(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042862
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】口腔内歯列撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
A61C19/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-500029(P2014-500029)
(86)(22)【出願日】2012年7月26日
(86)【国際出願番号】JP2012068986
(87)【国際公開番号】WO2013121605
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-30193(P2012-30193)
(32)【優先日】2012年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398065520
【氏名又は名称】メディア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】辻 啓延
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一史
【審査官】
胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−069301(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/063980(WO,A1)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02749860(CA,A1)
【文献】
米国特許第02860414(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0202363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内の歯又は歯列を撮影する撮影トレー部と把持部を有する装置において、
前記撮影トレー部は、前記歯列の形状に合わせてU字型形状に形成され、かつ該トレー部の断面形状が前記歯列の先端部に被せることができるような凹み状に構成され、撮影対象を複数の方向から同時に撮影することが可能な複数の撮影機及び複数の画素の対応点を検出するための複数の照射パターンを投影することが可能なパターン発生器を備えた複数の投影機が該トレー部の凹み状の内側の表面に設けられたことを特徴とする口腔内歯列撮影装置。
【請求項2】
前記撮影機は、撮影時間を制限する電気的シャッタ機構と、前記電気的シャッタ機構を電気的に接続し、同時に撮影動作をさせることが可能な同期撮影機構とを具備したことを特徴とする、請求項1に記載の口腔内歯列撮影装置。
【請求項3】
前記撮影機は、無線伝送が可能な信号を発信可能な発信機を具備したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の口腔内歯列撮影装置。
【請求項4】
前記投影機は前記照射パターンを変更可能としたことを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の口腔内歯列撮影装置。
【請求項5】
前記撮影トレー部には、2個の腕状部分に2分割され、該腕状部分が蝶番で搖動自在に連結され、該腕状部分の挟角を調節可能とする調節手段が設けられたことを特徴とする、請求項1ないし4の何れかに記載の口腔内歯列撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の歯列を撮影するために用いられる口腔内歯列撮影装置に関し、さらに詳しくは、例えば、人工歯を製作するときに必要となる、高精度な3次元データを計算するための高精度な画像群を、複数の方向から同時に撮影することが可能な口腔内歯列撮影装置に関する。撮影された画像は、診察のためのモザイク画像を作成するために使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
複数の撮影機で撮影した平面画像(2次元画像)から、撮影対象の各点の3次元座標を計算する方法が知られている。これは、「平面画像からの3次元再構成」と呼ばれている。口腔内の歯列を撮影対象とし、複数の撮影機で撮影する装置が開示されている。この装置では、撮影された複数の平面画像から計算により歯列の3次元再構成を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
3次元再構成に用いる平面画像を得るためには、複数の撮影機(カメラ)を校正(キャリブレーション)時と同じ状態にして撮影する必要がある。すなわち、校正時の状態と異なる状態で撮影された複数の平面画像を用いて3次元再構成をすると、十分な精度を得ることは困難である。以下、校正時の条件を保持している場合を、「校正条件保持状態」と称する。例えば、複数の撮影機の位置関係、基線長(カメラ間の距離)等が校正時と変わると、校正条件保持状態が壊れることになる。
【0004】
撮影機を移動させながら撮影するとき、複数の撮影機で同時に撮影しないと、位置関係、基線長が変化し校正条件保持状態が壊れた状態で撮影することになる。特許文献1に開示された方法は、このことに格別の対策を講じておらず、撮影機又は撮影者は絶えず小さく移動するため基線長が変化しており、校正条件保持状態を保持することは困難である。この状態で撮影した平面画像から3次元再構成をすると、十分な精度を得ることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−069301
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、例えば、人口歯を製作するときに必要となる。高精度な3次元データを計算するために高精度な平面画像群を、複数の方向から同時に撮影することが可能な口腔内歯列撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の口腔内歯列撮影装置が提供される。
【0008】
第1の口腔内歯列撮影装置は、口腔内の歯又は歯列を撮影する撮影トレー部と把持部を有する口腔内歯列撮影装置において、前記トレー部は複数の異なる方向から同時に撮影することができる複数の撮影機及び照射光を照射することができる複数の異なる照射機を前記トレー部の表面に設け、前記照射機は単一又は複数のオン・オフする発光体で構成し、前記発光体のオン・オフする位置を変更して複数の照射パターンを生成し、複数枚の平面画像を撮影することができるように構成したことを特徴とする。
【0009】
第2の口腔内歯列撮影装置は、第1の口腔内歯列撮影装置において、 前記照射機は、1又は複数の点状又は線状発光体を前記照射機の照射方向に前記発光体の発光方向を一致させて配置し、前記発光体のオン・オフを独立に制御可能としたことを特徴とする。
【0010】
第3の口腔内歯列撮影装置は、第1又は第2の口腔内歯列撮影装置において、
前記撮影機は、撮影時間を制限する電気的シャッター機構と、前記電気的シャッター機構を電気的に接続し、同時に撮影動作をすることが可能な同期撮影機構とを具備したことを特徴とする。
【0011】
第4の口腔内歯列撮影装置は、第1又は第2の口腔内歯列撮影装置において、前記撮影機は、無線伝送が可能な信号を発信可能な発信機を具備したことを特徴とする。
【0013】
第6の口腔内歯列撮影装置は、第1又は第2の口腔内歯列撮影装置において、前記撮影トレー部は、2個の腕上部分に2分割し、該腕上部分を蝶番で搖動自在に連結し、該腕上部分の挟角を調節する調節手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の口腔内歯列撮影装置の発明によれば、例えば、人口歯を製作するときに必要となる、高精度の3次元データを計算するための高精度な平面画像群を、複数の方向から同時に撮影することが可能となり、校正条件保持状態の撮影が容易にできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る口腔内歯列撮影装置の、撮影トレー部の表面側から見た構成を模式的に示した図である。
【
図2】
図1に示した口腔内歯列撮影装置の、撮影トレー部の構造を示し、
図2(a)は
図1のA−A線断面図を示し、
図2(b)は
図2(a)のB部の部分拡大図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る口腔内歯列撮影装置の変形例(撮影トレー部の腕間の夾角を調節可能にした図)を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の口腔内歯列撮影装置の実施形態を、
図1〜
図3を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る口腔内撮影装置に関し、撮影トレー部の表側から見た構成を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態の口腔内歯列撮影装置100は、口腔内の歯列を、複数の方向から、同時に撮影することが可能な複数の撮影機(カメラ)121及び複数の照射パターンを投影することが可能な複数の投影機151を有する撮影トレー部101を具備した概略構成である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る口腔内歯列撮影装置100は、さらに、ケーブル102、同期撮影機構(図示せず)、計算機103、モニタ104を具備している。
【0018】
なお、撮影機121は、上述のように、口腔内の歯列を、複数の方向から同時に撮影することが可能であるが、それに限らず、口腔内の歯列を、複数の方向から経時的に撮影することも可能である。なお、本発明における同時撮影の「同時」を広く解釈し、同じ校正条件保持状態を維持して継時的に撮影する場合も含めて解釈するものと定める。
【0019】
また、
図1、並びに後述する
図2及び
図3における、X,Y及びZは、それぞれ3次元座標の座標軸を示す。また、
図2における横軸Aは、
図1で示したA−A線を座標軸Aとして示したものである。
【0020】
図1において、本実施の形態に係る口腔内歯列撮影装置100は、歯科印象用トレー状の形状を有する撮影トレー部101の表側(
図2における上側)から見た図を示す。
図1に示すように、複数の撮影機121と投影機151は撮影対象を少なくとも2方向から撮影できるように配置されている。投影機151は、複数の画像の対応点を検出するためのパターン光を照射する。撮影機121によって撮影された画像データは、ケーブル102を経て計算機103に送られ、モニタ104に表示されるように構成されている。なお、
図1の撮影トレー部101の右側に把持部(参照番号なし)を示す。
【0021】
図2(a)は、
図1に示された口腔内歯列撮影装置100における撮影トレー部101の構造を示し、
図1のA−A線における断面図を示す。
図2(a)に示すように、撮影機121と投影機151とが交互に撮影トレー部101の内側底部に配置される。
図2(b)は、
図2(a)のB部の一部拡大図で、撮影機121は、撮像素子122及びレンズ123から構成される。投影機151は、光源152、パターン生成器154、投影レンズ155から構成される。
【0022】
撮像素子122としては、例えば、平面状に構成されたCCD又はCMOSを挙げることができる。また、レンズ123としては、球面又は非球面に成型されたガラス又はプラスチックを、1枚又は複数枚組合せたレンズを挙げることができる。光源152としては、例えば、発光ダイオード(LED)又は白熱球を挙げることができる。パターン発生器154としては、例えば、フィルム又は液晶を挙げることができる。また、投影レンズ155としては、球面又は非球面に成型されたガラス又はプラスチックを、1枚又は複数枚組合せたレンズを挙げることができる。
【0023】
また、撮影機121は、それぞれ撮影時間を制限する図示しない電気的シャッタ機構を有する。電気的シャッタ機構は、電子回路で電気信号を変化(オンオフ)させるものであり、機械的構造を有しない。複数の撮影機121に設けられたそれぞれの電気的シャッタ機構は、相互に、電気的に連結され、図示しない同期撮影機構により同時に撮影動作を行うように構成されている。なお、同期撮影機構は、電気的シャッタ機構の撮影動作を経時的に行うようにすることもできる。
【0024】
電気的シャッタ機構は電気信号により動作するものであり、撮影機121は、電気信号が印加されている間、撮影対象の明るさに応じた電荷を蓄積する。撮影トレー部101の揺れがあっても画像がぼけない程度の十分短い時間、例えば、0.1ms〜10.0msの間電気的シャッタ機構を開き、撮影することが好ましい。
【0025】
以上の構成により、歯の両側面を含め複数の方向からの画像を、複数の撮影機121で同期撮影する。撮影した複数の画像を計算機103に送り、処理を行う。
【0026】
複数の撮影機121の3次元再構成のための校正は、例えば、3次元計測済み歯列模型(図示せず)又は3次元計測済み標準物体(図示せず)に対し、撮影トレー部101を、通常の撮影と同様に被せ、撮影して行うことができる。校正は、撮影の前後の何時行ってもよい。モザイク画像の作成であれば校正しなくてもよい。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態に係る口腔内歯列撮影装置の変形例(撮影トレー部101の腕の挟角を調節可能に構成にした)を模式的に示す平面図である。大人と小児のように顎の大小により、歯列の配置も変わる場合、歯列及びレンズの間の距離を適切に保持するため、
図3に示すように、撮影トレー部101の2本の腕110、111を、蝶番311を支点として搖動可能に構成し、調節手段設けて、調節可能にしてもよい。
図3の破線で示した部分はそれぞれを内側に回転させて調節した後の状態を示す。調節手段(図示省略)としては、例えば、2本の腕110、111に相互に逆ネジを切ったナット等を固定し、螺合するネジ棒で調節可能にしてもよい。
【0028】
図1に示す第1実施形態においては、撮影機121によって撮影された画像は、撮影機121からケーブル102を経て計算機103に送られ、モニタ104に表示されるように構成されていたが、他の変形例として、複数の撮影機121に、赤外線信号又は電磁波信号等の無線信号を発信する発信機を接続して、この無線信号を計算機103に伝送してもよい。このように構成することによって、
図1のケーブル102を省略することができ、構成を簡略化することができる。
【0029】
また、他の変形例として、
図2に示す投影機151を、パターンを生成する液晶(パターン発生器)154のオンオフする位置を変更し、撮影機121が複数枚の異なる平面画像を撮影することが可能なように構成することによって、対応点検出精度を向上することができる。3次元再構成計算をするには、複数の平面画像の対応点を検出する必要があり、一般的にデータが多いほど精度が向上する。具体的には、投影パターンを変更しては画像を撮影して対応点を検出することを複数回繰返して、検出した複数の対応点の全てを使い、又は、複数の対応点の中央値、平均値等を使うことにより精度の向上を図ることができる。撮影の都度、撮影トレー部101を多少移動することによっても、精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0030】
88 口腔内歯列
100 口腔内歯列撮影装置
101 撮影トレー部
102 ケーブル
103 計算機
104 モニタ
110 腕
111 腕
121 撮影機
122 撮像素子
123 レンズ
151 投影機
152 光源
154 パターン発生器
155 投影レンズ
311 蝶番