特許第6042722号(P6042722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6042722不全収縮の誤表示の影響を受けにくい、事前接続された電極パッドを有する除細動器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042722
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】不全収縮の誤表示の影響を受けにくい、事前接続された電極パッドを有する除細動器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20161206BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   A61N1/04
   A61N1/39
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-530371(P2012-530371)
(86)(22)【出願日】2010年8月18日
(65)【公表番号】特表2013-505762(P2013-505762A)
(43)【公表日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】IB2010053731
(87)【国際公開番号】WO2011036583
(87)【国際公開日】20110331
【審査請求日】2013年8月15日
【審判番号】不服2015-14934(P2015-14934/J1)
【審判請求日】2015年8月7日
(31)【優先権主張番号】61/246,224
(32)【優先日】2009年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】カーリントン,クリストファー
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 長屋 陽二郎
【審判官】 熊倉 強
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−520153(JP,A)
【文献】 特表2007−515982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除細動器用の除細動電極セットであって、前記除細動器は、取り付けられた当該除細動電極セットのインピーダンスを検知し、当該電極セットは、前記除細動器に当該電極セットを接続するアダプターケーブルを含み、
一対の電極であり、各々の電極は支持層、金属層、前記金属層に重ねられたジェル層、及び前記ジェル層をカバーする剥離ライナーを有する、一対の電極、並びに、前記金属層を前記アダプターケーブルへの接続に適するよう、電極コネクタに電気的に接続する電極ケーブル、さらに
前記アダプターケーブルに接続された前記電極コネクタと共に前記電極を使用前に保管するフォイルエンベロープ、
を有し、
各電極の、導電層と前記フォイルエンベロープの壁との間に位置する誘電体の層の厚さが、前記誘電体の層に関するキャパシタンスが一定値を超過しないように選択され、前記一定値は、前記フォイルエンベロープがない状態での当該電極セットのキャパシタンスと、前記アダプターケーブルのキャパシタンスとの組合せにおいて、前記除細動器の閾値レベルを超えない大きさであり、前記除細動器により検知されるキャパシタンスが前記閾値レベルを超えるとき、前記電極が患者にあてられたと前記除細動器が認識し、
前記導電層は、前記金属層及びジェル層を含み、さらに、厚さが選択される前記誘電体の層は前記剥離ライナーを含み、
前記剥離ライナーの層は、約0.1587cmの厚さを有する、除細動電極セット。
【請求項2】
記厚が選択される誘電体の層は、前記剥離ライナーである、請求項1に記載の除細動電極セット。
【請求項3】
記厚が選択される誘電体の層は、前記支持層をさらに含む、請求項1に記載の除細動電極セット。
【請求項4】
前記支持層は、0.1587cm以上の厚さを有する、請求項1に記載の除細動電極セット。
【請求項5】
前記剥離ライナーの層は、更にポリエチレン発泡体層を有する、請求項1に記載の除細動電極セット。
【請求項6】
前記支持層は、約0.1587cmの厚さを有する、請求項に記載の除細動電極セット。
【請求項7】
前記支持層は、更にポリエチレン発泡体層を有する、請求項に記載の除細動電極セット。
【請求項8】
前記除細動器は、除細動器電極コネクタと、該電極コネクタに接続されるキャパシタンス測定回路とを更に有し、
前記アダプターケーブルは前記除細動器電極コネクタに接続され、
前記除細動器は、更に、前記測定回路により測定されたキャパシタンスを閾値レベルと比較するように作動する、
請求項1に記載の除細動電極セット。
【請求項9】
前記除細動器は、前記測定されたキャパシタンスが前記閾値を超えるとき、当該除細動電極セットによって生成される信号を表示するように更に作動する、請求項に記載の除細動電極セット。
【請求項10】
前記除細動器は、前記測定されたキャパシタンスが前記閾値未満のとき、ECGグラフの線を表示するように更に作動する、請求項に記載の除細動電極セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者のECG信号を検知する除細動器・モニタに関し、特に、体外式の除細動器・モニタであって事前接続された電極を有し、不全収縮の誤表示の発生を低減するものに関する。
【背景技術】
【0002】
除細動器は、様々な不整脈を処置するのに一般的に使用され、電気的チャージを心臓に加えることで、不整脈を中断して心臓の通常の電気刺激を自然に再開させるものである。除細動器は、慢性症状に備えて体内に移植されることが可能であり、そこでは、除細動器は、心臓の電気的な動きをモニタし、異常な動きが検知されたときはいつでも、適切な電気パルスをかけることができる。体外式の除細動器は、パドル又は接着性の電極を使用して、胸壁を通じて必要なショックを加える。除細動器・モニタは、除細動パルスを与えるだけでなく、様々な生理的パラメーター、例えば心拍数、血圧、血中酸素濃度などをモニタすることができ、電気的治療処置後の患者の状態を判断するのに助けになる。
【0003】
体外式の除細動器は、移植可能な除細動器であっても、一般的には、患者によって継続的に着用されることはないが、不整脈が検知されたときには患者にかけられる。心室細動の場合には、これは通常患者が無意識になったときである。VF(心室細動)は、数分以内に処置されなければ致命的な状態なので、緊急救助期間は、必要なときには事実上即時の使用のため、その除細動器をしばしば用意するだろう。実行される準備としては、その除細動器への電極を事前接続しておくことである。予め接続された電極は、医療的緊急時が発生したときに電極を接続するステップを省くだけでなく、除細動器が保管されている間に、除細動器に、この特徴を備えていれば、その電極状態を自己診断させることができる。
【0004】
体外式自動除細動器(AED)と二次救命処置(ALS)除細動器は、電極の様々な事前接続方法に向いている。AEDは、小さくかつ携帯可能であり、患者のところへすぐに運ぶことができ、その患者の傍で使用することができる。患者への距離が近いので、通常の3から6フィートの電極ケーブルは、必要十分である。しかし、救急処置室や救急車で一般的に使用されるALS除細動器は、しばしば壁に架けられるか、又はカートや担架で運ばれるだろう。これらの除細動器は、それゆえ、しばしばAEDの場合のように患者の近くにあるものではない。従って、アダプターケーブルは、9から12フィートの長さかもしれず、つまり、電極パッドケーブルをあわせると、除細動器と電極パッドの間は、15フィート以上のケーブルになるかもしれない。
【0005】
例えばPhilips社の除細動器・モニタMRx(商標)などの除細動器は、積極的に電極接続をモニタし、その電極が患者にかけられときを感知することができ、すぐにECGモニタリングを開始することができる。その除細動器・モニタは、除細動器に接続された、アダプターケーブル・電極・患者の組合せのインピーダンスを検知することができる。アダプターケーブルと電極を単にモニタリングするときは、除細動器は、これらのコンポーネントのキャパシタンスを見るだけであり、キャパシタンスの測定は、きわめて低くなるだろう。これらの状況の下で、その除細動器・モニタは、ECGディスプレイに直線図を生成する。そのキャパシタンスはその電極が患者にあてられていないからである。電極が患者にあてられるときは、キャパシタンスが閾値レベル以上に増加し、患者のECG信号が受信され、そのディスプレイは、ECG信号を表示するように作動される。それから、臨床医又は除細動器は(自動モードのとき)、その患者の状態を診断し処置を始めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電極がアダプターケーブルと事前接続されているときは、仮に最小限でも、閾値レベルを超えるキャパシタンスが生成され得ることが分かった。除細動器・モニタは、ディスプレイを作動し、直線図を電極により供給される信号に変更する。しかし、電極が患者にあてられていないときは、その除細動器は、結果として生じた低レベルノイズを不全収縮状態として解釈し、処置をしている臨床医にアラートやアラームを発し始めることがある。こうした保障されていないアラートやアラームは、患者の生命が危機にあり、すでに混乱した状況であるかもしれない中では、崩壊的状態を招きかねない。従って、電極が患者にあてられる前、事前接続の間、接続されたアダプターケーブルと電極の組合せが、その除細動器により、患者の不全収縮状態とみなされることを防ぐのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の原理に従えば、除細動器に事前接続された、アダプターケーブルと電極の組合せのキャパシタンスが低減されるが、それは、アダプターケーブルと電極ケーブルのキャパシタンスへのいかなる変化によるものではなく、バッグやポーチ、そこには電極がパッケージされる、によって生成されるキャパシタンスのコントロールによって低減される。頑丈で、気密の電極用筐体を提供するため、電極がパッケージされているバッグやポーチは、一般的には、積層金属フォイルで製作される。本発明者は、キャパシタンスは、電極とフォイルバック(foil bag)の金属との間で生成されることを発見した。このキャパシタンスは、除細動器によって認識されるアダプターケーブルと電極ケーブルとに寄与する。このキャパシタンスは、フォイルバックやポーチの壁面に対向する電極側面の高誘電体を用いることにより低減され、それにより、除細動器が過剰なキャパシタンス、それは誤って不全収縮状態とみなされるかもしれない、を検知するのを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ブロックダイアグラムの形式で、本発明の原理に従って構成した除細動器・モニタを示す。
図2図2は、図1の除細動器・モニタのディスプレイを示す。
図3図3は、本発明の原理に従って構成したアダプターケーブルと電極セットを示す。
図4図4は、図3のパッケージされた電極の部分的な断面図を示す。
図5a図5aは、アダプターケーブルと電極セットに事前接続されたとき、除細動器モニタが認識することがあるキャパシタンスを示す。
図5bォイルエンベロープ(foil envelope)内の2つの電極パッドのパッケージ方法を示し、結果として電気回路と等価である。
図5cフォイルエンベロープ内の2つの電極パッドのパッケージ方法を示し、結果として電気回路と等価である。
図5dフォイルエンベロープ内の2つの電極パッドのパッケージ方法を示し、結果として電気回路と等価である。
図5eォイルエンベロープ(foil envelope)内の2つの電極パッドのパッケージ方法を示し、結果として電気回路と等価である。
図5fフォイルエンベロープ内の2つの電極パッドのパッケージ方法を示し、結果として電気回路と等価である。
図5gフォイルエンベロープ内の2つの電極パッドのパッケージ方法を示し、結果として電気回路と等価である。
図6図6は、本発明の電極パッドの構成を示す。
図7図7は、本発明の原理に従った他の電極パッドセットの構成を示す。
図8図8は、本発明の原理に従った他の電極パッドセットの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
はじめに図1を参照すると、本発明の原理に従って構成した除細動器・モニタが、ブロックダイアグラムの形式で示されている。図1に示される機器は、心室細動になっている患者の除細動を実行することができる。その機器は、自動的に除細動の決定をするのに必要な、心臓のモニタリングを含み、ECGモニタリングの実行もすることができる。図示されたモニタは、SpO2酸素を感知したり、非外科的な血圧のモニタリング、そして呼気終末CO2のモニタリングも可能である。非外科的血圧モニタリングや患者の体温モニタリングなどの他の機能は、そうしたマルチファンクショナルな機器において提供されてもよい。モニタは、患者のフロントエンド(front end)を複数有しており、それらのフロントエンドは、その患者に取り付けたセンサーの入力回路である。この回路は、通常の検知、増幅回路を含み、ECG電極用、光学酸素センサー用、血圧検知用、そして二酸化炭素検知用などに用いられる。患者のフロントエンドのひとつは、除細動器・モニタに接続された電極パッドのインピーダンスを検知するための入力回路である。その電極コネクター入力は、インピーダンスの測定回路18に接続され、その測定回路は、電極コネクター入力に接続されたコンポーネントのインピーダンスを測定する。患者のセンサーで受信され、フロントエンド回路10で処理される情報は、フロントエンドA/Dコンバーター12でデジタル化される。そのデジタル化された情報は、コミュニケーションバス60によって機器の処理回路に接続され、そのコミュニケーションバスは、この機器の様々なモジュールとの間でデータを連絡する。
【0010】
本機器は、除細動器の操作用に高圧回路16を含む。その高圧回路は、除細動に必要な高圧パルスを生成し、それは、スイッチングロジック14により適切な時間に、患者につながれた除細動器電極に接続される。本発明の実施においては、これらの除細動器電極は、患者のECG信号を除細動パルスの出力前に受信するために使用される。その高圧回路は、心室細動を中断し、心臓を通常のリズムに戻すのに必要な、高圧のショックを提供する。除細動のために出力される、ショックレベルと波形は、自動的にモニタ内のプロセッサによって計算されるか、又は、経験のある医療技術者や医師により手動で設定され得る。
【0011】
本機器内のモジュール用の電力は、電力処理回路20により供給される。その電力処理回路20は、バッテリー28、ACサプライ24、又はDCサプライ26から、電力を供給する。AC及びDCサプライも回路に接続され、その回路は、モニタがこれらの外部電源から電力供給されると、バッテリーをチャージする。
【0012】
本機器により得られる情報は、コミュニケーション回路30により、他の機器や場所に送信されてもよい。これは、ネットワーク接続、RS232接続、又は無線接続(例えば、BLUETOOTH(登録商標)、WiFi、赤外線など)を含む。
【0013】
本機器は、キーパッド・コントローラ32により操作され調整される。一実施例では、キーパッドは、薄膜キーパッドであり、環境問題に対して配慮している。例えば、オン/オフスイッチ、除細動用のパワーレベルやショック出力コントローラ、プリンター、その他の機能などのコントロールも供給されてもよい。
【0014】
本モニタは、中央処理装置(CPU)40のコントロールにより操作される。CPUは、リードオンリーメモリ(ROM)38に記録されたソフトウェアをランする。フラッシュROMもまた、機能設定や、波形情報などの新規の又は特別な機能のコントロールの用に提供される。リムーバブルメモリ36は、患者の心室細動などの症状の間に生成される情報を記録するのに提供される。除細動の前後の心臓波形などの患者の情報も、リムーバブルメモリ36に記録され、そのメモリは着脱可能であり、次の治療者に点検、記録保持、及びその後の診断のために渡される。そのリムーバブルメモリ36は、治療者がマイクロフォン48に話した音声情報を記録することもできる。
【0015】
警報器34は、固体の音源を駆動するのに使用され、その音源は、短い「鳥のさえずるような」音を生成する。この音により、機器に常駐の自己診断が、低バッテリーレベルや患者の危険状態に関する回路群内の動作不良を感知したことを知らせる。また、本機器の前に専用のディスプレイがあり、大きい、点滅する、赤いXを提示して低バッテリーレベルを示したり、大きい、固定した、赤いXを提示して回路不良を知らせる。
【0016】
トーン46は、ソフトウェアで生成され、そしてスピーカー42を駆動するのに使用される。この機能は、例えば心臓の拍動の各サイクルに応答した短いトーンなどの特定のモニタリング機能の間に使用される。トーンの組合せは、患者の生命に関する測定値が、選択されたアラームの範囲の外にあるとき、耳に聞こえるアラートやアラームを発生するのに使用される。
【0017】
スピーカー42は、予め記録された音声指示や、保存、再生された情報を、音声出力回路44から再生することができる。
【0018】
ディスプレイ50は、患者のパラメーターや波形を提示し、以下でより詳細に議論される。表示されるべき情報は、ディスプレイコントローラー52に供給され、そのコントローラーは、ディスプレイ上に情報を表示するための必要な信号を駆動する。本発明に従って構成した一実施形態では、そのディスプレイはカラーLCDディスプレイであるが、例えばCRTディスプレイなど他のタイプのディスプレイが特定の実施形態では使用されてもよい。そのディスプレイコントローラー52は、カラーマップ記憶装置54により供給されるカラーマップに応じて、情報を表示する。本発明に従って構成した一実施形態では、そのカラーマップは、表形式で記憶される。他の実施形態では、そのカラーマップは、アルゴリズムとして又は他のプログラムされた情報として記憶されてもよい。
【0019】
図2は、本発明の原理に従って構成した、病院の中で提供されることのある通常の操作中のモニタのディスプレイ70を示す。室内照明の状況の下では、そのディスプレイ70の背景は黒であるか、又は参照符号78で示されるようにグレイである。ディスプレイ70の最上部にある図形情報は、黒の背景に対して白で示される。表示される各種の情報を容易に区別し関連付けるため、数値及び図形情報は、カラーで表示される。例えば、心拍数の数値80と、下に72で示される、その心臓のトレースは緑で表示される。28と読めるCO2数値及びCO2のトレースは、74で、ライトブルーで表示される。プレチスモグラフトレース76は、紫で表示される。黒若しくはグレイの背景に対してそうしたカラーの表示は、周囲の照明の条件が良好でない室内で観察するのに望ましいことがわかってきた。
【0020】
図3は、パッケージされた電極セットとアダプターケーブルを示しており、そのアダプターケーブルは、図1の除細動器・モニタの電極入力に接続されてもよい。アダプターケーブル90は、一般的には3から5メーターの長さであり、一端にコネクター22aを有し、そのコネクターは、除細動器の電極接続ソケットに差し込まれ、他端のコネクター22bは、矢印で示されるように、電極セットのコネクター88に接続される。このアダプターケーブルは、2つ芯線を有し、電極セットの各電極用である。
【0021】
電極セットは、電極80aと80bの2つを含む。電極はそれぞれ、電極ケーブル86a、86bを有し、留め具84a及び84bで電極に接続されている。電極ケーブル86a、86bは、電極セットコネクター88で終端し、電気的にそれらの電極ケーブルはアダプターケーブル90のワイヤに接続される。各電極は、剥離ライナーでカバーされ、その剥離ライナーは、患者に接触する導電性粘着ジェル表面を、使用前に異物が混入することから保護する。各剥離ライナーの終端は、タブ82a、82bであり、そのタブは救助する人に握られてもよく、そして剥離ライナーは粘着ジェルからはがし取られる。電極は、使用前には、ラミネートフォイルエンベロープ(laminated foil envelope)100の中にシールされる。即ち、電極ケーブル86a、86bの周囲をシールし、そこにはそのエンベロープの出口がある。
【0022】
図4は、ワイヤ80a、80b、及びフォイルエンベロープ100の部分的な断面図であり、使用前にはそのエンベロープの中にワイヤは保管されている。エンベロープの壁は、パッケージされた電極のどちらの側にもあり、内側ポリマー層104に積層されている外側のポリマー層102を含む。フォイルエンベロープの内部には、2つの電極80a、80bがある。この具体例では、その電極は、相互に接触する支持層と、エンベロープの各壁に対向する剥離ライナーと共に、エンベロープの中に保管される。各電極は、非電導性の支持層92a、92bを有し、それは金属化電極層94a、94bに接着しており、その電極層は例えばスズで形成されてもよい。使用前にジェル層を保護するようカバーするのが、剥離ライナー98a、98bである。一般的には、そのような剥離ライナーは、処理されたクラフト紙やポリマーシートで形成され、その剥離ライナーが容易に粘着ジェルから剥がされる。剥離ライナーの層は、単にジェル層表面をカバーするためだけに使用され、剥がされたものは処分されるので、一般的には薄く高価でない素材のいずれかから作られる。しかし、本発明の原理に従って、図4の具体例の剥離ライナー層98a、98bは、ポリエチレン発泡体で作られ、一般的な剥離ライナーシートよりもかなり厚い。一般的な1000分の7インチ(0.0177cm)の厚さではなく、その発泡体の剥離ライナーシート層98a、98bは16分の1インチ(0.0625“)(0.1587cm)の厚さである。
【0023】
フォイルエンベロープに対向する電極層の厚みが増加したことによる効果が、図5aから理解することができる。一般的な薄い剥離ライナー層は、キャパシタンスの誘電層として作用し、そこでは、キャパシタンスのプレートは、一方は導電性ジェルで、他方はエンベロープのフォイルである。一般的な薄い剥離ライナーは、薄い誘電性と、それ故にかなり大きなキャパシタンスを供給するだろう。しかし、本発明のこの具体例では、その剥離ライナーは、かなり厚いポリエチレン発泡体で厚く作られている。剥離ライナーのより厚い誘電層は、そのキャパシタンスを低減させ、それゆえ、このキャパシタンスの効果は、アダプターケーブル90や電極セット80a、80bの全体のキャパシタンスに及ぶだろう。図5aは、これらのキャパシタンスを示し、例えば、そこでは、電極はフォイルエンベロープ内に、剥離ライナーと共に保管され、その剥離ライナーは、互いに接触し、支持層はフォイルエンベロープの壁に対向している。この場合には、各電極の支持とフォイルエンベロープの対向壁面との間には、キャパシタンスCB−Eが存在し、金属シート94a、94bは、キャパシタンスの一方のプレートであって、エンベロープ100の金属シートは他方のプレートである。これらのプレート間の誘電体のキャパシタンスを低減するため、各電極の支持92a、92bは、例えば16分の1インチ(0.1587cm)厚のポリエチレン発泡体を支持素材に使用するなどで、厚く作られる。パッケージの中心のキャパシタンス、ジェル層96a、96b間のCG−Gは、このキャパシタンスのより厚い誘電体である各電極の剥離ライナー98a、98bを使用することで低減される。キャパシタンスCは、フォイルパッケージ100がない状態での電極セットのキャパシタンスであり、キャパシタンスCは、アダプターケーブル90のキャパシタンスである。剥離ライナー及び/又は電極の支持層に厚い素材を使用することで、キャパシタンスCB−EとCG−Gは低減され、それにより、除細動器120でみられる全体のキャパシタンスは低減される。その除細動器にはアダプターケーブルコネクター22aが接続される。
【0024】
図5bと5cは、2つの方法で、一対の電極パッドがフォイルエンベロープの中に配置されることが示されている。図5bでは、2つのパッドの支持層が、互いに接触しており、即ち、剥離ライナーはエンベロープの壁に対向している。図5cは、電極パッドの第二の配置を示し、2つのパッドの剥離ライナーが互いに接触し、パッドの支持層がフォイルエンベロープの壁に対向している。図5dは、等価な電気回路であり、パッドが図5bで示されるようにパッケージされたときに、有効な抵抗とキャパシタンスとを示している。
【0025】
図5eと5fは、2つの方法で、一対の電極パッドがフォイルエンベロープの中に配置されることが示されている。図5eでは、上部のパッドの剥離ライナーは下部のパッドの支持層と接触している。図5fでは、上部パッドの支持層は下部パッドの剥離ライナーと接触している。図5gは、等価な電気回路であり、パッドが図5fで示されるようにパッケージされたときに、有効な抵抗とキャパシタンスとを示している。
【0026】
図6は、本発明の原理に従って構成した、他の除細動器電極の分解組立図である。発泡体の支持層13は、プルタブ11を一端に有し、剥離ライナーを電極から分離するのに用いる。この例では、支持層13の周辺部は剥離ライナーにシールされ、支持層と剥離ライナーとの間にジェル層のための防湿区画を形成し、その支持層とその剥離ライナーの両方が湿気を通さない。電極の他の層は、支持層13の破線15の内部に重ねられている。導電層23は、スズ層17と、ポリマー素材からなる補強層19とから形成され、その補強層の上にそのスズ層は張り合わされる。導電層23は、粘着性の層21によって、支持層13に付着される。これらの層は、リベット(図示されない)の挿入用の穴27を有し、そのリベットに電極のワイヤがスウェージでつけられる。リベットカバー29はリベットに重ねられ、リベットが患者の肌に直接接触するのを防ぐ。電気的に導電性のジェル層41は、導電層23の残りの部分に重ねられる。電極は、剥離ライナー31でカバーされ、その剥離ライナーの周辺は、支持層13周縁部にシールされる。厚い誘電体層を電極間、又は電極とフォイルパッケージの間のキャパシタに供給するため、剥離ライナー31及び/又は支持層13は、ポリマー発泡体層などの厚い素材で構成される。電極がフォイルポーチ内に一貫してパッケージされることになっていて、常にパッケージの壁と対向するなら、剥離ライナーを横切るジェル対ジェルのキャパシタンスが最小限であると仮定すれば、厚い誘電体層を支持層に使用することだけが必要ということが理解されるだろう。もし電極がパッケージされることになっていて、剥離ライナーが常にパッケージの壁と対向するなら、より重要性をもつのは、剥離ライナーの厚さである。もちろん、剥離ライナーと電極の支持層の両方が厚い誘電体素材でできているのであれば、それらはパッケージされているので電極の向きについての関心は必要ないだろう。
【0027】
図7と8は、本発明の他の電極セットの例を示し、支持層及び/又は剥離ライナー層は、2層構造からなり、1層の厚さが、その層の所望の電導特性のために選択されることが可能になる。この例では、ジェル層41は、電極ディスク17に重ねられ、その電極ディスクに電極ワイヤ86が取り付けられる。リベットカバー29は、電極ワイヤ86が取り付けられている層の部分に重ねられる。それらの層は、プルタブ11を一端に有する支持層13に取り付けられる。電極ディスク17と支持層13との間には、非導電性のバリア層39があり、それは電極ディスクと支持層の双方に取り付けられている。このバリア層39の厚さは、電極ディスクと支持層の外側にある如何なる金属素材(例えばフォイル保管ポーチなど)との間で、所望の低減されたキャパシタンスを提供するように選択することができる。
【0028】
剥離ライナーは、同様に、層構造からなる。非導電性の剥離ライナー層31は、プルタブ33を備え、粘着層により第2バリア層35に取り付けられる。このバリア層35の厚さは、2層の剥離ライナーに厚みを与え、その厚みは、電極の保管中、ジェル層41と、剥離ライナーに対向する如何なる金属層との間で、所望の誘電体厚さを、低減されたキャパシタンスを提供するように選択されてもよい。図8は、そうした2つの電極を示し、その電極は、電極コネクタ88に接続される電極ケーブル86、86を有し、2層の剥離ライナー112が部分的にその電極とジェル層41から剥がされている。図7及び図8の例において、支持層と剥離ライナー用に同じ素材を一貫して使用することができ、選択した厚さのバリア層を用いて、電極にとって所望の誘電体特性を提供する。支持層又は剥離ライナー若しくはその両方が、所定の実施例では所望のように2層構造から構成されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図6
図7
図8