(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の具体的な実施形態について説明する前に、
図1を参照して本発明の概要について説明する。
図1(a)および
図1(b)は、本発明の最上位概念に対応する実施形態の無線通信装置および通信システムを示すブロック図である。
【0022】
図1(a)を参照すると、一つの最上位概念に対応する実施形態の無線通信装置は、通信ネットワークに接続する通信機器101に無線接続する無線通信装置である。通信ネットワークに接続する通信機器101へ無線接続する無線通信装置の一例として、
図1(a)は無線子機102を示す。無線子機102は、他の無線子機103から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号を出力する受信手段102aを備えている。さらに、無線子機102は、上記受信レベル信号が所定の閾値を上回ったとき、上記他の無線子機103に、自らが無線接続されている通信機器101の接続設定情報を送信する送信手段102bを備えている。
【0023】
図1(a)を参照すると、一つの最上位概念に対応する実施形態の通信システムは、通信ネットワークに接続する通信機器101へ無線接続する第1の無線子機を含む。通信ネットワークに接続する通信機器101へ無線接続する第1の無線子機の一例として、
図1(a)は無線子機102を示す。さらに、一つの最上位概念に対応する実施形態の通信システムは、通信機器101へ無線接続する第2の無線子機を含む。通信機器101へ無線接続する第2の無線子機の一例として、
図1(a)は無線子機103を示す。
【0024】
本実施形態の無線通信装置および通信システムでは、受信手段102aが、無線子機103から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号を出力する。さらに、送信手段102bが、上記受信レベル信号が所定の閾値を上回ったときに、無線子機103に、自らが無線接続されている通信機器101の接続設定情報を送信する。本実施形態では、無線子機103との間で通信機器101の接続設定情報を共有する際、無線子機103から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベルを判断している。これにより、電波が到達可能となる範囲(通信が可能な距離)が狭くなり、セキュリティが向上する。特許文献1や特許文献2のように、無線LAN規格以外の無線通信デバイスを搭載する必要がなく、装置コストの増加を抑えることが可能となる。
【0025】
図1(b)を参照すると、もう一つの最上位概念に対応する実施形態の無線通信装置は、通信ネットワークに接続する通信機器101に無線接続する無線通信装置である。通信ネットワークに接続する通信機器101へ無線接続する無線通信装置の一例として、
図1(b)は無線子機103を示す。無線子機103は、通信機器101から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号を出力する第1の受信手段103aを備える。さらに無線子機103は、上記受信レベル信号が所定の閾値を上回ったとき、通信機器101に接続要求信号を送出する送信手段103bを備える。さらに無線子機103は、上記接続要求信号に応答して通信機器101から送出された接続設定情報を受信する第2の受信手段103cを備える。
【0026】
図1(b)を参照すると、もう一つの最上位概念に対応する実施形態の通信システムは、通信ネットワークに接続する通信機器101と、通信機器101へ無線接続する無線子機103とを含む。
【0027】
本実施形態の無線通信装置および通信システムでは、第1の受信手段103aが通信機器101から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号を出力する。さらに送信手段103bが、上記受信レベル信号が所定の閾値を上回ったとき、通信機器101に接続要求信号を送出する。さらに第2の受信手段103cが、上記接続要求信号に応答して通信機器101から送出された接続設定情報を受信する。本実施形態では、通信機器101から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベルを判断している。これにより、電波が到達可能となる範囲(通信が可能な距離)が狭くなり、セキュリティが向上する。特許文献1や特許文献2のように、無線LAN規格以外の無線通信デバイスを搭載する必要がなく、装置コストの増加を抑えることが可能となる。
【0028】
以下、より具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。無線アクセスポイント親機の接続設定情報(SSIDおよび暗号化キー等)をすでに所有している無線子機から、情報を所有していない無線子機へ、情報を与える方法を、以下の第1実施形態および第2実施形態においてより具体的に説明する。情報を与える方法の一例として、無線LAN(Local Area Network)規格を拡張したデータフレームを利用した無線子機間の通信によるものを説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態による無線通信装置、通信システムおよび通信方法について、説明する。
図2Aは、本発明の第1実施形態による無線通信装置および通信システムを示す体系図である。
図2Bは、本発明の第1実施形態による無線通信装置および通信システムの動作概要を示す体系図である。
図3は、子機間距離と受信レベルとの対応を示す表である。
図4は、本発明の第1実施形態のビーコンフレーム構成を示す概念図である。
図5は、本発明の第1実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0030】
本実施形態に係る無線通信装置は
図2Aに示すように、無線接続機能を有する無線子機202であって、他の無線子機の一例としての無線子機203などとの機器間距離の一例としての、子機間距離204と受信レベルを対比させたテーブル情報を有する。ここで、無線子機202は、親機の一例としての無線アクセスポイント親機201への無線接続を確立済の状態である。この状態において、無線子機203が無線アクセスポイント親機201に対する無線接続を望むときには、無線子機202は、無線子機203との間で無線接続を確立した後、無線子機203との間の距離を推定する。その推定の際、テーブル情報を参照して無線子機203との子機間距離204が十分小さいと判定したときは、無線アクセスポイント親機201との接続設定情報を無線子機202に対して通知する。
【0031】
さらに本実施形態に係る通信システムは、親機の一例としての無線アクセスポイント親機201へ無線接続する第1の無線子機の一例としての無線子機202を含む。さらに、本実施形態に係る通信システムは、親機の一例としての無線アクセスポイント親機201へ無線接続する第2の無線子機の一例としての無線子機203を含む。無線子機202は、子機間距離204と受信レベルを対比させたテーブル情報を有する。本実施形態に係る通信システムでは、無線子機202と無線子機203との間で無線接続を確立した後、無線子機202は、無線子機202と無線子機203との間の距離を推定する。無線子機202は、テーブル情報を参照し上記子機間距離204が十分小さいと判定したときは、無線アクセスポイント親機201との接続設定情報を無線子機203に対して通知する。
【0032】
本実施形態に係る通信方法は、親機へ無線接続する第1の無線子機が、上記親機へ無線接続を希望する第2の無線子機との間で無線接続を確立する。
図2Bでは、親機の一例としての無線アクセスポイント親機201を示す。
図2Bでは、第1の無線子機の一例として無線子機202を示す。
図2Bでは、第2の無線子機の一例として無線子機203を示す。その後、本実施形態に係る通信方法では、無線子機202が子機間距離204と受信レベルを対比させたテーブル情報を参照して、無線子機203との間の距離を推定する。無線子機202が、上記子機間距離204が十分小さいと判定したときは、無線アクセスポイント親機201との接続設定情報を無線子機203に対して通知する。
【0033】
図2Aを参照すると、無線アクセスポイント親機201は無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線子機202と無線子機203が無線接続を確立するための親機である。無線子機202は無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を保持しており、無線アクセスポイント親機201と無線接続の確立が可能な状態にある。無線子機203は無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を保持しておらず、無線アクセスポイント親機201と無線接続を確立することが出来ない。
【0034】
子機間距離204は、無線子機202と無線子機203との間の空間距離である。
図3を参照すると、受信レベルに対する子機間距離204が示されている。無線子機202および無線子機203は、
図3に示すような受信レベルに対する推定距離のテーブルを持つ。このテーブルに従い子機間距離204は、無線子機202と無線子機203の間で通信する信号の受信レベルで推定することが可能である。また、このテーブルに従い無線子機202と無線子機203の間の空間距離を推定することが可能である。また、
図3では、一例として子機間距離が1cm、受信レベルが10dBmの条件で閾値を設定している。これは、無線子機202が設定された閾値より高い受信レベルを検出すると本実施形態の動作を実行することを意味している。
【0035】
無線子機202と無線子機203の間で通信する信号の受信レベルが10dBmの場合には、子機間距離204が十分小さく、本実施形態の子機間通信に有効であると推定する。無線子機202と無線子機203の間で通信する信号の受信レベルが0dBm、−10dBmや−20dBmの場合には、子機間距離204が大きく、本実施形態の子機間通信には無効であると推定する。尚、
図3の値は一例であり、この値に制限するものではない。
【0036】
図2Bを参照すると、無線アクセスポイント親機201は無線子機202と無線子機203が無線接続を確立し通信を行うための親機である。無線子機202は、あらかじめ無線アクセスポイント親機201の識別子(SSID:Service Set IDentifier)および暗号化されたデータを解読するための暗号化キー等の情報を保持している。以下では、識別子および暗号化キー等の情報をまとめて接続設定情報とする。かつ無線子機202は、無線アクセスポイント親機201と無線接続を確立することが可能な状態にある。無線子機203は無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を保持しておらず、無線アクセスポイント親機201と無線接続を確立することが出来ない状態にある。
図2Bでは、無線アクセスポイント親機201のビーコン到達エリアを点線で示している。
【0037】
本発明の本実施形態では、無線子機203は、無線子機202と通信を行うことにより、無線子機202が保持している無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を共有する。この共有により、接続設定情報を得た無線子機203は無線アクセスポイント親機201と無線接続を確立することが可能となる。
【0038】
次に、
図4を参照すると、無線LANのビーコンフレームのフレーム構成が示されている。無線LANのビーコンフレームは、物理ヘッダおよびMAC(Media Access Control)フレームによって構成されている。このビーコンフレームの物理ヘッダは、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブル401およびPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダ402を含む。このビーコンフレームのMACフレームは、IEEE802.11ヘッダ403、Data404およびFCS(Frame Check Sequence)405を含む。
【0039】
本実施形態においては、MACフレーム内のData内に拡張データ1として、送信出力の変更を要求するデータ部406を設けている。本データを含むビーコンフレームを受信した無線子機は、送信出力の変更動作を実施する。
【0040】
以上詳細に本実施形態の構成を述べたが、無線アクセスポイント親機201、無線子機202および無線子機203は、無線LAN機能を持つ機器であり、当業者にとってよく知られている。また本発明とは直接関係しないので、その詳細な構成および説明は省略する。
【0041】
次に
図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態の動作について説明する。初めに、無線子機202と無線子機203は子機間通信であるアドホックモードに移行する(ステップS1)。アドホックモードに移行する方法は任意である。それぞれの無線子機に人の手でパラメータを入力し、アドホックモードに設定してもよい。また、無線子機202と無線子機203に対してアドホックモードへ移行するための専用のアプリケーションを準備し、無線子機上で実行するなどの方法が考えられる。無線子機202と無線子機203がアドホックモードで無線接続を確立した(ステップS2)後、無線子機202は無線子機203から送出されるビーコンフレームやデータパケット等の信号を受信する。その受信レベルを取得することにより、子機間距離204を推定する(ステップS3)。一例として本実施形態では無線子機202はあらかじめ
図3に示すような子機間距離と受信レベルを対比させたテーブル情報を持ち、本情報を利用して子機間距離204を推定することが可能である。あらかじめ受信レベルに対し閾値が設定されている。
【0042】
次に、無線子機202は、取得した受信レベルが設定された閾値を超えるか否か判断する(ステップS4)。設定された閾値を超えていない場合(ステップS4のNO)、無線子機202は次の動作に移行せず再度子機間距離204の推定を行う(ステップS3)。設定された閾値を超えていない場合には、子機間での接続情報の共有へ進まない。取得した受信レベルが設定された閾値を超えている場合(ステップS4のYES)、子機間距離204が十分小さいと判定し次の動作に移行する。次に無線子機202の送信出力を変更する。既知の動作として無線LANのデータ通信では通信時、レートアダプテーションを実施し、環境に合わせ最適な伝送レートを動的に選択している。本実施形態ではパケットエラーを取得する際、伝送レートが動的に変動しないように、伝送レートの固定を実施することが望ましい。本実施形態では一例として、以降のデータ通信を無線LAN規格の最低レートである1Mbpsに固定する。
【0043】
無線子機202の送信出力の変更として例えば、ステップS5〜ステップS7の処理を行う。無線子機202の送信出力を通常の通信時の送信出力にて、伝送レート1Mbpsとしてデータ通信を行う(ステップS5)。まず初めに無線子機202は無線子機203とデータ通信を行い、送出したデータパケットに対する無線子機203からのAck信号を取得する。Ack信号が取得できれば無線子機202はパケットエラーが発生していないと判定し(ステップS6のNO)、自身の送信出力を1dB低下させ(ステップS7)、再度データ通信を開始する(ステップS5)。Ack信号が取得できずパケットエラーが発生したと判定すると(ステップS6のYES)、次の動作へ移行する。こうして、無線子機202の送信出力は、無線子機202と無線子機203のデータ通信パケットにエラーが発生し始める値まで低下する。次に無線子機202は、無線子機203に対して送信出力を低下するように要求する(ステップS8)。
【0044】
送信出力低下を要求する方法の一例としては、次のものが考えられる。
図4に示すように、無線子機202から送出するビーコンフレームに拡張データ1として送信出力の変更を要求するデータ部406を設け、無線子機203に向けて送出し、データを受信した無線子機203は送信出力の変更を実行するものである。
【0045】
さらに、無線子機203の送信出力は、無線子機202と無線子機203のデータ通信パケットにエラーが発生し始める送信出力まで低下させる。無線子機203は無線子機202とデータ通信を行い(ステップS9)、送出したデータパケットに対する無線子機202からのAck信号を取得する。Ack信号が取得できれば無線子機203はパケットエラーが発生していないと判定し(ステップS11のNO)、自身の送信出力を1dB低下させ(ステップS10)、再度データ通信を開始する(ステップS9)。Ackが検出されずパケットエラーが発生したと判定すると(ステップS11のYES)、次の動作へ移行する。こうして、無線子機203の送信出力は、無線子機202と無線子機203のデータ通信パケットにエラーが発生し始める値まで低下する。ここで、エラーが発生し始める値を、無線子機203の送信出力の下限値と呼ぶことにする。
【0046】
本実施形態では一例として送信出力の下限値を、無線子機202と無線子機203のデータ通信パケットにエラーが発生し始める下限の送信出力としている。無線子機202と無線子機203の送信出力の下限値は、具体的に同じ値であってもよいし、同じ値でなくてもよい。このようにして無線子機202と無線子機203の送信出力が下限値まで低下すると、無線子機202は無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を無線子機203に対して通知する(ステップS12)。無線子機203は通知された無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を利用して、無線アクセスポイント親機201との無線接続を確立することが可能となる。
【0047】
尚、ステップS6やステップS11でYESとなった場合、無線子機202と無線子機203の送信出力は、データ通信パケットにエラーが発生し始める値まで低下している。この状態では、ごく少量のパケットエラーが発生し得る。しかしながら、接続設定情報の通知(ステップS12)では、仮にパケットエラーが発生してもごく少量であるため、無線子機202は接続設定情報を再送することにより無線子機203に対して通知することができる。
【0048】
尚、本実施形態では一例として、アドホックモードによる子機間通信を利用しているが本実施形態はこれに限られない。例えば、無線子機202または無線子機203が無線子機・モードまたは無線アクセスポイント・モードとして動作する機能を有するように、構成する。排他的に動作することが可能な無線機であれば、無線子機202、203のどちらか片方を無線アクセスポイント・モードとして設定し、無線子機202と無線子機203との間の通信はインフラストラクチャモードとして動作させても、同様の効果が得られる。
【0049】
また、
図3において、本実施形態では一例としてビーコンフレームのMACフレーム内のData404に拡張データ1として、送信出力の変更を要求するデータ部406を設けているが、特に場所指定するものではない。また、拡張データ1に格納されるデータは暗号化されていてもよい。またプローブリクエストやプローブレスポンス等のビーコンフレーム以外のデータフレームに対しても、拡張データ1を設けることでビーコンフレームと置き換えることが出来、同様の効果が得られる。本実施形態では、一例として送信出力を低下させる動作を行う際、パケットエラーをモニターし、動的に送信出力を変更することで下限値を決定しているが、送信出力をあらかじめ指定した固定値に設定しても同様の効果が得られる。
【0050】
本実施形態では一例としてパケットエラーの取得およびそれ以降のデータ通信を無線LAN規格の最低伝送レートである1Mbpsに固定したが、特にこれを指定するものではない。固定する伝送レートは無線LAN規格の伝送レートであれば本実施形態の動作が可能である。本実施形態では、一例として送信出力を低下させる動作を行う際、送信出力を1dBの分解能で変更し、パケットエラーを取得しているが送信出力の分解能を指定するものではない。本実施形態では一例として無線子機を2台使用して動作を説明したが、無線子機の数を制限するものではなく、無線子機が2台以上存在すれば同様の動作が可能である。
【0051】
尚、本実施形態では無線子機202と無線子機203の送信出力が下限値まで低下すると、無線子機202は無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を無線子機203に対して通知するように説明したが、本実施形態はこれに限られない。例えば、ステップS11でYESとなった後に、無線子機202の送信出力を上記下限値を上回るまで戻してから、無線子機202が無線アクセスポイント親機201の接続設定情報を無線子機203に対して通知することも考えられる。
【0052】
本発明の第1実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0053】
第1の効果は、無線子機間で無線アクセスポイント親機の接続設定情報を共有する際、子機間距離と受信レベルを対比させたテーブル情報を参照しているので、電波が到達可能となる範囲(通信が可能な距離)が狭くなりセキュリティが向上することである。テーブル情報を参照し、子機間距離が十分小さいと判定したときは、上記無線アクセスポイント親機との接続設定情報を無線子機に対して通知している。また、これに加えてそれぞれの無線子機の送信出力を低下させることで、電波が到達可能となる範囲(通信が可能な距離)が狭くしているので、セキュリティを向上させることができる。本実施形態では、子機間距離および子機間の電波強度に対して閾値を設定し、データを渡すためのトリガーとしている。また、電波強度を変更する動作を設けているので、データ受け渡し時の電波の到達範囲が狭く、装置コストの増大を招かずに、新たな無線接続確立に関しセキュリティを向上させることができる。
【0054】
第2の効果は無線子機間で無線アクセスポイント親機の接続設定情報を共有することによって、無線アクセスポイント親機を介さず、接続設定情報を持たない無線子機に対して接続設定情報を設定することが可能となることである。
【0055】
第3の効果は、本実施形態は無線LAN規格を拡張したデータ通信のみで実行可能であるため、無線LAN規格以外の無線通信デバイスを搭載する必要がなく、装置コストの増加を抑えることが可能となることである。
図5のフローチャートの各ステップを経て接続設定情報を通知することにより、無線LAN規格以外の無線通信デバイスを搭載する必要なしに、新たな無線接続確立に関しセキュリティを向上させることができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による無線通信装置、通信システムおよび通信方法について、説明する。
図6は、本発明の第2実施形態による無線通信装置、通信システムおよび通信方法を示す体系図である。
図7は、本発明の第2実施形態の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
図8は、本発明の第2実施形態のデータフレーム構成を示す概念図である。第1実施形態と同様な構成や動作については、その詳細な説明は省略することとする。
【0057】
本実施形態では、無線アクセスポイント親機と無線接続が確立している無線子機との間で、接続設定情報を与える無線子機の情報を共有するものである。さらに、本実施形態では、無線アクセスポイント親機の接続設定情報を与えることが出来る無線子機を制限することでセキュリティを高めている。無線子機は、無線アクセスポイント親機に対し無線接続情報の取得の許可を依頼し、許可された無線子機に対してのみ、無線アクセスポイント親機の接続設定情報を与えることが出来るようになる。
【0058】
図6を参照すると、無線アクセスポイント親機601は無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線子機602と無線子機603が通信を確立し無線接続するための親機である。無線子機602は無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線アクセスポイント親機601の接続設定情報を保持しており、無線アクセスポイント親機601と無線接続が確立している状態にある。無線子機603は無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線アクセスポイント親機601の接続設定情報を保持しておらず、無線アクセスポイント親機601と無線接続を確立することが出来ない。プローブリクエスト604は簡易接続要求データを含むプローブリクエストであり、簡易接続要求データは第2実施形態特有のデータであり、無線子機603が上記実施形態の実行を無線アクセスポイント親機601に対して要求するためのデータである。固有情報605はMACアドレス等を含む無線子機603の固有の情報である。
【0059】
図8を参照すると、無線LANのプローブリクエストおよびビーコンフレームのデータフレーム構成が示されている。プローブリクエストおよびビーコンフレームは同様のデータフレーム構成であり、IEEE802.11の一般的なデータフレームとしての一例を示している。プローブリクエストおよびビーコンフレームは、物理ヘッダとMACフレームとによって構成されている。この物理ヘッダは、PLCPプリアンブル801およびPLCPヘッダ802を含む。このMACフレームは、IEEE802.11ヘッダ803、Data804およびFCS805を含む。
【0060】
本実施形態では、MACフレーム内のData804に拡張データ1として送信出力の変更を要求するデータ部806、拡張データ2として簡易接続要求データ部807、拡張データ3として固有情報部808を設けている。
【0061】
次に、
図6および
図7を参照して、本実施形態の動作について説明する。
図6および
図7を参照すると、無線アクセスポイント親機601と無線子機602は無線接続が確立された状態にある(
図7のシーケンス701)。無線子機603は一例として無線アクセスポイント親機601に対し簡易接続要求データを含むプローブリクエスト604を送出する(
図7のシーケンス702)。簡易接続要求データは無線子機602が上記実施形態を実施することを無線アクセスポイント親機601に通知するためのデータであり、第2実施形態特有のデータである。一例として簡易接続要求データは、
図8に示すように拡張データ2の簡易接続要求データ部807としてプローブリクエスト内のData804に組み込まれている。無線子機603が送出した簡易接続要求データが含むプローブリクエスト604を受信した無線アクセスポイント親機601は無線子機603のMACアドレス等の固有情報605を取得する(
図7のシーケンス703)。無線アクセスポイント親機601は、無線子機603のMACアドレス等の固有情報605をビーコンフレームのData804の固有情報部808(拡張データ3)に格納し、無線接続が確立している無線子機602に対して通知する(
図7のシーケンス704)。ビーコンフレームは、無線子機602に対するユニキャストフレームとして送出することが望ましい。次に、通知された固有情報605を得た無線子機602は無線子機603とアドホックモードでの接続を開始する(
図7のシーケンス706)。無線子機602は接続シーケンスの中で、無線子機603のMACアドレス等の固有情報を取得し、無線アクセスポイント親機601から入手した固有情報605と比較する(
図7のシーケンス705)。その結果、固有情報が一致した場合のみ、無線子機602は無線子機603に対し上記第1実施形態の動作を実行することが可能となる。この上記第1実施形態の動作とは、
図5のフローチャートの子機間通信であるアドホックモードへの移行(ステップS1)からパケットエラー発生の判定(ステップS11)までの処理を指す。その際、さらに無線子機602は無線アクセスポイント親機601と無線接続が確立された状態でなければ、上記第1実施形態の動作を実行しないという制限をかけてもよい。
【0062】
無線子機602と無線子機603の送信出力が下限値まで低下すると、第1実施形態の
図5のフローチャートのステップS12と同様に、無線子機602は無線子機603に対し無線アクセスポイント親機601の接続設定情報を通知する。そして、接続設定情報を得た無線子機603は無線アクセスポイント親機601と無線接続を確立することが可能となる(
図7のシーケンス707)。
【0063】
本発明の第2実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0064】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、無線子機間で無線アクセスポイント親機の接続設定情報を共有する際、それぞれの無線子機の送信出力を低下させることで、電波が到達可能となる範囲(通信が可能な距離)が狭くなりセキュリティが向上する。本実施形態においても、子機間距離および子機間の電波強度に対して閾値を設定し、データを渡すためのトリガーとしている。また、電波強度を変更する動作を設けているので、データ受け渡し時の電波の到達範囲が狭く、装置コストの増大を招かずに、新たな無線接続確立に関しセキュリティを向上させることができる。
【0065】
さらに実施形態によれば、第1実施形態と同様に、無線LAN規格を拡張したデータ通信のみで実行可能であるため、無線LAN規格以外の無線通信デバイスを搭載する必要がなく、装置コストの増加を抑えることが可能となる。
図7の各シーケンスを経て接続設定情報を通知することにより、無線LAN規格以外の無線通信デバイスを搭載する必要なしに、新たな無線接続確立に関しセキュリティを向上させることができる。
【0066】
さらに本実施形態によれば、無線子機602に対して無線アクセスポイント親機601は無線子機603の固有情報605を通知し、無線子機602は入手した固有情報と一致する無線子機にのみ無線アクセスポイント親機601の無線接続情報を通知する。このように、無線子機602は入手した固有情報と一致する無線子機にのみ無線アクセスポイント親機601の無線接続情報を通知することが可能となる。無線接続情報を得ることが出来る無線子機を限定することで、セキュリティを高めるという効果が得られる。また、無線子機602は無線アクセスポイント親機601と無線接続が確立された状態でなければ、上記第1実施形態の動作を実行しないという制限をかけることで、通知する側にも制限をかけることで、セキュリティを高めるという効果が得られる。
【0067】
尚、本実施形態では一例として、
図8のプローブリクエストおよびビーコンフレームのMACフレーム内のData804に拡張データ1〜拡張データ3を設けた場合を説明しているが、本実施形態の設定場所は
図8の配置に限定されるものではない。プローブリクエストおよびビーコンフレームのMACフレーム内のData804に拡張データ1として送信出力の変更を要求するデータ部806、拡張データ2として簡易接続要求データ部807、拡張データ3として固有情報部808を設けたものに限られない。また、拡張データ1、拡張データ2および拡張データ3に格納されるデータは暗号化されていてもよい。また第2実施形態で使用するデータフレームはプローブリクエストおよびビーコンフレームに限定するものではない。それ以外のデータフレームに対して拡張フレームを設け、第2実施形態のプローブリクエストおよびビーコンフレームと置き換えることで同様の効果が得られる。また拡張フレーム1、拡張フレーム2および拡張フレーム3を設けず、簡易接続要求データおよび固有情報605をData804に格納し、通常のデータとして通信を実行しても同様の効果が得られる。本実施形態では無線子機を2台使用して動作を説明したが、無線子機の数を制限するものではなく、無線アクセスポイント親機が1台以上、無線子機が2台以上存在すれば同様の動作が可能である。
【0068】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態による無線通信装置、通信システムおよび通信方法について、説明する。
図9は、本発明の第3実施形態による無線通信装置、通信システムおよび通信方法を示す体系図である。
図10は、本発明の第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
図11は、本発明の第3実施形態のデータフレーム構成を示す概念図である。第1実施形態や第2実施形態と同様な構成や動作については、詳細な説明を省略することとする。
【0069】
本実施形態では、過去一度も無線アクセスポイント親機と無線接続が確立しておらず、接続設定情報を持たない場合の、接続確立に関するものである。以下では、このような状態の無線子機が簡易に無線アクセスポイント親機の接続設定情報を入手することが出来る方法を説明する。以後、接続設定情報を持たない無線子機が簡易に無線アクセスポイント親機の接続設定情報を入手することが出来る方法を簡易接続動作と表記する。無線子機と無線アクセスポイント親機の空間距離が十分小さくなったと認識した時点で、無線アクセスポイント親機は子機に対して接続設定情報を与える動作を行う。NFCなどの近距離無線で実現されている接続方法を無線LAN規格のみで実施する。
【0070】
本発明の本実施形態に係る無線通信装置は、通信ネットワークに接続する無線通信装置である。本実施形態に係る無線通信装置は、通信ネットワークに接続する通信機器との機器間距離と受信レベルを対比させたテーブル情報を有する。そして、上記通信ネットワークへの無線接続を望むときには、上記通信機器との機器間距離を推定し、上記テーブル情報を参照して上記通信機器との機器間距離が十分小さいと判定したときは、上記通信機器との接続設定情報を上記通信機器から受信する。
【0071】
図9を参照すると、無線アクセスポイント親機901は通信ネットワークに接続する通信機器であり、無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線子機902が通信を確立し無線接続するための親機である。簡易接続動作が可能であることを示すデータを含むビーコンフレームは無線アクセスポイント親機901からブロードキャストフレームとして送出するビーコンフレームであり、第3実施形態特有のビーコンフレームである。
図9では、簡易接続動作が可能であることを示すデータを含むビーコン到達エリアを点線で示している。無線子機902は通信ネットワークに接続する無線通信装置であり、無線LAN規格の無線通信機能を持ち、無線アクセスポイント親機901の接続設定情報を保持していない状態にある。
【0072】
図11のデータフレーム構成を参照すると、無線LANのプローブリクエスト、プローブレスポンスおよびビーコンフレームのデータフレーム構成が示されている。プローブリクエスト、プローブレスポンスおよびビーコンフレームは同様のデータフレーム構成でありIEEE802.11の一般的なデータフレームとしての一例を示している。プローブリクエストおよびビーコンフレームは、物理ヘッダとMACフレームによって構成されている。この物理ヘッダは、PLCPプリアンブルB01およびPLCPヘッダB02を含む。MACフレームは、IEEE802.11ヘッダB03、Data B04およびFCS B05を含む。
【0073】
本実施形態においては、MACフレーム内のData B04に次のような設定を行っている。すなわち、拡張データ1として送信出力の変更を要求するデータ部B06、拡張データ2として簡易接続要求データ部B07を設けている。さらに、拡張データ3として固有情報部B08、拡張データ4として簡易接続動作が可能であることを示すデータ部B09、拡張データ5として接続設定情報部B10を設けている。
【0074】
本実施形態の動作について、
図10のフローチャートを参照して説明する。無線アクセスポイント親機901は、簡易接続動作が可能であることを示すデータを含むビーコンフレームをブロードキャストフレームとして無線子機902に通知する(ステップS21)。以下、簡易接続動作が可能であることを示すデータを含むビーコンフレームを、簡易接続ビーコンと表記する。簡易接続動作が可能であることを示すデータは、
図11に示す拡張データ4の簡易接続動作が可能であることを示すデータ部B09に格納されている。無線子機902は簡易接続ビーコンを受信し、その受信レベルを取得する(ステップS22)。無線子機902は取得した受信レベルから無線アクセスポイント親機901との空間距離を推定する(ステップS23)。距離の推定については上記実施形態と同様であり、無線子機902は
図3に示すような受信レベルに対する推定距離のテーブルを持ち、受信レベルに対して閾値が設定されている。
【0075】
次に、無線子機902が取得した簡易接続ビーコンの受信レベルが閾値を超えるか判断する(ステップS24)。この受信レベルが設定した閾値を超えると(ステップS24のYES)、無線子機902は無線アクセスポイント親機901に対して、送信出力の変更を要求するデータを含むプローブリクエスト903を送出する(ステップS25)。
【0076】
さらに、第1実施形態と同様に、無線子機902は伝送レート1Mbpsとしてデータ通信を行う(ステップS26)。無線子機902は無線アクセスポイント親機901とデータ通信を行い、送出したデータパケットに対する無線アクセスポイント親機901からのAck信号を取得する。Ack信号が取得できれば無線子機902はパケットエラーが発生していないと判定し(ステップS27のNO)、自身の送信出力を1dB低下させ(ステップS28)、再度データ通信を開始する(ステップS26)。Ack信号が取得できずパケットエラーが発生したと判定すると(ステップS27のYES)、次の動作へ移行する。この送信出力を変更するアルゴリズムは、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
上記プローブリクエストに対する応答として、無線アクセスポイント親機901は無線子機902に対し、送信出力の変更を要求するデータ部B06を含むプローブレスポンス904を送出する(ステップS29)。尚、送信出力の変更を要求するデータは、
図11に示す拡張データ1の送信出力の変更を要求するデータ部B06に格納されている。
【0078】
さらに、無線アクセスポイント親機901は伝送レート1Mbpsとしてデータ通信を行う(ステップS30)。無線アクセスポイント親機901は無線子機902とデータ通信を行い、無線子機902からのAck信号を取得する。Ack信号が取得できれば無線アクセスポイント親機901はパケットエラーが発生していないと判定し(ステップS32のNO)、自身の送信出力を1dB低下させ(ステップS31)、再度データ通信を開始する(ステップS30)。Ack信号が取得できずパケットエラーが発生したと判定すると(ステップS32のYES)、次の動作へ移行する。
【0079】
この時点では、無線アクセスポイント親機901と無線子機902の無線接続が確立していない状態である。このため、パケットエラーを検出するためのデータ通信は、プローブリクエストおよびプローブレスポンスを利用して行うこととする(ステップS26、ステップS30)。
【0080】
無線アクセスポイント親機901と無線子機902の送信出力が下限値まで低下すると、無線アクセスポイント親機901はプローブレスポンスに接続設定情報を含み、無線子機902に対して通知する(ステップS33)。無線アクセスポイント親機901と無線子機902の送信出力の下限値は、具体的に同じ値であってもよいし、同じ値でなくてもよい。接続設定情報は、
図11に示す拡張データ5の接続設定情報部B10に格納されている。無線子機902は通知された無線アクセスポイント親機901の接続設定情報を取得し、無線アクセスポイント親機901との無線接続を確立することが可能となる。
【0081】
本発明の第3実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0082】
無線子機902が無線アクセスポイント親機901への無線接続を望むときには、無線アクセスポイント親機901との機器間距離と受信レベルを対比させたテーブルを参照している。これにより、電波が到達可能となる範囲(通信が可能な距離)が狭くなり、セキュリティが向上する。特許文献1や特許文献2のように、無線LAN規格以外の無線通信デバイスを搭載する必要がなく、装置コストの増加を抑えることが可能となる。
【0083】
さらに、本実施形態では、無線アクセスポイント親機901と無線子機902との無線接続を確立するに際し、無線子機902は無線アクセスポイント親機901から簡易接続ビーコンを受信し、簡易接続ビーコンの受信レベルが閾値を超えるか判断している。受信レベルが設定した閾値を超えると、無線子機902は無線アクセスポイント親機901に対して、送信出力の変更を要求するデータを含むプローブリクエスト903を送出している。また本実施形態によれば、無線アクセスポイント親機901と無線子機902の送信出力を低下させることで、電波が到達可能となる範囲(通信が可能な距離)が狭くなる。これにより、無線アクセスポイント親機901と無線子機902との無線接続を確立する際の、セキュリティが向上する。
【0084】
本実施形態によれば、過去一度も無線アクセスポイント親機901と無線接続が確立しておらず、接続設定情報を持たない無線子機902においても、無線接続を確立することができる。
【0085】
尚、
図11において一例として、プローブリクエストおよびビーコンフレームのMACフレーム内のDataB04に拡張データを設けているが、特に場所指定するものではない。すなわち、
図11のようにビーコンフレームのMACフレーム内のDataB04に、拡張データ1として送信出力の変更を要求するデータ部B06、拡張データ2として簡易接続要求データ部B07を設けるものに限られない。また、
図11のようにビーコンフレームのMACフレーム内のDataB04に、拡張データ3として固有情報部B08、拡張データ4として簡易接続動作が可能であることを示すデータ部B09を設けるものに限られない。また、
図11のようにビーコンフレームのMACフレーム内のDataB04に、拡張データ5として接続設定情報部B10を設けるものに限られない。
【0086】
また、拡張データ1、拡張データ2、拡張データ3、拡張データ4および拡張データ5に格納されるデータは暗号化されていてもよい。また第3実施形態で使用するデータフレームはプローブリクエスト、プローブレスポンスおよびビーコンフレームに限定するものではない。すなわち、それ以外のデータフレームに対して拡張フレームを設け、第3実施形態のプローブリクエスト、プローブレスポンスおよびビーコンフレームと置き換えることで同様の効果が得られる。また拡張フレーム1、拡張フレーム2、拡張フレーム3、拡張フレーム4、拡張フレーム5を設けず、通常のデータとして通信を実行しても同様の効果が得られる。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0088】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)通信機器から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号を出力する第1の受信手段と、
前記受信レベル信号が所定の閾値を上回ったとき、前記通信機器に接続要求信号を送出する送信手段と、
前記接続要求信号に応答して前記通信機器から送出された接続設定情報を受信する第2の受信手段と、
を備えていることを特徴とする無線通信装置。
(付記2)前記通信機器に対して、簡易接続要求を含むプローブリクエストを送出し、
前記通信機器からの送信出力の低下要求を受けて送信出力を低下させると、前記通信機器から送出された前記接続設定情報を受信する、付記1に記載の無線通信装置。
(付記3)無線子機から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号を出力する受信手段と、
前記受信レベル信号が所定の閾値を上回ったとき、前記無線子機に、自らが無線接続されている通信機器の接続設定情報を送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とする無線通信装置。
(付記4)前記無線子機との機器間距離と前記無線子機から受信する所定の信号の受信レベルとを対比させたテーブル情報を参照し、前記無線子機との機器間距離が十分小さいと判定した後に、前記無線子機に対して送信出力の低下を要求し、前記無線子機の送信出力の低下が確認できたときには、自らが無線接続されている通信機器の接続設定情報を前記無線子機へ送信する、付記3に記載の無線通信装置。
(付記5)前記通信機器に対し前記無線子機から送出された簡易接続要求を含むプローブリクエストに応答して、前記プローブリクエストを受信した前記通信機器から、前記無線子機の固有情報を受信し、
前記無線子機との間で無線接続を確立した後、前記通信機器から受信した前記無線子機の固有情報と、前記無線子機からの固有情報とを比較して、無線接続の可否を判断する、付記3または付記4に記載の無線通信装置。
(付記6)前記通信機器に対し前記無線子機から送出された簡易接続要求を含むプローブリクエストに応答して、前記通信機器からの送信出力の低下要求を受けて送信出力を低下させると、前記接続設定情報を前記通信機器から受信する、付記3または付記4に記載の無線通信装置。
(付記7)付記1または付記2に記載された無線通信装置と、
前記通信機器と、
を備えていることを特徴とする通信システム。
(付記8)前記通信機器に対して、前記無線通信装置が簡易接続要求を含むプローブリクエストを送出し、
前記通信機器からの送信出力の低下要求を受けて前記無線通信装置が送信出力を低下させると、前記無線通信装置は前記接続設定情報を前記通信機器から受信する、付記7に記載の通信システム。
(付記9)付記3乃至付記6のいずれか一つに記載された無線通信装置と、
前記通信機器と、
前記無線子機と、
を備えていることを特徴とする通信システム。
(付記10)前記無線子機から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号が所定の閾値を上回った後に、
前記無線子機に対して送信出力の低下を要求し、前記無線子機の送信出力の低下が確認できたときには、自らが無線接続されている通信機器の接続設定情報を前記無線子機に送信する、付記9に記載の通信システム。
(付記11)前記無線子機は前記通信機器に対して、簡易接続要求を含むプローブリクエストを送出し、
前記プローブリクエストを受信した前記通信機器は、前記通信機器への無線接続を確立済の前記無線通信装置に対して、前記無線子機の固有情報を通知し、
前記無線通信装置は、前記無線通信装置と前記無線子機との間で無線接続を確立した後、前記通信機器から通知された前記固有情報と前記無線子機からの固有情報とを比較して、無線接続の可否を判断する、付記9または付記10に記載の通信システム。
(付記12)前記無線子機は前記通信機器に対して、簡易接続要求を含むプローブリクエストを送出し、
前記通信機器は、前記無線子機から受信した所定の信号の電力に対応する受信レベル信号が所定の閾値を上回ったと判定した後に、前記無線子機に対して送信出力の低下を要求し、前記無線子機の送信出力の低下が確認できたときには、接続設定情報を前記無線子機に対して送信する、付記9または付記10に記載の通信システム。
(付記13)通信ネットワークに接続する通信機器との機器間距離と受信レベルを対比させたテーブル情報を参照して、前記通信機器との間の距離を推定し、
前記通信機器との機器間距離が十分小さいと判定したときは、前記通信機器との接続設定情報を前記通信機器から受信して前記通信機器との無線接続を確立する、通信方法。
(付記14)前記通信機器に対して、簡易接続要求を含むプローブリクエストを送出し、
前記通信機器からの送信出力の低下要求を受けて送信出力を低下させると、前記接続設定情報を前記通信機器から受信する、付記13に記載の通信方法。
(付記15)通信ネットワークに接続する通信機器へ無線接続する第1の無線子機が、前記通信機器への無線接続が未確立の第2の無線子機との間で無線接続を確立した後、
子機間距離と受信レベルを対比させたテーブル情報を参照して、前記第2の無線子機との間の距離を推定し、
前記子機間距離が十分小さいと判定したときは、前記通信機器との接続設定情報を前記第2の無線子機に対して通知する、通信方法。
(付記16)前記第2の無線子機は、前記第1の無線子機から通知された前記通信機器との接続設定情報を利用して、前記通信機器との無線接続を確立する、付記15に記載の通信方法。
(付記17)前記第1の無線子機は、前記子機間距離が十分小さいと判定した後に、前記第2の無線子機に対して送信出力の低下を要求し、前記第2の無線子機の送信出力の低下が確認できたときには、前記通信機器との接続設定情報を前記第2の無線子機に対して通知する、付記15または付記16に記載の通信方法。
(付記18)前記第2の無線子機は前記通信機器に対して、簡易接続要求を含むプローブリクエストを送出し、
前記プローブリクエストを受信した前記通信機器は、前記通信機器への無線接続を確立済の前記第1の無線子機に対して、前記第2の無線子機の固有情報を通知し、
前記第1の無線子機は、前記第1の無線子機と前記第2の無線子機との間で無線接続を確立した後、前記通信機器から通知された前記固有情報と前記第2の無線子機からの固有情報とを比較して、無線接続の可否を判断する、付記15乃至付記17のいずれか一つに記載の通信方法。
(付記19)前記第2の無線子機は前記通信機器に対して、簡易接続要求を含むプローブリクエストを送出し、
前記通信機器は、前記第2の無線子機との距離が十分小さいと判定した後に、前記第2の無線子機に対して送信出力の低下を要求し、前記第2の無線子機の送信出力の低下が確認できたときには、接続設定情報を前記第2の無線子機に対して通知する、付記15乃至付記17のいずれか一つに記載の通信方法。