特許第6042713号(P6042713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6042713-アルデヒドの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042713
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】アルデヒドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/29 20060101AFI20161206BHJP
   C07C 47/02 20060101ALI20161206BHJP
   B01J 23/72 20060101ALI20161206BHJP
   B01J 23/74 20060101ALI20161206BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161206BHJP
【FI】
   C07C45/29
   C07C47/02
   B01J23/72 Z
   B01J23/74 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-275987(P2012-275987)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-118394(P2014-118394A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】荒井 翼
(72)【発明者】
【氏名】河野 潤
(72)【発明者】
【氏名】松井 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】小玉 悟史
(72)【発明者】
【氏名】西村 涼
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−342675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 45/29
C07C 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化させた第1級アルコールを含むガスを、脱水素触媒と接触させ、前記第1級アルコールを脱水素し、アルデヒドを得るアルデヒドの製造方法であって、
前記脱水素触媒が、支持体上に、粉末触媒と、バインダーとしてケイ素含有樹脂とを含有する薄膜状の触媒層を設けてなるフィルム型脱水素触媒であり、
前記ケイ素含有樹脂が、ポリオルガノシロキサン又はポリチタノカルボシランであるアルデヒドの製造方法。
【請求項2】
前記フィルム型脱水素触媒が、前記支持体上に前記粉末触媒と前記ケイ素含有樹脂との混合物を塗工し、前記ケイ素含有樹脂を硬化することにより、前記粉末触媒を支持体上に固定したものである、請求項1に記載のアルデヒドの製造方法。
【請求項3】
前記ガスが、更に不活性ガスを含む、請求項1または2に記載のアルデヒドの製造方法。
【請求項4】
前記脱水素触媒が、活性種として銅を含む請求項1〜3のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【請求項5】
前記脱水素触媒が、活性種として、更に亜鉛または鉄を含む請求項4に記載のアルデヒドの製造方法。
【請求項6】
第1級アルコールが、炭素数4〜18の飽和脂肪族アルコールである、請求項1〜5のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【請求項7】
前記ガスを脱水素触媒と接触させる工程が、前記ガスを、前記フィルム型脱水素触媒を充填した反応器に連続的に流通させることにより行われる、請求項1〜6のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルデヒドは、化学反応用の原料や香料素材として有用な化合物である。なかでも特定の分子量を有する脂肪族アルデヒドは、それのみで香料素材として有用であり、更には異なる香調を有する誘導体の原料としても用いられている。
【0003】
アルデヒドの製造方法としては、旧来よりアルコールを原料とした脱水素反応や酸化反応等が知られている。この中でも、脱水素反応は、酸化反応が発熱反応であるのに対して、吸熱反応であるため、その反応の熱的制御の容易さからアルデヒドの製造方法として多用されており、その触媒についても検討がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、簡易なプロセスでありながら高収率で製造することを目的として、アルコールを原料としてアルデヒドを製造する際に用いる、アルデヒド製造用フィルム型脱水素反応触媒の存在下、アルコールを反応させるアルデヒドの製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、収率及び選択率を向上させることを目的として、200〜280℃の温度および10mbar〜1barの圧力において、銅/亜鉛酸化物触媒の存在下、脂肪アルコールを連続的に脱水素するアルデヒドの製造方法が開示されている。
【0006】
一方、特許文献3には、光触媒による結着剤の分解・劣化を低減し、触媒粒子を強固に長期間にわたって接着した光触媒体を得ることを目的として、ポリオルガノシロキサンを含む難分解性結着剤を可溶な溶媒に分散させた塗料組成物を用い、塗料組成物を基体に塗布しあるいは吹き付け、室温〜200℃の温度で乾燥し200℃よりも高い温度の加熱処理を行わずに光触媒粒子を接着して得る光触媒体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−342675号公報
【特許文献2】特表2004−501881号公報
【特許文献3】特開2009−160581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
気相反応によるアルコールの脱水素反応によるアルデヒドの製造において、脱水素反応触媒、特にフィルム型触媒は触媒を固定するためのバインダーが必要であるが、そのバインダーが触媒活性点を被覆することにより、触媒の初期活性が低下するという問題がある。また、反応で副生する高沸点成分の触媒活性点への蓄積による失活や、触媒の支持体からの脱落といった原因により、アルコール転化率が早期に低下してしまうという問題があった。これに対し、前記特許文献1及び2の方法を用いたとしても、初期の転化率を高め、持続的に高いアルコール転化率を維持するためには不十分であった。
【0009】
本発明の課題は、初期の転化率にも優れ、長時間に亘り、高転化率で目的のアルデヒドを得ることができるアルデヒドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、転化率の低下に影響する要因が、バインダーの状態にあると考えて検討を行った。その結果、第1級アルコールの脱水素反応を行うアルデヒドの製造において、粉末触媒と、バインダーとしてケイ素含有樹脂とを含有するフィルム型脱水素触媒を用いることで、初期の転化率にも優れ、長時間に亘り、高転化率で目的のアルデヒドを得ることができることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、気化させた第1級アルコールを含むガスを、脱水素触媒と接触させ、前記第1級アルコールを脱水素し、アルデヒドを得るアルデヒドの製造方法であって、前記脱水素触媒が、支持体上に、粉末触媒と、バインダーとしてケイ素含有樹脂とを含有する薄膜状の触媒層を設けてなるフィルム型脱水素触媒であるアルデヒドの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初期の転化率にも優れ、長時間に亘り、高転化率で目的のアルデヒドを得ることができるアルデヒドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1において用いる反応装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のアルデヒドの製造方法は、気化させた第1級アルコールを含むガスを、脱水素触媒と接触させ、前記第1級アルコールを脱水素し、アルデヒドを得るアルデヒドの製造方法であって、前記脱水素触媒が、支持体上に、粉末触媒と、バインダーとしてケイ素含有樹脂とを含有する薄膜状の触媒層を設けてなるフィルム型脱水素触媒である方法である。
【0015】
本発明の製造方法により、初期の転化率にも優れ、長時間に亘り、高転化率で目的のアルデヒドを得ることができる理由は、次のように考えられる。
【0016】
本発明において、フィルム型脱水素触媒のバインダーとして用いられるケイ素含有樹脂は、微細な結晶である触媒活物質よりも、より平滑な表面を有する触媒担体との親和性が高いため、バインダーと触媒担体とが吸着することにより強固に固定化されると考えられる。この結果、バインダーによる触媒活物質の表面の被覆を避けつつ、粉末触媒を支持体上に固定化することができるため、粉末触媒の高い初期転化率が得られるものと考えられる。
【0017】
また、バインダーとして用いられるケイ素含有樹脂は、更に耐熱性や耐薬品性に優れるため、他の樹脂に比べて、高温でアルコールを供給する反応条件下においても、長時間に亘って粉末触媒の支持体への固定を維持することができるものと考えられる。この結果、粉末触媒の比表面積が大きい薄膜の状態が長時間維持されると考えられる。さらに、前記のように触媒担体とケイ素樹脂とが吸着するため、触媒担体の表面をケイ素含有樹脂が十分に被覆しており、触媒担体に由来する副反応を防止することが可能となり、副反応が抑制されることで高分子量成分等の不純物の生成が抑制されると考えられる。これらの理由により、本発明によれば、長時間に亘り、高転化率で目的のアルデヒドを得ることができると考えられる。
【0018】
本発明において、気化させた第1級アルコールを含むガスを脱水素反応に供する。
【0019】
第1級アルコールは、加熱、減圧などの手段によって、予め気化させることが好ましい。気化させる条件としては、加熱によることが好ましく、200〜500℃で加熱することがより好ましい。加熱する時間は、反応に悪影響を及ぼさなければ、特に制限されないが、アルコールへの不要な加熱を避けつつ、気化を促進する観点から、10秒〜2時間が好ましく、5分〜1時間が更に好ましい。
【0020】
加熱する場合、第1級アルコールを容器に入れ、それを加熱することができる。加熱するための容器は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されないが、熱源を付したステンレス管や、油浴を設置したフラスコなどの円筒管あるいは球状の容器が挙げられ、加熱の効率の観点から、ステンレス管が好ましい。
【0021】
本発明において、気化させた第1級アルコールを含むガスは、更に不活性ガスを含むのが好ましい。
【0022】
本発明において、不活性ガスは、気化させた第1級アルコールを含むガスの圧力、すなわち、本発明において用いられるガス全体の圧力とアルコールの分圧を調整し、触媒上の活性点に生じた副生成物や原料中の不純物の除去のために用いることが好ましい。前記不活性ガスは、触媒との親和性や反応性の観点から、窒素、希ガス(第18族元素)が好ましく、窒素が好ましい。希ガスとしては、アルゴン、ヘリウム等が挙げられ、アルゴンが好ましい。
【0023】
気化させた第1級アルコールを含むガスが、さらに不活性ガスを含む場合、そのようなガスは、気化させた第1級アルコールと不活性ガスを混合する方法、気化前(すなわち液体)の第1級アルコールと不活性ガスを混合した後に第1級アルコールを気化させる方法等により得ることができる。第1級アルコールと不活性ガスを均一に混合する観点から、前記ガスは、気化させた第1級アルコールと不活性ガスを混合して得るのが好ましい。
【0024】
前記ガスが、気化させた第1級アルコールと不活性ガスを含む場合、前記ガスにおける第1級アルコールの分圧は、触媒の失活を抑制する観点から、50kPa以下が好ましく、30kPa以下がより好ましく、15kPa以下が更に好ましい。また、副生成物の触媒からの脱離を促進し、効率的にアルデヒドを得る観点から、第1級アルコール分圧は、1kPa以上が好ましく、5kPa以上がより好ましい。
【0025】
本発明においては、前記のようなガスを、フィルム型脱水素触媒と接触させ、前記ガス中の前記第1級アルコールを脱水素する。前記ガスをフィルム型脱水素触媒と接触させる方法としては、例えば、前記ガスを、フィルム型脱水素触媒を充填した反応器を通過させ、その反応器中で脱水素させる方法が挙げられ、なかでも、前記ガスを、フィルム型脱水素触媒を充填した反応器に連続的に流通させる方法が好ましい。
【0026】
前記反応器としては、管状の流通式反応器や、槽型反応器等が挙げられ、生成したアルデヒドをすばやく反応器外に排出する観点から、管状の流通式反応器が好ましい。
【0027】
管状の流通式反応器を用いる場合、管内部のフィルム型脱水素触媒にガスを供給しながら生成物を連続的に回収する流通式反応器によって、単回流通もしくは循環供給して連続あるいはバッチ式で反応を進行させることが好ましい。また、ガスの供給方法としては、アップフローおよびダウンフローいずれでも良いが、アルコール転化率の観点から、ダウンフローが好ましい。また、槽型反応器を用いる場合、内部にフィルム型脱水素触媒を設置し、必要に応じ攪拌下に、連続あるいはバッチ式で反応を進行させる事ができる。
【0028】
脱水素反応の温度は、アルコール転化率の観点から、200℃以上300℃以下が好ましい。すなわち、アルコール転化率の観点から、200℃以上が好ましく、230℃以上がより好ましい。また、同様の観点から、300℃以下が好ましく、270℃以下がより好ましい。
【0029】
脱水素反応の圧力は、生成物を気化させる観点から、10〜102kPaで行うことが好ましく、原料のアルコールの炭素数が10以下である場合には80〜102kPaが好ましく、101kPa、すなわち大気圧で行うことがより好ましく、炭素数が11以上である場合には13〜60kPaが好ましい。
【0030】
以下、本発明に用いられる各成分について説明する。
【0031】
〔第1級アルコール〕
本発明において、アルデヒドの原料として用いられるアルコールは、第1級アルコールである。
【0032】
前記アルコールの炭素数は、生成するアルデヒドの香料素材としての有用性の観点から、4〜18が好ましく、4〜15がより好ましく、6〜12が更に好ましい。
【0033】
前記アルコールは、飽和脂肪族アルコールおよび不飽和脂肪族アルコールのいずれでもよいが、生成するアルデヒドの香料素材としての有用性の観点から、飽和脂肪族アルコールが好ましい。なかでも、炭素数4〜18の飽和脂肪族アルコールが好ましく、炭素数4〜15の飽和脂肪族アルコールがより好ましく、炭素数6〜12の飽和脂肪族アルコールがさらに好ましい。
【0034】
前記アルコールは、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を有するものであり、生成するアルデヒドの香料素材としての有用性の観点から、直鎖状または分岐状のアルキル基を有するものが好ましく、直鎖状のアルキル基を有するものがより好ましい。なかでも、炭素数4〜15の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するものが好ましく、炭素数6〜12の直鎖状のアルキル基を有するものが好ましい。
【0035】
前記アルコールの具体例としては、ブタノール、ヘキシルアルコール、イソヘキシルアルコール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、3,7−ジメチルオクチルアルコール、2−プロピルヘプチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ゲラニオール、シクロペンチルメタノール、シクロペンテニルメタノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘキセニルメタノールなどを挙げることができる。なかでも、得られるアルデヒドの香料としての有用性の観点から、ヘキシルアルコール、イソヘキシルアルコール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、3,7−ジメチルオクチルアルコール、2−プロピルヘプチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールおよびゲラニオールが好ましく、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコールおよびラウリルアルコールがより好ましく、オクチルアルコール、ウンデシルアルコールおよびラウリルアルコールがより好ましい。
【0036】
〔フィルム型脱水素触媒〕
本発明に用いられるフィルム型脱水素触媒は、支持体上に、粉末触媒と、バインダーとしてケイ素含有樹脂とを含有する薄膜状の触媒層を設けてなるフィルム型脱水素触媒である。
【0037】
形態は、薄膜状の形態であれば限定されないが、例えば、支持体上に厚さ1mm以下の触媒層を有する。この場合、触媒層細孔内の滞留を抑制し、高いアルデヒド選択性を得る観点から、フィルム状の形態の脱水素触媒層の厚みは、400μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましく、30μm以下が更に好ましい。また、フィルム状の形態の強度を確保し、強度面の耐久性を得る観点から、フィルム状の形態の脱水素触媒層の厚みは、0.01μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
【0038】
前記フィルム型触媒の場合、触媒層の単位面積あたりの質量は、高いアルデヒド選択性を得る観点から、バインダーを含めて、好ましくは0.015g/m2以上であり、より好ましくは1.5g/m2以下である。また、前記フィルム型触媒の場合、触媒層の単位面積あたりの質量は、高いアルデヒド選択性を得る観点から、バインダーを含めて、好ましくは600g/m2以下であり、より好ましくは75g/m2以下である。また、前記フィルム型触媒の場合、触媒層の単位面積あたりの質量は、高いアルデヒド選択性を得る観点から、バインダーを含めて、好ましくは0.015g/m2〜600g/m2であり、より好ましくは1.5g/m2〜75g/m2である。
【0039】
前記フィルム型触媒の場合、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は、高いアルデヒド選択性を得る観点から、好ましくは0.01g/m2以上であり、より好ましくは1.1g/m2以下である。また、前記フィルム型触媒の場合、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は、高いアルデヒド選択性を得る観点から、好ましくは440g/m2以下であり、より好ましくは55g/m2以下である。また、前記フィルム型触媒の場合、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は、高いアルデヒド選択性を得る観点から、好ましくは0.01g/m2〜440g/m2であり、より好ましくは1.1g/m2〜55g/m2である。
【0040】
フィルム型脱水素触媒の構造としては、反応器形状に応じた形態の構造を選択することができる。例えば、フィルム型脱水素触媒は、管内壁面上に形成された脱水素触媒コーティング層、管内を複数の軸方向流通路に間仕切る薄板状に成形した脱水素触媒等が挙げられ、これらはいずれも、管状の流通式反応器に好適に用いることができる。また、フィルム型脱水素触媒は、槽内部に設置された開放型フィン状平板の表面に形成された脱水素触媒コーティング層等でもよく、このようなフィルム型脱水素触媒は、槽型反応器の場合に好適に用いることができる。反応原料の供給及び生成物の回収が起こる触媒体表面をできるだけ広く設け、反応を効率よく進行させる観点から、内径数mm〜数十mmの管を束ねた集合体や、セル密度が1平方インチ当り数十〜数百セルのハニカム構造体の内壁面上に、フィルム型脱水素触媒を設けたものが好ましい。
【0041】
フィルム型脱水素触媒を前記のような構造に形成するためには、薄い触媒層と高い機械的強度を両立する観点から、粉末触媒である触媒活物質を支持体表面に固定化することが好ましい。
【0042】
支持体としては、金属その他剛性を有する素材が好ましく、具体的には、金属箔、炭素コンポジット、粘土等が挙げられ、なかでも金属箔が好ましい。金属箔としては銅箔、ステンレス箔、アルミ箔等が好ましく、銅箔およびステンレス箔がより好ましい。
【0043】
フィルム型脱水素触媒としては、例えば、前記支持体上に前記粉末触媒と前記ケイ素含有樹脂との混合物を塗工し、前記ケイ素含有樹脂を硬化することにより、前記粉末触媒を支持体上に固定したものが挙げられる。前記混合物には、混合・均一化を促進するために溶媒を加えることもできる。
【0044】
溶媒は、粉末状触媒の触媒活性に悪影響を与えないものであればよく、バインダーの溶解性が良好なものが好ましく、また2種以上の溶媒を組み合わせて使用しても良い。
【0045】
溶媒としては、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、ハロゲン化物類等が挙げられ、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類が好ましく、アルコール類、ケトン類がより好ましい。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられ、メタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましい。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
【0046】
フィルム型脱水素触媒を得る方法としては、管状、平板状あるいはハニカム状等の支持体表面に、触媒活物質を含むコーティング層を形成してフィルム型脱水素触媒を得る方法が挙げられる。この時のコーティング方法としては、従来公知の方法を用いる事ができ、例えばスパッタ等の物理蒸着法、化学蒸着法、溶液系からの含浸法の他に、触媒活物質とバインダーとの混合物をバーコータ、ブレード、スプレイ、ディップ、スピン、グラビア、ダイコーティング等を用いて塗工する方法等が挙げられる。
【0047】
(バインダー)
本発明で用いられるバインダーは、高いアルコール転化率を得る観点から、ケイ素含有樹脂である。
ケイ素含有樹脂としては、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリボロシロキサン、ポリチタノシロキサン、ポリシラザン、ポリオルガノアミノシラン、ポリシラスチレン、ポリチタノカルボシラン、ポリジルコノカルボシラン、ポリオルガノシロキサンが挙げられ、アルコール転化率の観点から、ポリチタノカルボシラン、ポリオルガノシロキサンが好ましく、ポリチタノカルボシランがより好ましい。
【0048】
ポリチタノカルボシランは、ケイ素−酸素結合、ケイ素−炭素結合、チタン−酸素結合を有する樹脂である。ポリチタノカルボシランは、ポリカルボシランとチタンアルコキシドを反応させることにより得られ、主鎖部分はケイ素−酸素−チタン結合とケイ素−炭素結合−ケイ素とからなる樹脂である。具体的には、ポリチタノカルボシランは、ポリカルボシランのポリマー鎖の一部の単位構造がチタンアルコキシドに置き換わるか、ポリカルボシランのポリマー鎖にチタンアルコキシドがペンダント側鎖として結合するか、2個以上のポリカルボシラン同士が、チタンアルコキシドにより架橋された構造を有する。前記ポリカルボシランは、一般式−(SiRR’−CH2)−で表される主鎖骨格を有し(式中、RおよびR’は置換基である)、前記チタンアルコキシドは、一般式Ti(OR’’)4で表される(式中、R’’は置換基である)。
【0049】
ケイ素原子にケイ素−炭素結合によって結合した置換基(前記RおよびR’)としては、アルキル基、アリール基、ビニル基等が挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、アルキル基とアリール基の併用が更に好ましい。
【0050】
前記アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましい。具体的には、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0051】
前記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜16のアリール基がより好ましく、炭素数6〜10のアリール基が更に好ましい。具体的には、前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0052】
前記アルキル基、アリール基およびビニル基は置換基により更に置換されていてもよく、該置換基としては、水酸基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0053】
ポリオルガノシロキサンは、ケイ素−酸素結合とケイ素−炭素結合を有する樹脂であり、主鎖部分はケイ素−酸素結合からなる樹脂である。側鎖部分はケイ素原子に結合した置換基であり、前記置換基はケイ素−酸素結合またはケイ素−炭素結合を介して主鎖部分に結合している。
【0054】
ケイ素原子にケイ素−炭素結合によって結合した置換基としては、アルキル基、アリール基、ビニル基等が挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、アルキル基とアリール基の併用が更に好ましい。
【0055】
前記アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましい。具体的には、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0056】
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜16のアリール基がより好ましく、炭素数6〜10のアリール基が更に好ましい。具体的には、前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0057】
前記のアルキル基、アリール基、ビニル基等は置換基により更に置換されていてもよく、該置換基としては、水酸基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0058】
ケイ素原子にケイ素−酸素結合によって結合した置換基としては、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0059】
本発明で用いられるケイ素含有樹脂は、直鎖状構造、分岐状構造、環状構造等を有するものを使用することができるが、バインダーとして、粉末触媒を固定化する観点から、架橋構造を有するものが好ましい。
【0060】
架橋構造は、一部に反応性を有する置換基を有するケイ素含有樹脂を用いて、支持体上に粉末触媒である触媒活物質とバインダーの混合物を塗工したのち、架橋構造を形成することが好ましい。架橋構造を形成する方法としては、加熱または光照射が挙げられ、揮発成分を除去する観点から、加熱が好ましい。
【0061】
架橋構造を形成するための加熱は、空気、水蒸気または窒素、アルゴン等の不活性ガス等を加熱した熱媒体を吹き付ける方法が好ましく用いられ、その他には、赤外線や遠赤外線等輻射熱を利用する方法、電磁波による誘導電流を用いた加熱方式等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。熱媒体としては、空気または窒素が好ましい。
【0062】
架橋構造を形成するための加熱条件としては、60〜400℃、好ましくは100〜360℃、より好ましくは150〜320℃の温度で、10分〜5時間、好ましくは30分〜4時間、より好ましくは45分〜3時間、熱媒体を吹き付けることが好ましい。
【0063】
前記粉末触媒と前記ケイ素含有樹脂の重量比は、前記粉末触媒:前記ケイ素含有樹脂=85:15〜15:85が好ましく、前記粉末触媒:前記ケイ素含有樹脂=83:17〜50:50がより好ましく、前記粉末触媒:前記ケイ素含有樹脂=80:20〜60:40がさらに好ましい。
【0064】
(粉末触媒)
本発明の粉末触媒は、触媒活物質のみが粉末状になっているものでもよいが、担体に担持されていることが好ましい。前記担体としては、アルミニウム、亜鉛、ケイ素、チタン等の酸化物及び水酸化物、ゼオライト、並びにシリカ−アルミナからなる群から選ばれるのが好ましく、アルコール転化率の観点から、亜鉛またはアルミニウムの酸化物または水酸化物がより好ましく、亜鉛の酸化物またはアルミニウムの酸化物もしくは水酸化物が更に好ましい。
【0065】
好適に用いられる粉末触媒は、アルコール転化率の観点から、活性種としての銅を含むことが好ましく、すなわち銅系粉末触媒であることが好ましい。銅系粉末触媒としては、銅単独、銅に他の金属元素を含む2成分或いは3成分以上であることが好ましい。また、銅系粉末触媒に含まれる他の金属元素としては、鉄、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン等が好ましく、アルデヒド選択率および環境性や安全性の観点から、鉄および亜鉛がより好ましく、鉄が更に好ましい。銅系粉末触媒としては、CuFeAl、CuZn等が好ましい。
【0066】
前記粉末触媒としては、担体も含めた組成として、銅−鉄−アルミニウム(CuFeAl)を含有する触媒が好ましく、触媒を構成する元素の原子比率が(銅/鉄/アルミニウム)=1/0.4〜2.5/0.5〜5.0であることが好ましく、1/0.5〜1.0/1.5〜3.5であることがより好ましい。また、前記粉末触媒としては、担体も含めた組成として、銅−亜鉛(CuZn)を含有する触媒も好ましく、触媒を構成する元素の原子比率が(銅/亜鉛)=1/0.5〜2.0であることが好ましく、1/0.7〜1.4であることがより好ましい。
【0067】
(粉末触媒の製造)
前記粉末触媒は、脱水素を促進できるものであれば、製造方法に制限はないが、触媒の好適な態様である銅−鉄−アルミニウムを含有する触媒は、以下の第一工程から第三工程までをこの順に行う方法によって製造することが好ましい。
【0068】
(第一工程)
第一工程は、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、鉄の酸化物及び水酸化物、ゼオライト、並びにシリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも一種(以下担体と記す)を水性媒体中に懸濁させ、その懸濁液中において水溶性銅塩及び水溶性鉄塩とアルカリ物質とを反応させることによって担体表面上に銅化合物及び鉄化合物を沈澱させる工程である。
【0069】
まず、水溶性銅塩及び水溶性鉄塩を原子比でCu/Fe=1/0.4〜2.5になるように水に溶解させ、この水溶液に担体を原子比でCu/担体金属原子=1/0.1〜3.0になるように懸濁させる。この懸濁液を60〜120℃に加熱し、銅及び鉄のイオンの全当量数に相当する量のアルカリ物質の水溶液を加えて、銅化合物及び鉄化合物を触媒担体表面上に沈澱させる。
【0070】
本発明に用いられる水溶性銅塩としては、硫酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅等が挙げられ、これらの混合物を使用してもよい。本発明に用いられる水溶性鉄塩としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄等が挙げられ、これらの混合物を使用してもよいが硫酸第一鉄を用いるのが経済面より好適である。
【0071】
本発明に用いられるアルカリ物質としては例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩等が挙げられる。懸濁液へのアルカリ物質の添加方法については特に制限はないが、操作性を考慮して通常これらのアルカリ物質は水溶液にて添加される。アルカリ物質としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を用いる場合、沈澱触媒の濾過性を損なわないためにもゆっくりと滴下することが望ましい。本発明においてはアルカリ金属の炭酸塩を用いるのが好適である。これらのアルカリ物質の濃度は任意に選べるが、触媒の生産性を考慮した場合、高濃度の沈澱剤を用いることもできる。例えば炭酸ソーダの場合、20〜23質量%の濃度の水溶液が適当である。
【0072】
第一工程に使用される担体としてのアルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、鉄の酸化物及び水酸化物、ゼオライト、並びにシリカ−アルミナからなる群から選ばれる少なくとも一種は反応槽中で調製後、そのまま用いても良く、予め別途調製された物を用いても良い。これら担体は粒子径の比較的揃った物を用いるのが好ましい。担体の粒子径は平均粒径にて0.1μm〜500μm、好ましくは0.4μm〜50μmである。反応槽内で担体を調製する方法として、担体として使用する量の第二鉄塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩等を水に溶解させた後、鉄イオンの当量数に相当する量のアルカリ金属の炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム水溶液を60℃以上の温度で滴下し、中和する方法がある。この方法の場合、生成した沈澱を精製する事なく、このスラリー中に銅塩及び鉄塩を仕込むことにより連続して第一工程を行うことが出来る。ここで均一な物性を持った担体を用いた場合、より性能の安定した触媒が製造できる。従って工業的スケールでの製造には均一な物性を有する担体の使用がより有利である。
【0073】
(第二工程)
第二工程は、第一工程にて得られた懸濁液中にて水溶性アルミニウムとアルカリ物質とを反応させることによって、第一工程にて得られた懸濁液中に存在する固体粒子表面上にアルミニウム化合物を沈澱させる工程である。
【0074】
第一工程で得られた懸濁液中に、(イ)水溶性アルミニウム塩(但しこの場合のAl量は第一工程にて使用した水溶性銅塩に対し原子比でCu/Al=1/0.1〜5.0、好ましくは1/0.5〜3.0になる量である)の水溶液と、(ロ)前記(イ)に記載したアルミニウムイオンの当量数に相当する量のアルカリ物質を滴下し、懸濁液の温度を60〜120℃に保持しつつアルミニウム化合物を沈澱させることによって行う。
【0075】
前記(イ)に記載の水溶性アルミニウム塩としては、例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、各種明礬が挙げられるが、その中でも硫酸アルミニウムが好適である。またこれらの混合物を使用しても良い。
【0076】
前記の(ロ)に記載のアルカリ物質の例としては、同様に第一工程に使用されるアルカリ物質が挙げられる。その添加方法は操作性の点より水溶液にて加えるのが好ましい。その濃度は特に限定されないが、経済的な面より20質量%程度の水溶液とすることが好ましい。アルカリ物質の添加方法は懸濁液のpHの急激な変化を防止するために、前記(イ)に記載の水溶液と(ロ)に記載のアルカリ物質またはその水溶液とを同時に懸濁液へ添加することが好ましい。
【0077】
第二工程の実施態様の例を挙げれば次の通りである。(a)アルミニウム化合物のみを沈澱させる。(b)アルミニウム化合物と銅化合物とを同時に沈澱させる。(c)第一段階でアルミニウム化合物と銅化合物とを同時に沈澱させて、次いで第二段階でアルミニウム化合物を沈澱させる。(d)これらの工程の組み合わせを複数回繰り返して行なう。以上述べた方法にて得られた懸濁液についてpHを7.0以上に調節した後、0〜8時間熟成を行なう。
【0078】
(第三工程)
第三工程では第二工程で得られた沈澱物を常法により分離し、水洗し、得られたスラリー又は粉体を乾燥及び焼成する。焼成温度は通常100℃以上1200℃以下の範囲であり、好ましくは400℃以上900℃以下である。焼成時間は特に制限されないが、経済的には10時間以下が良い。焼成を終了したものは粉砕してもよいが、粉砕することなく直ちに触媒として使用することもできる。
【0079】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のアルデヒド製造方法を開示する。
【0080】
<1> 気化させた第1級アルコールを含むガスを、脱水素触媒と接触させ、前記第1級アルコールを脱水素し、アルデヒドを得るアルデヒドの製造方法であって、前記脱水素触媒が、支持体上に、粉末触媒と、バインダーとしてケイ素含有樹脂とを含有する薄膜状の触媒層を設けてなるフィルム型脱水素触媒であるアルデヒドの製造方法。
【0081】
<2> 前記ケイ素含有樹脂が、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリボロシロキサン、ポリチタノシロキサン、ポリシラザン、ポリオルガノアミノシラン、ポリシラスチレン、ポリチタノカルボシラン、ポリジルコノカルボシラン、またはポリオルガノシロキサンであり、好ましくはポリオルガノシロキサン又はポリチタノカルボシランであり、より好ましくはポリチタノカルボシランである請求項1に記載のアルデヒドの製造方法。
【0082】
<3> フィルム型脱水素触媒の支持体が、金属その他剛性を有する素材であり、例えば、金属箔、炭素コンポジット、粘土等であり、好ましくは金属箔(好ましくは、銅箔、ステンレス箔、アルミ箔等であり、より好ましくは銅箔およびステンレス箔である)である<1>または<2>に記載のアルデヒドの製造方法。
【0083】
<4> 前記粉末触媒と前記ケイ素含有樹脂の重量比が、前記粉末触媒:前記ケイ素含有樹脂=85:15〜15:85であり、好ましくは83:17〜50:50であり、より好ましくは80:20〜60:40である<1>〜<3>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0084】
<5> 前記触媒層の厚みが、1mm以下であり、好ましくは400μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下であり、よりさらに好ましくは30μm以下であり、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは1μm以上である、<1>〜<4>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0085】
<6> 前記フィルム型脱水素触媒が、前記支持体上に前記粉末触媒と前記ケイ素含有樹脂との混合物を塗工し、前記ケイ素含有樹脂を硬化することにより、前記粉末触媒を支持体上に固定したものである、<1>〜<5>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0086】
<7> 前記ガスが、更に不活性ガスを含む、<1>〜<6>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0087】
<8> 前記ガス中の前記第1級アルコールの分圧が、50kPa以下であり、好ましくは30kPa以下であり、より好ましくは15kPa以下であり、好ましくは1kPa以上であり、より好ましくは5kPa以上である、<7>に記載のアルデヒドの製造方法。
【0088】
<9> 前記不活性ガスが、窒素または希ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム等、好ましくはアルゴン)、好ましくは窒素を含有する<7>または<8>に記載のアルデヒドの製造方法。
【0089】
<10> 前記脱水素触媒が、活性種として銅を含み、好ましくは銅単独、銅に他の金属元素を含む2成分あるいは3成分以上であり、より好ましくはCuFeAlまたはCuZnである<1>〜<9>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0090】
<11> 前記脱水素触媒が、活性種として、更に鉄、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン等を含み、好ましくは鉄および亜鉛を含み、より好ましくは鉄を含む<10>に記載のアルデヒドの製造方法。
【0091】
<12> 第1級アルコールが、炭素数4〜18の飽和脂肪族アルコールであり、好ましくは炭素数4〜15の飽和脂肪族アルコールであり、より好ましくは炭素数6〜12の飽和脂肪族アルコールである、<1>〜<11>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0092】
<13>第1級アルコールが、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を有するものであり、好ましくは直鎖状または分岐状のアルキル基を有するものであり、より好ましくは直鎖状のアルキル基を有するものであり、さらに好ましくは炭素数4〜15の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するもの、よりさらに好ましくは炭素数6〜12の直鎖状のアルキル基を有するものである、<1>〜<12>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0093】
<14> 反応温度が、200℃以上であり、好ましくは230℃であり、300℃以下であり、好ましくは270℃以下であり、好ましくは200℃以上300℃以下である、<1>〜<13>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0094】
<15> 反応圧力が10〜102kPaである、<1>〜<14>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0095】
<16> 第1級アルコールの炭素数が10以下の場合、前記反応圧力が80〜102kPaである<1>〜<14>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0096】
<17> 第1級アルコールの炭素数が11以上の場合、前記反応圧力が13〜60kPaである<1>〜<14>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0097】
<18> 前記脱水素触媒が、担体に担持されている<1>〜<17>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【0098】
<19> 前記担体が、アルミニウム、亜鉛、ケイ素、チタン等の酸化物及び水酸化物、ゼオライト、並びにシリカ−アルミナからなる群から選ばれ、好ましくは亜鉛またはアルミニウムの酸化物または水酸化物であり、より好ましくは亜鉛の酸化物またはアルミニウムの酸化物もしくは水酸化物である、<18>に記載のアルデヒドの製造方法。
【0099】
<20> 前記ガスを脱水素触媒と接触させる工程が、前記ガスを、前記フィルム型脱水素触媒を充填した反応器に連続的に流通させることにより行われる、<1>〜<19>のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
【実施例】
【0100】
以下の実施例、比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」である。
【0101】
[アルコール転化率およびアルデヒド選択率]
アルコール転化率およびアルデヒド選択率は次の式に従って算出した。表1には、10時間目の生成物のアルコール転化率およびアルデヒド選択率を示す。いずれも値が大きい方が良好である。
アルコール転化率[%]=100−[アルコールのGC面積%]
アルデヒド選択率[%]=[アルデヒドのGC面積%]/(100−[アルコールのGC面積%])
【0102】
[アルデヒド生産速度]
アルデヒド生産速度は次の式に従って算出した。式中、アルコール転化率およびアルデヒド選択率はアルコール供給開始10時間目の値である。アルデヒド生産速度は大きいほうが単位時間あたりのアルデヒド生産量が大きくなるため、良好である。
アルデヒド生産速度[g/時間]=[アルコール供給速度[g/時間]]×[アルコール転化率[%]]/100×[アルデヒド選択率[%]]/100
【0103】
[転化率低下速度と転化率維持時間]
触媒単位量あたりの転化率維持時間は、まず、アルコール供給開始10時間目の生成物のアルコール転化率と20時間目の生成物のアルコール転化率を前記の方法で算出し、次の式に従って転化率低下速度を求めた。
転化率低下速度[%/時間]=([10時間目の生成物のアルコール転化率[%]]−[20時間目の生成物のアルコール転化率[%]])/10[時間]
次に、次の式に従って算出した。触媒単位質量あたりの転化率維持時間は、値が大きい方が長時間に亘り、高い転化率を維持することができ、良好である。
転化率維持時間[時間/g]=[10時間目の生成物のアルコール転化率[%]]/[転化率低下速度[%/時間]]/[触媒充填量[g]]
【0104】
[アルデヒドの製造]
製造例1(ポリオルガノシロキサンをバインダーとするフィルム型脱水素触媒の製造)
(粉末触媒製造工程)
還流冷却器を備えた反応器に、水(300g)、CuSO4・5H2O(48g)、FeSO4・7H2O(59g)および水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、製品名「ハイジライトH−42M」、12.14g)を入れ、攪拌しながら温度を95℃に上昇させた。混合物の温度を95〜97℃に保ちながら1時間保持した(Cu/Fe(原子比)=1/0.75、Cu/水酸化アルミニウムのアルミニウム(原子比)=1/0.7)。次いでこの温度を保ちながら、この混合物へ、Na2CO3(44.8g、銅および鉄のイオンの全当量数に対し、1当量)を水(150g)に溶解させた溶液(23質量%)を80分かけて滴下した。混合物中に視認できた青緑色の沈殿が徐々に褐色に変化し、最終的に黒色となった。
【0105】
この混合物の温度を95〜97℃に保ちながら、CuSO4・5H2O(4.8g)、Al2(SO42・16H2O(46.8g)を水(109.2g)に溶解させた溶液1(Cu/Fe(原子比)=1/0.75、Cu/水酸化アルミニウムのアルミニウム(原子比)=1/0.7)とNa2CO3(27.6g)を水(98.2g)に溶解させた溶液2(22質量%、銅および鉄のイオンの全当量数に対し、1当量)の混合物への滴下を同時に始めた。溶液1は60分、溶液2は30分かけて滴下を完了した。この混合物へAl2(SO42・16H2O(23.4g)を水(53.5g)に溶解させた溶液を30分かけて滴下した(Cu/水酸化アルミニウムのアルミニウム(原子比)=1/2.1)。この混合物へ更に10質量%NaOH水溶液を滴下し、混合物のpHを10.5に調整した。混合物の熟成を1時間行った。熟成終了後、混合物を吸引ろ過し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を450mLの水で3回洗った後、750℃で1時間空気中で焼成し、銅系粉末触媒(担体:昭和電工株式会社製、製品名「ハイジライトH−42M」、担体の粒子径:1μm、銅/鉄/アルミニウム(原子比)=1/0.75/2.8)を得た。
【0106】
以下の製造例において、バインダーの質量は固形分の質量である。
(フィルム型脱水素触媒製造工程)
前記粉末触媒製造工程で得られた銅系粉末触媒75質量部、バインダーとしてシリコンレジン(ポリオルガノシロキサン)(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名「SH805」)25質量部、およびメチルエチルケトン60質量部を共にボールミル混合して塗料を得た。銅箔(厚さ40μm、幅15cm×25cm)(支持体)の片面上に前記塗料をバーコータにより塗工した。得られた銅箔上の触媒層塗料を130℃で1分間乾燥してから窒素雰囲気下250℃で90分間加熱して、塗料中のバインダーの硬化を行った。銅箔の別の面上に、前記と同様、触媒層塗料を塗工し、前記と同様に乾燥し、加熱した。その結果、厚さ20μmの触媒層を前記銅箔の両面に固定化した、フィルム型脱水素触媒を得た。触媒層の単位面積あたりの質量は、バインダーを含めて20.3g/m2、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は15.2g/m2であった。得られたフィルム型脱水素触媒において、シリコンレジンは架橋構造を形成していた。
【0107】
製造例2(ポリチタノカルボシランをバインダーとするフィルム型脱水素触媒の製造)
前記製造例1のシリコンレジンの代わりにポリチタノカルボシラン(宇部興産株式会社製、製品名「VN−100」)を用い、窒素雰囲気下の代わりに空気雰囲気下でバインダーの硬化を行った以外は、製造例1のフィルム型脱水素触媒製造工程と同様にしてフィルム型脱水素触媒を製造した。触媒層の単位面積あたりの質量は、バインダーを含めて27.6g/m2、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は20.7g/m2であった。得られたフィルム型脱水素触媒において、ポリチタノカルボシランは架橋構造を形成していた。
【0108】
製造例3(フェノール樹脂をバインダーとするフィルム型脱水素触媒の製造)
前記製造例1の銅系粉末触媒75質量部およびシリコンレジン(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名「SH805」)25質量部の代わりに銅系粉末触媒80質量部およびフェノール樹脂(日本合成化工株式会社製、製品名「N210」)20質量部を用いた以外は製造例1のフィルム型脱水素触媒製造工程と同様にしてフィルム型脱水素触媒を製造した。触媒層の単位面積あたりの質量は、バインダーを含めて21.1g/m2、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は16.9g/m2であった。得られたフィルム型脱水素触媒において、フェノール樹脂は架橋構造を形成していた。
【0109】
製造例4(ポリアミドイミドをバインダーとするフィルム型脱水素触媒の製造)
前記製造例1の銅系粉末触媒75質量部およびシリコンレジン(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名「SH805」)25質量部の代わりに銅系粉末触媒90質量部およびポリアミドイミド(東洋紡株式会社製、製品名「HR11NN」)10質量部を用い、触媒層塗料を130℃で1分間乾燥後に加熱を行わなかった以外は製造例1のフィルム型脱水素触媒製造工程と同様にしてフィルム型脱水素触媒を製造した。触媒層の単位面積あたりの質量は、バインダーを含めて18.6g/m2、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は16.7g/m2であった。得られたフィルム型脱水素触媒において、ポリアミドイミドは架橋構造を形成していた。
【0110】
製造例5(ポリチタノカルボシランをバインダーとするフィルム型脱水素触媒の製造)
前記製造例2の粉末触媒製造工程で得た銅系粉末触媒の代わりに銅/亜鉛触媒(日揮触媒化成株式会社製、製品名「X213」、銅/亜鉛(原子比)=1/0.9)を用いた以外は製造例2のフィルム型脱水素触媒製造工程と同様にしてフィルム型脱水素触媒を製造した。触媒層の単位面積あたりの質量は、バインダーを含めて27.6g/m2、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は20.7g/m2であった。得られたフィルム型脱水素触媒において、ポリチタノカルボシランは架橋構造を形成していた。
【0111】
製造例6(フェノール樹脂をバインダーとするフィルム型脱水素触媒の製造)
前記製造例3の粉末触媒製造工程で得た銅系粉末触媒の代わりに銅/亜鉛触媒(日揮触媒化成株式会社製、製品名「X213」、銅/亜鉛(原子比)=1/0.9)を用いた以外は製造例3のフィルム型脱水素触媒製造工程と同様にしてフィルム型脱水素触媒を製造した。触媒層の単位面積あたりの質量は、バインダーを含めて21.1g/m2、触媒層の銅系触媒の単位面積あたりの質量は16.9g/m2であった。得られたフィルム型脱水素触媒において、フェノール樹脂は架橋構造を形成していた。
【0112】
実施例1
(ポリオルガノシロキサンをバインダーとするフィルム型脱水素触媒を用いたn−オクチルアルデヒドの製造)
製造例1で得たフィルム型脱水素触媒を波板状に折り曲げ加工した。この折り曲げ加工したフィルム型脱水素触媒と、平板状のフィルム型脱水素触媒とを交互に重ねて、ステンレス製反応管14(内径28mm、管長150mm、流通式反応器)に充填した(粉末触媒の触媒充填量2.9g)。この反応管14の入口部に気化管13(ステンレス製、内径2mm、管長1500mm)およびガス余熱部23を、出口部に冷却管16および分留器17を接続した(図1参照)。気化管13およびガス余熱部23を加熱部15を用いて320℃に12分間加熱し、オクチルアルコール(花王(株)製、製品名「カルコール0898」)を20g/時間で原料アルコール供給部11から原料アルコール供給管31を経て、窒素を31.8L/時間でガス供給部21からガス供給管32を経て、それぞれ反応管14へ供給した。この場合、気化させたオクチルアルコールと窒素ガスとを含むガス中、オクチルアルコール分圧は10kPaである。
【0113】
その後、加熱部15により反応管14の内部温度を240℃まで昇温させた。この際、反応圧力は101kPaであった。反応管14内で生成した生成物は、生成物回収管33を経て、20℃に冷却している冷却器16へ到達した。この冷却器16を通過した生成物を、分留器17で分離し、液体生成物回収器34を経て経時的に採取し、n−オクチルアルデヒドを得た。得られた生成物の評価結果を表1に示す。
【0114】
実施例2
(ポリチタノカルボシランをバインダーとするフィルム型脱水素触媒を用いたn−オクチルアルデヒドの製造)
製造例1で得たフィルム型脱水素触媒の代わりに製造例2で得たフィルム型脱水素触媒(粉末触媒の触媒充填量4.0g)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、n−オクチルアルデヒドを得た。この場合、気化させたオクチルアルコールと窒素ガスとを含むガス中、オクチルアルコール分圧は10kPaである。得られた生成物の評価結果を表1に示す。
【0115】
比較例1
(フェノール樹脂をバインダーとするフィルム型脱水素触媒を用いたn−オクチルアルデヒドの製造)
製造例1で得たフィルム型脱水素触媒の代わりに製造例3で得たフィルム型脱水素触媒(粉末触媒の触媒充填量3.2g)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、n−オクチルアルデヒドを得た。この場合、気化させたオクチルアルコールと窒素ガスとを含むガス中、オクチルアルコール分圧は10kPaである。得られた生成物の評価結果を表1に示す。
【0116】
比較例2
(ポリアミドイミドをバインダーとするフィルム型脱水素触媒を用いたn−オクチルアルデヒドの製造)
製造例1で得たフィルム型脱水素触媒の代わりに製造例4で得たフィルム型脱水素触媒(粉末触媒の触媒充填量3.2g)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、n−オクチルアルデヒドを得た。この場合、気化させたオクチルアルコールと窒素ガスとを含むガス中、オクチルアルコール分圧は10kPaである。得られた生成物の評価結果を表1に示す。
【0117】
実施例3
(ポリチタノカルボシランをバインダーとするフィルム型脱水素触媒を用いたn−オクチルアルデヒドの製造)
製造例1で得たフィルム型脱水素触媒の代わりに製造例5で得たフィルム型脱水素触媒(粉末触媒の触媒充填量2.7g)を用い、オクチルアルコールの供給速度を20g/時間の代わりに12g/時間を用い、窒素の供給速度を31.8L/時間の代わりに27.7L/時間を用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、n−オクチルアルデヒドを得た。この場合、気化させたオクチルアルコールと窒素ガスとを含むガス中、オクチルアルコール分圧は7kPaである。得られた生成物の評価結果を表1に示す。
【0118】
比較例3
(フェノール樹脂をバインダーとするフィルム型脱水素触媒を用いたn−オクチルアルデヒドの製造)
製造例5で得たフィルム型脱水素触媒の代わりに製造例6で得たフィルム型脱水素触媒(粉末触媒の触媒充填量3.5g)を用いた以外は実施例3と同様に反応を行い、n−オクチルアルデヒドを得た。この場合、気化させたオクチルアルコールと窒素ガスとを含むガス中、オクチルアルコール分圧は7kPaである。得られた生成物の評価結果を表1に示す。
【0119】
実施例4
(ポリチタノカルボシランをバインダーとするフィルム型脱水素触媒を用いたn−ウンデシルアルデヒドの製造)
製造例2で得たフィルム型脱水素触媒を波板状に折り曲げ加工した。この折り曲げ加工したフィルム型脱水素触媒と、平板状のフィルム型脱水素触媒とを交互に重ねて、ステンレス製反応管14(内径28mm、管長150mm、流通式反応器)に充填した(粉末触媒の触媒充填量4.0g)。この反応管14の入口部に気化管13(ステンレス製、内径2mm、管長1500mm)およびガス余熱部23を、出口部に冷却管16および分留器17を接続した(図1参照)。気化管13およびガス余熱部23を加熱部15を用いて320℃に12分間加熱し、ウンデシルアルコールを28g/時間で原料アルコール供給部11から原料アルコール供給管31を経て、窒素を3.6L/時間でガス供給部21からガス供給管32を経て、それぞれ反応管14へ供給した。この場合、気化させたウンデシルアルコールと窒素ガスとを含むガス中、ウンデシルアルコール分圧は7kPaである。
【0120】
その後、加熱部15により反応管14の内部温度を240℃まで昇温させた。この際、反応圧力は20kPaであった。反応管14内で生成した生成物は、生成物回収管33を経て、40℃に冷却している冷却器16へ到達した。この冷却器16を通過した生成物を、分留器17で分離し、液体生成物回収器34を経て経時的に採取し、n−ウンデシルアルデヒドを得た。得られた生成物の評価結果を表1に示す。
【0121】
実施例1〜4および比較例1〜3における反応条件および結果を、以下の表1にまとめた。
【0122】
【表1】
【0123】
表1から、実施例の製造方法によれば、比較例の製造方法に比べて、高い初期転化率(10時間目の転化率)で目的のアルデヒドを得ることができることが確認できた。また実施例の製造方法によれば、長時間に亘り、高転化率を維持できることができることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の製造方法によれば、高い初期転化率で目的のアルデヒドを得ることができ、長時間に亘り、高転化率を維持できることから、特に第1級アルデヒドを効率よく、かつ純度よく製造することができる。このような製造方法は、香料素材として有用なアルデヒドの製造方法として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0125】
11 原料アルコール供給部
12 原料供給ポンプ
13 気化管
14 反応管
15 加熱部
16 冷却管
17 分留器
21 ガス供給部
22 ガス流量調節器
23 ガス余熱部
31 原料アルコール供給管
32 ガス供給管
33 生成物回収管
34 液体生成物回収管
35 排ガス排出管
図1