特許第6042824号(P6042824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6042824動物タンパク質とカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースとを含む液体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042824
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】動物タンパク質とカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースとを含む液体
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/66 20060101AFI20161206BHJP
   A23C 9/152 20060101ALI20161206BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20161206BHJP
【FI】
   A23L2/00 J
   A23C9/152
   A23L29/00
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-552558(P2013-552558)
(86)(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公表番号】特表2014-507139(P2014-507139A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】US2012022669
(87)【国際公開番号】WO2012109020
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】61/440,531
(32)【優先日】2011年2月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(72)【発明者】
【氏名】アンネ アデン
(72)【発明者】
【氏名】ローラント アデン
(72)【発明者】
【氏名】ブリッタ ヒューブナー
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−104428(JP,A)
【文献】 特開2010−083768(JP,A)
【文献】 特開2009−279012(JP,A)
【文献】 特開2009−178117(JP,A)
【文献】 特開平08−280366(JP,A)
【文献】 特開2009−112275(JP,A)
【文献】 特開2002−345401(JP,A)
【文献】 特開2004−298019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
A23L 29/00−29/30
A23C 1/00−23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus(STN)
FROSTI(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
15重量%以下の粒子が63マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、40重量%以下の粒子が200マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、そして10重量%以下の粒子が1000マイクロメートルのメッシュスクリーン上に保持される粒子サイズを有するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの取り込みにより、タンパク質沈殿に対して安定化されている、牛乳由来の動物タンパク質を含むpH5.5〜8.0の液体であって、該液体中のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの量が、該動物タンパク質1g当たり0.010〜0.055gであることを特徴とする液体。
【請求項2】
前記液体中のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの量が、前記動物タンパク質1g当たり、0.012〜0.040gである、請求項1に記載の液体。
【請求項3】
前記カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースが、12重量%以下の粒子が63マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、30重量%以下の粒子が200マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、そして5重量%以下の粒子が1000マイクロメートルのメッシュスクリーン上に保持される粒子サイズを有する、請求項1又は2に記載の液体。
【請求項4】
前記カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースが、0.4〜1.4のDSを有するカルボキシメチルセルロースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体。
【請求項5】
前記カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースが、Brookfield LVT粘度計(スピンドル1)を使用して20℃30rpmで、2重量%の水溶液として測定するとき、200mPa・s未満の粘度を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体。
【請求項6】
前記液体の総重量に基づき、0.5〜12重量%の前記動物タンパク質を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体。
【請求項7】
2価カチオンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体。
【請求項8】
前記液体は牛乳を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体。
【請求項9】
熱処理された乳製品飲料である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体。
【請求項10】
pH5.5〜8.0の液体中の、熱処理又は2価カチオン又はこれらの両方により誘導される沈殿に対して牛乳由来の動物タンパク質を安定化させる方法であって、ここで、15重量%以下の粒子が63マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、40重量%以下の粒子が200マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、そして10重量%以下の粒子が1000マイクロメートルのメッシュスクリーン上に保持される粒子サイズを有するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースを、該動物タンパク質1g当たり0.010〜0.055gの量で、該液体中に取り込むことを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物タンパク質とカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースとを含む液体とに関する。
【背景技術】
【0002】
動物タンパク質の懸濁物、例えば、牛乳は、加工中、特に熱処理中に凝集することがあり、これが、懸濁物の沈殿や相分離を引き起こすことがある。カゼインは、最も代表的な牛乳タンパク質である。カルシウムやマグネシウムのような2価のカチオンもまた、牛乳のような水溶液中でカゼイン塩の沈殿を誘導することはよく知られている。例えば、Cuomoら、「H2O及びD2O中のカルシウム及びマグネシウムにより誘導されるカゼイン塩沈殿の温度依存性」、Food Chemistry 126(2011)8−14を参照されたい。乳製品コーヒー飲料のような種々の飲料では、2価カチオンの含量が高い。動物タンパク質の沈殿を防ぐことは、食品業界にとって極めて重要である。
【0003】
カルボキシメチルセルロースナトリウムが、乳汁タンパク質を沈殿させ得ることは知られている。刊行物「カルボキシメチルセルロースナトリウムによる乳汁タンパク質の沈殿」、F.J.Cluskey,Elmer Lawrence ThomasとSamuel T.Coulter,Univ.of Minnesota,St.Paul,MN,USA,Journal of Dairy Science(1969),52(8),1181−5は、カルボキシメチルセルロースナトリウムによる乳汁タンパク質の沈殿の最適条件を示唆している。彼らの研究では、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、単純化カゼイン系から最大90〜96%のカゼインを沈殿させ、天然のスキムミルクから約70%の総タンパク質(主にカゼイン)を沈殿させた。この反応はカルシウム依存性であり、カゼインの等電点より高いpHレベルで、タンパク質−カルシウム−カルボキシメチルセルロース架橋が関与しているようである。一方、等電点(pH4.6)では、カルボキシメチルセルロースはカゼインを安定化させ、沈殿を防いだ。典型的なセルロース−タンパク質複合体は、51.7%のタンパク質、7.3%の灰分、0.44%のカルシウム、及び10〜17%のカルボキシメチルセルロースを含有した。残念ながら、pH4.6でのカルボキシメチルセルロースによるカゼインの開示された安定化は、4.6より高いpHを有する液体食品にとってあまり実用的ではない。
【0004】
カルボキシメチルセルロース(CMC)の作用はまた、研究「タンパク質の凝集挙動に対するCMC添加の効果」、H.Yu,S.F.Sabato,G.D’Aprano,及びM.Lacroix,Canadian Irradiation Centre(CIC)−Research Laboratories in Sciences Applied to Food,INRS−Institut Armand−Frappier,Laval,QC,Can.Radiation Physics and Chemistry(2004),71(1−2),131−135でも考察されている。カゼイン酸カルシウム、ホエータンパク質、及び大豆タンパク質単離物とホエータンパク質単離物の1:1混合物に基づく調製物の凝集に対するCMCの作用が、研究された。CMCを添加すると、タンパク質凝集を観察することができた。この凝集挙動は、例えば、90℃で30分間の加熱、又はpH8.5での32kGyのガンマ線照射のような物理的処理により増強された。さらに、CMCは、放射線照射したタンパク質溶液中での沈殿を、4℃で3ヶ月以上防いだ。著者らは、CMC−タンパク質相互作用が静電的であることを示唆する。残念ながら、pH8.5での放射線照射による開示されたタンパク質安定化も、あまり実用的ではない。
【0005】
米国特許第5,104,674号は、例えば、アイスクリーム、サラダドレッシング、ディップ、スプレッド、及びソースのような食品中の脂肪代替組成物としての使用に適した、微細化イオン性多糖/タンパク質複合体分散物を開示する。その例は、繊維の総固体重量に基づき、少なくとも10重量%のカルボキシメチルセルロースゴムを含む、分子的に密接に複合体化したカルボキシメチルセルロース/タンパク質繊維の懸濁物である。水性繊維懸濁物は、高剪断力領域中を通過させられ繊維が断片化されて、実質的にすべての繊維が、15ミクロン未満の最大寸法を有するカルボキシメチルセルロース/タンパク質複合体マイクロ断片まで小さくされる。複合体形成溶液中のイオン性多糖と可溶化タンパク質との重量比は、1:2〜1:15、好ましくは1:4〜1:10である。イオン性多糖(例えば、カルボキシメチルセルロースゴム)のこのような高濃度は、クリームのようなテクスチャを与えるために、上記食品中で好ましいが、高濃度のイオン性多糖により与えられる高粘度は、動物タンパク質を含む多くの他の食品、例えば、動物タンパク質を含むコーヒー、チコリコーヒー、お茶、又はカカオ、カルシウム強化牛乳、又は動物タンパク質を含む他の飲料では、好ましくない。
【0006】
従って、熱及び/又は2価カチオン(例えば、カルシウム又はマグネシウムイオン)により誘導される沈殿に対して、動物タンパク質を安定化することが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、少量のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースが、熱及び/又は2価カチオン、例えば、カルシウム又はマグネシウムイオンにより誘導される凝集に対して、動物タンパク質を安定化させるために有用であることが見い出された。
【0008】
従って、本発明の1つの態様は、15重量%以下の粒子が63マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、40重量%以下の粒子が200マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、10重量%以下の粒子が1000マイクロメートルのメッシュスクリーン上に保持されるような粒子サイズを有するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの取り込みにより、タンパク質沈殿に対して安定化されている、動物タンパク質を含むpH5.5〜8.0の液体であって、該液体中のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの量が、動物タンパク質1g当たり0.005〜0.055gであることを特徴とする、液体である。
【0009】
本発明の別の態様は、pH5.5〜8.0の液体中の、熱処理又は2価カチオン又はこれらの両方により誘導される沈殿に対して動物タンパク質を安定化させる方法であって、ここで、15重量%以下の粒子が63マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、40重量%以下の粒子が200マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過し、10重量%以下の粒子が1000マイクロメートルのメッシュスクリーン上に保持されるような粒子サイズを有するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースを、動物タンパク質1g当たり0.005〜0.055gの量で、この液体中に取り込むことを含む、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液体は、25℃で測定すると、pH5.5〜8.0、好ましくは6.0〜7.5を有する。好ましくは、この液体は水ベースの液体である。この水分含量は典型的には、液体の総重量に基づき、60〜99%、さらに好ましくは80〜95%である。本明細書において、水中油エマルジョン(例えば、牛乳)もまた、水ベースの液体である。本発明の液体中の油含量は、液体の総重量に基づき、0〜14%、好ましくは0〜8%である。
【0011】
本発明の液体は、動物タンパク質、例えば、牛乳、ウマの乳汁、ヤギの乳汁、ヒツジの乳汁、ラクダの乳汁、ロバの乳汁又はバッファローの乳汁から得られるタンパク質を含む。動物タンパク質の量は、好ましくは、液体の総重量に基づき、0.5〜12%、さらに好ましくは1〜8%、最も好ましくは2〜4%である。
【0012】
さらに、本発明の液体は、カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースを含む。本液体中のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの量は、動物タンパク質1g当たり、少なくとも0.005g、好ましくは少なくとも0.010g、さらに好ましくは少なくとも0.012g、最も好ましくは少なくとも0.013g、特に少なくとも0.014gである。本液体中のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの量は、動物タンパク質1g当たり、最大0.055g、好ましくは最大0.045g、さらに好ましくは最大0.040g、最も好ましくは最大0.035g、特に最大0.030gである。驚くべきことに、本液体中の後述の粒子サイズ分布を有するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースのこれらの少量の取り込みが、沈殿に対して本液体中の動物タンパク質を安定化するのに充分であることが見いだされた。さらに驚くべきことに、動物タンパク質1g当たり実質的に0.055gを超えるカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースが本液体中に取り込まれると、達成される安定化作用が小さくなることが見いだされた。カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの量を非常に高いレベル、具体的には動物タンパク質1g当たり少なくとも0.1gのカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースまで上昇させる時のみ、本発明の液体中に取り込まれる量と同等のタンパク質安定性が達成される。
【0013】
カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、好ましくはメチル基又はエチル基あるいはこれらの組合せを含む。好適なカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、カルボキシエチルセルロース、又はさらに好ましくはカルボキシメチルセルロースである。カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、これらの塩、好ましくはこれらのナトリウム塩及びカリウム塩を含む。これらの最も好適な例は、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースである。本発明で使用される好適なカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、カルボキシメチルセルロース(CMC)であり、これは典型的には、ナトリウム塩の形で本液体中に取り込まれる。本発明の液体は、上記カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの1つまたはそれ以上を含んでよいが、これらの総重量は、上記範囲内でなければならない。
【0014】
カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、下記の粒子サイズを有する。63マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース粒子の量は、最大15%、好ましくは最大12%、さらに好ましくは最大10%、最も好ましくは最大8%であり、特に最大5%である。200マイクロメートルのメッシュスクリーンを通過するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース粒子の量は、最大40%、好ましくは最大30%、さらに好ましくは最大25%、最も好ましくは最大20%であり、特に最大15%である。1000マイクロメートルのメッシュスクリーン上に保持されるカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース粒子の量は、最大10%、好ましくは最大8%、さらに好ましくは最大5%、最も好ましくは最大2%であり、特に最大0.5%である。驚くべきことに、これらのカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、より小さい粒子サイズを有する粉末型の対応するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースと比較して、動物タンパク質を沈殿から安定化する改良された能力を有することが見い出された。
【0015】
0.4〜1.4、さらに好ましくは0.6〜1.0、最も好ましくは0.7〜0.9のDSを有するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース、好ましくはカルボキシメチルセルロースが、好適である。用語「DS」は、アンヒドログルコース1単位当たりのカルボキシアルキル、好ましくはカルボキシメチル置換の程度(置換度)を示し、アンヒドログルコース1単位当たりのカルボキシアルキル基で置換されたOH基の平均数を意味する。
【0016】
本発明で使用されるカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、好ましくは350g/L超、さらに好ましくは400g/Lの非沈殿バルク密度を有する。バルク密度は、既知容積の完全に満たされたビーカーの重量を測定することにより決定される。
【0017】
好ましくは、カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは、Brookfield LVT粘度計(スピンドル1)を使用して20℃30rpmで、2重量%の水溶液として測定するとき、200mPa・s未満、さらに好ましくは100mPa・s未満、最も好ましくは50mPa・s未満の粘度を有する。
【0018】
本発明の液体で有用なカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース及びその製造は、国際特許公報WO2010/117781号に記載されている。これらは、i)未処理のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース(例えば、原料カルボキシメチルセルロース)が高剪断ミキサー中に導入され、ii)少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%、又は顆粒化させない条件が選択されるなら、少なくとも35重量%の水が、追加の表面処理添加剤無しで、カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースに加えられ、iii)カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース凝集物が形成され、及びiv)凝集物は非接触乾燥手段により乾燥されて、上記した粒子サイズ分布を有するカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースが形成されるという、連続プロセスで製造することができる。カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースは水分散性である。表面処理剤を含まないカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース凝集物を製造する能力は、消費を目的とする液体では非常に有利である。
【0019】
好適な高剪断ミキサーは、フルード(FROUDE)数FRWが11より大きい、好ましくは少なくとも50、さらに好ましくは少なくとも200、最も好ましくは少なくとも500である、遠心混合により特徴付けられる混合装置である。フルード数FRWの上限は、一般に混合装置の設計とモーター出力によってのみ与えられる。有用な混合装置は、一般にフルード数FRWが最大2100である。
【0020】
論文NOBILTATM−Feststoffmischen mit hohem Energieeintrag,Teil 1(NOBILTATM Solids Mixing with High Energy Intensity,Part 1)、R.Habermann,KERAMISCHE ZEITSCHRIFT(CERAMIC MAGAZINE)4−2007,254−259頁は、混合装置のフルード数に依存して、混合装置中の固体粒子の質量の動きを考察している。11より大きいフルード数FRWにより特徴付けられる固体ミキサーでは、遠心力が、固体粒子の質量の引力を遙かに超える。運転中のそのような混合装置は、混合装置中で固体粒子の質量の遠心と、固体粒子の環状層の形成とを引き起こす。好適な実施態様において、11より大きいフルード数FRWにより特徴付けられる混合装置は、混合シャフトを有するミキサー、好ましくは混合シャフトを有する水平又は垂直ミキサー、最も好ましくは、典型的には環状層ミキサーとして知られている連続高速水平パドルミキサーである。フルード数FRWが11超、好ましくは少なくとも50、さらに好ましくは少なくとも200、最も好ましくは少なくとも500により特徴付けられる混合装置は、高強度ミキサーであり、垂直及び水平デザインで入手でき、例えば、典型的には環状層ミキサーとして知られている、連続高速水平パドルミキサーである。この混合装置は一般に、軸方向に配置されている混合シャフトを有する水平又は垂直ドラムを含む。混合シャフトは、典型的にはそこから突き出るブレード、ボルト、及び/又はパドルを有する。混合シャフトの形状は、輸送、分散、混合、又は圧縮のための、種々の混合領域を生み出す。混合される製品は、好ましくは遠心力を介して同心円を形成し、プラグ様流れでミキサー中を移動する。水を異なる方法で添加することができる。例えば、水は単一の又は混合相ノズルにより、上から固体粒子の環状層中に接線方向に導入することができる。あるいは水は、回転する中空シャフトにより、孔の開いた混合ツールを介して、直接固体粒子の環状層中に導入することができる。環状層ミキサーとして知られている適切な連続高速水平パドルミキサーは、Loedige(Paderborn,Germany)から商品名CoriMix CMで、又はHosokawa Micron B.V.(Netherlands)から商品名Turbolizer TCで購入することができる。別の有用な混合装置は、米国特許第3,871,625号に記載されているフロージェットミキサーである。他の有用な混合装置は、垂直流ミキサーであり、これは例えば、Hosokawa Micron B.V.(Netherlands)から商品名Shugi Flexomixで市販されている。
【0021】
ある実施態様において、非接触乾燥手段により凝集物を乾燥させる工程は、非接触乾燥手段が流動床ドライヤーであるものを含む。カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース凝集物は、好ましくは50℃又はそれ以上、さらに好ましくは70℃又はそれ以上の温度で乾燥される。あるいは、カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース凝集物は、温度に関係なく、残存水分含量が10重量%未満まで乾燥される。
【0022】
好適な液体は、乳製品飲料、例えば、動物タンパク質を含むコーヒー、チコリコーヒー、お茶、又はカカオ、カルシウム強化牛乳、又は動物タンパク質を含む他の飲料である。本明細書に記載のカルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースの取り込みは、カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース凝集物は、液体中の動物タンパク質を沈殿から防御するため、熱処理される飲料、好ましくは、少なくとも40℃、さらに好ましくは少なくとも60℃、最も好ましくは少なくとも80℃、及び好ましくは最大140℃、さらに好ましくは最大130℃、最も好ましくは最大120℃の温度で加熱される飲料で置換有用である。熱処理プロセスは、当該分野で低温処理又は超高温処理として知られている。熱処理は、一般に2秒〜30分間、好ましくは2秒〜1分間行われる。
【0023】
本発明のある態様において、液体は、主成分として牛乳を含む乳汁飲料、例えば、60〜95重量%の牛乳を含む乳汁飲料である。乳汁飲料の残りは、甘味剤又は天然のもしくは人工の香料のような添加剤、例えば、インスタントコーヒー、又はティー粉末又はカカオ粉末、フルーツもしくはベリーエキス、コーヒー、お茶、又はカカオ液体、又は水でもよい。本発明の液体、好ましくは、乳汁飲料は、本発明の液体(例えば、乳汁飲料)の総重量に基づいて、0.035〜0.15重量%、さらに好ましくは0.040〜0.12重量%、最も好ましくは0.045〜0.10重量%の上記カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロースを含む。
【実施例】
【0024】
以下の例は単に例示目的であり、決して本発明の範囲を限定するものと考えてはならない。特に明記しない場合は、すべての部及びパーセントは重量に基づく。
【0025】
[実施例1(動物タンパク質)、比較例A(大豆タンパク質)及び比較例B(粉末グレードCMC)]
調製物「コーヒー飲料」の成分
93.5% 乳汁
3.5% 噴霧乾燥インスタントコーヒー粉末
1.0〜2.95% サッカロース、精製糖
0.05〜2.0% カルボキシメチルセルロース(CMC)
【0026】
調製物中のCMCの量は、これを糖で置換することにより変化させた。実施例1では、1.5%の脂肪と3.7%のタンパク質を含有する新鮮な牛乳を使用した。比較例Aでは、2.3%の脂肪と3.7%のタンパク質を含有する豆乳を使用した。
【0027】
実施例1と比較例A及びBで使用したCMCは、ASTM D1439−03「カルボキシメチルセルロースナトリウムの標準試験法;エーテル化度、試験法B:非水性力価測定」(“Standard Test Methods for Sodium Carboxymethylcellulose;Degree of Etherification,Test Method B: Nonaqueous Titration”)に従って測定すると、DSが0.9で、Brookfield LVT粘度計(スピンドル1)を使用して20℃30rpmで、2重量%の水溶液として測定するとき、26mPa・sの粘度を有した。実施例1と比較例Aでは、CMCは、以下の表1に列記した粒子サイズ分布を有する顆粒型であった。比較例Bでは、CMCは、以下の表1に列記した粒子サイズ分布を有する粉末型であった。
【0028】
【表1】
【0029】
調製:
コーヒー粉末、糖、及びCMCの固体混合物を調製し、次に新鮮な牛乳又は豆乳に、20℃の水浴に400rpmで攪拌しながら、すべての粒子が溶解されるまで加えた(攪拌器:IKA Eurostar power control−visc 6000)。その調製後、内部温度コントロールのついた水浴中、85℃で5分間、飲料を加熱することにより、飲料の低温処理を行なった。試料を4℃で最大2週間維持し、相分離についてチェックした。
【0030】
性状解析:
相分離を定量するために、遠心分離後の上清液の量(mL)を測定した。すなわち、15mLの試料を4000rpmで10分間遠心分離した。上清液の量を、遠心容器(遠心分離器:Multifuge 1S、Heraeus)のスケールから直接得た。結果を以下の表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1に示すように、本特許出願に記載される動物タンパク質とCMCを含む本発明の液体は、相分離の無い(遠心分離後に上清液が無い)安定な懸濁物である。安定性を2週間試験したが、この期間中、相分離は起きなかった。