(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているタクシーメータでは、タリフの表示状態を段階的に反転表示に切り替えることにより、料金アップ(運賃上がり)のタイミングを乗客に知らせている。
【0005】
また、タクシーメータの中には、運賃上がりが発生するまでの残りの走行距離に応じて、当該走行距離の残量を示すバーを表示部に表示するものがある。これによっても、乗客及び乗務員は、運賃上がりが発生するタイミングを把握することができる。
【0006】
また、一般的なタクシーメータは、遠距離割引や深夜・早朝割増が発生している場合には、「遠距」、「2割増」等のテキストを表示部に表示する。これにより、乗客は、当該割引又は割増が発生していることを把握することができる。
【0007】
近年では、より利便性を向上したタクシーメータが求められている。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、利便性を向上したタクシーメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシーメータは、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 現在の走行時間及び現在の走行距離
を含む算出基準
のうちの少なくとも一つに基づいて算出される現在の運賃を示す運賃画像を出力する画像表示式の表示部と、
走行時間に関する設定値である設定時間、走行距離に関する設定値である設定距離、及び
、運賃に関する設定値である設定運賃
を含む設定値群のうちの少なくとも1つ
を格納する記録部と、
を備え、
前記設定時間と前記走行時間との差が
第1閾値以下
であるとの条件、前記設定距離と前記走行距離との差が
第2閾値以下
であるとの条件、及び
、前記設定運賃と前記現在の運賃との差が
第3閾値以下
であるとの条件を含む条件群のうちの少なくとも1つ
が成立した場合
、前記運賃画像が
、成立した条件ごとに異なる表示態様での強調表示
を伴って前記表示部に出力される、
こと。
(2)前記算出基準
が、現在時刻
を更に含
み、
前記設定値群が、前記現在時刻に関する設定値である設定時刻
を更に含み、
前記条件群が、前記設定時刻と前記現在時刻との差が
第4閾値以下
であるとの条件を更に含む、
こと。
(3) 上記(1)又は(2)の構成のタクシーメータであって、
前記
表示態様が、
前記運賃画像中に数値表示された前記現在の運賃が
前記強調表示を伴わないときの表示大きさに比べて拡大
される
こと、
前記現在の運賃の色彩
が前記強調表示を伴わないときの色彩と異なるように変更される
こと、前記運賃画像の少なくとも一部が点滅される
こと、及び
、前記運賃画像のコントラストが
前記強調表示を伴わないときのコントラストと異なるように変更される
こと、のうちの少なくとも1つ
である、
こと。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1つの構成のタクシーメータであって、
操作入力を受け付ける操作部を更に備え、
前記操作部が受け付けた
前記操作入力に
従い、前記記録部に格納された前記
設定値群のうちの少なくとも1つが書き換えられる、
こと。
【0010】
従来のタクシーメータでは、乗客は、割引や割増等の運賃に関するイベントがいつ発生するのかを把握できなかった。
これに対して、上記(1)の構成のタクシーメータによれば、運賃に関するイベントの発生が近づいている場合に運賃画像が
そのイベントごとに異なる表示態様にて強調表示されるので、運賃に関するイベントの発生が近づいていることを乗客に気付かせることができ、利便性を向上したタクシーメータを提供することができる。
例えば、割引料金の適用が開始される走行時間(走行距離)を設定時間(設定距離)として予め設定しておくことにより、乗客が当該割引料金の発生前であることに気付かずに目的地よりもかなり前で降車する等の不利益の発生を抑制することができる。また、例えば、乗客の要望による所定の運賃を予め設定運賃として設定しておくことにより、現在の運賃が当該設定運賃に近づいた場合に乗客及び乗務員に注意を促すことができる。
上記(2)の構成のタクシーメータによれば、設定時刻と現在時刻との差が所定の閾値以下となった場合にも運賃画像が強調表示され得る。このため、例えば、割増料金の適用が開始される割増時間帯の開始時刻を設定時刻として設定しておくことにより、現在時刻が割増時間帯に近づいていることを乗客に気付かせることができる。この結果、乗車中に割増時間帯に入った場合に、乗客が気付かないまま割増料金が適用されるといった不利益の発生を抑制することができる。
上記(3)の構成のタクシーメータによれば、運賃画像を強調表示することができる。また、2以上の
表示態様を用いた場合には、種々のパターンで強調表示が可能であるので、乗務員や乗客の注意を喚起し易い。
上記(4)の構成のタクシーメータによれば、
設定値群に含まれる各種の設定値が操作部の操作入力によって書き換え可能であるので、設定値を随時変更することができ、使い勝手が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利便性を向上したタクシーメータを提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のタクシーメータに関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるタクシーメータ1のハードウェアの構成例を示す図である。タクシーメータ1は、演算部11、表示部12、操作部13、営業データ格納部14、設定データ格納部15、外部インタフェース(I/F)16、及びメモリカードI/O部17を備えている。
【0016】
タクシーメータ1は、表示部12のメータ画面12aに現在の運賃を示す運賃画像を表示することにより乗客及び乗務員に現在の運賃の額を呈示する機能を有する、画像表示式のタクシーメータであり、タクシー車両に搭載されて用いられる。
タクシーメータ1は、現在の走行時間、現在の走行距離、及び現在時刻を運賃の算出基準として、当該算出基準に基づいて現在の運賃を算出する。例えば、タクシーメータ1は、賃走開始後、所定時間だけ走行時間が経過する毎に所定額だけ運賃を加算する。また、例えば、タクシーメータ1は、賃走開始後、所定距離だけ走行する度に所定額だけ運賃を加算する。また、例えば、タクシーメータ1は、現在時刻が割増時間帯(例えば、23:00〜翌日5:00。)に属する場合には、所定の割合だけ運賃を割増して算出する。また、例えば、タクシーメータ1は、賃走開始からの走行距離が所定の距離(例えば、30km。)を超えた場合には、遠距離割引として所定の割合だけ運賃を割引して算出する。また、例えば、タクシーメータ1は、賃走開始からの走行時間が所定の時間(例えば、1時間。)を超えた場合には、時間割引として所定の割合だけ運賃を割引して算出する。
尚、本実施形態では、走行時間及び走行距離の双方を運賃の算出基準としたが、走行時間及び走行距離のいずれか一方のみが算出基準とされても構わない。
【0017】
演算部11は、周知のCPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11b、RAM(Random Access Memory)11c、時刻を計時するタイマ11d等を有し、タクシーメータ全体を制御するとともに、表示部12の運賃画像の出力を制御する。ROM11bには、CPU11aによって実行される、後述する動作プログラムが格納されている。RAM11cには、後述する強調表示設定を満たしている場合にセットされる各種フラグ(時間フラグ、距離フラグ、金額フラグ、割増フラグ等)のオンオフ状態を記録するための領域が確保されている。
【0018】
表示部12は、液晶ディスプレイからなり、メータ画面12aに運賃画像を表示することによって現在の運賃を表示する。運賃画像の具体例については後述する。操作部13は、乗務員によって操作可能な、強調表示ボタン13a、賃走ボタン13b、入力ボタン13c等の各種タリフスイッチを有して各種入力を受け付ける。強調表示ボタン13aが押下されることによって、タクシーメータ1が強調表示モードに設定される。
【0019】
営業データ格納部14は、RAMを有し、営業データとして、賃走毎に走行時間、走行距離、運賃等のデータを記録する。設定データ格納部(記録部)15は、ROMを有し、後述する設定値テーブル15a等の各種データを記録する。この設定値テーブル15aの登録内容は、入力ボタン13cやハンディターミナル22等が受け付けた操作入力に従って書き換えられる。
【0020】
外部I/F16には、タクシー車両の走行距離を計測する走行距離計21、各種入力を受け付け可能なハンディターミナル(操作部)22、プリンタ(図示せず。)、ETC車載器(図示せず。)等が接続される。メモリカードI/O部17には、挿抜自在なメモリカード(図示せず。)が装着される。
【0021】
図2は、タクシーメータ1の外観を示す前方斜視図である。タクシーメータ1の筐体前面には、表示部12のメータ画面12aが設けられ、その周囲には、強調表示ボタン13a、賃走ボタン13b、入力ボタン13c等を有する操作部13が配置されている。
【0022】
図3は、設定データ格納部15に登録された設定値テーブル15aの登録内容を示す図である。設定値テーブル15aには、設定値の一例として、遠距離割引が適用される走行距離について設定された距離(設定距離)である30kmが登録されている。また、時間割引が適用される走行時間について設定された時間(設定時間)である1時間、及び乗客の要望に応じて設定された運賃(設定運賃)である2000円が登録されている。尚、設定値として、必ずしも設定距離、設定時間、及び設定運賃の全てが登録されている必要はなく、少なくとも1つが登録されていればよい。
【0023】
また、前述したように、設定値テーブル15aの登録内容は、操作部13に含まれる入力ボタン13cやハンディターミナル22が受け付けた操作入力によって書き換え可能であるので、設定値は随時変更可能である。
【0024】
上記構成を有するタクシーメータ1の動作について説明する。
図4は、タクシーメータ1の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムは、演算部11内のROM11bに格納されており、CPU11aによって実行される。
【0025】
動作開始後、まず、演算部11は、賃走ボタン13bの押下を待ち受ける(ステップS1)。賃走ボタン13bが押下されると、演算部11は、タイマ11dから得られる走行時間情報、及び走行距離計21から得られる走行距離情報を更新する(ステップS2)。尚、演算部11が保持している走行時間及び走行距離の値は、賃走ボタン13bが新たに押下されることによって値0にリセットされる。
【0026】
続いて、演算部11は、強調表示ボタン13aが押下されることによって現在のモードが強調表示モードに設定されているか否かを判別する(ステップS3)。強調表示モードに設定されていない場合(通常モードである場合)、演算部11は、通常の運賃画像を出力し、表示部12に通常のメータ表示を実行させる(ステップS13)。この後、演算部11はステップS1の処理を再び実行する。
【0027】
一方、ステップS3で強調表示モードに設定されている場合、演算部11は、現在の走行時間と設定値テーブル15aに登録されている設定時間との差分である第1差分が第1閾値(所定の閾値)以下であるか否かを判別する(ステップS4)。第1閾値は、時間割引が適用される設定時間への到達が近いことを表す値が設定され、例えば到達までに要する時間として3分、5分等の時間が設定される。上記第1差分が第1閾値以下でない場合、演算部11は、そのままステップS6の処理に進む。一方、上記第1差分が第1閾値以下である場合、演算部11は、RAM11c内の時間フラグをオンにセットする(ステップS5)。
【0028】
続いて、演算部11は、現在の走行距離と設定値テーブル15aに登録されている設定距離との差分である第2差分が第2閾値以下であるか否かを判別する(ステップS6)。第2閾値は、遠距離割引が適用される設定距離への到達が近いことを表す値が設定され、例えば到達までに要する距離として500m、1km等の距離が設定される。上記第2差分が第2閾値以下でない場合、演算部11は、そのままステップS8の処理に進む。一方、上記第2差分が第2閾値以下である場合、演算部11は、RAM11c内の距離フラグをオンにセットする(ステップS7)。
【0029】
続いて、演算部11は、現在の運賃と設定値テーブル15aに登録されている設定運賃との差分である第3差分が第3閾値以下であるか否かを判別する(ステップS8)。第3閾値は、設定運賃への到達が近いことを表す値が設定され、例えば到達までに要する金額として100円、300円等の金額が設定される。上記第3差分が第3閾値以下でない場合、演算部11は、そのままステップS10の処理に進む。一方、上記第3差分が第3閾値以下である場合、演算部11は、RAM11c内の金額フラグをオンにセットする(ステップS9)。
【0030】
演算部11は、時間フラグ、距離フラグ及び金額フラグのうち、オンとなって設定値を満たしているフラグの数が所定数以上であるか否かを判別する(ステップS10)。ここでは、所定数は値1、値2、値3のいずれかの値が設定されている。例えば、値1の場合、時間フラグ、距離フラグ、金額フラグのいずれかがオンであると、後述する強調表示の適用対象となる。また、値3の場合、全てのフラグがオンであれば、強調表示の適用対象となる。尚、ここでは、オンになったフラグの数で判別しているが、特定のフラグ(例えば、距離フラグのみ、或いはは距離フラグと時間フラグの両方。)を予め指定しておき、そのフラグがオンになっているか否かで判別するようにしてもよい。
【0031】
ステップS10でオンになったフラグの数が所定数を満たしていない場合、演算部11はステップS2の処理を再び実行する。
【0032】
一方、オンになったフラグの数が所定数を満たしている場合、演算部11は、表示部12に運賃の強調表示(強調したメータ表示)を実行させる(ステップS11)。
【0033】
その後、演算部11は、目的地に到着して精算のボタンが押下された場合等、賃走状態以外の状態になったか否かを判別する(ステップS12)。賃走状態のままである場合には、演算部11はステップS11の処理を再び実行する。
【0034】
一方、賃走状態以外の状態になった場合、ステップS13で、演算部11は、強調表示を解除し、表示部12に通常のメータ表示を行わせる。このように、賃走状態の時に限って強調表示することで、絶えず強調表示することなく、注意を喚起するという強調表示の効果を高めることができる。その後、演算部11は、ステップS1の処理に戻る。また、このとき、演算部11は、時間フラグ、距離フラグ及び金額フラグをそれぞれオフにリセットする。
【0035】
次に、表示部12のメータ画面12aにおける表示の遷移を、遠距離割引が適用される設定距離への到達が近づいた場合を例として説明する。
図5は、遠距離割引に近づいたときに強調表示が行われる場合におけるメータ画面12aの遷移を例示する図である。賃走中、通常のメータ表示では、
図5(a)に示すように、メータ画面12aは、表示部12の画面領域の上部に余白を残して表示される。ここでは、「賃走」、「運賃」、「1000円」のテキストが通常サイズで表示される。
【0036】
遠距離割引に近づいて強調表示が開始されると、
図5(b)に示すように、数値表示された運賃である「3000円」のテキストが、
図5(a)における場合よりも少し大きなサイズで表示される。尚、「賃走」、「運賃」のテキストは通常サイズのままである。
【0037】
さらに、遠距離割引の適用が開始された後、メータ画面12aは、
図5(c)に示すように、表示部12の画面領域の全域に拡大され、「4000円」のテキストが更に大きなサイズで表示される。また、遠距離割引が適用されたことを表す「遠距」のテキストが、「賃走」、「運賃」のテキストと並んで通常サイズで表示される。尚、この場合も、「賃走」、「運賃」のテキストは通常サイズのままである。
【0038】
尚、
図5では、走行距離が遠距離割引に近づいたとき及び遠距離割引後において、強調表示を行う場合について例示したが、運賃が時間割引に近づいたとき、及び乗客の要望の設定運賃に近づいたときにも同様に強調表示を行うことができる。また、
図5では、運賃を表すテキストの大きさを拡大する場合を示したが、この強調表示は一例であり、種々の表示態様(パターン)が採用可能である。
【0039】
図6は、遠距離割引に近づいたときに強調表示が行われる場合におけるメータ画面12aの他の遷移を例示する図である。
図6(a)に示すように、通常のメータ画面12aにおいて、遠距離割引に近づいて強調表示が開始されると、
図6(b)に示すように、メータ画面12a全体が点滅して表示される。このとき、「賃走」、「運賃」、「3000円」のテキストのサイズは変化せず、通常サイズのままである。ただし、「1000円」、「3000円」のテキストの通常サイズは、少し大きなサイズになっている。尚、点滅する領域は、メータ画面全体でもよいし、「運賃」や「3000円」といった一部の領域だけでもよい。
尚、メータ画面12a(運賃画像)の全体が点滅するのではなく、その一部が点滅する構成としても構わない。
【0040】
遠距離割引が行われた後、メータ画面12aは、
図6(c)に示すように表示される。即ち、メータ画面12aは表示部12の画面領域の全域に拡大され、「遠距」のテキストが「賃走」、「運賃」、「4000円」のテキストと並んで通常サイズで表示され、さらに、メータ画面12aのコントラストは反転表示される。尚、メータ画面のコントラストの変更として、コントラストを反転させる代わりに、単にコントラストを変化させるだけでもよい。
【0041】
また、強調表示を行う際、メータ画面の色彩を変更するようにしてもよい。例えば、遠距離割引に近づいて強調表示が開始されると、運賃を表示する数値の文字色が青色に変更され、遠距離割引が行われた後、当該文字色が赤色に変更されるようにしてもよい。
【0042】
以上説明した第1の実施形態におけるタクシーメータによれば、メータ画面の変化から、遠距離割引に近づいたこと、さらには、遠距離割引が適用されていることを乗客及び乗務員が容易に知ることができる。したがって、乗客が割引料金の発生前であることに気付かずに目的地よりもかなり前で降車する等の不利益の発生を抑制することができる。
【0043】
また、その他のイベントとして、走行時間が、割引が適用される時間に近づいて強調表示を行う場合においても、乗客が割引料金の発生前であることに気付かずに目的地よりもかなり前で降車する等の不利益の発生を抑制することができる。
【0044】
また、運賃が、乗客の要望に応じて予め設定された設定運賃(例えば、2000円。)に近づいた場合に強調表示を行う場合には、設定運賃に近づくと強調表示が行われるので、乗客及び乗務員に注意を促すことができる。
【0045】
また、これらのイベントの動作においても、前述した種々のパターンの強調表示を適用することが可能である。また、例えば、当該イベント毎にパターンを切り替えて用いた場合には、乗務員や乗客の注意をより喚起することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態では、設定された走行距離、走行時間、運賃に近づいた場合に強調表示が行われる場合を示したが、第2の実施形態では、さらに、現在時刻が割増時間帯に近づいた場合にも、強調表示が行われる。尚、第2の実施形態のタクシーメータの基本的な構成は前記第1の実施形態と同様であるので、前記第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態では、設定値テーブル15aには、設定距離、設定時間、及び設定運賃に加えて、現在時刻に関する設定値である割増時間帯(設定時刻)が登録されている。割増時間帯としては、例えば23:00〜翌日5:00等が挙げられる。尚、第1の実施形態の場合と同様に、設定値としては、必ずしも設定距離、設定時間、設定運賃、及び設定時刻の全てが登録されている必要はなく、少なくとも1つが登録されていればよい。
【0048】
また、タクシーメータ1の動作手順は、
図4に示した手順とほぼ同様である。即ち、ステップS3で強調表示の設定が行われていた場合、演算部11は、内蔵するタイマ11dから現在時刻を取得し、現在時刻と割増時間帯の開始時刻である設定時刻との差分である第4差分が第4閾値以下であるか否かを判別する。第4閾値は、割増時間帯への到達が近いことを表す値が設定され、例えば到達までに要する時間として3分、5分等の時間が設定される。演算部11は、上記第4差分が第4閾値以下でない場合には、そのまま次のスッテプの処理を実行し、一方、上記第4差分が第4閾値以下である場合には、割増フラグをオンに設定し、ステップS4以降の処理に進む。
【0049】
図7は、第2の実施形態において、割増時間帯に近づいたときに強調表示が行われる場合におけるメータ画面12aの遷移を示す図である。
図7(a)は、
図5と同様、強調表示の開始時に運賃を表す「3000円」のテキストを少し大きく表示し、割増料金が適用された後に運賃を表す「4000円」のテキストを大きく表示する場合を示す。
図7(b)は、
図6と同様、強調表示の開始時にメータ画面12aを点滅表示し、割増料金が適用された後にメータ画面12aのコントラストを反転表示する場合を示す。また、前記第1の実施形態と同様、強調表示を行う際、メータ画面の色を変更するようにしてもよい。
【0050】
第2の実施形態におけるタクシーメータによれば、メータ画面の変化から、割増時間帯に近づいたこと、さらには、割増料金が適用されていることを容易に知ることができる。この結果、乗車中に割増時間帯に入った場合に、乗客が気付かないまま割増料金が敵ようされるといった不利益の発生を抑制することができる。
【0051】
以下では、実施形態に係るタクシーメータ1について纏める。
【0052】
実施形態に係るタクシーメータ1は、現在の走行時間及び現在の走行距離の少なくとも一方である算出基準に基づいて算出される現在の運賃を示す運賃画像を出力する画像表示式の表示部12と、走行時間に関する設定値である設定時間、走行距離に関する設定値である設定距離、及び運賃に関する設定値である設定運賃の少なくとも1つの設定値を格納する設定データ格納部(記録部)15と、を備えている。そして、前記設定時間と前記走行時間との差が第1閾値以下となった場合、前記設定距離と前記走行距離との差が第2閾値以下となった場合、及び前記設定運賃と前記現在の運賃との差が第3閾値以下となった場合のうちの少なくとも1つの場合に、運賃画像が強調表示されて表示部12に出力される。
【0053】
また、実施形態に係るタクシーメータ1では、運賃の算出基準に現在時刻が含まれる。特に、第2の実施形態に係るタクシーメータ1では、設定データ格納部15が、前記設定時間、前記設定距離、前記設定運賃、及び現在時刻に関する設定値である設定時刻のうちの少なくとも1つの設定値を格納する。そして、前記設定時間と前記走行時間との差が所定の閾値以下となった場合、前記設定距離と前記走行距離との差が所定の閾値以下となった場合、前記設定運賃と前記現在の運賃との差が所定の閾値以下となった場合、及び前記設定時刻と前記現在時刻との差が所定の閾値以下となった場合のうちの少なくとも1つの場合に、運賃画像が強調表示されて表示部12に出力される。
【0054】
また、実施形態に係るタクシーメータ1では、運賃画像は、運賃画像中に数値表示された現在の運賃が拡大表示される、数値表示された現在の運賃の色彩が変更される、運賃画像の少なくとも一部が点滅される、及び該運賃画像のコントラストが変更される、のうちの少なくとも1つの手段により、強調表示される。
【0055】
また、実施形態に係るタクシーメータ1は、各種入力を受け付ける操作部13及びハンディターミナル22を更に備えている。そして、操作部13及びハンディターミナル22が受け付けた操作入力にしたがって、設定データ格納部15に格納された設定値が書き換えられる。
【0056】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、賃走状態において遠距離割引に近づいた場合や割増時間帯に近づいた場合のみに強調表示を行ったが、その他の状態においても強調表示を行うようにしてもよい。即ち、支払状態、合計状態、割増状態、貸切状態等においても強調表示を行うようにしてもよい。