(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カップ状の閉塞性構成要素が、張力付加時点で第1の形状構成をそして前記張力の除去時点で第2の形状構成を有し、前記第1の形状構成が管であり、前記第2の形状構成は、少なくとも2つの重複するペタルで形成され、少なくとも2つの重複するペタル間の運動を可能にするように構成されたカップ状の形状である、請求項1に記載の閉塞性デバイス。
前記アンカーの少なくとも1つが、一般に遠位の方向にデバイスから離れるように延在し、デバイスと接触する第1の端部と、第2の端部を含んでいる、請求項1に記載の閉塞性デバイス。
前記アンカーの少なくとも1つが、アンカーの第2の端部の近くに湾曲部を含み、この湾曲部によって、アンカーの第2の端部は全体として近位に面するようになっている、請求項7に記載の閉塞性デバイス。
前記アンカーの少なくとも1つが、アンカーの第2の端部の近くに湾曲部を含み、この湾曲部によって、アンカーの第2の端部は全体として遠位に面するようになっている、請求項7に記載の閉塞性デバイス。
1つ以上のアンカーは、半径方向に配置された複数のアンカーのうちの隣接するアンカーの全ての対について隣接するアンカーが互いに実質的に等しく離隔されるような形でデバイスを中心として半径方向に配置された複数のアンカーを含んでいる、請求項1に記載の閉塞性デバイス。
1つ以上のアンカーが、少なくとも1つの片脚アンカーと、第1の脚部と第2の脚部を有する少なくとも1つのアンカーとを含み、第1の脚部と第2の脚部が収束してループを形成する、請求項1に記載の閉塞性デバイス。
その第1の端部でカップ状閉塞性構成要素に取付けられ、その第2の端部でハブ構成要素に取付けられている可撓性コネクターをさらに含み、1つ以上のアンカーがハブ構成要素に取付けられている、請求項1に記載の閉塞性デバイス。
延伸式フレームがアイレットを含み、さらにアイレット全体にわたり配置されたキャップ構成要素が含まれ、キャップ構成要素は送達カテーテルと結合するように構成されたボアを画定している、請求項1に記載の閉塞性デバイス。
前記カップ状閉塞性構成要素が、張力付加時点で第1の形状構成をそして前記張力の除去時点で第2の形状構成を有し、前記第1の形状構成が管であり、前記第2の形状構成は、少なくとも2つの重複するペタル間の運動を可能にするように構成された少なくとも2つの重複するペタルで形成されたカップ状の形状である、請求項24に記載の閉塞性デバイス。
1つ以上のアンカーは、半径方向に配置された複数のアンカーのうちの隣接するアンカーの全ての対について隣接するアンカーが互いに実質的に等しく離隔されるような形でデバイスを中心として半径方向に配置された複数のアンカーを含んでいる、請求項24に記載の閉塞性デバイス。
1つ以上のアンカーが、少なくとも1つの片脚アンカーと、第1の脚部と第2の脚部を有する少なくとも1つのアンカーとを含み、第1の脚部と第2の脚部が収束してループを形成する、請求項24に記載の閉塞性デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0015】
当該分野における様々な努力にも関わらず、特に左心耳内での心臓血管閉塞のための、侵襲性が最小限である方法及び付随するデバイスに対する満たされていないニーズがなおも存在している。本発明のデバイスは、様々な左心耳口部の生体構造に適合し、定着による外傷や出血のリスクを削減すると共にしっかりした堅固な定着を実証し、閉塞膜を横断する血流の急速な停止を提供する。
【0016】
本発明は、心臓を含めた患者の体内の孔、欠陥又は附属器、例えば右心耳又は左心耳、瘻孔、動脈瘤及び動脈管開存を閉塞する上で有用な閉塞性デバイス、及びその製造方法及び使用方法に関する。閉塞性デバイスは、多様な開口部幾何形状とサイズに適合するよう充分整合性あるフレームを提供する。詳細には、デバイスの実施形態は、穿孔による臨床的続発症が著しく削減されているか又は左心耳組織の外傷性穿孔の無い、堅固でしっかりした定着を提供する左心耳閉塞性デバイスを提供することができる。一部の実施形態は、膜を通る血液の通過を阻害するように、すなわち膜を通る血流を実質的に閉塞するように構成された膜構成要素を提供する。一部の実施形態は、組織の急速な内方成長を誘発するように構成され、膜を通る血液の通過を直ちに閉塞する膜を提供する。
【0017】
心房細動は、左心耳由来の血餅を結果としてもたらす可能性があり、閉塞性デバイスは本明細書中では左心耳と共に使用することに関して例示されるものの、本発明のデバイスは、右心耳に対しても使用され得、一般には、血餅が漏出するのを防ぐか又は血流を阻害するか又は実質的に削減する必要のある血管構造内を含めた体の任意のアパーチャを横断して設置するためにも使用可能である。
【0018】
一部の実施形態は、血液の通過を阻害するように構成された膜構成要素と、少なくとも部分的に膜構成要素で被覆されたカップ状閉塞性構成要素、ループ状端部を伴う1つ以上のアンカー及びハブ構成要素を有する複数のワイヤーで形成された延伸式フレームとを提供する。1つ以上のアンカーの各々は、さらにもう1つ以上のループ状の端部を有していてよく、さらに1つ以上の受動的棘を含んでいてよい。
【0019】
一部の実施形態において、ループ状の端部を伴うアンカーは片脚アンカーである。一部の実施形態において、ループ状端部を伴うアンカーは、第1の脚部と第2の脚部を含み、各脚部は第2の端部で収束してループを形成する。
【0020】
図1〜3は、(送達カテーテル内に格納された時に有すると考えられるような、あるいはそれほどではないにせよ、心耳内部で有すると考えられるような)いかなる直径方向の拘束も無い完全に展開された状態で示されたデバイス100を3つの異なる角度から見た斜視図である。
図4は、デバイス100の近位端部のカップ状の凹形側を覗き込んだデバイス100の端面図である。
【0021】
デバイス100は、以下でさらに記述する多数の個別長の可撓性で耐疲労性のワイヤー101から製造可能である。一部の実施形態においては、デバイス100の近位端部は近位アイレット114を有することができ、近位アイレット113がデバイス100の遠位端部に隣接して位置設定されている。管腔は、両方のアイレット113、114を通りかつデバイス100の長さを通して延在できる。デバイスは同様に、近位端部に隣接して位置設定された閉塞性構成要素104及び、反対側の遠位端部に位置設定された1つ以上のアンカーを有することができ、閉塞性構成要素と1つ以上のアンカー106はハブ110によって分離されている。閉塞性構成要素104は、各々ワイヤー101の長さの一部分から形成された延伸式フレームを有する多重ペタル112を含むことができる。各ペタル112は、延伸式フレーム102により支持されている膜構成要素109で被覆されるか又は実質的に被覆され得る。一部の実施形態においては、全ての多重ペタル112を実質的に被覆するために、単一の膜被覆材109を使用することができる。
【0022】
一部の実施形態において、1つ以上のアンカー106及び/又は棘211は、左心耳の壁又は本体と接触する。一部の実施形態において、アンカー及び/又は棘の間の接点は、左心耳内部の心内膜表面である。一部の実施形態において、1つ以上のアンカー及び/又は棘は左心耳の心内膜表面内に貫入するものの、他の一部の実施形態では、心内膜表面への貫入は全く存在しない。一部の実施形態において、デバイスの一部のアンカーは心内膜表面に貫入するが、デバイスの他のアンカーは心内膜表面に貫入しない。一部の実施形態において、デバイスの一部の棘は心内膜表面に貫入するが、デバイスの他の棘は心内膜表面に貫入しない。一部の実施形態において、1つ以上のアンカーは、心内膜表面の梁状突起と接触する。
【0023】
一部の実施形態において、1つ以上のアンカー106は、ワイヤー101の長さの一部分から形成される。一部の実施形態においては、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上又は9個以上のアンカーがデバイス100を安定化しかつ/又はしっかりと固定する。アンカーのさらなる例を以下に提供する。
【0024】
一部の実施形態において、1つ以上のアンカー106は、ループ状端部107を有し、個々のアンカー106の一部分にわたり膜被覆材108を備えている。
図1〜4は、閉塞性デバイス100の一実施形態を示す。デバイス100の一部の実施形態において、デバイスは延伸式フレーム102を伴って製造されている。延伸式フレームは近位アイレット114と遠位アイレット113を含み、カップ状閉塞性構成要素、1つ以上のアンカー、及び閉塞性構成要素と前記1つ以上のアンカーの間に位置設定されたハブ構成要素を含む。延伸式フレーム102は、利用分野に適した任意のサイズで形成され得る。典型的には、ヒトの左心耳口部のサイズは約10〜約32mmであり、平均は約21mm±約4mmである。デバイスのサイズは、口部のサイズ範囲全体を包含するように製造され得る。延伸式フレーム102は、任意の数の耐疲労性ワイヤー101から製造され得る。一部の実施形態においては、例えば4本、5本、6本、7本、8本、9本又はそれ以上という多数のワイヤが、デバイスの製造に使用され。延伸式フレーム102は、弾性特性を有するワイヤー、例えば耐疲労性ワイヤで製造される。一部の実施形態において、延伸式フレーム102は、カテーテル系での送達又は胸腔鏡下での送達のために延伸式フレーム102を圧潰させ次にひとたび腔内に位置づけされた時点で所望の形状構成へと自己延伸させることができるようにする弾性特性を有するワイヤーで製造されている。弾性ワイヤは、バネ線、形状記憶合金ワイヤ又は超弾性合金ワイヤであり得る。生体適合特性を有し強く、可撓性で弾力のある任意のワイヤを使用することができる。ワイヤは、例えば、ニチノール(NiTi)、L605鋼、ステンレス鋼、又は他の任意の生体適合性ワイヤであり得る。弾性ワイヤは、コアに異なる金属を含む延伸−充填(drawn−filled)タイプのニチノールのものでもあり得る。ニチノールは、その超弾性特性のため、この利用分野のために有用な材料となっている。ニチノールワイヤは、所望の形状にヒートセットされ得る。ステンレス鋼ワイヤは代替的な材料である。これを所望の形状に変形することが可能である。芯なし研削技術を用いて様々な直径を有するように形成されるワイヤも同様に使用可能である。他の形状記憶又は可塑変形可能な材料も、この利用分野において好適であり得る。
【0025】
一部の実施形態において、延伸式フレーム102は、中心に白金などのX線不透過性材料を含む延伸−充填タイプのNiTiワイヤで製造され得る。展開時点で、ワイヤ構造は、永久変形無くその展開形状を回復する。
【0026】
延伸式フレーム102及び延伸式フレームの他の実施形態は、約0.12〜約0.4mmの外径(OD)を有する弾性ワイヤ材料から形成され得る。他の実施形態は、約0.2〜約0.3mmのODを有するワイヤから形成され得る。
【0027】
本明細書で使用されている「約」という用語は、所与の値の+/−5%又は+/−10%に包含される範囲に入る値を意味する。
【0028】
形成された時点で、延伸式フレーム102は、近位アイレット114、遠位アイレット113、カップ状閉塞性構成要素104、ハブ構成要素110及びアンカー要素106を含む。カップ状閉塞性構成要素104は、左心耳を有効に封止するか又は閉塞するように設計される。本明細書中で使用される「カップ状」とは、デバイス100が拘束なく展開した場合に見られる閉塞性構成要素104が平面的でないことを意味する。閉塞性構成要素104のカップ状の形状は、左心耳口部の縁部周囲の封止ならびに心臓の左心房の側壁に対する貼付を増強するように構成されている。カップ状閉塞性構成要素104は、デバイスのサイズ決定における汎用性を可能にしかつ左心耳口部内のデバイスの自己心出しを促進する凹形又は凸形の形状構成を有する。凹形形状構成を有する閉塞性構成要素104が
図1〜4に示されている。凸形形状構成を有する閉塞性構成要素104が
図6に示されている。
【0029】
閉塞性構成要素104は多重ペタル112、すなわち、少なくとも2枚のペタル、そして一部の実施形態においては5枚以上のペタルを含む。一部の実施形態において、多重ペタルは、閉塞性構成要素内に奇数で存在する。閉塞性構成要素104は、均一に離隔された多重ペタル112を含む。一部の実施形態において、多重ペタルは均一に離隔されている。すなわち各ペタル112の頂点は、閉塞性構成要素104の外周に沿って等しく離隔されている。一部の実施形態において、個別のペタルは、膜構成要素の抑制力の中で互いに独立して移動する。多重ペタル112でできたカップ状閉塞性構成要素104を製造することにより、非円形オリフィスに対するデバイスの適合性は増大し、これにより有効な組織貼付及び封止が提供される。多重ペタル112は同様に、体の組織に加わる半径方向力の均一性を増大させ、こうして安全性は増加する。
【0030】
延伸式フレーム102の既定の弾性ワイヤ形状構成により、フレームは展開中に捩れることができる。この捩れがペタル112を形成する。展開したペタル112は、延伸式フレーム102の外径120を形成する。展開したペタル112は、膜構成要素109で被覆された時点で、カップ状閉塞性要素を形成する。一部の実施形態において、ペタル112は、封止品質を改善するための重複するゾーンを有するように形成される。ペタル112の半径及び形状は、弾性ワイヤ内の鋭い曲げ角度を最小限におさえかつペタル112の支持無し区分を最小限におさえてデバイスの封止品質を改善し、ワイヤ内の曲げ疲労を低減させ、デバイス装填力の削減を補助するために、最適化され得る。
【0031】
実施例1に記述されている実施形態において、デバイスの製造中、(
図11に示されている)ペタル冶具38の外部表面と中心ピン22との間の最長距離は、閉塞性構成要素の半径を確立する。一部の実施形態においては5枚のペタルが存在するが、一部の実施形態においては2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚又は8枚以上のペタルが存在する。一部の実施形態においては、ペタルのうち少なくとも1枚が膜構成要素109で被覆されて、ペタル内の血液の通過を阻害する。一部の実施形態においては、各ペタルは少なくとも部分的に膜構成要素で被覆されている。一部の実施形態においては、各ペタルは、膜構成要素で全面的に被覆されている。デバイスの適正な位置づけ及び封止は、カップ状閉塞性要素104により促され、デバイスを通る又はその周囲の血流を阻害する。
【0032】
デバイスの一部の実施形態は、デバイスの全長にわたり延在する多数のワイヤを用いて製造され、こうして一部品の延伸式フレームが結果としてもたらされる。代替的には、ハブ110において遠位部分に近位部分を接合することによって、例えば二部品デバイスなど、デバイスの多部品実施形態を製造することができる。二部品構造を作り出す上で、近位部分及び遠位部分を、様々な形で連結することができる。近位部分は、閉塞性構成要素、近位アイレットそして任意にはハブを含むことができる。遠位部分は、1つ以上のアンカー、遠位アイレットそして任意にはハブ構成要素を含み得る。近位部分と遠位部分は、例えば、2つの部品を接合するために被包され、その後耐久性あるボンドを作り上げるように加熱される、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)でコーティングされた延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを用いて接合され得る。一部の実施形態において、部品は、1つの部品を他の部品内に螺入又はプレス嵌めする同心的嵌合せによって接合される。一部の実施形態においては、二部品構造が使用され、ここで、各部品は異なるワイヤータイプ又は直径で作り上げられている。例えば、一部の実施形態において、閉塞性要素よりも高い剛性をもつアンカー要素を有するように、デバイスを調整することができる。すなわち、近位部分を作り上げるのに使用されるものよりも剛性の高い(例えば直径の大きい)ワイヤーを用いて、遠位部分を製造することができる。
【0033】
近位部分と遠位部分は同様に、2つの要素間の可撓性コネクター領域124で連結され得る。このような実施形態においては、近位部分は、血液の通過を阻害するように構成された膜構成要素と、少なくとも1つの可撓性コネクター及び/又はハブにより1つ以上のアンカー106を有する遠位部分に連結された、膜構成要素で少なくとも部分的に被覆されたカップ状閉塞性構成要素104を有する複数のワイヤから形成された延伸式フレームと、を有する。このようなコネクターは、ヒンジ、バネ及び継手を含むことができる。
【0034】
一部の実施形態において、可撓性コネクター領域124はハブ110又はその下に位置づけされている。一部の実施形態において、コネクター構成要素は、近位部分と遠位部分の間でワイヤをバネ様の形状構成に巻回することによって製造される。バネ様の形状構成は、カップ状閉塞性要素104の遠位部分に1つのアイレット142をそしてアンカー構成要素106の近位部分にアイレット144を形成するような形でワイヤを巻回することによって形成され得、追加の巻線140が
図15Aに示されているように2つのアイレット142、144の間にある。
【0035】
図15Bは、可撓性コネクターが挿入される空間を示すために分離されている、カップ状閉塞性要素の遠位部分にあるアイレット142とアンカー要素の近位部分にあるアイレット144を伴う形状構成をさらに例示する縦断面図である。このとき、中間バネ様部分の性能特性を変更するために、追加の巻線142のワイヤを切り取ることができる。バネ様の中心区分も同様に、アイレットを全く形成せずにアンカー構成要素内にカップ状閉塞性要素から直接ワイヤを巻回することによって形成され得る。
図15C及び15Dに示されているように、バネ様コネクターをカップ状開塞性部材及びアンカー構成要素とは別個に形成して、カップ状閉塞性要素の遠位部分にあるアイレット142とアンカー要素の近位部分にあるアイレット144全体の上か又はアイレット142及び144の内径上のいずれかでの締り嵌めによって、各々にしっかり固定され得る(
図15Cには144は示さず)。この連結は、例えば接着剤又は粘着テープを含めた締結具を追加することによって増強される。
【0036】
一部の実施形態において、可撓性ワイヤコネクターは、
図16Aに示されたペタル112を形成するワイヤから形成されており、ここで関節矢印(articulation arrows)146は、デバイスをその長手方向軸線に沿って湾曲させることができるということを表わしている。この形状構成では、可撓性ワイヤはペタル112から可撓性コネクター領域124を通って連続し、アンカー構成要素106まで続いている。このような形状構成は、一部の実施形態において、
図16Bに示されているように、可撓性コネクター領域124のまわりにゆるく嵌合わされた拘束手段又は可撓管148を含むことができる。拘束手段は、可撓管について本明細書中で記述された通り任意の好適な材料で製造されていてよい。
【0037】
コネクター構成要素は、例えば
図17A及び17Bに示された通りのチェーンリンク連結のものと類似した連結を形成する2つのワイヤループ126で構成され得る。ワイヤループ126は、例えば任意の適切な接着剤によってか、溶接によって、又は機械的連結によって、アイレットの中にしっかり固定されてよい。代替的又は付加的には、ワイヤループ126を、アイレットを形成するワイヤのうちの1つ以上で形成してもよい。チェーンリンクタイプの連結は、
図17Bに示されているように可撓性スリーブ128によって被覆されてよく(おおよその動作範囲は矢印127によって表わされている)、あるいは
図17Aに示されているように被覆無しで放置されてよい。このようなスリーブ128のために使用される材料は、可撓管コネクターに関して以下に列挙されているもののような適切な生体適合性及び疲労性能特性を有する任意の材料であり得る。
【0038】
可撓性コネクター領域124は、ビーズ付きチェーン130連結で構成され得る。コネクター構成要素は、
図18Bに示されている通りの可撓性ビーズ付き管130であり得る。
図18A〜18B、18D〜18Gに示されているように、ビーズ付きチェーンタイプの連結は、可撓性ビーズ付きチェーン130で製造されるか又はニチノール編組132から製造され得る。一部の実施形態において、編組チェーンは、可撓性ビーズ付きチェーン130及びニチノール編組132の複合材料である。ニチノール編組132は、編組の内部に任意の数の離隔した転がり軸受又は他の製造補助器具を挿入し次に構造を熱処理することによって、「ビーズ」タイプの構造(135、136)にヒートセットされてよい。結果として得られる形態は、ビーズ付きチェーン132の形態をまねたものであるが、張力を受けると、ビーズ形態の拡張又は延長に起因してより小さい均一の外径を有する。このような処理の結果としてもたらされるビーズは、
図18F〜18Gに示されているような様々なサイズ136にすることができる。
【0039】
図18C及び
図18Hに示されている通りのコイルタイプの可撓性コネクター138を、可撓性コネクターとして使用してよい。このようなコネクターは、任意の好適な材料から形成され得る。一部の実施形態において、このようなコネクターは、カップ状閉塞性要素104及びアンカー106を形成するために使用されるものと類似のニチノールワイヤで形成される。コイルタイプのコネクター138は、カップ状閉塞性要素142の遠位部分にあるアイレット及びアンカー要素144の近位部分にあるアイレットのピッチ及び直径と一致する直径及びコイルピッチを有し、それを両方のアイレット142及び144の内部又は上にしっかりと固定するように構成され得る。このようなコネクター138は、
図18Hに示されている触覚フィードバック及び長さ調整を提供する目的で、以下で記述する通りに使用可能であると考えられる。
【0040】
一部の実施形態において、可撓性コネクターは、管状のバネ様の形状構成に巻回されたワイヤで構成される。一部の実施形態は、2個以上、4個以上、6個以上又は8個以上の糸線(filar)の使用を含む。一部の実施形態において、使用される糸線ワイヤは0.1mm〜約0.3mmの外径を有する。一部の実施形態において、可撓性コネクターは平坦なワイヤで作られる。一部の実施形態において、可撓性コネクターは、相対するピッチ方向に走る平坦なワイヤの内径及び外径層などを含む多層構成体である。一部の実施形態において、可撓性コネクターは、編組を伴う平坦なワイヤを含む構成体である。
【0041】
図18A〜18Hに示された可撓性コネクターは同様に、カップ状閉塞性要素の遠位部分にあるアイレット142とアンカー要素の近位部分にあるアイレット144の間の長さを変えるためにも使用してよい。一部の実施形態において、ビーズ付きタイプの可撓性チェーンコネクター(135、136)は、互いから画定された公知の長さのところにセットされ、こうしてデバイスの中央の長さを調整しながら触覚フィードバックが提供され得る。このようなシステムは、
図18Gに示されており、長さ調整の間触覚フィードバックを提供する目的で内部突出部分133を有するように構成されたアイレット142及び/又は144のうちの1つの内径の中に挿入されたハイポチューブ131又は他の好適な可撓性材料の一区分を含んでいる。一部の実施形態において、デバイスは、回転柔軟性及び/又は長さ調整可能性を付与するように構成される。例えば、
図18G中に示されているデバイスの一部の実施形態は、移植を行なう臨床医が実施する操作の結果として130にある離散的ビーズが変形可能なゲート133を通過するにつれて、長さの調整を可能にする。一部の実施形態において、138のコイルが144でネジ山を通過するスクリュータイプの機序を用いて長さを調整することもできる。一部の実施形態において、可撓性コネクターは、回転柔軟性ならびに長さ調整可能性の両方を付与する。
【0042】
可撓管は、任意の好適なポリマーであり得る。一部の実施形態において、管はePTFEである。
図19A〜19Bで示されているように、ePTFEで作られたこのような可撓管150は、カップ状閉塞性要素の遠位部分にあるアイレット142とアンカー要素の近位部分にあるアイレット144(図示せず)の全体にわたり連結され、本明細書中に記載されている通りの様々な手段を用いてしっかり固定され得る。一部の実施形態において、ePTFE管は、1つ以上の高密度化部分を有する。管は、編成ポリマー管、ストランド又はストランデッドロープであり得る。管は同様に、
図20Bの縦断面図で例示されている通り、押出しPTFE、強化シリコーン153(
図20A)又は螺旋巻きPTFEフィルムなどの(ただしこれらに限定されない)収縮管材料152から形成されてもよい。補強部材151は、L605、SST、316Lなどの任意の生体適合性金属で製造され得る。収縮管材料152は、締まり嵌め又は圧力嵌めによってか又は任意の適切な接着剤を用いて、アイレット142及び144に接着されてよい。管は、ベンディングストロー中のものに類似する蛇腹を有していてよい。蛇腹は、金属管又はポリマー管のいずれかの中に組込まれ得る。金属管154は、
図20C〜20Dに示されているように螺旋状に巻回されたフィラメントの1つ以上の層を伴う、螺旋状に巻回された中空管であり得る。金属管154は同様に、
図15Eに示された様々なパターンのカットされたハイポチューブでもあり得る。このような管は、カップ状閉塞性部材とアンカー構成要素のアイレット142及び144に対する取付けを容易にするために、片端又は両端部にフランジ156を有するように構成されてよい。
【0043】
一部の実施形態において、可撓性コネクターは、閉塞用デバイスとアンカー構造のアイレットを通して突出している。一部の実施形態において、可撓性コネクターは、ハイポチューブの端部に組立てられたキャップを含む。一部の実施形態において、キャップは、可撓性コネクターに溶接され、恒久的に取付けられている(例えば強力瞬間接着剤、FEPなど)。一部の実施形態において、エンドキャップは、そのそれぞれのデバイスの端点を通過するデバイス構成要素(すなわちペタル支持体及びアンカー)の運動を妨げるが、デバイスの長手方向軸線に沿った運動ならびにデバイスの長手方向軸線を中心とした回転の両方を可能にする。一部の実施形態において、可撓性コネクターは、デバイスの遠位端部の構成要素がデバイスの近位端部の構成要素と干渉するか、これと擦れ合うか、又はこれに接触するのを妨げるための内部スペーサを含む。一部の実施形態において、内部スペーサは、物理的スペーサーであるか又はデバイスの長手方向軸線に沿った構成要素の運動範囲を限定するための研磨された表面である。
【0044】
一部の実施形態において、可撓性コネクターはハイポチューブである。一部の実施形態において、ハイポチューブは、約0.06’’〜約0.08’’の外径を有する。一部の実施形態において、ハイポチューブは、約0.1mm〜約0.2mmの壁厚を有する。一部の実施形態において、ハイポチューブは、2.2lbs(10N)の引張り荷重に耐えることができる。
【0045】
一部の実施形態において、可撓性コネクター158は、
図20Eに示されているようなシリコーン又はウレタンなどの可撓性材料で形成されている。このコネクターは、すきま嵌めを有することができ、こうして、カップ状閉塞性要素の遠位部分にあるアイレット142及びアンカー要素の近位部分にあるアイレット144の中に通すことができるようになっている。それは、、熱成形フランジ162又は取付けキャップ160のいずれかを用いることで、所定の場所にしっかりと固定され得る。一部の実施形態において、形状構成は、アンカー構成要素又はカップ状閉塞性要素の1方又は両方の互いに独立した回転を可能にする。
図20Gに示す通り、オーバーモールドタイプの可撓性コネクター164を形成するために、シリコーンを使用することもできる。アイレット142及び144におけるこのようなコネクターの取付けは、例えば典型的なオーバーモールドプロセスを介したものであってよい。
【0046】
代替的形状構成166が
図20Fに示されている。前述したものと類似の要領で、シリコーン又はウレタン成形インサートを挿入し取付けることができる。このようなインサートは、可撓性継手において増大した直径を有するかもしれない。
【0047】
可撓性コネクター要素は、
図20Hに示されたボール及びソケット形状構成などの自在継手でもあり得る。雌ソケット構成要素168は、本明細書中に記載されている任意の好適な手段により、カップ状閉塞性要素142の遠位部分にあるアイレットの内部にしっかりと固定されるか又は取付けられてよい。ボール及びシャフト170は、雌ソケット構成要素168の内部に嵌合わされ、自在継手全体は、可撓性スリーブ172によって被覆されている。可撓性スリーブ172は、本明細書中に記載されている任意の可撓性スリーブであり得る。
【0048】
一部の実施形態において、可撓性コネクターのうちの1つ以上は、ネジ込みキャップ174及び180(
図21A及び21Bに図示)を使用して、アイレット142又は144又はその両方に固定又は取付けされ得る。ネジ込みキャップのうちの1つ以上を、例えばアイレット142及び144のものと整合したピッチのコイルを伴う多重ネジ山幾何形状を有するネジ込み式インサート176を用いて、可撓管178に固定してよい。このような形状構成は、カテーテル取付け又はデバイスの位置設定又はキー留めのために使用可能である。ネジ込みキャップ180は、ネジ込みキャップ174のものと類似の要領で構成されている。ネジ込み式インサート184は、アイレット142又は144の内径上に設置され、ネジ込みキャップ180をアイレット142及び144にしっかりと固定するためにフランジ182が使用される。
【0049】
一部の実施形態において、可撓性コネクターは、圧縮バネで製造されている。
図22Aに示されているように、デバイスのアイレットの内径を通してバネを挿入できるように、すきま嵌めを伴って、圧縮バネ186を製造することができる。
図22Aは、明確さを期してコネクター部分を断面図で示している。バネ構成は、所望の可撓性を達成するためのワイヤ又は糸線の直径及びワイヤ又は糸線の数量を含めることができる。この例において、コイルは、保持用キャップ190を用いて所定の場所に保持され、このキャップは、一部の実施形態において、接着剤又はスクリュータイプの嵌合せにより圧縮バネに接着されよい。要素188は、収縮チューブ材料、PTFEフィルム構成体、シリコーン又は他の任意の好適な材料で製造可能な可撓性カップリングである。このようなカップリングは、前述の通り、蛇腹を伴って製造され得る。シリコーン製の場合、可撓性カップリング188は、ワイヤ又はストランデッドワイヤ構成体などの金属で任意に補強され得る。このようなワイヤ又は補強は、L60S、SST、316Lなどの任意の生体適合性金属で製造され得ると考えられる。
【0050】
図22B及び22Cに示されているように、上述の圧縮バネ形状構成に対する代替的形状構成は、圧縮バネ186の代りにコード又はフィラメント192を有することができる。エンドキャップ190は、フィラメントの通過及び固定を可能にするための孔を伴って形成され得る。代替的には、
図22Cに示されているように、コード又はフィラメント192は、アイレット142、144の管腔に通すことができ、例えば結び目194によってしっかりと固定され得る。
【0051】
デバイス100は、送達シース117内部に同心的に位置設定された送達カテーテル115を含むカテーテルシステムを通して血管内で送達され得る。デバイス100は、複数の方法により送達シース内に装填することができる。1つの方法は、送達カテーテル115上にデバイス100を装填し、アンカー106をまっすぐに引っ張り、アンカーとは反対方向にカップ状閉塞性構成要素104を圧潰し、その後デバイスと送達カテーテル115を
図7に示されている送達シース117内に挿入することである。別の方法は、送達カテーテル115上にデバイス100を装填し、カップ状閉塞性構成要素104を圧潰し、カップ状閉塞性構成要素104と同じ方向にアンカー106を圧潰するか又は押し潰し、その後送達カテーテル115上のデバイスを送達シース117内に装填することである。別の送達方法は、送達カテーテル115に沿ってカップ状閉塞性構成要素を延在させ、前述の通りにアンカー106を折畳むか又は押し潰し、その後送達カテーテル115上のデバイス100を
図8に示されている送達シース117内に装填することである。一部の実施形態において、デバイスは、当業者にとって公知のガイドワイヤー上での送達という高速交換又は他の方法を用いて、ガイドワイヤ119上で送達される(例えばYockに対する米国特許第5,040,548号(U.S.Pat.Nos.5,040,548)、同第5,061,273号(5,061,273)、同第6,165,197号(6,165,197)及びBonzelに対する米国特許第4,762,129号(U.S.Pat.No.4,762,129)を参照のこと)。一部の実施形態において、送達向けに位置している場合、デバイス100のアンカーは、送達カテーテル115の遠位端部に向かって位置づけされ、デバイス及び送達カテーテル115の両方共がシース117の遠位端部で送信シース117内に位置づけされる。
【0052】
一部の実施形態において、デバイスの展開は、恒常な場所に保持されている送達シース117から外にデバイスと送達カテーテル115を押し出すことによって達成可能である。一部の実施形態において、送達は、送達カテーテル115上に装填されたデバイスの場所を維持しながら、送達シース117を引き抜くことによって達成できる。一部の実施形態においては、カップ状閉塞性要素104の展開のための送達シース117の引き戻しとアンカー106からの送達カテーテル115の押し出しの組合せを、企図することができる。これらの展開方法の各々において、アンカー106が最初に展開し、その後カップ状閉塞性要素104が口部の内部で展開しぴったり収まることになる。当業者であれば、他の展開方法も企図できる。送達のためには、キー付きマンドレル又は送達カテーテルを使用することができる。このような形状構成では、デバイスの管腔は、展開中のデバイスの制御を改善するようにマンドレル又はカテーテルの形状に一致するよう整形され得る。デバイスは、予備整形され、位置づけ可能、湾曲可能又は操縦可能な市販の送達シース及び/又はカテーテルと共に使用するために適応可能である。
【0053】
一部の実施形態において、アイレットキャップ212は、適切なサイズをもつ送達カテーテル115(図示せず)がキー付きボア213でアイレットキャップ212と結合するような形で、キー留めされる(
図26参照)。代替的な展開スキームには、アンカーを抑制した状態に保ちながら、左心房内で閉塞性構成要素を展開することが関与する。このとき、デバイスは、カップ状閉塞性構成要素が口部に貼付するまで前進させられ、その後アンカーは展開される。この展開シナリオでは、送達カテーテル115上にデバイスを装填するために、前述の方法が使用されるものと考えられる。
【0054】
一部の実施形態において、デバイスは、左心耳口部の部位への送達後に再度位置づけ又は回収できるように構成される。回収コードを、送達カテーテル115の近位端部から、管腔を通って、近位アイレット114を通ってループ状にし、そして再び膜構成要素109を通って、オペレータがコードを操作できる送達カテーテル115の近位端部に向かって連続的に戻すことができる。回収コードは、充分な強度及びサイズの任意の生体適合性材料で製造可能である。このような材料には、フルオロポリマー及び延伸フルオロポリマーならびにそれらの組合せ、例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が含まれる。回収コードは、デバイスが部分的に展開した時点で、デバイスの再位置づけを補助するために使用可能である。これは、送達カテーテル115の近位端部から回収コードの両端部をその出口で穏やかに引張ることによって達成できる。回収コードは同様に、デバイスが完全に展開した時点でデバイスを回収するためにも使用可能である。完全に展開したデバイスは、展開又は送達カテーテルから離脱させられたデバイスである。回収コードは、展開中デバイスの近位アイレット114を通してループ状にとどまり、必要な場合、展開後に送達シース117の内にデバイス全体を引き戻すために使用することができる。
【0055】
図1〜4及び
図6に示されている通り、膜構成要素109は、血液の通過を阻害するように構成されている。実施形態は、膜を通した血液の通過を阻害するように、すなわち膜を通した血流を実質的に閉塞するように構成された膜構成要素109を提供することができる。一部の実施形態は、急速な組織の内方成長を誘発するように構成され膜を通した血液の通過を直ちに又は急速に閉塞する膜構成要素109を提供することができる。一部の実施形態において、膜構成要素109は、血液又は体液のために、膜を通る血液又は体液の流れを閉塞しなおかつ組織の内方成長及び内皮化を促進する不透過性膜を提供する。このような実施形態は、延伸ポリテトラフルオロエチレンポリマーなどのフルオロポリマーを含むことができる。一部の実施形態において、膜構成要素109を横断する血液又は体液の通過の阻害は即時に起こり、血栓性プロセスに依存していない。膜構成要素109は同様に、デバイスの耐久性ある閉塞及び定着のための組織内方成長足場としても役立つことができる。膜構成要素109のマクロ多孔性構造は、組織内方成長及び/又は内皮化を促進するように調整可能である。膜構成要素109は、一部の機械的又は物理的特性を増強するため様々な化学的又は物理的プロセスにより修飾され得る。親水性コーティングを膜構成要素109に塗布してその濡れ性を促進することができる。さらに、物理化学的修飾を利用することもでき、これによると、膜構成要素109は、内皮細胞の付着、移動及び/又は増殖を促進するか又は血栓形成耐性を付与するための化学的部分を含んでいる。共有結合によって付着されたヘパリンで修飾された表面が、膜修飾の1つの非限定的な例である。一部の実施形態において、膜には、治ゆ反応を改善するか又は組織の炎症を低減させるためのその場で放出される1つ以上の原薬が含浸されている。一部の実施形態において、原薬は、コルチコステロイド、ヒト成長因子、抗有糸分製薬、デキサメタゾンリン酸ナトリウム及び抗血栓剤からなる群から選択される。
【0056】
膜構成要素109は、フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン及び延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、シリコーン、ウレタン、又は他の生体適合性ポリマー及びそれらの組合せを含めた任意の生体適合性材料で製造され得る。一部の実施形態は、フルオロポリマー例えばポリテトラフルオロエチレン又は延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む膜構成要素を含む。一部の実施形態において、膜構成要素は延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む。
【0057】
本発明のハブ構成要素110の一部の実施形態は、ニチノールワイヤ及び膜の複合材料で製造されている。一部の実施形態において、ハブ構成要素110はワイヤで製造されている。ハブ構成要素の複合材料実施形態の製造については、以下の実施例において詳述する。デバイスの一部の実施形態は、延伸式フレームの中心軸線に沿って又はこれと平行に延在する管腔122を含む。一部の実施形態において、左心耳などの体腔内での同軸整列を容易にするため直径約0.9mmのガイドワイヤの通過を可能にするように、管腔のサイズを決定することができる。管腔は、近位アイレット114、カップ状閉塞性構成要素104、ハブ構成要素110、アンカー構成要素及び遠位アイレット113の中を通過する。管腔122は、近位アイレット114、閉塞性構成要素104、ハブ構成要素110、アンカー構成要素及び遠位アイレット113といった要素の各々を通って中空中心コアを形成するために、中心ピン22のまわりにワイヤを巻回することによって形成され得る。一部の実施形態において、管腔122は、緊急の封止評価を容易にするため、設置されたデバイスの背後での蛍光透視造影剤の注入を可能にする。
【0058】
ハブ構成要素110の一部の実施形態は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又は様々な可撓性フルオロエラストマなどのフルオロポリマーと共に保持された多数のニチノールワイヤー構成要素で製造することができる。一部の実施形態において、可撓性の間在要素と合わせて保持された多要素構造は、閉塞性要素とアンカー要素の間の連接を可能にし、こうしてより安全で、より安定し、より有効な閉塞を容易にする潜在性をもつ。一部の実施形態において、ハブ構成要素110は、被覆材を伴って又は伴わずにニチノールなどの連続ワイヤで製造され得る。
【0059】
一部の実施形態において、1つ以上のアンカー106は、遠位方向に延在しかつアンカーの端部には近位に方向づけされた小さな回旋又は湾曲部を含みながら、外向きに放射状に又は半径方向に広がる多数のワイヤで構成されている。一部の実施形態において、アンカーは、ループ状のワイヤ(
図1〜4及び6参照)又は個別のワイヤー放射(
図5B及び5C参照)で構成されている。一部の実施形態において、ループの近位回旋を、1つ以上のアンカーの外向き放射角に対しほぼ垂直に形成させることができる。一部の実施形態において、アンカー106のうちの1つ以上は、裸である。一部の実施形態において、アンカー106のうちの1つ以上は全体的に又は部分的に膜108により被覆されている。一部の実施形態において、アンカーは膜により実質的に被覆されていない(例えば
図8参照)。一部のデバイスでは、裸のアンカーと被覆された/部分的に膜被覆されたアンカーとの組合せが存在する。一部の実施形態においては、ループ状アンカー106の膜108が、アンカー脚部が、装填、展開、回収及び再展開の間に絡んだ状態となるのを防ぐ。一部の実施形態においては、膜被覆材が、ループ状のアンカー106の近位湾曲部のまわりに位置設定される。一部の実施形態において、膜被覆材108は、急速な組織内方成長及びデバイスの安定化を提供することができる。一部の実施形態においては、ループ状端部107を伴う対状のワイヤーアンカー106が、組織の穿通又は穿孔及びそれに付随する心嚢液貯留のリスクを著しく削減又は防止するデバイス固定手段を提供する。一部の実施形態において、ループ状端部107を伴うアンカー要素106は、ワイヤーの弾性特性に由来する半径方向延伸力ならびに左心耳壁及び繊維柱帯に係合又は係留できる終端近位回旋の能力に起因して、確実な定着を行なうことができる。ループ状端部を有するアンカー106は、同様に、デバイスに対する又は周囲の組織に対する外傷又は損傷を著しく削減しながら、再捕捉及び再展開させることができる。
【0060】
一部の実施形態において、アンカーはNiTiワイヤである。一部の実施形態において、NiTiワイヤは約0.008’’〜約0.013’’の外径を有する。一部の実施形態において、アンカーの全長は約0.13’’〜約0.063’’である。一部の実施形態において、近位アンカー回旋の全長は約0.1’’〜約0.2’’である。
【0061】
一部の実施形態において、アンカー、棘又はそれらの一部分は、一定期間かけて再吸収される非永久的な生体分解性又は生体吸収性材料で製造される。一部の実施形態において、アンカー及び棘の生体吸収性は、能動的な急速固定を可能にし、内方成長を容易にし、所望されない組織又は器官の穿通のリスクを削減する。
【0062】
一部の実施形態において、アンカー及び/又は棘は、デバイスに対する連結点において又はその近傍に1つ以上の湾曲部を有する。一部の実施形態において、曲げ半径は約0.06’’〜約0.2’’である。
【0063】
一部の実施形態においては、アンカー106のうちの1つ以上が単線アンカー、すなわち非ループ状ワイヤであり、これは近位中心ハブから、終端部上の鋭い先端又は非外傷性ボール145まで外向きに放射している。一部の実施形態において、片脚アンカーは、外向きに放射するワイヤー要素上に少なくとも1つのくの字形の特徴を含む。一部の実施形態において、くの字形の特徴は、再捕捉のためにシースがその上を通過させられる場合にアンカーの係合解除を容易にする。一部の実施形態において、ループ状端部を有するアンカーの遠位端部は、ループのほぼ頂点でカットされて、一対の単線アンカーを形成する(
図5C参照)。一部の実施形態において、ループ状端部を有する1つ以上のアンカーは少なくとも1つのくの字形の特徴を有する(
図5A参照)。一部の実施形態において、1つ以上のアンカーは、ループ状端部を有し、アンカーの長さに沿って2つ以上の湾曲部を含む(例えば
図5Aを参照のこと)。一部の実施形態において、複数の全く異なる放射ワイヤー定着要素は、各々の定着要素が他の要素から独立していることから、デバイスに1つの利点を提供する。理論により束縛されることは望まないものの、この独立性によりアンカー106は、確実な定着をなおも維持しながら可変的な附属器生体構造に適合できるようになっている、ということが自明のこととして仮定される。
【0064】
一部の実施形態において、アンカーは1つ以上のヒンジ特徴を含む。アンカーがデバイスの遠位部分に連結する点において又はそれに隣接して、あるいはアンカーの長手方向長さに沿って、1つ以上のヒンジが存在してよい。一部の実施形態において、ヒンジは、アンカーの近位部分との関係において少なくとも約0〜90度というアンカーの遠位部分の回転を提供する。一部の実施形態において、ヒンジ特徴は、アンカーがデバイスを左心耳によりしっかりと固定できるようにする。
【0065】
一部の実施形態は、ワイヤーアンカー202のシャフトの隣接するワイヤがアンカーのループ状端部107に向かって発散する前に実質的に接触するような形で形成されたループ状端部107を伴う対状のワイヤアンカー200を有する。この形状構成(
図23に図示されている)は、展開及び再位置づけ力の削減を可能にする。これらの実施形態は同様に、送達に先立ちカテーテル内に装填される間におけるアンカーの相互干渉又は絡みの確率を低減させることもできると考えられる。ループ状ワイヤーアンカーの一部の実施形態は、丸形ループ端部及び菱形ループ端部、先のとがったループ端部及び並んだループ端部を含む。
【0066】
一部の実施形態において、ループ状ワイヤアンカーの2つの脚部の間の距離は、アンカーの湾曲領域内よりもアンカーの基部の方が大きい。一部の実施形態においては、芯なし研削プロセスを用いて、アンカーの2本の脚部の間の距離が形成される。
【0067】
一部の実施形態において、デバイス100は、2つ以上の異なる形態のアンカー106を含む。例えば、一部の実施形態において、デバイスは1つ以上のループ状ワイヤアンカーと1つ以上の単線アンカーを含む。
【0068】
一部の実施形態において、ヒートセット前のアンカーの立体構造は、ヒートセット後のアンカーの立体構造と異なっている。
【0069】
一部の実施形態において、アンカー106はさらに、アンカーに取付けられた又はアンカーのまわりに巻き付けられた少なくとも1つの棘211を含む(
図25参照)。一部の実施形態において、少なくとも1つの棘は、それぞれのアンカーの外向き放射角に対し実質的に垂直である。一部の実施形態において、棘は、アンカーの全体的方向から離れる方向に突出している。一部の実施形態において、棘は、アンカー106のものより小さいゲージのワイヤである。一部の実施形態において、棘は少なくとも1つのくの字形の特徴を含む。一部の実施形態において、棘は、その遠位端部で鋭い先端部として終結する。一部の実施形態において、棘は、非外傷性ボールとしてその遠位端部で終結する。
【0070】
一部の実施形態において、棘は2つ以上の点でアンカーに固定されるか又はそのまわりに巻きつけられてループを形成する。一部の実施形態において、ループ状の棘は、1つ以上の(例えば、1個、2個、3個又はそれ以上の)湾曲部、くの字形部分又はヒンジ、あるいは湾曲部、くの字形部分及びヒンジの組合せを含む。
【0071】
デバイス上の構成要素の数が増加するにつれて一般的に、制限されたサイズのカテーテルシース内でデバイスを展開させることは徐々に困難になる。さらに、棘はアンカーの長手方向軸線に対して平行でない方向でアンカーから離れるように延在するように位置づけされる場合があることから、棘は、他の棘、アンカー又は他のデバイス構成要素と絡んだ状態になるかもしれない。したがって、一部の実施形態において、棘は、アンカーシース内に存在する間棘/歯がアンカーの軸線に沿って後ろ向きに湾曲されるような形で湾曲部又はヒンジを含めて製造されるものの、デバイスがカテーテルシースから外に移動する場合外向きに展開される。
【0072】
一部の実施形態においては、棘がアンカーの先頭部分、すなわちデバイスの近位端部よりも遠位端部に近いアンカーの部分の上に位置づけされている。一部の実施形態において、アンカーの先行部分に位置設定された棘は、近位に面しているが、他の実施形態では、デバイスの近位端部にある棘はデバイスの遠位端部に面している。一部の実施形態においては、近位に面している棘がループ状アンカーに取付けられるのに対し、一部の実施形態では、近位に面している棘は片脚アンカーに取付けられている。
【0073】
棘は、弾性コンプライアンスを有するか、有していないか又は、部分的に有するか、部分的に有していないように設計可能である。一部の実施形態において、棘の一部又は全てが被覆又はコーティングされて、組織貫入を防ぐか又は制限する。一部の実施形態において、棘は、フルオロポリマー例えばポリテトラフルオロエチレン及び延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、シリコーン、ウレタン又は他の生体適合性ポリマー又はそれらの組合せを含む(ただしこられに限定されない)好適な生体適合性材料で被覆又はコーティングされる。一部の実施形態において、コーティングされた又は被覆された棘は、棘のまわりの組織内方成長用の構造及び基質を提供する。一部の実施形態において、棘の上のコーティング又は被覆材は、隣接するアンカー及び/又は棘の絡みに対する保護を提供する。一部の実施形態において、棘は、カテーテル壁に対する摩擦を最小限におさえ、こうしてデバイスの展開及び/又は回収を補助する材料でコーティング/被覆される。一部の実施形態において、1つ以上の鋭い先端部を有する棘は、限定的な組織貫入しか許容されないような形でコーティング/被覆される。一部の実施形態において、棘の被覆材には、治ゆ反応を改善するか又は組織の炎症を削減するためその場で放出される1つ以上の原薬が含浸される。一部の実施形態において、原薬は、コルチコステロイド、ヒト成長因子、抗有糸分裂薬、デキサメダゾンリン酸ナトリウム及び抗血栓剤からなる群から選択される。
【0074】
一部の実施形態において、アンカー106は、撚線又は編組線のストランドから形成される。一部の実施形態において、このようなアンカー上の棘は、撚線又は編組線からその1本のストランドを切断するか又はその1つ以上のストランドを引き離すことによって形成される。
【0075】
一部の実施形態において、アンカー及び/又は棘は、デバイスを周囲の組織にしっかり固定するのを補助するために、テクスチャード加工された表面を含む。
【0076】
一部の実施形態において、1つ以上のアンカーは各々、湾曲部、くの字形部分、ヒンジ、棘及び表面テクスチャード加工から選択される2つ以上の構造を含む。
【0077】
一部の実施形態において、アンカーの半径方向配置は、アンカーの特徴にしたがってジグザグ状である(例えばアンカーの全長毎(例えば長−短−長−短))。一部の実施形態において、アンカーの半径方向配置は、アンカーの特徴にしたがって偏向している(例えば形状構成毎(例えばループ状ワイヤアンカー−片脚アンカー−ループ状ワイヤアンカー−片脚アンカー))。
【0078】
一部の実施形態において、アンカーは、均一に離隔されている、すなわち各アンカー106は、デバイスの遠位部分の外周で半径方向に等しく離隔されている。
【0079】
一部の実施形態において、アンカー106は、デバイスの長手方向軸線に対し実質的に垂直な角度で、デバイスの近位中心ハブを退出する。一部の実施形態において、アンカー106は、デバイスの長手方向軸線に比べて20〜80度の角度でデバイスを退出し、ここでアンカーの遠位点は遠位アイレットまでそして潜在的にはこれを通過して延在している。
【0080】
一部の実施形態において、1つ以上のアンカーの各々は、実質的に同一である。すなわち各アンカーは、ほぼ同じ全長、同じ平面的配置(すなわち1つ以上のくの字形の特徴の不在又は存在が類似である、1つ以上のヒンジの存在又は不在がある)、デバイスの長手方向軸線(デバイスの遠位端部と近位端部の間に形成された軸線)との関係において同じ半径方向角度、そして同じ形状構成(例えばループ状端部アンカー、撚線端部又は単線アンカー)を有する。一部の実施形態において、アンカーのうちの1つ以上は、全長、平面的配置、半径方向角度又は形状構成のうちの少なくとも1つに関して少なくとも1つの他のアンカーと異なっている。
【0081】
図24に示されている一部の実施形態は、片脚アンカー204を有する。アンカー204は、様々な実施形態において、アイレット144を形成するものと同じワイヤーで形成することができる。アンカー204は、シャフト部分206、丸形部分208及びワイヤ端部210を含む。ワイヤ端部210は、さらなる定着のための棘又は突出部分として役立つように丸形部分208の平面から離れるように突出するか又は捩れるように構成され得る。
【0082】
一部の実施形態は、(
図25に示した)多数の部位でアンカーに取付けられた棘211を伴うループ状ワイヤアンカー106を提供する。
【0083】
一部の実施形態において、アンカーワイヤは、ハブフランジにおいてデバイスから突出する。一部の実施形態において、ハブフランジは、オーバーモールド又は予備形成された構成要素として作られた弾性コンプライアンスを有するハブ延長部分で被覆されている。
【0084】
デバイスの例示的実施形態が、
図27Aに示されており、これには、(延伸式フレーム102により支持されたペタル112を含む)閉塞用デバイスにアンカー106を連結するモジュール式アンカーハブ217が含まれ、ここでアンカー106は、(
図27A及び27Bに示された)フランジ215内に軸線方向に組立てられている。このようなモジュール式アンカーハブは、閉塞用デバイスのタイプならびにアンカーのタイプ及びフォーマットを迅速にカスタマイズできるようにし、かつ、所望の閉塞性デバイス、所望のアンカー機序及び左心耳のサイズ及び生体構造を含む選択基準に基づいたデバイスの最適化を可能にする。一部の実施形態において、モジュール式アンカー構成要素は、デバイスの遠位端部の断面形状を縮小し、したがって、血栓形成の潜在的可能性を最小限に抑える。
【0085】
一部の実施形態において、モジュール式アンカー構成要素は、閉塞デバイスに対し直接取付けられているか又は、可撓性コネクターを介して閉塞デバイスに取付けられる。一部の実施形態において。モジュール式アンカー構成要素は、アンカーの異なる配置を可能にする。例えば、一部の実施形態において、モジュール式アンカー構成要素は、片脚タイプのアンカー、ループ状ワイヤアンカー及び片脚及びループ状ワイヤアンカーの組合せの定着を可能にする。一部の実施形態においては、モジュール式アンカー構成要素に対するアンカーの軸線方向取付けは、デバイスの断面形状の縮小及び送達カテーテル内の展開及び回収力の低減を可能にする。
【0086】
一部の実施形態において、モジュール式アンカーハブは同様に、様々なアンカー形状構成(例えば能動的又は受動的幾何形状、アンカー数、アンカーサイズ、アンカー分布及びアンカー長、そしてハブに対するアンカーの組立て)をも可能にする。一部の実施形態において、ループ状ワイヤアンカーの脚部は互いに隣接している、すなわち隣接形状構成になっている。一部の実施形態において、第1のループ状ワイヤアンカーの脚部は、隣接するループ状ワイヤーアンカーの脚部により互いに分離されている、すなわちジグザグの形状構成にある。理論による束縛は望まないものの、隣接する形状構成が、隣接するアンカー間の干渉を最小限におさえながらアンカーのより多くの左右運動を可能にし、「ジグザグの」形状構成がハブにおけるより幅広の支持を提供し、アンカーの左右運動を最小限におさえ、隣接するアンカー間の干渉に起因してさらなる左右の支持を提供するものと考えられている。
【0087】
一部の実施形態において、デバイスはさらに、適切にキー留めされた送達カテーテルと係合するためのキー付きアイレットキャップを含む。一部の実施形態において、キー付きボア213は、平坦化された送達カテーテルの端部を受入れる。一部の実施形態においては、カテーテルにデバイスをしっかりと固定する目的で、縫口孔218が、アイレットキャップのまわりでカテーテルからのループ状縫合糸を通過させることができるようにしている。一部の実施形態において、縫合糸の軸線は、アイレット軸線からオフセットされて、解放中に生成されるデバイスに対する回転トルクを削減する。
【0088】
一部の実施形態において、アイレットキャップは、各々ニチノール又は他の適切な材料で作られているスリーブとエンドキャップを含む。スリーブは、アイレットの周囲に配置され、一部の実施形態においては、アイレットに溶接されるか又は接着されている。一部の実施形態において、スリーブは、その周囲に半径方向に配置された1つ以上のスロットを含み、各スロットはデバイスの軸線に沿ってスリーブを下に向かって延在する。一部の実施形態において、スロットは、溶接及び/又は接着剤によるボンディング用のアクセスを提供する。一部の実施形態において、スリーブは、フレームワイヤの各々と係合し、フレームワイヤ間に所望の間隔を維持するのを補助する。
【0089】
一部の実施形態において、スリーブは、デバイスの組立て中に、バッグ取付けに先立ち追加され、エンドキャップは組立ての最後に追加される。一部の実施形態において、エンドキャップはスリーブに対しスナップイン組立てで取付けられ、ここで、スリーブ上の1つ以上のタブが、エンドキャップ上のフランジと係合する。一部の実施形態において、タブとフランジは、近位アイレットと遠位アイレットの間の適正な整列及び較正を確認するように、整列させられる。
【0090】
一部の実施形態は、スリーブ上への好適なプラスチック材料(例えば熱可塑性物質又はフルオロポリマー)のオーバーモールドを含む。一部の実施形態において、オーバーモールドには、バッグ取付け用の1つ以上の軽く溝の付いた部域が含まれる。
【0091】
一部の実施形態において、デバイスは、閉塞性ディスク直径とデバイス長の間に特定の比を有するように最適化される。一部の実施形態において、閉塞性ディスク直径とデバイスの長さの比は、1:2〜2:1である。一部の実施形態において、ディスク直径対デバイス長の比は1:1である。一部の実施形態において、デバイスの腰の長さ(例えば近位閉塞性ディスクの遠位面とアンカー突起の起点の間の距離)は、所望の比率を生じるように調整される。
【0092】
図9に示されているように、一部の実施形態は、血液の通過を阻害するように構成された膜構成要素、及び、膜構成要素109で少なくとも部分的に被覆されているカップ状遠位表面118と平坦な近位表面116を伴うカップ状閉塞性構成要素と、ループ状端部107を伴う1つ以上のアンカー118と、ハブ構成要素110とを有する複数のワイヤーで形成された延伸式フレーム、を提供している。このような形状構成は、血栓又は血餅の形成源となり得る左心耳の断端をなおも除去しながら、左心耳口部内部で、より深くより確実な設置を可能にすることができる。
【実施例】
【0093】
実施例1
直径が約0.23mmで長さ約1メートルの10%白金の延伸−充填ニチノールワイヤ(Fort Wayne Metals,For Wayne,IN)を入手する。ワイヤの具体的長さは測定されてもされなくてもよいが、ワイヤは以下の段落で説明するような巻回パターンを完成させるのに充分な長さを有していなければならない。電解研磨したワイヤを得る。ニチノールワイヤを電解研磨することで、表面上に二酸化チタン層を自発的に形成する特性、ワイヤの表面上のニッケル量を選択的に削減する特性、及びワイヤ内の一部の応力を取り除いて疲労を改善させる特性などの、いくつかの周知の特性が付与される。
【0094】
図11に描かれているベース冶具8を得る。長さ約0.5メートルの1本のワイヤの片端に結び目を作り、結び目の無い端部を、ワイヤ補給孔10を通して補給する。さらに2本のワイヤ(各々およそ1メートル)を半分に折畳み、ワイヤが、開口部19の底面に小さい補給孔を伴う漏斗形状の開口部19にある孔に進入している状態で、残りの4つの補給孔12、14、16、18を通して自由端を補給する。ワイヤは次に、冶具8の平坦な端面において、貫通孔10、12、14、16及び18を通って退出する。ワイヤを緊張した状態で所定の場所に保持するため、5本のワイヤの自由端におもり20を取付ける。ベース冶具を、旋盤のチャック内にしっかりと固定し、中心ピン22を、しっかりと設置するのに充分な深さまで中心ピン孔20の中に挿入する。
【0095】
中心ピン22のもう一方の端部を、心押し台の内部にチャックされた心押し台支持体26の中心孔28の内部に位置設定し、ここで心押し台支持体26の閉鎖面30はベース冶具8に面している。ベース冶具8と心押し台支持体26は約5cm離して位置づけされる。ワイヤが交差するのを防ぐため、ワイヤガイド34を使用する。ベース冶具8は、ワイヤ補給孔10、12、14、16、18が垂直方向で中心ピン22の上に配向されるような形で位置づけされ、ワイヤは、中心ピン22の末尾側に位置づけされる。
【0096】
ペタル冶具孔36を720度(deg.)回転させる。ペタル冶具38を、ペタル冶具孔36の中に挿入する。ワイヤと交差することなく、ワイヤをペタル冶具38の上面に設置する。ベース冶具8を360度回転させて、デバイスのペタルを作り上げる。中心アイレットを作り出すため、ワイヤを中心ピン22の上面に設置した状態で、ベース冶具8をさらに720度回転させる。
【0097】
次に、アンカーピン孔42の中にアンカーピン40を挿入する。その後ワイヤをアンカーピン40のまわりにループ状に掛け、ベース冶具を720度回転させて、遠位アイレットを形成する。ワイヤピボット孔9の中にワイヤピボット7を挿入する。ワイヤをワイヤピボット7のまわりに補給し、アンカープレート11の下に設置する。アンカープレート11を、六角穴ネジ14でしっかり固定する。アンカープレート11のおもり20側でワイヤを切断する。
【0098】
おもり20、心押し台支持体26及びワイヤガイド34を取外して、アセンブリを、例えば475℃に設定した対流式オーブン内に14分間入れる。オーブンからアセンブリを取り出し、水中で急冷する。冶具を分解し、物品を取り出す。
【0099】
ワイヤ端部をアイレットまでトリミングし、螺旋巻線と同じ方向でペタルを扇状に広げて、各々のペタルを隣接するペタルとの関係において72度オフセットして配向させるようにする。ペタルを広げたことの帰結として、アンカーループも扇状に広げられる。
【0100】
ヒートセットマンドレル44を、
図12Bで描いた通りに得る。物品をヒートセットマンドレル上に設置して、キャップ46がアンカーループに隣接して位置づけされるようにする。その後、物品をヒートセット工具48(
図12Aと
図12C参照)の内側に設置し、こうしてペタルがヒートセット工具の内部に位置づけされ、アンカーループがヒートセット工具48の唇状部より上に突出するようにする。アンカーループピン50を、アンカーループを通して挿入し、アンカーピン孔52の中にしっかりと固定する。ヒートセットマンドレル44を、クロスバー54の中心孔の中に挿入し(
図12D)、クロスバー54をヒートセット工具48の切込み56の中に設置する。ヒートセットマンドレル44をヒートセット工具48内に強制的に押込んで、アンカーの所望の角度を達成し、次にマンドレルを、止めネジ58を用いて所定の場所にロックする。
【0101】
アセンブリを、475度に設定した対流式オーブン内に5分間入れ、2mmのマンドレルに移送する。
【0102】
ペタルの配向を維持する一方で、以下の要領でFEP粉末(社内備蓄から得たもの)を用いて物品に粉体コーティングを施す。すなわち、本段落内でさらに記載する配合機の中に挿入するのに充分な長さをもつ外径2mmのマンドレルを得る。マンドレル123を、約2.5cm離隔した2つの場所で圧接することにより平坦化させる。
図13及び14を参照のこと。マンドレル123を物品の中心孔の中に挿入する。マンドレル123の片端を接地する。市販の配合機(Variable Speed Lab Blender、Waring、Torrington、CT)を入手し、FEP粉末を一定量加え、配合機の羽根の先端は露出した状態に残す。配合機の中心に物品とマンドレルを懸吊し、フタを置き直し、配合機を、約5秒間最高値になるまで回し続ける。物品とマンドレル123を取出し、マンドレルを軽く叩いてさらに均一な粉体コーティングを達成し、その後物品とマンドレルを、320度に設定した対流式オーブンの内側に3分間吊るす。物品とマンドレル123をオーブンから取出し、冷却させ、マンドレルを除去する。余剰のFEPをマンドレルから取り除き、マンドレルを再び物品の中に挿入する。
【0103】
ピンセットで近位及び中心アイレットを把持することによってマンドレル123上で物品の長さを延長する。アイレットを、マンドレル内のしわを超えて位置づけすることによって、所望の場所に固定する。
【0104】
以下の特性を有する多孔性ePTFEフィルムを入手する。
メタノール泡立ち点:4.8kPa(0.7psi)
単位面積質量:2.43グラム/平方メートル
長手方向マトリクス引張り強度:662MPa(96000psi)
長手方向最大荷重:0.6kg/cm(1.6kg/インチ)
厚み:0.00889mm
【0105】
メタノール泡立ち点は、直径43cm(17インチ)の脚、1.4kPa/秒(0.2psi/秒)のランプ速度及びメタノールの液体媒体を伴うカスタムメイドの機械を使用して測定する。材料の長さ及び幅は、金属定規を用いて測定する。単位面積質量は、91.4cm(36インチ)×12.7cm(5インチ)の試料についてはかり(Model GF−400 Top Loader Balance,ANG,San Jose CA.)を用いて測定する。長手方向最大荷重は、10kgのロードセルを備えた材料試験機(Model 5564,Instron,Grove City,PA)を用いて測定する。ゲージ長さは2.54cm(1インチ)であり、クロスヘッド速度は25mm/分である。試料の幅は2.54cm(1インチ)である。長手方向引張り試験測定値は、材料の長さ方向で求めた。脚の直径が0.64cm(1/4インチ)の厚みゲージ(Mitutoyo Digital Indicator 547−400)を用いて厚みを測定する。長手方向マトリクス引張り強度(MTS)は、以下の等式を用いて計算する。
マトリクス引張り強度=(σ
sample)
*(ρ
PTFE)/(ρ
sample)
式中:ρ
PTFE=2.2グラム/cc
σ
sample=(最大荷重/幅)/厚み
ρ
sample=(単位面積質量)/厚み
密度は、密度=質量/体積という式を用いて計算する。
【0106】
以下の要領でePTEE材料から30mmフィルム管を製造する。直径25mmのデバイスについては、約1.905cmのスリット幅を有するフィルムを外径30mmのマンドレル上に巻回する。フィルム重複量は、さほど重要ではないが、縁部に少なくとも幾分かの重複が存在することが好ましい。その後、管をマンドレルから取出し、伸張させて管の内径を約25mmにする。
【0107】
フィルム管を、張力付加した物品の上に摺動させ、ePTFEフィルムを用いて、管の端部を2つのアイレットのまわりで絞る。
【0108】
FEP層を有し、以下の特性を有する別の多孔性ePTFEフィルムを入手する。
単位面積質量:36.1グラム/平方メートル
長手方向最大荷重:4.96kg/cm(12.6kg/インチ)
横断方向最大荷重:0.12kg/cm(0.3kg/インチ)
厚み:0.03mm(0.0012インチ)
【0109】
以上の試験のための試験方法は、前述した。フィルム内のFEPの厚みは約62.5%である。FEPの厚み(%)は、FEPの厚みとフィルム厚の比として計算される。報告された値は、5つの試料についての平均測定値を表わす。FEP厚みとフィルム厚は、以下の要領でePTFE/FEP積層材料の断面の走査型電子顕微鏡画像から測定される。倍率は、フィルム厚全体を検分できるように選択する。フィルムの厚み全体を横断して、画像の水平方向縁部に対して垂直に5本の線を無作為に引く。FEPの厚みとフィルムの厚みを測定することによって、厚みを決定する。
【0110】
FEP側を下にして、このFEPでコーティングされたePTFEフィルムの幅2mmの条片を、絞った部分のまわりに4回巻きつけ、はんだごてで加熱してフィルム層を共にボンディングする。
【0111】
内径1.279mm、外径1.452mmの管状の多孔性延伸ポリテトラフルオロエチレン管を得る。それは以下の特性を有していた。
密度:0.531g/cc、
長手方向のマトリクス引張り強度:34215MPa、
厚み:0.086mm。
【0112】
長さ約4mmのこの管を複数本、各アンカー上に設置し、
図1〜3及び
図7に示されている通りに位置づけする。
【0113】
物品とマンドレルを、320℃に設定した対流式オーブンの内部に3分間設置し、その後取出し、冷却する。余剰のePTFE材料をトリミングする。
【0114】
実施例2
以下の点を除いて、実施例1と同じ要領で、同じ材料を使用して、物品を製造する。すなわち、フィルム管は管として適用せず、むしろこれを長手方向に細長く切り、結果として得た平坦なシートを用いてニチノールフレームを被覆する。閉塞性部材に張力を加えることなく、シートを上部フレームペタル全体にわたり垂らしてかけ、シートの縁部にひだを付け、中心アイレットのまわりに固定する。結果として得た物品の閉塞性構成要素は、
図9に示されている通りの平坦な近位表面とカップ状の遠位表面を伴うカップ状閉塞性構成要素を有する。
【0115】
実施例3
以下の点を除いて、実施例1と同じ要領で、同じ材料を使用して、物品を製造する。カップ状閉塞性部材とアンカー構成要素を、手で中心アイレットを挟むことによって互いに切り離す。
図19A〜19Bに示されているアイレットの外径のものと類似の直径を有するePTFE管を入手し、カップ状閉塞性部材の遠位アイレット及びアンカー構成要素の近位アイレットにしっかり固定する。管は、前述の通りFEPを含むテープを上に巻き付けることによってしっかり固定する。
【0116】
実施例4
以下の点を除いて、実施例1と同じ要領で、同じ材料を使用して、物品を製造する。カップ状閉塞性部材とアンカー構成要素を、手で中心アイレットを挟むことによって互いに切り離す。
図19A〜19Bに示されているアイレットの外径と類似の直径を有するePTFE管を入手し、カップ状閉塞性部材の遠位アイレット及びアンカー構成要素の近位アイレットにしっかり固定する。結果として得られたアイレットの外径にLoctite4011接着剤を塗布し、アイレット全体にわたりPTFE管を硬化するまで固定することによって、管をしっかり固定する。
【0117】
実施例5
以下の点を除いて、実施例1と同じ要領で、同じ材料を使用して、物品を製造する。カップ状閉塞性部材とアンカー構成要素を、手で中心アイレットを挟むことによって互いに切り離す。外径と類似の直径を有するePTFE管を前述の通りにePTFEフィルムから形成した。カップ状閉塞性部材の遠位アイレットとアンカー構成要素の近位アイレットに管をしっかり固定する。その後、アセンブリを320℃で3分間加熱して、管を収縮させ、それをアイレットにしっかりと固定する。
【0118】
以上に記述し以下で請求する教示に向けられている以外に、以上に記述し以下で請求する特徴の様々な組合せを有するデバイス及び/又は方法が企図されている。したがって、記述は、以下で請求する従属的特徴の考えられる他のあらゆる組合せを有する他のデバイス及び/又は方法にも向けられている。
【0119】
以上の記述では、デバイスの構造及び機能及び/又は方法の詳細と共に様々な変形形態を含めた多くの特徴及び利点が明記されてきた。開示は、例示的なものとしてのみ意図されており、したがって網羅的であるようには意図されていない。当業者にとっては、添付のクレームが表現されている用語の広く一般的な意味によって標示される限りにおいて、本明細書に記載されている原則の範囲内に入る組合せを含めた様々な修正を、特に構造、材料、要素、構成要素、形状、寸法及び部品の配置に関して加えてよいということは明白である。これらの様々な修正が添付のクレームの精神及び範囲から逸脱しないかぎりにおいて、それらはその中に包含されるよう意図されるものである。