(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を用い、圧力気体供給源に接続されたノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがい、前記ノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記気体導入部の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から遮断用グリッパーで挟持し、これにより前記気体導入部と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断した後、その遮断状態を維持したまま前記気体導入部又はその近傍箇所で袋を両面から熱板で挟圧し、前記気体導入部又はその近傍をシールして気体をエアバッグ部内に封入するエアバッグ付き袋への気体封入方法において、エアバッグ付き袋の両側に一対のノズルを配置し、それぞれ待機位置と前進位置の間で進退させ、前進位置において前記一対のノズルの吹き出し口を両側から前記気体導入部にあてがうようにしたもので、前記気体導入部の両面のフィルムにそれぞれ前記切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋に適用され、各ノズルの吹き出し口の内径が前記気体導入部の径又は幅より小さく、各ノズルが前進位置にきたとき各ノズルの吹き出し口が前記気体導入部の厚さより大きい所定の隙間を置いて互いに対向し、気体の吹き込みにより前記隙間で膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが各ノズルの吹き出し口に密着することを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入方法。
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を用い、圧力気体供給源に接続されたノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがい、前記ノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記気体導入部の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から遮断用グリッパーで挟持し、これにより前記気体導入部と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断した後、その遮断状態を維持したまま前記気体導入部又はその近傍箇所で袋を両面から熱板で挟圧し、前記気体導入部又はその近傍をシールして気体をエアバッグ部内に封入するエアバッグ付き袋への気体封入方法において、エアバッグ付き袋を挟んで一方の側に前記ノズルを配置し、他方の側に受け部材を配置し、前記ノズルと受け部材をそれぞれ待機位置と前進位置の間で進退させ、それぞれ前進位置において前記ノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがうとともに前記受け部材により袋の背面側を支持するようにしたもので、前記ノズルの吹き出し口の内径が前記気体導入部の径又は幅より小さく、前記ノズルと受け部材がともに前進位置にきたとき前記ノズルの吹き出し口と前記受け部材が前記気体導入部の厚さより大きい所定の隙間を置いて互いに対向し、気体の吹き込みにより前記隙間で膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ノズルの吹き出し口と前記受け部材に密着することを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入方法。
前記ノズルは前進位置に到達する前に前記吹き出し口から前記気体導入部に向けて気体の吹き出しを開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載されたエアバッグ付き袋への気体封入方法。
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で前記エアバッグ部に気体を封入するエアバッグ付き袋への気体封入装置であり、前記気体導入部の両面のフィルムに前記切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋に適用され、前記エアバッグ付き袋の両側縁を挟持して間欠的に移動し、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組と、圧力気体供給源に接続されて前記移送経路上の所定の停止位置近傍に対向して配置され、待機位置と前進位置の間を進退し、前進位置において先端の吹き出し口が前記エアバッグ付き袋の両側から前記気体導入部にあてがわれ、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む一対のノズルと、各袋移送用グリッパーに対応して設置され、各袋移送用グリッパーと共に移動し、前記気体吹き込みノズルによる気体の吹き込み継続中に、前記気体導入部の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から挟持して、前記気体導入部と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する遮断用グリッパーと、前記移送経路上の前記停止位置より下流側の停止位置近傍に配置され、前記気体導入部又はその近傍箇所で袋を両面から挟圧し、前記気体導入部又はその近傍をシールして気体を前記エアバッグ部内に封入する一対の熱板を備え、前記ノズルの吹き出し口の内径が前記気体導入部の径又は幅より小さく設定され、各ノズルが前進位置にきたとき各ノズルの吹き出し口が前記気体導入部の厚さより大きい所定の隙間を置いて互いに対向し、気体の吹き込みにより前記隙間で膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが各ノズルの吹き出し口に密着することを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入装置。
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で前記エアバッグ部に気体を封入するエアバッグ付き袋への気体封入装置であり、前記エアバッグ付き袋の両側縁を挟持して間欠的に移動し、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組と、圧力気体供給源に接続されて前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置され、待機位置と前進位置の間を進退し、前進位置において先端の吹き出し口が前記気体導入部にあてがわれ、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込むノズルと、エアバッグ付き袋を挟んで前記ノズルの反対側に配置され、待機位置と前進位置の間を進退し、前進位置において前記エアバッグ付き袋の背面側を支持する受け部材と、各袋移送用グリッパーに対応して設置され、各袋移送用グリッパーと共に移動し、前記気体吹き込みノズルによる気体の吹き込み継続中に、前記気体導入部の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から挟持して、前記気体導入部と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する遮断用グリッパーと、前記移送経路上の前記停止位置より下流側の停止位置近傍に配置され、前記気体導入部又はその近傍箇所で袋を両面から挟圧し、前記気体導入部又はその近傍をシールして気体を前記エアバッグ部内に封入する一対の熱板を備え、前記ノズルの吹き出し口の内径が前記気体導入部の径又は幅より小さく設定され、前記ノズルと受け部材が前進位置にきたとき前記ノズルの吹き出し口と前記受け部材が前記気体導入部の厚さより大きい所定の隙間を置いて互いに対向し、気体の吹き込みにより前記隙間で膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが前記ノズルの吹き出し口と前記受け部材に密着することを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入装置。
前記ノズルと圧力気体供給源の間の配管に、前記ノズルから吹き出される気体の圧力を高圧から低圧へと切り換える圧力切換装置を接続したことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された気体封入方法では、ノズルの吹き出し口から吹き出される気体の圧力により、ノズルが圧縮ばねの付勢力に抗してわずかに後退することで、切り込み又は穴から吹き込まれた加圧気体により気体導入部が膨張し、該気体導入部の両フィルム間に隙間ができ、これによりエアバッグ部内への気体の吹き込みが可能となる。エアバッグ部の容積はそれほど大きくないから、このプロセスがスムーズに行われたときは、エアバッグ部内への気体の吹き込みはごく短時間で終了する。
【0007】
一方、気体圧によりノズルが後退する距離は、ノズルの吹き出し口から吹き出される気体の圧力や圧縮ばねの弾性力により変化する。この後退距離は、気体の吹き込み状態、すなわち、単位時間あたりにエアバッグ部内に入っていく気体の量や、エアバッグ部内に吹き込まれた気体の圧力に大きい影響を与え、その結果、気体の吹き込みに掛かる時間(吹き込み効率)やエアバッグ部の膨張量(エアバッグ部に充填された気体の圧力)が大きく影響を受ける。このため、ノズルから吹き出される気体の圧力と圧縮ばねの弾性力の設定、すなわち両者のバランス調整は、最適な後退距離が得られるように厳密に行う必要がある。
【0008】
また、ノズルを継続的に使用するうちに、圧縮ばねの弾性力が低下する可能性を考慮する必要がある。圧縮ばねの弾性力がわずかでも低下すると、ノズルの前記後退距離が変動し、気体の吹き込み状態が悪化し(単位時間あたりにエアバッグ部内に入っていく気体の量が減少したり、エアバッグ部内に吹き込まれた気体の圧力が低下する)、さらにはエアバッグ部内に気体が入って行かない状態になる可能性がある。
特に特許文献2に記載されたエアバッグ付き袋のように、気体導入部の直下位置に細くくびれた封入経路を形成している場合、エアバッグ部内に吹き込まれた気体が抜けにくい反面、エアバッグ部内に気体を吹き込み難いことから、上記問題が顕著に生じやすい。
【0009】
本発明は、特許文献1に記載された気体封入方法及び装置(特に気体吹き込み用のノズル)に関する上記問題点に鑑みてなされたもので、ノズルから吹き出される気体の圧力と圧縮ばねの弾性力の難しいバランス調整が不要で、かつ気体の吹き込みに際して効率的で安定した吹き込み状態が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るエアバッグ付き袋への気体封入方法は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を用い、圧力気体供給源に接続されたノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがい、前記ノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記気体導入部の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から遮断用グリッパーで挟持し、これにより前記気体導入部と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断した後、その遮断状態を維持したまま前記気体導入部又はその近傍箇所で袋を両面から熱板で挟圧し、前記気体導入部又はその近傍をシールして気体をエアバッグ部内に封入するエアバッグ付き袋への気体封入方法において、エアバッグ付き袋の両側に一対のノズルを配置し、それぞれ待機位置と前進位置の間で進退させ、前進位置において前記一対のノズルの吹き出し口を両側から前記気体導入部にあてがうようにしたもので、前記気体導入部の両面のフィルムにそれぞれ前記切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋に適用され、各ノズルの吹き出し口の内径が前記気体導入部の径又は幅より小さく、各ノズルが前進位置にきたとき各ノズルの吹き出し口が前記気体導入部の厚さより大きい所定の隙間を置いて互いに対向し、気体の吹き込みにより前記隙間で膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが各ノズルの吹き出し口に密着することを特徴とする。
【0011】
上記気体封入方法において、両ノズルの吹き出し口の内径が前記気体導入部の径又は幅より小さいことにより、前記吹き出し口から吹き出される気体の流れが気体導入部に集中する。両ノズルから前記エアバッグ部内に気体が吹き込まれたとき、前記気体導入部が両ノズルの吹き出し口の間の隙間で膨張し、前記気体導入部の両フィルム間に隙間ができ、両フィルム間にできた前記隙間を通して加圧気体がエアバッグ部内に流入する。両ノズルの吹き出し口の間に設定される前記隙間は、気体の吹き込みで膨張した気体導入部の両フィルムが、両ノズルの吹き出し口に密着する程度の大きさ、つまりわずかな隙間である。両ノズルの吹き出し口の内径が気体導入部の径又は幅より小さく、かつ前記隙間が大きすぎないとき、膨張した気体導入部の両フィルムが前記吹き出し口に密着し得る。吹き込み継続中に気体導入部の両フィルムが前記吹き出し口に密着することで、前記ノズルの吹き出し口から吹き出される加圧気体が、気体導入部に形成された切り込み又は穴を通して、効率的に前記気体導入部内に流入する。
【0012】
上記気体封入方法において、両ノズルの吹き出し口の中心は、気体の吹き出し方向に沿って一致している必要はなく、互いに多少ずらしておくことができる。
例えばエアバッグ付き袋がその両縁を一対のグリッパーに挟持され吊り下げられている場合、前記グリッパーに挟持されたエアバッグ付き袋における切り込み又は穴の位置が、設定した基準位置から少しずれることがある。例えば、給袋装置から前記一対のグリッパーにエアバッグ付き袋を受け渡しする際や、エアバッグ付き袋に被包装物を充填する際などに、このずれが生じやすい。また、切り込み又は穴が基準位置から少しずれて形成される場合もある。なお、エアバッグ付き袋の製造上の理由で、気体導入部の両フィルムに形成された切り込み又は穴は、エアバッグ付き袋の面に垂直に見たとき、同じ位置に重なって形成されている。
【0013】
上記気体封入方法において、両ノズルの吹き出し口の中心が気体の吹き出し方向に沿って一致している場合、切り込み又は穴の位置が基準位置からずれていると、そのずれ量の大きさにもよるが、気体の吹き込みが良好に行えなくなる場合が生じ得る。これに対し、両ノズルの吹き出し口の中心を予め少しずらしておけば、少なくとも一方のノズルによる吹き込みが良好に行える可能性が高くなる。両ノズルの吹き出し口の中心を、どの方向にどの程度ずらすかは、切り込み又は穴が基準位置から見てどちらの方向にずれやすいかを実験的に確かめた上で、決めればよい。なお、エアバッグ付き袋の両側縁を一対のグリッパーで挟持して、吊り下げ状態で移送し、その移送の過程でエアバッグ部に上記気体封入方法を適用する場合、両ノズルの吹き出し口を上下方向に少しずらしておくことで、よい結果が得られることが多い。
【0014】
一方、上記のようにエアバッグ部の気体導入部の両面にそれぞれノズルをあてがう代わりに、特許文献1に記載されたように、気体導入部の片面にノズルをあてがい、その背面を受け部材で支持することもできる。この場合、ノズルの吹き出し口と受け部材との間に気体導入部のフィルムの厚さより大きい所定の隙間を設定する。ノズルから前記エアバッグ部内に気体が吹き込まれたとき、前記気体導入部がノズルの吹き出し口と受け部材の間の隙間で膨張し、前記気体導入部の両フィルム間に隙間ができ、両フィルム間にできた前記隙間を通して加圧気体がエアバッグ部内に流入する。ノズルの吹き出し口と受け部材の間に設定される前記隙間は、気体の吹き込みで膨張した気体導入部の両フィルムが前記吹き出し口及び受け部材に密着する程度の大きさ、つまりわずかな隙間であることが望ましい。この点は基本的に一対のノズルを用いる場合と同じである。なお、この方法の場合、気体導入部の両面のフィルムに切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋と、片面のフィルムにのみ切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋の両方が使用できる。
【0015】
上記気体封入方法において、前記ノズルは前進位置に到達する前に前記気体導入部に向けて加圧気体の吹き出しを開始することができる。この場合、エアバッグ付き袋の気体導入部とノズルの吹き出し口の距離が大きいため、吹き出す加圧気体の圧力は大きめに設定し、ノズルが前進位置に到達すると同時に、加圧気体の圧力を所定の値(エアバッグ部に封入する気体の圧力の目標値と同程度又はそれよりやや高い圧力)まで下げることが望ましい。この方法によれば、ノズルが前進位置に位置決めされエアバッグ部への気体の吹き込みが本格的に始まる前に、高圧の加圧気体がエアバッグ部に当たり、加圧気体の一部が切り込み又は穴から気体導入部内に入って気体導入部を膨張させ、さらにエアバッグ部内に流入する。
【0016】
上記気体封入方法は、例えばエアバッグ付き袋が所定の移送経路に沿って間欠移送される場合(特許文献1に記載された実施の形態参照)に好適に適用できるが、エアバッグ付き袋が所定の移送経路に沿って一定速度で連続移送される場合にも適用することができる。エアバッグ付き袋が間欠移送される場合、例えば、気体の吹き込みを前記移送経路上の所定の停止位置で行い、遮断用グリッパーで前記遮断部位を挟持したままエアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って下流側の停止位置に移送し、同停止位置で気体導入部又はその近傍を熱シールすればよい。
【0017】
上記気体封入方法は、特許文献1にも記載されているように、袋の包装処理工程の一部として行うことができる。具体的には、エアバッグ付き袋の両側縁を左右一対のグリッパーで把持し吊り下げて間欠的に移送し、その移送の過程で袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の各包装工程を順次行う場合に、例えば被包装物の充填工程の後に、上記気体封入方法の各工程を付加する。この場合、エアバッグ部が袋の上端近傍から下方に延び、気体導入部がエアバッグ部の上端に形成されているのであれば、気体導入部又はその近傍を熱板でシールして気体をエアバッグ部内に封入するとき、同時に前記熱板で袋口全体を両面からシールすることができる。
また、上記気体封入方法の各工程を被包装物の充填工程の前(望ましくは袋口の開口工程の前)に実施することもでき、あるいは、包装処理工程の一部としてでなく単独の気体封入方法として実施することもできる。これらの場合、前記気体導入部又はその近傍を熱板でシールして気体をエアバッグ部内に封入するとき、袋口のシールは行わない。
【0018】
本発明に係るエアバッグ付き袋への気体封入装置は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で前記エアバッグ部に気体を封入するエアバッグ付き袋への気体封入装置であり、前記気体導入部の両面のフィルムに前記切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋に適用され、前記エアバッグ付き袋の両側縁を挟持して間欠的に移動し、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組と、圧力気体供給源に接続されて前記移送経路上の所定の停止位置近傍に対向して配置され、待機位置と前進位置の間を進退し、前進位置において先端の吹き出し口が前記エアバッグ付き袋の両側から前記気体導入部にあてがわれ、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む一対のノズルと、各袋移送用グリッパーに対応して設置され、各袋移送用グリッパーと共に移動し、前記気体吹き込みノズルによる気体の吹き込み継続中に、前記気体導入部の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から挟持して、前記気体導入部と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する遮断用グリッパーと、前記移送経路上の前記停止位置より下流側の停止位置近傍に配置され、前記気体導入部又はその近傍箇所で袋を両面から挟圧し、前記気体導入部又はその近傍をシールして気体を前記エアバッグ部内に封入する一対の熱板を備え、前記ノズルの吹き出し口の内径が前記気体導入部の径又は幅より小さく設定され、各ノズルが前進位置にきたとき各ノズルの吹き出し口が前記気体導入部の厚さより大きい所定の隙間を置いて互いに対向し、気体の吹き込みにより前記隙間で膨張した前記気体導入部の両面のフィルムが各ノズルの吹き出し口に密着することを特徴とする。両ノズルの吹き出し口の間に設定される前記隙間は、気体の吹き込みで膨張した気体導入部の両フィルムが、両ノズルの吹き出し口に密着する程度の大きさ、つまりわずかな隙間である。
【0019】
上記のように対向配置された一対のノズルの代わりに、エアバッグ付き袋を挟んで対向配置されたノズルと受け部材を用いることができる。この受け部材も待機位置と前進位置の間を進退し、ノズルが前進位置において気体導入部にあてがわれたとき、受け部材は同じく前進位置において気体導入部の背面側を支持する。ノズルと受け部材がともに前進位置にきたとき、ノズルの吹き出し口と受け部材は気体導入部のフィルムの厚さより大きい所定の隙間を置いて互いに対向する。この場合も、吹き込み継続中に膨張した気体導入部の両面のフィルム面が前記ノズルの吹き出し口に密着するように、前記隙間の大きさが設定される。
【0020】
上記気体封入装置は、特許文献1にも記載されたように、袋の包装処理装置の一部として構成することができる。この場合、前記移送経路上においてエアバッグ付き袋の袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の各包装工程を順次行う通常の包装処理装置に対し、前記移送経路の近傍の適宜位置に、前記気体吹き込み用ノズル等の気体封入方法の各工程を実施するための部材、装置が付加される。むろん、上記気体封入装置を包装処理装置の一部としてではなく、単独の気体封入装置として構成することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、ノズルの吹き出し口の内径を前記気体導入部の径又は幅より小さく設定するとともに、前進位置にきた(エアバッグ部の気体導入部にあてがわれた)一対のノズルの吹き出し口の間に所定の隙間を設定し、あるいは、前進位置にきたノズルの吹き出し口と受け部材の間に所定の隙間を設定した。
これにより、先に説明したとおり、エアバッグ付き袋のエアバッグ部への気体の吹き込みに際して、効率的で安定した吹き込み状態が得られる。一対のノズルを用い、気体導入部の両側から気体を吹き込むとき(気体導入部の両方のフィルムに切り込み又は穴が形成されていることが前提)、特に高い吹き込み効率が得られる。また、ノズルは所定の前進位置に位置決めされ、この位置がノズルから吹き出す気体の圧力により変動することはないので、従来(特許文献1参照)のノズルのように、気体圧と圧縮ばねの弾性率のバランス調整を行う必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1〜13を参照して、本発明に係る気体封入方法及び装置について具体的に説明する。
まず、
図5にエアバッグ付き袋1を示す。袋1は底ガセット方式の自立袋であり、表裏両面のフィルムと折りたたまれた底部のフィルムからなる。袋1の上部領域Xでは、両側縁において袋1の表裏両面のフィルム同士が接着し、シール部2,3が形成されている。上縁は表裏両面のフィルムが接着されておらず、開口した袋口4となっている。袋1の下部領域Yでは、両側縁において表裏両面のフィルムが底部のフィルムを挟んで接着し、かつ底部のフィルム自体も折り込まれた内側で接着し、中央部において表裏両面のフィルムがそれぞれ底部のフィルムと接着し(底部のフィルム同士は接着していない)、シール部5が形成されている。シール部2,3,5を
図5に斜線で示す。
【0024】
シール部2の一部に表裏両面のフィルム同士が接着していない非接着部(エアバッグ部)6が形成されている。
エアバッグ部6は、表裏両面のフィルム7,8(
図10(a)参照)を熱シールする際に加圧せずシールし残した箇所であり、袋口4(シール部2の上端)近傍から下方に細長く延びて閉じた輪郭を有し、その上端近傍の表裏両面のフィルム7,8にエアバッグ部6内と袋外を連通させる十字の切り込み9が形成されている。エアバッグ部6には、中心に切り込み9が形成された円形の気体導入部6aに続いて所定長さにわたり、くびれた挟幅部6bが形成され、その下方が幅広の本体部6cとなっている。
【0025】
[第1の形態]
次に、エアバッグ付き袋1を用い、ロータリー式包装装置によってエアバッグ付き袋製品を製造する包装方法及び装置(気体封入方法及び装置を含む)の第1の形態について、
図1〜10を参照して説明する。
図1に示すロータリー式包装装置は、特許文献1の
図5に記載されたロータリー式包装装置と同様に、間欠回転するテーブルの周囲に左右一対の袋移送用グリッパー11,12が複数対、等間隔で設置されていて、供給されたエアバッグ付き袋1の両側縁を挟持して吊り下げ、円形の移送経路に沿って間欠的に移送する。グリッパー11,12が停止する各停止位置(停止位置I〜VIII)では、グリッパー11,12に対するエアバッグ付き袋1の供給に続き、グリッパー11,12に挟持されたエアバッグ付き袋1に対し、袋口の開口、被包装物の充填及び袋口のシール等の各包装工程が順次行われ、併せて、エアバッグ部6に対する気体充填工程及びエアバッグ部6の気体導入部6aをシールする気体封入工程を含む気体封入方法の各工程が実施される。
【0026】
一対のグリッパー11,12のうち一方のグリッパー11は、一対のグリップ片13,14を有し、外側のグリップ片13は正面視略コの字形状をなし(
図5参照)、一方、内側のグリップ片14は正面視略四角形状をなし(
図1参照)、その輪郭がグリップ片13の外形とほぼ一致する。グリッパー11は、グリップ片13の上下の横行部13a,13bとグリップ片14により、エアバッグ部6が形成された側縁のシール部2を表裏両面から挟持する。グリップ片13の上下の横行部13a,13bの挟持面13A側には、上下方向に連なる浅い溝15が形成され(
図8,
図9参照)、グリップ片14の挟持面14A側は、溝等はなく実質的に平坦である。袋移送用グリッパー11(グリップ片13,14)が挟持する部位は、シール部2に形成されたエアバッグ部6の気体導入部6aの近傍であり、グリップ片13の上下の横行部13a,13bとグリップ片14が、挟幅部16bを水平に横断する形で挟持する。ただし、袋移送用グリッパー11が閉じたとき、前記溝15が挟幅部6bを挟む位置にあり、挟幅部6bにおいてグリップ片13,14の対向面同士の間隔J(
図9参照)は、エアバッグ部6のフィルム7,8(
図10参照)の厚みより溝15の深さの分だけ広くなっている。つまり、袋移送用グリッパー11が閉じたときも、グリップ片13,14は挟幅部6bを互いに所定間隔Jを置いて挟むだけで、該挟幅部6bのみは挟持していない。
袋1の他方の側縁のシール部3は、通常の袋移送用グリッパー12(特許文献1のグリッパー8と同じ)により挟持される。
【0027】
各対のグリッパー11,12に対応して1つずつ、遮断用グリッパー16がグリップ片14に対向して設置され、グリッパー11,12と共に移動し、所定のタイミングで開閉する。遮断用グリッパー16が閉じたとき、該遮断用グリッパー16はグリップ片13の上下の横行部13a,13bの間に入り、グリップ片14との間でエアバッグ部6の挟幅部6bを表裏両面から挟持する。遮断用グリッパー16が挟持する挟幅部6bのこの部位を本発明では遮断部位という。
【0028】
上記ロータリー式包装装置において、前記移送経路の停止位置Iにコンベアマガジン式給袋装置17が配置され、停止位置IIに印字装置(ヘッド部18のみ示す)が配置され、停止位置IIIに開口装置(吸盤19及び開口ヘッド21のみ示す)が配置され、停止位置IVに充填装置(ノズル部22のみ示す)が配置され、停止位置VIに気体吹き込み装置(一対の気体吹き込み用ノズル23,24のみ示す)が配置され、停止位置VIIにシール装置(一対の熱板25,25のみ示す)が配置され、停止位置VIIIに冷却装置(一対の冷却板26,26のみ示す)が配置されている。さらに、停止位置IVに予備加熱装置(加熱気体吹き付け用ノズル27のみ示す)が配置され、停止位置Vに予備気体吹き込み装置(予備気体吹き込み用ノズル28と受け部材29のみ示す)が配置されている。なお、予備加熱装置及び予備気体吹き込み装置は、必要に応じて作動させればよい。
【0029】
図1に示すロータリー式包装装置を用いた包装方法は次のように行われる。
(1)停止位置I(給袋工程位置)において、コンベアマガジン式給袋装置17からエアバッグ付き袋1がグリッパー11,12に供給され、グリッパー11,12がシール部2,3の所定位置を表裏両面から挟持する。このときエアバッグ部6は、その挟幅部6bがグリッパー11により挟持される。その状態を
図2(a)、
図5(a)及び
図9に示す。このとき遮断用グリッパー16は開いている。
図9に示すように、エアバッグ部6の挟幅部6bを挟むグリップ片13,14の挟持面13A,14A同士の間に、溝15に対応して間隔Jが形成されている。
【0030】
(2)停止位置II(印字工程位置)において、印字装置により袋面への印字が行われる。
(3)停止位置III(開口工程位置)において、開口装置により袋の開口が行われる。開口装置の一対の吸盤19はエアバッグ付き袋1に向けて進退し、前進してエアバッグ付き袋1の両面を吸着し、そのまま後退して袋口を開口する。開口ヘッド21はエアバッグ付き袋1の上方で昇降し、下降したとき下端が開口した袋口から袋内に入り、エアを袋内に吹き出す。
【0031】
(4)停止位置IV(被包装物充填工程位置)において、充填装置により液状物の充填が行われる(
図5(b)の充填物31参照)。充填装置のノズル部22はエアバッグ付き袋1の上方で昇降し、下降したとき袋口から袋内に挿入され、液状物を袋内に充填する。
また、この停止位置IVには、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、予備加熱装置の一部である加熱気体吹き付け用ノズル27が設置され、エアバッグ付き袋1のエアバッグ部6を加熱する予備加熱工程が行われる。加熱気体吹き付け用ノズル27は、ファンと加熱源に接続され、吹き付け開口が停止位置IVに停止するエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に向けられている。加熱気体吹き付け用ノズル27は、前記吹き付け開口からホットエア(加熱気体)を吹き出してエアバッグ部6に吹き付け、主として(又は全部が)熱可塑性樹脂フイルムからなるエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6を加熱し、エアバッグ部6を構成するフィルムを軟化させる。これにより、後述する予備気体吹き込み工程でエアバッグ部6内に加圧気体を吹き込んだとき、エアバッグ部6のフィルム同士の密着状態を安定して解(ほぐ)すことができるようになる。
【0032】
(5)停止位置V(予備気体吹き込み工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、予備気体吹き込み装置の一部である予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29が設置され、エアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に気体を吹き込む予備気体吹き込み工程が行われる。予備気体吹き込み用ノズル28は、図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源に接続され、待機位置と前進位置の間をエアバッグ付き袋1の袋面に対し垂直方向に進退し、前進位置において先端の吹き出し口28aが切り込み9にあてがわれる。受け部材29は、エアバッグ付き袋1を挟んでノズル28の反対側に配置され、待機位置と前進位置の間をノズル28と同方向逆向きに進退し、前進位置においてノズル28の吹き出し口28aに対向する位置で、エアバッグ付き袋1の背面側を支持する。受け部材29の先端に凹部29aが形成されている。ノズル28は圧縮ばね32により前方に付勢されている。
【0033】
図2(b)に示すように、袋1がこの予備気体吹き込み工程位置に停止したとき、予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29は後退して待機位置にある。続いて
図2(c)及び
図5(b)に示すように、予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29が共に前進位置にきて、予備気体吹き込み用ノズル28の先端の吹き出し口28aが気体導入部6aに当接し、その背面で受け部材29が気体導入部6aに当接し、同時に予備気体吹き込み用ノズル28の先端から加圧気体が吹き出され、切り込み9を通して気体がエアバッグ部6内に吹き込まれる。先に述べたように、エアバッグ部6の挟幅部6bは、袋移送用グリッパー11のグリップ片13,14により挟持されていない(間隔Jを置いて挟まれているだけ)から、該挟幅部6bを通って下方の本体部6cにも気体が流通する。この点については、気体充填工程に関する説明において、
図9,10を参照してさらに詳しく述べる。
【0034】
気体吹き込み中、エア圧により予備気体吹き込み用ノズル28は圧縮ばね32の付勢力に抗して若干後退し、これによりエアバッグ部6の気体導入部6aが膨張して該気体導入部6aを構成する表裏のフィルム7,8の間に隙間ができ、予備気体吹き込み用ノズル28側の切り込み9を通して気体がエアバッグ部6内に吹き込まれる。この間、受け部材29はエアバッグ付き袋1の背面側を支持している。受け部材29の先端に凹部29aが形成されていることにより、前記気体導入部6aが背面側(受け部材29側)でも膨張し、切り込み9を通しての気体の流入が促進される。
この予備気体吹き込み工程において、切り込み9からエアバッグ部6の気体導入部6aに入った加圧気体は、挟幅部6bを通って本体部6cに入り、エアバッグ部6全体を膨張させる。
【0035】
なお、エアバッグ部6を構成する表裏のフィルム7,8同士が、静電気等により全体的に又は部分的に強固に密着している場合がある。この場合、予備気体吹き込み用ノズル28から吹き出した加圧気体は、切り込み9からエアバッグ部6の気体導入部6aに入り、密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該気体導入部6aを膨張させ、続いて挟幅部6bに入り、同様に密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該挟幅部6bを膨張させ、さらに本体部6cに入り、密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該本体部6cを膨張させ、エアバッグ部6の全部又は大部分において表裏両面のフィルム7,8同士の密着状態を解す。前工程の予備加熱工程でエアバッグ部6のフィルム7,8を軟化させたことが、この密着状態を解す助けになる。
続いて、
図2(d)に示すように、予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29を後退させ、加圧気体の吹き込みを止めると、エアバッグ部6内に吹き込まれた気体は切り込み9から直ちに流出し、いったん膨張していたエアバッグ部6は収縮し、元のように平らとなる。この状態でエアバッグ付き袋1は次の停止位置VIに移送される。
【0036】
(6)停止位置VI(気体充填工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、気体吹き込み装置の一部である気体吹き込み用ノズル23,24が設置され、該気体吹き込み用ノズル23,24によりエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に気体を吹き込み、続いて遮断用グリッパー16により気体導入部6a(切り込み9)とエアバッグ部6内との気体の流通を遮断する気体充填工程が行われる。
気体吹き込み用ノズル23,24は、図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源に接続され、先端の吹き出し口23a,24aをエアバッグ部6の気体導入部6aに垂直に向けた状態で、待機位置と前進位置の間を互いに逆向きに、エアバッグ付き袋1に対し垂直に進退する。前進位置において吹き出し口23a,24aがエアバッグ付き袋1の両面から、気体導入部6aにあてがわれる。気体吹き出し方向はエアバッグ付き袋1に対し垂直である。
【0037】
図3(a)に示すように、袋1がこの気体充填工程位置に移送され、停止したとき、気体吹き込み用ノズル23,24は後退して待機位置にある。続いて
図3(b)に示すように、気体吹き込み用ノズル23,24が共に前進して前記前進位置に位置決めされ、先端の吹き出し口23a,24aが気体導入部6aにあてがわれる。
このとき、両吹き出し口23a,24aの間には、
図7(a)に示すように、両フィルム7,8の厚みよりやや広い所定の隙間Lが置かれ、この隙間Lは気体吹き込み用ノズル23,24が前記前進位置から後退するまで変化しない。両吹き出し口23a,24aの間に間隔Lが置かれることにより、気体の吹き出し中、エアバッグ部6の気体導入部6aが膨張し、フィルム7,8の間に隙間が形成され、その隙間を通ってエアバッグ部6内(挟幅部6b、本体部6c)内に気体が流入する。
【0038】
気体吹き込み用ノズル23,24は、
図6(a)及び
図8に示すように、その吹き出し口23a,24aの内径が、エアバッグ部6の切り込み9が形成された気体導入部6aの径より小さく設定されている。このように、吹き出し口23a,24aの内径を気体導入部6aの径(気体導入部が円形でない場合はその幅)より小さくすることで、気体吹き込み用ノズル23,24から吹き出される気体の流れが気体導入部6aに集中し、気体の吹き込みをより効率的に行うことができる。
【0039】
また、気体吹き込み用ノズル23,24が前記前進位置に位置決めされたとき、
図3(b)及び
図8に示すように、吹き出し口23a,24aの中心が切り込み9の中心から等距離、合計で間隔Mだけずれている。この配置により、グリッパー11,12に挟持されたエアバッグ付き袋1の高さ位置が、当初の設定位置(
図8に示す位置)より多少上下方向にばらついた場合、あるいは切り込み9の形成位置が、気体導入部6aの中心から多少上下方向にばらついている場合でも、気体の吹き込みに支障が出るのを防止することができる。
【0040】
前記前進位置において、気体吹き込み用ノズル23,24が気体の吹き込みを開始すると、両フィルム7,8に形成された切り込み9から加圧気体がエアバッグ部6の気体導入部6aに吹き込まれ、
図7(b)に示すように、該気体導入部6aが膨張して、フィルム7,8がそれぞれノズル23,24の吹き出し口23a,24aに密着する。言い換えれば、前進位置に位置決めされたノズル23,24の吹き出し口23a,24aの隙間Lは、膨張した気体導入部6aのフィルム7,8が吹き出し口23a,24aに密着する程度の大きさに設定されている。気体導入部6aが膨張すると、該導入部6aにおいてフィルム7,8の間に隙間が形成され、続いて、挟幅部6b及び本体部6cに加圧気体が流入し、
図7(c)に示すように、エアバッグ部6全体が膨張する。前記予備気体吹き込み工程でエアバッグ部6のフィルム7,8の密着状態が一度解されているため、この気体充填工程では、気体の吹き込み及びエアバッグ部6内への気体の充填は支障なくスムースに行われる。
【0041】
一方、エアバッグ部6(特に挟幅部6b)のうちグリップ片13(横行部13a,13b)とグリップ片14により挟まれた部位(以下、この部位のことを規制部位という)及びその近傍では、間隔J(
図9参照)を置いて対向するグリップ片13,14の内面13A,14Aにより自由膨張が妨げられ、
図10(a)に示すように、膨張形態が薄い偏平形状に規制されている。エアバッグ部6に吹き込まれた気体は、挟幅部6bの前記規制部位における両フィルム7,8間の隙間から下方に流通する。なお、前記予備気体吹き込み工程でも全く同様に、前記規制部位の膨張形態は薄い偏平形状に規制される。
【0042】
続いて
図3(c)及び
図10(b)に示すように、遮断用グリッパー16が閉じて、グリップ片13の横行部13a,13bの間(前記規制部位の間)に設定された前記遮断部位を、グリップ片14との間で両面から挟持する。これにより、前記遮断部位は完全に押しつぶされ、気体導入部6a(切り込み9)とエアバッグ部6内との気体の流通が遮断される。続いて、気体吹き込み用ノズル23,24が後退し(
図3(d))、エアバッグ付き袋1は、遮断用グリッパー16及びグリップ片14による遮断状態を維持したまま、次の停止位置VIIに移送される。
なお、遮断用グリッパー16が閉じる前、前記遮断部位が大きく(丸く)膨張していると、遮断用グリッパー16が閉じたときフィルム7,8が折り込まれ、このため前記遮断部位をつぶし切ることができない場合がある。しかし、前記遮断部位は、前記規制部位の影響を受けて、膨張形態が薄い偏平形状となっている。このため、遮断用グリッパー16が閉じたとき、前記遮断部位においてフィルム7,8を平らにつぶし切り、気体の流通を確実に遮断することができる。
【0043】
(7)停止位置VII(気体封入工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、シール装置の一部である一対の熱板25,25が配置され、エアバッグ付き袋1の気体導入部6aをシールする気体封入工程が行われ、同時にエアバッグ付き袋1の袋口をシールする袋口シール工程が行われる。エアバッグ付き袋1がこの気体封入工程位置に停止したとき、それまで開いていた熱板25,25が閉じて、
図4(a)及び
図6(b)に示すように、エアバッグ付き袋1の表裏面のフィルム7,8を、気体導入部6a及び袋口で両面から挟圧してシールし(シール部32)、これにより、エアバッグ部6内に気体を封入し、かつ被包装物31をエアバッグ付き袋1内に密封する。この状態でエアバッグ付き袋1は次の停止位置VIIIに移送される。
【0044】
(8)停止位置VIII(シール部冷却及び排出工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、冷却装置の一部である一対の冷却板26,26が配置され、
図4(b)に示すように、前工程でシールされた箇所を両面から挟圧して冷却する。続いて、冷却中に遮断用グリッパー16及び袋移送用グリッパー11,12が開き、さらに冷却板26,26が開き(
図4(c)参照)、エアバッグ付き袋1P(エアバッグ付き袋製品)が落下し、シュート33により装置外に排出される。なお、遮断用グリッパー16は、気体封入工程が終了した段階で開いてもよい。
【0045】
[第2の形態]
次に、
図11を参照して、本発明に係る別の気体封入方法及び装置について説明する。
図11において、[第1の形態]で説明したエアバッグ付き袋及び気体封入装置の各部位と実質的に同じ部位には同じ番号を付与している。
この第2の形態では、エアバッグ付き袋1は[第1の形態]のものと同じで、ロータリ式包装装置と周辺装置も[第1の形態]のものと基本的に同じであるが、グリッパー11,12の間隔調整(接近・離間)のタイミングが異なる。この相違点について、以下説明する。
【0046】
[第1の形態]では、
図1に示すように、停止位置IVで被包装物充填工程を行った後、グリッパー11,12の間隔を広げ、エアバッグ付き袋1を袋幅方向に引っ張り、袋口を緊張させた(袋口を閉じた)状態で停止位置V(予備気体吹き込み工程位置)以降の工程を行っている。
一方、第2の形態では、
図11に示すように、停止位置IVで被包装物充填工程を行った後も袋口は開口状態であり、その状態で予備気体吹き込み工程(停止位置V)と気体充填工程(停止位置VI)が行われる。次いで、停止位置VIIにおいて気体封入工程が行われる前(熱板25,25が閉じる前)に、グリッパー11,12の間隔を広げ、エアバッグ付き袋1を袋幅方向に引っ張り、袋口を緊張させる(袋口を閉じる)。
【0047】
グリッパー11,12の間隔を広げ、エアバッグ付き袋1を袋幅方向に引っ張り、袋口を緊張させると、エアバッグ付き袋1のグリッパー11,12より上の部分が厚み方向に折れ曲がり、袋口及びその近傍が傾く場合がある。エアバッグ付き袋1のエアバッグ部6の気体導入部6aは袋口近傍に位置するため、[第1の形態]では、気体導入部6aが袋が傾き、その傾きの大きさによっては、予備気体吹き込み工程及び気体充填工程に支障が生じる場合があるが、第2の形態ではこれを防止できる。
【0048】
[第3の形態]
次に、
図12,13を参照して、本発明に係る別の気体封入方法及び装置について説明する。
図12,13において、[第1の形態]で説明したエアバッグ付き袋及び気体封入装置の各部位と実質的に同じ部位には同じ番号を付与している。
この第3の形態では、エアバッグ付き袋1は[第1の形態]のものと同じで、ロータリ式包装装置と周辺装置も[第1の形態]のものと基本的に同じであるが、ノズル23,24からの気体の吹き出しの制御形態のみが異なる。この相違点について、以下説明する。
【0049】
[第1の形態]では、ノズル23,24は前進位置に位置決めされた後加圧気体の吹き出しを開始し、遮断用グリッパー16が閉じた後加圧気体の吹き出しを止める。
一方、この第3の形態では、ノズル23,24は前進位置に到達する前に加圧気体の吹き出しを開始し、前進位置に到達すると同時に加圧気体の圧力を所定値まで下げ、遮断用グリッパー16が閉じた後加圧気体の吹き出しを止める。以下、
図12,13を参照して、第3の形態についてより具体的に説明する。
【0050】
図12は、ノズル23,24と圧力気体供給源34の間の配管35に接続した圧力切換装置36と、圧力切換装置36を制御する制御装置37を示す。圧力切換装置36は、配管35に並列に接続された高圧側流路38と低圧側流路39を有する。高圧側流路38は直列に接続された圧力調整弁41、流路開閉弁42、流量調整弁43及び逆止弁44を備え、低圧側流路39は同じく直列に接続された圧力調整弁45、流路開閉弁46、流量調整弁47及び逆止弁48を備える。圧力調整弁41の設定圧力は圧力調整弁45の設定圧力より高く、後者はエアバッグ部6内に封入する気体圧の目標値又はそれよりやや高い値に設定されている。高圧側流路38の圧力調整弁41、流量調整弁43、47及び逆止弁44、48は必須ではなく、これらがなくても一応の制御が可能である。しかし、圧力調整弁41及び流量調整弁43,47が介在することにより、ノズル23,24から吹き出す気体の圧力、ひいてはエアバッグ部6内に封入する気体の圧力をより安定化させることができる。
また、圧力切換装置36とノズル23,24の間の配管35に、リリーフ弁49が設置されている。前記制御装置37は流路開閉弁42,46の開閉を制御する。
【0051】
ノズル23,24からの気体の吹き出しの制御は次のように行われる。
(1)ノズル23,24が待機位置にあるとき、流路開閉弁42,43が閉じ、加圧気体の吹き出しは行われない。
(2)ノズル23,24が待機位置から前進位置に向けて移動を開始すると同時に、制御装置37により高圧側流路38の流路開閉弁42が開かれる。
図13(a)は、ノズル23,24が前進位置に向けて移動開始後の様子を示すもので、ノズル23,24の吹き出し口23a,24aから、圧力調整弁41で設定された高い圧力の気体が、エアバッグ部6の気体導入部6aに向けて吹き出され、その一部が切り込み9から気体導入部6aに流入し、気体流入部6aを少し膨張させている。ノズル23,24が前進位置に到達するまでに、気体導入部6aに流入した気体の一部は、挟幅部6b及び本体部6cにも流入する。ノズル23,24が前進位置に移動する過程で、高い圧力の気体がエアバッグ部6に吹き付けられ、かつ一部がエアバッグ部6内に流入することで、エアバッグ部6のフィルム7,8が密着している場合でも、その密着状態が解され、これにより次のステップの気体吹き込み(ノズル23,24が前進位置に到達後の気体吹き込み)がスムーズに遂行される。
【0052】
(3)
図13(b)に示すように、ノズル23,24が前進位置に到達し、吹き出し口23a,24aが気体導入部6aにあてがわれると同時に、制御装置37により高圧側流路38の流路開閉弁42が閉じられ、低圧側流路39の流路開閉弁46が開く。これにより、圧力調整弁45で設定された低い圧力の気体がエアバッグ部6の気体導入部6aに向けて吹き出され、気体導入部6aは切り込み9から流入した加圧気体により膨張し、広がったフィルム7,8が吹き出し口23a,24aに密着する。
気体導入部6aに流入した気体は、さらに挟幅部6b及び本体部6cにも流入し、
図13(c)に示すように本体部6cが膨張し、エアバッグ部6内の気体圧が目標値まで上昇する。なお、エアバッグ部6内の気体圧が目標値まで上昇した後は、余分な気体が適宜リリーフ弁49から排出される。
(4)所定時間経過後、遮断用グリッパー16が閉じ、続いて制御装置37により低圧側流路39の流路開閉弁46が閉じられ、ノズル23,24が待機位置に向けて後退する。
【0053】
[第4の形態]
次に、[第3の形態]の変形例として、ノズル23,24の進退の制御形態のみが異なる気体封入方法及び装置について説明する。
「第3の形態」では、ノズル23,24の前進位置が1カ所だけ設定されていたが、この第4の形態では、ノズル23,24の前進位置として、第1前進位置と第2前進位置の2カ所が設定される。ノズル23,24は待機位置から前進し、第1前進位置に到達していったん同位置に位置決めされ、所定のタイミングで再び前進して第2前進位置に到達し、同位置に位置決めされる。いうまでもなく、第1前進位置は第2前進位置よりエアバッグ付き袋1から離れた位置である(ノズル23,24の吹き込み口23a,24aの隙間がやや大きい)。ただし、第1前進位置においても、気体導入部6aがノズル23,24から吹き込まれた気体で膨張したとき、広がった気体導入部6aのフィルム7,8が吹き出し口23a,24aに密着する。言い換えれば、第1前進位置に位置決めされたノズル23,24の吹き出し口23a,24aの隙間は、膨張した気体導入部6aのフィルム7,8が吹き出し口23a,24aに密着する程度の大きさに設定されている。
この第4の形態において、ノズル23,24からの気体の吹き出しの制御形態は[第3の形態]とほぼ同じである。
【0054】
ノズル23,24からの気体の吹き出しの制御、及びノズル23,24の進退の制御は次のように行われる(
図13参照)。
(1)ノズル23,24が待機位置にあるとき、加圧気体の吹き出しは行われない。
(2)ノズル23,24が待機位置から第1前進位置に向けて移動を開始すると同時に、ノズル23,24の吹き出し口23a,24aから、高い圧力の気体が、エアバッグ部6の気体導入部6aに向けて吹き出される。
(3)ノズル23,24が第1前進位置に到達し、吹き出し口23a,24aが気体導入部6aにあてがわれると同時に、気体の圧力が切り換えられ、低い圧力の気体がエアバッグ部6の気体導入部6aに向けて吹き出される。これにより、気体導入部6aは切り込み9から流入した加圧気体により膨張し、広がったフィルム7,8が吹き出し口23a,24aに密着する。
(4)次いでノズル23,24が再び少しだけ前進して第2前進位置に到達し、同位置に位置決めされる。この間も、気体導入部6のフィルム7,8は、ノズル23,24の吹き出し口23a,24aに密着した状態である。
(5)所定時間経過後、遮断用グリッパー16が閉じ、続いて加圧気体の吹き出しが止まり、ノズル23,24が待機位置に向けて後退する。
【0055】
この第4の形態において、前記第1前進位置にきたノズル23,24の吹き出し口23a,24aの隙間は比較的大きいので、気体導入部6aはその分大きく膨張することができる。このため、気体導入部6aのフィルム7,8の隙間が広がり、気体導入部6aへの気体の吹き込み、さらに挟幅部6b及び本体部6cへの流入がスムースに行われる。ただし、吹き出し口23a,24aの隙間が大きい分、フィルム7,8の吹き出し口23a,24aへの密着状態がやや不安定(リークがある)であり、エアバッグ部6内の気体圧を目標値に到達させるにはやや安定性に欠ける。
【0056】
続いてノズル23,24が前記第2前進位置にくると、吹き出し口23a,24aの隙間がやや狭められ、気体導入部6aのフィルム7,8の吹き出し口23a,24aへの密着状態が安定し、エアバッグ部6内の気体圧を安定させ、かつ確実に目標値に到達させることができる。なお、第2前進位置において吹き出し口23a,24aの隙間が狭められることで、膨張した気体導入部6aが若干押し潰された形になり、気体導入部6aへの気体の吹き込み、さらに挟幅部6b及び本体部6cへの流入が、ノズル23,24が第1前進位置にあった場合に比べてスムースに行われなくなるが、前記第2前進位置にきた時点ですでにエアバッグ部6内には目標値に近い圧力の気体が充填されているため、そのことによる実質的な支障は生じない。
【0057】
以上、
図1〜13を参照して、本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、そのほかにも次のような実施形態が考えられる。
(1)以上の説明では、エアバッグ部6の上端に切り込み9を形成していたが、切り込み9の代わりに穴を形成してもよい。
(2)以上の説明では、エアバッグ部6に挟幅部6bを形成していたが、特許文献1に記載されたエアバッグ付き袋のように、エアバッグ部6全体を同じ幅としてもよい。
(3)以上の説明では、エアバッグ部6が形成されたシール部2を挟持する袋移送用グリッパー11が、エアバッグ部6を横切るように前記シール部2を挟持していたが、特許文献1に記載された袋移送用グリッパーのように、エアバッグ部の外側のみを挟持するようにしてもよい。
【0058】
(4)以上の説明では、遮断用グリッパー16と袋移送用グリッパー11のグリップ片14の間で前記遮断部位を挟持し、前記グリップ片14を遮断用グリッパーの他方側として利用していたが、特許文献1に記載された遮断用グリッパーのように、独立した一対の遮断用グリッパーを設置することもできる。
(5)以上の説明では、遮断用グリッパー16が挟持する遮断部位の上下近傍に規制部位(エアバッグ部の膨張形態が偏平形状になるように規制される部位)を設定したが、この規制部位は1箇所でもよく、また設定しなくてもよい。
【0059】
(6)以上の説明では、気体吹き込み手段として、予備気体吹き込み工程では予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29を用い、気体充填工程では一対の気体吹き込み用ノズル23,24を用いたが、これは逆でもよいし、両工程で同じ気体吹き込み手段を用いてもよい。気体充填工程においてノズル28と受け部材29を用いる場合、ノズル28の吹き出し制御、及びノズル28と受け部材29の進退制御は、ノズル23,24と同じように行えばよい。
【0060】
(7)以上の説明では、充填工程の後に予備気体吹き込み工程、気体充填工程及び気体封入工程を置いたが、これらの工程を置くことは必須ではない。また、充填工程の前にこれらの工程を置くことができる。
また、以上の説明では、気体封入方法及び装置は、包装方法及び装置の一部として構成されていたが、袋口の開口や被包装物の充填とは切り離し、単独の気体封入方法及び気体封入装置として構成することもできる。
【0061】
(8)以上の説明では、本発明に係る気体封入方法及び装置を、エアバッグ付き袋を間欠移送する場合に適用したが、本発明はエアバッグ付き袋を一定速度で連続移送する場合(例えば特開2009−161230号公報参照)にも適用できる。エアバッグ付き袋を連続移送する場合、例えば、遮断用グリッパーはエアバッグ付き袋とともに連続移動し、気体吹き込み用ノズル、予備気体吹き込み用ノズル、加熱気体吹き付け用ノズル及び熱板等の部材は、エアバッグ付き袋に所定距離追従移動した後復帰移動し、追従移動の過程で所要の処理を行う。