(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042854
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】建造物の計測方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/00 20060101AFI20161206BHJP
G08C 25/00 20060101ALI20161206BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
G01L1/00 D
G08C25/00 F
G01L1/00 A
G01B7/00 101R
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-193797(P2014-193797)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-65754(P2016-65754A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2016年4月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511025411
【氏名又は名称】株式会社NejiLaw
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−215226(JP,A)
【文献】
特開2013−181819(JP,A)
【文献】
特開2010−117310(JP,A)
【文献】
米国特許第4127788(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00− 1/26
G01L 5/00− 5/28
G01B 7/00− 7/34
G08C13/00−25/04
F16B31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の応力及び/又は変位を計測する建造物計測方法であって、
建造物の柱又は梁の接合に利用され、雄ねじ体及び/又は雌ねじ体を有する複数のねじ部材に対し、該ねじ部材に生じるひずみを検知するひずみセンサ及び/又は該ねじ部材の変位を検知する加速度センサとなるセンサ部を設けるようにし、
情報収集装置を前記センサ部に有線又は無線で接続することにより、前記情報収集装置が前記センサ部材で計測される計測情報を蓄積することを特徴とする、
建造物計測方法。
【請求項2】
一つの建造物に対して、前記ねじ部材を複数利用するようにし、
複数の前記ねじ部材の前記センサ部の計測情報を、前記情報収集装置に蓄積することを特徴とする、
請求項1に記載の建造物計測方法。
【請求項3】
前記ねじ部材は、前記建造物の前記柱又は梁の鉄骨の接合に利用されるものであることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の建造物計測方法。
【請求項4】
複数の前記ねじ部材は、前記建造物において、その軸方向が互いに異なる向きとなるように設置されることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の建造物計測方法。
【請求項5】
前記ねじ部材における軸方向に離れた軸方向電気接点対が設けられ、前記軸方向電気接点対に電圧を印加した際の該ねじ部材の抵抗値変化により、前記ねじ部材の軸方向に生じる前記ひずみを検知することを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の建造物計測方法。
【請求項6】
前記ねじ部材に前記軸方向電気接点対が複数設けられ、前記複数の前記電気接点対で検知される前記ひずみの差によって前記ねじ部材の曲げ力を検知することを特徴とする、
請求項5のいずれかに記載の建造物計測方法。
【請求項7】
前記ねじ部材における径方向に離れた前記径方向電気接点対が設けられ、前記径方向電気接点対に電圧を印加した際の該ねじ部材の抵抗値変化により、前記ねじ部材の径方向に生じる前記ひずみを検知することを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれかに記載の建造物計測方法。
【請求項8】
前記ねじ部材に、無線通信用のアンテナが設けられることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれかに記載の建造物計測方法。
【請求項9】
前記ねじ部材に、個体識別情報を有するICチップが設けられることを特徴とする、
請求項1乃至8のいずれかに記載の建造物計測方法。
【請求項10】
前記ねじ部材に、バッテリが設けられることを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれかに記載の建造物計測方法。
【請求項11】
複数の建造物に前記ねじ部材が利用されており、
前記情報収集装置は、複数の前記建造物の前記計測情報を蓄積することを特徴とする、
請求項1乃至10のいずれかに記載の建造物計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや橋梁等の建造物の内部に作用する応力等の情報を計測する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、学校の校舎、駅舎、空港のターミナル、病院、市区町村の庁舎、橋梁、トンネルなど、社会インフラ等に関連する様々な建造物が存在する。これらの建造物は、長期間に亘って利用されることが前提となるが、経年劣化や震災等の衝撃による外力にさらされるため、老朽化は避けられない。老朽化を放置すれば、人為的な災害が発生するおそれもある。
【0003】
従って、今後、建造物を含めた社会インフラ等をメンテナンスして強靭化し、減災・防災を実現すること(ナショナル・レジリエンス)が重要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、膨大な数の建造物が存在している昨今、メンテナンスを行うべき建造物に優先順位をつけたり、一つの建造物の中でどの部位を集中的にメンテナンスすべきかを判断したりすることが、現実的には困難となっている。
【0005】
ところで現在も、橋梁の維持管理を行うために橋梁管理カルテを作成し、都道府県・市区町村の担当者が、橋梁を定期点検している。しかし、人間による目視外観検査を中心とした点検であるため、個人差が生じ易く客観性に欠けることから、抜本的なメンテナンスの判断には利用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、建造物の状況を客観的に測定可能にすることで、メンテナンス時期の判断や、より優れた構造物の設計につなげることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明は、建造物の応力及び/又は変位を計測する建造物計測方法であって、建造物に利用され、雄ねじ体及び/又は雌ねじ体を有する複数のねじ部材に対し、該ねじ部材に生じるひずみを検知するひずみセンサ及び/又は該ねじ部材の変位を検知する加速度センサとなるセンサ部を設けるようにし、情報収集装置を前記センサ部に有線又は無線で接続することにより、前記情報収集装置が前記センサ部材で計測される計測情報を蓄積することを特徴とする、建造物計測方法である。
【0008】
上記建造物計測方法に関連して、一つの建造物に対して、前記ねじ部材を複数利用するようにし、複数の前記ねじ部材の前記センサ部の計測情報を、前記情報収集装置に蓄積することを特徴とする。
【0009】
上記建造物計測方法に関連して、前記ねじ部材は、前記建造物の柱又は梁の鉄骨の接合に利用されるものであることを特徴とする。
【0010】
上記建造物計測方法に関連して、複数の前記ねじ部材は、前記建造物において、その軸方向が互いに異なる向きとなるように設置されることを特徴とする。
【0011】
上記建造物計測方法に関連して、前記ねじ部材における軸方向に離れた軸方向電気接点対が設けられ、前記軸方向電気接点対に電圧を印加した際の該ねじ部材の抵抗値変化により、前記ねじ部材の軸方向に生じる前記ひずみを検知することを特徴とする。
【0012】
上記建造物計測方法に関連して、前記ねじ部材に前記軸方向電気接点対が複数設けられ、前記複数の前記電気接点対で検知される前記ひずみの差によって前記ねじ部材の曲げ力を検知することを特徴とする。
【0013】
上記建造物計測方法に関連して、前記ねじ部材における径方向に離れた前記径方向電気接点対が設けられ、前記径方向電気接点対に電圧を印加した際の該ねじ部材の抵抗値変化により、前記ねじ部材の径方向に生じる前記ひずみを検知することを特徴とする。
【0014】
上記建造物計測方法に関連して、前記ねじ部材に、無線通信用のアンテナが設けられることを特徴とする。
【0015】
上記建造物計測方法に関連して、前記ねじ部材に、個体識別情報を有するICチップが設けられることを特徴とする。
【0016】
上記建造物計測方法に関連して、前記ねじ部材に、バッテリが設けられることを特徴とする。
【0017】
上記建造物計測方法に関連して、複数の建造物に前記ねじ部材が利用されており、前記情報収集装置は、複数の前記建造物の前記計測情報を蓄積することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、建造物に生じる応力は変位を、客観的に監視する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る計測システムの全体構成を示す図である。
【
図2】同計測システムが適用される建造物の構造体を拡大して示す斜視図である。
【
図3】(A)は同計測システムで利用される雄ねじ体を示す正面図、上面図、底面図であり、(B)は正面断面図である。
【
図4】同雄ねじ体の変形例を示す正面断面図である。
【
図5】同雄ねじ体の変形例を示す正面図、上面図、底面図である。
【
図6】同雄ねじ体に内蔵される基板の構成を示すブロック図である。
【
図7】(A)は同計測システムの情報収集装置のハード構成を示すブロック図であり、(B)は情報収集装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】同計測システムのねじ部の緩み防止構造の例を示す正面図である。
【
図9】同計測システムのねじ部の緩み防止構造の例を示す正面図である。
【
図10】同計測システムのねじ部の緩み防止構造の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1には、本発明の実施形態に係る建造物の計測システム1が示されている。この計測システム1は、ビルや橋梁等の複数の建造物10と、この建造物10に建設時の部材として利用されるねじ部材30と、このねじ部材30に対して有線又は無線によって接続される情報収集装置100を備えて構成される。
【0022】
ねじ部材30は、雄ねじ体又は雌ねじ体であり、好ましくは、建造物10の基本構造部材に用いられる。
【0023】
具体的には、
図2に示すように、建造物10の鉛直方向に延びる角柱鋼材となる支柱12を連結する接合部位や、この支柱12から水平方向に延びるH鋼材となる梁14を連結する接合部位の複数箇所に、ねじ部材30が採用される。即ち、ねじ部材30を用いる場所は、主として、建造物10の構造材(骨組み材)を接合する部位となる。このように、ねじ部材30が、構造材同士の接合に関与することにより、構造材に生じる内部応力を間接的に受けることができる。
【0024】
とりわけ、
図2に示すように、複数のねじ部材30において、その軸方向(締結方向)が互いに異なる場所を選定しておくことが好ましい。このようにすることで、建造物10の構造材に対して前後、左右、上下から作用する応力状態を、三次元的に計測することが可能になる。
【0025】
図3に、ねじ部材30として雄ねじ体40を採用した場合の基本構造を示す。雄ねじ体40は所謂ボルトであり、頭部42と軸部44を有する。軸部44には、円筒部44aとねじ部44bとが形成される。勿論、円筒部44aは必須ではない。
【0026】
頭部42内には、頭部収容空間48が形成されており、軸部44内には、軸方向に延びる軸部収容空間46が形成される。頭部収容空間48と軸部収容空間46は連通しており、頭部収容空間48が軸部収容空間46よりも径方向に拡張した構造となっている。ここでは、これらの頭部収容空間48及び軸部収容空間46を総称して内部空間49と呼ぶ。
【0027】
内部空間49内には、内周面に接するようにして、軸方向に離れた箇所に軸方向電気接点対48A、48Bが設けられる。この軸方向電気接点対48A、48Bには、それぞれ絶縁被覆された配線49A、49Bが接続されており、軸方向電気接点対48A、48B間に電圧を印加できる。これにより、軸方向電気接点対48A、48Bに電圧を印加した際の雄ねじ体40の抵抗値変化により、雄ねじ体40に作用する軸力又は軸力変動を検出することができる。配線49A、49Bは、内部空間49内に収容されるので、雄ねじ体40を建造物10の建設に利用する際にも配線が邪魔にならない。
【0028】
内部空間49内には、更に、配線49A、49Bが接続される基板54と、基板54に電力を供給するバッテリ52が収容される。なお、本実施形態ではバッテリ52を内蔵する場合を例示するが、外部にバッテリボックスが配置され、このバッテリボックスからねじ部30に電力が供給されるようにしても良い。また、本実施形態ではバッテリ52を利用して雄ねじ体40が稼動する場合を示すが、例えば、外部から有線の電力配線によって電力が供給される場合は、このバッテリを省略できる。更に、外部のリーダ等から電波をエネルギーとし受信し、このエネルギーを電源として動作するパッシブ構造の場合も、バッテリ52を省略できる。また、ここでは軸方向に離れた軸方向電気接点対48A、48Bのみによって抵抗値を検知する場合を例示したが、半径方向或いは周方向に離れた電気接点対に電圧を印加して抵抗値を測定することもできる。なお、これらの抵抗変化は微小であるため、軸方向電気接点対48A、48Bの中間にブリッジ用接点を配置し、ブリッジ回路を構成して高精度の抵抗値を測定するようにしてもよい。
【0029】
更に内部空間49に異物や水分が進入するのを防止するために、内部空間49の開口部分にはキャップ50が設置される。頭部収容空間48側のキャップ50をとりはずせば、建造物10から雄ねじ体40を取り外すことなく、バッテリ52の交換や、基板54、配線49A、49Bのメンテナンスが可能となっている。
【0030】
なお、ここでは一対の軸方向電気接点対48A、48Bを設ける場合を例示しているが、例えば
図4に示すように、複数対となる軸方向電気接点対48A、48Bを、中心軸線を境にとした直径方向両側に配置することも好ましい。このようにすると、例えば雄ねじ体40の軸部44に曲げモーメントが作用した場合、一方の軸方向電気接点対48A、48Bは圧縮力、他方の軸方向電気接点対48A、48Bの間には伸長力が作用するので、抵抗値に差が生じ得る。この差によって雄ねじ体40に作用する曲げモーメントの変化を検知することができる。
【0031】
また、この軸方向電気接点対48A、48Bによる一体型応力センサ及び後述する基板54に搭載される加速度センサを含めて「ねじ部30に一体化されるセンサ部」と定義できる。
【0032】
図5に、雄ねじ体40の他の構成例を示す。雄ねじ体40の軸部44の外周面には、断面が非円形となるような凹部(平面)60が形成される。この凹部(平面)60は軸方向に延びており、軸方向電気接点対48A、48B及び配線49A、49Bが設置される。凹部(平面)60には、ひずみゲージ62が張り付けられており、このひずみゲージ62の両端の接点が軸方向電気接点対48A、48Bとなる。従って、雄ねじ体40の軸部44に軸力が作用すると、ひずみゲージ62を介してその応力変化を検知できる。なお、ここでは軸部44の軸方向全域に平面60を形成する場合を例示したが、円筒部44aの領域に限って凹部(平面)60を形成することも好ましい。
【0033】
図6に基板54の構成を示す。基板54は、アナログ回路及び/又はICチップ等から構成されており、全ての処理を制御する中央演算処理装置となるCPUと、一時的なデータを読み書きするための高速メモリRAMと、プログラムを格納するために使用する読み出し専用メモリROMと、データを格納するために書き込み可能なメモリEPROMと、基板と外部の通信制御を行うインタフェースと、外部と無線通信したり、外部電波を利用して電力を供給したりするアンテナと、抵抗値検出部と、加速度センサを有する。
【0034】
抵抗値検出部は、配線49A、49Bが接続されて、軸方向電気接点対48A、48B間の抵抗値を検出すると同時に、この値をデジタル情報に変換してCPUに提供する。結果、抵抗値データはEPROMに格納される。
【0035】
加速度センサは、基板54の振動や移動を検知して、雄ねじ体40の移動量データを算出する。これにより、建造物10の構造体が曲がったり、揺れたりする動きを把握できる。移動量データはこのデータはEPROMに格納される。
【0036】
EPROMに格納される抵抗値データや移動量データは、管理者が情報収集する随時タイミングや、定期的なタイミングにより、アンテナを介して外部(情報収集装置100)に送信される。
【0037】
ROM又はEPROMには、この雄ねじ体40の個体を識別するための情報(個体識別情報)が格納されており、情報収集装置100側においては、個体識別情報に対応付けて、建造物10の住所、名称、構造体への設置場所等を登録しておく。これにより、各雄ねじ体40を個別に管理する。なお、本実施形態では、この基板54の一部は、ICチップを利用したいわゆるRFID技術を採用しているが、本発明はこれに限定されず、他の技術を用いてもよい。
【0038】
図7(A)に情報集装置100のハード構成を示す。この情報収集装置100は、いわゆるサーバであり、中央演算処理装置となるCPU、一時的なデータを読み書きするための高速メモリRAMと、マザーボードプログラムを格納するために使用する読み出し専用メモリROMと、データを格納するために書き込み可能なハードディスクHDDと、外部の通信制御を行うインタフェースと、雄ねじ体40と無線通信するアンテナを有する。なお、このアンテナは、情報収集装置100のハードウエアを構成するサーバ内に配置されている場合に限られず、各建造物10の雄ねじ体40の近辺に配置された中継アンテナであっても良い。
【0039】
図7(B)に情報収集装置100のプログラム構成を示す。情報収集装置100は、情報整理部、情報分析部、アラーム表示部、メンテナンス履歴保持部を有する。情報整理部は、既に述べた雄ねじ体40の個体識別情報に対応付けて、建造物10の名称、住所、構造体の設置場所、設置方角、ねじ部30のサイズ、管理者(連絡先)等の他、各雄ねじ体40から収集された抵抗値データ及び移動量データを時系列で蓄積する。
【0040】
情報分析部は、収集された抵抗値データ及び移動量データを解析し、異常判断を行う。異常判断は、例えば時間の推移に伴って異常な数値が現れていないかや、複数のねじ部30から収集されたデータに基づいて建造物10の全体の力学バランスが崩れていないかを解析・判定する。アラーム表示部は、情報分析部が、その分析結果に異常データが含まれると判断した際に、オペレータにメンテナンスアラームを画面、文字、音等によって通知する処理を行う。メンテナンス履歴保持部が、建造物10のメンテナンス履歴を保存する。
【0041】
以上の建造物10の計測システム1によれば、建造物10の構造体中に複数のねじ部材30を利用することで、ねじ部材30に生じるひずみ及び/又は変位を検知することが可能となる。この検知結果は、情報収集装置100によって、有線又は無線で接続されて回収されるので、客観的なデータとして活用できる。また例えば、データ回収を自動化できると同時に、略リアルタイムに観測・収集することが可能となり、地震等が生じた際の建造物10の変形量や内部応力変化等を把握できる。この状況に基づいて、メンテナンスの優先順位や、重要箇所を判断することもできるようになる。
【0042】
なお、このねじ部30の締結方法は様々であるが、本計測システム1の目的からして、ねじ部30が絶対的に緩まない構造であることが好ましい。この構造について例示すると、例えば
図8には、雄ねじ体40のねじ部40bに、二種類の雄ねじ螺旋溝を形成し、一方の螺旋溝と螺合する第一雌ねじ体70Aと、他方の螺旋溝と螺合する第二雌ねじ体70Bを螺合させると同時に、両者の相対回転を防止する機構を組み込むことで、完全に緩まないねじ部30を構築することができる。なお、この技術に関しては、本願の発明者に係る特許第4663813号公報を参照されたい。
【0043】
また例えば
図9に示すように、ワッシャ150を利用して緩み止めを行う手法も採用できる。例えば、雄ねじ体40の頭部42の下部乃至付け根に相当する部位にねじ体側座部122を形成し、ワッシャ150の一方側(
図9の上面側)に第一受部160を形成し、両者の間には、第一係合機構Aが構成する。この第一係合機構Aは、ラチェット機構等になっており、雄ねじ体40を緩める方向に回転しようとすると互いに係合して、当該回転方向に対する第一受部160とねじ体側座部122との相対回転を防止する。
【0044】
更にワッシャ150の他方側(
図9の下面側)には、第二受部170が形成される。この第二受部170は、建造物10の構造体(支柱又は梁)12、14と対向する。構造体12、14には、ワッシャ150の第二受部170に対向する部材側座部182が孔として形成される。この部材側座部182と、ワッシャ150の第二受部170の間には、第二係合機構Bが構成される。具体的には、部材側座部182及び第二受部17の外形が、軸心に対して非正円形状となっており、この第二係合機構Bは、少なくともワッシャ150が緩める方向に回転しようとすると、第二受部170と部材側座部182が互いに係合して、当該回転方向に対する第二受部170と部材側座部182との相対回転を防止する。この第一係合機構Aと第二係合機構Bの作用により、雄ねじ体40が緩み方向に回転しようとすると、ワッシャ150の介在によって、雄ねじ体40と構造体12、14の相対回転が規制される。
【0045】
更に
図10に示すように、雌ねじ体90とワッシャ50を利用して緩み止めとすることもできる。雄ねじ体40の軸部44に、軸方向から視て断面非円形となる雄ねじ側連携領域80を形成する。この雄ねじ側連携領域80は、既に述べた平面60を兼ねることもできる。
【0046】
ワッシャ50と雌ねじ体90が互いに対向する面には、第一係合機構Aが構成される。この第一係合機構Aは、例えばラチェット機構となっており、少なくとも雌ねじ体90が、螺合する雄ねじ体40に対して緩まる方向に回転しようとすると、互いに係合して、当該回転方向に対する雄ねじ体40とワッシャ50の相対回転を防止する。ワッシャ50の他方側は構造材12、14と対向する。
【0047】
ワッシャ50における雄ねじ体の貫通孔82は、軸方向から視た場合に非正円形となっている。従って、この貫通孔82は、雄ねじ体40の雄ねじ側連携領域80に対して周方向に係合する(これを補助係合機構Bと定義する)。
【0048】
以上の通り、第一係合機構A及び補助係合機構Bによって、雌ねじ体90が緩むことができない構造にすることができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、ねじ部30の部材に生じるひずみを直接検出するか、またこの部材にひずみゲージを張り付けて、該ひずみゲージを利用して間接的にねじ部30のひずみを検出する場合を例示したが、他の構造を採用することも可能である。例えば、ねじ部30の伸縮に連動する金属棒をねじ部の内部又は外部に配置し、この金属棒の伸縮(即ちねじ部30の伸縮)を抵抗値等によって検出する場合も、本発明におけるひずみ検知の概念に含むものである。
【0050】
また、上記実施形態では、雄ねじ体40に、ひずみセンサ等を内蔵する場合を例示しているが、雌ねじ体側に内蔵しても良く、また両者を組み合わせて一つのセンサとして機能させるようにしても良い。
【0051】
本発明の実施例は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 計測システム
10 建造物
12 支柱(構造体)
14 梁(構造体)
30 ねじ部材
40 雄ねじ体
48A、48B 軸方向電気接点対
49A、49B 配線
52 バッテリ
54 基板