(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042729
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】フロート式ドレントラップ
(51)【国際特許分類】
F16T 1/24 20060101AFI20161206BHJP
F16K 31/18 20060101ALI20161206BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
F16T1/24
F16K31/18 D
F16K37/00 M
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-3583(P2013-3583)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2014-134267(P2014-134267A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】湯本 秀昭
【審査官】
加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−163545(JP,A)
【文献】
特開平7−19360(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第2044405(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/24
F16K 31/18
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と弁室と出口を有するケーシングと、出口の弁室側端に形成され弁室と出口を連通する弁口と、弁室内に支持された揺動軸と、揺動軸の周りに回転するレバー及び主アームと、レバーに連結され弁室の液位に応じて浮上降下するフロートと、揺動軸から離れた点においてレバーに支持され揺動軸と平行なレバー軸と、揺動軸及びレバー軸から離れた点において主アームに支持され揺動軸と平行な主アーム軸と、レバー軸及び主アーム軸の間に取付けられ両取付部が回転可能であるコイルバネと、揺動軸とレバー軸及び主アーム軸から離れた点において主アームに支持され揺動軸と平行な弁アーム軸と、弁アーム軸の周りに回転する弁アームと、弁アームに連結され弁口を開閉する弁体と、弁体が弁口を開閉する回数を検出するためにフロートの位置を検出するフロート位置検出スイッチをケーシングに取り付け、フロート位置検出スイッチがケーシングに固定されたケースと、ケースの中心軸の回り回転自在に取付けられた回転板と、回転板に一端が固定され他端がフロートの上方に延びてフロートの浮上降下により回転して回転板を回転せしめる密着コイルバネと、回転板に連結され回転板の回転に伴って軸心方向に変位する可動軸と、可動軸に内蔵された永久磁石と、永久磁石の磁界により動作する磁気スイッチとから構成され、フロートが所定高位よりも少し低位の第2所定高位まで浮上したときに磁気スイッチがONしフロートが第2所定高位よりも降下したときに磁気スイッチがOFFすることを特徴とするフロート式ドレントラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気配管系や圧縮空気配管系に発生するドレンをフロートを用いて自動的に排出するフロート式ドレントラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフロート式ドレントラップは、例えば、特許文献1に示されたものがある。これは、入口と弁室と出口を有するケーシングと、出口の弁室側端に形成され弁室と出口を連通する弁口と、弁室内に支持された揺動軸と、揺動軸の周りに回転するレバーと、レバーに連結され弁室の液位に応じて浮上降下するフロートと、揺動軸から離れた点においてレバーに支持され揺動軸と平行な弁アーム軸と、弁アーム軸の周りに回転する弁アームと、弁アームに連結され弁口を開閉する弁体とを具備するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−36901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のフロート式ドレントラップは、弁室内の液位に応じて上下動するフロートによりレバーが揺動軸の周りに回転し、レバーの回転により弁アームが弁アーム軸の周りに回転しながら上下動し、弁アームの上下動により弁体が上下動して弁口を開閉するものである。このフロート式ドレントラップにおいては、弁体が弁口を開閉する回数に比例して弁体と弁口の磨耗が進行して故障に至るが、フロートが液面の波立ちにより動揺し易いために、波立ちとともに閉弁時にフロートが動揺すると弁体が小刻みに繰り返し弁口を開閉する問題点があった。また、弁体が弁口を開閉する回数を検出できない問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、弁体が小刻みに繰り返し弁口を開閉することを防止できるとともに弁体が弁口を開閉する回数を検出できるフロート式ドレントラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のフロート式ドレントラップは、入口と弁室と出口を有するケーシングと、出口の弁室側端に形成され弁室と出口を連通する弁口と、弁室内に支持された揺動軸と、揺動軸の周りに回転するレバー及び主アームと、レバーに連結され弁室の液位に応じて浮上降下するフロートと、揺動軸から離れた点においてレバーに支持され揺動軸と平行なレバー軸と、揺動軸及びレバー軸から離れた点において主アームに支持され揺動軸と平行な主アーム軸と、レバー軸及び主アーム軸の間に取付けられ両取付部が回転可能であるコイルバネと、揺動軸とレバー軸及び主アーム軸から離れた点において主アームに支持され揺動軸と平行な弁アーム軸と、弁アーム軸の周りに回転する弁アームと、弁アームに連結され弁口を開閉する弁体と、弁体が弁口を開閉する回数を検出するためにフロートの位置を検出するフロート位置検出スイッチを具備し、フロート位置検出スイッチがケーシングに固定されたケースと、ケースの中心軸の回り回転自在に取付けられた回転板と、回転板に一端が固定され他端がフロートの上方に延びてフロートの浮上降下により回転して回転板を回転せしめる密着コイルバネと、回転板に連結され回転板の回転に伴って軸心方向に変位する可動軸と、可動軸に内蔵された永久磁石と、永久磁石の磁界により動作する磁気スイッチとから構成され、フロートが所定高位よりも少し低位の第2所定高位まで浮上したときに磁気スイッチがONしフロートが第2所定高位よりも降下したときに磁気スイッチがOFFすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフロート式ドレントラップは、弁室内の液位に応じて上下動するフロートによりレバーが揺動軸の周りに回転し、レバーの回転によりレバー軸が揺動軸と主アーム軸を結ぶ線に近づく方向に移動してコイルバネを圧縮変形させ、フロートが所定高位或いは所定低位に達してレバー軸が揺動軸と主アーム軸を結ぶ線を越えるとコイルバネが変形を回復して、主アーム軸が揺動軸とレバー軸を結ぶ線から遠ざかる方向に主アームを回転させ、主アームの回転により弁アームが弁アーム軸の周りに回転しながら上下動し、弁アームの上下動により弁体が上下動して弁口を開閉するので、弁体が小刻みに繰り返し弁口を開閉することを防止できるという優れた効果を生じる。そして、フロートが所定高位よりも少し低位の第2所定高位まで浮上したときに磁気スイッチがONしフロートが第2所定高位よりも降下したときに磁気スイッチがOFFすることにより、弁体が弁口を開閉する回数を検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係わるフロート式ドレントラップの断面図である。
【
図2】
図1のフロート式ドレントラップのフロート位置検出スイッチの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図2を参照して説明する。本発明のフロート式ドレントラップは、本体1に入口2と出口3を有する蓋体4をボルトで締結して内部に弁室5を有するケーシングを構成する。弁室5と出口3を連通する弁口6を有する弁座部材7を蓋体4下部の出口3の弁室5側端にねじ結合する。入口2は弁室5の上部に開口し、出口3は弁口6を介して弁室5の下部に開口する。弁室5内に揺動軸8を掛け渡して支持し、揺動軸8にレバー9と主アーム10を回転可能に支持する。レバー9は平行に対向した2枚の板よりなり、揺動軸8から離れた点において揺動軸8と平行なレバー軸11を掛け渡し、レバー軸11に弁室5の液位に応じて浮上降下する中空球形のフロート12を連結する。また、レバー軸11にバネ受け13を回転可能に支持する。主アーム10は平行に対向した2枚の板よりなり、揺動軸8及びレバー軸11から離れた点において揺動軸8と平行な主アーム軸14を掛け渡し、主アーム軸14にバネ受け15を回転可能に支持する。レバー軸11のバネ受け13と主アーム軸14のバネ受け15の間にコイルバネ16を取り付ける。
【0010】
揺動軸8とレバー軸11及び主アーム軸14から離れた点において揺動軸8と平行な弁アーム軸17を主アーム10に掛け渡し、弁アーム軸17に弁アーム18を回転可能に支持する。弁アーム18は2枚の板よりなり、揺動軸8とレバー軸11と主アーム軸14及び弁アーム軸17から離れた点において揺動軸8と平行な弁体軸19を掛け渡し、弁体軸19に弁口6を開閉する球状の弁体20の球心を回転可能に支持する。弁アーム18に当接部21を設け、当接部21にボルト状の調節部材22をねじ結合により取り付ける。レバー9は弁体20が弁口6を閉じるときに、調節部材22を介して弁アーム18の当接部21に当接し、調節部材22と弁アーム18を介して弁体20を弁口6に押し付けることができる。当接部材22の当接部21へのねじ込み量を調節することにより、弁体20が弁口6を閉じるときに、レバー9が調節部材22と弁アーム18を介して確実に弁体20を弁口6に押し付けることができる。弁室5内にストッパー軸23を掛け渡し、レバー9にストッパー軸23が貫通する窓24を開口するとともに主アーム10にストッパー軸23が貫通する窓25を開口する。フロート12の浮上及び降下によるレバー9の時計回り方向及び反時計回り方向への回転が窓24の右端及び左端で規制されるとともに主アーム10の反時計回り方向への回転が窓25の左端で規制される。
【0011】
フロート位置検出スイッチ33は
図2に示すように、本体1にねじ結合により固定されたケース36と、ケース36の内端二又部分36aに中心軸37により回転自在に取付けられた回転板38と、回転板38に一端が圧入により固定され他端がフロート3の上方に延びてフロート3の浮上降下により回転して回転板38を回転せしめる密着コイルバネ39と、一端二又部分40aが連結軸41により回転板38に連結され回転板38の回転に伴って軸心方向に変位する可動軸40と、可動軸40の他端に内蔵された永久磁石42と、ケース35の隔壁35bにより永久磁石42とは隔てられ永久磁石42の磁界により動作する磁気スイッチ43とから構成する。
【0012】
弁室5内の液位が低い場合は、
図1に示すようにフロート12は底部に位置し、弁体20は弁口6を閉じている。このとき、レバー9は弁アーム18の当接部21に結合された調節部材22に当接し、調節部材22と弁アーム18の当接部21を介して弁体20を弁口6に押し付けている。入口2から流入するドレンにより弁室5内の液位が上昇すると、フロート12が浮上してレバー9が揺動軸8の周りに時計回り方向に回転する。フロート12が浮上して密着コイルバネ39に当接後は密着コイルバネ39を介して回転板38が中心軸37の回りに反時計方向に回転し、回転板38の回転に伴って可動軸40が左方に変位して永久磁石42が磁気スイッチ43に近づき第2所定高位で磁気スイッチ43がONする。レバー9の回転によりレバー軸11が揺動軸8と主アーム軸14を結ぶ線に近づいてコイルバネ16を圧縮変形させ、フロート12が所定高位に達し、レバー軸11が揺動軸8と主アーム軸14を結ぶ線を越えるとコイルバネ16が変形を回復して、主アーム軸14が揺動軸8とレバー軸11を結ぶ線から遠ざかる方向に主アーム10を反時計回り方向に回転させる。主アーム10の回転により弁アーム18が弁アーム軸17の周りに回転しながら下動し、弁アーム10の下動により弁体20が下動して弁口6を開く。これにより、弁室5のドレンを弁口6を通して出口3から排出する。ドレンの排出により弁室5内の液位が低下すると、フロート12が降下してレバー9が揺動軸8の周りに反時計回り方向に回転する。フロート12の降下に伴って、密着コイルバネ39及び回転板38が中心軸37の回りに時計方向に回転し、回転板38の回転に伴って可動軸40が右方に変位して永久磁石42が磁気スイッチ43から遠ざかりフロート12が第2所定高位よりも低下したときに磁気スイッチ43がOFFする。この磁気スイッチ43のON・OFFを計数することにより弁体20が弁口6を開閉する回数を検出する。レバー9の回転によりレバー軸11が揺動軸8と主アーム軸14を結ぶ線に近づいてコイルバネ16を圧縮変形させ、フロート12が所定低位に達し、レバー軸11が揺動軸8と主アーム軸14を結ぶ線を越えるとコイルバネ16が変形を回復して、主アーム軸14が揺動軸8とレバー軸11を結ぶ線から遠ざかる方向に主アーム10を時計回り方向に回転させる。主アーム10の回転により弁アーム18が弁アーム軸17の周りに回転しながら上動し、弁アーム10の上動により弁体20が上動して弁口6を閉じる。これにより、気体の漏出を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、蒸気配管系や圧縮空気配管系に発生するドレンをフロートを用いて自動的に排出するフロート式ドレントラップに利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 入口
3 出口
4 蓋体
5 弁室
6 弁口
7 弁座部材
8 揺動軸
9 レバー
10 主アーム
11 レバー軸
12 フロート
13 バネ受け
14 主アーム軸
15 バネ受け
16 コイルバネ
17 弁アーム軸
18 弁アーム
19 弁体軸
20 弁体
21 当接部
22 調節部材
23 ストッパー軸
24 窓
25 窓
33 フロート位置検出スイッチ
43 磁気スイッチ