【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献DE2926691C2およびUS4406170Aは、ハウジングの取付け本体を変位させる変位手段を記載している。この変位手段はリフトレバーを備える。リフトレバーは、取付け本体に接続されており、取付け具から間隔をおいて配置されている取付け本体を移動させることによってシリンジに液体を吸引するために、直線のスリットを通ってハウジングから突出している。この手段は、往復運動する計量レバーによる段階的なピストンの前進移動のための歯付きの爪装置をさらに備える。旋回爪は、計量レバーに支承して取り付けられている。この歯付き棒は、取付け本体に接続され、爪の旋回領域に配置されている。計量レバーが揺動すると歯付き棒への爪の係合を制限するために、調節可能な可動カバーが、歯付きの棒の歯列をいくぶん覆う。さらに、歯付き棒は、ある輪郭部を備えて設計され、これによってピストンが進行位置にある場合にカバーが歯付き棒から離れて移動することができるので、爪がカバーされない歯付き棒の歯と係合するのを防ぐ。これによって、残余量がシリンジから吐出しない。この量は、各計量ステップで吐出されることになっている測定量よりも少ない。
【0005】
取付け本体を変位させる変位手段のさらなる開発は、文献DE4437716C2、EP0679439B1およびUS5591408Aに記載されている。
【0006】
固定手段のさらなる開発は、文献EP0656229B1およびUS5620660Aに記載されている。文献EP1724020B1およびUS7731908B2は、片手のみを使用してシリンジをピペットから取り外すことが可能な固定装置のさらなる開発を記載している。
【0007】
文献EP0657216B1およびUS5620661A号は、シリンジのフランジ上の突出部および深部と関連するシリンジを判断するセンサを有するようなピペットを記載している。このセンサは、利用済みのシリンジのサイズを測定するのに役立つ。設定されたステップ幅を基準として、電子機器が、各吐出ステップで吐出される液体量を測定する。これは、ディスプレイに示される。
【0008】
ピペットの機能的実施形態では、取付け本体が、スリットを内側から覆う剛性のカバー片に固定して接続されている。カバー片は取付け本体から上方に延びるので、カバー片はリフトレバーの上にあるスリットのみを覆う。リフトレバーの下には、さらなるカバー片用の十分な空間がない。リフトレバーが上方に押されると、カバー片がハウジング内で上側に移動し、スリットがリフトレバーより下で開口する。周知のピペットでは、取付け本体のおよびそれに接続されているリフトレバーの予想外の移動が防止される。ここでは、取付け本体が、ピペットのハウジングに配置される2つの弾性ゴムホースによって制動される。この種のピペットは、EP2033712A1に開示されている。
【0009】
開口されたスリットによって、ケーシングの内部を観察することができ、また、ハウジングにほこりが入るようになる。ほこりは、可動部分を汚染し、場合によっては、ピペットの電子機器の構成要素を汚染する。
【0010】
文献DE3211271A1は、特にモータ車両の空気調節装置において、加熱および排気用の作動要素にスリットを備えたスライドバー制御装置を記載している。スライドバー制御装置では、テープが1つまたは複数のスリットの後ろに取り付けられ、その端部が底部に固定される。テープは、スライドバー制御装置の作動レバーの貫通孔を通って案内される。テープは、スリットまである距離をおいて配置されるので、スリットとテープとの間に空洞があり、これを通ってほこりが底部本体に進入する。テープによって、外部の光がスライドバー制御装置に残らず、同時に、テープによって内部構造の汚染が低減される。
【0011】
文献DE19541628C2は、例えば、スライド式の可変レジスタのための、機械システムのばねの張力を変化させるための、あるいはモータ車両の自動ギアボックス用のプログラム選択レバーとして実現するスライド式制御装置を記載している。スライド式制御装置は、スリットを備えたハウジングと、およびスリット内およびそれに沿って可動な摺動ブロックとを有する。巻取り側および連行側がそれに取付けられており、スリットを通って延びている。スライド式制御装置は、スリット方向にのみ延びる可撓性のテープを有する。テープは、巻取り側に向くハウジング側の溝のスリットの上を走り、摺動ブロックの凹部にわたって延びている。その端部で、テープはハウジングに固定される。固定点の距離は、これらの間に延びるテープの長さよりも小さい。テープは、スリットのこれらの位置でスリットを封止する。ここには摺動ブロックが存在しない。ハウジングの外側に摺動ブロックを配置するために、テープが容易に汚染され損傷を受ける可能性がある。一実施形態では、摺動ブロックの凹部は、摺動ブロックの巻取り側において側方に形成されたスリットによって実現する。スリットが側方に配置されることによって、テープを側方から出すことが可能となる。さらに、その配置は、摺動ブロックの外側の外観を損なう。別の実施形態によると、摺動ブロックは、互いを支承する2つの本質的に対称性の半分部によって形成される。この半分部は、巻取り側の1つの半分部と連行側の1つの半分部からなる。ここでは、凹部がスリットによって両半分部の各1つの接触面に形成され、深さはテープ幅の少なくとも半分に対応する。摺動ブロックを2つの対称性の半分部に分割すると、大変な組立が必要となる。というのは、半分部をテープの狭い側に押さなければならないからである。さらに、分割された摺動ブロックの外側の外観が損なわれる。
【0012】
これに起因して、本発明は、隙間のないハウジングを備えたシリンジを操作するためのピペットを提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、請求項1の特徴を有するピペットによって達成される。ピペットの有利な実施形態は、従請求項に示されている。
【0014】
本発明のシリンジ操作用のピペットは、
棒状のハウジングと、
ハウジングの下端部に開口部を有し、シリンダの上縁部に固定部を備えたシリンジに入れる取付け具と、
前記ハウジングの下端部に他の取付け具と他の開口部とを有し、シリンジのピストンの他の固定部に入れる取付け本体と、
前記固定部を取付け具に、かつ他の固定部を他の取付け具に着脱可能に保持する保持手段と、
前記取付け本体をハウジング内で当該ハウジングの長手方向に変位させる変位手段を備え、
前記ハウジングの外側から作動するリフトレバーを有し、当該リフトレバーは接続要素を介して取付け本体に接続され、接続要素はハウジングの長手方向に延びる直線のスリットを通って把持するシリンジ操作用のピペットであって、
前記ハウジングのスリットの下では、当該スリットを覆うカバー片が、ハウジング内で当該スリットの長手方向に互いに離間する2つの位置に保持され、
前記接続要素は
チャネルを有し、前記リフトレバーが変位すると、前記カバー片は前記チャネルにわたって案内されることを特徴とする。
【0015】
本発明のピペットでは、取付け本体がハウジング内のどの位置を占めるかに関わらず、スリットをカバー片によって常に覆うことができる。このことは、カバー片が、スリットを下側から覆い、ハウジング内でスリットの長手方向に離間する位置に保持されることで達成される。しかし、カバー片は、スリットの両側でハウジングに接続されていない。さらに、接続要素は、カバー片が延びるチャネルを備える。結果として、取付け本体がリフトレバーを起動させることによって変位すると、接続要素は接続要素の両側のスリットをカバーするカバー片に沿って案内される。したがって、スリットは、リフトレバーの各位置において、完全に覆われることができる。したがって、スリットをわたって中を観察し、ほこりが装置内に進入することがない。スリットの内側にテープを配置するため、ユーザの手による、厳密には棒状のハウジングを包囲し、あるいは環境の他の影響によるテープの汚染または損傷を回避することができる。
【0016】
ピペットの一実施形態によると、ピペットが垂直に向いている場合、リフトレバーがスリットに沿って自動的に移動しないように、取付け本体を変位させる変位手段および/またはこれらの変位手段に固定して接続されているハウジング内で可動な他の構成要素と、ハウジング内で固定して配置されている構成要素との摩擦が必要な大きさにされる。
【0017】
摩擦ブレーキは、これによって実現される。摩擦ブレーキによって、さらなる構成要素を必要とせずに、取付け本体およびそれに接続されているリフトレバーの予想外の変位が防止される。
【0018】
好ましい実施形態によると、ピペットが垂直に向いている場合、リフトレバーがスリットに沿って自動的に移動しないように、摩擦が必要な大きさにされる。好ましい実施形態によると、垂直に向いているピペットがユーザによって移動する場合にリフトレバーが自動的に移動しないように、摩擦が必要な大きさにされる。摩擦の大きさは、ピペットを取り、運び、使用し、設定する場合のユーザの通常の穏やかな移動に、好ましくは適合される。可動式構成要素とハウジング内に固定して配置される構成要素との効果的な摩擦によって、リフトレバーに作用する重力の影響下での、場合によっては加速力の影響下でのリフトレバーの変位が防止される。好ましい実施形態によると、ピペットが垂直に向いている場合、ピペットがシリンジを備えていない場合であっても、リフトレバーがスリットに沿って自動的に移動しないように、摩擦が必要な大きさにされる。この場合、リフトレバーの変位は、シリンジピストンとシリンジシリンダとの摩擦によって相殺されない。
【0019】
本発明のさらなる利点は、可動式構成要素とハウジングで固定して配置されている構成要素との摩擦が、チャネルにわたりカバー片を案内することで測定可能であるということである。本発明の一実施形態によると、ピペットが垂直に向いている場合にリフトレバーがスリットに沿って自動的に移動しないように、接続要素とカバー片との摩擦が必要な大きさにされるか、あるいは、この摩擦は、別の1組のハウジング内で可動する構成要素とハウジング内で固定して配置されている構成要素との摩擦に応じて必要な大きさにされる。
【0020】
カバー片と接続要素との摩擦は、特にカバー片および接続要素の材料、チャネルおよびカバー片の幾何学的形状およびサイズ、ならびにカバー片がハウジング内に保持されるバイアスに依存する。これらのパラメータは、摩擦が上述の基準を満たすように設定可能である。
【0021】
別の実施形態によると、一方はハウジング内で可動であり、他方はハウジング内で固定して配置されており、両方とも接続要素およびカバー片とは異なる1組の構成要素間の摩擦が、ピペットが垂直に向いている場合にリフトレバーがスリットに沿って自動的に移動しないように、必要な大きさにされる。この1組の構成要素は、特に、ハウジング内で取付け本体を変位させる歯付き棒と、ハウジングに固定して接続されており、歯付き棒の爪駆動装置の回動作動レバーを支承して取り付ける軸受ブロックとであってもよい。さらに、この1組の構成要素は、ハウジングに対して可動なリフトレバーまたは接続要素と、ハウジングそのものであってもよい。可動な構成要素とハウジングに固定して接続されている構成要素との摩擦はまた、ピペットが垂直に向いている場合にリフトレバーがスリットに沿って自動的に移動しないように、接続要素とカバー片との摩擦とともに必要な大きさにされてもよい。
【0022】
本発明は、剛性のカバー片を含む。好ましい実施形態によると、カバー片は可撓性である。可撓性のカバー片またはカバーテープは、好ましくは、スリットの長手方向に離間する2つの位置間で張力をかけられて保持される。
【0023】
さらなる実施形態によると、カバー片は弾性体である。その弾性体が実現されるために、カバー片は延びることが可能であるので、長手方向に負荷がかかっても破壊しない。長手方向のカバー片の負荷は、例えば、リフトレバーをわずかに傾けることによって生じ得る。
【0024】
一実施形態によると、カバー片が可撓性であり、接続要素のチャネルは、カバー片の長手方向の平坦なU字形の進路を有するので、チャネルのカバー片が接続要素まで連続して走る面から撓む。可撓性のカバー片をスリットの縁部に近接して支承することは、チャネルのU字形の進路に好都合である。その理由は、チャネルの上限がスリットの縁部から離れて変位することができるからである。可撓性のカバー片をスリットの縁部に近接して支承させることによって、ハウジング内へのほこりの侵入を効果的に防止する。さらに、チャネルの形状によって、可撓性のカバー片は、接続要素の両側でスリットの縁部に向かってアーチ状となる。チャネルのカバー片が撓むことによって、カバーテープと接続要素との摩擦が増大する。この摩擦によって、ハウジングの取付け本体の予想外の変位が防止される。
【0025】
さらなる実施形態によると、接続要素のチャネルは曲線状に走り、その開口部はカバー片の撓んでいない部分の面に沿って入る。これによって、カバー片がチャネルに平滑に移行し、リフトレバーが移動している時の接続要素とカバー片との極端な摩擦が回避される。
【0026】
さらなる実施形態によると、取付け本体は、少なくとも1つの支持要素に固定して接続されている。この支持要素は、ハウジングの支持部(溝)で支持される。支持部は、接続要素の外側のカバー片の部分に交差する面と平行に向けられる。リフトレバーに作用する力は、支持要素および支持回復部を介してハウジングに偏向する。したがって、これによってカバー片の過負荷を回避する。
【0027】
さらなる実施形態によると、支持要素はウイングである。ウイングは、カバー片が接続要素まで連続して配置されている面に対して平行な平面において、取付け本体の異なる側で突出しており、ハウジングの対向する壁の内側にある平行溝内で係合する。ウイングによって、取付け本体をハウジング内で均一に支持し案内することができる。
【0028】
さらなる実施形態によると、接続要素は、スリットに係合する溝石を有する。この溝石は、接続要素をスリットに案内することができる。
【0029】
さらなる実施形態によると、接続要素は、取付け本体に固定して接続されていてハウジング内に配置されるリフトレバーマウントと、スリットを介して把持しリフトレバーに接続されているリフトレバーキャリヤとを有する。ここでは、チャネルは、リフトレバーマウントとリフトレバーキャリヤとの間に形成される。この設計は、特にチャネルが曲線状の進路を有する場合にチャネルを作成するのに有利となる。
【0030】
さらなる実施形態では、チャネルの1つの壁がリフトレバーマウントの側面であり、チャネルの対向する壁がリフトレバーマウントの他の側面である。さらなる実施形態によると、リフトレバーマウントおよびリフトレバーキャリヤは、チャネルの領域で接合されるので、これらは共にチャネルを形成する。これによって、チャネルの製造が容易になる。さらに、特にこの実施形態において、組立てが有利である。というのは、リフトレバーキャリヤおよびリフトレバーマウントは、これらを接合するときにカバー片の平坦な側面に設定できるからである。さらに、有利であるのは、リフトレバーマウントおよびリフトレバーキャリヤの接合領域または接触面はそれぞれ、ハウジング内に配置されるので、接合領域または接触面がリフトレバーの外側の外観を妨げないことである。
【0031】
さらなる実施形態によると、リフトレバーキャリヤが溝石を有する。
【0032】
さらなる実施形態によると、カバー片が、スリットの2つの端部および/または2つの端部の外側で、2つの離間した位置に保持される。
【0033】
さらなる実施形態によると、カバー片が、スリットの2つの端部および/またはその外側で、以下の方法のうちの1つまたは複数で、ハウジングに確動の嵌め込み、接着接合または不確動の嵌め込みによって固定される。
【0034】
さらなる実施形態によると、カバー片が、ハウジングの内側から突出するピンの目孔または耳に固定される。熱かしめによって、カバー片をハウジングに接着接合することができる。適した固定装置で急速に固定することによって、不確動の嵌め込みによる固定を行うことが可能である。3つすべての固定方法の組合せは、例えば、カバー片が目孔に保持されているプラスチック製のピンが熱作用によって平坦に押圧されることにおいて示されているので、ピンはカバー片とともに融解し、バイアスを受けてカバー片の外側を支承する。
【0035】
さらなる実施形態によると、カバー片が、長手方向に弾性であり、かつ/またはばねによって張力をかけられている。したがって、カバー片をスリットの縁部に対してさらに近接して支承することによって、魅力的な外側の外観を達成し、内側のハウジングを汚染からより保護することができる。
【0036】
さらなる実施形態によると、ハウジングおよびカバー片は、同じプラスチック材料でできている。魅力的な外側の外観は、これによってさらに好ましいものとなる。ハウジングおよびカバー片は両方とも、ポリプロピレンから作られるのが好ましい。
【0037】
さらなる実施形態によると、ハウジングとカバー片とは、異なる材料から作られる。例えば、摩耗特性、可撓性、および色は、カバー片の材料の選択によって影響する。例えば、摩擦のブレーキ効果を増加させることを意図される場合には、摩耗特性を改良する必要となる。さらに、カバー片の表面特性、特に粗さを固有の要件に適合させることが可能である。カバー片は、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリカーボネートで作られてもよい。
【0038】
取付け具の固定部を保持する保持手段、および他の取付け具の他の固定部は、冒頭で述べられている従来技術の文献のうちの1つに記載されているように構成されるのが好ましい。取付け本体をハウジング内で変位させる変位手段は、冒頭において述べられている従来技術の文献のうちの1つに記載されているように構成されるのが好ましい。この点において、冒頭において述べられる文献、すなわち、DE2926691C2、US4406170A、DE4437716C2、EP0679439B1、US5591408A、EP056229B1、US5620660A、EP1724020B1、US7731908B2、EP0657216B1、US5620661Aを参照のこと。これらの主題は、参照によって本出願に組み込まれる。
【0039】
本発明を、添付の例示的な実施形態の図面を用いて、以下により詳細に説明する。