特許第6042841号(P6042841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042841
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/00 20060101AFI20161206BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F24C3/00 L
   F24C15/10 B
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-83260(P2014-83260)
(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公開番号】特開2015-203532(P2015-203532A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】蒲 厚仁
(72)【発明者】
【氏名】塩野 岳
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−057461(JP,A)
【文献】 特開2008−101845(JP,A)
【文献】 特開2010−032135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00
F24C 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体と、コンロ本体の上面を覆う天板と、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に突出するコンロバーナと、天板上にバーナ用開口を囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロであって、天板に、バーナ用開口の周縁部に位置させて、五徳の環状の五徳枠が外嵌する環状隆起部が絞り成形されるものにおいて、
天板の下面に、環状隆起部から天板の一辺側にのびる補強部材が固定され、補強部材の天板の一辺側の端部に、上方に浮き上がらないようコンロ本体に係合する係合部が形成されることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
請求項1記載のガスコンロであって、前記天板の後部に、前記コンロ本体内に組み込んだグリルの排気口が開設され、この排気口を覆う排気ガードが天板の後部上面に載置されると共に、排気ガードの下に位置する部分で天板がグリルの天井部にネジ止めされるものにおいて、前記補強部材がのびる天板の前記一辺側は天板の前辺側であることを特徴とするガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ本体と、コンロ本体の上面を覆う天板と、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に突出するコンロバーナと、天板上にバーナ用開口を囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガスコンロとして、コンロバーナに外挿した状態で天板上に載置されるバーナリングを備え、このバーナリングに五徳の環状の五徳枠を外嵌させて、五徳を位置決めするものが知られている。また、天板に、バーナ用開口の周縁部に位置させて、五徳の環状の五徳枠が外嵌する上記バーナリングに相当する環状隆起部を絞り成形したガスコンロも知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、バーナリングが不要になり、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0003】
然し、天板に環状隆起部を絞り成形すると、以下の不具合を生ずることが判明した。即ち、環状隆起部は、コンロバーナの火炎からの輻射熱により加熱されやすく、環状隆起部からの入熱で天板が熱膨張して、環状隆起部が上方に変位するように天板が変形しやすくなる。そして、環状隆起部が一旦上方に変位すると、火炎に近づくために、環状隆起部への入熱量が増加して、天板の熱膨張による環状隆起部の上方への変位量がかなり大きくなってしまう。そのため、コンロバーナの燃焼停止で天板が冷却収縮して初期状態に戻ろうとしたとき、大きな反転音が発生して使用者を驚かせてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−57461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、バーナ燃焼時における環状隆起部の上方への変位を抑制して、冷却時に天板で大きな反転音が発生することを防止できるようにしたガスコンロを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロ本体と、コンロ本体の上面を覆う天板と、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に突出するコンロバーナと、天板上にバーナ用開口を囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロであって、天板に、バーナ用開口の周縁部に位置させて、五徳の環状の五徳枠が外嵌する環状隆起部が絞り成形されるものにおいて、天板の下面に、環状隆起部から天板の一辺側にのびる補強部材が固定され、補強部材の天板の一辺側の端部に、上方に浮き上がらないようコンロ本体に係合する係合部が形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、補強部材の端部の係合部が上方に浮き上がらないようにコンロ本体に係合するため、コンロバーナ燃焼時における環状隆起部の上方への変位が補強部材により抑制される。その結果、冷却時に天板で大きな反転音が発生することを防止できる。
【0008】
ところで、天板の後部に、コンロ本体内に組み込んだグリルの排気口を開設し、この排気口を覆う排気ガードを天板の後部上面に載置すると共に、排気ガードの下に位置する部分で天板をグリルの天井部にネジ止めすることがある。この場合、冷却時に天板が前上がりに反り返って、天板の前辺部分がコンロ本体から浮き上がってしまう可能性がある。そのため、排気ガードの下に位置する天板の部分で天板をグリルの天井部にネジ止めする場合、補強部材がのびる天板の前記一辺側は天板の前辺側であることが望ましい。これによれば、補強部材が天板前辺側に位置する係合部でコンロ本体に係合することになり、冷却時の天板の反り返りで天板の前辺部分がコンロ本体から浮き上がることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のガスコンロの斜視図。
図2】実施形態のガスコンロの分解状態の斜視図。
図3】実施形態のガスコンロの要部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、1は、本発明の実施形態のガスコンロを示している。このガスコンロ1は、コンロ本体2と、コンロ本体2の上面を覆う天板3と、天板3の左右2箇所に開設したバーナ用開口31,31を通して天板3上に突出する左右一対のコンロバーナ4,4と、天板3上にバーナ用開口31,31を囲うようにして載置される左右一対の五徳5,5と、コンロ本体2内に組み込んだグリル6とを備えている。コンロ本体2の前面には、各コンロバーナ4用と図示省略したグリルバーナ用の点消火ボタン21と火力調節レバー22とが配置されている。
【0011】
また、図2も参照して、天板3の後部には、グリル6の天井部61の後端に開口する排気流出口62が臨む排気口32が開設され、この排気口32を覆う排気ガード7が天板3の後部上面に載置されている。そして、排気ガード7の下に位置する天板3の部分に固定孔33を形成すると共に、グリル6の天井部61の固定孔33に合致する部分にネジ孔63を形成し、固定孔33を通してネジ孔63に螺合するネジにより天板3をグリル6の天井部61にネジ止めし、使用者が容易に天板3を取外すことができないようにしている。尚、ネジ止め箇所は排気ガード7で覆われて外観に現れず、体裁を損なうことはない。
【0012】
各五徳5は、環状の五徳枠51に放射状に複数の五徳爪52を取付けて成るものである。また、天板3には、各バーナ用開口31の周縁部に位置させて、環状隆起部34が絞り成形されており、各五徳5の五徳枠51を環状隆起部34に外嵌させて、各五徳5を位置決めしている。
【0013】
ところで、環状隆起部34は、コンロバーナ4の火炎からの輻射熱により加熱されやすく、環状隆起部34からの入熱で天板3が熱膨張して、環状隆起部34が上方に変位するように天板3が変形しやすくなる。そして、環状隆起部34が一旦上方に変位すると、火炎に近づくために、環状隆起部34への入熱量が増加して、天板3の熱膨張による環状隆起部34の上方への変位量がかなり大きくなってしまう。そのため、コンロバーナ4の燃焼停止で天板3が冷却収縮して初期状態に戻ろうとしたとき、大きな反転音が発生して使用者を驚かせてしまう。また、本実施形態の如く天板3が排気ガード7の下に位置する部分でグリル6の天井部61にネジ止めされていると、冷却時に天板3が前上りに反り返って、天板3の前辺部分がコンロ本体2から浮き上がってしまう可能性がある。
【0014】
そこで、本実施形態では、天板3の下面に、各環状隆起部34から天板3の前辺側にのびる補強部材35を溶接等で固定し、補強部材35の天板3の前辺側の端部、即ち、前端部に、図2図3に示す如く、上方に浮き上がらないようにコンロ本体2に係合する係合部35aを形成している。より具体的に説明すれば、補強部材35を左右両側に下方への折り曲げ部35bを有する断面コ字状の部材で構成し、補強部材35の前端部に、各折り曲げ部35bから前方に突出する爪片状の係合部35aを形成している。また、コンロ本体2の前面上端のフレーム23に、各補強部材35の係合部35aに対応するスリット24を形成している。そして、係合部35aをスリット24に挿入してから天板3を前方に少許ずらして、係合部35aをスリット24より前方のフレーム23部分の下面に上方に浮き上がらないように係合させ、この状態で天板3を固定孔33においてグリル6の天井部61にネジ止めする。
【0015】
これによれば、コンロ本体2に対する係合部35aの係合で補強部材35全体の上方への変位が防止され、そのため、環状隆起部34がコンロバーナ4の燃焼時に上方に変位することを補強部材35により抑制できる。その結果、冷却時に天板3で大きな反転音が発生することを防止できる。また、補強部材35が天板3の前辺側に位置する係合部35aでコンロ本体2に係合することになり、冷却時の天板3の反り返りで天板3の前辺部分がコンロ本体2から浮き上がることを確実に防止できる。
【0016】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は、グリル付きであって、天板3後部をグリル6の天井部61にネジ止めしているが、天板3後部をネジ止めしないグリル付きやグリル無しのガスコンロにも本発明を適用でき、この場合、補強部材35は、環状隆起部34から天板3の後辺側や左右一方の側辺側にのびていてもよい。
【符号の説明】
【0017】
1…ガスコンロ、2…コンロ本体、3…天板、31…バーナ用開口、32…排気口、33…固定孔(天板ネジ止め箇所)、34…環状隆起部、35…補強部材、35a…係合部、4…コンロバーナ、5…五徳、51…五徳枠、6…グリル、7…排気ガード。
図1
図2
図3