【文献】
British Journal of Haematology,2006,Vol.134,No.5,p.475−484
【文献】
Clinical Lymphoma & Myeloma,2006,Vol.7,No.Suppl.1,p.S24−S32
【文献】
Current Opinion in Investigational Drugs,2009,Vol.10,No.6,p.588−596
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同時に、又は、別々に使用されるための、60%以下のフコース量を持つアフコシル化II型抗CD20抗体とmTORインヒビターとを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の医薬。
一又は複数の更なる他の細胞傷害、化学治療又は抗癌剤、又は該薬剤の効果を亢進させる化合物又は電離放射線が組み合わせて投与されることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の医薬。
一又は複数の更なる他の細胞傷害、化学治療又は抗癌剤、又は該薬剤の効果を亢進させる化合物又は電離放射線が投与されることを特徴とする請求項14〜21の何れか一項に記載の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌治療のためのmTORインヒビターとのアフコシル化CD20抗体の併用療法に関する。
【0002】
アフコシル化抗体
モノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能は、Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び米国特許第6602684号に記載されているように、そのオリゴ糖成分を操作することによって亢進せしめることができる。癌免疫療法において最もよく使用される抗体であるIgG1型抗体は、保存されたN結合型グリコシル化部位を各CH2ドメインのAsn297に有する糖タンパク質である。Asn297に結合した2つの複合型二分岐オリゴ糖は、CH2ドメイン間に埋もれて、ポリペプチド主鎖との広範囲の接触面を形成し、その存在は、抗体が抗体依存性細胞傷害性(ADCC)のようなエフェクター機能を媒介するために必須である(Lifely, M.R.等, Glycobiology 5 (1995) 813-822;Jefferis, R.等, Immunol. Rev. 163 (1998) 59-76;Wright, A.及びMorrison, S.L., Trends Biotechnol. 15 (1997) 26-32)。Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び国際公開第99/54342号は、2つに分岐したオリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(「GnTIII」)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現が、抗体のインビトロでのADCC活性を有意に増大せしめることを示した。N297炭水化物の組成の改変又はその除去もまたFcγR及びC1qへの結合、Fcへの結合に影響を及ぼす(Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180;Davies, J.等, Biotechnol. Bioeng. 74 (2001) 288-294;Mimura, Y.等, J. Biol. Chem. 276 (2001) 45539-45547;Radaev, S.等, J. Biol. Chem. 276 (2001) 16478-16483;Shields, R.L.等, J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604;Shields, R.L.等, J. Biol. Chem. 277 (2002) 26733-26740;Simmons, L.C.等, J. Immunol. Methods 263 (2002) 133-147)。
【0003】
Iida, S等, Clin. Cancer Res. 12 (2006) 2879-2887は、アフコシル化抗CD20抗体の効能が、フコシル化抗CD20の添加により阻害されたことを示している。アフコシル化及びフコシル化抗CD20の1:9混合物(10マイクロg/mL)の効能は、アフコシル化抗CD20単独の1000倍希釈(0.01マイクロg/mL)より劣っていた。それらは、フコシル化対応物を含まないアフコシル化IgG1が、その高いFcgammaRIIIa結合を介してADCC上の血漿IgGの阻害効果を回避し得ると結論付けている。Natsume, A等は、J. Immunol. Methods 306 (2005) 93-103において、ヒトIgG1型抗体の複合型オリゴ糖からのフコースの除去により、抗体依存性細胞傷害(ADCC)が大きく高まる結果となることを示している。Satoh, M.等, Expert Opin. Biol. Ther. 6 (2006) 1161-1173は、次世代の治療用抗体としてのアフコシル化治療用抗体を検討している。Satohは、アフコシル化ヒトIgG1型のみからなる抗体が理想的であると考えられると結論付けている。Kanda, Y等, Biotechnol. Bioeng. 94 (2006) 680-688は、アフコシル化DC20抗体とフコシル化CD20抗体(96%フコシル化、CHO/DG44 1H5)を比較した。Davies, J等, Biotechnol. Bioeng. 74 (2001) 288-294は、CD20抗体に対してADCCの増加がFcgRIIIへの結合の増加と相関していることを報告している。
【0004】
フコースの量を低減することによりモノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能を亢進する方法が、例えば国際公開第2005/018572号、国際公開第2006/116260号、国際公開第2006/114700号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2005/011735号、国際公開第2005/027966号、国際公開第1997/028267号、米国特許第2006/0134709号、米国特許第2005/0054048号、米国特許第2005/0152894号、国際公開第2003/035835号、国際公開第2000/061739号、Niwa, R等, J. Immunol. Methods 306 (2005) 151-160; Shinkawa, T等, J. Biol.Chem. 278 (2003) 3466-3473; 国際公開第03/055993号、又は米国特許第2005/0249722号に記載されている。
【0005】
CD20及び抗CD20抗体
CD20分子(ヒトBリンパ球限定分化抗原又はBp35とも称される)は、プレB細胞及び成熟Bリンパ球上に位置する疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine, M.A.等, J. Biol. Chem. 264 (1989) 11282-11287;及びEinfeld, D.A.等, EMBO J. 7 (1988) 711-717;Tedder, T.F.等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85 (1988) 208-12;Stamenkovic, I.等, J. Exp. Med. 167 (1988) 1975-80;Tedder, T.F.等, J. Immunol. 142 (1989) 2560-8)。CD20は、末梢血又はリンパ器官からのB細胞の90%以上の表面に見出され、初期のプレB細胞の発達中に発現され、血漿細胞の分化まで残る。特に、CD20は、90%を越えるB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)で発現している(Anderson, K.C.等, Blood 63 (1984) 1424-1433)が、造血幹細胞、プロB細胞、正常形質細胞、又は他の正常組織には見いだせない(Tedder, T.F.等, J, Immunol. 135(2) (1985) 973- 979)。
【0006】
CD20タンパク質の85アミノ酸のカルボキシル末端領域は、細胞質内に位置している。この領域の長さは、それぞれ3、3、28、15、及び16のアミノ酸の比較的短い細胞質内領域を有する他のB細胞特異性表面構造、例えばIgM、IgD、及びIgG重鎖又は組織適合抗原クラスI1a又はβ鎖のものと対比される(Komaromy, M等 NAR 11 (1983) 6775-6785)。最後の61カルボキシ末端のアミノ酸のうち、21は酸性残基であるが、2だけ塩基性であり、この領域が強い正味の負電荷を有していることを示している。GenBank受託番号はNP-690605である。CD20は、B細胞の活性化及び分化過程における初期段階の調節に関与しているかも知れず(Tedder, T.F等, Eur. J. Immunol. 16 (1986) 881-887)、カルシウムイオンチャンネルとして機能しうると考えられている(Tedder, T.F等, J. Cell. Biochem. 14D (1990) 195)。
【0007】
そのCD20結合態様及び生物学的活性が有意に異なる2つの異なったタイプの抗CD20抗体が存在する(Cragg, M.S.等, Blood 103 (2004) 2738-2743;及びCragg, M.S.等, Blood 101 (2003) 1045-1051)。例えばリツキシマブ等のI型抗体は補体誘導性細胞傷害が強力である一方、例えばトシツモマブ(B1)、11B8、AT80又はヒト化B-Ly1抗体等のII型抗体は、同時のホスファチジルセリン曝露でカスパーゼ非依存性アポトーシスを介して標的細胞死を効率的に開始せしめる。
【0008】
I型及びII型抗CD20抗体が共有する共通の特徴を表1にまとめる。
【0009】
mTOR及びmTORインヒビター
mTORは、ラパマイシン又はFK506結合タンパク質12-ラパマイシン関連タンパク質1(FRAP1)の機構的標的としても知られているラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)であり、ヒトにおいてFRAP1遺伝子によりコードされるタンパク質である(Brown, E.J等, Nature 369 (1994) 756-758; Moore, P.A等, Genomics 33 (1996) 331-332)。mTORは、細胞死、細胞増殖、細胞運動性、細胞生存、タンパク質合成、及び転写を調節するセリン/スレオニンプロテインキナーゼである(Hay, N等, Genes Dev. 18 (2004) 1926-1945; Beevers, C. S等, Int. J. Cancer 119 (2006) 757-764)。
【0010】
mTORは、インスリン、増殖因子(例えば、IGF-1及びIGF-2)、及びマイトジェンを含む、上流経路からの入力を統合する。また、mTORは、細胞栄養及びエネルギーレベル及び酸化還元状態を感知する。mTOR経路は、ヒトの病気、特にある種の癌にでは調節不全になる。ラパマイシンは、その細胞内レセプターFKBP12と関連せしめられることにより、mTORを阻害することができる細菌産物である。FKBP12-ラパマイシン複合体は、mTORのFKBP12-ラパマイシン結合(FRB)ドメインに直接結合する。
【0011】
mTORは、2つの分子複合体の触媒サブユニットである。mTOR複合体1(mTORC1)は、mTOR、mTORの調節関連タンパク質(Raptor)、哺乳動物LST8/G-タンパク質βサブユニット様タンパク質(mLST8/GβL)及び最近同定されたパートナーPRAS40及びDEPTORからなる。この複合体は、栄養/エネルギー/酸化還元センサーとして機能し、タンパク質合成をコントロールすることによるmTORの古典的特徴で特徴付けられる。この複合体の活性は、インスリン、増殖因子、血清、ホスファチジン酸、アミノ酸(特にロイシン)、及び酸化的ストレスにより刺激される。
【0012】
mTORC1は、低栄養レベル、増殖因子欠乏症、還元的ストレス、カフェイン、ラパマイシン、ファルネシルチオサリチル酸(FTS)及びクルクミンにより阻害される。mTORC1の2つの最も良好に特徴付けられた標的は、p70-S6キナーゼ1(S6K1)及び4E-BP1、つまり真核生物開始因子4E(eIF4E)結合タンパク質1[3]である。
【0013】
mTORC1は、少なくとも2の残基においてS6K1をリン酸化し、最も重要な修飾はスレオニン残基(T389)上で生じる。この事象は、PDK1によるS6K1の後続するリン酸化を刺激する。活性型S6K1は、ついで、S6リボソームタンパク質(リボソームの成分)及び翻訳機構の他の成分の活性化を介してタンパク質合成の開始を刺激することができる。また、S6K1は、2つの部位でmTORのネガティブ調節ドメインをリン酸化することにより、mTORC1でのポジティブなフィードバックループに参画することができ;これらの部位のリン酸化がmTOR活性を刺激すると思われる。
【0014】
mTORC1は、階層的な形で4E-BP1の少なくとも4つの残基をリン酸化することが示されている。非リン酸化4E-BP1は、翻訳開始因子eIFE4に密接に結合し、それが5'キャップmRNAへ結合し、それらをリボソーム開始複合体へ補充するのを防止する。mTORC1によるリン酸化時に、4E-BP1はeIF4Eを放出し、それがその機能を実施するようにする。mTORC1の活性は、mTORとRaptorとの間の動的相互作用を通して調節されると思われ、その一方はGβLにより媒介される。Raptor及びmTORは強いN末端相互作用と、mTORキナーゼドメイン近傍の弱いC末端相互作用を共有する。刺激性シグナル、例えば高い栄養/エネルギーレベルが感知されたとき、mTOR-RaptorC末端相互作用が弱化し、場合によっては完全に失われ、mTORキナーゼ活性をオンにすることができる。例えば低栄養レベルのように、刺激性シグナルが中止されると、mTOR-RaptorC末端相互作用が強化され、mTORのキナーゼ機能を本質的に閉じる。
【0015】
mTOR複合体2(mTORC2)は、mTOR、mTORのラパマイシン非感受性コンパニオン(Rictor)、GβL、及び哺乳動物ストレス活性型プロテインキナーゼ相互作用タンパク質1(mSIN1)からなる。mTORC2は、F-アクチンストレス繊維、パキシリン、RhoA、Rac1、Cdc42、及びプロテインキナーゼCα(PKCα)の刺激を介して細胞骨格の重要なレギュレーターとして機能することが示されている。また、mTORC2は、「PDK2」として知られているこれまではとらえどころのないタンパク質の活性を有していると思われる。mTORC2は、セリン残基S473でセリン/スレオニンプロテインキナーゼAkt/PKBをリン酸化させる。セリンのリン酸化は、PDK1によるスレオニンT308残基でのAktリン酸化を刺激し、完全なAkt活性化を生じ;クルクミンは、セリンのリン酸化を防止することにより、双方を阻害する。
【0016】
mTORC2は、インスリン、増殖因子、血清、及び栄養レベルにより調節されると思われる。元々は、mTORC2は、ラパマイシンに対する急性暴露がmTORC2活性又はAktリン酸化に影響を及ぼさないので、ラパマイシン非感受性体として同定された。しかしながら、後続する研究により、ラパマイシンへの慢性暴露は、少なくとも幾つかの細胞株においては、既存のmTORC2に作用しないが、遊離のmTOR分子に結合することができ、よって新規のmTORC2の形成を阻害することが示された。
【0017】
カロリー制限及びメチオニン制限等の幾つかの食事レジメは、mTor活性を低減させることにより、寿命を延長させるとの仮設がある。
【0018】
mTORインヒビター
多くのmTORインヒビターが同定されており、幾つかが、癌の治療のための臨床治験にある(例えば、RAD001(エベロリムスとしても知られている;Novartis);CCI-779(テムシロリムスとしても知られている;Wyeth);AP23573(Ariad Pharmaceuticals);及びKU-0059475(Kudus Pharmaceuticals);Mita, M.M等, Cancer Biology & Therapy 2, Suppl. 1 (2003) S169-S177)。このようなmTORインヒビターの他の抗癌剤との組合せの潜在的効能がまた示唆されており、臨床治験において試験されている(Adjei, A. A. 及び Hidalgo, M., J. Clin. Oncol. 23 (2005) 5386-5403)。このような組合せは、mTORインヒビターのタンパク質-チロシンキナーゼインヒビターとの組合せを含む(Sawyers, C. L., Cancer Cell 4 (2003) 343-348; Gemmill, R. M等, Br. J. Cancer 92 (2005) 2266-2277; Goudar, R. K等, Mol. Cancer Therapeutics 4 (2005) 101-112; 国際公開第2004/004644号;Birle, D.C等, 94
th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research, Washington, D.C., Vol. 44, 2版, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. (July 2003) p. 932, #R4692)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、mTORと組合せて、癌を処置する医薬を製造するための、Asn297にオリゴ糖の全量の60%未満のフコース量を有するアフコシル化抗CD20抗体(好ましくはIgG1、又はIgG3アイソタイプ、より好ましくはIgG1アイソタイプのもの)の使用を含む。
【0030】
好ましくは、mTORインヒビターは、ラパマイシン、又はラパマイシンアナログ又は誘導体である。好ましくは、mTORインヒビターは、テムシロリムス又はエベロリムスである。
【0031】
好ましくは、フコースの量は、Asn297におけるオリゴ糖(糖)の全量の40%〜60%である。
【0032】
「抗体」なる用語は、限定しないが全抗体、抗体断片、ヒト抗体、ヒト化抗体及び遺伝子操作抗体、例えばモノクローナル抗体、キメラ抗体又は組換え抗体並びに本発明に係る特徴的な性質が保持される限り、かかる抗体の断片を含む様々な形態の抗体を包含する。ここで使用される「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」なる用語は、単一のアミノ酸組成の抗体分子の調製物を意味する。従って、「ヒトモノクローナル抗体」なる用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有し、単一の結合特異性を示す抗体を意味する。一実施態様では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合したヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
【0033】
「キメラ抗体」なる用語は、一つの供給源又は種に由来する可変領域、すなわち結合領域と、別の供給源又は種に由来する定常領域の少なくとも一部分を含む、通常は組換えDNA技術によって調製されるモノクローナル抗体を意味する。マウス可変領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体が特に好ましい。このようなマウス/ヒトキメラ抗体は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントとヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む免疫グロブリン遺伝子を発現させた産物である。本発明によって包含される「キメラ抗体」の他の形態は、クラス又はサブクラスが元の抗体のものから改変又は変化せしめられたものである。このような「キメラ」抗体は、「クラススイッチ抗体」とも称される。キメラ抗体を作製するための方法は、一般的な組換えDNA及び当該技術分野で今はよく知られている遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えば、Morrison, S.L.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;米国特許第5202238号及び米国特許第5204244号を参照のこと。
【0034】
「ヒト化抗体」なる用語は、フレームワーク領域又は「相補性決定領域」(CDR)が、親免疫グロブリンのものと比べて異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように改変された抗体を意味する。好ましい実施態様では、ヒト抗体のフレームワーク領域中にマウスCDRをグラフトさせて「ヒト化抗体」を調製する。例えば、Riechmann, L.等, Nature 332 (1988) 323-327;及びNeuberger, M.S.等, Nature 314 (1985) 268-270を参照のこと。
【0035】
ここで使用される「ヒト抗体」なる用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体は従来からよく知られている(van Dijk, M.A.及びvan de Winkel, J.G., Curr. Opin. Pharmacol. 5 (2001) 368-374)。かかる技術に基づいて、非常に様々な標的に対するヒト抗体を製造できる。ヒト抗体の例は例えばKellermann, S.A.等, Curr Opin Biotechnol. 13 (2002) 593-597に記載されている。
【0036】
ここで使用される「組換えヒト抗体」なる用語は、組換え手段によって調製され、発現され、創製され又は単離された全てのヒト抗体、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えばマウス)に由来するか又はNS0細胞又はCHO細胞のような宿主細胞から単離された抗体又は宿主細胞に形質移入された組換え発現ベクターを使用して発現される抗体を含むことが意図される。このような組換えヒト抗体は、再編成された形態のヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。本発明に係る組換えヒト抗体は、インビボ体細胞突然変異に供されている。よって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、これらに関するものであるが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しない場合がある配列である。
【0037】
ここで使用される場合、「結合する」又は「特異的に結合する」なる用語は、腫瘍抗原のエピトープへのインビトロアッセイ、好ましくはプラズモン共鳴アッセイ(BIAcore, GE-Healthcare Uppsala, Sweden)で精製された野生型抗原への結合を意味する。結合親和性はka(抗体/抗原複合体からの抗体の結合の速度定数)、k
D(解離定数)、及びK
D(k
D/ka)なる用語によって定義される。結合する又は特異的に結合するとは、10
−8mol/l以下、好ましくは10
−9Mから10
−13mol/lの結合親和性(K
D)を意味する。よって、本発明に係るアフコシル化抗体は、10
−8mol/l以下、好ましくは10
−9Mから10
−13mol/の結合親和性(K
D)で腫瘍抗原に特異的に結合する。
【0038】
ここで使用される「核酸分子」なる用語は、DNA分子及びRNA分子を含むことが意図される。核酸分子は一本鎖又は二本鎖でありうるが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0039】
「定常ドメイン」は抗原に対する抗体の結合には直接的には関与しないがエフェクター機能(ADCC、補体結合、及びCDC)に関与している。
【0040】
ここで使用される「可変領域」(軽鎖(VL)の可変領域、重鎖(VH)の可変領域)は、抗原への抗体の結合に直接関与する軽鎖及び重鎖の各対を示す。ヒト軽鎖及び重鎖の可変ドメインは同じ一般構造を有し、各ドメインが、その配列が広く保存され3つの「高頻度可変領域」(又は相補性決定領域、CDR)によって連結された4つのフレームワーク(FR)領域を含む。フレームワーク領域はβシート高次構造を採用し、CDRはβシート構造を連結するループを形成しうる。各鎖のCDRは、フレームワーク領域によってその三次元構造に維持され、他の鎖のCDRと一緒になって抗原結合部位を形成する。
【0041】
「高頻度可変領域」又は「抗体の抗原結合部分」なる用語は、ここで使用される場合、抗原結合を担っている抗体のアミノ酸残基を意味する。高頻度可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」に由来するアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」又は「FR」領域は、ここで定義される高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン領域である。よって、抗体の軽鎖及び重鎖は、N末端からC末端に向かって、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。特に、重鎖のCDR3は、抗原結合に最も寄与する領域である。CDR及びFR領域は、Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)の標準的な定義に従って決定され、及び/又は「高頻度可変ループ」からの残基である。
【0042】
本発明に係るmTORインヒビターは、当該技術分野で現在知られており、又は将来同定されるであろう任意のmTORインヒビターであり得、患者への投与時に患者においてmTORの阻害を生じる任意の化学成分を含む。mTORインヒビターは、ATP結合部位における競合、mTORキナーゼの触媒部位以外での競合、非競合的阻害、不可逆的阻害(例えば、共有結合性タンパク質修飾)、又はmTORキナーゼ活性の阻害を生じる形での他のタンパク質サブユニット又は結合タンパク質とmTORキナーゼとの相互作用の修飾(例えば、FKBP12、GβL、(mLST8)、RAPTOR(mKOG1)、又はRICTOR(mAVO3)とのmTORの相互作用の修飾)を含む任意の生化学的メカニズムによりmTORを阻害することができる。mTORインヒビターの特定の例は、ラパマイシン;他のラパマイシンマクロライド、又はラパマイシンアナログ、誘導体又はプロドラッグ;エベロリムス(RAD001としても知られている、エベロリムス/RAD001はアルキル化ラパマイシン(40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、米国特許第5665772号に開示;Novartis);テムシロリムス(CCI-779としても知られている、テムシロリムス/CCI-779は、ラパマイシンのエステル(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロピオン酸の42-エステル)、米国特許第5362718号に開示;Wyeth);AP23573又はAP23841(Ariad Pharmaceuticals);ABT-578(40-エピ-(テトラゾリル)-ラパマイシン;Abbott Laboratories);KU-0059475(Kudus Pharmaceuticals);及びTAFA-93(ラパマイシンプロドラッグ;Isotechnika)を含む。当該技術分野で知られているラパマイシンアナログ及び誘導体の例は、その全てが出典明示によりここに援用される米国特許第6329386号;同6200985号;同6117863号;同6015815号;同6015809号;同6004973号;同5985890号;同5955457号;同5922730号;同5912253号;同5780462号;同5665772号;同5637590号;同5567709号;同5563145号;同5559122号;同5559120号;同5559119号;同5559112号;同5550133号;同5541192号;同5541191号;同5532355号;同5530121号;同5530007号;同5525610号;同5521194号;同5519031号;同5516780号;同5508399号;同5508290号;同5508286号;同5508285号;同5504291号;同5504204号;同5491231号;同5489680号;同5489595号;同5488054号;同5486524号;同5486523号;同5486522号;同5484791号;同5484790号;同5480989号;同5480988号;同5463048号;同5446048号;同5434260号;同5411967号;同5391730号;同5389639号;同5385910号;同5385909号;同5385908号;同5378836号;同5378696号;同5373014号;同5362718号;同5358944号;同5346893号;同5344833号;同5302584号;同5262424号;同5262423号;同5260300号;同5260299号;同5233036号;同5221740号;同5221670号;同5202332号;同5194447号;同5177203号;同5169851号;同5164399号;同5162333号;同5151413号;同5138051号;同5130307号;同5120842号;同5120727号;同5120726号;同5120725号;同5118678号;同5118677号;同5100883号;同5023264号;同5023263号;及び同5023262号に開示されている化合物を含む。また、ラパマイシン誘導体は、出典明示によりここに援用される国際公開第94/09010号、国際公開第95/16691号、国際公開第96/41807号、又は国際公開第99/15530号に開示されている。このようなアナログ及び誘導体は、32-デオキソラパマイシン、16-ペント-2-イニルオキシ-32-デオキソラパマイシン、16-ペント-2-イニルオキシ-32(S又はR)-ジヒドロ-ラパマイシン、16-ペント-2-イニルオキシ-32(S又はR)-ジヒドロ-40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、40-0-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、32-デオキソラパマイシン及び16-ペント-2-イニルオキシ-32(S)-ジヒドロ-ラパマイシンを含む。また、ラパマイシン誘導体は、いわゆるラパログ(rapalogs)、例えば国際公開第98/02441号及び国際公開第01/14387号に開示のもの(例えば、AP23573、AP23464、AP23675又はAP23841)を含む。ラパマイシン誘導体の更なる例は、バイオリムス(biolimus)-7又はバイオリムス-9(BIOLIMUS A9
TM)(Biosensors International, Singapore)の名称で開示されているものである。上述のラパマイシンアナログ又は誘導体の何れも、上記文献に記載された手順により、直ぐに調製されうる。ここに記載の本発明に有用なmTORインヒビターの更なる例は、米国特許特許出願第11/599663号に開示され、クレームされているものを含む。
【0043】
好ましくは、mTORインヒビターはラパマイシン又はラパマイシンアナログ又は誘導体、より好ましくはラパマイシンアナログ又は誘導体である。好ましいラパマイシンアナログは、例えばテムシロリムス又はエベロリムスである。
【0044】
「アフコシル化抗体」なる用語は、減少したレベルのフコース残基を有するAsn297におけるFc領域中の改変されたグリコシル化(糖鎖付加)パターンを有するIgG1又はIgG3アイソタイプ(好ましくはIgG1アイソタイプ)の抗体を意味する。ヒトIgG1又はIgG3のグリコシル化は、コアフコシル化二分岐複合型オリゴ糖グリコシル化としてAsn297で生じ、2個までのGal残基で終結する。これらの構造は、末端Gal残基の量に応じて、G0、G1(α1,6もしくはα1,3)、又はG2グリカン残基と命名されている(Raju, T.S., BioProcess Int. 1 (2003) 44-53)。抗体Fc部分のCHO型グリコシル化は、例えば、Routier, F. H., Glycoconjugate J. 14 (1997) 201-207に記載されている。非糖修飾CHO宿主細胞中で組換え的に発現される抗体は、通常、少なくとも85%の量がAsn297においてフコシル化されている
【0045】
よって、本発明に係るアフコシル化抗体は、Asn297においてフコース量がオリゴ糖(糖)全量の60%以下である(これはAsn297におけるFc領域のオリゴ糖の少なくとも40%以上がアフコシル化されていることを意味する)IgG1又はIgG3アイソタイプ(好ましくはIgG1アイソタイプ)の抗体を意味する。一実施態様では、フコース量は、Asn297におけるFc領域のオリゴ糖の40%から60%の間である。他の実施態様では、フコース量は50%以下であり、更に他の実施態様では、フコース量はAsn297におけるFc領域のオリゴ糖の30%以下である。別の実施態様では、フコース量はAsn297におけるFc領域のオリゴ糖の0%である。本発明によれば、「フコースの量」は、MALDI-TOF質量分析法によって測定され、平均値として算出される、Asn297に結合した全てのオリゴ糖(糖)(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造物)の合計に対するAsn297におけるオリゴ糖(糖)鎖内の上記オリゴ糖(フコース)の量を意味する(フコースの量を定量する詳細な手順は例えば国際公開第2008/077546号に記載されている)。更に、Fc領域のオリゴ糖は好ましくは二分されている。本発明に係るアフコシル化抗体は、Fc領域におけるオリゴ糖を部分的にフコシル化するのに十分な量でGnTIII活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも一の核酸を発現するように操作された糖修飾宿主細胞において発現させることができる。一実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドは融合ポリペプチドである。別法では、米国特許第6946292号に従って宿主細胞のα1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を低下させるか又は消失させて、糖修飾した宿主細胞を産生させることもできる。抗体フコシル化の量は、例えば発酵条件(例えば発酵時間)によって、又は異なったフコシル化量の少なくとも2種の抗体を組合わせることによって、予め決定することができる。このようなアフコシル化抗体及び各糖鎖工学法は、国際公開第2005/044859号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2007/031875号、Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180、国際公開第99/154342号、国際公開第2005/018572号、国際公開第2006/116260号、国際公開第2006/114700号、国際公開第2005/011735号、国際公開第2005/027966号、国際公開第97/028267号、米国特許出願公開第2006/0134709号、米国特許出願公開第2005/0054048号、米国特許出願公開第2005/0152894号、国際公開第2003/035835号、国際公開第2000/061739号に記載されている。これらの糖鎖操作抗体は増加したADDCを有している。本発明に係るアフコシル化抗体を生じせしめる他の糖鎖工学法は、例えばNiwa, R.等, J. Immunol. Methods 306 (2005) 151-160;Shinkawa, T.等, J Biol Chem, 278 (2003) 3466-3473;国際公開第03/055993号又は米国特許出願公開第2005/0249722号に記載されている。
【0046】
よって、本発明の一態様は、mTORインヒビターと併用される癌治療医薬の製造のための、Asn297においてフコース量がオリゴ糖(糖)全量の60%以下である、腫瘍抗原に特異的に結合するIgG1又はIgG3アイソタイプ(好ましくはIgG1アイソタイプ)のアフコシル化抗CD20抗体の使用である。好ましくは、フコース量は、Asn297におけるオリゴ糖(糖)の全量の40%から60%の間である。
【0047】
CD20(Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu-16、Bp35、BM5、及びLF5としても知られており;配列はSwissProtデータベースエントリーP11836によって特徴付けられる)は、プレB及び成熟Bリンパ球上に位置する分子量がおよそ35kDの疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine, M.A.等, J. Biol. Chem. 264(19) (1989) 11282-11287;Tedder, T.F.等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85 (1988) 208-212;Stamenkovic, I.等, J. Exp. Med. 167 (1988) 1975-80;Einfeld, D.A.等, EMBO J. 7 (1988) 711-7;Tedder, T.F.等, J. Immunol. 142 (1989) 2560-2568)。対応するヒト遺伝子は、MS4A1としてもまた知られている膜貫通4ドメイン、サブファミリーA、メンバー1である。この遺伝子は膜貫通4A遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。この新生タンパク質ファミリーのメンバーは、共通の構造的特徴及び類似のイントロン/エクソンスプライス境界によって特徴付けられ、造血細胞及び非リンパ系組織間で独特の発現パターンを示す。この遺伝子はB細胞の発生及び形質細胞への分化において所定の役割を担っているBリンパ球表面分子をコードする。このファミリーメンバーはファミリーメンバーのクラスター間の11q12に局在化している。この遺伝子の選択的スプライシングは、同じタンパク質をコードする2つの転写変異体を生じる。
【0048】
「CD20」及び「CD20抗原」という用語はここでは互換的に使用され、細胞により天然に発現される、又はCD20遺伝子を形質移入した細胞で発現されるヒトCD20の任意の変異体、アイソフォーム及び種ホモログを含む。本発明の抗体のCD20抗原への結合は、CD20の不活性化によるCD20発現細胞(例えば腫瘍細胞)の死滅を媒介する。CD20発現細胞の死滅は、次の機構の一又は複数によって生じうる:細胞死/アポトーシス誘導、ADCC及びCDC。
【0049】
当該技術分野で認識されているように、CD20の同意語には、Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu-16、Bp35、BM5、及びLF5が含まれる。
【0050】
本発明に係る「抗CD20抗体」なる用語は、CD20抗原に特異的に結合する抗体である。抗CD20抗体のCD20抗原への結合特性及び生物活性に依存して、Cragg, M.S.等, Blood 103 (2004) 2738-2743;及びCragg, M.S.等, Blood 101 (2003) 1045-1051に従い、2つのタイプの抗CD20抗体(I型及びII型抗CD20抗体)に区別できる。表2を参照のこと。
【0051】
II型抗CD20抗体の例は、例えばヒト化B-Ly1抗体IgG1(国際公開第2005/044859号に開示されるキメラヒト化IgG1抗体)、11B8 IgG1(国際公開第2004/035607号に開示される)、及びAT80 IgG1を含む。典型的には、IgG1アイソタイプのII型抗CD20抗体は特徴的なCDC特性を示す。II型抗CD20抗体は、IgG1アイソタイプのI型抗体と比較して減少したCDC(IgG1アイソタイプならば)を有している。
【0052】
I型抗CD20抗体の例は、例えばリツキシマブ、HI47 IgG3(ECACC,ハイブリドーマ)、2C6 IgG1(国際公開第2005/103081号に開示)、2F2 IgG1(国際公開第2004/035607号及び国際公開第2005/103081号に開示)及び2H7 IgG1(国際公開第2004/056312号に開示)を含む。
【0053】
本発明に係るアフコシル化抗CD20抗体は、好ましくはII型抗CD20抗体、より好ましくはアフコシル化ヒト化B-Ly1抗体である。
【0054】
本発明に係るアフコシル化抗CD20抗体は、増加した抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有している。
【0055】
「増加した抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有するアフコシル化抗CD20抗体」は、該用語がここで定義されるように、当業者に知られる任意の適切な方法により決定される増加したADCCを有するアフコシル化抗CD20抗体を意味する。一つの許容されるインビトロADCCアッセイは、次の通りである:
1)該アッセイは、抗体の抗原結合領域により認識される標的抗原を発現することが知られている標的細胞を使用する;
2)該アッセイは、エフェクター細胞として、無作為に選択された健常なドナーの血液から単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する;
3)該アッセイは、次のプロトコルに従って実施される:
i)標準的な密度遠心分離手順を使用してPBMCを単離し、5×10
6細胞/mlの濃度でRPMI細胞培養培地に懸濁させる;
ii)標準的な組織培養法により標的細胞を増殖させ、生存率が90%以上の対数増殖期に回収し、RPMI細胞培養培地中で洗浄し、100マイクロキュリーの
51Crで標識し、細胞培養培地で2回洗浄し、10
5細胞/mlの密度で細胞培養培地に懸濁させる;
iii)上記100マイクロリットルの最終的な標的細胞懸濁物を96ウェルのマイクロタイタープレートの各ウェルに移す;
iv)抗体を細胞培養培地で4000ng/mから0.04ng/mlに連続希釈し、50マイクロリットルの得られた抗体溶液を96ウェルマイクロタイタープレート中の標的細胞に添加し、上記の全濃度範囲をカバーする様々な抗体濃度で3回試験する;
v)最大放出(MR)コントロールに対して、標識された標的細胞を含むプレート中の更なる3つのウェルに、抗体溶液(上記のiv項)に代えて、50マイクロリットルの非イオン性洗浄剤(Nonidet, Sigma, St. Louis)の2%(VN)水溶液を添加する;
vi)自然放出(SP)コントロールに対して、標識された標的細胞を含むプレート中の更なる3つのウェルに、抗体溶液(上記のiv項)に代えて、50マイクロリットルのRPMI細胞培養培地を添加する;
vii)ついで、96ウェルマイクロタイタープレートを50xgで1分間遠心分離し、1時間4℃でインキュベートする;
viii)エフェクター:標的細胞の比率が25:1となるように各ウェルに50マイクロリットルのPBMC懸濁液(上記のi項)を添加して、該プレートを37℃、5%CO2のインキュベーター中に4時間配する;
ix)各ウェルから無細胞の上清を回収し、ガンマカウンターを使用して、実験的に放出された放射能(ER)を定量する;
x)特定の細胞溶解の割合を、各抗体濃度について、式(ER−MR)/(MR−SR)×100に従って計算する。ここで、ERは、各抗体濃度で定量(上記のix項を参照)された平均放射能であり、MRは、MRコントロール(上記のv項を参照)において定量(上記のix項を参照)された平均放射能であり、SRは、SRコントロール(上記のvi項)において定量(上記のix項を参照)された平均放射能である;
4)「増加したADCC」は、上記の試験された抗体濃度範囲内で観察される特定の細胞溶解の最大割合の増加、及び/又は上記の試験された抗体濃度範囲内で観察される特定の細胞溶解の最大割合の半分を達成するのに必要な抗体濃度の減少の何れかとして定義される。ADCCの増加は、上記アッセイで測定され、当業者に知られている同じ標準的な生産、精製、製剤化及び保存法を使用して同じ種類の宿主細胞により産生された同じ抗体により媒介されるものであるが、GnTIIIを過剰発現するように操作された宿主細胞により産生されたものではないADCCと比較したものである。
【0056】
前記「増加したADCC」は、前記抗体の糖操作により得ることができ、これは、Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び米国特許第6602684号に記載されたそのオリゴ糖類成分の操作によるモノクローナル抗体の前記天然の細胞媒介性エフェクター機能の亢進を意味する。
【0057】
「補体依存性細胞傷害性(CDC)」なる用語は、補体存在下での本発明に係る抗体によるヒト標的腫瘍細胞の溶解を意味する。CDCは、好ましくは、補体の存在下で本発明に係る抗CD20抗体を用いたCD20発現細胞の調製物の処理により測定される。CDCは、抗体が、100nMの濃度で4時間後に腫瘍細胞を20%以上溶解(細胞死)させるかどうかにより見出される。該アッセイは、好ましくは、
51Cr又はEu標識腫瘍細胞で、放出された
51Cr又はEuの測定により実施される。コントロールは、抗体を含まないで補体と腫瘍標的細胞をインキュベーションすることを含む。
【0058】
「リツキシマブ」抗体(参照抗体;I型抗CD20抗体の例)は、ヒトCD20抗原に対する遺伝子操作キメラヒトガンマ1マウス定常ドメイン含有モノクローナル抗体である。リツキシマブは、Asn297におけるオリゴ糖(糖)の全量のおよそ85%以上のフコース量を持ち、アフコシル化されていない。このキメラ抗体は、ヒトガンマ1定常ドメインを含み、1998年4月17日に発行され、IDEC Pharmaceuticals Corporationに付与された米国特許第5736137号(Andersen等)の「C2B8」という名称で特定されている。リツキシマブは、再発性又は難治性の低悪性度又は濾胞性のCD20陽性B細胞非ホジキンリンパ腫の患者の治療に対して承認されている。インビトロ作用機序研究は、リツキシマブがヒト補体依存性細胞傷害性(CDC)を示すことを示している(Reff, M.E.等, Blood 83(2) (1994) 435-445)。加えて、リツキシマブは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を測定するアッセイにおいて有意な活性を示す。リツキシマブはアフコシル化されていない。
【0060】
「ヒト化B-Ly1抗体」なる用語は、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に開示されたヒト化B-Ly1抗体を意味し、これらは、マウスモノクローナル抗CD20抗体のB-Ly1(マウス重鎖の可変領域(VH):配列番号1;マウス軽鎖の可変領域(VL):配列番号2−Poppema, S.及びVisser, L., Biotest Bulletin 3 (1987) 131-139を参照のこと)を、IgG1由来のヒト定常ドメインを用いてキメラ化し、ついでヒト化することにより取得された(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号を参照のこと)。これらの「ヒト化B-Ly1抗体」は、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に詳細に開示されている。
【0061】
好ましくは、「ヒト化B-Ly1抗体」は、配列番号3から配列番号20の群から選択される重鎖の可変領域(VH)を有する(国際公開第2005/044859及び国際公開第2007/031875号のB-HH2からB-HH9及びB-HL8からB-HL17)。特に好ましいのは、配列番号3、4、7、9、11、13及び15である(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB-HH2、BHH-3、B-HH6、B-HH8、B-HL8、B-HL11及びB-HL13)。好ましくは、「ヒト化B-Ly1抗体」は、配列番号20の軽鎖(VL)の可変領域を有する(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB-KVl)。好ましくは、「ヒト化B-Ly1抗体」は、配列番号7の重鎖(VH)の可変領域(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB-HH6)と配列番号20の軽鎖(VL)の可変領域(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB-KV1)を有している。更に、ヒト化B-Ly1抗体は好ましくはIgG1抗体である。本発明によれば、かかるアフコシル化ヒト化B-Ly1抗体は、国際公開第2005/044859号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2007/031875号、Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び国際公開第99/154342号に記載された手順に従ってFc領域において糖鎖操作(GE)される。アフコシル化糖鎖操作ヒト化B-Ly1(B-HH6-B-KV1 GE)が本発明の一実施態様では好ましい。そのような糖操作されたヒト化B-Ly1抗体は、Fc領域において改変されたグリコシル化パターンを有しており、好ましくは、フコース残基のレベルが低下している。好ましくは、フコース量がAsn297においてオリゴ糖の全量の60%以下である(一実施態様では、フコース量が40%と60%の間であり、他の実施態様では、フコース量が50%以下であり、更に他の実施態様では、フコース量が30%以下である)。更に、Fc領域のオリゴ糖は好ましくは2分されている。これらの糖操作ヒト化B-Ly1抗体は増加したADCCを有している。
【0062】
オリゴ糖成分は、物理的安定性、プロテアーゼ攻撃に対する耐性、免疫系との相互作用、薬物動態、及び特定の生物活性を含む、治療用糖タンパク質の効能に関連した特性に有意に影響し得る。そのような性質は、オリゴ糖の有無だけでなく、その特定の構造にも依存しうる。オリゴ糖構造と糖タンパク質機能との間のある程度の一般化を図ることができる。例えば、所定のオリゴ糖構造は、特定の糖結合タンパク質との相互作用を通じての血流からの糖タンパク質の迅速な排除を媒介する一方、他のものは抗体に結合し、望まれない免疫反応を惹起させる(Jenkins, N.等, Nature Biotechnol. 14 (1996) 975-981)。
【0063】
哺乳動物細胞は、ヒトへの応用に最も適合性のある形態にタンパク質をグリコシル化するその能力のために治療用糖タンパク質生産のための優れた宿主である(Cumming, D.A.等, Glycobiology 1 (1991) 115-30;Jenkins, N.等, Nature Biotechnol. 14 (1996) 975-981)。細菌はタンパク質を非常に希にしかグリコシル化せず、酵母、糸状真菌、昆虫及び植物細胞等の他のタイプの一般的な宿主と同様に、血流からの迅速な排除、望ましくない免疫相互作用、及びある特定の場合では、生物活性の低下に関与するグリコシル化パターンを生じる。哺乳動物細胞の中で、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、最近20年間に最も一般的に使用されている。適切なグリコシル化パターンを与えるのに加えて、これらの細胞は、遺伝的に安定で、高度に生産性のクローン細胞系の一貫した産生を可能とする。これらは、簡単なバイオリアクター中で、無血清培地を使用して高密度で培養することが可能で、安全かつ再現可能なバイオプロセスの開発を可能にする。他の一般的に使用される動物細胞は、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、NSO-及びSP2/0-マウスミエローマ細胞を含む。より最近では、トランスジェニック動物由来の生産もまた試験されている(Jenkins, N.等, Nature Biotechnol. 14 (1996) 975-981)。
【0064】
全ての抗体は、重鎖定常領域の保存位置に炭水化物構造を含み、各アイソタイプは、N結合型等構造の別個のアレイを有し、これらはタンパク質、分泌又は機能的活性に様々に影響する(Wright, A.及びMonison, S.L., Trends Biotech. 15 (1997) 26-32)。結合したN結合炭水化物の構造は、プロセシングの度合いに応じてかなり変化し、高マンノースの多重に分岐した、並びに二分岐複合体オリゴ糖を含みうる(Wright, A.及びMorrison, S.L., Trends Biotech. 15 (1997) 26-32)。 典型的には、特定のグリコシル化部位で結合したコアオリゴ糖構造の不均一なプロセシングが存在し、モノクローナル抗体であっても複数の糖形態として存在する。同様に、細胞株の間で抗体のグリコシル化において大きな差異が生じることが示されており、異なる培養条件下で増殖した与えられた細胞株に対して更に僅かな差異が見られる(Lifely, M.R.等, Glycobiology 5(8) (1995) 813-22)。
【0065】
単純な生産プロセスを維持し、有意な望ましくない副作用を潜在的に回避しながら、効力を大きく増加させる一つの方法は、Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び米国特許第6602684号に記載されるように、そのオリゴ糖成分を操作することにより、モノクローナル抗体の天然の細胞媒介性エフェクター機能を亢進させることである。癌免疫療法において最も一般的に使用される抗体であるIgG1型抗体は、各CH2ドメインのAsn297に保存されたN結合型グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。Asn297に結合した2つの複合した2分岐オリゴ糖は、CH2ドメイン間に埋まり、ポリペプチド主鎖との広範な接触を形成し、その存在は、抗体が抗体依存性細胞傷害性(ADCC)等のエフェクター機能を媒介するのに必須である(Lifely, M.R.等, Glycobiology 5 (1995) 813-822;Jefferis, R.等, Immunol. Rev. 163 (1998) 59-76;Wright, A.及びMorrison, S.L., Trends Biotechnol. 15 (1997) 26-32)。
【0066】
2分岐オリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(l,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI11(「GnTII17y」)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現が、操作されたCHO細胞により生産される抗神経芽細胞腫キメラモノクローナル抗体(chCE7)のインビトロADCC活性を有意に増加させることが既に示されている(その全内容が出典明示によりここに援用されるUmana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180;及び国際公開第99/154342号を参照)。抗体chCE7は、高い腫瘍親和性及び特異性を有するが、GnTIII酵素を欠く標準的な工業用細胞株において生産された場合、殆ど効力を有さず臨床的に有用ではない非コンジュゲートモノクローナル抗体の大きなクラスに属する(Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180)。その研究は、2分岐非フコシル化オリゴ多糖を含む、定常領域(Fc)に結合した2分岐のオリゴ糖の割合の増加をまた引き起こす、GnTIIIを発現するように、抗体産生細胞を操作することにより、天然に生じる抗体に見出されるレベルを超えて、ADCC活性の大幅な増加が達成されうることを最初に示したものである。
【0067】
ここで使用される「癌」なる用語は、リンパ腫、リンパ性白血病、肺癌、非小細胞肺(NSCL)癌、細気管支肺胞性細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚又は眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部位の癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、結腸癌、乳癌、子宮癌、輪卵管の癌、子宮内膜癌、子宮頚部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓又は尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞癌、胆道癌、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、多形性神経膠芽腫、星状細胞腫、神経鞘腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、扁平上皮細胞癌、下垂体腺腫、上記癌の任意の抵抗性のもの、又は上記癌の一又は複数の組合せを含む。好ましくは、癌なる用語はCD20発現癌を意味する。
【0068】
「CD20抗原の発現」なる用語は、腫瘍又は癌のそれぞれに由来し、好ましくは非固形腫瘍に由来する細胞、好ましくはT細胞又はB細胞、より好ましくはB細胞の細胞表面上にCD20抗原の有意なレベルの発現を示すことを意図する。「CD20発現癌」の患者は、当該技術分野で知られている標準的なアッセイにより判定されうる。例えば、CD20抗原の発現は、免疫組織化学(IHC)検出、FACS又は対応するmRNAのPCRに基づく検出を介して測定され得る。
【0069】
ここで使用される「CD20発現癌」なる用語は、癌細胞がCD20抗原の発現を示す全ての癌を意味する。好ましくは、ここで使用されるCD20発現癌は、リンパ腫(好ましくはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL))及びリンパ性白血病を意味する。かかるリンパ腫及びリンパ性白血病には、例えばa)濾胞性リンパ腫、b)小非切断細胞リンパ腫/バーキットリンパ腫(風土性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫及び非バーキットリンパ腫を含む)、c)辺縁帯リンパ腫(節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(粘膜関連リンパ組織リンパ腫、MALT)、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、及び脾臓性辺縁帯リンパ腫を含む)、d)マントル細胞リンパ腫(MCL)、e)大細胞リンパ腫(B細胞びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、びまん性混合細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管中心性肺B細胞リンパ腫を含む)、f)ヘアリーセル白血病、g)リンパ性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、h)急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、i)形質細胞新生物、形質細胞骨髄腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、j)ホジキン病を含む。
【0070】
より好ましくは、CD20発現癌は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)である。特に、CD20発現癌は、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫、ヘアリーセル白血病、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、HIV関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、又は原発性CNSリンパ腫である。
【0071】
例えば癌に適用される場合、「治療する方法」なる用語又はその等価な用語は、患者の癌細胞の数を減少させ又は消滅させるように、又は癌の症状を緩和するように設計された作用手順又は過程を意味する。癌又は他の増殖性疾患を「治療する方法」は、癌細胞又は他の疾患が実際に消滅し、細胞又は疾患の数が実際に減少し、又は癌又は他の疾患の症状が実際に緩和されることを必ずしも意味しない。しばしば、癌を治療する方法は、成功率が低くとも実施されるが、そうした方法は、患者の病歴及び推定余命を与えられると、それでもかかわらず、全体的な有益な作用過程をもたらすものとみなされる。
【0072】
「同時投与」又は「同時投与する」なる用語は、上記アフコシル化抗CD20抗体及びmTORインヒビターを単一の製剤として又は2つの別個の製剤として投与することを意味する。同時投与は、同時又は何れかの順で逐次的であり得、好ましくは、両方の(又は全ての活性成分がそれらの生物学的活性を同時に奏する期間が存在する。上記抗CD20アフコシル化抗体及びmTORインヒビターは、同時に又は逐次的に(持続的な注入を通じて静脈内(i.v.)経由でに同時投与される(一つは抗CD20抗体であり、最終的にもう一つはmTORインヒビターである)。両方の治療剤を逐次的に同時投与する場合、投薬は、同じ日に2回の別個の投与で投与されるか、薬剤の一つを1日目に投与し、第2のものが2日から7日目に、好ましくは2日から4日目に同時投与される。よって、「逐次的に」なる用語は、第1の成分(抗CD20抗体又はmTORインヒビター)の投薬後7日以内、好ましくは第1の成分の投薬後4日以内を意味し;「同時に」なる用語は同時を意味する。上記アフコシル化抗CD20抗体及びmTORインヒビターの維持用量に関して「同時投与」なる用語は、治療サイクルが双方の薬物に適している場合、例えば毎週、該維持用量が同時に同時投与されうることを意味する。あるいは、上記mTORインヒビターは、例えば1日から3日毎に投与され、上記アフコシル化抗体は毎週投与される。あるいは、維持用量が、1日以内か数日以内に、逐次的に同時投与される。
【0073】
抗体が、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医により求められる、組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する各化合物又は組合せの量である「治療的に有効な量」(又は単に「有効量」))で患者に投与されることは自明である。
【0074】
上記抗CD20アフコシル化抗体及び前記mTORインヒビターの同時投与の量及び同時投与のタイミングは、治療される患者のタイプ(種、性、年齢、体重など)及び症状及び治療される疾患又は症状の重篤度に依存する。上記アフコシル化抗CD20抗体及び前記mTORインヒビターは、適切には、1回で又は一連の治療で患者に同時投与される。
【0075】
投与が静脈内である場合、上記アフコシル化抗CD20抗体又は前記mTORインヒビターに対する初期注入時間は、続く注入時間より長くてもよく、例えば初期注入が約90分で、以後の注入が約30分でもよい(初期注入が十分に許容される場合)。
【0076】
疾患のタイプと重篤度に応じて、約1μg/kgから50mg/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)の上記アフコシル化抗CD20抗体及び約1μg/kgから50mg/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)の上記mTORインヒビターが、患者への同時投与の初期候補投薬量である。一実施態様では、上記アフコシル化抗CD20抗体(好ましくはアフコシル化ヒト化B-Ly1抗体)の好ましい投薬量は、約0.05mg/kgから約30mg/kgの範囲である。よって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、10mg/kg、又は30mg/kg(又はその任意の組合せ)の一又は複数の用量が患者に同時投与されうる。上記mTORインヒビターの好ましい投薬量は0.01mg/kgから約30mg/kg、例えば0.1mg/kgから10.0mg/kgの範囲である。患者のタイプ(種、性、年齢、体重など)と症状、及びアフコシル化抗CD20抗体のタイプに応じて、上記アフコシル化抗体の投薬量及び投与スケジュールは上記mTORインヒビターとは異なりうる。例えば上記アフコシル化抗CD20抗体は、例えば一週間毎から3週間毎に投与され得、上記mTORインヒビターは毎日又は2から10日毎に投与されうる。初期の高用量後に一又は複数の低用量をまた投与してもよい。
【0077】
好ましくは、上記ヒト化B-Ly1抗体は、6週投薬サイクルの1、8、15日目に800から1200mg、ついで5回までの4週投与サイクルの1日目に800から1200mgの投薬量で投与される。あるいは、上記アフコシル化抗CD20抗体の好ましい投薬量は8回の3週投薬サイクルまで1日目に800から1200mg(好ましくは1000mg)でありうる。
【0078】
好ましくは、上記mTORインヒビターは、リンパ腫疾患のタイプに応じて、25mg/週から175mg/週の投薬量で投与される。例えば、上記mTORインヒビターは、75mg/週の投薬量で、マントル細胞リンパ腫(MCL)に投与される。再発性及び難治性MCLでは、3週間の間、175mgで週に1回、続いて75mgを週に1回(175/75)、更なる投薬が可能である。濾胞性NHL、DLBCL及びCLLについては、例えば25mg/週の投薬量が投与される。
【0079】
好ましい実施態様では、医薬は、癌、好ましくはCD20発現癌に罹患している患者において転移又は更なる播種性転移を予防又は低減させるのに有用である。該医薬は、かかる患者の生存期間を増加させ、かかる患者の無増悪生存期間を増加させ、応答期間を増加させ、生存期間、無増悪生存期間、奏効率又は応答期間により測定される治療される患者の統計的に有意で臨床的に意味のある改善を生じせしめるのに有用である。好ましい実施態様では、医薬は患者群の奏効率を増加させるのに有用である。
【0080】
本発明の文脈において、更なる他の細胞傷害剤、化学療法剤又は抗癌剤、又はかかる薬剤の作用を亢進させる化合物(例えばサイトカイン)が、癌のアフコシル化抗CD20抗体及びmTORインヒビターの併用治療において使用されうる。かかる分子は、適切には、意図される目的に対して効果的な量で組み合わされて存在する。好ましくは、上記アフコシル化抗CD20抗体及び上記mTORインヒビター併用治療は、かかる更なる細胞傷害剤、化学療法剤又は抗癌剤、又はかかる薬剤の効果を亢進する化合物なしで使用される。
【0081】
このような薬剤は、例えば、アルキル化剤又はアルキル化作用を有する薬剤、例えばシクロホスファミド(CTX;例えばcytoxan(登録商標))、クロランブシル(CHL;例えばleukeran(登録商標))、シスプラチン(CisP;例えばplatinol(登録商標))、ブスルファン(例えばmyleran(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンC等;代謝拮抗物質、例えばメソトレキセート(MTX)、エトポシド(VP16;例えばvepesid(登録商標))、6-メルカプトプリン(6MP)、6-チオグアニン(6TG)、シタラビン(Ara-C)、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(例えばXeloda(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)等;抗生物質、例えばアクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;例えばアドリアマイシン(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン等;アルカロイド、例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチン等;及び他の抗腫瘍剤、例えばパクリタキセル(例えばtaxol(登録商標)))、及びパクリタキセル誘導体、細胞分裂阻害剤、グルココルチコイド、例えばデキサメタゾン(DEX;例えばdecadron(登録商標))及びコルチコステロイド、例えばプレドニゾン、ヌクレオシド酵素インヒビター、例えばヒドロキシ尿素、アミノ酸枯渇化酵素、例えばアスパラギナーゼ、ロイコボリン及び他の葉酸誘導体、及び類似の多様な抗腫瘍剤を含む。次の薬剤もまた更なる薬剤として使用することができる:アルニホスチン(例えばethyol(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシンリポ(例えばdoxil(登録商標))、ゲムシタビン(例えばgemzar(登録商標))、ダウノルビシンリポ(例えばdaunoxome(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えばtaxotere(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT11(イリノテカン)、10-ヒドロキシ7-エチル-カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンベータ、インターフェロンアルファ、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロランブシル。好ましくは、アフコシル化抗CD20抗体及び上記mTORインヒビター併用治療は、かかる更なる薬剤なしで、使用される。
【0082】
上述の細胞傷害及び抗癌剤並びに抗増殖性標的特異的抗癌薬、例えば化学療法レジメンにおけるプロテインキナーゼインヒビターの使用は、一般に癌治療の技術分野で充分に特徴付けられており、ここでのその使用は、幾らかの調整を施して、耐性と効能をモニターし、また投与経路と投薬量を管理するための同じ考慮事項に属する。例えば細胞傷害剤の実際の投薬量は、組織培養法を使用して決定される患者の培養細胞応答に依存して変動しうる。一般に、投薬量は、更なる他の薬剤の非存在下で使用される量と比較して低減される。
【0083】
効果的な細胞傷害剤の典型的な投薬量は、製造者によって推奨される範囲であり得、インビトロ応答又は動物モデルにおける応答により示される場合、約1オーダー分までの濃度又は量を減少させることができる。よって、実際の投薬量は、医師の判断、患者の状態、及び初代培養悪性腫瘍細胞又は組織培養組織試料のインビトロ応答性、又は適切な動物モデルで観察される応答に基づく治療方法の効能に依存する。
【0084】
本発明の文脈では、CD20発現癌のアフコシル化抗CD20抗体及び上記mTORインヒビターの併用治療に加えて、有効量の電離放射が照射され、及び/又は放射性医薬品が使用されうる。放射線源は、治療される患者に対して体外でも体内でもよい。放射線源が患者に対して体外である場合、治療は外部ビーム放射線療法(EBRT)として知られている。放射線源が患者に対して体内である場合、治療は密封小線源治療法(BT)と呼ばれる。本発明の文脈で使用される放射性原子は、限定されないが、ラジウム、セシウム-137、インジウム-192、アメリシウム-241、金-198、コバルト-57、銅-67、テクネチウム-99、ヨード-123、ヨード-131、及びインジウム-111を含む群から選択されうる。また、かかる放射性同位体で抗体を標識することもできる。好ましくはアフコシル化抗CD20抗体及び上記mTORインヒビターの併用治療は、かかる電離放射線なしで使用される。
【0085】
放射線療法は、切除不能な又は手術不可能な腫瘍及び/又は腫瘍転移を抑制するための標準的な治療法である。改善された結果は、放射線療法を化学療法と組合せると得られる。放射線療法は、標的領域に送達される高線量の放射線が、腫瘍組織と正常組織の両方の生殖細胞死を生じるという原理に基づく。放射線量レジメンは、一般に放射線吸収線量(Gy)、時間及び分割で定義され、腫腸学者により注意深く定められなければならない。患者が受ける放射線被爆量は様々な考慮事項に依存するが、2つの最も重要なことは、体の他の重要な構造もしくは臓器に対する腫瘍の位置と、腫瘍が広がっている度合いである。放射線療法を受けている患者の典型的な治療過程は、1〜6週間で、患者に投与される総線量が10〜80Gyで、1日の割合が約1.8〜2.0Gyで、週に5日間という治療スケジュールである。この発明の好適な実施態様では、ヒト患者の腫瘍が本発明の併用治療と放射線で治療される場合に相乗作用がある。換言すれば、本発明の組合せを含む薬剤による腫瘍増殖の阻害は、放射線と組合せ、場合によっては更なる化学療法又は抗癌剤を組合せられると、亢進される。アジュバント放射線療法のパラメータは、例えば国際公開第99/60023号に含まれている。
【0086】
アフコシル化抗CD20抗体は、既知の方法に従って、例えばボーラスとして静脈内投与により、又は一定時間かけての連続的注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液内、又はくも膜下経路で、患者に投与される。抗体の静脈内又は皮下投与が好ましい。
【0087】
mTORインヒビターは、既知の方法に従って、例えばボーラスとして静脈内投与により、又は一定時間かけての連続的注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液内、又はくも膜下経路で、患者に投与される。静脈内又は腹腔内投与が好ましい。
【0088】
ここで使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」は、溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、及び薬剤投与に適合する他の材料や化合物を含む医薬の投与に適合性のある任意かつ全ての物質を含むことが意図される。任意の媒体又は薬剤が活性化合物と非適合性である場合以外は、本発明の組成物におけるその使用が考えられる。補充の活性化合物もまた組成物中に導入することができる。
【0089】
薬学的組成物
薬学的組成物は、この発明に係る抗CD20抗体及び/又はmTORインヒビターを、薬学的に許容可能な無機又は有機担体とプロセシングすることによって得ることができる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を、例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣錠及び硬質ゼラチンカプセルのかかる担体として使用することができる。軟質ゼラチンカプセルのための適切な担体は、例えば植物油、ロウ、脂肪、半固形及び液体ポリオール等である。しかしながら、活性物質の性質に応じて、軟質ゼラチンカプセルの場合、通常は担体は必要とされない。溶液及びシロップの製造のための適切な担体は例えば水、ポリオール、グリセロール、植物油等である。坐薬に対して適切な担体は例えば天然又は硬化油、脂肪、半液体又は液体ポリオール等である。
【0090】
薬学的組成物は更に保存料、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変化させる塩、バッファー、マスキング剤又は抗酸化剤を含みうる。それらはまた更に他の治療的に価値のある物質を含みうる。
【0091】
本発明の一実施態様は、フコース量が60%以下であるアフコシル化抗CD20抗体(好ましくは、アフコシル化されたヒト化B-Ly1抗体)と上記mTORインヒビターの双方を含有する、癌、特にCD20発現癌の治療に使用される組成物である。
【0092】
前記薬学的組成物は、一又は複数の薬学的に許容可能な担体を更に含有しうる。
【0093】
本発明は、(i)フコースの量が60%以下である第一有効量のアフコシル化抗CD20抗体(好ましくはアフコシル化ヒト化B-Ly1抗体)と、(ii)第二有効量のmTORインヒビターを含有する、特に癌の治療に使用するための、薬学的組成物を更に提供する。かかる組成物は場合によっては薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含有する。
【0094】
本発明に従って使用されるアフコシル化抗CD20抗体単独の薬学的組成物は、貯蔵のために、所望の純度を有する抗体を任意成分の薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤と混合することにより(Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A.(編) (1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、貯蔵のために調製される。許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントにとって非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0095】
mTORインヒビターの薬学的組成物はアフコシル化抗CD20抗体に対して上述したものと同様としうる。
【0096】
本発明の更なる一実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、好ましくは、前記アフコシル化抗CD20抗体及び前記mTORインヒビターのための2つの別々の製剤である。
【0097】
活性成分はまた例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル、及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルを、コロイド薬剤送達系(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンで、例えばコアセルベーション法又は界面重合により調製されるマイクロカプセルに捕捉することができる。かかる技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A.編(1980)に開示されている。
【0098】
徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の適切な例は、抗体を含む固形親水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、該マトリックスは、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸・ガンマ-エチル-L-グルタメート共重合体、非分解性エチレン・酢酸ビニル、分解性乳酸・グリコール酸共重合体、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸・グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0099】
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜による濾過によって直ぐに達成される。
【0100】
本発明は、(i)フコースの量が60%以下である第一有効量のアフコシル化抗CD20抗体(好ましくはアフコシル化ヒト化B-Ly1抗体)と、(ii)第二有効量のmTORインヒビターを、治療を必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法を更に提供する。
【0101】
好ましくは、フコース量は40%から60%である。
【0102】
好ましくは、前記癌はCD20発現癌である。
【0103】
好ましくは、前記CD20発現癌は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)である。
【0104】
好ましくは、前記アフコシル化抗CD20抗体はII型抗CD20抗体である。
【0105】
好ましくは、前記抗体はヒト化B-Ly1抗体である。
【0106】
好ましくは、mTORインヒビターはラパマイシン、又はラパマイシンアナログ又は誘導体である。好ましくは、mTORインヒビターはテムシロリムス又はエベロリムスである。
【0107】
好ましくは、前記ヒト化B-Ly1抗体は、6週投薬サイクルの1、8、15日目に800から1200mg、ついで5回までの4週投与サイクルの1日目に800から1200mgの投薬量で投与される。好ましくは、前記mTORインヒビターは、リンパ腫疾患のタイプに応じて、25mg/週から175mg/週の投薬量で投与される。例えば、前記mTORインヒビターは、75mg/週の投薬量で、マントル細胞リンパ腫(MCL)に投与される。再発性及び難治性MCLでは、3週間の間、175mgを週に1回、続いて75mgを週に1回(175/75)の更なる投薬量が可能である。濾胞性NHL、DLBCL及びCLLでは、例えば25mg/週の投薬量が投与される。
【0108】
ここで使用される場合、「患者」なる用語は、好ましくは、何らかの目的でアフコシル化抗CD20抗体による治療を必要とするヒト(例えばCD20発現癌に罹患している患者)、より好ましくは、癌、又は前癌症状又は病態の処置を要するヒトを意味する。しかしながら、「患者」という用語は、また非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ及び非ヒト霊長類をとりわけ指す場合もある。
【0109】
本発明は、mTORインヒビターとの併用での癌の治療のための、フコース量が60%以下のアフコシル化抗CD20抗体を更に含む。
【0110】
本発明は、癌の治療に使用するためにフコース量が60%以下のアフコシル化抗CD20抗体とmTORインヒビターとを更に含む。
【0111】
好ましくは、前記アフコシル化抗CD20抗体はヒト化B-Ly1抗体である。
【0112】
好ましくは、mTORインヒビターはラパマイシン、又はラパマイシンアナログ又は誘導体である。好ましくは、mTORインヒビターはテムシロリムス又はエベロリムスである。
【0113】
好ましくは、癌はCD20発現癌、より好ましくはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)である。
【0114】
次の実施例と図は本発明の理解を助けるために提供されるもので、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載される。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順に変更をなすことができることが理解される。
【0115】
配列リスト
配列番号1:マウスモノクローナル抗CD20抗体B-Ly1の重鎖の可変領域(VH)のアミノ酸配列。
配列番号2:マウスモノクローナル抗CD20抗体B-Ly1の軽鎖の可変領域(VL)のアミノ酸配列。
配列番号3−19:ヒト化B-Ly1抗体(B-HH2からB-HH9、B-HL8、及びB-HL10からB-HL17)の重鎖の可変領域(VH)のアミノ酸配列。
配列番号20:ヒト化B-Ly1抗体B-KV1の軽鎖の可変領域(VL)のアミノ酸配列。
【実施例】
【0116】
実験手順
テムシロリムス(トリセル(登録商標))を用いたII型抗CD20抗体(B-HH6-B-KV1 GE)の併用治療の抗腫瘍活性
試験剤
II型抗CD20抗体B-HH6-B-KV1 GE(=ヒト化B-Ly1、糖操作B-HH6-B-KV1=GA101;国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号を参照)は、GlycArt, Schlieren, Switzerlandから提供された。抗体バッファーは、ヒスチジン、トレハロース、及びポリソルベート20を含んでいた。抗体溶液は先の注射のために原液からPBSで適宜希釈した。テムシロリムス(トリセル(登録商標)、25mg/ml、Wyeth Pharmaceuticals)はOncodesignから供給され、+4℃で保存し、供給者の使用説明書に従い、光から保護した。
【0117】
細胞株及び培養条件
SU-DHL-4ヒトリンパ腫細胞(DSMZ番号:ACC 495)を、加湿雰囲気(5%CO
2、95%空気)中で37℃の懸濁液として増殖させた。培養培地は、2mMのL-グルタミン(Ref BE12-702F、Batch N°8MB0056、Lonza, Verviers, Belgium)を含み、10%の子ウシ血清(Ref 3302、バッチ番号P282005、Lonza)が補填されたRPMI1640であった。細胞を血球計測器で計測し、その生存率を、0.25%のトリパンブルー排除により評価した。
【0118】
動物
5−6週齢の16−20g体重の雌のCB17 SCIDべージュマウスを、Charles River(L'Arbresle, France)から得た。処置前に我々の特定病原体除去(SPF)動物ケアにおいて7日間観察した。
動物ケアユニットは、French ministries of Agriculture and Research(agreement No A21231011)により認可されている。動物実験は、動物実験の倫理的ガイドライン(1)、及び実験的腫瘍における動物福祉の英国ガイドライン(2)に従って実施した。
【0119】
SCIDベージュマウスにおけるSC SU-DHL-4腫瘍の誘発
マトリゲル(50:50、BD Biosciences, France)を含む100μlのPBSに1千万(10
7)のSU-DHL-4腫瘍細胞が入ったものを、52匹の雌SCIDベージュマウスの右脇腹に皮下(SC)注射した。
【0120】
モニタリング
動物の体重測定、腫瘍体積、臨床及び死亡率の記録、及び薬剤処置管理を含む、全ての研究データを、Vivo Manager(登録商標)ソフトウェア(Biosystemes, Dijon, France)を使用して管理した。
イソフルラン・フォレン(Minerve, Bondoufle, France)を使用し、腫瘍細胞のSC播種前に動物に麻酔をかけ、化合物をIV注射し、屠殺した。死亡率、臨床的兆候及び行動を毎日記録した。動物の体重と腫瘍体積をモニターし、週に2回記録した。
【0121】
動物の処置
腫瘍が173±95mm
3の平均体積に達したときに、52匹の腫瘍担持ヌードマウスのうちの40匹を、10匹のマウスの4グループに分配した。処置スケジュールを以下のように選択した:
・グループ1のマウスは、4連続週の間、ビヒクルのIVボーラス注射を、週に1回受容した(Q7D×4)。
・グループ2のマウスは、4連続週の間、3mg/kg/注射で、抗CD20抗体GA101(B-HH6-B-KV1 GE)のIVボーラス注射を、週に1回受容した(Q7D×4)。
・グループ3のマウスは、各投与の間に3日の間隔をあけ、全体で10回の注射になるように、3mg/kg/注射で、トリセル(登録商標)のIP注射を、毎日1回受容した(Q3D×10)。
・グループ4のマウスは、各投与の間に3日の間隔をあけ、全体で10回の注射になるように、3mg/kg/注射で、トリセル(登録商標)のIP注射を毎日1回する(Q3D×10)のと組合せて、4連続週、3mg/kg/注射で、抗CD20抗体GA101(B-HH6-B-KV1 GE)のIVボーラス注射を、週に1回受容した(Q7D×4)。
【0122】
IVでの腫瘍増殖阻害研究
抗CD20抗体GA101(B-HH6-B-KV1 GE)単独と、トリセル(登録商標)と組合せた抗腫瘍効果を調査した。単一薬剤として注射されたトリセル(登録商標)を、参照化合物として使用した。ビヒクル処置動物からの腫瘍との比較において、SU-DHL-4腫瘍成長は、3mg/kgの抗CD20抗体GA101(B-HH6-B-KV1 GE)又はトリセル(登録商標)単独で処置されたマウスにおいて、部分的に遅延化していた。抗CD20抗体GA101(B-HH6-B-KV1 GE)プラストリセル(登録商標)の併用処置では、何れの薬剤単独と比較しても、インビボでの抗腫瘍活性が改善していた。組合せについては、腫瘍成長の遅延化値は、抗CD20抗体GA101(B-HH6-B-KV1 GE)又はトリセル(登録商標)単独の対応する用量に対するものよりも高かった。腫瘍成長は、単一薬剤グループよりも、併用処置グループの方が、一貫してゆっくりであった。
【0123】
腫瘍細胞注射から46日後において、ビヒクルグループと比較した処置グループのT/C(%)値は、抗CD20抗体GA101(B-HH6-B-KV1 GE)、トリセル、及び双方の組合せのそれぞれで、51、60及び35であった。
処置中の腫瘍体積の発達の結果を
図1に示す。