特許第6042746号(P6042746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042746
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20161206BHJP
   F04D 5/00 20060101ALI20161206BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20161206BHJP
   F02M 37/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F04D29/58 D
   F04D5/00 M
   F04D15/00 F
   F02M37/10 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-34975(P2013-34975)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-163279(P2014-163279A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 義彦
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−211738(JP,A)
【文献】 特開平08−109858(JP,A)
【文献】 特開2001−295797(JP,A)
【文献】 特開2010−285929(JP,A)
【文献】 特開2008−309156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−37/22
F04D 1/00−13/16
F04D 17/00−19/02
F04D 21/00−25/16
F04D 29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラを備えるポンプ部と、
ポンプ部を駆動するモータ部と、
ポンプ部とモータ部とを収容するハウジングと、を備え、
モータ部は、
インペラを駆動するロータと、
ロータを回転させるステータと、
ロータの回転を制御する制御回路と、
制御回路とハウジングとの間に充填されている樹脂部と、
制御回路とハウジングとに接触する伝熱部であって、樹脂部よりも熱伝導率が高い伝熱部と、を備え
伝熱部は、制御回路を覆うカバーを備え、
制御回路及び伝熱部は、ハウジング内に配置されており、
伝熱部のカバーの端面は、ハウジングの端部からハウジングの外部に露出している、電動ポンプ。
【請求項2】
伝熱部の少なくとも一部は、電動ポンプの外側に露出している、請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
伝熱部は、制御回路を収容する、請求項1又は2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
伝熱部及びハウジングは、導電性を有し、
伝熱部は、接地されており、制御回路よりも電動ポンプの外側に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
ステータは、筒状を有しており、
ロータは、ステータの内周側に配置されており、
ポンプ部から吐出された液体は、ステータとロータとの間を通過して、ロータの上方から、電動ポンプ外に吐出され、
制御回路は、
ステータの軸線方向の一方の端から離間して配置されており、
ステータの内径よりも大きい開口を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
電動ポンプ内の液体の圧力を計測する圧力センサを、さらに備え、
制御回路は、圧力センサの計測結果を用いて、ロータの回転を制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、ポンプ部と、ポンプ部を駆動するモータ部とを備える電動ポンプを開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポンプ部とポンプ部を駆動するモータ部とを備える燃料ポンプが開示されている。モータ部は、制御回路部によって制御される。制御回路部は、ステンレス製の容器内に設置されている。容器は、樹脂材料によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−71436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、制御回路部が樹脂材料によって覆われているため、制御回路部は、冷却されにくい。
【0005】
本明細書では、制御回路を適切に冷却し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される技術は、インペラを備えるポンプ部と、ポンプ部を駆動するモータ部と、ポンプ部とモータ部とを収容するハウジングと、を備え、モータ部は、インペラを駆動するロータと、ロータを回転させるステータと、ロータの回転を制御する制御回路と、制御回路とハウジングとの間に充填されている樹脂部と、制御回路とハウジングとに接触する伝熱部であって、樹脂部よりも熱伝導率が高い伝熱部と、を備え、伝熱部は、制御回路を覆うカバーを備え、制御回路及び伝熱部は、ハウジング内に配置されており、伝熱部のカバーの端面は、ハウジングの端部からハウジングの外部に露出している、電動ポンプである。
本明細書で開示される別の技術は、燃料ポンプに関する。燃料ポンプは、インペラを備えるポンプ部と、ポンプ部を駆動するモータ部と、ポンプ部とモータ部とを収容するハウジングと、を備える。モータ部は、ロータと、ステータと、制御回路と、樹脂部と、伝熱部とを備える。ロータは、インペラを駆動する。ステータは、ロータを回転させる。制御回路は、ロータの回転を制御する。樹脂部は、制御回路とハウジングとの間に充填されている。伝熱部は、制御回路とハウジングとに接触する。伝熱部は、樹脂部よりも熱伝導率が高い。
【0007】
制御回路は、伝熱部を介して、ハウジングに接続されている。ハウジングは、電動ポンプの外部の液体又は気体と接触している。この結果、制御回路の熱は、伝熱部とハウジングとを介して、電動ポンプ外に放熱される。この構成によれば、制御回路を、適切に冷却し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例の燃料ポンプの縦断面図を示す。
図2】第1実施例の燃料タンクの構成を示す。
図3】第2実施例の燃料ポンプの縦断面図を示す。
図4】第3実施例の燃料ポンプの縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【0010】
(特徴1)伝熱部の少なくとも一部は、電動ポンプの外側に露出していてもよい。
【0011】
この構成によれば、制御回路の熱は、伝熱部とハウジングとを介して、電動ポンプ外に放熱されると共に、伝熱部から直接的に電動ポンプ外に放熱される。この構成によれば、制御回路を、より的確に冷却し得る。
【0012】
(特徴2)伝熱部は、制御回路を収容してもよい。
【0013】
この構成では、制御回路は、伝熱部によって覆われている。この構成によれば、制御回路の一部が、樹脂部材によって覆われている構成と比較して、制御回路をより適切に冷却することができる。
【0014】
(特徴3)伝熱部及びハウジングは、導電性を有していてもよい。伝熱部は、接地されており、制御回路よりも電動ポンプの外側に配置されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、制御回路で発生するスイッチングノイズを低減することができる。また、制御回路の放射ノイズを低減することができる。この結果、制御回路のノイズによって、電動ポンプ周辺に配置されている電子機器が影響を受けることを抑制することができる。
【0016】
(特徴4)ステータは、筒状を有していてもよい。ロータは、ステータの内周側に配置されていてもよい。ポンプ部から吐出された液体は、ステータとロータとの間を通過して、ロータの上方から、電動ポンプ外に吐出されてもよい。制御回路は、ステータの軸線方向の一方の端から離間して配置されていてもよい。ステータの内径よりも大きい開口を有していてもよい。
【0017】
この構成によれば、電動ポンプ内を流れる液体の流路を、制御回路を回避するように設置しなくて済む。これにより、電動ポンプ内で液体がスムースに流れるように、流路を形成することができる。この結果、ポンプ効率の低下を抑制することができる。
【0018】
(特徴5)電動ポンプ内の液体の圧力を計測する圧力センサを、さらに備えていてもよい。制御回路は、圧力センサの計測結果を用いて、ロータの回転を制御してもよい。
【0019】
この構成によれば、制御回路は、電動ポンプ内の液体の圧力に応じて、ロータの回転を制御することができる。これにより、電動ポンプから吐出される液体の圧力を、適切な圧力に調整することができる。
【実施例】
【0020】
(第1実施例)
図2に示すように、燃料ポンプ10は、燃料タンク4内に配置され、自動車のエンジン(図示省略)に燃料(例えばガソリン等)を供給する。図1に示すように、燃料ポンプ10は、モータ部50とポンプ部30とハウジング2とを備える。モータ部50とポンプ部30は、ハウジング2内に配置されている。ハウジング2は、両端が開口された円筒形状を有する。ハウジング2は、金属製(例えばステンレス鋼製)である。従って、ハウジング2は、後述する樹脂部56よりも熱伝導性が高い。
【0021】
ポンプ部30は、ケーシング32とインペラ34とを備える。ケーシング32は、ハウジング2の下端の開口を閉塞する。ケーシング32の下端には、吸入口38が設けられている。ケーシング32の上端には、ケーシング32内とモータ部50を連通する連通孔(図示省略)が設けられている。ケーシング32内には、インペラ34が収容されている。
【0022】
モータ部50は、ポンプ部30の上方に位置する。モータ部50は、ブラシレスモータである。モータ部50は、三相モータである。モータ部50は、ロータ54とステータ60と樹脂部56と制御回路80とカバー90(伝熱部の一例)とを備える。ロータ54は、永久磁石を備える。ロータ54の中心には、シャフト52が貫通して固定されている。シャフト52の下端は、インペラ34の中心部に挿入され、貫通している。ロータ54は、シャフト52の両端部に配置された軸受けによって、シャフト52を中心に回転可能に支持されている。なお実施例では、図1の状態で上下を規定する。即ち、モータ部50から見てポンプ部30は「下」に位置し、ポンプ部30から見てモータ部50は「上」に位置する。
【0023】
ロータ54の外周には、ステータ60が配置されている。ステータ60は、複数個のティース94を有するコア91を備える。コア91は、積層された複数個のコアプレートが積層されることによって構成されている。なお、図1では、見易さを優先して、コアプレート及びコイル線96の断面を示す斜線を省略している。コア91は、円筒形状を有する。6個のティース94は、等間隔で配置され、コア91の内周側に向かって伸びている。6個のティース94の内周面は、ロータ54の外周面に沿った形状を有する。6個のティース94の内周面は、僅かな隙間を開けて、ロータ54の外周面に対向する。
【0024】
各ティース94には、樹脂層62を挟んで、コイル線96が巻回されている。ステータ60の上下端は、樹脂部56によって覆われている。ステータ60は、樹脂部56に覆われている状態で、ハウジング2に圧入される。樹脂部56は、ハウジング2の上端の開口を閉塞する。樹脂部56の上端には、吐出口11が形成されている。吐出口11は、モータ部50と燃料ポンプ10外の燃料経路とを連通する。吐出口11は、ポンプ部30で昇圧された燃料を、燃料経路3(図2参照)に吐出するための開口である。燃料経路3は、エンジンまで伸びる燃料配管(図示省略)に接続される。
【0025】
制御回路80は、ステータ60の軸線方向(即ちシャフト52の軸線方向)の上端から離間して配置されている。制御回路80は、リング状の基板に、複数の電子部品(例えばダイオード)が搭載されている。制御回路80は、ロータ54及びティース94の内周面と同心上に配置される。制御回路80の内径は、ロータ54の外径よりも大きい。また、制御回路80の内径は、ティース94の内周面で構成される円筒の直径よりも大きい。
【0026】
制御回路80は、外部端子70に接続されている。外部端子70は、制御回路80から、樹脂層62の上方まで伸びている。外部端子70は、自動車のバッテリと制御回路80とを接続する。外部端子70は、正極端子と負極端子とを備える。制御回路80は、ステータ60の端子82に接続されている。端子82は、三相のそれぞれに対応する3個の供給端子と、三相に共通する共通端子とを備える。制御回路80は、バッテリから供給される直流電流を三相交流電流に変換して、3個の供給端子に供給する。
【0027】
端子82の3個の供給端子のそれぞれは、6個のティース94のうちの3個のティース94のそれぞれに巻回されているコイル線96に接続されている。3個のティース94のコイル線96のそれぞれは、他の3個のティース94のコイル線96のそれぞれに接続されている。この結果、コイル線96に供給される電流の位相に応じて、6個のティース94は、2個のU相のティース94と、2個のV相のティース94と、2個のW相のティース94とに分類される。端子82の共通端子は、上記の他の3個のティース94のコイル線96に接続されている。
【0028】
制御回路80の上側は、カバー90によって覆われている。カバー90は、樹脂部56よりも熱伝導率が高い材料であって、導電性を有する材料(例えばアルミニウム合金、ステンレス鋼)で作製されている。カバー90は、円環形状に形成されている。カバー90は、制御回路80と同心上に配置される。カバー90の内径は、ロータ54の外径よりも大きい。また、カバー90の内径は、ティース94の内周面で構成される円筒の直径よりも大きい。カバー90は、下端が開放されている円環形状の溝を有する。カバー90と、カバー90の下方に位置する樹脂部56とによって、円環形状の空間が画定される。制御回路80は、カバー90の上壁の下面に接着され、円環形状の空間に収容されている。カバー90の外周面は、カバー90の全周に亘ってハウジング2に接触している。なお、変形例では、カバー90の外周面は、カバー90の周方向に一部において、ハウジング2に接触していてもよい。また、カバー90は、外部端子70の負極端子に電気的に接続されている。
【0029】
図2に示すように、燃料ポンプ10は、燃料タンク4内に配置されているリザーバカップ6内に収容されている。燃料ポンプ10は、ポンプケース7によって、リザーバカップ6に支持されている。リザーバカップ6には、燃料ポンプ10の駆動中、ジェットポンプ8からリザーバカップ6外の燃料が供給される。なお、ジェットポンプ8は、プレッシャレギュレータ9から吐出される余剰燃料を利用して、リザーバカップ6外の燃料を、リザーバカップ6内に吸引する。このため、リザーバカップ6外の燃料の液位が、例えば、液位Yに低下しても、リザーバカップ6内の燃料の液位Xは、燃料ポンプ10の上端付近に維持される。
【0030】
自動車のエンジンが駆動されると、制御回路80に電力が供給され、燃料ポンプ10が駆動する。制御回路80は、ステータ60に三相交流電流を供給する。制御回路80は、ロータ54の回転に応じて、ステータ60に供給する電流を制御する。これにより、ロータ54の回転が制御される。ロータ54の回転に伴って、インペラ34が回転する。これにより、ポンプ部30は、フィルタ5を介して、リザーバカップ6内の燃料を吸引し、昇圧して、モータ部50に吐出する。
【0031】
モータ部50内では、燃料は、ロータ54とステータ60との間を通過して、吐出口11に向かって流れる。制御回路80及びカバー90は、その内径が、ロータ54の外径よりも大きく、ティース94の内周面で構成される円筒の直径よりも大きい。このため、制御回路80及びカバー90は、燃料ポンプ10内の燃料の流路上に配置されない。燃料ポンプ10内を流れる燃料の流路を、制御回路80及びカバー90を回避するように設置しなくて済む。これにより、燃料ポンプ10内で燃料がスムースに流れるように、流路を形成することができる。この結果、燃料ポンプ10のポンプ効率の低下を抑制することができる。
【0032】
燃料ポンプ10の駆動中、制御回路80の電子部品が発熱する。制御回路80は、カバー90を介して、ハウジング2に接続されている。ハウジング2は、リザーバカップ6内の燃料と接触している。この結果、制御回路80の熱は、比較的に熱伝導率が高いカバー90とハウジング2とを介して、燃料ポンプ10外に放熱される。この構成によれば、制御回路80を、適切に冷却することができる。
【0033】
さらに、燃料ポンプ10がリザーバカップ6内に配置されているために、燃料ポンプ10は、通常、燃料に浸漬されている。この構成によれば、燃料ポンプ10が燃料タンク2内の気体に接触している場合と比較して、制御回路80の冷却効率が向上する。
【0034】
また、カバー90は、導電性を有しており、負極端子に接続されている。この構成によれば、制御回路80で発生するスイッチングノイズを低減することができる。また、制御回路80の放射ノイズを低減することができる。この結果、制御回路80のノイズによって、燃料ポンプ10周辺に配置されている電子機器(例えば燃料の液位を特定するための液位センサ)が影響を受けることを抑制することができる。
【0035】
さらに、カバー90は、制御回路80の上側を覆っている。即ち、カバー90は、燃料ポンプ10の中央位置から見て、制御回路80よりも外側に位置する。この構成によれば、制御回路80が発生するノイズを、適切に低減することができる。
【0036】
また、カバー90によって、樹脂部56の耐圧強度が向上される。
【0037】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。図3に示すように、第2実施例の燃料ポンプ10は、カバー90に替えて、ケース190(伝熱部の一例)を備える。ケース190は、底面192と、カバー194とを備える。カバー194は、カバー90と同一の構成を有する。底面192は、カバー194の下端の円環形状の開放部分を閉塞している。ケース190は、カバー90と同様の材料で作製されている。カバー194の上面は、全周に亘って、樹脂部56に覆われておらず、リザーバカップ6内の燃料に露出している。制御回路80は、ケース190に収容されている。この構成によれば、制御回路80の熱は、ケース190とハウジング2とを介して、燃料ポンプ10外に放熱されると共に、ケース190から直接的に燃料ポンプ10外に放熱される。これにより、制御回路80の冷却効率が向上する。また、制御回路80は、ケース190によって覆われている。この構成によれば、制御回路80の一部が、樹脂部材によって覆われている構成と比較して、制御回路80の冷却効率が向上する。
【0038】
燃料ポンプ10は、圧力センサ100をさらに備える。圧力センサ100のセンシング部は、ロータ54の上方において、燃料ポンプ10内の燃料に露出している。センシング部は、例えば、ダイヤフラムを備える。圧力センサ100は、センシング部で検出した燃料の圧力変化を、電気信号に変換して制御回路80に供給する。
【0039】
制御回路80は、燃料ポンプ10内の燃料の圧力に応じて、ロータ54の回転を調整することによって、ポンプ部30を制御する。具体的には、燃料ポンプ10内の燃料の圧力が高くなった場合、ロータ54の回転速度を遅くして、燃料ポンプ10内の燃料の圧力を低下させる。一方において、燃料ポンプ10内の燃料の圧力が低くなった場合、ロータ54の回転速度を速くして、燃料ポンプ10内の燃料の圧力を上昇させる。この構成によれば、制御回路80は、燃料ポンプ内の燃料の圧力に応じて、ポンプ部30を制御することができる。これにより、燃料ポンプ10から吐出される燃料の圧力を、適切な圧力に調整することができる。
【0040】
また、第2実施例の燃料ポンプ10によっても、第1の実施例の燃料ポンプと同様の効果を奏することができる。
【0041】
(第3実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。図4に示すように、第2実施例の燃料ポンプ10では、カバー90は、ハウジング2と一体で作製されている。また、カバー90の上面は、全周に亘って、樹脂部56に覆われておらず、リザーバカップ6内の燃料に露出している。この構成によっても、第1実施例と同様の効果を奏する。また、第2実施例と同様に、カバー90の一部が、燃料に露出しているために、冷却効率が向上する。
【0042】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0043】
(1)上記の各実施例では、制御回路80は、円環形状を有する。しかしながら、他の形状を有していてもよい。例えば、制御回路80は、多角形の環状形状を有していてもよい。あるいは、制御回路80は、矩形状の平板であってもよい。この場合、燃料ポンプ10内の燃料の流路に干渉しないように、制御回路80に開口が形成されていてもよく、制御回路80が複数個に分割されていてもよい。この場合、カバー90及びケース190は、制御回路80の形状に合わせて、多角形の環状形状であってもよく、多面体の筐体であってもよい。
【0044】
(2)上記の各実施例では、燃料ポンプ10は、1個の制御回路80を備える。しかしながら、燃料ポンプ10は、複数個の制御回路を備えていてもよい。この場合、1個の制御回路に、発熱量の多い電子部品を配置し、他の制御回路に、発熱量の少ない電子部品を配置してもよい。この場合、発熱量の多い電子部品が配置された制御回路を、カバー90又はケース190に接触させ、発熱量の少ない電子部品sが配置された制御回路を、カバー90又はケース190に接触させなくてもよい。
【0045】
(3)上記の各実施例では、カバー90及びケース190は、負極端子に接続されている。しかしながら、カバー90及びケース190は、負極端子に接続されていなくてもよい。この場合、カバー90及びケース190は、導電体を介して接地されていてもよい。例えば、ハウジング2が接地されている場合、カバー90及びケース190は、ハウジング2を介して接地されていてもよい。
【0046】
(4)カバー90及びケース190は、導電性を有していなくてもよい。この場合、カバー90及びケース190は、接地されていなくてもよい。
【0047】
(5)上記の各実施例では、カバー90及びケース190は、ハウジング2に直接的に接触している。しかしながら、カバー90及びケース190は、熱伝導率が高い材料で作製された部材を介して、ハウジング2に接触していてもよい。
【0048】
(6)本明細書の「伝熱部」は、カバー90及びケース190以外に、制御回路80に接触すると共に、ハウジング2に接触する熱伝導率が高い部材であってもよい。例えば、「伝熱部」は、矩形状の平板であってもよい。
【0049】
(7)本明細書の「電動ポンプ」は、燃料ポンプ10以外に、冷却水用の電動ポンプ等の様々な電動ポンプであってもよい。
【0050】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0051】
2:ハウジング、4:燃料タンク、6:リザーバカップ、8:ジェットポンプ、9:プレッシャレギュレータ、10:燃料ポンプ、30:ポンプ部、50:モータ部、54:ロータ、56:樹脂部、60:ステータ、70:外部端子、90:カバー、100:圧力センサ、190:ケース
図1
図2
図3
図4