特許第6042856号(P6042856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042856
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】コネクタハウジング
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H01R13/629
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-199127(P2014-199127)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-72033(P2016-72033A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(74)【代理人】
【識別番号】100189049
【弁理士】
【氏名又は名称】花坂 達也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】神田 秀典
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 卓也
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−324622(JP,A)
【文献】 特開2004−311190(JP,A)
【文献】 特開2012−109047(JP,A)
【文献】 特開2013−073743(JP,A)
【文献】 特開2014−032857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング本体と、
前記ハウジング本体の側面に回動可能に取り付けられる一対の旋回部を有し、前記ハウジング本体と相手ハウジング本体とを嵌合開始位置に位置合わせした状態で前記一対の旋回部を回動させることで、ハウジング本体同士を嵌合させる嵌合操作レバーと、
を備え、
前記ハウジング本体の各前記側面は、前記旋回部の回転中心寄りの位置から前記旋回部の周縁部に向かって前記旋回部との間の隙間が徐々に増大する曲面部をそれぞれ有するコネクタハウジングであって、
前記曲面部には、前記ハウジング本体の幅方向に沿って前記旋回部に向かって突出して、前記曲面部と前記旋回部との間の隙間を所定以下に狭めるリブがそれぞれ備えられ、
一対の前記リブの外縁面と、一対の前記リブの外縁面の間に位置する前記ハウジング本体の外縁面とにより、前記ハウジング本体の幅方向に連続する1つの平坦な面が構成され、
対応する前記リブの外縁面と前記旋回部の外周縁とが、前記ハウジング本体の幅方向に沿って面一に並んでいることを特徴とするコネクタハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング本体の側面に、該側面に回動可能に取り付けられる嵌合操作レバーの旋回部との間に隙間を形成する曲面部を有するコネクタハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、下記特許文献1に開示されたコネクタハウジングを示している。
このコネクタハウジング100は、電線210の端部に接続された端子金具を収容するハウジング本体110と、該ハウジング本体110の両側面111に回動可能に取り付けられた嵌合操作レバー120とを備えている。
【0003】
嵌合操作レバー120は、ハウジング本体110の側面111に回動可能に取り付けられる左右一対の旋回部121と、この左右一対の旋回部121を連結して旋回部121を旋回させるときの操作部となる操作杆部122と、旋回部121に形成されて該旋回部121の旋回に伴って相手ハウジング本体310の連結用ピン313を引き込むカム溝123と、を備えている。この嵌合操作レバー120は、ハウジング本体110と相手ハウジング本体310とを嵌合開始位置に位置合わせした状態で旋回部121を回動させることで、ハウジング本体同士を嵌合させる。
【0004】
ハウジング本体110の側面111は、旋回部121の回転中心寄りの位置から旋回部121の周縁部に向かって旋回部121との間の隙間S1が徐々に増大する曲面部114を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−223540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載のコネクタハウジング100の場合、ハウジング本体110の側面111の曲面部114と旋回部121との間の隙間S1に、コネクタハウジング100の周囲に配索される電線等の異物が挟まる等、旋回部121に外力が及びやすい構造となっている。そのため、旋回部121に外力が及んだ際、嵌合操作レバー120がハウジング本体110から外れてしまう(脱落してしまう)、又は旋回部121が破損してしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、ハウジング本体の側面の曲面部と嵌合操作レバーの旋回部との間に異物が挟まることを防止し、異物の挟まりによる嵌合操作レバーの脱落や破損を防止することができるコネクタハウジングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) ハウジング本体と、
前記ハウジング本体の側面に回動可能に取り付けられる一対の旋回部を有し、前記ハウジング本体と相手ハウジング本体とを嵌合開始位置に位置合わせした状態で前記一対の旋回部を回動させることで、ハウジング本体同士を嵌合させる嵌合操作レバーと、
を備え、
前記ハウジング本体の各前記側面は、前記旋回部の回転中心寄りの位置から前記旋回部の周縁部に向かって前記旋回部との間の隙間が徐々に増大する曲面部をそれぞれ有するコネクタハウジングであって、
前記曲面部には、前記ハウジング本体の幅方向に沿って前記旋回部に向かって突出して、前記曲面部と前記旋回部との間の隙間を所定以下に狭めるリブがそれぞれ備えられ、
一対の前記リブの外縁面と、一対の前記リブの外縁面の間に位置する前記ハウジング本体の外縁面とにより、前記ハウジング本体の幅方向に連続する1つの平坦な面が構成され、
対応する前記リブの外縁面と前記旋回部の外周縁とが、前記ハウジング本体の幅方向に沿って面一に並んでいることを特徴とするコネクタハウジング。
【0010】
上記(1)の構成によれば、ハウジング本体の側面の曲面部と嵌合操作レバーの旋回部との間の隙間に、ケーブル等の異物が進入しようとした場合、その異物は、ハウジング本体の側面の曲面部に設けられたリブと干渉して、隙間への進入が阻止される。従って、ハウジング本体の側面の曲面部と嵌合操作レバーの旋回部との間に異物が挟まることを防止し、異物の挟まりによる旋回部の脱落や破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるコネクタハウジングによれば、ハウジング本体の側面の曲面部と嵌合操作レバーの旋回部との間に異物が挟まることを防止し、異物の挟まりによる嵌合操作レバーの脱落や破損を防止することができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るコネクタハウジングの第1実施形態の後方の斜め下方から視た斜視図である。
図2図1に示したコネクタハウジングの後面図である。
図3】本発明に係るコネクタハウジングの第2実施形態の後方の斜め下方から視た斜視図である。
図4図3に示したコネクタハウジングの後面図である。
図5】比較例として、図1に示したコネクタハウジングからリブを省いた構成のコネクタハウジングの後方の斜め下方から視た斜視図である。
図6図5に示したコネクタハウジングの後面図である。
図7】従来のコネクタハウジングの後方の斜め上方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るコネクタハウジングの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1及び図2は本発明に係るコネクタハウジングの第1実施形態を示したもので、図1は本発明の第1実施形態のコネクタハウジングの後方の斜め下方から視た斜視図、図2図1に示したコネクタハウジングの後面図である。
【0017】
この第1実施形態のコネクタハウジング4は、ハウジング本体41と、このハウジング本体41の両側面に回動可能に取り付けられる嵌合操作レバー42と、を備えている。
【0018】
ハウジング本体41は、内部に2行2列に端子収容孔を備えており、後端には、前記端子収容孔に収容した端子金具に接続された電線が挿通する電線挿通孔411が2行2列に装備されている。
【0019】
このハウジング本体41の両側面413には、後述する嵌合操作レバー42の旋回部421を回動可能に支持するレバー支持部414が設けられている。
【0020】
また、ハウジング本体41の側面413は、嵌合操作レバー42の旋回部421の回転中心寄りの位置から旋回部421の周縁部に向かって旋回部421との間の隙間S1が徐々に増大する曲面部415を有している。
【0021】
また、曲面部415には、ハウジング本体41の幅方向(図2では、矢印X1方向)に沿って旋回部421に向かって突出した板状のリブ416を備えている。このリブ416は、図1に示すように、板厚がt1の厚板状に形成されている。また、このリブ416は、曲面部415と旋回部421との間の隙間S2を所定以下に狭めている。隙間S2は、例えば、コネクタハウジング4の周辺に配索される電線の最小外径よりも小さな値に設定すると良い。
【0022】
また、本実施形態の場合、板状のリブ416は、図2に示すように、ハウジング本体41の幅方向に沿って延在する外縁部416aが、旋回部421の外周縁421aよりも、寸法hだけ、外側に位置するように、ハウジング高さ方向(図2では矢印Y1方向)の突出長が設定されている。
【0023】
嵌合操作レバー42は、ハウジング本体41の側面413に回動可能に取り付けられる左右一対の旋回部421と、これらの左右一対の旋回部421を連結して旋回部421を旋回させるときの操作部となる操作杆部422と、を備えている。そして、旋回部421には、旋回に伴って相手ハウジング本体の連結用ピンを引き込むカム溝が備えられている。
【0024】
この嵌合操作レバー42は、ハウジング本体41と相手ハウジング本体とを嵌合開始位置に位置を合わせた状態で旋回部421を回動させることで、ハウジング本体同士を嵌合させる。
【0025】
以上に説明した第1実施形態のコネクタハウジング4の場合、ハウジング本体41の側面413の曲面部415と嵌合操作レバー42の旋回部421との間の隙間S1に、ケーブル等の異物5(図2参照)が進入しようとした場合、その異物5は、ハウジング本体41の側面413の曲面部415に設けられたリブ416と干渉して、隙間S1への進入が阻止される。従って、ハウジング本体41の側面413の曲面部415と嵌合操作レバー42の旋回部421との間に異物5が挟まることを防止し、異物5の挟まりによる旋回部421の脱落や破損を防止することができる。
【0026】
更に、本実施形態のコネクタハウジング4の場合、ハウジング本体41の側面413の曲面部415に突設したリブ416の外縁部416aが嵌合操作レバー42の旋回部421の外周縁421aよりも寸法hだけ外側に位置している。そのため、例えば、ハウジング本体41の下面を幅方向(図2の矢印X1方向)に擦るケーブル等の異物5は、リブ416の外縁部416a上を摺動して、図2に矢印R1で示すように、リブ416と旋回部421との境界から離れた位置に移動し易く、リブ416と旋回部421との境界の隙間S2を飛び越え易くなる。そのため、リブ416の外縁部416aと旋回部421の外周縁421aとが面一に並ぶ場合(後述の図6の場合)よりも、更に、異物5が隙間S1に入り難くなる。従って、ハウジング本体41の側面413の曲面部415と嵌合操作レバー42の旋回部421との間に異物5が挟まることを、より確実に防止することができる。
【0027】
また、本実施形態で曲面部415に装備したリブ416は、ハウジング本体41の前後方向に沿って、厚さ寸法t1の板状で、ハウジング本体41の前後方向の一部にのみ装備するだけで、効率良く、異物の割り込みを防止することができる。
【0028】
[第2実施形態]
図3及び図4は本発明に係るコネクタハウジングの第2実施形態を示したもので、図3は本発明の第2実施形態のコネクタハウジングの後方の斜め下方から視た斜視図、図4図3に示したコネクタハウジングの後面図である。
【0029】
この第2実施形態のコネクタハウジング4Aは、第1実施形態の一部を改良したもので、リブ416のハウジング幅方向に延在する外縁部416aと、旋回部421の外周縁421aとが面一に並ぶようにしたものである。即ち、第2実施形態のリブ416は、第1実施形態のリブ416と比較すると、高さhだけ、ハウジング高さ方向の突出長が小さくなっている。
【0030】
この第2実施形態のコネクタハウジング4Aの場合も、ハウジング本体41の側面413の曲面部415と嵌合操作レバー42の旋回部421との間の隙間S1は、曲面部415に突設されたリブ416によって埋められるため、隙間S1への異物の進入を防止することができる。従って、隙間S1に異物5が挟まることを防止し、異物5の挟まりによる旋回部421の脱落や破損を防止することができる。
【0031】
[比較例]
図5及び図6は、第1実施形態のコネクタハウジング4からリブ416を省いた構成のコネクタハウジング4Bを示している。リブ416が装備されていないと、図6に示すように、ケーブル等の異物5が、ハウジング本体41の側面413の曲面部415と嵌合操作レバー42の旋回部421との間の隙間S1に、挟まるおそれがある。そして、旋回部421の回動によって、異物5が隙間S1の奧に送り込まれると、旋回部421が外れたり、破損したりするおそれがある。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0033】
例えば、リブ416は、ハウジング前後方向の途中の一箇所だけでなく、ハウジング前後方向に離間した複数箇所に装備するようにしても良い。
【0034】
ここで、上述した本発明に係るコネクタハウジングの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0035】
[1] ハウジング本体(41)と、
前記ハウジング本体(41)の側面(413)に回動可能に取り付けられる旋回部(421)を有し、前記ハウジング本体(41)と相手ハウジング本体とを嵌合開始位置に位置合わせした状態で前記旋回部(421)を回動させることで、ハウジング本体同士を嵌合させる嵌合操作レバー(42)と、
を備え、
前記ハウジング本体(41)の側面(413)は、前記旋回部(421)の回転中心寄りの位置から前記旋回部(421)の周縁部に向かって前記旋回部(421)との間の隙間(S1)が徐々に増大する曲面部(415)を有するコネクタハウジング(4)であって、
前記曲面部(415)には、前記ハウジング本体(41)の幅方向に沿って前記旋回部(421)に向かって突出して、前記曲面部(415)と前記旋回部(421)との間の隙間(S1)を所定以下に狭めるリブ(416)を備えたことを特徴とするコネクタハウジング(4)。
【0036】
[2] 前記リブ(416)は、前記ハウジング本体(41)の幅方向に沿って延在する外縁部(416a)が、前記旋回部(421)の外周縁(421a)よりも外側に位置することを特徴とする上記[1]に記載のコネクタハウジング(4)。
【符号の説明】
【0037】
4 コネクタハウジング
41 ハウジング本体
42 嵌合操作レバー
413 側面
421 旋回部
415 曲面部
416 リブ
416a 外縁部
421a 外周縁
S1 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7