャッター62B、排煙機62Cなどは中継器65に接続され、中継器65を介して受信機30から制御されるが、中継器65を介さずに受信機30に接続し、受信機30から各装置を直接制御するようにしてもよい。
【0073】
上述した実施形態においては、設置データテーブルを受信機30からサーバ装置10へ送信してサーバ装置10が記憶するようにしたが、設置データテーブルを事前にサーバ装置10に記憶させるようにしてもよい。また、設置データテーブルをサーバ装置10に記憶させず、携帯端末20にアドレスを入力するたびに受信機30にアドレスを送信して、受信機30が設置データテーブルからアドレスに対応した「種別」や「メッセージ」をサーバ装置10に送るようにしてもよい。
【0074】
上述した実施形態において、点検支援システム1は、サーバ装置10を含む構成となっているが、サーバ装置10を備えない構成であってもよい。例えば、通信端末40に点検予定テーブルを記憶させ、通信端末40において、サーバ装置10が有する機能が実現するようにしてもよい。この構成によれば、サーバ装置10を中継せずに通信端末40と携帯端末20とが情報やコマンドをやり取りするため、送られた情報やコマンドが送信先に到達するまでの時間を短くすることができる。
【0075】
上述した実施形態においては、防排煙機器62を試験するコマンドを受け付けるユーザインターフェースや、受信機30が出力した情報の表示をサーバ装置10から送信されるウェブページで実現しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、防排煙機器62を試験するためのユーザインターフェースの表示や、受信機30が出力した情報の表示を行うアプリケーションプログラムを携帯端末20に記憶させ、この記憶したプログラムを実行することで、防排煙機器62を試験するためのユーザインターフェースや、受信機30が出力した情報の表示を実現するようにしてもよい。