【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、光学分析で使用するための流体処理チューブが、光学分析に適した第1の材料製であり、長さの異なる2つの光路を含むように構成された少なくとも1つの第1の部分と、前記第1の部分に連結され、前記第1の材料とは異なる第2の材料製である少なくとも1つの第2の部分とを備える。
【0017】
本発明の他の態様によれば、光学分析で使用するための流体処理チューブが、光学分析に適した、また流体を収容するように構成された少なくとも1つの第1の部分と、チューブの流体収容部を閉じるためのキャップを含むように構成された、前記第1の部分に連結された少なくとも1つの第2の部分とを備え、キャップが、ジョイントを介してチューブの流体収容部に連結される。本発明のこの態様の一実施形態によれば、第1の部分と第2の部分は、同じかまたは同様の材料製である。本発明のこの態様の別の実施形態によれば、第1の部分は、光学分析に適した第1の材料製であり、第2の部分は、前記第1の材料ほど脆性でない第2の材料製である。
【0018】
本発明のいずれかの態様による流体処理チューブは、核酸の定量に適していることが好ましい。チューブは、DNAおよび/またはRNAおよび/または塩および/またはタンパク質のインライン定量に適していることが好ましい。チューブは、使い捨てであることが好ましい。チューブは、流体を貯蔵するのに適していることが好ましい。
【0019】
本発明のいずれかの態様によれば、チューブの第2の部分は、チューブの開口に近接して配置されてもよく、一方、チューブの第1の部分は、第2の部分の遠位に配置される。
【0020】
さらに、本発明のいずれかの態様による流体処理チューブの第1の部分は、光学検出ゾーンを備えることができる。光学検出ゾーンは、溶接線を有していないことが好ましい。光学検出ゾーンは、開口と反対側にあるチューブの端部に配置されることが好ましい。少量の分析を可能にするために、光学検出ゾーンの内側容積は、約15マイクロリットル以下とすべきである。
【0021】
光学検出ゾーンの側壁は、平坦な領域を備えることが好ましい。光学検出ゾーンは、チューブの長手方向軸の方向で見たとき、矩形および/または多角形の断面を有することが好ましい。
【0022】
本発明の他の態様によれば、流体処理チューブの第1の部分は、長さの異なる2つの光路を含むように構成される。最も長い光路の長さは、最も短い光路の長さの少なくとも3倍であることが好ましい。これは、チューブの長手方向軸の方向で見たとき、光学検出ゾーンが多角形の断面を有することによって実現することができる。この断面は、矩形であることが好ましい。
【0023】
本発明のいずれかの態様による流体処理チューブは、流体収容部を備えることが好ましい。流体収容部は、リムを備えることができる。さらに、本発明のいずれかの態様による流体処理チューブは、少なくとも1つのキャップを備えることが好ましい。キャップは、ジョイントを介してチューブの流体収容部に連結されることが好ましい。キャップおよび/またはチューブは、閉じられているときキャップを保持するための少なくとも1つのキャップ固定手段を備えることができる。
【0024】
キャップは、チューブの第2の部分に含まれることが好ましい。いくつかの実施形態では、第2の部分は、少なくとも1つのキャップからなるものでもよい。他の実施形態では、第2の部分は、少なくとも1つのキャップ、およびジョイントを介してキャップをチューブの流体収容部に連結するための手段からなる。他の実施形態では、第2の部分は、キャップと、キャップをチューブの流体収容部に連結するためのジョイントとを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の部分は、キャップと、キャップをチューブの流体収容部に連結するためのジョイントと、チューブの流体収容部の一部分とを含むことができる。
【0025】
チューブの流体収容部とキャップとの間のジョイントは、フィルムジョイントまたは形状ばめジョイント(form−fitted joint)とすることができる。ジョイントは、金型内組立で作成されてもよい。また、ジョイントは、スナップ連結されてもよい。
【0026】
本発明による流体処理チューブの第2の部分は、当技術分野で知られている任意の手段によって第1の部分に連結されてよい。たとえば、第2の部分は、第1の部分と一体にされてもよい。あるいは、第1の部分と第2の部分は、互いに溶接および/または融着および/または接着および/または形状ばめおよび/または摩擦ばめおよび/または溶剤フィット(solvent−fitted)することができる。また、第1の部分と第2の部分は、これらの方法の任意の組合せによって連結されてもよい。
【0027】
本発明のいずれかの態様によれば、チューブの第1の部分と第2の部分は、光学検出ゾーンの隣りで互いに溶接されてもよい。あるいは、第1の部分と第2の部分は、チューブの開口付近で溶接されてもよい。他の代替形態では、第1の部分と第2の部分は、チューブとキャップとの間のジョイント付近で融着されてもよい。形状ばめされたとき、チューブの第1の部分と第2の部分は、スナップ連結によって機械的に噛み合わされ、または連結され得る。スナップ連結は、解放可能とすることも非解放可能とすることもできる。
【0028】
本発明のいずれかの態様によれば、第1の部分は、第3の部分を介して第2の部分に連結されてもよい。本発明のいくつかの態様によれば、第2の部分は、キャップとチューブの流体収容部との間のジョイント部にて第1の部分に連結されてもよい。
【0029】
本発明のいずれかの態様では、チューブの第1の部分を作製するために使用される第1の材料は、好ましくは約230nmおよび/または約260nmおよび/または約280nmの波長での光学分析に適したものにすべきである。第1の材料は、約220nmから380nmの波長での光学分析に適していることがより好ましい。第1の材料は、約220nmから400nmの波長での光学分析に適していることが最も好ましい。波長に関して、「約」という用語は、正に述べた値の±5nm、±4nm、±3nm、±2nm、±1nmの範囲を示す。
【0030】
第1の材料は、環状オレフィンコポリマー、環状オレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、グラフェン、PTFE、およびガラスを含む群から選択されることが好ましい。環状オレフィンコポリマーまたはガラスを第1の材料として使用することが最も好ましいが、それは所望の範囲内で最良の透過率を示すことが判明しているからである。環状オレフィンコポリマーは、Topas(登録商標)COC 8007X10(Topas Advanced Polymers GmbH、ドイツ、フランクフルト)であることが好ましい。環状オレフィンポリマーは、Zeonex(登録商標)480(Zeon Europe GmbH、ドイツ、デュッセルドルフ)であることが好ましい。ポリメチルペンテンは、TPX(Mitsui Chemicals(三井化学株式会社)、日本、東京)であることが好ましい。グラフェンは、原材料として、および/または添加剤として使用されることが好ましい。PTFEは、Teflon AF(DuPont)であることが好ましい。
【0031】
本発明のいずれかの態様では、チューブの第2の部分を作製するために使用される第2の材料は、第1の材料より柔軟であり、かつ/またはそれほど脆性でないことが好ましい。第2の材料は、ポリプロピレンまたはポリエチレンであることが好ましい。
【0032】
本発明のいずれかの態様による流体処理チューブは、遠心にかけたとき、少なくとも100G、より好ましくは1000G、最も好ましくは10000Gの加速度にさらされるように構成される。
【0033】
本発明の他の態様によれば、流体を光学分析するための方法が、流体を本発明による試験管に充填すること、および試験管内の流体を光学分析することを含む。この方法は、核酸を定量するために使用されることが好ましい。流体内のDNAおよび/またはRNAおよび/または塩および/またはタンパク質が、この方法を用いてインライン定量装置内で分析される。
【0034】
本発明の他の態様によれば、流体を処理および/または光学分析および/または貯蔵するために本発明による流体処理チューブを使用することが特許請求される。
【0035】
本発明の一態様は、光学分析を使用する、流体を処理する方法を改善することである。そのために、本発明は、流体の光学分析、処理、反応、および貯蔵で使用するための流体処理チューブを提供する。本発明による流体処理チューブは、光透過率、蛍光、化学発光、生物発光、および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を測定するために使用されてもよい。好ましくは、本発明による流体処理チューブは、核酸の定量に適しており、光透過率を測定することによってDNA、RNA、塩、およびタンパク質を定量するために使用することができる。また、これらのチューブは、流体のインライン分析を可能にすることが好ましい。本発明による流体処理チューブは、遠心分離に適していることが好ましい。これらのチューブは使い捨てであり、機械的耐性がある。
【0036】
本発明の他の態様は、最も一般に使用されている溶媒を有する流体を処理するために使用することができる使い捨ての機械的耐性のあるチューブを提供することである。そのために、本発明は、チューブの流体収容部が、少なくとも部分的に、様々な一般に使用されている溶媒に耐性のある材料製である流体処理チューブを提供する。流体の処理を可能にするために、チューブは、ジョイントを介してチューブの流体収容部に連結された第2の材料のキャップを少なくとも1つ有する。このチューブは、光学分析、特に光透過率、蛍光、化学発光、生物発光、および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の測定に使用することができる。流体処理チューブは、核酸の定量に適していることが好ましい。具体的には、このチューブは、光透過率を測定することによってDNA、RNA、塩、およびタンパク質を定量するのに適しており、流体のインライン分析を可能にするべきである。本発明による流体処理チューブは、遠心分離に適している。
【0037】
チューブの第1の部分は、様々な化学種のより広範な濃度を得るために光透過率を測定することを可能にするために、長さの異なる少なくとも2つの光路を含むように構成される。3桁以上で光透過率の測定を可能にするために、最も長い光路の長さは、最も短い光路の長さの少なくとも3倍であることがより好ましい。
【0038】
本発明のいずれかの態様による流体処理チューブは、容器に流体を収容するための少なくとも1つの流体収容部と、流体収容部内に収容された流体が漏れることができないようにチューブの流体収容部を閉じるための少なくとも1つのキャップとを備えることができる。キャップは、ジョイントを介してチューブの流体収容部に連結されてもよい。キャップおよび/またはチューブの流体収容部は、キャップが誤って開くのを防止するために、閉じられているときキャップを保持するための少なくとも1つのキャップ固定手段を備えることが好ましい。さらに、本発明のいずれかの態様によるチューブの流体収容部は、リムを備えることができる。
【0039】
本発明のいずれかの態様によれば、チューブの第1の部分は、少なくとも1つの光学検出ゾーンを備えることができる。光学検出ゾーンは、チューブ内の流体を光学分析するために構成されたチューブの第1の部分のゾーンである。小さな試料の分析を可能にするために、光学検出ゾーンは、分析中、一般に開口の反対側のチューブの端部であるチューブの最も低い部分に配置されることが好ましい。したがって、チューブは、以下の構成を有することが好ましい。すなわち、チューブの第2の部分は、チューブ開口に近接し、チューブの第1の部分は、第2の部分の遠位であり、光学検出ゾーンは、開口の反対側のチューブの端部に配置される。したがって、光学検出ゾーンは、チューブの遠位端に配置されることが好ましい。
【0040】
光学検出ゾーンの側壁は、少なくとも1つの平坦な領域を備えることが好ましい。光学検出ゾーンの側壁は、チューブの両側に少なくとも2つの平坦な領域を備え、そこを通して光ビームがチューブに垂直に入出することができることがより好ましい。それによりもたらされる光路は、チューブに入出する光ビームの反射が最小限に抑えられるので、とりわけ光透過率を測定するのに有利である。光路は、チューブの長手方向軸に対して垂直であってもなくてもよい。光路は、チューブの長手方向軸と交差してもしなくてもよい。光ビームの屈折をさらに防止するために、光学検出ゾーンの側壁の少なくとも1つの平坦な領域は、光ビームの屈折を引き起こす可能性がある溶接線または他の欠陥を有していないことが好ましい。光学検出ゾーンの側壁が少なくとも1つの平坦な領域を備える場合、チューブの流体収容部の側壁の残りの部分は、平坦な領域を備えていなくてもよい。実際、チューブの流体収容部の側壁の残りの部分は、任意の好適な断面を有することができ、好ましくは楕円形、より好ましくはほぼ円筒形、最も好ましくは円筒形である。チューブの流体収容部の側壁の残りの部分の断面は、平坦な領域を備える断面に徐々に、または急激に変化してもよい。したがって、チューブの流体収容部は、異なる断面間で移行するための移行ゾーンを含むことができる。移行ゾーンは、第1の部分、第2の部分、または両方に含まれてもよい。
【0041】
第1の対に加えて、光学検出ゾーンの側壁は、チューブの両側に平坦な領域の少なくとも1つの第2の対を含むことができる。平坦な領域の第2の対内の光学検出ゾーンの側壁の厚さは、平坦な領域の第1の対内の光学検出ゾーンの側壁の厚さと等しいことが好ましい。なぜなら、次いで測定値を容易に比較することができるからである。平坦な領域の第2の対の内側表面間の距離は、平坦な領域の第1の対の内側表面間の距離より長いことが好ましい。これは、平坦な領域の第2の対間の光路が平坦な領域の第1の対間の光路より長いことが好ましいことを意味する。3桁以上で光透過率の測定を可能にするために、長い方の光路の長さは、短い方の光路の長さの少なくとも3倍であることがより好ましい。平坦な領域の第2の対と平坦な領域の第1の対との間の光路は、同じ平面内にあっても異なる平面内にあってもよい。これらの光路は、長手方向軸に沿ってオフセットしてもしなくてもよく、長手方向軸と交差してもしなくてもよく、互いに交差してもしなくてもよく、あるいは平行であってもなくてもよい。
【0042】
様々な光路が、チューブの長手方向軸に沿って様々な旋光度について設けられることが好ましい。これは、光学検出ゾーンの側壁の平坦な領域の対の平坦な領域すべてを、チューブの長手方向軸に対して平行に構成することによって達成することができる。この場合、光学検出ゾーンは、チューブの長手方向軸の方向で見たとき、多角形の断面を有することがある。光学検出ゾーンは、チューブの長手方向軸の方向で見たとき、矩形の断面を有することが好ましい。したがって、長さの異なる2つの光路がチューブの第1の部分内に設けられることになる。これらの光路は、互いに垂直となり、チューブの長手方向軸に対して垂直となる。チューブの流体収容部の側壁の残りの部分は、任意の好適な断面を有することができ、好ましくは楕円形、より好ましくはほぼ円筒形、最も好ましくは円筒形である。チューブの流体収容部の側壁の残りの部分の断面は、光学検出ゾーンの側壁の多角形または矩形の断面に徐々に、または急激に変化してもよい。したがって、チューブの流体収容部は、異なる断面間で移行するための移行ゾーンを含むことができる。移行ゾーンは、第1の部分、第2の部分、または両方に含まれてもよい。
【0043】
本発明のいずれかの態様による流体処理チューブが少なくとも1つのキャップを備えるとき、キャップは、チューブの第2の部分に含まれることが好ましい。本発明の特定の実施形態に応じて、第2の部分は、キャップ、キャップおよびジョイントを介してキャップをチューブの流体収容部に連結するための手段、キャップおよびジョイントからなることができ、またはキャップ、ジョイント、およびチューブの流体収容部の一部分を備えてもよい。チューブの流体収容部とキャップとの間のジョイントは、フィルムジョイントまたは形状ばめジョイントとすることができる。形状ばめジョイントは、金型内組立で作成されても、スナップ連結として構成されてもよい。
【0044】
本発明のいずれかの態様による流体処理チューブの第2の部分は、任意の好適な方法によって第1の部分に連結されてよい。これらの方法は、それだけには限らないが溶接、融着、接着、形状ばめ、摩擦ばめ、および溶剤フィットを含むことができる。融着または溶接は、それだけには限らないが摩擦溶接、超音波溶接、および高周波溶接を含むことができる。さらに、これらの方法の組合せが企図されている。たとえば、チューブの第1の部分と第2の部分は、形状ばめまたは摩擦ばめし、その後で接着、融着、または溶接してもよい。あるいは、本発明のいずれかの態様による流体処理チューブの第1の部分と第2の部分は、一体で形成されてもよい。
【0045】
チューブの第1の部分と第2の部分を溶接または融着する様々な形態が企図されている。たとえば、第1の部分と第2の部分は、光学検出ゾーンの隣りで互いに溶接されてもよい。しかし、チューブの第1の部分と第2の部分は、チューブの開口付近で融着または溶接することもできる。チューブの開口付近で第1の部分と第2の部分を融着または溶接することは有利であると考えられる。なぜなら、この場合、チューブの流体収容部の大部分が第1の材料製であり、第1の材料は、一般に使用されている溶媒により耐性のある材料であり得るからである。チューブとキャップとの間のジョイント付近でチューブの第1の部分と第2の部分を融着または溶接することも、他の代替形態とみなされる。たとえば、チューブがリムを備えているとき、チューブの第1の部分と第2の部分は、チューブのリムで融着または溶接してもよい。
【0046】
チューブの第1の部分と第2の部分との間の形状ばめ連結は、当技術分野で知られている任意の技法によって実現されてよい。たとえば、第1の部分および/または第2の部分の外側表面および/または内側表面上に、好適な幾何形状または好適な固定手段が設けられる場合、これらのチューブは、機械的に噛み合わされてもよい。さらに、チューブは、これらの部分を接着、溶接、および/または融着することによって封止してもよい。さらに、第1の部分と第2の部分は、解放可能とすることも非解放可能とすることもできるスナップ連結によって形状ばめすることができる。スナップ連結が解放可能である場合、第2の部分を第1の部分から容易に切り離すことができる。スナップ連結が非解放可能である場合、第2の部分を第1の部分から切り離すことは、これらの部分を破損することなしにはできない。
【0047】
チューブの第1の部分と第2の部分は、チューブの流体収容部とキャップとの間のジョイント部にて連結されてもよい。たとえば、ジョイントは形状ばめジョイントとすることができ、ジョイントの一部が第1の部分に含まれ、ジョイントの一部がチューブの第2の部分に含まれる。形状ばめジョイントは、射出成形中に金型内組立で、またはスナップ連結として作成されてもよい。
【0048】
また、少なくとも1つの第3の部分を介して第1の部分を第2の部分に連結することも企図されている。この場合、上述の技法のいずれか、またはそれらの組合せを使用し、これらの部分のそれぞれを連結することができる。
【0049】
本発明のいずれかの態様による流体処理チューブは、光学分析に適した第1の材料製である少なくとも1つの第1の部分と、前記第1の部分に連結され、第2の材料、前記第1の材料製である少なくとも1つの第2の部分とを備える。第1の材料は、塩の定量を可能にする約230nm、および/またはDNA、RNAの定量を可能にする約260nm、および/またはタンパク質の定量を可能にする約280nmの波長での光学分析に適していることが好ましい。第1の材料は、約220nmから約250nm、および/または約250nmから約270nm、および/または約270nmから約290nmの範囲内での光学分析に適していることがより好ましい。第1の材料は、約220nmから約380nmの波長内での光学分析に適していることがさらに好ましい。第1の材料は、約220nmから約400nmの波長内での光学分析に適していることが最も好ましい。ある材料がある波長での、またはある波長範囲にわたる光学分析に適しているのは、その材料がそれらの波長内で光を吸収も屈折も反射もしない、またはそれらの一部分しか吸収も屈折も反射もしない場合である。具体的には、結晶が光ビームの屈折を引き起こす可能性があるため、その材料は高い非晶性のものでなければならない。さらに、本発明のいずれかの実施形態の第1の材料は、一般に使用されている溶媒に耐性があり、水分を吸収しないことが好ましい。
【0050】
これらの波長のすべてまたは少なくともいくつかでの光学分析に適した高非晶性材料は、環状オレフィンコポリマー、環状オレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、グラフェン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびガラスである。さらに、これらの材料のいくつかは、一般に使用されている溶媒に耐性があり、低い水分吸収を示す。たとえば、環状オレフィンコポリマーは、アセトン、ブタノン、および極性溶媒に耐性があり得る。したがって、本発明によるチューブの第1の材料は、環状オレフィンコポリマー、環状オレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、グラフェン、およびPTFEからなる群から選択される材料であることが好ましい。より具体的には、環状オレフィンコポリマーは、Topas(登録商標)COC 8007X10(Topas Advanced Polymers GmbH、ドイツ、フランクフルト)とすることができ、環状オレフィンポリマーは、Zeonex(登録商標)480(Zeon Europe GmbH、ドイツ、デュッセルドルフ)とすることができ、ポリメチルペンテンは、TPX(Mitsui Chemicals(三井化学株式会社)、日本、東京)とすることができ、Teflon AF(DuPont、米国ウィルミントン)をPTFEとして使用することができる。グラフェンは、原材料または添加剤として使用されてもよい。所望の波長のいくつか、または大部分、またはすべてにわたる光学測定に適した透過率が評価されているので、第1の材料は、環状オレフィンコポリマーおよびガラスからなる群から選択されることが最も好ましい。
【0051】
高非晶性材料は非常に脆性であるため、キャップが閉じられているときチューブの流体収容部上でキャップを保持するためのキャップ保持手段をそれらから好適に構成することができない。この問題は、第1の部分に連結され、第1の材料とは異なる第2の材料製である第2の部分を備える本発明による処理チューブによって解決される。さらに、高非晶性材料は非常に脆性であるため、多くの動きに耐えるジョイントを好適に構成することができない。この問題は、キャップが、ジョイントを介してチューブの流体収容部に連結され、ジョイントの少なくとも一部が、第1の材料とは異なる第2の材料製である本発明のいくつかの実施形態による流体処理チューブによって解決される。これらの利点を最適に実装するために、第2の材料は、第1の材料ほど脆性であるべきでない。また、第2の材料は、第1の材料より柔軟であることが好ましい。たとえば、ポリプロピレンまたはポリエチレンを第2の材料として使用することができる。
【0052】
本発明によるいずれかのチューブは、遠心分離機のロータに連結されるように構成されることが好ましい。本発明によるいずれかのチューブは、標準的な遠心分離機上での遠心分離用に構成されることが好ましい。遠心分離機のロータを回転させることにより、遠心力を流体処理チューブに加えることができる。たとえば、これらのチューブは、遠心にかけたとき、少なくとも100G、または好ましくは少なくとも1000G、または最も好ましくは少なくとも10000Gの加速度にさらされるように構成されるべきである。チューブは、それに適した任意の手段によってロータに連結されてよい。チューブは、ロータが回転するときチューブを定位置で保持するように構成されたリムを有することが好ましい。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によるチューブは、15マイクロリットルと同程度の少ない体積の光学分析を可能にすることが好ましい。したがって、光学検出ゾーンの内側容積は、約15マイクロリットル以下であることが好ましい。
【0054】
本発明の他の態様は、流体を本発明によるチューブに充填するステップと、チューブ内の流体を処理するステップと、チューブ内の流体を光学分析するステップとを含む方法である。この方法のステップの1つまたはすべてを自動で実施してもよい。さらに、光学分析は、流体内に含有されているDNAおよび/またはRNAおよび/または塩および/またはタンパク質を定量するために光透過率を測定することを含むことができる。
【0055】
特許請求の範囲による流体処理チューブおよび流体処理方法は、1つまたは複数のチューブまたは他の使い捨て物品(たとえば、スピンカラム、収集チューブなど)を必要とする多種多様な処理、反応、分析、貯蔵手順を、1つの同じ流体処理チューブ内で実施することを可能にする。具体的には、様々なタンパク質、塩、DNA、RNAについて完全に自動化および標準化された処理および光学分析を単一の流体処理チューブ内で実現することが可能である。これにより、特に、長い一連の分析および処理ステップが必要であるか、様々な流体の大量のセットを、同じ手順に従って処理および分析することが必要であるか、または同じ流体のシーケンスまたはバッチを平行して処理および分析することが必要となるとき、処理および分析に消費される時間が最小限に抑えられる。同時に、とりわけ汚染、相互汚染、および試料損失の危険を最小限に抑えることができる。これらのプロセスは、より容易に自動化することができ、チューブは、使い捨て物品として使用することができる。
【0056】
以下の図は、例示のためだけとして、以下、本発明によるいくつかの実施形態を開示する。特に、図内の開示は、本発明の保護範囲を限定するものではない。