特許第6042753号(P6042753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042753
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】端末装置及び操作ロック解除方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/67 20060101AFI20161206BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04M1/67
   G06F3/0488
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-55127(P2013-55127)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-183364(P2014-183364A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2014年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】郭 スミン
(72)【発明者】
【氏名】青山 司
(72)【発明者】
【氏名】許 潤玉
(72)【発明者】
【氏名】高間 亮行
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−048665(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02148497(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0149156(US,A1)
【文献】 特開2012−095069(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/158768(WO,A1)
【文献】 特開2013−037675(JP,A)
【文献】 特表2013−534009(JP,A)
【文献】 特開2008−299866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 − 3/0489
H04B 7/24 − 7/26
H04M 1/00
1/24 − 1/82
99/00
H04W 4/00 −99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するとともに、操作子による情報の入力操作を受け付けるタッチパネルディスプレイと、
タッチパネルディスプレイ上での画像の表示と入力操作の受付との停止を制御するロック制御手段と、
前記タッチパネルディスプレイへの操作子の接近が検出された前記タッチパネルディスプレイの画面上の座標である接近座標、及び当該接近座標における前記タッチパネルディスプレイの画面と前記操作子との距離である接近距離を検出する検出手段とを備え、
前記ロック制御手段は、前記接近座標と前記接近距離との組み合わせが予め記憶されたパターン情報に近似するときに、前記停止を解除するように制御する、
端末装置であって、
前記パターン情報として、基準座標と距離種別との複数の組み合わせを順序付けて記憶するパターン情報格納手段をさらに備え、
前記ロック制御手段は、時系列で検出された前記接近座標と前記接近距離との複数の組み合わせと、前記パターン情報に含まれる順序付けられた前記基準座標と距離種別との複数の組み合わせとが近似するか否かを判断する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記ロック制御手段は、
予め記憶された基準画像を前記タッチパネルディスプレイ上に表示させるように制御した後に、前記検出手段による検出結果を基に、前記基準画像に対応するパターン情報を参照して前記停止を解除するように制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
タッチパネルディスプレイが、画像を表示するとともに、操作子による情報の入力操作を受け付ける情報入出力ステップと、
ロック制御手段が、タッチパネルディスプレイ上での画像の表示と入力操作の受付との停止を制御するロック制御ステップと、
検出手段が、前記タッチパネルディスプレイへの操作子の接近が検出された前記タッチパネルディスプレイの画面上の座標である接近座標、及び当該接近座標における前記タッチパネルディスプレイの画面と前記操作子との距離である接近距離を検出する検出ステップとを備え、
前記ロック制御ステップでは、前記接近座標と前記接近距離との組み合わせが予め記憶されたパターン情報に近似するときに、前記停止を解除するように制御する、
操作ロック解除方法であって、
前記パターン情報は、順序付けられた基準座標と距離種別との複数の組み合わせであり、
前記ロック制御ステップでは、時系列で検出された前記接近座標と前記接近距離との複数の組み合わせと、前記パターン情報に含まれる順序付けられた前記基準座標と距離種別との複数の組み合わせとが近似するか否かを判断する、
ことを特徴とする操作ロック解除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及び操作ロック解除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン又はタブレット端末等の高機能化された端末装置が急速に普及しており、そのような状況の中で端末装置において扱われる情報は従来と比較して膨大な量となっている。その結果、端末装置における情報保護に対するニーズが高まっている。
【0003】
そのようなニーズに応えるための技術として、下記特許文献1記載の携帯端末が知られている。この携帯端末では、タッチパネルディスプレイ上にオブジェクトが表示され、タッチパネルディスプレイをタッチしてオブジェクトを交差するようにスライドを行うと操作ロックを解除する。また、その他、暗証番号等の所定情報を入力することにより操作ロックを解除することができる携帯端末も広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−70297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の携帯端末においては、情報保護が十分になされるとは言い難い。例えば、類推しやすい番号を用いた場合、入力操作が他人に盗み見られた場合、或いは画面上に付着した指紋等によりディスプレイ上のタッチ軌跡が類推されてしまった場合等においては、情報セキュリティが十分に確保できない。さらに、情報セキュリティを向上させるためには複雑な暗証番号等の所定情報を覚える必要があるため、真のユーザにとって直観的な操作ロックが実現できないといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、直観的なロック解除操作を可能にして真のユーザの利便性を高めるとともに、情報セキュリティの十分な確保を可能にする端末装置及び操作ロック解除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の端末装置は、画像を表示するとともに、操作子による情報の入力操作を受け付けるタッチパネルディスプレイと、タッチパネルディスプレイ上での画像の表示と入力操作の受付との停止を制御するロック制御手段と、タッチパネルディスプレイへの操作子の接近が検出されたタッチパネルディスプレイの画面上の座標である接近座標、及び当該接近座標におけるタッチパネルディスプレイの画面と操作子との距離である接近距離を検出する検出手段とを備え、ロック制御手段は、接近座標と接近距離との組み合わせが予め記憶されたパターン情報に近似するときに、停止を解除するように制御する端末装置であって、パターン情報として、基準座標と距離種別との複数の組み合わせを順序付けて記憶するパターン情報格納手段をさらに備え、ロック制御手段は、時系列で検出された接近座標と接近距離との複数の組み合わせと、パターン情報に含まれる順序付けられた基準座標と距離種別との複数の組み合わせとが近似するか否かを判断する。
【0008】
或いは、本発明の操作ロック解除方法は、タッチパネルディスプレイが、画像を表示するとともに、操作子による情報の入力操作を受け付ける情報入出力ステップと、ロック制御手段が、タッチパネルディスプレイ上での画像の表示と入力操作の受付との停止を制御するロック制御ステップと、検出手段が、タッチパネルディスプレイへの操作子の接近が検出されたタッチパネルディスプレイの画面上の座標である接近座標、及び当該接近座標におけるタッチパネルディスプレイの画面と操作子との距離である接近距離を検出する検出ステップとを備え、ロック制御ステップでは、接近座標と接近距離との組み合わせが予め記憶されたパターン情報に近似するときに、停止を解除するように制御する操作ロック解除方法であって、パターン情報は、順序付けられた基準座標と距離種別との複数の組み合わせであり、ロック制御ステップでは、時系列で検出された接近座標と接近距離との複数の組み合わせと、パターン情報に含まれる順序付けられた基準座標と距離種別との複数の組み合わせとが近似するか否かを判断する。
【0009】
このような端末装置或いは操作ロック解除方法によれば、ロック制御手段によりタッチパネルディスプレイ上での画像表示及び入力受付の停止が制御され、タッチパネルディスプレイへの操作子の接近座標と接近距離との組み合わせが検出され、当該組み合わせが予め設定されたパターンに近似するときに、ロック制御手段により停止が解除される。これにより、真のユーザにとっては、複雑な情報を用いることなく直観的な操作でタッチパネルディスプレイにおける操作ロックを解除することが可能になる一方で、他人に対しては情報を類推することによる操作ロックの解除が困難となり、情報セキュリティを十分に確保することが可能になる。その結果、ユーザの利便性を高めるとともに、情報セキュリティの向上が実現できる。また、接近座標と接近距離との組み合わせとパターン情報に示す組み合わせとで操作ロックの解除可否が判断されるので、操作ロック解除を安定して実行することができる。
【0010】
ロック制御手段は、予め記憶された基準画像をタッチパネルディスプレイ上に表示させるように制御した後に、検出手段による検出結果を基に、基準画像に対応するパターン情報を参照して停止を解除するように制御する、ことが好ましい。こうすれば、真のユーザにとってより直観的な操作により操作ロックの解除が可能となり、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、直観的なロック解除操作を可能にして真のユーザの利便性を高めるとともに、情報セキュリティの十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好適な一実施形態にかかる携帯型端末装置の概略構成図である。
図2図1のパターン情報格納部31に格納されたパターン情報のデータ構成の一例を示す図である。
図3図1のパターン情報格納部31に格納されたパターン情報のデータ構成の一例を示す図である。
図4】(a)は、図1のタッチパネルディスプレイ21上での基準画像の出力例、(b)は、図1のタッチパネルディスプレイ21上での基準画像に対するユーザによる操作軌跡を示す図である。
図5図1のタッチパネルディスプレイ21上での基準画像に対するユーザによる操作軌跡を詳細に示す図である。
図6図1の携帯型端末装置1によるパターン情報の登録時の動作を示すフローチャートである。
図7図1の携帯型端末装置1による操作ロック状態の解除時の動作を示すフローチャートである。
図8】操作ロック状態の解除時に携帯型端末装置1によって表示される画面のイメージを示す図である。
図9】操作ロック状態の解除時に携帯型端末装置1によって表示される基準画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面とともに本発明による端末装置及び操作ロック解除方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の好適な一実施形態にかかる携帯型端末装置1の概略構成図である。図1に示す携帯型端末装置1は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末等に代表される移動体通信ネットワーク或いは無線LAN(Local Area Network)に接続可能な携帯型の情報処理端末装置である。
【0016】
この携帯型端末装置1は、情報を表示する出力デバイスとしていわゆるタッチパネルディスプレイ21を備える端末装置であり、機能的な構成要素として、入出力制御部22、座標・距離検知部(検出手段)23、操作ロック制御部(ロック制御手段)24、データ格納部30、表示画像格納部32、及びパターン情報格納部(パターン情報格納手段)31を備えている。以下、携帯型端末装置1の各構成要素の機能について詳細に説明する。
【0017】
携帯型端末装置1が備えるタッチパネルディスプレイ21は、メニュー画面、アイコン画像、写真、文書等の画像を表示するとともに、操作子の接近或いは接触を検知することによる情報の入力操作を受け付ける入出力デバイスである。本実施形態では、このタッチパネルディスプレイ21は、操作子としてユーザの指の接近或いは接触を検知するが、操作子としてスタイラスペンの接近或いは接触を検知可能に構成されていてもよい。さらに、タッチパネルディスプレイ21は、ユーザの指とタッチパネルディスプレイ21の画面との接近距離を検知可能に構成されている。例えば、タッチパネルディスプレイ21は、静電容量式のタッチパネルディスプレイであり、指とタッチパネルディスプレイ内の回路との間の静電容量の変化量を検知することにより画面と指との距離(接近距離)を算出可能に構成される。また、その他、タッチパネルディスプレイ21として、In−Cell型のような赤外線を利用した光学式の接近距離が算出可能な構成が採用されてもよい。
【0018】
入出力制御部22は、表示対象の画像データを格納するデータ格納部30から画像データを読み出してタッチパネルディスプレイ21に引き渡すことにより、タッチパネルディスプレイ21における画像表示を制御する。さらに、入出力制御部22は、座標・距離検知部23を経由して、ユーザの指による接近或いは接触による情報の入力を受け付ける。例えば、入出力制御部22は、タッチパネルディスプレイ上にアイコン画像を表示するように制御し、そのアイコン画像への接触を検出することにより当該アイコン画像に対応した所定コマンドの入力を受け付ける。
【0019】
座標・距離検知部23は、タッチパネルディスプレイ21から信号を受け取って、指の接近或いは接触が検出された画面上の二次元座標(以下、「接近・接触座標」という。)、及びそのときにタッチパネルディスプレイ21によって検出された画面と指との距離(以下、「接近距離」という。)を算出する。そして、座標・距離検知部23は、算出した接近・接触座標及び接近距離を操作ロック制御部24に引き渡す。ここで、座標・距離検知部23は、接近距離として、その距離の大小を段階的に示す記号を特定して、その記号を操作ロック制御部24に引き渡す。例えば、座標・距離検知部23は、接近・接触座標として二次元的な座標値“(X,Y)”、及び接近距離として距離レベル値“LD”を算出して引き渡す。
【0020】
操作ロック制御部24は、入出力制御部22を介してユーザから所定操作を受け付けた際に(例えば、特定の入力ボタンが操作された際、又は、タッチパネルディスプレイ21上のアイコン画像の選択入力が受け付けられた際)、入出力制御部22を制御することにより、タッチパネルディスプレイ21上における画像の表示および入力操作の受付を停止させることにより、操作ロック状態を設定する。また、操作ロック制御部24は、操作ロック状態が設定された後に解除条件が満たされた際に、タッチパネルディスプレイ21上の画像の表示および入力操作の受付を開始させることにより、操作ロック状態を解除する。すなわち、操作ロック制御部24は、この解除条件として、座標・距離検知部23から引き渡された接近・接触座標及び接近距離の複数の組み合わせを時系列に解析し、それらの時系列の組み合わせが予めパターン情報格納部31に格納されたパターン情報に近似するか否かを判定し、近似すると判定した際に解除条件が満たされたとする。そのような組み合わせの解析時には、操作ロック制御部24は、表示画像格納部32に格納された基準画像をタッチパネルディスプレイ21上に表示させるように入出力制御部22を制御する。
【0021】
詳細には、操作ロック制御部24は、座標・距離検知部23から引き渡された座標値を時系列に解析してその座標値の軌跡とそれに対応する距離レベル値とから近似する記号を認識する。このとき、操作ロック制御部24は、距離レベルに応じて記号の種別を変更するように認識する。例えば、操作ロック制御部24は、座標の軌跡がアルファベットの大文字の“O”、アルファベットの小文字の“o”、記号の“○”のいずれにも近似すると認識された場合であって、その座標軌跡に対応する距離レベル“LD”が接近距離“0mm”を意味する“0”である場合には、大文字“O”と認識する。これに対して、操作ロック制御部24は、座標軌跡に対応する距離レベル“LD”が接近距離“1mm”を意味する“1”である場合には、小文字“o”と認識し、座標軌跡に対応する距離レベル“LD”が接近距離“2mm”を意味する“2”である場合には、記号“○”と認識する。このようにして、操作ロック制御部24は、座標値の軌跡とそれに対応する距離レベル値との組み合わせを時系列に解析することにより、複数の記号と距離レベルとの組み合わせを生成する。さらに、操作ロック制御部24は、生成した複数の記号と距離レベルとの複数の組み合わせがパターン情報格納部31に格納されたパターン情報に含まれる複数の組み合わせに一致するか否を判定することによって解除条件が満たされたか否かを判定する。図2には、パターン情報格納部31に格納されたパターン情報のデータ構成の一例を示している。同図に示すように、基準パターン記号“D”、“○”、“g”と、それぞれに対応する接近距離種別“0”、“2”、“1”との組み合わせが順序付けられてパターン情報に含まれており、これらの組み合わせと順序とが、生成した複数の記号と距離レベルとの複数の組み合わせと一致するか否かが判定される。
【0022】
また、操作ロック制御部24は、予め表示画像格納部32に記憶された基準画像をタッチパネルディスプレイ21上に表示させるように入出力制御部22を制御した後に、解除条件が満たされたか否かを判定することもできる。図4(a)には、タッチパネルディスプレイ21上での基準画像の出力例、図4(b)及び図5にはこの基準画像に対するユーザによる操作軌跡を示している。図4(b)及び図5には、指の接触軌跡を丸印及び実線で、指の接近軌跡を点線でそれぞれ示している。操作ロック制御部24は、基準画像に対するユーザの操作の受付に応じて、座標・距離検知部23から、座標値“(X,Y)”と距離レベル値“LD”の複数の組み合わせを時系列に取得する。そして、操作ロック制御部24は、それらの複数の組み合わせが図3に示すような基準画像に対応したパターン情報に近似するか否かを判定する。同図に示すように、パターン情報には、基準座標の遷移“(X0,Y3)→(X1,Y4)”と接近距離種別“1”との複数の組み合わせが、基準画像を識別する表示画像識別番号“1”に対応付けて順番に記憶されている。操作ロック制御部24は、座標値“(X,Y)”と距離レベル値“LD”の時系列の組み合わせが、パターン情報に含まれる基準座標の遷移から認識される軌跡の位置に近く、かつ、距離レベル値“LD”がその基準座標の遷移に対応する接近距離種別に一致しているか否かを順番に判定する。例えば、図5を参照して、座標値“(X,Y)”と距離レベル値“LD”の時系列の組み合わせが、基準画像上の軌跡“(X0,Y3)→(X1,Y4)”に沿って位置しており、距離レベル値も一致している場合には、パターン情報に含まれる基準座標の遷移“(X0,Y3)→(X1,Y4)”と接近距離種別“1”との組み合わせに近似すると判定する。同様にして、操作ロック制御部24は、座標値“(X,Y)”と距離レベル値“LD”の時系列の組み合わせが、パターン情報に含まれる基準画像に対応する全ての基準座標の遷移に近似しているか否かを判定し、全ての基準座標の遷移に近似しているときに解除条件が満たされたと判定する。このとき、操作ロック制御部24は、座標値“(X,Y)”を図5に示すようなグリッド状の座標に端数処理を行うことによってパターン情報との近似を判定する。
【0023】
以下、図6及び図7を参照して、携帯型端末装置1の動作について説明するとともに、併せて携帯型端末装置1における操作ロック解除方法について詳述する。図6は、携帯型端末装置によるパターン情報の登録時の動作を示すフローチャート、図7は、携帯型端末装置による操作ロック状態の解除時の動作を示すフローチャートである。
【0024】
まず、図6を参照して、パターン情報格納部31に格納されるパターン情報の登録時の携帯型端末装置1の動作を説明する。最初に、携帯型端末装置1のユーザから、入出力制御部22を介して、操作ロック解除操作の種別をキーワードを用いた解除方法と基準画像を用いた解除方法とのいずれにするかの選択が受け付けられる(ステップS101)。キーワードを用いた解除方法が選択されたと判別された場合(ステップS102;YES)、入出力制御部22によって、ユーザからキーワードの入力が受け付けられる(ステップS103)。次に、入出力制御部22によって、受け付けられたキーワードの各記号からその各記号の種別に対応する接近距離種別が特定され、図2に示すような各記号と接近距離種別との組み合わせを含むパターン情報が生成されてパターン情報格納部31に格納される(ステップS104)。
【0025】
一方、基準画像を用いた解除方法が選択されたと判別された場合(ステップS102;NO)、入出力制御部22によって、ユーザから操作ロック解除時に用いる基準画像の選択が受け付けられる(ステップS105)。選択が受け付けられると、入出力制御部22によって選択された基準画像がタッチパネルディスプレイ21上に表示される(ステップS106)。これに対して、入出力制御部22により、ユーザから表示された基準画像に対する操作ロック解除時の操作が受け付けられて認識される(ステップS107)。その結果、認識された操作から図3に示すような基準座標の遷移と接近距離種別との組み合わせを含むパターン情報が生成され、基準画像を識別する識別番号に対応付けてパターン情報格納部31に格納される(ステップS108)。
【0026】
次に、図7を参照して、上述した手順で生成されたパターン情報を用いた携帯型端末装置1における操作ロックの解除手順を説明する。図8は、操作ロック解除時におけるタッチパネルディスプレイ21の表示例を示している。
【0027】
まず、入出力制御部22によって、ユーザから所定操作が受け付けられることによって、操作ロックの解除処理が開始される(ステップS201)。その後、上述したパターン情報の登録処理時にどの解除方法が選択されたかが判断される(ステップS202)。ここで、キーワードによる解除方法が選択されていると判断された場合は(ステップS202;YES)、入出力制御部22により、登録されているパターン情報に含まれる記号数が所定のフォーマットでタッチパネルディスプレイ21上に表示される(ステップS203、図8(a))。その後、入出力制御部22により、ユーザから入力するキーワードの位置の選択が受け付けられる(ステップS204)。さらに、座標・距離検知部23により、選択されたキーワードの入力位置におけるユーザの接近・接触座標の軌跡と接近距離が検出される(ステップS205)。そして、操作ロック制御部24により、検出された座標値の軌跡と距離レベル値との組み合わせから入力記号が認識される(ステップS206、図8(b))。
【0028】
上記のようなキーワードの入力位置における入力記号の認識処理が全ての入力位置において完了したかが判断され(ステップS207)、完了していないと判断された場合には(ステップS207;NO)、入出力制御部22により、処理がステップS204に戻される。一方で、入力記号の認識処理が全て完了したと判断された場合には(ステップS207;YES)、操作ロック制御部24により、各入力位置における入力記号と距離レベル値との組み合わせがパターン情報格納部31に格納されたパターン情報に一致するか否かが判定される(ステップS208)。その結果、パターン情報に一致すると判定された場合には(ステップS208;YES)、操作ロック制御部24により操作ロックの解除が制御される(ステップS209、図8(c))。その一方で、パターン情報に一致しないと判定された場合には(ステップS208;NO)、入出力制御部22により、処理がステップS203に戻されキーワードの入力を再度繰り返すように制御される。
【0029】
ステップS202での判断の結果、基準画像による解除方法が選択されていると判断された場合は(ステップS202;NO)、入出力制御部22によってタッチパネルディスプレイ21上に表示画像格納部32に格納された基準画像が表示される(ステップS210)。これに対して、入出力制御部22によってユーザの指による解除操作の検出が開始される(ステップS211)。すなわち、座標・距離検知部23により、ユーザの指の接近・接触座標と接近距離とが時系列に検出される(ステップS212)。この検出動作は、ユーザにより解除操作終了のための所定操作(例えば、タッチパネルディスプレイ21上の所定座標におけるタップ(接触)操作)が検出される(ステップS213)まで繰り返される。
【0030】
その後、座標・距離検知部23により、ユーザの操作に対応した座標値と距離レベル値との時系列の組み合わせが算出される(ステップS214)。そして、操作ロック制御部24により、算出された時系列の組み合わせが、基準画像に対応するパターン情報に含まれる基準座標の遷移と接近距離種別との組み合わせに近似しているか否かが判定される(ステップS215)。その結果、パターン情報に近似すると判定された場合には(ステップS215;YES)、操作ロック制御部24により操作ロックの解除が制御される(ステップS209)。その一方で、パターン情報に近似しないと判定された場合には(ステップS215;NO)、入出力制御部22により、処理がステップS210に戻され再度基準画像の表示に戻される。
【0031】
以上説明した携帯型端末装置1によれば、操作ロック制御部24によりタッチパネルディスプレイ21上での画像表示及び入力受付の停止が制御され、タッチパネルディスプレイ21へのユーザの指の接触・接近座標と接近距離の大小との組み合わせが検出され、当該組み合わせが予め設定されたパターン情報に近似するときに、操作ロック制御部24により画像表示及び入力受付の停止が解除される。これにより、真のユーザにとっては、複雑な情報を用いることなく直観的な操作でタッチパネルディスプレイ21における操作ロックを解除することが可能になる一方で、他人に対しては情報を類推することによる操作ロックの解除が困難となり、情報セキュリティを十分に確保することが可能になる。その結果、ユーザの利便性を高めるとともに、情報セキュリティの向上が実現できる。
【0032】
さらに、操作ロック制御部24は、予め記憶された基準画像をタッチパネルディスプレイ21上に表示させるように制御した後に、座標・距離検知部23による検出結果を基に、基準画像に対応するパターン情報を参照して停止を解除するように制御する。これにより、真のユーザにとってより直観的な操作により操作ロックの解除が可能となり、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0033】
また、パターン情報格納部31には、パターン情報として、基準座標と距離種別との複数の組み合わせを記憶しており、操作ロック制御部24により、接触・接近座標と接近距離との組み合わせとパターン情報に示す組み合わせとで操作ロックの解除可否が判断される。これにより、操作ロック解除を安定して実行することができる。
【0034】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、携帯型端末装置1は、操作ロック解除の判定時に表示する基準画像としては様々な画像を使用することができる。例えば、図9に示す人物画像のような基準画像を予め記憶し、同図に実線で示す接触座標の軌跡と同図に点線で示す接近座標の軌跡とを組み合わせたパターン情報をパターン情報格納部31に予め格納してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…携帯型端末装置、21…タッチパネルディスプレイ、22…入出力制御部、23…座標・距離検知部(検出手段)、24…操作ロック制御部(ロック制御手段)、30…データ格納部、31…パターン情報格納部(パターン情報格納手段)、32…表示画像格納部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9