(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
以下、
図1を参照して負荷に電力を供給するシステムと、蓄電池の充放電量を制御する実施例1の制御装置について説明する。
図1は、ハイブリッド電力供給システム9と、本実施例の制御装置1の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、負荷95に電力を供給するハイブリッド電力供給システム9は、蓄電池92、商用電力系統93、太陽電池94、コントローラ96を含む。コントローラ96は、充放電コントローラ961と、整流器962と、太陽電池制御コントローラ963を含む。これ以外に、気象センサ91、および本実施例の制御装置1が存在するものとする。制御装置1は、網8によって気象センサ91やコントローラ96と相互に通信可能に接続されている。網8は、移動体通信網、インタネット網などによって構成される通信ネットワークである。網8による通信経路を図中の破線で示す。気象センサ91は、日射量、気温、気圧、湿度、雲量などの気象データを周囲の環境から設定時間毎に取得し、蓄積する。蓄積した気象データは、網8を通じて制御装置1へ送信される。制御装置1は、気象センサ91から受信した気象データに基づいて最適運転計画を作成して、当該最適運転計画をコントローラ96へ送信する装置である。最適運転計画とは、蓄電池92の単位時間あたりの充放電量の指示値の時系列を示す。制御装置1の詳細については後述する。コントローラ96の充放電コントローラ961は、単位時間あたりの蓄電池92の充放電量を制御する装置である。充放電量を制御する仕組みは様々あるが、例えば、蓄電池92にかかる電圧を制御して蓄電池92の充放電量を制御することができる。蓄電池92にかかる電圧を変動させることによって蓄電池92の充放電の電流値を変化させることができる。制御装置1は、充放電コントローラ961に最適運転計画を送信して蓄電池92を制御してもよいが、これ以外にも例えば商用電力系統に関わる整流器962に最適運転計画を送信して蓄電池92を制御してもよいし、太陽電池制御コントローラ963に最適運転計画を送信して蓄電池92を制御してもよい。以下では、制御装置1が充放電コントローラ961に最適運転計画を送信する場合について述べる。この場合、充放電コントローラ961は制御装置1で作成された単位時間あたりの充放電量の指示値の時系列である最適運転計画に従って、蓄電池92の充放電量を制御する。充放電コントローラ961は、太陽電池94と商用電力系統93からの充電量、負荷95への放電量を制御することにより、蓄電池92の充放電量を制御する。蓄電池92は、充放電コントローラ961の充電指示に従って商用電力系統93、太陽電池94から電力を取得し、充電する。また蓄電池92は、充放電コントローラ961の放電指示に従って負荷95に対して放電し、電力供給を行う。商用電力系統93は、電力を負荷95に供給するためのシステムであり、電力会社から電力を購入する際に使用する。
図1に示すようなハイブリッド電力供給システム9を用いて負荷95に電力を供給することにより、太陽電池94や蓄電池92の放電により負荷95へ電力供給することができ、昼間の商用電力系統93の使用を抑えて電気料金を下げることが可能である。
【0013】
太陽電池94は、太陽光を受光して発電する装置であり、太陽電池94固有のパラメータであるパネル容量、温度ロス、パワコン変換ロス、その他(配線、回線逆流防止素子、受光面の汚れによる損失など)のロスによって発電量が異なる。負荷95はどんなものでもよいが、例えば携帯電話の基地局のような消費電量の変動が小さいものであれば好適である。
【0014】
本実施例の制御装置1は、通信部11と、天候予測部12と、指示頻度決定部13と、最適化部14とを含む。以下、
図2を参照して本実施例の制御装置11の動作の概要について説明する。通信部11は、気象センサ91から気象データを受信する。天候予測部12は気象センサ91から取得した気象データに基づいて日照に関するパラメータの予測値を取得する(S12)。指示頻度決定部13は、当該予測値に基づいて蓄電池92の充放電制御の指示頻度を決定する(S13)。最適化部14は、指示頻度を表す時間間隔毎に充放電量の指示値を持つ蓄電池の初期運転計画を作成し、予め定義した評価関数に基づいて初期運転計画を評価して最適運転計画を作成する(S14)。通信部11は、コントローラ96に最適運転計画を送信する。
【0015】
以下、新たに
図3、
図4、
図5を参照して本実施例の制御装置1の各構成部の詳細について説明する。
図3は本実施例の制御装置1の天候予測部12の構成を示すブロック図である。
図4は本実施例の制御装置1の指示頻度決定部13の構成を示すブロック図である。
図5は本実施例の制御装置1の動作の詳細を示すフローチャートである。
図3に示すように、本実施例の制御装置1の天候予測部12は、気象データ記憶部121と、日射量予測部122とを含む。
図4に示すように、本実施例の制御装置1の指示頻度決定部13は、日射量判定部131と、閾値記憶部132とを含む。気象データ記憶部121は、気象センサ91から取得した日射量、気温、気圧、湿度などの気象データを記憶する(S121)。日射量予測部122は、日照に関するパラメータとして日射量予測値を取得する(S122)。より詳細には、日射量予測部122は、気象データ記憶部121に蓄積された気象データを取得し、過去の日射量をベースに日射量予測値を算出する。日射量予測部122は、例えば気象センサ91から取得された気象データを、既存の気象モデル(例えば、気象モデルWRFを用いたNuWFASや、気象数値予報モデルMSM−GPVを用いたJIT Modelingなど)に入力し、日射量予測値を取得することができる。既存の気象モデルでは、所定の時間間隔で日射量の計算が実行され、所定の時間先までの時間単位の日射量が算出される。例えば、気象数値予報モデルMSM−GPVでは毎日3時間おきの初期時刻(0,3,6,9,12,15,18,21時)に数値計算され、各初期時刻において33時間先までの日射量予測値が算出される。
【0016】
閾値記憶部132には、所定の時間の間に日射量予測値に細かい変動があるか否かを判断するための閾値が予め記憶されている。例えば、閾値として、日射量予測値の微分値の符号の反転回数を用いることができる。この場合、日射量判定部131は、日射量予測値の微分値の符号の所定時間当たりの反転回数に基づいて蓄電池の充放電制御の指示頻度を決定する(S131)。より詳細には、日射量判定部131は、閾値記憶部132に予め記憶された閾値と、日射量予測値の微分値の符号の所定時間当たりの反転回数とを比較して、反転回数が閾値未満となる場合(S131N)には、指示頻度を表す時間間隔をT(Tは任意の実数)と決定する。一方、日射量判定部131は、反転回数が閾値以上となる場合(S131Y)に指示頻度を表す時間間隔をt(tはT>tを充たす任意の実数)と決定する。ここで
図6を参照して、日射量判定部131について補足説明する。
図6は日射量の時間変化例を表す図であって、Aは日射量の変動が少ない例、Bは日射量の変動が多い例を示す図である。
図6Aに示すように、日射量の変動が少ない(例えば晴天時)場合には、日射量の時間微分値の正負反転回数は少なくなる。
図6Aの例では、正負反転回数は、日射量がピーク値に達し増加から減少に転じる瞬間の1回のみである。一方、
図6Bに示すように日射量の変動が多い(例えば雲が多い時)場合には、日射量の時間微分値の正負反転回数が増加する。このように日射量判定部131は、日射量の微分値の符号の所定時間当たりの反転回数に基づいて、日射量の変動の多少を判定することができる。日射量判定部131は、日射量の変動が少なく、予め定めた閾値未満となる場合には、指示頻度を表す時間間隔をTとして、指示頻度を低くして大まかな制御を実行可能とする。一方、日射量判定部131は、日射量の変動が多く、予め定めた閾値以上となる場合には、指示頻度を表す時間間隔をtとして、指示頻度を高くして細やかな制御を実行可能とする。
【0017】
最適化部14は、S131Nの場合に、時間間隔T毎に充放電量の指示値を持つ蓄電池の初期運転計画を作成する(S14A)。一方、最適化部14は、S131Yの場合に、時間間隔t毎に充放電量の指示値を持つ蓄電池の初期運転計画を作成する(S14B)。最適化部14が実行するステップS14A、またはステップS14Bについて
図7を参照して補足説明する。
図7は日単位の初期運転計画における充放電制御の指示頻度の例を示す図であって、Aは指示頻度が3時間毎である場合の例、Bは指示頻度が1時間毎である場合の例を示す図である。充放電量の指示値が存在する時間を矢印で表記した。T=3時間と設定した場合、ステップS14Aで作成される初期運転計画は
図7Aのようになる。一方、t=1時間と設定した場合、ステップS14Bで作成される初期運転計画は
図7Bのようになる。
図7に示すように、最適化部14は、日射量の変動が少ない場合には大まかな制御を実現し、日射量の変動が多い場合には細やかな制御を実現する初期運転計画を作成することができる。T、tの値は、分単位で設定することも可能である。次に、最適化部14は、予め定義した評価関数に基づいてステップS14A、またはステップS14Bで作成された初期運転計画を評価して最適運転計画を作成する(S14C)。最適化部14は、最適運転計画の計算を行なう際、コストや二酸化炭素排出量を最小化する等の運転計画での目的達成の度合いを評価するための目的関数を設定し、所定の期間における目的関数の値が最良となる運転計画を探索する(参考特許文献1参照)。この探索には例えば、遺伝的アルゴリズム、タブーサーチ、線形計画法などのアルゴリズムを用いることができる。通信部11は、最適化部14が作成した最適運転計画をコントローラ96に送信する。
(参考特許文献1)特開2010−124644号公報
【0018】
このように、本実施例の制御装置2によれば、日射量予測値を用いることにより、天候の変動の多少に応じて適切な指示頻度となるように最適運転計画を作成できるため、少ない計算量で適切に蓄電池の充放電量を制御することができる。
【実施例2】
【0019】
以下、
図8、
図9、
図10、
図11を参照して、実施例2の制御装置2について説明する。
図8は本実施例の制御装置2の構成を示すブロック図である。
図9は本実施例の制御装置2の天候予測部22の構成を示すブロック図である。
図10は本実施例の制御装置2の指示頻度決定部23の構成を示すブロック図である。
図11は本実施例の制御装置2の動作を示すフローチャートである。本実施例の制御装置2は、日照に関するパラメータとして太陽電池94の発電量予測値を用いることを特徴とし、それ以外の処理については実施例1の制御装置1と同様である。本実施例の制御装置2と実施例1の制御装置1の相違点は、実施例1の制御装置1における天候予測部12、指示頻度決定部13が、本実施例の制御装置2においてそれぞれ天候予測部22、指示頻度決定部23に変更されている点のみである。
【0020】
図9に示すように、天候予測部22は、気象データ記憶部121、日射量予測部122に加え、発電量予測部223を含む。
図10に示すように、指示頻度決定部23は、発電量判定部231と、閾値記憶部232とを含む。
図11に示すように、ステップS121、S122は実施例1と同様に実行される。次に、発電量予測部223は、日射量予測値と太陽電池のパラメータに基づいて発電量予測値を取得する(S223)。より詳細には、発電量予測部223は、日射量予測値に太陽電池の条件であるパネル容量、温度ロス、パワコン変換ロス、その他(配線、回線逆流防止素子、受光面の汚れによる損失など)のロスの積を発電量予測値として取得することができる。
【0021】
<発電量予測値>
前述したように、発電量予測値は、(日射量予測値)×(太陽電池の条件)で計算可能である。太陽電池の条件は、(パネル容量)×(太陽電池損失/温度補正係数)×(パワーコンディショナ損失)×(その他損失)により算出することができる。パネル容量は設置されているパネルの量から算出することができる。パネル容量の単位は[kW]で、簡単に言えばパネル設置量を表すものである。従ってパネル容量は設置者により任意に決定される条件であり、システム毎に異なる値となる。各ロスについては、設置されているパネルのメーカが公表している数値を用いることができる。実使用時の出力(発電電力)は日射の強さ、設置条件(方位・角度・周辺環境)、地域差、及び温度条件により異なる。発電電力は最大でも次の損失により、太陽電池容量の70%〜80%程度となる。(1)太陽電池損失/温度補正係数−あるメーカの公称値で3〜5月及び9〜11月:8.7%、6〜8月:11.6%、12〜2月:5.8%である。(2)パワーコンディショナ損失−あるメーカの公称値で5%である。(3)その他損失(受光面汚れ・配線・回路ロス):あるメーカの公称値で合計5%である。
【0022】
次に、発電量判定部231は、発電量予測値の微分値の符号の所定時間当たりの反転回数に基づいて蓄電池92の充放電制御の指示頻度を決定する(S231)。ステップS231は、実施例1における日射量予測値が発電量予測値に置き換わること以外は実施例1のステップS131と同様に実行される。なお、閾値記憶部232には、所定の時間の間に発電量予測値に細かい変動があるか否かを判断するための閾値が予め記憶されている。例えば、閾値として、発電量予測値の微分値の符号の反転回数を用いることができる。以下、実施例1と同様にステップS14A、S14B、S14Cが実行される。
【0023】
このように、本実施例の制御装置2によれば、発電量予測値を用いることにより、天候の変動の多少に応じて適切な指示頻度となるように最適運転計画を作成できるため、少ない計算量で適切に蓄電池の充放電量を制御することができる。
【実施例3】
【0024】
以下、
図12、
図13、
図14、
図15を参照して、実施例3の制御装置3について説明する。
図12は本実施例の制御装置3の構成を示すブロック図である。
図13は本実施例の制御装置3の天候予測部32の構成を示すブロック図である。
図14は本実施例の制御装置3の指示頻度決定部33の構成を示すブロック図である。
図15は本実施例の制御装置3の動作を示すフローチャートである。本実施例の制御装置3は、日照に関するパラメータとして雲量予測値を用いることを特徴とし、それ以外の処理については実施例1の制御装置1と同様である。本実施例の制御装置3と実施例1の制御装置1の相違点は、実施例1の制御装置1における天候予測部12、指示頻度決定部13が、本実施例の制御装置3においてそれぞれ天候予測部32、指示頻度決定部33に変更されている点のみである。
【0025】
図13に示すように、天候予測部32は、気象データ記憶部321、雲量予測部322を含む。
図14に示すように、指示頻度決定部33は、雲量判定部331と、閾値記憶部332とを含む。なお本実施例において通信部11は、気象センサ91から気象データとして雲量データを受信するものとする。
図15に示すように、ステップS121は実施例1と同様に実行される。次に、雲量予測部322は、日照に関するパラメータとして雲量予測値を取得する(S322)。より詳細には、雲量予測部322は気象センサ91から、雲量データを取得し、当該雲量データに基づいて雲量予測値を取得する。雲量データは1日単位、または時間単位で取得することができる。例えば気象センサ91が雲量計を用いて雲量データを観測する場合、雲量データは任意の時間に取得可能である。この場合は、気象センサ91が雲量計を含む構成であることが必要である。例えば気象センサ91が雲量データを気象庁などから取得する場合、雲量データは1日2回〜4回の測定員の目視によるデータである。気象庁から雲量データを取得する場合、雲量予測部322は、例えば朝9時の雲量データのみを気象センサ91から取得し、取得した朝9時の雲量データに基づいて一日の雲量予測値を取得すればよい。例えば気象通報に使用される地上実況気象通報式(SYNOP)では、雲量は0〜8および「雲量不明」を表す9の10個の数字で表現される。また、日本式天気記号においては、雲量は0〜10の数値および「不明」の12段階で表現される。いずれも数値が小さいほど雲量が少ないことを意味する。次に、雲量判定部331は、雲量予測値に基づいて蓄電池の充放電制御の指示頻度を決定する(S331)。閾値記憶部332には、予め雲量の閾値C1、C2(C1<C2とする)を記憶しておく。C1は雲が非常に少ないために日射量の変動が少なくなる場合の雲量として設定される。一方C2は雲が空を殆ど覆っており日射量の変動が少なくなる場合の雲量として設定される。雲量判定部331は、雲量予測値がC1未満あるいはC2を超える場合(S331N)、日射量の変動が少ないと判断して、指示頻度を表す時間間隔をTとして、指示頻度を低くして大まかな制御を実行可能とする。一方、雲量判定部331は、雲量予測値がC1以上C2以下である場合(S331Y)、日射量の変動が少ないと判断して、指示頻度を表す時間間隔をtとして、指示頻度を高くして細やかな制御を実行可能とする。
【0026】
例えば雲量判定部331は、日本式天気記号における雲量1、9をそれぞれ閾値C1、C2として、雲量予測値が1未満あるいは9を超える場合(S331N)、指示頻度を表す時間間隔をTとする。一方、雲量判定部331は、雲量予測値が1以上9以下である場合(S331Y)、指示頻度を表す時間間隔をtとする。以下、実施例1と同様にステップS14A、S14B、S14Cが実行される。
【0027】
このように、本実施例の制御装置3によれば、雲量予測値を用いることにより、天候の変動の多少に応じて適切な指示頻度となるように最適運転計画を作成できるため、少ない計算量で適切に蓄電池の充放電量を制御することができる。
【実施例4】
【0028】
以下、
図16、
図17、
図18を参照して、実施例4の制御装置4について説明する。
図16は本実施例の制御装置4の構成を示すブロック図である。
図17は本実施例の制御装置4の指示頻度決定部43の構成を示すブロック図である。
図18は本実施例の制御装置4の動作を示すフローチャートである。本実施例の制御装置4は、天候が好天であるか悪天であるかをパラメータとして用いることを特徴としており、それ以外の処理については実施例1の制御装置1と同様である。本実施例の制御装置4と実施例1の制御装置1の相違点は、実施例1の制御装置1における指示頻度決定部13が、本実施例の制御装置4において指示頻度決定部43に変更されている点のみである。
【0029】
図17に示すように、指示頻度決定部43は、好悪判定部431と、閾値記憶部432とを含む。
図18に示すように、ステップS121、S122は実施例1と同様に実行される。好悪判定部431は、日射量予測値から天候が好天であるか悪天であるかを判定し、当該判定結果に基づいて蓄電池92の充放電制御の指示頻度を決定する(S431)。より詳細には、閾値記憶部432に、好天と悪天の境界値としての日射量を設定しておく。例えば、境界値(閾値)以上となる場合には日射量変動が少ない晴天のみが抽出され、境界値(閾値)未満の場合には、雲の多い晴れの日など、日射量変動が多い天侯パターンを多く含むようにする。好悪判定部431は、日射量予測値が閾値以上となる場合に好天(日射量変動が少ない晴天)と判断し(S431N)、指示頻度を表す時間間隔をTとして、指示頻度を低くして大まかな制御を実行可能とする。一方、好悪判定部431は、日射量予測値が閾値未満となる場合に悪天(日射量変動が多い天侯パターンを多く含む)と判断し(S431Y)、指示頻度を表す時間間隔をtとして、指示頻度を高くして細やかな制御を実行可能とする。
【0030】
なお、境界値を日射量変動の少ない曇天とそれ以外を区別するように設定してもよい。この場合、境界値(閾値)未満となる場合には日射量変動が少ない曇天のみが抽出され、境界値(閾値)以上の場合には、雲の多い晴れの日など、日射量変動が多い天侯パターンを多く含むようにする。この場合、好悪判定部は、日射量予測値が閾値未満となる場合に悪天(日射量変動の少ない曇天)と判断し、指示頻度を表す時間間隔をTとして、指示頻度を低くして大まかな制御を実行可能とする。一方、好悪判定部は、日射量予測値が閾値以上となる場合に好天(日射量変動が多い天侯パターンを多く含む)と判断し、指示頻度を表す時間間隔をtとして、指示頻度を高くして細やかな制御を実行可能とする。
【0031】
好天、悪天の判断には、前述した発電量予測値や雲量を用いることも可能である。雲量を用いる場合、天候予測部12を天候予測部32に変更する。閾値記憶部432に、好天と悪天の境界値としての雲量を設定しておく。この場合、好悪判定部431は、雲量予測値が閾値未満となる場合に好天と判断し、指示頻度を表す時間間隔をTとする。一方、好悪判定部431は、雲量予測値が閾値以上となる場合に悪天と判断し(S431Y)、指示頻度を表す時間間隔をtとする。
【0032】
なお、太陽電池94を設置する地域の天侯特性や、季節の変化に合わせて閾値を設定することにより、太陽電池94を設置する環境に合った制御を実行することが可能となる。例えば、好天の多い地域であれば、日射量変動の少ない晴天を抽出できるように閾値を設定し、悪天の多い地域であれば、日射量変動の少ない曇天(雨天)を抽出できるように閾値を設定すればよい。
【0033】
このように、本実施例の制御装置4によれば、好天/悪天の簡単な判断フローを用いることにより、天候の変動の多少に応じて適切な指示頻度となるように最適運転計画を作成できるため、少ない計算量で適切に蓄電池の充放電量を制御することができる。
【実施例5】
【0034】
以下、
図19、
図20、
図21を参照して、実施例5の制御装置5について説明する。
図19は本実施例の制御装置5の構成を示すブロック図である。
図20は本実施例の制御装置5の指示頻度決定部53の構成を示すブロック図である。
図21は本実施例の制御装置5の動作を示すフローチャートである。本実施例の制御装置5は、発電量予測値が負荷電力を上回る時間帯が存在するか否かを判断基準として、最適運転計画を作成することを特徴としており、それ以外の処理については実施例2の制御装置2と同様である。本実施例の制御装置5と実施例2の制御装置2の相違点は、実施例1の制御装置2における指示頻度決定部23、最適化部14が本実施例の制御装置5において、それぞれ指示頻度決定部53、最適化部54に変更されている点のみである。
【0035】
図20に示すように、指示頻度決定部53は、負荷超過判定部531と、負荷記憶部532とを含む。
図21に示すように、ステップS121、S122、S223は実施例2と同様に実行される。負荷超過判定部531は、発電量予測値と負荷95の消費電力との比較結果に基づいて蓄電池92の充放電制御の指示頻度を決定する(S531)。より詳細には、負荷超過判定部531は、発電量予測値が負荷95の消費電力を上回る時間帯が存在する場合(S531N)には、指示頻度を表す時間間隔を所定の条件とする。所定の条件とは、発電量予測値が負荷消費電力を上回る時間帯が分断されないような指示頻度の条件のことである。
図22を参照して補足説明する。
図22Aは発電量予測値が負荷消費電力を上回る時間帯の例を示す図、
図22Bは発電量予測値が負荷消費電力を上回る時間帯を分断しないように指示頻度を設定した初期運転計画の例を示す図である。例えば、
図22Aに斜線ハッチングで示したように、晴天時には8時〜15時の時間帯S1において発電量予測値が負荷消費電力を上回る場合が多い。負荷超過判定部531は、S1の時間帯が分断されないような条件で、指示頻度を決定する。例えば、
図22Bに示すように指示頻度を表す時間間隔を8時間とした場合、S1の時間帯は分断されない。従って、この例の場合には、8時において充電指示がなされ、16時に放電指示がなされるように最適運転計画を作成することができるため、晴天時の日照時間の特性を考慮して指示頻度を設定することができるため好適である。
【0036】
一方、負荷超過判定部531は、負荷95の消費電力が発電量予測値を常に上回っている場合(S531Y)には、指示頻度を出力しない。最適化部54は、S531Nの場合に、前述の所定の条件を充たす時間間隔毎に充放電量の指示値を持つ蓄電池の初期運転計画を作成する(S54A)。一方、最適化部54は、S531Yの場合に、予め作成された運転計画(雨天・曇天用)を作成する(S54B)。ステップS14Cの最適化は前述と同様であるが、ステップS531Y−S54Bを経由する場合には予め作成された運転計画(雨天・曇天用)を用いるため、S14Cは実行されない。
【0037】
このように、本実施例の制御装置5によれば、発電量予測値が負荷電力を上回る時間帯が存在する場合に、晴天時の日照時間の特性を考慮して適切な指示頻度となるように最適運転計画を作成できるため、少ない計算量で適切に蓄電池の充放電量を制御することができる。
【実施例6】
【0038】
以下、
図23、
図24を参照して、実施例6の制御装置6について説明する。
図23は本実施例の制御装置6の構成を示すブロック図である。
図24は本実施例の制御装置6の動作を示すフローチャートである。本実施例の制御装置6は、日射量の変動が少ない場合に予め作成された運転計画を用いることにより、実施例1の制御装置1よりもさらに計算量を削減することを特徴としており、それ以外の処理については実施例1の制御装置1と同様である。本実施例の制御装置6と実施例1の制御装置1の相違点は、実施例1の制御装置1における最適化部14が、本実施例の制御装置6において最適化部64に変更されている点のみである。
図24に示すように、ステップS121、S122、S131、S14B、S14Cは実施例1と同様に実行される。最適化部64は、S131Nの場合に、予め作成された天候変動が少ない場合に適した運転計画を選択する(S64A)。従って、S131Nの場合には、最適化処理を省略することができるため、計算量をさらに削減することが可能である。
【0039】
[変形例1]
以下、
図25を参照して、実施例6の変形例にかかる制御装置6’について説明する。
図25は変形例1の制御装置6’の動作を示すフローチャートである。図示を省略するが、本変形例の制御装置6’は、最適化部64’を含む。それ以外の各構成部は実施例6と同様であるため、説明を割愛する。
図25に示すように、最適化部64’は、S131Nの場合に、日射量予測値から天候が好天であるか悪天であるかを判定し、判定結果が好天である場合(S64BN)には、予め作成された天候変動が少なく、かつ好天である場合に適した運転計画を選択する(S64C)。一方、最適化部64’は、判定結果が悪天である場合(S64BY)には、予め作成された天候変動が少なく、かつ悪天である場合に適した運転計画を選択する(S64D)。最適化部64’は、S131Yの場合には、好天/悪天の判断は行わず、実施例6と同様に動作する。ステップS64Bは、好天/悪天の2種類に限定されない。最適化部64’は、例えば晴天1、晴天2、曇天1、曇天2など3種類以上の天候パターンのうち何れのパターンに該当するかを日射量予測値から判定してもよい。
【0040】
このように、本実施例およびその変形例の制御装置6、6’によれば、日射量の変動が少ない場合に予め作成された運転計画を用いることにより、実施例1の制御装置1よりもさらに少ない計算量で適切に蓄電池の充放電量を制御することができる。
【実施例7】
【0041】
以下、
図26、
図27を参照して実施例7のグリーン基地局について説明する。
図26は本実施例のグリーン基地局1000の構成を示すブロック図である。
図27は本実施例の変形例1のグリーン基地局2000の構成を示すブロック図である。本実施例のグリーン基地局1000は、負荷95を無線基地局とし、蓄電池92、太陽電池94、負荷95、コントローラ96を全て一箇所に集め、網8などのネットワークは使わずにローカルのみの構成とした例である。これにより、ネットワークによる制御の反応の影響を無くすことができる。
【0042】
[変形例2]
上述のグリーン基地局の変形例として、気象センサ91と実施例1〜6の制御装置1〜6も局内に含む構成としたグリーン基地局2000としてもよい。グリーン基地局2000が専用の気象センサ91を含む構成であるため、グリーン基地局2000周辺のピンポイントの気象データを取得することができ、高精度な予測を行うことができる。
【0043】
<本発明の効果>
以下、本発明の計算量削減効果について考察する。例えば1日分の運転計画を1時間単位24時間分の供給電力で計算する例について考えると、実施例1のステップS14Aにおいて、指示頻度を表す時間間隔T=6時間とした場合、計算量を6分の1に削減できる。また、実施例6では、ステップS64Aで予め作成された運転計画を選択することとしているため、この場合は最初に1回計算しておけば,その後運転計画はただ選択するだけになるため、最初の1回の計算量は同量となるが、それ以降は計算量を0にすることができる。神奈川県を例とすれば、気象庁データで年間の快晴日が35日程度、降水日が110日程度、雨日が50日程度であるから、快晴日と降水日を日射量の変動が少ない日と考えれば、その日数は年間の約40%となる。快晴日と雨日を日射量の変動が少ない日と考えれば、その日数は年間の約23%となる。以上のことから,削減率を概算すれば、実施例1のステップS14Aにおいて指示頻度を表す時間間隔T=6時間とした場合、計算量は、約33%削減(6時間単位、降水日選択)、もしくは約19%削減(6時間単位,雨日選択)される。また、実施例6のステップS64Aのように予め作成された運転計画を選択する場合、計算量は、約40%削減(降水日選択)、もしくは約23%削減(降水日選択)される。
【0044】
上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0045】
また、上述の構成をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0046】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0047】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0048】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。
【0049】
なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。