特許第6042828号(P6042828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042828
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】グルテンフリー穀粉を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/00 20060101AFI20161206BHJP
   A21D 2/18 20060101ALI20161206BHJP
   A21D 13/08 20060101ALI20161206BHJP
   A21D 13/00 20060101ALI20161206BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20161206BHJP
   A21D 2/36 20060101ALI20161206BHJP
   A23L 33/00 20160101ALI20161206BHJP
   A21D 10/04 20060101ALI20161206BHJP
   A23L 7/157 20160101ALI20161206BHJP
【FI】
   A21D2/00
   A21D2/18
   A21D13/08
   A21D13/00
   A23L7/109 A
   A21D2/36
   A23L33/00
   A21D10/04
   A23L7/157
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-555436(P2013-555436)
(86)(22)【出願日】2012年2月8日
(65)【公表番号】特表2014-506480(P2014-506480A)
(43)【公表日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】US2012024276
(87)【国際公開番号】WO2012115781
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】61/446,304
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】リ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ビー.フレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】シャオドン チャン
【審査官】 濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−022313(JP,A)
【文献】 特開2010−268693(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00689770(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0160728(US,A1)
【文献】 特開2002−176933(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/006778(WO,A1)
【文献】 特表2001−526909(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0291272(US,A1)
【文献】 米国特許第04109018(US,A)
【文献】 特開平02−109940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00
A21D 13/00
A23L 7/109
A23L 33/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)グルテンフリー穀粉と、b)19〜24重量%のメトロキシル基と4〜12重量%のヒドロキシプロポキシル基を含有し、かつ、2重量%の水溶液中20℃で測定するとき1,000〜20,000mPa・sの粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、c)カルボキシメチルセルロースとを、含む組成物であって、前記成分b)対前記成分c)の重量比が5:1〜10:1であり、そして前記グルテンフリー穀粉100重量部に基づく、前記成分b)が0.5重量部〜2.0重量部であり、かつ、前記c)成分が0.10重量部〜0.30重量部である、前記組成物。
【請求項2】
前記カルボキシメチルセルロースが、1重量%の水溶液中25℃でBrookfield LVT粘度計(スピンドルNo.3)を用いて30rpmで測定するとき、100〜5,000mPa・sの粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カルボキシメチルセルロースが、0.40〜0.95の置換度を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
水をさらに含み、かつ、生地又はバッターの形態にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルテンフリー穀粉を含む組成物と、グルテンフリー食品、例えば、グルテンフリーベーカリー製品又はグルテンフリーパスタと、及び個体のグルテン関連疾患の管理法とに、関する。
【背景技術】
【0002】
グルテンは、小麦、大麦、ライ麦を含むトリチシー(triticeae)連の穀物中に存在するタンパク質複合体である。小麦粉中のグルテン含量は、好ましい感覚刺激性、例えば、きめと味とを、数えきれないほどのベーカリー製品及び他の食品に与える。グルテンは、また、食品製造業者とホームベーカーの両方に加工性を与える。一般に、グルテンフリー穀粉(例えば、米粉やそば粉)を使用してパンを作ることは非常に困難である。グルテンを含む小麦粉やライ麦粉を使用する生地の場合、生地を酵母で発酵させると、発酵により発生した炭酸ガスがグルテンにより保持され、従ってグルテンネットワークが膨張し、生地が大きくなる。グルテンフリー穀粉を使用する生地の場合、発酵により発生する炭酸ガスは、生地内に保持されず、従って生地は効率的には大きくならない。グルテンは、バン及び他の食品の「核心(heart and soul)」であると、多くの人に考えられている。
【0003】
しかしながら、グルテンには欠点がある。グルテンタンパク質複合体は、消化管に入ると、他のタンパク質源のようにそのペプチド鎖に分解されるが、生じるグルテン関連ペプチド鎖の長さは、他のタンパク質のものより長い。このため及び他の理由のために、一部の人では、これらの長いペプチドが、一般にセリアック病と呼ばれる免疫応答を引き起こす。セリアック病は、小腸内の、炎症、絨毛萎縮、及び陰窩過形成により特徴付けられる。近位小腸の粘膜は、消化酵素に耐性のグルテンペプチドに対する免疫応答により損傷を受ける。この損傷は、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、及びある場合には、水や胆汁塩などの必須栄養物質を吸収する体の能力を妨害する。セリアック病は、治療せずに放置すると、貧血、骨粗鬆症、低身長、不妊症、及び神経障害などの他の疾患のリスクを上昇させ、癌や他の自己免疫疾患の増加を引き起こすとされている。従って、グルテンフリー食品を見つけるために多くの研究が行われている。
【0004】
ヨーロッパ特許出願EP1561380号は、グルテンフリー穀粉、水溶性セルロースエーテル、及び0.05〜1.0のモル置換を有する低置換セルロースエーテルを含む生地組成物を開示する。適当な水溶性セルロースエーテルの例は、メチルセルロースのようなアルキルセルロース、及びヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルメチルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロースを含む。低置換セルロースエーテルの好適な例は、0.091〜0.51のモル置換を有する低置換ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルエチルセルロースを含む。この生地組成物から作成したパンは、口当たりがよく充分なボリュームがあり、時間がたっても柔らかさを保持し、小麦などに対する食物アレルギーの患者でも食べることができると言われている。しかしながら、その実施例に従って製造されたパンは、比容積がわずかに約2.5〜3cm3/gである。
【0005】
ヨーロッパ特許出願EP2153724号は、少なくとも、0.05〜0.3のヒドロキシプロポキシルモル置換と1.4〜1.9のメトキシル置換度とを有する水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ここで、ヒドロキシプロポキシル基は、メトキシル基でさらに置換されたヒドロキシプロポキシル基のヒドロキシル基を有する置換ヒドロキシプロポキシル基と、置換されていないヒドロキシプロポキシル基のヒドロキシル基を有する非置換ヒドロキシプロポキシル基とに分類され、置換ヒドロキシプロポキシル基のモル分率(A)と非置換ヒドロキシプロポキシル基のモル分率(B)との比(A/B)は、0.4又はそれ以上である)と;グルテンフリー穀粉と;及び水とを、含む生地組成物を開示する。軟らかい手触りと良好な「のどごし感」が報告されている。
【0006】
しかしながら、グルテンフリー穀粉に基づく生地組成物は、消費者が好む、軟らかい手触りと大きい比容積を有する、ベーカリー製品のような食品を得るために、多量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを必要とする。
【0007】
米国特許出願第2008/0038434号は、グルテンフリー製品を製造するための組成物であって、グルテンフリーのガスを保持するポリマー、例えば、チューインガム基剤、グルテンフリー硬化性ポリマー、例えばコーンゼイン、及び場合によりヒドロコロイド、例えばメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む組成物を開示する。しかしながら、グルテンフリー製品を製造するための提案された組成物は複雑であり、多くの成分を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術の組成物の上記欠点を考慮すると、本発明の1つの目的は、グルテンフリー食品の製造に有用な新しい組成物を提供することである。本発明の好適な目的は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むグルテンフリー食品と同じ固さと比容積を実質的に有するが、より少量のヒドロコロイド、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースしか必要としない、グルテンフリー食品の製造に有用な新しい組成物を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、a)グルテンフリー穀粉と、b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はメチルセルロースと、c)カルボキシメチルセルロースとを、含む組成物である。
【0010】
本発明の別の態様は、上記組成物を含むか又はこれから製造された食品である。
本発明のさらに別の態様は、上記食品を個体に与えることを含む、個体のグルテン関連障害を管理する方法である。
【0011】
i)ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はメチルセルロースと、ii)カルボキシメチルセルロースとを組合せて含む本発明の組成物は、より少ない量のヒドロキシプロピルメチルセルロース又はメチルセルロースで、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はメチルセルロースのみを含む同等のグルテンフリー食品と、実質的に同じ固さと比容積を有する食品(例えば、ベーカリー製品、特にパン)を製造するのに有用であることが、驚くべきことに見いだされた。これは、このような食品、例えばベーカリー食品を製造している食品業界にとって大きな節約となる。
【0012】
本発明の組成物は、特に、比容積、固さ、弾力性、及び水分含量の優れたかつバランスの取れた組合せを有する、食品、例えば、ベーカリー製品、特にパンを製造するのに有用であることが見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の1つの態様は、グルテンフリー穀粉を含む組成物である。これは、組成物自体又は組成物を含むか又は組成物から製造される食品も、典型的にはグルテンフリーであることを意味する。グルテンフリー食品の典型的な製造法は、グルテン含有穀物(例えば、小麦)から得られる粉を使用せずに、グルテンフリー出発材料から得られる成分のみを使用することからなる。従って本発明の組成物は、a)グルテンフリー穀粉、例えば、アマランス粉、葛粉、米粉、そば粉、トウモロコシ粉、ひよこ豆粉、garfava粉(ひよこ豆とソラマメの組み合わせから作られるAuthentic Foodsにより製造される粉)、キビ粉、エンバク粉、ジャガイモ粉、キノア粉、ロマノ豆粉、ソルガム粉、大豆粉、もち米粉、タピオカ粉、もしくはテフ粉、又はこれらの2つまたはそれ以上の粉の組み合わせのような、グルテンフリー穀粉を含む。好適なのは、米粉、そば粉、トウモロコシ粉、キビ粉、タピオカ粉、もしくはジャガイモ粉、又はこれらの2つまたはそれ以上の粉の組み合わせである。粉は好ましくは、組成物の総乾燥重量に基づき、50〜98%、さらに好ましくは70〜95%の量で使用される。さらに本発明の組成物は、b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はメチルセルロースを含む。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メチルセルロースより好ましい。成分b)は、好ましくは、100重量部のグルテンフリー穀粉に基づき、少なくとも0.1重量部、さらに好ましくは少なくとも0.5重量部、最も好ましくは少なくとも1.0重量部の量で使用される。成分b)は、好ましくは、100重量部のグルテンフリー穀粉に基づき、最大5.0重量部、さらに好ましくは少なくとも3.0重量部、最も好ましくは最大2.0重量部の量で使用される。
【0014】
好適なメチルセルロースは、米国薬局方(USP32)に従って測定すると、10〜40重量%、さらに好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは27〜32重量%のメチル基を含有する。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースは、米国薬局方(USP32)に従って測定すると、10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%、最も好ましくは19〜24重量%のメトキシル基と、3〜35重量%、さらに好ましくは4〜32重量%、最も好ましくは4〜12重量%のヒドロキシプロポキシル基を含有する。
【0015】
メチルヒドロキシプロピルセルロース又はメチルセルロースの粘度は、2重量%の水溶液中20℃でHaake VT550粘度計で2.55s-1の剪断速度で測定するとき、一般に300〜200,000mPa・s、好ましくは400〜100,000mPa・s、さらに好ましくは1000〜20,000mPa・s、及び最も好ましくは2000〜20,000mPa・sである。
【0016】
さらに、本発明の組成物は、c)カルボキシメチルセルロースを含む。成分c)は、好ましくは、100重量部のグルテンフリー穀粉に基づき、少なくとも0.01重量部、さらに好ましくは少なくとも0.05重量部、最も好ましくは少なくとも0.10重量部の量で使用される。成分c)は、好ましくは、100重量部のグルテンフリー穀粉に基づき、最大1.0重量部、さらに好ましくは最大0.50重量部、最も好ましくは最大0.30重量部の量で使用される。
【0017】
本明細書において用語「カルボキシメチルセルロース」又は「CMC」は、式−CH2CO2A(ここで、Aは水素又は1価カチオン、例えばK+又は好ましくはNa+である)の基で置換されたセルロースを包含する。好ましくは、カルボキシメチルセルロースは、ナトリウム塩(すなわち、AがNa+である)の形である。典型的にはカルボキシメチルセルロースは、置換度が0.20〜0.95、好ましくは0.40〜0.95、さらに好ましくは0.65〜0.95である。置換度は、1つのアンヒドログルコース単位中で置換されているOH基の平均数である。これは、ASTM D1439−03「カルボキシメチルセルロースナトリウムの標準試験法;エーテル化度、試験法B:非水性力価測定」("Standard Test Methods for Sodium Carboxymethylcellulose; Degree of Etherification, Test Method B: Nonaqueous Titration")に従って測定される。沸騰温度での氷酢酸によるCMCの固体試料の処理は、カルボキシメチルナトリウム基に等しいアセテートイオンを放出する。これらのアセテートイオンは、過塩素酸標準溶液を使用して、無水酢酸中で、強塩基として滴定することができる。滴定終点は、電位差測定により測定される。カルボン酸の他のアルカリ性塩(例えば、グリコール酸ナトリウム、及びジグリコール酸二ナトリウム)は同様に挙動し、同時滴定される。
【0018】
カルボキシメチルセルロースの粘度は、1重量%の水溶液中25℃でBrookfield LVT粘度計(スピンドルNo.3)を使用して30rpmで測定すると、一般に20〜20,000mPa・s、好ましくは25〜12,000mPa・s、さらに好ましくは100〜5,000mPa・s、最も好ましくは500〜2,500mPa・sである。
【0019】
本特許出願の発明者らは、成分b)とc)とを組合せて含む本発明の組成物が、比容積、固さ、弾力性、及び水分含量の優れたかつバランスの取れた組合せを有する、食品、例えば、ベーカリー製品、特に、パンを製造するのに有用であることを、驚くべきことに見いだした。成分b)と成分c)との重量比は、好ましくは1:20〜20:1、さらに好ましくは1:10〜15:1、最も好ましくは1:1〜10:1、特に5:1〜10:1である。
【0020】
本発明の組成物は、成分a)、b)、及びc)以外に、1以上の随時の追加成分を含んでよい。100重量部のグルテンフリー穀粉に基づき、水以外の、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは25重量部以下の随時成分が、本発明の組成物中に取り込まれる。さらに後述されるように、水を多量に組成物中に加えてもよい。
【0021】
成分a、b)、及びc)以外に、グルテンフリー組成物及び食品中の他の可能な成分の例は、以下の通りである:ジャガイモデンプンとコーンスターチを含むデンプン;キサンタンゴムとグアーゴム含むゴム;ゼラチン;卵;卵の代替品;糖、糖蜜、そして蜂蜜を含む甘味料;塩;酵母;ベーキングパウダーや重曹を含む化学膨張剤;マーガリンとバターを含む脂肪;植物油を含む油;酢;生地エンハンサー;牛乳、粉ミルク、ヨーグルトを含む乳製品;豆乳;アーモンドミール、ナッツミルク、ナッツミートを含むナッツ成分;亜麻仁、ケシの種、そしてゴマ種を含む種子;果物のピューレや果汁を含む果物や野菜成分;及び、ライ麦の風味パウダー、バニラ、ココアパウダー、シナモンを含む香料。しかしながら、これは、そのようなグルテンフリー製品、例えば、グルテンフリーパン製品を作るために使用することができるすべての成分の包括的なリストではない。
【0022】
例えば、生地又はバッター(例えば、パン生地)が調製される時、本発明の組成物に水が取り込まれてもよい。これは、100重量部のグルテンフリー穀粉に基づき、一般に50〜150重量部、好ましくは60〜100重量部、さらに好ましくは79〜90重量部の量で加えられる。
【0023】
本発明の組成物は、グルテンフリー食品、例えば、グルテンフリーベーカリー製品、例えば、パン、マフィン、ケーキ、クッキー、又はピザ生地;グルテンフリーパスタ、シリアル製品、クラッカー、及びバー製品を製造するのに有用である。本発明の組成物は、通常の方法で、例えば、本発明の組成物から生地又はバッターを製造し、これを成形又は型に入れて作り、製造される食品の種類に応じて、随時組成物を膨張させ、かつ随時焼くことにより、グルテンフリー食品に加工することができる。
【0024】
本発明の食品は、小麦粉を含む食品のような従来のグルテン含有食品の優れた代替物である。従って、グルテン関連障害に悩む個体に本発明の食品を提供することは、個体のグルテン関連障害を管理するための優れた方法である。
【0025】
以下の例は単に例示目的であり、決して本発明の範囲を限定するものと考えてはならない。特に明記しない場合は、すべての部及びパーセントは重量に基づく。
【実施例】
【0026】
実施例1と比較例A〜C
30部の米粉、10部のタピオカ粉、10部のジャガイモ粉、40部の水、1部の塩、4部のショ糖、3部の植物油、1部の活性酵母、及び後述の表1に列記される種類と量のセルロースエーテル成分から、生地組成物を調製する。すべての乾燥成分を容器に量り取り、充分混合する。乾燥成分中に高剪断応力下で、液体成分を加える。生地を3分間捏ね、次に、脂を塗ったローフパンに移して100F(38℃)で1時間15分間寝かせて膨らませる。次に、これを392F(200℃)で37分間焼く。パンを2時間冷却後、その物性を分析する。
【0027】
後述の表1に列記されるパンの固さと弾力性及び水分含量を、以下のように測定する:
水分含量を、Mettler LP16IRヒーターをMettler PM100スケールとともに使用して、乾燥減量試験法(LOD)により測定する。0.5〜1gのパンをアルミニウムパンの上に均等に広げる。次にパンをLODバランスの上に置き、蓋を閉じる。ヒーターをプログラムして、パンを120℃で乾燥させる。この装置は、重量の減少がなくなるまで、試料を加熱し続ける。水分含量を、試料の重量の減少により算出する。水分含量=(初期の試料重量−最終的試料重量)/初期の試料重量。
【0028】
固さと弾力性を、TA.XT2テクスチャアナライザーを使用して測定する。ローフの真ん中から取ったパンの一片を、TA.XT2の乗せ台の上に置く。既知の高さのプローブを、パン片の上にゆっくり下ろす。これがパンに接触したら、これをさらにパン片の厚さの25%下ろし、パンから受ける力を連続的に測定する。25%の時点で、プローブを下ろすのを止める。この時点でパンがプローブに与える力が固さである。この位置で60秒後に、プローブをパン片から引き上げる。弾力性は、60秒後にパンがプローブに与える力を、0秒時に与えた力で割ったものである。
【0029】
下記の表1の略語は、以下を意味する:
HPMC:22.8重量%のメトキシル基と8重量%のヒドロキシプロポキシル基、2重量%の水溶液中20℃でBrookfield粘度計(スピンドルNo.4)を用いて20rpmで測定するとき、約4000mPa・sの粘度、及び、420マイクロメートルのメッシュサイズを有する40U.S.標準メッシュ篩いを95%の粒子が通過する粒子サイズを有する、ヒドロキシプロピルメチルセルロース。
【0030】
CMC:約0.9のDS(カルボキシメチル)度、1重量%の水溶液中25℃でBrookfield LVT粘度計(スピンドルNo.3)を用いて30rpmで測定するとき、約1000mPa・sの粘度を有する、カルボキシメチルセルロース粉末。
【0031】
【表1】
【0032】
表1の結果は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースの組合せが、グルテンフリー組成物と食品中に取り込まれると、比容積、固さ、弾力性、及び水分含量の優れたかつ驚くほどバランスされた組合せを有する食品、例えばベーカリー製品、特にパンを、本発明の組成物から製造することができることを示す。
【0033】
実施例1のベーカリー製品は、比較例Bの製品と実質的に同じ量のHPMCを含むが、実施例1のベーカリー製品は、比較例Bのベーカリー製品より、実質的に比容積がより大きく、固さははるかに小さく、より大きな弾力性を有し、ほぼ同じ水分を有する。比較例Cに基づくと、食品中にHMPC以外にCMCを取り込むことにより、比容積、固さ(硬度)、及び弾力性に好ましくない影響があることを当業者は予測するため、これは極めて予想外である。