(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記積立処理部は、前記複数の金融商品のうち、前記積立金額の残高の比率が前記目標値よりも小さい金融商品について、前記積立金額を高くして前記積立処理を実行するとともに、前記積立金額の残高の比率が前記目標値よりも大きい金融商品について、前記積立金額を低くして前記積立処理を実行する、
請求項1に記載の積立金額管理装置。
前記積立処理部は、前記積立処理として、前記複数の金融商品から構成されるバランスファンドを購入し、前記残高の比率が前記目標値よりも小さく、前記目標値と前記残高の比率との差分が所定値よりも大きい金融商品がある場合、複数のバランスファンドのうち、当該金融商品の割合が大きいバランスファンドを購入する、
請求項1又は2に記載の積立金額管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、投資におけるリスク及びリターンの大きさは、保有する金融商品の比率に依存する。保有する金融商品の比率のバランスが悪くなると、リスクが大きいにもかかわらずリターンが小さいポートフォリオとなる。資産運用を行う場合、予め許容するリスクを超えないようにすることが望ましい。したがって、保有する金融商品の比率が、想定した比率から大きく乖離すると好ましくない。
【0005】
しかしながら、従来の方法を用いて複数の金融商品に対して買付を行う場合、複数の金融商品の資産価格の増減に伴い買付数が変化することから、時間が経つにつれて、保有する複数の金融商品の比率が、予め設定した比率と乖離してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数の金融商品を目標とした比率に近づくように積み立てることができる積立金額管理装置、積立金額管理方法及び積立金額管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る積立金額管理装置は、複数の金融商品に対して定期的に積み立てる積立金額を、前記複数の金融商品に関連付けて管理する積立金額管理部と、前記複数の金融商品のそれぞれの前記積立金額の比率の目標値を、前記複数の金融商品に関連付けて管理する積立比率管理部と、前記積立金額で積立処理を実行する積立処理部とを備え、前記積立処理部は、前記複数の金融商品のうち、前記積立金額の残高の比率と前記目標値との関係が所定の条件を満たす金融商品について、前記積立金額の残高の比率と前記目標値との差分を小さくするべく前記積立金額を変更して前記積立処理を実行する。
【0008】
このようにすることで、積立金額管理装置は、積立金額の残高の比率と目標値との関係が所定の条件を満たす金融商品について、定期的に積み立てる積立金額を増加させたり、積立金額の残高の比率が目標値以上の金融商品について積立金額を減少させたりして、各金融商品の残高の比率を目標値に近づけることができる。よって、積立金額管理装置は、複数の金融商品を目標とした比率に近づくように積み立てることができる。
【0009】
また、前記積立処理部は、前記複数の金融商品のうち、前記積立金額の残高の比率が前記目標値よりも小さい金融商品について、前記積立金額を高くして前記積立処理を実行するとともに、前記積立金額の残高の比率が前記目標値よりも大きい金融商品について、前記積立金額を低くして前記積立処理を実行してもよい。
このようにすることで、積立金額管理装置は、複数の金融商品のうち、例えば積立金額の残高の比率が目標値よりも小さい金融商品について積立金額を増加させるとともに、積立金額の残高の比率が目標値よりも大きい金融商品について積立処理を実行しないことにより、各金融商品の残高の比率と目標値との乖離幅を、より小さくすることができる。
【0010】
また、前記積立処理部は、前記複数の金融商品のうち、前記積立金額の残高の比率と前記目標値との差分が所定値よりも大きい金融商品について、前記積立金額を変更して前記積立処理を実行してもよい。
このようにすることで、積立金額管理装置は、積立金額の残高の比率と目標値との差分が小さい場合に、予め定められた積立金額で積み立てつつ、複数の金融商品を目標とした比率に近づくように積み立てることができる。
【0011】
また、前記積立処理部は、前記残高の比率と前記目標値との関係とともに、市況情報に基づいて、それぞれの金融商品の積立金額を算出して前記積立処理を実行してもよい。
このようにすることで、積立金額管理装置は、市況情報に基づいて積立金額を算出することができるので、例えば、金融商品の価格が下落傾向である場合に積立金額を少なくしたり、上昇傾向である場合に積立金額を多くしたりすることで、リスクを小さくするとともに期待リターンを大きくすることができる。
【0012】
また、前記積立処理部は、前記積立処理として、前記複数の金融商品から構成されるバランスファンドを購入し、前記残高の比率が前記目標値よりも小さく、前記目標値と前記残高の比率との差分が所定値よりも大きい金融商品がある場合、複数のバランスファンドのうち、当該金融商品の割合が大きいバランスファンドを購入してもよい。
このように、目標値よりも小さい金融商品の割合が大きいバランスファンドを購入することで、当該金融商品の残高の比率を目標値に近づけることができる。
【0013】
また、上記の積立金額管理装置は、前記複数の金融商品のそれぞれの期待リターン及びリスクを算出し、算出した期待リターンとリスクとの関係を表示する積立処理前確認部をさらに備えてもよい。
このようにすることで、ユーザに期待リターン及びリスクについて把握させ、積立金額が妥当なものであるか否かをユーザに判断させることができる。
【0014】
本発明の第2の態様に係る積立金額管理方法は、複数の金融商品に対して定期的に積み立てる積立金額を、前記複数の金融商品に関連付けて記憶する手順と、前記複数の金融商品のそれぞれの前記積立金額の比率の目標値を、前記複数の金融商品に関連付けて記憶する手順と、前記積立金額で積立処理を実行する手順と、を備え、前記積立処理を実行する手順において、前記複数の金融商品のうち、前記積立金額の残高の比率と前記目標値との関係が所定の条件を満たす金融商品について、前記積立金額の残高の比率と前記目標値との差分を小さくするべく前記積立金額を変更して前記積立処理を実行する。
【0015】
本発明の第3の態様に係る積立金額管理システムは、端末と、前記端末と通信可能な管理装置と、を備える積立金額管理システムであって、前記端末は、複数の金融商品に対して定期的に積み立てる積立金額の入力を受け付ける受付部と、前記積立金額を前記複数の金融商品に関連付けて前記管理装置に送信する送信部と、を有し、前記管理装置は、前記端末から受信した前記積立金額を、前記複数の金融商品に関連付けて管理する積立金額管理部と、前記複数の金融商品のそれぞれの前記積立金額の比率の目標値を、前記複数の金融商品に関連付けて管理する積立比率管理部と、前記積立金額で積立処理を実行する積立処理部と、を備え、前記積立処理部は、前記複数の金融商品のうち、前記積立金額の残高の比率と前記目標値との関係が所定の条件を満たす金融商品について、前記積立金額の残高の比率と前記目標値との差分を小さくするべく前記積立金額を変更して前記積立処理を実行する。
【0016】
第2の態様に係る積立金額管理方法及び第3の態様に係る積立金額管理システムによれば、第1の態様に係る積立金額管理装置と同等の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の金融商品を目標とした比率に近づくように積み立てることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
[積立金額管理システムSの構成]
図1は、第1の実施形態に係る積立金額管理システムSの構成を示す図である。積立金額管理システムSは、積立金額管理装置1と、クライアント端末2と、勘定系システム3とを備える。
【0020】
積立金額管理装置1は、インターネット等の第1ネットワークN1を介して複数のクライアント端末2に接続されているとともに、銀行の専用回線等の第2ネットワークN2を介して勘定系システム3に接続されている。
【0021】
積立金額管理装置1は、複数のクライアント端末2のユーザのそれぞれが複数の金融商品に対して積み立てる積立金額を管理するとともに、各ユーザの、複数の金融商品のそれぞれの積立金額の比率の目標値(以下、積立比率の目標値という)を管理する。そして、積立金額管理装置1は、複数の金融商品のそれぞれの残高の比率と積立比率の目標値とに基づいて、金融商品の積立金額を変更して積立処理を行う。
【0022】
勘定系システム3は、クライアント端末2のユーザの顧客情報や口座情報を管理するシステムである。積立金額管理装置1は、第2ネットワークN2を介して、勘定系システム3から顧客情報を取得したり、口座から積立金額の引き落とし処理をしたりすることができる。
【0023】
[積立金額管理装置1の構成]
図2は、第1の実施形態に係る積立金額管理装置1の構成を示す図である。積立金額管理装置1は、記憶部10と、制御部20とを備える。
記憶部10は、各種情報を記憶する記憶媒体であり、例えば、メモリやハードディスク等から構成される。記憶部10は、積立金額情報記憶部11と、保有金額情報記憶部12とを備える。
【0024】
図3は、第1の実施形態に係る積立金額情報記憶部11に記憶されている情報の一例である。積立金額情報記憶部11は、クライアント端末2のユーザを識別するユーザIDごとに、金融商品の種類と、積立比率の目標値と、積み立てる際の基準となる積立金額とを関連付けて記憶する。ここで、積立比率は、ユーザIDごとの積立金額の合計金額に対する各金融商品の積立金額の比率である。積み立てる際の基準となる積立金額は、ユーザにより予め設定された金額である。
【0025】
図4は、第1の実施形態に係る保有金額情報記憶部12に記憶されている情報の一例である。保有金額情報記憶部12は、クライアント端末2のユーザを識別するユーザIDごとに、金融商品の種類と、積立比率の目標値と、金融商品の現在の残高と、残高の比率と、当該残高の比率と積立比率の目標値との差分と、積立金額とを関連付けて記憶している。ここで、残高の比率は、全ての金融商品の残高に対する各金融商品の残高の比率である。また、積立金額は、残高、残高の比率、及び差分に基づいて制御部20が算出した金額である。
【0026】
制御部20は、例えばCPU等の演算処理デバイスにより構成される。制御部20は、記憶部10や、外付けのメモリやハードディスク等の記憶媒体等に格納されたプログラムを実行することにより、積立金額管理装置1の機能を統括的に制御する。制御部20は、積立金額管理部21と、積立比率管理部22と、積立処理部23とを備える。
【0027】
積立金額管理部21は、複数の金融商品に対して定期的に積み立てる積立金額を、複数の金融商品に関連付けて管理する。具体的には、積立金額管理部21は、クライアント端末2から、ユーザIDと、金融商品の種類と、当該金融商品の積立金額を示す金額情報とを受信し、当該ユーザIDと、金融商品の種類と、積立金額を示す金額情報とを関連付けて積立金額情報記憶部11に記憶させる。
【0028】
積立比率管理部22は、複数の金融商品のそれぞれの積立比率の目標値を、複数の金融商品に関連付けて管理する。具体的には、積立比率管理部22は、積立金額管理部21が、金額情報等を積立金額情報記憶部11に記憶したことに応じて、積立金額情報記憶部11を参照し、ユーザIDごとに積立金額の合計金額を算出する。そして、積立比率管理部22は、金融商品の種類ごとに当該合計金額に対する積立金額の比率を算出し、算出した比率を積立比率の目標値とする。そして、積立比率管理部22は、当該積立比率の目標値を、ユーザID及び金融商品の種類に関連付けて積立金額情報記憶部11に記憶させる。また、積立比率管理部22は、ユーザIDと、金融商品の種類と、積立比率の目標値とを関連付けて保有金額情報記憶部12に記憶させる。なお、積立比率管理部22は、ユーザにより設定された積立比率の目標値を複数の金融商品に関連付けて積立金額情報記憶部11に記憶させてもよい。
【0029】
積立処理部23は、所定の日(例えば、毎月の積立日の前日)に積立金額管理部21から積立金額を取得する。そして、積立処理部23は、積立日に、取得した金額で各金融商品の積立を行う積立処理を実行する。ここで、積立処理部23は、複数の金融商品のうち、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との関係が所定の条件を満たす金融商品について、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との差分を小さくするべく積立金額を変更して積立処理を実行する。
【0030】
図5は、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との関係を示す図である。本実施形態に係る積立処理部23は、複数の金融商品のうち、積立比率の目標値から積立金額の残高の比率を減算した値が所定値よりも大きい金融商品について、積立金額を変更して積立処理を実行する。例えば、積立処理部23は、複数の金融商品のうち、積立金額の残高の比率が、積立比率の目標値よりも小さい金融商品(例えば、
図5の(1)に示される関係の金融商品)について、積立金額を高くして積立処理を実行する。具体的には、積立処理部23は、積立金額の残高の比率が、積立比率の目標値よりも小さい金融商品について、積立金額の残高の比率が積立比率の目標値に近づくように、積立金額管理部21が管理している積立金額よりも大きな積立金額で積立処理を実行する。
【0031】
また、積立処理部23は、複数の金融商品のうち、積立比率の目標値から積立金額の残高の比率を減算した値が所定値よりも小さい金融商品について、積立金額を低くして積立処理を実行する。例えば、積立処理部23は、積立金額の残高の比率が、積立比率の目標値以上の金融商品について、積立金額管理部21が管理している積立金額よりも小さい積立金額で積立処理を実行する。積立処理部23は、積立金額の残高の比率が、積立比率の目標値以上の金融商品について、積立金額を¥0としてもよい。すなわち、積立処理部23は、積立処理を実行しないでもよい。
【0032】
[フローチャート]
以下、積立処理部23の具体的な処理について、フローチャートを用いて説明する。
図6は、第1の実施形態に係る積立処理部23の処理の流れを示すフローチャートである。
【0033】
まず、積立処理部23は、保有金額情報記憶部12から金融商品の種類毎の残高を取得する(S1)。続いて、積立処理部23は、残高の比率を算出する(S2)。具体的には、積立処理部23は、ユーザIDごとに、全ての金融商品の残高の合計金額を算出し、当該合計金額に対する各金融商品の残高の比率を算出する。そして、積立処理部23は、保有金額情報記憶部12に記憶されている残高の比率を示す情報を更新する。例えば、
図4に示す例では、ユーザID「0001」のユーザが保有する全ての金融商品の残高の合計金額は、¥26,000である。例えば、先進国株式クラスタの残高は¥4,000であるので、積立処理部23は、先進国株式クラスタの残高の比率を約15%と算出する。
【0034】
続いて、積立処理部23は、複数の金融商品の種類のうち、積立金額の残高の比率が積立比率の目標値よりも小さい金融商品の種類を特定する(S3)。例えば、
図4に示す例では、差分がプラスの値を示している金融商品が、積立金額の残高の比率が積立比率の目標値よりも小さい金融商品である。積立金額の残高の比率が積立比率の目標値よりも小さい金融商品の種類として、先進国株式クラスタ、日本国債クラスタ、先進国国債クラスタ、及び新興国国債クラスタが特定される。
【0035】
続いて、積立処理部23は、特定した金融商品の種類の積立金額を、残高の比率に基づいて設定する(S4)。具体的には、積立処理部23は、積立金額情報記憶部11に記憶されている積立金額を参照し、ユーザ毎の一度の積立金額の合計額を算出する。
図3に示す例では、ユーザID「0001」のユーザの一度の積立金額の合計額は¥10,000である。
【0036】
そして、積立処理部23は、各金融商品の種類について、残高の比率と積立比率の目標値との差分を算出し、特定した金融商品の種類の差分の合計値に対する、各差分の割合を算出する。
図4に示す例では、特定した金融商品の種類の差分は、それぞれ、約15%、約15%、約2%、約2%であることから、これらの差分の合計値は、約34%である。そして、当該合計値に対する各差分の割合は、それぞれ、約43%、約43%、約7%、約7%である。積立処理部23は、一度の積立金額の合計額に対して、各差分の割合を乗算することで積立金額を算出する。
図4に示す例では、先進国株式クラスタ及び日本国債クラスタの積立金額が¥4,318となり、先進国国債クラスタ及び新興国国債クラスタの積立金額が¥682となる。積立処理部23は、保有金額情報記憶部12の積立金額を算出した積立金額に更新する。
【0037】
また、積立処理部23は、積立金額の残高の比率が積立比率の目標値以上である日本株式クラスタ、新興国株式クラスタについては、積立金額を¥0とする。すなわち、積立処理部23は、日本株式クラスタ及び新興国株式クラスタの積立処理を実行しない。
【0038】
ここで、積立処理部23は、残高の比率と積立比率の目標値との差分とともに、各金融商品の市場での売買状況を示す市況情報に基づいて、それぞれの金融商品の積立金額を算出して積立処理を実行してもよい。積立処理部23は、例えば、金融商品の価格が下落傾向である場合に積立金額を少なくしたり、上昇傾向である場合に積立金額を多くしたりする。具体的には、積立処理部23は、株式が下落基調である場合には、株式クラスタの積立金額を低くし、国債クラスタの積立金額を高くしてもよい。また、積立処理部23は、金融商品の価格が底を打ったときは積立金額を多くして、価格が上がりきったときには積立金額は少なくしてもよい。このようにすることで、積立金額管理装置1は、金融商品の残高の比率を積立比率の目標値に近づけるとともに、リスクを小さくし、期待リターンを大きくすることができる。
【0039】
また、積立処理部23は、金融商品の暴落又は暴騰等の結果、極端な積み立てを行う場合に、クライアント端末2のユーザに警告メッセージを通知するようにしてもよい。例えば、積立処理部23は、算出した積立金額が予め定められた所定金額以上の場合に、極端な積み立てであると判定し、クライアント端末2のユーザに警告メッセージを通知するようにしてもよい。また、積立処理部23は、極端な積み立てを行う場合に、クライアント端末2のユーザから、算出した積立金額で積み立てを実行するか否かの選択を受け付け、積み立てを実行することが選択された場合に算出した積立金額で積立処理を行うようにしてもよい。
【0040】
続いて、積立処理部23は、S4で設定した積立金額に基づいて積立処理を実行する(S5)。具体的には、積立処理部23は、設定した積立金額に相当する各金融商品を購入する。積立処理部23は、購入する金融商品及び購入金額を示す購入情報を他のシステムに送信することにより、各金融商品を購入してもよい。
【0041】
積立処理部23が上記のように積立処理を実行すると、
図4に示したそれぞれの金融商品の積立後の残高は、¥10,000、¥8,318、¥4,000、¥8,318、¥2,682、¥2,682となる。その結果、積立後の残高の比率は、約28%、約23%、約11%、約23%、約7%、約7%となり、各金融商品の積立比率の目標値に近づく。
【0042】
なお、上記の説明において、積立処理部23は、複数の金融商品のうち、積立金額の残高の比率が、積立比率の目標値よりも小さい金融商品について、積立金額を変更して積立処理を実行するものとして説明したが、これに限定されない。積立処理部23は、積立金額の残高の比率が、積立比率の目標値以上の金融商品であっても、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との差分が所定範囲内であれば、積立金額を変更して積立処理を実行してもよい。例えば、積立処理部23は、極端に残高の比率が高い金融商品があるような場合、残高の比率が積立比率の目標値に一致している金融商品であっても、積立金額管理部21が管理している積立金額よりも大きな金額の積立処理を実行することで、複数の金融商品の残高比率と積立比率の目標値との差分の平均値を小さくすることができる。
【0043】
[第1の実施形態における効果]
以上のとおり、第1の実施形態に係る積立金額管理装置1は、積立処理部23により、複数の金融商品のうち、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との関係が所定の条件を満たす金融商品について、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との差分を小さくするべく積立金額を変更して積立処理を実行する。このようにすることで、積立金額管理装置1は、複数の金融商品のうち、積立金額の残高の比率が積立比率の目標値よりも小さい金融商品について積立金額を増加させたり、積立金額の残高の比率が積立比率の目標値以上の金融商品について積立金額を減少させたりできるので、ユーザが設定した一度の積立金額の合計額を維持しつつ、複数の金融商品の残高の比率を目標とした比率に近づくように積み立てることができる。
【0044】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、積立処理部23が、複数の金融商品のうち、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との差分が所定値よりも大きい金融商品について、差分を小さくするべく積立金額を変更して積立処理を実行し、当該差分が所定範囲内の金融商品について、積立金額管理部21が管理している積立金額で積立処理を実行する点で第1の実施形態と異なる。
【0045】
以下、第2実施形態に係る積立処理部23の具体的な処理について、フローチャートを用いて説明する。
図7は、第2の実施形態に係る積立処理部23の処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
積立処理部23は、金融商品の種類毎の残高を取得し(S11)、残高の比率を算出する(S12)。積立処理部23は、残高の比率が積立比率の目標値より小さい金融商品を特定する(S13)。続いて、積立処理部23は、積立金額の残高の比率と、積立比率の目標値との差分を算出する(S14)。
【0047】
続いて、積立処理部23は、S14で算出した差分が所定値(例えば、5%)以下の金融商品の種類(例えば、
図5の(2)に示される関係の金融商品)の積立金額を、積立金額情報記憶部11に記憶されている予め定められた額に設定する(S15)。
図8は、第2の実施形態に係る保有金額情報記憶部12に記憶されている情報の一例である。
図8に示す例では、先進国国債クラスタ及び新興国国債クラスタが、差分が所定値(5%)以下の金融商品の種類に該当する。積立処理部23は、先進国国債クラスタ及び新興国国債クラスタの積立金額を、積立金額情報記憶部11において予め定められている金額である¥1,000に設定する。
【0048】
なお、積立処理部23は、残高の比率が積立比率の目標値よりも大きい場合であっても、差分の絶対値が所定値以下の金融商品について、積立金額情報記憶部11に記憶されている予め定められた額に設定してもよい。例えば、
図8に示される新興国株式クラスタは、差分が−5%であるので、当該クラスタの積立金額を、積立金額情報記憶部11において予め定められている金額である¥1,000に設定してもよい。
【0049】
続いて、積立処理部23は、残高の比率が積立比率の目標値より小さい金融商品のうち、S14で算出した差分が所定値(例えば、5%)より大きい金融商品(例えば、
図5の(3)に示される関係の金融商品)の積立金額を予め定められた額より高い額に設定する(S16)。また、積立処理部23は、S15及びS16において積立金額が設定されない金融商品、すなわち、残高の比率が積立比率の目標値以上であるとともに、残高の比率と当該目標値との差分が所定値(例えば、5%)よりも大きい金融商品(例えば、
図5の(4)に示される関係の金融商品)については、積立金額を予め定められた額より低い額に設定する。例えば、積立処理部23は、残高の比率が積立比率の目標値以上であるとともに、残高の比率と当該目標値との差分が所定値よりも大きい金融商品については、積立処理を実行しない。
続いて、積立処理部23は、S15及びS16において設定された積立金額に基づいて積立処理を実行する(S17)。
【0050】
例えば、
図8に示す例では、日本株式クラスタが、残高の比率が積立比率の目標値以上であるとともに、差分が所定値より大きい金融商品の種類であることから、積立処理部23は、積立金額を¥0、すなわち、積立を行わないように設定する。また、
図8に示す例では、先進国株式クラスタ及び日本国債クラスタが、残高の比率が積立比率の目標値よりも小さく、差分が5%より大きい金融商品の種類に該当する。積立処理部23は、日本株式クラスタの積立金額を¥0とすることで、当該日本株式クラスタに対して積み立てる予定であった金額¥1,000を、それぞれの差分の割合に基づいて、先進国株式クラスタ及び日本国債クラスタに割り当てる。ここでは、先進国株式クラスタ及び日本国債クラスタの割合が同じであることから、これらのクラスタの積立金額は¥500増加し、¥3,500となる。
【0051】
積立処理部23が上記のように積立処理を実行すると、
図8に示したそれぞれの金融商品の積立後の残高は、¥10,000、¥7,250、¥5,000、¥7,250、¥3,250、¥3,250となる。その結果、積立後の残高の比率は、約28%、約20%、約14%、約20%、約9%、約9%となり、各金融商品の積立比率の目標値に近づく。
【0052】
[第2の実施形態における効果]
以上のとおり、第2の実施形態に係る積立金額管理装置1は、積立処理部23により、複数の金融商品のうち、積立金額の残高の比率と積立比率の目標値との差分が所定値よりも大きい金融商品について、積立金額を変更して積立処理を実行し、残高の比率と積立比率の目標値との差分が所定範囲内の金融商品について、積立金額管理部21が管理している積立金額で積立処理を実行する。
【0053】
このようにすることで、積立金額管理装置1は、積立金額の残高の比率が、積立比率の目標値に対して乖離している金融商品に限定して積立金額を変更することで、当該金融商品の残高の比率を積立比率の目標値に近づけることができるとともに、残高の比率と積立比率の目標値との差分が目標値に近い金融商品を、予めユーザが設定した積立金額分だけ購入して、残高をユーザが想定した金額に近い状態で維持することができる。
【0054】
<第3の実施形態>
続いて第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、積立金額管理装置1が、複数の金融商品の期待リターンとリスクとの関係を表示する点で第2の実施形態と異なる。
図9は、第3の実施形態に係る積立金額管理装置1の機能構成図である。
第3の実施形態において、積立金額管理装置1の制御部20は、積立処理前確認部24をさらに備える。積立処理前確認部24は、複数の金融商品のそれぞれの期待リターン及びリスクを算出し、算出した期待リターンとリスクとの関係を表示する。
【0055】
以下、第3の実施形態に係る積立処理部23及び積立処理前確認部24の具体的な処理について、フローチャートを用いて説明する。
図10は、第3の実施形態に係る積立処理部23及び積立処理前確認部24の処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
S21からS26までの処理の流れは、第2の実施形態のS11からS16までの処理の流れと同じであるので説明を省略する。
S27において、積立処理前確認部24は、ユーザが現在保有している複数の金融商品の残高の割合に基づいて実際の期待リターン及びリスクを算出するとともに、複数の金融商品の積立比率の目標値に基づいて理想とする期待リターン及びリスクを算出する。また、積立処理前確認部24は、複数の金融商品の他の組み合わせのそれぞれの期待リターン及びリスクを算出する。ここで、積立処理前確認部24は、それぞれの金融商品の組み合わせの期待リターン及びリスクを他のシステムから取得してもよい。
【0057】
続いて、積立処理前確認部24は、S27において算出した期待リターン及びリスクを示すグラフをクライアント端末2に送信して表示させ(S28)、変更後の積立金額で積立を行うか否かの選択を受け付ける(S29)。
【0058】
図11は、第3の実施形態に係る期待リターン及びリスクを示すグラフの表示例である。
図11に示されるグラフでは、横軸がリスクを示し、縦軸が期待リターンを示している。また、
図11に示されるシンボルSB1は、理想とする期待リターン及びリスクを示し、シンボルSB2は、実際の期待リターン及びリスクを示している。また、
図11において黒丸で示されるシンボルは、複数の金融商品の他の組み合わせのそれぞれの期待リターン及びリスクを示している。
【0059】
クライアント端末2のユーザは、
図11に示されるグラフを確認することで、現時点において保有している複数の金融商品の割合が積立比率の目標値に対して乖離していることを確認することができる。また、当該ユーザは、積立比率の目標値に近づくように積立金額を設定して積立を行うことで、リスクが軽減されることを確認できるとともに、予め定められた積立金額で積立を行うことで、保有する金融商品の割合が積立比率の目標値から乖離した状態が継続し、リスクが軽減されないことを確認することができる。また、クライアント端末2のユーザは、現時点において保有している複数の金融商品の割合が積立比率の目標値に対して乖離し、予め定められた積立金額で積立を行ったとしても、積立比率の目標値から乖離した状態が継続し、リスクが増加していることを確認することができる。
【0060】
積立処理部23は、変更後の積立金額で積立を行うことが選択されると(S29の判定がYesの場合)、変更後の積立金額で積立処理を実行する(S30)。また、変更後の積立金額で積立を行うことが選択されない(S29の判定がNoの場合)、積立金額情報記憶部11において予め定められている積立金額で積立処理を実行する(S31)。
【0061】
なお、積立処理部23は、ユーザによる選択を受けることなく、期待リターン及びリスクに基づいて積立金額を変更してから積立処理を実行してもよい。例えば、積立処理部23は、積立処理前確認部24が算出した期待リターンが、ユーザにより予め設定された期待リターンよりも大きくなり、かつ、積立処理前確認部24が算出したリスクが、ユーザにより予め設定されたリスクよりも小さくなる、複数の金融商品の組み合わせがある場合、そのような組み合わせのうち、理想とする期待リターン及びリスクに近い組み合わせに基づいて積立金額を変更してもよい。
【0062】
[第3の実施形態における効果]
以上のとおり、第3の実施形態の積立金額管理装置1は、積立処理前確認部24により、複数の金融商品のそれぞれの期待リターン及びリスクを算出し、算出した期待リターンとリスクとの関係を表示する。このようにすることで、クライアント端末2のユーザに期待リターン及びリスクについて把握させ、積立金額が妥当なものであるか否かをユーザに判断させることができる。
【0063】
<第4の実施形態>
続いて第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、積立処理部23が、複数の金融商品から構成されるバランスファンドを購入する点で第2の実施形態と異なる。具体的には、積立処理部23は、積立処理として、複数の金融商品から構成されるバランスファンドを購入し、残高の比率が積立比率の目標値よりも小さく、積立比率の目標値と残高の比率との差分が所定値より大きい金融商品がある場合、複数のバランスファンドのうち、当該金融商品の割合が大きいバランスファンドを購入する。なお、バランスファンドとは、株式と債券とを所定の割合で組み合わせた投資信託である。
【0064】
以下、第4の実施形態に係る積立処理部23の具体的な処理について、フローチャートを用いて説明する。
図12は、第4の実施形態に係る積立処理部23の処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
積立処理部23は、各バランスファンドの種類毎の残高を取得する(S41)。続いて、積立処理部23は、各バランスファンドの残高と、各バランスファンドを構成する金融商品の割合に基づいて、各バランスファンドにおける金融商品の種類毎の残高を算出する。続いて、積立処理部23は、金融商品の種類毎に、各バランスファンドにおける残高を合計することにより、金融商品の種類毎の残高を算出する(S42)。
S43からS47までの処理は、第2の実施形態のS12からS16までの処理と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
続いて、積立処理部23は、積立金額の残高の比率と、積立比率の目標値との差分が所定値より大きい金融商品を特定するとともに、積立比率の目標値との差分が所定値より大きい金融商品の割合が高いバランスファンドを特定する(S48)。積立処理部23は、特定したバランスファンドの積立金額を他のバランスファンドの積立金額に比べて高くすることで、差分が所定値より大きい金融商品の積立金額を高くし、S46及びS47で設定した各金融商品の積立金額の残高比率に近づくように調整を行う。
続いて、積立処理部23は、S48で調整したバランスファンドの構成内容に基づいて積立処理を実行する(S49)。
【0067】
[第4の実施形態における効果]
以上のとおり、第4の実施形態に係る積立金額管理装置1は、積立処理部23により、積立処理として、複数の金融商品から構成されるバランスファンドを購入し、残高の比率が積立比率の目標値よりも小さく、積立比率の目標値と残高の比率との差分が所定値よりも大きい金融商品がある場合、複数のバランスファンドのうち、当該金融商品の割合が大きいバランスファンドを購入するので、当該金融商品の残高の比率を積立比率の目標値に近づけることができる。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0069】
例えば、上記の実施形態においては、積立金額管理装置1を一台のサーバで構成する例について説明したが、積立金額管理装置1の機能を複数のサーバに分散させて実行してもよい。また、上記の実施形態においては、積立金額管理部21がクライアント端末2のユーザから積立金額を受け付け、積立比率管理部22が当該積立金額に基づいて積立比率の目標値を算出したが、これに限らない。例えば、積立比率管理部22がクライアント端末2のユーザから積立比率を受け付け、積立金額管理部21が当該積立比率に基づいて積立金額を算出してもよい。