(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042844
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】タイヤの接地特性の測定方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20161206BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
G01M17/02 B
B60C19/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-96291(P2014-96291)
(22)【出願日】2014年5月7日
(62)【分割の表示】特願2010-73266(P2010-73266)の分割
【原出願日】2010年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-145785(P2014-145785A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2014年5月29日
【審判番号】不服2015-18140(P2015-18140/J1)
【審判請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
【合議体】
【審判長】
尾崎 淳史
【審判官】
藤田 年彦
【審判官】
信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−226778(JP,A)
【文献】
特開平2−296127(JP,A)
【文献】
特開平9−26382(JP,A)
【文献】
特開平11−142265(JP,A)
【文献】
特開2005−127777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動するタイヤの接地特性を測定する方法であって、
少なくとも、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な測定手段を1つのみ埋設した、回転駆動可能な回転ドラムに、所要のキャンバ角及びスリップ角を付与した測定対象としてのタイヤを当接させ、前記回転ドラム及び前記タイヤを共に回転させた状態で、該タイヤを前記回転ドラムの回転軸方向に一定速度で変位させながら、少なくとも、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を同時に測定することにより、当該タイヤの、前記回転ドラムとの接触領域での、接地圧分布、幅方向せん断応力分布及び周方向せん断応力分布を得ることを特徴とするタイヤの接地特性の測定方法。
【請求項2】
前記測定手段が、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な3分力センサである、請求項1に記載のタイヤの接地特性の測定方法。
【請求項3】
前記タイヤを、前記回転ドラムの回転軸方向に1mm以上4mm以下の一定のピッチ幅で相対的に変位させる、請求項1又は2に記載のタイヤの接地特性の測定方法。
【請求項4】
転動するタイヤの接地特性を測定する装置であって、
少なくとも、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な測定手段を1つのみ埋設された回転ドラムと、該回転ドラムの回転速度を制御するドラム用駆動手段と、前記タイヤの回転速度を制御するタイヤ用駆動手段と、前記タイヤに所要のキャンバ角及びスリップ角を付与するタイヤ角制御手段と、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力の同時の測定時に、前記回転ドラムに、所要のキャンバ角及びスリップ角を付与した測定対象としてのタイヤを当接させ、前記回転ドラム及び前記タイヤを共に回転させた状態で該回転ドラムの回転軸方向に一定速度で変位させ、並びに該回転ドラムに対して接近及び離反する方向に変位させるタイヤ制御スタンドと、を具えたことを特徴とするタイヤの接地特性の測定装置。
【請求項5】
前記測定手段が、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な3分力センサである、請求項4に記載のタイヤの接地特性の測定装置。
【請求項6】
前記タイヤを、前記回転ドラムの回転軸方向に1mm以上4mm以下の一定のピッチ幅で相対的に変位させる、請求項4又は5に記載のタイヤの接地特性の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの接地特性の測定方法及び測定装置、詳細には、転動するタイヤの、少なくとも接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定する測定方法及び測定装置、なかでも、種々の速度、キャンバ角及びスリップ角でのタイヤの接地特性を高効率、高精度且つ高い再現性で測定することにより、例えば、コーナリング時や加減速時におけるタイヤの路面との接地状態を、定量的に、且つ高い分解能で容易に得ることができ、さらに高速走行時のタイヤの接地特性をも得ることが可能な、タイヤの接地圧特性の測定方法及び測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、転動時のタイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力等の接地特性を測定する方法として、例えば、これらを測定可能な3分力センサを試験路面に埋設し、車両を通過させることによって、3分力センサ上を通過する瞬間のタイヤの接地特性を測定する方法がある。
【0003】
しかしながら、上記方法では、車両を操舵して試験路面に埋設した3分力センサ上を通過させて測定するため、空気抵抗や試験路面の凹凸等の外部要因に影響されてしまい、同一条件での計測を再現することが難しい。また、センサの耐久性や、車両のコントロール性の観点から、この方法では、車両の高速走行時や大入力時、ひいては、コーナリング時や加減速時でのタイヤの接地特性を得ることができないという問題がある。
【0004】
また、この方法では、一回の試験では、タイヤの接地面のうち3分力センサ上を通過した部分のデータしか得られないため、タイヤの接地面全体に渡っての接地特性の分布を得るためには、通過位置をずらしながら繰り返し試験を行う必要があり、効率的ではない。さらに、一回毎の試験が大掛かりであるため、計測結果のデータ数を多量に確保できず、タイヤの接地領域を高い分解能で鮮明に表現できないという問題もある。
【0005】
上記方法とは別に、測定対象としてのタイヤをドラムに当接させて、接地圧を測定する手法があり、例えば、特許文献1では、「回転ドラム当接側にドラム外周面に一致する凹面を有するタイヤ押付板を、タイヤとドラムとの間にドラム軸方向に移動可能に取付け、該タイヤ押付板のタイヤ当接面に感圧センサを取付けてなることを特徴とするタイヤトレッドパターンの計測装置。」が記載されているものの、この装置では、使用する感圧紙の耐久性の課題から、高速回転時の計測が不可能だという問題があり、また、この装置で測定できるのは、タイヤの接地圧のみであるため、転動するタイヤの幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭58−169546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、種々の速度、キャンバ角及びスリップ角でのタイヤの接地特性を高効率、高精度且つ高い再現性で測定することにより、コーナリング時や加減速時等におけるタイヤの路面との接地状態を、定量的に、容易に得ることができ、且つ高速走行時のタイヤの接地特性をも測定可能な、タイヤの接地圧特性の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のタイヤの接地特性の測定方法は、転動するタイヤの接地特性を測定する方法であって、少なくとも、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な測定手段を1つのみ埋設した、回転駆動可能な回転ドラムに、所要のキャンバ角及びスリップ角を付与した測定対象としてのタイヤを当接させ、前記回転ドラム及び前記タイヤを共に回転させた状態で、該タイヤを前記回転ドラムの回転軸方向に
一定速度で変位させながら、少なくとも、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を同時に測定することにより、当該タイヤの、前記回転ドラムとの接触領域での、接地圧分布、幅方向せん断応力分布及び周方向せん断応力分布を得ることを特徴とする。
【0009】
上記において、「所要のキャンバ角及びスリップ角」とは、0°を含むものである。また、上記において、タイヤの回転速度と回転ドラムの回転速度とは、異なっていてもよい。
【0010】
請求項1に記載したところにおいて、好ましくは、前記測定手段を、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な3分力センサとする。また、前記タイヤを、前記回転ドラムの回転軸方向に1mm以上4mm以下の一定のピッチ幅で相対的に変位させる。
【0011】
本発明のタイヤの接地特性の測定装置は、少なくとも、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な測定手段を1つのみ埋設された回転ドラムと、該回転ドラムの回転速度を制御するドラム用駆動手段と
、前記タイヤの回転速度を制御するタイヤ用駆動手段と、前記タイヤに所要のキャンバ角及びスリップ角を付与するタイヤ角制御手段と、
タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力の同時の測定時に、前記回転ドラムに、所要のキャンバ角及びスリップ角を付与した測定対象としてのタイヤを当接させ、前記回転ドラム及び前記タイヤを共に回転させた状態で該回転ドラムの回転軸方向に
一定速度で変位させ、並びに該回転ドラムに対して接近及び離反する方向に変位させるタイヤ制御スタンドと、を具えたことを特徴とするタイヤの接地特性の測定装置。
【0012】
請求項4に記載したところにおいて、好ましくは、前記測定手段を、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な3分力センサとする。また、前記タイヤを、前記回転ドラムの回転軸方向に1mm以上4mm以下の一定のピッチ幅で相対的に変位させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のタイヤの接地特性の測定方法では、回転駆動可能な回転ドラムの周面に測定手段を埋設しており、この回転ドラムにタイヤを当接させた状態で、共に回転させながらタイヤを軸線方向に移動させた際に、回転ドラムの周面に埋設された想定手段が、接地領域に対して回転ドラムの回転軸方向に、一定のピッチ幅で相対的に遷移しながら、繰り返しこの接地領域を周方向に通過するので、測定手段が通過する各ピッチでのタイヤの接地特性を、接地領域のドラム軸線方向端部から順次に素早く測定することができる。
【0014】
これがため、接地領域内の、軸線方向に異なる部分での接地特性のデータを、効率良く、多量に確保することができるので、従来の方法に比べて極めて容易に、タイヤの接地領域を高分解能で鮮明に表現することができる。
【0015】
また、この測定方法では、車両を操縦することがないため、大掛かりな試験場を利用することなく、室内で測定を行うことができる上に、回転ドラムとタイヤとを動かすのみであるため、空気抵抗や試験路面の凹凸等の外部要因による影響を受けにくく、そのため、高精度且つ高い再現性で、タイヤの接地特性を測定することができる。
【0016】
さらに、この測定方法によれば、車両の操縦による測定誤差や、外部要因による影響等を考慮に入れなくてよいため、高速走行時や、大荷重時のタイヤの状態をも再現し、接地特性を測定することができるため、タイヤの接地特性の測定における測定限界を大幅に向上させることができる。
具体的には、速度において約400km/h、荷重において約50kNの測定条件まで
の測定が可能である。
【0017】
加えて、必要に応じてキャンバ角及びスリップ角をタイヤに付与して測定を行えば、コーナリング時等のタイヤの接地状態を的確に再現することができ、また、例えば、タイヤの回転速度と回転ドラムの回転速度とを異なるものとすれば、種々の速度で車両が制駆動する際の、タイヤの接地状態等を再現することができる。
【0018】
さらにまた、本発明のタイヤの接地特性の測定方法では、タイヤの、少なくとも接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を同時に、タイヤの同一箇所で測定するため、得られた各特性のデータをオフセットすることなく、これらのデータを相互に関連させて得られるタイヤの特性、例えば、タイヤの接地領域のある部分での摩擦係数等を得られるため、極めて簡易な算出課程でこれらのタイヤの特性の、接地領域内での分布を知ることができる。
【0019】
即ち、本発明のタイヤの接地特性の測定方法によれば、車両の種々の条件での走行時に、タイヤの軸力というものが、路面のどこで発生しているのかを容易に知ることができるとともに、タイヤの滑り現象や接地領域内の摩擦係数の分布を定量的に把握し、これらを検証することができる。
【0020】
本発明のタイヤの接地特性の測定装置によれば、特に、前記測定手段を周面に埋設したドラムと、測定対称としてのタイヤに所要のキャンバ角及びストリップ角を付与するタイヤ角制御手段とを具えたことにより、上記した本発明のタイヤの接地特性の測定方法を確実に実施することができ、上記測定方法による効果と同様の効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明のタイヤの接地特性の測定方法及び測定装置において、前記測定手段を、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を測定可能な3分力センサとした場合、タイヤの接地圧、幅方向せん断応力及び周方向せん断応力を個別に計測する場合とは異なり、タイヤ表面の同一ポイントの応力状態を計測することが可能であり、3者の相関性を厳密に評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のタイヤの接地特性の測定装置を示す斜視図である。
【
図2】回転ドラムと、キャンバ角を付与して該回転ドラムに当接させたタイヤとを示す平面図である。
【
図3】回転ドラムとタイヤとの接地領域、及び測定手段のピッチ幅をより詳細に示す斜視図である。
【
図4】本発明のタイヤの接地特性の測定方法及び測定装置によって得られる、タイヤの接地圧分布、幅方向せん断応力分布及び周方向せん断応力分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1に示すところにおいて、本発明のタイヤの接地特性の測定装置は、少なくとも、タイヤTの接地圧P、幅方向せん断応力τ
x及び周方向せん断応力τ
yを測定可能な測定手段1を周面に埋設された回転ドラム2と、回転ドラム2の回転速度V
dを制御するドラム用駆動手段3と、測定対象としてのタイヤTを、回転ドラム2の回転軸Aの方向、並びに該回転ドラムに対して接近及び離反する方向(図示例では、回転ドラム2の回転軸Aに直角な方向)に変位させるタイヤ制御スタンド4と、タイヤTの回転速度V
tを制御するタイヤ用駆動手段5と、タイヤTに所要のキャンバ角CA及びスリップ角SAを付与するタイヤ角制御手段6とを具える。
【0024】
尚、図示したところでは、前記測定手段1は、小型の3分力センサであり、この3分力センサによれば、タイヤTの接地圧P、幅方向せん断応力τ
x及び周方向せん断応力τ
yを測定することができる。
【0025】
タイヤ角制御手段6は、接地特性の測定の際、必要に応じて、
図2に示すように、タイヤTにキャンバ角CAを付与したり、またはスリップ角SAを付与したり、或いはキャンバ角CA及びスリップ角SAの双方を付与したりすることができ、これに加えて、回転ドラム2に当接させるタイヤTの接地力を調節すれば、コーナリング時等のタイヤの状態を再現させ、その接地特性を得ることができる。
尚、タイヤに付与するキャンバ角CA及びスリップ角SAを、共に0°として測定することも可能であり、その場合、車両直進時の接地特性が測定される。
【0026】
本発明のタイヤTの接地特性の測定方法では、例えば、上記のような測定装置を用いて、
図3に示すところのように、回転ドラム2に、測定対象としてのタイヤTを当接させ、回転ドラム2及びタイヤTを共に回転させた状態で、タイヤTを回転ドラム2の回転軸Aの方向に漸次変位させながら、タイヤTの接地圧P、幅方向せん断応力τ
x及び周方向せん断応力τ
yを測定する。
【0027】
この測定方法によれば、測定手段1は、回転ドラム2の回転毎に、タイヤTの接地領域7を通過することになり、また、接地領域7上での測定手段1の通過経路は、タイヤTの前記回転軸A方向への漸次変位に伴って、毎周ピッチ幅Pで変位する。
【0028】
本発明のタイヤTの接地圧の測定方法により得られた、タイヤTの接地圧P、幅方向せん断応力τ
x及び周方向せん断応力τ
yの各データを利用して、タイヤの種々の接地特性を得ることができる。
【0029】
例えば、所定の処理装置を用いて上記各データを処理すれば、接地領域7内での、タイヤTの接地圧分布、幅方向せん断応力分布及び周方向せん断応力分布を表現すること等ができる。
尚、上記処理装置としては、特に限定されることなく、汎用数値解析プログラム"MATLAB"(Mathworks)等がある。
【0030】
また、上記の各データを相互に関連させれば、タイヤTの接地領域7の任意の部分の摩擦係数μ等を算出することもでき、また、これによって摩擦係数μの接地領域7内の分布を得ることができる。
尚、摩擦係数μは、接地圧P、幅方向せん断応力τ
x及び周方向せん断応力τ
yを用いて、下記式(1)により算出され得る。
【0032】
前記ピッチ幅Pは、回転ドラム2の回転速度V
dと、タイヤTの前記回転軸A方向の変位速度とを調節することによって調節可能である。
即ち、回転速度V
dに対してタイヤTの変位速度を遅くすれば、ピッチ幅Pが小さくなるため、より多くの測定データを得ることができるので、高い分解能で鮮明にタイヤの接地領域を表現することができ、一方、タイヤTの変位速度を速くすれば、それだけ早く測定を完了させることができるので、測定効率を向上させることができる。
【0033】
尚、測定の分解能及び測定効率の両者のバランスに鑑みれば、ピッチ幅Pは、通常、2mm前後が好ましく、具体的には、1〜4mmの範囲が好ましい。
【0034】
また、先述のように、タイヤTの回転速度V
tと、回転ドラム2の回転速度V
dとは、異ならせることができ、V
t<V
dとすれば、制動時のタイヤTの接地状態を再現することができ、また、V
t>V
dとすれば、駆動時のタイヤTの接地状態を再現することができ、さらにV
t=V
dとした場合、一定速度でのタイヤTの接地状態を再現することができる。
【0035】
尚、測定に際しては、回転ドラム2の回転軸Aと、タイヤTの回転軸とを、高さが等しくなるように夫々配置することが好ましく、これによれば、特に、タイヤTのキャンバ角CA及びスリップ角SAをより正確に接地面に反映させることができる等の利点があるので、より高精度な測定が実現される。
【実施例】
【0036】
測定試験用として、タイヤサイズ205/55R16の、キャラメルブロックタイヤTを製造し、
図1に示すところに倣って、上記タイヤTをタイヤ制御スタンド4に装着し、タイヤTのスリップ角SA=0°、同キャンバ角CA=0°、タイヤTの回転速度V
t=100km/h、回転ドラム2の回転速度V
d=100km/h、ピッチ幅P=2mm、周方向分解能=1/3mmの条件で、該タイヤTの接地圧P、幅方向せん断応力τ
x及び周方向せん断応力τ
yを測定した。
【0037】
この測定により得られた各データを基に、タイヤTの接地圧分布、幅方向せん断応力分布及び周方向せん断応力分布を算出したところ、
図4に示すような分布を得ることができた。
【符号の説明】
【0038】
T タイヤ
1 測定手段
2 回転ドラム
3 ドラム用駆動手段
4 タイヤ制御スタンド
5 タイヤ用駆動手段
6 タイヤ角制御手段
7 接地領域
A 回転ドラムの回転軸
CA キャンバ角
SA スリップ角
P ピッチ幅