特許第6042776号(P6042776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ トヨタホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6042776-車両および電力システム 図000002
  • 特許6042776-車両および電力システム 図000003
  • 特許6042776-車両および電力システム 図000004
  • 特許6042776-車両および電力システム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042776
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】車両および電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20161206BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161206BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20161206BHJP
   B60L 8/00 20060101ALI20161206BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H02J7/35 B
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
   B60L8/00
   H02M3/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-115296(P2013-115296)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-236551(P2014-236551A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 友也
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】刀根川 浩巳
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−120395(JP,A)
【文献】 特開2013−074733(JP,A)
【文献】 特開平11−046457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
H02M3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部の電力システムから電力を受ける車両であって、
前記電力システムは、
第1の太陽電池と、
前記第1の太陽電池の発電電力を電圧変換する第1のコンバータと、
前記第1の太陽電池の発電電圧が所定電圧よりも低いために前記第1のコンバータが前記発電電圧を昇圧できない場合に、前記第1のコンバータを介することなく前記発電電力を前記車両へ出力する出力部とを含み、
前記車両は、
前記車両に搭載される電気機器へ電力を供給する第1の蓄電装置と、
前記第1の蓄電装置の出力電圧よりも低い電圧を出力するように構成される第2の蓄電装置と、
前記第2の蓄電装置と前記第1の蓄電装置との間に設けられ、前記第2の蓄電装置の出力電圧を昇圧して前記第1の蓄電装置へ出力するように構成された第2のコンバータと、
前記出力部から出力される電力を受ける入力部と、
前記第1のコンバータが前記発電電圧を昇圧できない場合に、前記入力部を前記第2の蓄電装置に電気的に接続するための接続部とを備える、車両。
【請求項2】
第2の太陽電池をさらに備え、
前記第2の蓄電装置は、前記第2の太陽電池から受ける電圧よりも低い電圧を出力するように構成され、
前記接続部は、前記第1のコンバータが前記発電電圧を昇圧できない場合に、第2の太陽電池を通じて前記入力部を前記第2の蓄電装置に電気的に接続する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
車両へ電力を供給する電力システムであって、
前記車両は、車両の外部から電力を受ける入力部を含み、
前記電力システムは、
太陽電池と、
第1の蓄電装置と、
前記太陽電池の発電電力を電圧変換して前記第1の蓄電装置へ出力するコンバータと、
前記車両へ電力を出力する出力部と、
前記発電電力を前記コンバータを介して前記第1の蓄電装置へ伝達する第1の電路を、前記発電電力を前記コンバータを介さずに前記出力部へ伝達する第2の電路に切り替え可能に構成され、前記発電電力の電圧が前記コンバータの動作範囲の下限電圧を下回ったときに、前記第1の電路を前記第2の電路に切り替える切替装置と、
前記出力部から出力される電力を前記入力部から入力可能とするために前記第2の電路に切替えられたことを示す信号を前記車両へ送信する送信部とを備える電力システム。
【請求項4】
前記車両は、
第2の蓄電装置と、
前記第2の蓄電装置よりも低い電圧を出力する第3の蓄電装置と、
前記入力部を前記第3の蓄電装置に電気的に接続する接続部とをさらに含み、
前記送信部は、前記接続部が前記入力部を前記第3の蓄電装置に電気的に接続し、かつ、前記出力部から出力される前記太陽電池の発電電力が前記入力部及び前記接続部を通じて前記第3の蓄電装置へ供給されるように、前記車両へ前記信号を送信する、請求項3に記載の電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両および電力システムに関し、特に、車両外部の電力システムから電力を受ける車両、および車両へ電力を供給する電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012−114380号公報(特許文献1)は、太陽電池を備える電力システムを開示している。この電力システムでは、太陽電池と電力系統との間に昇圧回路が設けられる。昇圧回路は、太陽電池から出力される電力の電圧を昇圧することによって、電力系統へ電力を供給することを可能としている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−114380号公報
【特許文献2】特開2011−229220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電力システムにおいて、太陽電池の発電電力が非常に小さい場合には、昇圧回路は、太陽電池から出力される電力の電圧を昇圧することができない場合がある。この場合、太陽電池の発電電力を利用することができないという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の目的は、太陽電池の発電電力を有効に利用することができる車両および電力システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によれば、車両は、車両外部の電力システムから電力を受ける。電力システムは、太陽電池を含む。車両は、入力部と、蓄電装置と、接続部とを備える。入力部は、太陽電池の発電電力が入力される。蓄電装置は、発電電力を用いて充電可能である。接続部は、入力部と蓄電装置とを電気的に接続可能に構成される。
【0007】
好ましくは、電力システムは、発電電力を変換するコンバータをさらに含む。接続部は、発電電力の電圧がコンバータの動作範囲の下限電圧を下回ったときに、入力部を蓄電装置に電気的に接続する。
【0008】
好ましくは、車両は、他の太陽電池をさらに備える。蓄電装置は、他の太陽電池に電気的に接続される。他の太陽電池は、蓄電装置の電圧よりも高い電圧を発生可能に構成される。
【0009】
好ましくは、車両は、入力部に電気的に接続される他の蓄電装置をさらに備える。入力部は、他の蓄電装置と電力システムとの間における直流電力の授受を行うことが可能である。
【0010】
好ましくは、電力システムは、家庭用の蓄電装置および電気負荷を含む。
また、この発明によれば、電力システムは、車両へ電力を供給する。電力システムは、太陽電池と、コンバータと、出力部と、切替装置とを備える。コンバータは、太陽電池の発電電力を変換する。出力部は、車両へ電力を出力する。切替装置は、発電電力をコンバータへ伝達するための第1の電路を、発電電力をコンバータを介さずに出力部へ伝達するための第2の電路に切り替え可能に構成される。
【0011】
好ましくは、切替装置は、発電電力の電圧がコンバータの動作範囲の下限電圧を下回ったときに、第1の電路を第2の電路に切り替える。
【発明の効果】
【0012】
この発明においては、車両は、太陽電池を含む車両外部の電力システムから電力を受ける。そして、車両は、太陽電池の発電電力が入力される入力部を、発電電力を用いて充電可能である蓄電装置に電気的に接続可能に構成される。よって、車両外部の太陽電池によって車両の蓄電装置を充電することができる。したがって、この発明によれば、太陽電池の発電電力を有効に利用することができる車両および電力システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に従う車両および家屋の全体ブロック図である。
図2図1に示す家屋の太陽電池が発電する電力の送電経路を示す図である。
図3図1に示す家屋の太陽電池が発電する電力の送電経路を示す図である。
図4図1に示す車両および家屋で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明中の「DC」は「直流」を意味し、「AC」は「交流」を意味する。
【0015】
図1は、実施の形態に従う車両および家屋の全体ブロック図である。まず、車両について説明する。
【0016】
図1を参照して、車両100は、太陽電池101と、蓄電装置104,130と、コンバータ140と、制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)とも称する。)109とを備える。
【0017】
太陽電池101は、太陽光によりDC電力を生じる。太陽電池101の出力端子は、蓄電装置130に接続される。太陽電池101は、太陽電池101の発電量を検出するため電力計を含む。太陽電池101は、検出された発電量を示す信号をECU109へ出力する。
【0018】
蓄電装置104,130は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置104,130は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池または鉛蓄電池などの二次電池、あるいは電気二重層キャパシタなどの蓄電素子のセルを含んで構成される。蓄電装置130は、太陽電池101の発電電圧よりも低い電圧を出力するように構成される。このような構成により、電力変換を行わずに太陽電池101の発電電力を蓄電装置130に蓄えることができる。一方、蓄電装置104は、蓄電装置130の出力電圧よりも高い電圧を出力するように構成され、車両100に搭載される電気機器に電力を供給する。
【0019】
蓄電装置104,130は、蓄電装置104,130の充電状態(SOC:State Of Charge)などをモニタし、過充電や過放電を防ぐための機能を備えた保護回路を含む。また、蓄電装置104,130は、保護回路がモニタして得られた蓄電装置104,130のSOCやそれに付随する情報を、ECU109に送信することが可能に構成されている。付随する情報は、たとえば、充電可能または充電不可能を示す情報などである。
【0020】
コンバータ140は、蓄電装置130と蓄電装置104との間に設けられる。コンバータ140は、ECU109からの制御信号に基づいて、蓄電装置130の出力電圧を昇圧して蓄電装置104へ出力する。これにより、蓄電装置130の蓄電電力を用いて蓄電装置104を充電することができる。
【0021】
ここで、太陽電池101の発電電力が小さい場合には、コンバータ140を作動させるための消費電力が太陽電池101の発電電力に対して大きくなり、充電効率が低下してしまう。そこで、ECU109は、太陽電池101の発電によって蓄電装置130のSOCが上昇するとコンバータ140を動作させ、蓄電装置104の充電によって蓄電装置130のSOCが低下するとコンバータ140を停止することによって、コンバータ140を間欠的に動作させる。このように、コンバータ140を間欠的に動作させることによって、蓄電装置104の充電をより高い電圧で短時間に実行することができる。したがって、コンバータ140の消費電力を抑制して、充電効率を向上することができる。
【0022】
車両100は、家屋200との間でAC電力を授受するための構成として、接続端子108と、インバータ106と、コンバータ107とをさらに備える。
【0023】
接続端子108は、AC電力を入出力するための接続端子である。接続端子108には、電力ケーブル302の一方のコネクタが接続される。電力ケーブル302の他方のコネクタは、家屋200の接続端子209に接続される。
【0024】
インバータ106は、蓄電装置104と接続端子108との間に設けられる片方向のインバータである。インバータ106は、ECU109からの制御信号に基づいて、蓄電装置104からのDC電力をAC電力に変換して接続端子108へ出力する。インバータ106は、蓄電装置104に蓄えられた電力を車両外部に放電する放電器として機能する。
【0025】
コンバータ107は、蓄電装置104と接続端子108との間に設けられる片方向のコンバータである。コンバータ107は、ECU109からの制御信号に基づいて、接続端子108を介して家屋200から入力されるAC電力をDC電力に変換して蓄電装置104へ出力する。コンバータ107は、車両外部から入力された電力によって蓄電装置104を充電する充電器として機能する。
【0026】
なお、この実施の形態では、インバータ106およびコンバータ107が、接続端子108と蓄電装置104との間に並列に設けられる。しかし、それらに替えて、双方向のインバータを、接続端子108と蓄電装置104との間に設ける構成としてもよい。
【0027】
車両100は、家屋200との間でDC電力を授受するための構成として、接続端子103と、コンバータ105と、リレー102とをさらに備える。
【0028】
接続端子103は、DC電力を入出力するための接続端子である。接続端子103には、電力ケーブル301の一方のコネクタが接続される。電力ケーブル301の他方のコネクタは、家屋200の接続端子207に接続される。
【0029】
コンバータ105は、接続端子103と蓄電装置104との間に設けられる。コンバータ105は、接続端子103と蓄電装置104との間でDC電圧を変換する双方向のコンバータである。このような構成により、コンバータ105は、蓄電装置104に蓄えられた電力を車両外部に放電し、または、車両外部から入力された電力によって蓄電装置104を充電することができる。
【0030】
リレー102は、接続端子103と、太陽電池101との間に設けられる。リレー102は、ECU109からの制御信号に基づいて、接続端子103と、太陽電池101との間の接続の導通状態(オン)および非導通状態(オフ)を切り替える。
【0031】
ECU109は、車両100に含まれる電気機器などの制御を行なう。さらに、ECU109は、後述する家屋200のホーム・エネルギー・マネジメント・システム(以下、HEMS(Home Energy Management System)とも称する。)210との間で通信可能に構成される。ECU109は、車両100と家屋200との間における電力制御をHEMS210とともに実行する。
【0032】
次に、車両100に接続される家屋200について説明する。家屋200は、太陽電池201と、リレー220と、コンバータ202と、インバータ203と、電気負荷204と、蓄電装置205と、HEMS210とを備える。
【0033】
太陽電池201は、太陽光によりDC電力を生じる。太陽電池201の出力端子は、リレー220の第1の端子に接続される。太陽電池201は、太陽電池201の発電量を検出するため電力計を含む。太陽電池201は、太陽電池201の発電電圧を検出するため電圧計を含む。太陽電池201は、検出された発電量を示す信号および検出された発電電圧を示す信号をHEMS210へ出力する。
【0034】
コンバータ202は、リレー220の第2の端子に接続される。コンバータ202は、HEMS210からの制御信号に基づいて動作する片方向のコンバータである。コンバータ202は、入力側端子(図1の上側)から太陽電池201で生じたDC電力を取り込み、適切なDC電圧のDC電力に変換した後、出力端子(図1の下側)より出力する。コンバータ202は、太陽電池201から効率よくDC電力を取り出すために、最大電力点追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)方式を利用するものであってもよい。
【0035】
コンバータ202の出力側端子は、インバータ203、蓄電装置205、インバータ208などの電気機器に接続される。それらの電気機器が接続されて、同電位となっている箇所を、便宜上、DCバスライン211と呼ぶ。各電気機器は、DCバスライン211を通じてDC電力を授受することができる。
【0036】
インバータ203は、HEMS210からの制御信号に基づいて、DC電力をAC電力に変換する片方向のインバータである。インバータ203のDC側端子(図1の上側)は、DCバスライン211に接続される。インバータ203のAC側端子(図1の下側)は電気負荷204に接続される。これにより、DCバスライン211のDC電力は、インバータ203によりAC電力に変換された後、電気負荷204に供給される。
【0037】
電気負荷204は、家屋200で使用される電化製品などである。そのような電化製品は、AC電力の供給によって使用することが可能となる。
【0038】
蓄電装置205は、DCバスライン211に接続される。蓄電装置205は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置205は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池または鉛蓄電池などの二次電池、あるいは電気二重層キャパシタなどの蓄電素子のセルを含んで構成される。蓄電装置205は、蓄電装置104,130と、容量や電圧などの電気的特性が異なっていてもよい。蓄電装置205は、DCバスライン211からDC電力を取り込む(充電)することもできるし、DCバスライン211にDC電力を出力(放電)することもできる。
【0039】
家屋200は、車両100との間でAC電力を授受するための構成として、接続端子209と、インバータ208とをさらに備える。
【0040】
接続端子209は、AC電力を入出力するための接続端子である。接続端子209には、電力ケーブル302の他方のコネクタが接続される。
【0041】
インバータ208は、接続端子209とDCバスライン211との間に設けられる双方向のインバータである。インバータ208のDC側端子は、DCバスライン211に接続される。インバータ208のAC側端子は、接続端子209に接続される。
【0042】
インバータ208は、HEMS210からの制御信号に基づいて、DCバスライン211のDC電力をAC電力に変換した後、接続端子209へ出力する。また、インバータ208は、HEMS210からの制御信号に基づいて、家屋200の外部から接続端子209に供給されたAC電力をDC電力に変換された後、DCバスライン211に供給することも可能である。
【0043】
家屋200は、車両100との間でDC電力を授受するための構成として、接続端子207と、コンバータ206と、リレー220とをさらに備える。
【0044】
接続端子207は、DC電力を入出力するための接続端子である。接続端子209には、電力ケーブル301の他方のコネクタが接続される。接続端子207は、リレー220の第3の端子にも接続される。
【0045】
コンバータ206は、接続端子207と蓄電装置205との間に設けられる双方向のコンバータである。コンバータ206は、HEMS210からの制御信号に基づいて、家屋200の外部から接続端子207に供給されたDC電力を取り込み、蓄電装置205を充電するのに適したDC電圧のDC電力に変換した後、蓄電装置205に出力する。また、コンバータ206は、HEMS210からの制御信号に基づいて、蓄電装置205に蓄えられた電力を接続端子207に出力することもできる。なお、コンバータ206は、MPPT方式を利用するものであってもよい。
【0046】
リレー220は、HEMS210からの制御信号に基づいて、第1の端子および第2の端子間の接続、ならびに第1の端子および第3の端子間の接続の導通状態および非導通状態を切り替える。リレー220は、第1の端子および第2の端子間の接続、ならびに第1の端子および第3の端子間の接続のうちの一方を導通状態とし、他方を非導通状態とする。
【0047】
HEMS210は、家屋200内の電力の管理などを行なう。HEMS210は、家屋200に含まれる電気機器などの制御も行なう。上述のように、HEMS210は、ECU109との間で通信可能に構成され、車両100と家屋200との間における電力制御をECU109とともに実行する。
【0048】
以上のような構成において、家屋200の太陽電池201の発電電力が非常に小さい場合には、コンバータ202は、太陽電池201から出力される電力の電圧を昇圧することができない場合がある。この場合、太陽電池201の発電電力を利用することができない。
【0049】
そこで、本実施の形態においては、太陽電池201が発電する電力の送電経路を切り替える制御を実行する。以下、この制御の内容について詳しく説明する。
【0050】
図2および図3は、図1に示す家屋の太陽電池が発電する電力の送電経路を示す図である。図2および図3を参照して、第1の電路LN1は、太陽電池201の発電電力をコンバータ202に送電する場合に形成される電路である。第2の電路LN2は、太陽電池201の発電電力を車両100に供給する場合に形成される電路である。リレー220は、第1の電路LN1を第2の電路LN2に切り替えることができる。そして、家屋200では、第2の電路LN2を経由して太陽電池201の発電電力を車両100へ供給する制御が実行される。また、このとき、車両100では、リレー102が導通状態に制御される。これにより、太陽電池101と太陽電池201とが直列接続される。
【0051】
以上のような制御によって、太陽電池201によって車両100の蓄電装置130を充電することができる。蓄電装置130に蓄えられた電力は、コンバータ140によって蓄電装置104に充電される。このとき、上述のようにコンバータ140が間欠的に動作することによって、充電効率を向上することができる。よって、太陽電池201の発電電力を有効に利用することができる。
【0052】
図4は、図1に示す車両および電力システムで実行される処理を説明するためのフローチャートである。図4に示すフローチャートは、家屋200のHEMS210および車両100のECU109に予め格納されたプログラムを所定周期で実行することによって実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。なお、当該処理が開始される初期状態においては、家屋200および車両100は電力ケーブル301を介して接続され、リレー102はオフされており、リレー220は第1の電路LN1へ切り替えられているものとする。
【0053】
図1および図4を参照して、家屋200のHEMS210は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)200にて、家屋200の蓄電装置205の空き容量が所定量X1よりも大きいか否かを判定する。なお、所定量X1は、蓄電装置205を充電可能であることを示すしきい値である。
【0054】
家屋200の蓄電装置205の空き容量が所定量X1以下であると判定された場合は(S200にてNO)、蓄電装置205を充電できないものとして、HEMS210は、太陽電池201の発電電力を電力系統へ送電する(S202)。家屋200の蓄電装置205の空き容量が所定量X1よりも大きいと判定された場合は(S200にてYES)、HEMS210は、太陽電池201の発電電力によって蓄電装置205を充電する(S204)。
【0055】
続いてS206にて、HEMS210は、家屋200の太陽電池201の発電電圧が所定電圧V1よりも低いか否かを判定する。なお、所定電圧V1は、コンバータ202の動作範囲の下限電圧を示すしきい値である。所定電圧V1は、ユーザが設定してもよい。家屋200の太陽電池201の発電電圧が所定電圧V1以上であると判定された場合は(S206にてNO)、処理がS200に戻される。
【0056】
家屋200の太陽電池201の発電電圧が所定電圧V1よりも低いと判定された場合は(S206にてYES)、HEMS210は、車両100の蓄電装置130のSOCをECU109へ問い合わせる(S207)。ECU109は、S100にて、HEMS210からSOCの問合せを受信したか否かを判定する。HEMS210からSOCの問合せを受信していないと判定された場合は(S100にてNO)、処理がS104へ進められる。HEMS210からSOCの問合せを受信したと判定された場合は(S100にてYES)、ECU109は、SOCをHEMS210へ送信する(S102)。
【0057】
続いてS208にて、HEMS210は、ECU109から受信したSOCが所定量S1以上であるか否かを判定する。なお、所定量S1は、蓄電装置130に蓄えられた電力によって蓄電装置104を充電可能であることを示すしきい値である。たとえば、所定量S1は、蓄電装置130が満充電状態であることを示す値である。
【0058】
車両100の蓄電装置130のSOCが所定量S1以上であると判定された場合は(S208にてYES)、HEMS210は、車両100の蓄電装置104の空き容量をECU109へ問い合わせる(S210)。ECU109は、S104にて、HEMS210から空き容量の問合せを受信したか否かを判定する。HEMS210から空き容量の問合せを受信していないと判定された場合は(S104にてNO)、処理がS108へ進められる。HEMS210から空き容量の問合せを受信したと判定された場合は(S104にてYES)、ECU109は、空き容量をHEMS210へ送信する(S106)。
【0059】
続いてS211にて、HEMS210は、ECU109から受信した蓄電装置104の空き容量が所定量X2よりも大きいか否かを判定する(S211)。なお、所定量X2は、蓄電装置104を充電可能であることを示すしきい値である。たとえば、所定量X2は、蓄電装置130の上限蓄電量を示す値である。
【0060】
蓄電装置104の空き容量が所定量X2以下であると判定された場合は(S211にてNO)、処理がS200に戻される。蓄電装置104の空き容量が所定量X2よりも大きいと判定された場合は(S211にてYES)、HEMS210は、蓄電装置130に蓄えられた電力によって蓄電装置104を充電するための充電指令を、ECU109へ出力する(S212)。
【0061】
ECU109は、S108にて、HEMS210から充電指令を受信したか否かを判定する。HEMS210から充電指令を受信していないと判定された場合は(S108にてNO)、処理がS112へ進められる。HEMS210から充電指令を受信したと判定された場合は(S108にてYES)、ECU109は、蓄電装置130に蓄えられた電力によって蓄電装置104を充電するようにコンバータ140を制御する(S110)。
【0062】
続いてS213にて、HEMS210は、車両100の蓄電装置130のSOCをECU109へ問い合わせる。続いてS214にて、HEMS210は、ECU109から受信した蓄電装置130のSOCが所定量S2以下であるか否かを判定する。なお、所定量S2は、たとえば、蓄電装置130のSOCの下限値である。
【0063】
車両100の蓄電装置130のSOCが所定量S2よりも大きいと判定された場合は(S214にてNO)、処理がS212に戻されて蓄電装置104の充電が継続される。車両100の蓄電装置130のSOCが所定量S2以下であると判定された場合は(S214にてYES)、処理がS200に戻される。
【0064】
一方、S208にて、車両100の蓄電装置130のSOCが所定量S1よりも小さいと判定された場合は(S208にてNO)、HEMS210は、車両100の蓄電装置130が対応可能であるか否かを判定する(S216)。具体的には、HEMS210は、家屋200の太陽電池201の発電電力を蓄電装置130へ直接供給することができる場合に、蓄電装置130が対応可能であると判定する。より具体的には、HEMS210は、太陽電池201の発電電力および発電電圧、ならびに蓄電装置130の充電電力および充電電圧の組み合わせに基づいて、蓄電装置130が対応可能であると判定する。
【0065】
車両100の蓄電装置130が対応可能でないと判定された場合は(S216にてNO)、処理がS200に戻される。車両100の蓄電装置130が対応可能であると判定された場合は(S216にてYES)、HEMS210は、リレー220を第2の電路LN2へ切り替えるとともに、リレー220が第2の電路LN2へ切り替えられていることを示す信号をECU109へ出力する(S218)。
【0066】
ECU109は、S112にて、HEMS210からの信号に基づいて、リレー220が第2の電路LN2へ切り替えられているか否かを判定する。リレー220が第2の電路LN2へ切り替えられていないと判定された場合は(S112にてNO)、処理がS116へ進められる。リレー220が第2の電路LN2へ切り替えられていると判定された場合は(S112にてYES)、ECU109は、リレー102をオンする(S114)。これにより、太陽電池201の発電電力が蓄電装置130へ供給される。
【0067】
続いてS220にて、HEMS210は、家屋200の太陽電池201の発電電圧が所定電圧V1よりも低いか否かを判定する。家屋200の太陽電池201の発電電圧が所定電圧V1よりも低いと判定された場合は(S220にてYES)、処理がS207に戻される。家屋200の太陽電池201の発電電圧が所定電圧V1以上であると判定された場合は(S220にてNO)、HEMS210は、リレー220を第1の電路LN1へ切り替えるとともに、リレー220が第1の電路LN1へ切り替えられていることを示す信号をECU109へ出力する(S222)。
【0068】
ECU109は、S116にて、HEMS210からの信号に基づいて、リレー220が第1の電路LN1へ切り替えられているか否かを判定する。リレー220が第1の電路LN1へ切り替えられていないと判定された場合は(S116にてNO)、処理がメインルーチンに戻される。リレー220が第1の電路LN1へ切り替えられていると判定された場合は(S116にてYES)、ECU109は、リレー102をオフする(S118)。これにより、太陽電池201の発電電力がコンバータ202へ供給される。
【0069】
以上のように、この実施の形態においては、車両100は、太陽電池201を含む家屋200から電力を受ける。そして、車両100は、太陽電池201の発電電力が入力される接続端子103を、発電電力を用いて充電可能である蓄電装置130に電気的に接続可能に構成される。よって、太陽電池201によって蓄電装置130を充電することができる。したがって、この実施の形態によれば、太陽電池201の発電電力を有効に利用することができる。
【0070】
なお、上記において、太陽電池101,201が電力計を含む構成を説明したが、コンバータ140が太陽電池101の発電電力を測定する電力計を含み、コンバータ202が太陽電池201の発電電力を測定する電力計を含む構成であってもよい。
【0071】
なお、上記において、家屋200は、この発明における「電力システム」の一実施例に対応し、接続端子103は、この発明における「入力部」の一実施例に対応する。また、リレー102は、この発明における「接続部」の一実施例に対応し、リレー220は、この発明における「切替装置」の一実施例に対応する。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
100 車両、101,201 太陽電池、102,220 リレー、103,108,207,209 接続端子、104,130,205 蓄電装置、105,107,140,202,206 コンバータ、106,203,208 インバータ、200 家屋、204 電気負荷、211 DCバスライン、301,302 電力ケーブル、LN1 第1の電路、LN2 第2の電路。
図1
図2
図3
図4