【文献】
鈴木 輝夫,新出谷 祟,外12名,実務詳解 内部統制の文書化マニュアル,(株)中央経済社,2007年 4月20日,第1版,pp. 358-368, 376-385, 394-395, 420-421
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の実施の形態では、電子取引サービスとして、主に電子契約を例に挙げて説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下においては、本発明の特徴を分かり易くするために、従来の技術と比較して説明する。
【0019】
図11は、従来技術における認定認証局を用いた電子契約サービスの構成例について概要を示した図である。この場合は、電子契約により電子商取引を行うための取引基本契約を締結したサービス導入企業(図中では「A社(300a’)」)と、取引先(図中では「取引先2(402’)」)が、それぞれ、電子契約システム101を運営するサービスベンダと電子契約サービスの利用契約を締結することで、電子契約システム101を介して契約を締結することが可能となる。
【0020】
このとき、サービス導入企業と取引先がそれぞれ個別に認定認証局201に対して電子証明書の取得申請を行い、電子契約サービスで用いるための電子証明書を取得する。なお、他の企業等(図中では「B社(300b’)」や「取引先1(401’)」、「取引先3(403’)」など)が新たに電子契約サービスを利用する場合は、個別に電子契約システム101を運営するサービスベンダと電子契約サービスの利用契約を締結し、認定認証局201から電子証明書を取得する。このように、電子契約サービスを利用するサービス導入企業や取引先がそれぞれ個別に電子証明書取得処理を行う必要があり、費用面、手続面で大きな負荷となる。
【0021】
図12は、従来技術における非認定認証局を用いた電子契約サービスの構成例について概要を示した図である。この例では、電子契約サービスを導入して電子契約により電子商取引を行うサービス導入企業(図中では「A社」、「B社」)が、それぞれ、システムベンダ101’により個別に開発された電子契約システム(図中では「A社電子契約システム(100a)」、「B社電子契約システム(100b)」)により、取引基本契約を締結した各取引先(図中では「取引先1(401’)」〜「取引先3(403’)」)と電子契約を締結して電子商取引を行う。電子契約の際に用いる電子証明書は、各サービス導入企業(電子契約システム)がそれぞれ非認定認証局200から取得する。取引基本契約を締結した各取引先が用いる電子証明書について取得して発行するという登録業務を行う構成とすることも可能である。
【0022】
図12の例では、「取引先2(402’)」については、「A社」と「B社」の双方と取引基本契約を締結しており、双方と電子契約により電子商取引を行うことが可能である。しかしながら「A社電子契約システム(100a)」と「B社電子契約システム(100b)」は個別に開発された別システムであるため、それぞれのインタフェースや仕様等は必ずしも同一とは限らない。従って、「取引先2(402’)」にとっては、取引の相手方が「A社」であるか「B社」であるかによって電子契約システムを使い分ける必要があり、煩雑である。
【0023】
図13は、従来技術における非認定認証局を用いた電子契約サービスの他の構成例について概要を示した図である。この例では、上述の
図12の構成において各サービス導入企業が個別に保有していた電子契約システム(「A社電子契約システム(100a)」、「B社電子契約システム(100b)」)の機能を、システムベンダ101’がASP(Application Service Provider)としてネットワーク経由でサービスとして提供する構成としたものである。サービス導入企業(図中では「A社(300a’)」、「B社(300b’)」)のシステム運用の負荷は低減されるものの、「取引先2(402’)」が電子契約システムを使い分ける必要があることなどは
図12の例の場合と同様である。
【0024】
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1は、電子契約を含む電子取引サービスを提供する、すなわち取引主体間の電子取引を支援する電子取引システムである。本発明の実施の形態1である電子取引システムは、上記のような課題に対応するため、非認定認証局に対する証明書登録業務(本人確認、証明書の発行要求および配布)を、サービス導入企業や取引先に代わって一括して行うことで、サービス導入企業のシステム運用の負荷を低減させる。また、電子取引システムは、全てのサービス導入企業が共通に利用可能なシステムとして構成することで、取引の相手方のサービス導入企業に関わらず、取引先が電子取引システムを使い分けることを不要とする。また、電子取引システムは、電子取引システムが保管する契約書等の文書に対してサービス導入企業や取引先が電子証明書を利用して電子署名を行う際に、承認権者の意思に基づいて承認が行われることを保証するような電子署名申請プロセスを有することで、取引先がサービス導入企業との間で安全に電子契約を締結することを可能とする。
【0025】
[システム構成]
図1は、本発明の実施の形態1である電子取引システムの構成例について概要を示した図である。電子取引システム100は、例えば、電子取引サービスを提供するシステムベンダ等の企業により運営され、サーバ機器やクラウドコンピューティング環境における仮想サーバ等により構成される情報処理システムである。
【0026】
この電子取引システム100は、図示しないインターネット等のネットワークを介して、非認定認証局200や、サービス導入企業(図中では「A社」〜「C社」)の個別システムであるサービス導入企業個別システム300(図中の「A社個別システム(300a)」〜「C社個別システム(300c)」を総称する)、各サービス導入企業の取引先(図中では「取引先1」〜「取引先5」)の個別システムである取引先システム400(図中の「取引先1システム(401)」〜「取引先5システム(405)」を総称する)と通信により接続可能な構成を有する。
【0027】
電子取引システム100は、例えば、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System:データベース管理システム)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアプログラムとして実装される、インタフェース部110、署名申請処理部120、電子署名部130(図中の「A社電子署名部(130a)」〜「C社電子署名部(130c)」を総称する)、証明書登録処理部140、取引先管理部150、ユーザ管理部160、および文書管理部170などの各部を有する。なお、これら各部は、電子取引システム100のサブシステムや、独立したシステムとして実装されていてもよい。
【0028】
インタフェース部110は、電子取引システム100による電子取引サービスのユーザに対する操作画面等のユーザインタフェースを提供する機能を有する。例えば、インタフェース部110は、図示しないWebサーバプログラムを利用して、ユーザが利用する情報処理端末上のWebブラウザに対して画面を表示させる。
【0029】
署名申請処理部120は、サービス導入企業や取引先のシステムや担当者から電子取引システム100が保管する文書に対する電子署名の申請を受け付けて、指定された承認権者に対して承認依頼を行い、全ての承認権者から承認された場合に、後述する電子署名部130により対象の文書に対する電子署名を行うという一連の署名申請処理を行う機能を有する。署名申請処理部120は、各承認権者に対する承認依頼や承認結果などの承認状況については、データベースやファイルテーブルにより実装される承認状況テーブル(TB)123に記録する。なお、署名申請処理の詳細については後述する。
【0030】
署名申請処理部120は、さらに、署名申請処理の中で用いられる生体認証を実行する機能を有する生体認証処理部121、および、指定されたアドレスに対して指定された文書を電子的なメッセージ(単に「メッセージ」あるいは「電子メッセージ」とも呼ぶ。)により送付する機能を有するメッセージ処理部122などをさらに有している。これらの各機能については一般的な公知のサーバやプログラム、ライブラリなどを適宜利用することができる。
【0031】
生体認証処理部121は、例えば、承認権者などの使用する端末からユーザID及び生体情報を取得し、当該取得したユーザIDに対応する生体情報を後述するユーザテーブル(TB)161から特定し、取得した生体情報と特定した生体情報を照合することで、承認権者などのユーザの認証を行う。なお、生体情報としては、例えば、指紋、声紋、掌紋、静脈、虹彩などを用いることができる。また、生体認証の方法や手順は、生体情報を用いたものであれば、上記の例に限られない。上記の例では、ユーザID及び生体情報の入力を必要とする認証方法(ID付き生体認証)であるが、生体情報のみを入力する(IDレス生体認証)を用いてもよい。IDレス生体認証では、一致する生体情報が登録されていれば、認証が成功したと判断される。
【0032】
メッセージ処理部122は、電子的なメッセージとして、例えば、電子メール、携帯電話などの間で送受信されるショートメッセージ、コンピューター上の専用のアプリケーションなどの間で送受信されるメッセージ(インスタントメッセージとも呼ばれる。)などを用いることができる。なお、アドレス情報は、例えば、後述するユーザテーブル(TB)161から取得することができる。もちろん、電子的なメッセージは上記の例に限られない。
【0033】
電子署名部130は、電子取引サービスの各導入企業についての電子契約等の取引に係る文書データについて、上述した署名申請処理部120によって各承認権者からの承認が得られた場合に、対象のサービス導入企業による電子署名を自動で行う機能を有する。このために、各電子署名部130は、それぞれ、対象のサービス導入企業について、サービス提供の開始に先立って、後述する証明書登録処理部140により非認定認証局200から電子証明書の発行を受けてこれを保持しておくものとする。なお、本実施の形態では、電子署名部130をサービスの導入企業毎に個別に実装するものとしているが、サービス導入企業毎に個別に電子署名を行うことが可能であればまとめて実装することも可能である。
【0034】
証明書登録処理部140は、サービス導入企業からの電子証明書の発行依頼を受けて、サービス導入企業もしくはその取引先についての電子証明書の発行依頼を非認定認証局200に対して行う登録業務の機能を有する。証明書登録処理部140は、さらに、非認定認証局200に対して証明書発行依頼を行う際に必要となる所定のフォーマットの帳票を作成して出力する帳票作成部141を有していてもよい。
【0035】
取引先管理部150は、電子取引システム100による電子取引サービスを利用する各サービス導入企業がそれぞれ取引基本契約を締結している取引先の情報を取引先テーブル(TB)151に保持するとともに、登録や更新等の管理を行う機能を有する。電子取引システム100は、取引先管理部150により、この取引先TB151を参照することで、当該電子取引システム100を介して、各サービス導入企業と、これらと取引基本契約を締結している取引先との間でのみ電子契約等の電子取引を行うことが可能となるよう制御することができる。
【0036】
ユーザ管理部160は、電子取引システム100にアクセスすることができるユーザについて、氏名や所属企業等の属性情報、ユーザIDやパスワードなどの認証情報、電子的なメッセージのアドレス情報、アクセス権限などの情報をユーザテーブル(TB)161に保持するとともに、登録や更新等の管理を行う機能を有する。さらに、ユーザ管理部160は、電子取引システム100にアクセスすることができるユーザについて、ユーザIDと当該ユーザの生体情報を関連付けた生体認証情報を、ユーザTB161に保持するとともに、登録や更新等の管理を行う機能を有する。なお、IDレス生体認証の場合は、生体認証情報にはユーザIDは含まれなくてもよい。ここでのユーザは、電子取引システム100の管理者等に加えて、各サービス導入企業や取引先の担当者や電子署名の際の承認権者などが含まれる。
【0037】
文書管理部170は、電子取引システム100を介して締結された電子契約等の取引に係る文書の原本を文書テーブル(TB)171に保管するとともに、アクセス権限のあるユーザからのアクセス要求に対して参照を許可する文書管理の機能を有する。当該機能についても、一般的な公知の文書管理システムやプログラム等を適宜利用することができる。なお、「保管する」や「保持する」は、「記録する」、「格納する」とも言える。
【0038】
非認定認証局200は、例えば、JIPDEC(登録商標:一般財団法人日本情報経済社会推協会))が運営するJCAN(登録商標)仕様のパブリック証明書を発行するJCANルート認証局などを利用することで、安価に電子証明書の発行を行うことが可能である。このとき、電子取引システム100の運営企業がJIPDECから認定(LRA認定)を受けてJCAN仕様の電子証明書の登録業務を行うことも可能である。なお、このようなパブリック証明書を利用せず、電子取引システム100の運営企業が自ら非認定認証局200を構築し、プライベートな電子証明書を発行するようにしてもよい。
【0039】
各サービス導入企業個別システム300(図中では「A社個別システム(300a)」〜「C社個別システム(300c)」)は、例えば、取引先との間で見積依頼の受付から見積提示、契約の締結、取引に至る一連の電子取引を実施する基幹連携システム等の情報処理システムである。また、各取引先システム400(図中では「取引先1システム(401)」〜「取引先5システム(405)」)についても同様に、例えば、サービス導入企業との間で見積依頼から見積の受領、契約の締結、取引に至る一連の電子取引を実施する情報処理システムである。なお、取引先としては、例えば、サービス導入企業にとっての商品等の仕入先だけでなく、顧客などの販売先や保守会社などの委託先等、電子契約を締結する相手方となる企業等が広く含まれる。
【0040】
図2は、本実施の形態における非認定認証局を用いた電子取引サービスの構成例について概要を示した図である。ここでは、電子取引システム100がサービス導入企業(図中では「A社(300a’)」、「B社(300b’)」)からの依頼を受けて、非認定認証局200に対する証明書登録業務を一括して行う構成をとることで、サービス導入企業および取引先(図中では「取引先1(401’)」〜「取引先3(403’)」)が個別に非認定認証局200から証明書の発行を受ける処理を行うことを不要とする。
【0041】
また、各サービス導入企業は、電子取引システム100の運営企業と電子契約等を含む電子取引サービスの利用契約を締結することで、電子取引システム100により電子契約等の電子取引に係る処理を行うことができるため、各サービス導入企業におけるシステム運用負荷を低減させることが可能となる。また、取引先TB151においてサービス導入企業毎に取引基本契約を締結している取引先の情報を一元的に管理する構成をとることで、取引先(図中では「取引先2(402’)」)にとっては相手方のサービス導入企業に関わらず同じ電子取引システム100を利用することが可能となる。
【0042】
[処理の流れ]
図3は、サービス導入企業が電子取引サービスを利用可能となるまでの処理の流れの例について概要を示した図である。まず、サービス導入企業が電子取引システム100の運営企業に対して電子取引サービスの利用契約の申込を行い(S01)、所定の要件を満たしていれば契約を締結する(S02)。なお、上記の処理は、サービス導入企業および電子取引システム100の運営企業の人手により行うものとして説明したが、サービス導入企業の個別システム300と電子取引システム100との間でシステム的に行うようにしてもよい。
【0043】
サービス契約が締結されると、電子取引システム100は、管理者等による手動もしくは自動で、対象のサービス導入企業の属性等の企業情報を、図示しないサービス導入企業マスタ等のテーブルや取引先TB151などに登録する(S03)。予め対象のサービス導入企業の取引先が分かっている場合は、電子取引システム100は、この時点で当該情報について取引先TB151に登録するようにしてもよい。さらに、電子取引システム100は、管理者等による手動もしくは自動で、対象のサービス導入企業について、対応する電子署名部130を実装する(S04)。例えば、対象のサービス導入企業用のプログラムやモジュール、サーバ等を適宜実装する。
【0044】
その後、サービス導入企業では、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示(例えば、Webブラウザ等により電子取引システム100にアクセスして行う指示)に基づいて、電子取引システム100に対して当該サービス導入企業についての電子証明書の発行申請を行う(S05)。発行申請を受け付けた電子取引システム100は、証明書登録処理部140により、必要に応じて帳票作成部141によって申請用帳票を作成した上で、非認定認証局200に対して電子証明書の発行依頼を行う(S06)。
【0045】
発行依頼を受け付けた非認定認証局200は、申請内容について所定の判定処理等を行った上で電子証明書を発行し(S07)、電子取引システム100に対して送付する(S08)。電子取引システム100は、受領した電子証明書を対象のサービス導入企業に対応する電子署名部130が利用可能なように保存する(S09)。サービス導入企業が独自に電子署名を行えるように、電子証明書をサービス導入企業に対しても送付するようにしてもよい。
【0046】
図4は、サービス導入企業が潜在的な取引先から見積依頼を受けた場合の処理の流れの例について概要を示した図である。まず、潜在的な取引先において、取引先システム400もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示(例えば、Webブラウザ等によりサービス導入企業個別システム300にアクセスして行う指示)に基づいて、サービス導入企業個別システム300に対して商品等の見積依頼を行う(S11)。サービス導入企業個別システム300は、依頼内容に基づいて自動もしくは担当者の手動により見積書を作成し(S12)、これを電子取引システム100に自動もしくは担当者の情報処理端末を介した指示に基づいてアップロードして登録依頼を行う(S13)。電子取引システム100は、文書管理部170により、アップロードされた見積書を文書TB171に登録する(S14)。
【0047】
さらに、サービス導入企業個別システム300は、自動もしくは担当者の情報処理端末を介した指示に基づいて、電子取引システム100に対して、アップロードした見積書に電子署名を行うために必要な所定の承認を得るプロセスである電子署名申請処理を行う(S15)。電子署名申請処理の内容については後述する。
【0048】
電子署名申請処理により、見積書を作成したサービス導入企業において所定の承認権者による承認が得られた場合、電子取引システム100は、対象のサービス導入企業に対応する電子署名部130により、対象の見積書に対して電子署名を行い(S16)、これを対象の取引先システム400もしくは担当者等から閲覧可能となるようアクセス権限等を設定する(S17)。このとき、電子取引システム100は、メッセージ処理部122により、電子署名がされた見積書が登録されて閲覧可能となった旨を取引先システム400もしくは担当者等の情報処理端末に電子メール等のメッセージにより通知するようにしてもよい。
【0049】
図4の例では、電子署名申請処理が完了したことにより(S15)、見積書に電子署名を行って(S16)これを閲覧可能としている(S17)が、見積書を登録したとき(S14)に予め電子署名を行っておき、電子署名申請処理が完了した時点で閲覧可能とする(アクセス制限を解除する)ようにしてもよい。
【0050】
見積書が閲覧可能となった後、例えば、取引先の担当者等は、情報処理端末を使用して、電子取引システム100に保管された見積書に対する閲覧要求を行う(S18)。ここでは、例えば、情報処理端末上のWebブラウザ等を利用して、サービス導入企業個別システム300のWebサイト等を経由して電子取引システム100に対して閲覧要求を行うことができる。電子取引システム100は、要求された見積書を文書TB171から取得して出力することで提示し(S19)、取引先の担当者等は、情報処理端末を使用してこれを閲覧する(S20)。
【0051】
図5は、サービス導入企業が新たな取引先と取引の基本契約を締結した場合の処理の流れの例について概要を示した図である。まず、サービス導入企業と取引先が取引の基本契約を締結する(S21)。ここでの契約は書面等により行われるが、可能な場合にはサービス導入企業個別システム300や取引先システム400に対して、サービス導入企業や取引先の担当者が情報処理端末を利用してアクセスする等によりシステム的に行ってもよい。
【0052】
取引基本契約が締結されると、サービス導入企業では、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、電子取引システム100に対して、対象の取引先についての情報の登録依頼を行う(S22)。依頼を受けた電子取引システム100は、取引先管理部150により対象の取引先の情報を対象のサービス導入企業と関連付けて取引先TB151に登録する(S23)。
【0053】
その後、サービス導入企業では、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、電子取引システム100に対して、対象の取引先についての電子証明書の発行申請を行う(S24)。発行申請を受け付けた電子取引システム100は、申請内容に基づいて、
図3の例におけるステップS06〜S09での処理と同様の処理によって非認定認証局200から電子証明書の発行を受け(S25)、これを取引先(もしくは取引先システム400)に対して送付する(S26)。
【0054】
取引先システム400は、受領した電子証明書を電子署名の際に利用可能なように保存する(S27)。なお、上記の証明書の配布処理は、サービス導入企業が新たな取引先と基本契約を締結したときの初回のみの処理であり、当該取引先に電子証明書が配布された後は不要である。
【0055】
図6は、サービス導入企業と取引先との間で個別取引の契約が締結される場合の処理の流れの例について概要を示した図である。まず、取引先では、見積依頼のときと同様に、取引先システム400もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、サービス導入企業個別システム300に対して契約の申込みを行う(S31)。サービス導入企業個別システム300は、申込内容や見積書の内容に基づいて自動もしくは担当者の手動により契約書を作成し(S32)、これを電子取引システム100に自動もしくは担当者の情報処理端末を介した指示に基づいてアップロードして登録依頼を行う(S33)。
【0056】
電子取引システム100は、取引先TB151を参照して対象の取引先が登録されているかを確認した上で、すなわち、対象の取引先が電子取引サービスを利用可能である場合に、文書管理部170により、アップロードされた契約書を文書TB171に登録する(S34)。さらに、サービス導入企業個別システム300は、自動もしくは担当者からの指示に基づいて、電子取引システム100に対して、アップロードした契約書に電子署名を行うために、
図4の例におけるステップS15と同様の電子署名申請処理を行う(S35)。
【0057】
電子署名申請処理により、契約書を作成したサービス導入企業において所定の承認権者による承認が得られた場合、電子取引システム100は、対象のサービス導入企業に対応する電子署名部130により、対象の契約書に対して電子署名を行い(S36)、当該契約書が対象の取引先システム400もしくは担当者等から閲覧可能となるようアクセス権限等を設定する(S37)。このとき、電子取引システム100は、メッセージ処理部122により、電子署名がされた契約書が登録されて閲覧可能となった旨を取引先システム400もしくは担当者等の情報処理端末に電子メール等のメッセージにより通知するようにしてもよい。
【0058】
契約書が閲覧可能となった後、例えば、取引先の担当者等は、情報処理端末を使用して、サービス導入企業個別システム300のWebサイト等を経由して電子取引システム100に保管された契約書に対する閲覧要求を行う(S38)。このとき、閲覧可能な文書の一覧リストを電子取引システム100に対して要求し、得られたリストの中から閲覧対象の契約書を選択する形とすることも可能である。この場合、電子取引システム100は、文書管理部170により、対象の取引先がアクセス権限を有する文書のリストを文書TB171から抽出して提示する。閲覧要求を受けた電子取引システム100は、要求された契約書を文書TB171から取得して出力することで提示し(S39)、取引先の担当者等は、情報処理端末を使用してこれを閲覧し、必要に応じて内容の追記などを行う(S40)。
【0059】
その後、取引先では、自動もしくは担当者の情報処理端末を介した指示に基づいて、電子取引システム100に対して、契約書に電子署名を行うために、
図4の例におけるステップS15と同様の電子署名申請処理を行う(S41)。電子署名申請処理により、取引先において所定の承認権者による承認が得られた場合、取引先システム400は、対象の契約書に対して電子署名を行い(S42)、署名された契約書を電子取引システム100に対してアップロードして原本として保管するよう要求する(S43)。電子取引システム100は、受領した契約書を原本として文書TB171に保管する(S44)。
【0060】
なお、取引先による電子署名の処理(S42)を、上記のステップS36と同様に電子取引システム100上で実施するようにして、電子署名申請処理(S41)の承認結果と連携して実行させるようにしてもよい。
【0061】
図7は、見積書や契約書等の文書に電子署名を行うために必要な所定の承認を得るための電子署名申請処理の流れの例について概要を示した図である。この処理は、例えば、上述の
図4の例におけるステップS15や、
図6の例におけるステップS35、S41において行われる処理である。ここでは、サービス導入企業や取引先において契約等の取引業務を行う担当者等が情報処理端末を利用して電子取引システム100にアクセスして手動で電子署名申請処理の指示を行う場合を例として示している。
【0062】
まず、担当者は、担当者端末311を利用して電子取引システム100に対して電子署名の対象となる文書のリストの照会要求を行う(S51)。電子取引システム100は、文書管理部170により、対象の担当者が属するサービス導入企業もしくは取引先が電子署名することが可能な文書(例えば、アクセス権限があり、電子署名が未だされていない文書)のリストを文書TB171から抽出して取得することで担当者端末311に提示する(S52)。
【0063】
担当者は、担当者端末311に提示された文書のリストから、電子署名を行う対象の文書(見積書や契約書)を選択し(S53)、さらに、電子署名を行う際に承認を必要とする上長等の承認権者を1人以上選択する(S54)。承認権者の選択の際には、例えば、電子取引システム100においてユーザ管理部160により予めユーザTB161にユーザ登録されている者(すなわち、電子取引システム100にアクセス可能な者)から選択するようにしてもよい。その後、担当者端末311は、電子取引システム100に対して電子署名申請の要求を行う(S55)。当該要求には、選択された対象の文書を特定する情報と承認権者を特定する情報とが含まれる。
【0064】
電子署名申請の要求を受けた電子取引システム100は、署名申請処理部120により申請IDを採番して、承認状況TB123に承認状況をトラッキングするためのエントリを登録した上で、メッセージ処理部122により、申請IDと、対象の文書を特定するファイル名等の情報と、インタフェース部110により提供される承認画面にアクセスするためのアドレス情報であるURL(Uniform Resource Locator)の情報とを含む承認要求のメッセージを承認権者毎に作成し、これをメッセージ処理部122により各承認権者のアドレスに送信する(S56)。なお、インタフェース部110は、前記URLへのアクセスを受け付けた場合、当該URLに対応する承認画面を、アクセス元の端末に出力する。
【0065】
各承認権者は、承認権者端末312により承認要求のメッセージを受領すると(S57)、これに含まれる承認画面のURLにアクセスし、承認画面にログインし、当該承認画面において、申請IDや文書の特定情報に基づいて電子取引システム100に対して対象の文書に対する閲覧要求をそれぞれ行う(S58)。なお、承認権者は、ログインの際、例えば、電子取引システム100に対する通常のログインID(ユーザID等)とパスワードを入力するようにしてもよい。閲覧要求を受けた電子取引システム100は、要求された文書を文書TB171から取得して出力することで承認画面に提示する(S59)。
【0066】
各承認権者は、それぞれ承認権者端末312を使用して文書の内容を確認する(S60)。また、各承認権者は、それぞれ承認権者端末312に表示された承認対象の文書について承認/不承認の旨の入力を行い、承認結果を確定する旨の入力を行う(S61)。このとき、電子取引システム100は、インタフェース部110により、承認結果を確定する旨が入力された承認権者端末312の承認画面に、ユーザIDおよび生体情報の入力するフィールドなどを出力する。
【0067】
各承認権者は、それぞれ承認権者端末312を使用して自身のユーザIDおよび生体情報を入力するとともに、電子取引システム100に対して生体情報を送信する(S62)。このとき承認権者端末312は、入力された承認権者のユーザIDおよび生体情報とともに、ステップS61で入力された対象の文書の承認結果を示す情報を、電子取引システム100に対して送信する。なお、生体情報の入力は、例えば、承認権者端末312に接続された静脈等の生体情報の読取装置を用いて実現することができる。また、本処理では、ユーザIDおよび生体情報に加えパスワードを入力させるようにしてもよいし、IDレス生体認証の場合は生体情報のみを入力させるようにしてもよい。
【0068】
電子取引システム100は、インタフェース部110により承認画面を介して入力されたユーザIDおよび生体情報を受信すると、署名申請処理部120等により承認状況TB123と受信したユーザIDとに基づいて承認権者であることの確認を行うとともに、生体認証処理部121により、ユーザTB161に含まれる生体認証情報と受信したユーザID及び生体情報とに基づいて、生体情報を照合する認証処理を行い、認証結果を承認状況TB123に記録する(S63)。また、電子取引システム100は、生体情報が合致する、すなわち認証結果が成功である場合は、署名申請処理部120により、承認画面を介して入力された承認結果を承認状況TB123に記録する(S64)。なお、承認画面を介してさらにパスワードが入力される場合は、電子取引システム100は、署名申請処理部120により、ユーザTB161に含まれる認証情報と受信したユーザID及びパスワードとに基づいて、パスワードを照合する認証処理を行ってもよい。また、IDレス生体認証の場合は、生体認証処理部121は、生体情報に基づいて認証処理を行えばよい。
【0069】
全ての承認権者から受領した生体情報等の認証処理結果が成功であり、かつ、承認結果が承認を示している場合は、適切に承認がされたものとして、電子取引システム100もしくは取引先システム400による後続の電子署名の処理に移る。なお、例えば、所定の応答時間内に承認要求に対する承認を示す承認結果を電子取引システム100が受領できなかった場合や、承認結果として不承認が含まれている場合や、第三者によるなりすまし等の理由により生体情報等の認証処理結果が失敗であった場合には、電子署名申請が拒絶されたものとして電子署名を行わないようにする。
【0070】
このような処理により、承認権者に負担をかけずに所定の承認権者により(もしくは所定の承認権者の意思に基づいて)承認処理が行われることを保証し、担当者等の第三者が承認者の承認を得ずに独断で電子署名を行うことを防ぐことができる。
【0071】
以上に説明したように、本発明の実施の形態1である電子取引システム100によれば、非認定認証局200に対する証明書登録業務を、サービス導入企業や取引先に代わって一括して行うことで、サービス導入企業のシステム運用の負荷を低減することが可能となる。また、全てのサービス導入企業が共通に利用可能なシステムとして構成することで、取引の相手方のサービス導入企業に関わらず、取引先が電子取引システムを使い分けることが不要となる。また、電子取引システム100が保管する契約書等の文書に対してサービス導入企業や取引先が電子証明書を利用して電子署名を行う際に、承認権者の意思に基づいて承認が行われることを保証するような電子署名申請処理プロセスを有することで、取引先がサービス導入企業との間で安全に電子契約の締結等の電子取引を行うことが可能となる。
【0072】
また、本発明の実施の形態1である電子取引システム100によれば、案件や文書の承認画面を設けて、この画面のURLの情報を承認要求に埋め込み、承認権者のシステムへのログインID(ユーザID等)と生体情報を入力させるようにする。すなわち、生体情報の認証が成功しないと、承認が許可されず、承認処理を行うことができないようにする。これにより、例えば、パスワード等が漏洩した場合でも、第三者に承認処理が行われることを防止し、適切な承認権者が承認を行うことを保証して、電子取引における取引の安全性などを向上することができる。
【0073】
<実施の形態2>
上述した実施の形態1の電子取引システム100では、
図7の例に示したように、複数の承認権者に一斉に承認要求のメッセージを送信し、各承認権者が個別に承認処理を行って、全員が承認した場合に承認されたものとする非同期的な手順をとっているが、実施の形態2においては、承認順序に従ったワークフローによる同期的な手順をとる。
なお、システム構成や処理内容については、基本的に上記の実施の形態1に示した内容と同様であるため、再度の記載は省略するが、電子署名申請処理の相違点については、以下に説明する。
【0074】
図8は、本実施の形態における電子署名申請処理の流れの例について概要を示した図である。電子署名申請処理において、最初に、担当者が担当者端末311を利用して署名対象の文書を選択し、さらに1人以上の承認権者(承認順序も設定するものとする)を選択して、電子取引システム100に対して署名申請要求を行うところ(S75)までは、実施の形態1の
図7の例に示した電子署名申請処理のステップS51〜S55と同様であるため、説明は省略する。
【0075】
電子署名申請の要求を受けた電子取引システム100は、メッセージ処理部122により、申請IDと、対象の文書を特定するファイル名等の情報と、これまでの承認権者(存在する場合)と、インタフェース部110により提供される承認画面にアクセスするためのURLの情報とを含む承認要求のメッセージを作成し、これを承認順序における次の承認権者のアドレスに送信する(S76)。
【0076】
ステップS77〜S84の処理は、基本的に実施の形態1の
図7の例に示した電子署名申請処理のステップS57〜S64と同様であるため、説明は省略する。ただし、ステップS77〜S84の処理は、承認順序における対象の順番の承認者に関して実行される。
【0077】
案件が承認された場合は、電子取引システム100は、次の承認権者の承認処理を行うため、ステップS76と同様に新たに次の承認権者に対して承認要求のメッセージを送信する(S85)。以降の処理(S86〜)は、上述したステップS77〜S84と同様である。
【0078】
このように、承認権者毎に順にステップS76〜S84の一連の処理を繰り返すことで、承認処理のワークフローを構成することができる。ワークフローにおける承認状況は、例えば、担当者が担当者端末311を利用して電子取引システム100にアクセスすることで、承認状況TB123の内容に基づいて得られる承認状況を随時確認することができる。なお、ワークフローの最後の承認権者、すなわち電子取引システム100から発行された電子証明書を所有する承認権者が承認処理を行う際は、例えば、承認画面に「電子署名を実行してもよろしいですか?」のような確認メッセージを表示するのが望ましい。
【0079】
以上に説明したように、本発明の実施の形態2である電子取引システム100によっても、上述した実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0080】
<実施の形態3>
上述した実施の形態1の電子取引システム100では、
図5の例に示したような処理により、サービス導入企業が新たな取引先と取引の基本契約を締結した場合に、サービス導入企業の担当者等が取引先の情報を電子取引システム100に登録し、電子証明書を発行させる仕組みを有している。これにより、システムの利便性を向上させている。
【0081】
しかしながら、サービス導入企業が自社の責任で自由に取引先を電子取引システム100に登録し、電子証明書を発行させることができる仕組みでは、例えば、架空の取引先の登録や、社内の与信審査を通過していない企業の取引先としての登録が可能となり、電子取引システム100の安全性が損なわれることになる。
【0082】
そこで、本発明の実施の形態3である電子取引システム100は、サービス導入企業が取引先を新たに登録する際に承認処理を介することで、取引先の無制限の登録を防止し、システムの安全性を確保するものである。なお、システム構成や処理内容については、基本的に上記の実施の形態1に示した内容と同様であるため、再度の記載は省略するが、サービス導入企業による取引先の登録に係る処理の相違点については、以下に説明する。
【0083】
図9は、本実施の形態における、サービス導入企業が新たな取引先と取引の基本契約を締結した場合の処理の流れの例について概要を示した図である。ここでは、対象の取引先が、既に他のサービス導入企業との間で基本契約を締結し、電子取引システム100を介して電子証明書の発行を受けている場合の例を示している。
【0084】
まず、実施の形態1の
図5の例におけるステップS21と同様に、サービス導入企業と取引先が取引の基本契約を締結する(S91)。取引基本契約が締結されると、サービス導入企業では、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、電子取引システム100に対して、対象の取引先についての登録情報の確認要求を行う(S92)。ここでは、例えば、対象の取引先が既に所有している電子証明書のIDや、所有者の電子メールアドレス等のアドレス情報などを入力することで、対象の取引先を特定する。要求を受けた電子取引システム100は、取引先管理部150から対象の取引先の情報を取得して提示する(S93)。サービス導入企業では、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、取引先の登録情報の内容を確認する(S94)。
【0085】
その後、サービス導入企業では、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、取引先の登録についての1人以上の承認権者(承認順序も設定するものとする)を選択する(S95)。なお、承認権者には電子取引システム100から発行された電子証明書の所有者を含めるものとする。選択された各承認権者について、実施の形態2の
図8に示した署名申請処理におけるステップS75(本実施の形態では署名申請要求ではなく取引先の登録に係る承認要求となる)以降の一連の処理と同様の処理により、複数の承認権者によってワークフローにより順に取引先の登録について承認する承認処理を行う(S96)。各承認権者が承認を行う際、例えば、承認画面に「社内で与信審査等の審査を通過した正当な取引先であることを確認していますか?」のような確認メッセージを表示するのが望ましい。
【0086】
最終の承認権者(すなわち、電子証明書の所有者)により承認が行われると、電子取引システム100は、取引先システム400もしくは取引先の担当者の情報処理端末に対して、取引先として登録されることに対する承諾の要求を行う(S97)。例えば、メッセージ処理部122によって電子メール等のメッセージを送信することにより要求を行うことができる。このとき、例えば、「(サービス導入企業)によって取引先として登録されてもよろしいですか?」などの確認メッセージを表示等するのが望ましい。
【0087】
取引先では、取引先システム400もしくは承認権者(すなわち電子証明書の所有者)の情報処理端末を介した指示に基づいて、取引先として登録されることに対する承諾/不承諾の入力を受け付けて電子取引システム100に対して応答する(S98)。電子取引システム100は、承諾の応答を受けた場合は、取引先管理部150により、対象の取引先を新たに対象のサービス導入企業の取引先として関連付けて取引先TB151に登録する(S99)。
【0088】
図10は、本実施の形態における、サービス導入企業が新たな取引先と取引の基本契約を締結した場合の処理の流れの別の例について概要を示した図である。ここでは、対象の取引先が、未だいずれのサービス導入企業との間でも基本契約を締結しておらず、電子取引システム100を介した電子証明書の発行を受けていない場合の例を示している。
【0089】
まず、実施の形態1の
図5の例におけるステップS21と同様に、サービス導入企業と取引先が取引の基本契約を締結する(S101)。取引基本契約が締結されると、サービス導入企業では、
図5の例におけるステップS22と同様に、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、電子取引システム100に対して、対象の取引先についての情報の登録依頼を行う(S102)。対象の取引先についての情報には、例えば、電子証明書の発行相手の電子メールアドレス等のアドレス情報や、企業情報などが含まれる。依頼を受けた電子取引システム100は、取引先管理部150により対象の取引先の情報を対象のサービス導入企業と関連付けて取引先TB151に仮登録する(S103)。
【0090】
その後、
図9の例に示したステップS95、96の一連の処理と同様の処理により、サービス導入企業において選択された1人以上の承認権者によるワークフローにより、順に取引先の登録について承認する承認処理が行われる(S104、105)。
【0091】
最終の承認権者(すなわち、電子証明書の所有者)により承認が行われると、電子取引システム100は、取引先システム400もしくは取引先の担当者の情報処理端末に対して、電子取引システム100にアクセスするよう電子メール等のメッセージにより通知を行う(S106)。この通知には、例えば、ユーザ管理部160により発行された仮のログインID(ユーザID等)とパスワード、アクセス先のURLなどの情報が含まれる。
【0092】
取引先では、担当者の情報処理端末等を介して電子取引システム100にアクセスして初回のログイン処理を行う(S107)。電子取引システム100は、正常にログインできた場合に、取引先システム400もしくは取引先の担当者の情報処理端末に対して、取引先として登録されることに対する承諾の要求を行う(S108)。例えば、
図9の例におけるステップS97と同様に電子メール等のメッセージにより要求を行うことができる。また、ログイン後の画面に要求を表示するようにしてもよい。このとき、例えば、「(サービス導入企業)によって取引先として登録されてもよろしいですか?」などの確認メッセージを表示等するのが望ましい。
【0093】
取引先では、取引先システム400もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、取引先として登録されることに対する承諾/不承諾の入力を受け付けて電子取引システム100に対して応答する(S109)。電子取引システム100は、承諾の応答を受けた場合は、取引先管理部150により、対象の取引先についてステップS103において取引先TB151に登録された仮登録を本登録に変更する(S110)。その後は、
図5のステップS24以降の処理と同様に、サービス導入企業個別システム300もしくは担当者等の情報処理端末を介した指示に基づいて、電子取引システム100に対して、対象の取引先についての電子証明書の発行申請を行い(S111)、電子証明書の発行を受ける。
【0094】
以上に説明したように、本発明の実施の形態3である電子取引システム100によれば、サービス導入企業において取引先を新たに登録する際に、ワークフローによる承認処理を介するように制御し、また、取引先からも承認を得るようにすることで、取引先の無制限の登録を防止し、システムやサービスの安全性を確保することが可能となる。
【0095】
なお、上記の本発明の各実施の形態では、電子取引として、主に電子契約について見積書や契約書等の文書を例示して説明した。しかし、電子取引は、契約に限られない。例えば、電子取引システム100は、
図4と同様の処理の流れで、一方の取引主体から請求書や連絡事項を記載した文書などの各種の一般的な書類の登録を受け付け、当該一方の取引主体による電子署名を行い、当該書類を他の取引主体に対して閲覧可能化することができる。また、例えば、電子取引システム100は、
図6と同様の処理の流れで、一方の取引主体から一般的な書類の登録を受け付け、当該一方の取引主体による電子署名を行い、当該書類を他の取引主体に対して閲覧可能化し、当該他の取引主体による電子署名を行い、保管することができる。
【0096】
また、電子取引システム100は、一般的な書類に限らず、いわゆる信書として扱われている文書を、電子的な信書として扱うようにしてもよい。電子的な信書についても、
図4や
図6と同様の処理の流れで実現することができる。
【0097】
また、上記の本発明の各実施の形態では、主に企業と企業(BtoB)の間の取引を例に説明しているが、これに限定されるものではない。すなわち、電子取引システム100は、企業と企業(BtoB)、企業と個人(BtoC)、個人と個人(CtoC)等の様々な取引主体の間の電子取引サービスを提供することができる。個人として電子取引サービスを使用する場合には、例えば国民一人一人を識別する識別番号をユーザIDとして使用すれば、より電子取引サービスの利便性や汎用性が高まる。
【0098】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0099】
また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。