【文献】
Applied and Environmental Microbiology,2003年,69, 8,4383-4389
【文献】
Eukaryot Cell. ,2009年,8, 11,1677-1691
【文献】
Molecular and Cellular Biochemistry,2004年,256/257,319-327
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
I.概要
本発明の菌株及び方法は、形態及び生育特性に影響する遺伝子改変のなされた糸状菌細胞の変異菌株に関する。変異細胞を深部培養で生育した場合、これらは、親菌株の細胞を含む細胞ブロスと比較して、異なるレオロジー特性を有する細胞ブロスを生成する。これらの変異菌株のうちの一部は、酵素及び他の商業的に重要なタンパク質の大量生産に非常に好適である。
【0027】
II.用語の定義
本発明の菌株及び方法を詳細に説明するのに先立ち、明確性のために以下の用語を定義する。定義されていない用語は、関連技術において使用されるように、それらの通常の意味に従うべきである。
【0028】
本明細書で使用するとき、「トリコデルマ・リーゼイ」は、子嚢菌門(Ascomycota)チャワンタケ亜門の糸状菌を指す。この生物は、かつて、トリコデルマ・ロンギブラキアタムとして、又はハイポクレア・ジェコリーナとして分類されていた。
【0029】
本明細書で使用するとき、語句「糸状菌細胞の変異菌株」又は同様の語句は、例えば、遺伝子操作により、チャワンタケ亜門に属する親(若しくは参照)菌株に由来する(すなわち、親若しくは参照菌株から得られる又はこれらの菌株から入手可能である)糸状菌細胞の菌株を指す。本明細書では、親菌株及び変異菌株が、遺伝子改変、発現表現型、形態等の特定の特性を有すると記載する場合があるが、当業者は、それが、技術的には、このような特性を有する親菌株又は変異菌株の細胞であり、便宜上「菌株」と呼ばれることを理解するであろう。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「対象タンパク質」は、糸状菌において発現させることが所望されるポリペプチドを指す。このようなタンパク質は、酵素、基質結合タンパク質、界面活性タンパク質、構造タンパク質等であってよく、高レベルで発現することができ、且つ商業的目的のためのタンパク質であってよい。対象タンパク質は、変異体菌株及び/又は親菌株に対して内因性遺伝子又は異種遺伝子によってコード化され得る。対照タンパク質は、細胞内で発現してもよく、分泌タンパク質として発現してもよい。
【0031】
本明細書で使用するとき、語句「実質的に活性を有さない」又は同様の語句は、特定の活性が混和物中で検出不可能であるか又は混和物に意図された目的に干渉しない量で存在するかのいずれかであることを意味する。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」(及び/又はこれらの複数形)は、ペプチド結合によって結合されているアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指すために互換的に用いられる。アミノ酸残基については従来の一文字又は三文字コードが本明細書でも使用される。ポリマーは直鎖又は分枝鎖であってよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断され得る。この用語は、自然に又は介在によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識成分との共役によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸等を含む)を含有するポリペプチド、並びに当該技術分野において既知の他の修飾物も定義内に含まれる。
【0033】
本明細書で使用するとき、機能的及び/又は構造的に類似するタンパク質は「関連タンパク質」であるとみなされる。このようなタンパク質は、異なる属及び/又は種の生物、あるいは更には異なる綱の生物(例えば、細菌と真菌)に由来してもよい。関連タンパク質は、一次配列分析によって決定されるか、二次若しくは三次構造分析によって決定されるか、又は免疫学的交差反応性によって決定される、ホモログも包含する。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド/タンパク質誘導体」は、N−末端及びC−末端のいずれか若しくは両方に1つ又はそれ以上のアミノ酸を付加することにより、アミノ酸配列中の1つ若しくは多数の異なる部位で1つ又はそれ以上のアミノ酸を置換することにより、タンパク質のいずれか若しくは両方の末端で又はアミノ酸配列中の1つ又はそれ以上の部位で1つ又はそれ以上のアミノ酸を欠失させることにより、及び/又は、アミノ酸配列中の1つ又はそれ以上の部位で1つ又はそれ以上のアミノ酸を挿入することにより、タンパク質から誘導される又は誘導可能であるタンパク質を指す。タンパク質誘導体の調製は、天然タンパク質をコード化するDNA配列を改変し、このDNA配列により好適な宿主を形質転換させ、改変されたDNA配列を発現させてタンパク質誘導体を形成することにより達成することができる。
【0035】
関連タンパク質(及び誘導体)は、「変異タンパク質」を含む。変異タンパク質は、少数のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は挿入により参照/親タンパク質(例えば、野生型タンパク質)と異なる。変異体と親タンパク質との間で異なるアミノ酸残基の個数は1又はそれ以上であり得、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50又はそれ以上のアミノ酸残基が異なり得る。変異タンパク質は、参照タンパク質と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を共有し得る。変異タンパク質は、選択したモチーフ、ドメイン、エピトープ、保存領域等においても参照タンパク質とは異なる。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「類似配列」は、対象タンパク質(すなわち、元々の対象タンパク質)と同様の機能、三次構造及び/又は保存残基を提供するタンパク質を構成する配列を指す。例えば、α−へリックス又はβ−シート構造を含有するエピトープ領域では、類似配列中の置換アミノ酸は、好ましくは、同一の特異的構造を維持する。この用語は、ヌクレオチド配列並びにアミノ酸配列も指す。幾つかの実施形態では、類似配列は、置き換えアミノ酸が、類似する機能又は改善された機能を示す変異酵素を生じるように開発される。幾つかの実施形態では、所望のタンパク質におけるアミノ酸の三次構造及び/又は保存残基は、所望のセグメント若しくは断片に位置するか、又はその付近に位置する。それゆえに、目的とする部分又は断片が例えば、α−へリックス又はβ−シート構造を含有する場合、置換アミノ酸は好ましくはその特異的構造を維持する。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「相同タンパク質」は、参照タンパク質と同様の活性及び/又は構造を有するタンパク質を指す。ホモログは、必ずしも進化的に関連している訳ではない。したがって、この用語は、異なる生物から得られる(例えば、構造及び機能の観点で)同一、類似、又は対応する酵素を包含することが意図される。幾つかの実施形態では、比較タンパク質に類似する四次、三次、及び/又は一次構造を有するホモログを同定することが望ましい。幾つかの実施形態では、相同タンパク質は、比較タンパク質に類似する免疫学的応答を惹起する。幾つかの実施形態では、相同タンパク質は、所望の活性を有する酵素を生成するように遺伝子操作される。
【0038】
配列間の相同性の程度は、当該技術分野において既知である任意の好適な方法を用いて決定することができる(例えば、Smith及びWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482;Needleman及びWunsch(1970)J.Mol.Biol.,48:443;Pearson及びLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444;Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ(Genetics Computer Group,Madison,WI)におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA等のプログラム;並びにDevereuxら(1984)Nucleic Acids Res.12:387〜95を参照されたい)。
【0039】
例えば、PILEUPは、配列相同性レベルを決定する有用なプログラムである。PILEUPは、プログレッシブペアワイズアラインメントを用いて、一群の関連する配列から複数の配列のアラインメントを行う。PILEUPは、アラインメントを行うのに使用されるクラスタリング関係を示す系統樹をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng及びDoolittleのプログレッシブアラインメント法の簡略化したものを使用する(Feng及びDoolittle(1987)J.Mol.Evol.35:351〜60).この方法は、Higgins及びSharp(1989)により記載されるものと類似のものである(CABIOS 5:151〜53)。有用なPILEUPパラメーターとしては、3.00のデフォルトギャップ重みづけ(default gap weight)、0.10のデフォルトギャップ伸長重みづけ(default gap length weight)及び重みつき末端ギャップ(weighted end gaps)が挙げられる。有用なアルゴリズムの別の例は、BLASTアルゴリズムであり、Altschulら((1990)J.Mol.Biol.215:403〜10)及びKarlinら((1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜87)に記載されている。1つの特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(例えば、Altschulら(1996)Meth.Enzymol.266:460〜80を参照されたい)。パラメーター「W」、「T」及び「X」は、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、11の語長(W)、50のBLOSUM62スコア行列(例えば、Henikoff及びHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照されたい)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M’5、N’−4、及び両菌株の比較を用いる。
【0040】
本明細書で使用するとき、少なくとも2つの核酸又はポリペプチドの文脈における語句「実質的に同様である」及び「実質的に同一である」は典型的には、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、参照(例えば、野生型)配列と比較して、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約75%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約91%の同一性、少なくとも約92%の同一性、少なくとも約93%の同一性、少なくとも約94%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約96%の同一性、少なくとも約97%の同一性、少なくとも約98%の同一性、又は更には少なくとも約99%の同一性又はそれ以上の同一性を有する配列を含むことを意味する。配列同一性は、標準的なパラメーターを用いて、BLAST、ALIGN及びCLUSTAL等の既知のプログラムを使用して決定され得る。(例えば、Altschul,ら(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410;Henikoffら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915;Karinら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:5873;及びHigginsら(1988)Gene 73:237〜244を参照されたい)。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)より公的に入手可能である。また、データベースは、FASTAを用いてサーチすることができる(Pearsonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444〜48)。2つのポリペプチドが実質的に同一である一つの指標は、第一のポリペプチドが第二のポリペプチドと免疫学的に交差反応することである。典型的には、保存アミノ酸置換によって異なるポリペプチドは免疫学的に交差反応する。したがって、例えば、2つのポリペプチドが保存置換のみが異なるポリペプチド場合は、実質的に第二ポリペプチドと同一である。2つの核酸配列が実質的に同一である他の指標は、2つの分子が互いにストリンジェントな条件(例えば、中程度から高度にストリンジェントな条件の範囲内)において互いにハイブリッドすることである。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「遺伝子」は、タンパク質又はRNAをコード化し、発現を方向づける核酸を指すという点で、用語「対立遺伝子」と同義である。糸状菌の栄養型は一般に半数体であり、したがって、特定の表現型を付与するのに特定の遺伝子の単一コピー(すなわち、単一対立遺伝子)で十分である。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「野性型」及び「ネイティブ」は、互換的に用いられ、自然界でみられる遺伝子、タンパク質、又は菌株を指す。
【0043】
本明細書で使用するとき、「遺伝子の欠失」は、宿主細胞のゲノムから遺伝子が除去されることを指す。遺伝子が、遺伝子のコード配列に直に隣接して位置しない制御エレメント(例えば、エンハンサーエレメント)を含む場合、遺伝子の欠失は、コード配列の欠失、並びに、任意で隣接するエンハンサーエレメント(プロモーター及び/又はターミネーター配列を含むが、これらに限定されない)の欠失を指す。
【0044】
本明細書で使用するとき、「遺伝子の破壊」は、細胞が宿主内で例えばタンパク質等の機能性遺伝子産物の生成を実質的に防ぐ任意の遺伝子操作又は化学操作、すなわち、突然変異を広く指す。破壊の方法の例としては、ポリペプチドをコード化する配列、プロモーター、エンハンサー、又は他の制御エレメントを含む遺伝子の任意の部分の完全な又は部分的な欠失、あるいはその突然変異誘導が挙げられ、突然変異誘導は、置換、挿入、欠失、逆位及びこれらの組み合わせ並びに変形を包含し、これら突然変異はいずれも機能性遺伝子産物の生成を実質的に防ぐ。また、遺伝子は、RNAi、アンチセンス、又は遺伝子発現を消失させる任意の他の方法を用いて破壊してもよい。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「遺伝子操作」及び「遺伝子変化」は、互換的に用いられ、核酸配列の変更/変化を指す。変化は、核酸配列中の少なくとも1つの核酸の置換、欠失、挿入、又は化学的修飾を含んでよいが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用するとき、「好気性発酵」は、酸素の存在下での生育を指す。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「細胞ブロス」は、総じて、液体/深部培養における培地及び細胞を指す。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「細胞集団」は、液体/深部培養において存在する細胞成分(インタクトな細胞及び溶解細胞を包含する)を指す。細胞集団は、乾燥又は湿潤重量で表され得る。
【0049】
本明細書で使用するとき、用語「レオロジー」は、物質の変形及び流動に関連する物理学の一分野を指す。
【0050】
本明細書で使用するとき、「粘度」は、剪断応力又は引張応力等の機械的応力による変形に対する流体の抵抗の尺度である。本明細書の文脈では、粘度は、例えば、ローター/インペラによりもたらされるような機械的応力に対する、糸状菌を含む細胞ブロスの抵抗を指し得る。細胞ブロスの粘度は直接測定するのが困難であり得るため、予め選択された量で撹拌した場合の培養ブロスの溶存酸素量、予め選択された溶存酸素量を維持するのに必要とされる撹拌量、予め選択された溶存酸素量を維持するために細胞ブロスを撹拌するのに必要とされる電力量、又は更には固体培地上のコロニー形態といった、粘度の間接的尺度を用いてもよい。
【0051】
本明細書で使用するとき、糸状菌細胞の「粘度を変化させる」変異菌株は、親菌株により生成される等価な細胞ブロスと比較して、粘度が低下した又は増加した(すなわち、剪断又は引張応力に対する抵抗が低下した又は増加した)細胞ブロスを生成する変異菌株を指す。一般に、同等の細胞ブロス又は等価な細胞ブロスは、同等の細胞集団を含む。好ましくは、粘度を変化させる変異菌株と親菌株との間の差異は、粘度の任意の直接又は間接的尺度に関して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は更には少なくとも50%、又はそれ以上である。糸状菌細胞ブロスの粘性を比較するための方法が本明細書に記載される。
【0052】
本明細書で使用するとき、糸状菌細胞の「粘度を低下させる」変異菌株は、親菌株により生成される等価な細胞ブロスと比較して、粘度が低下した(すなわち、剪断又は引張応力に対する抵抗が低下した)細胞ブロスを生成する変異菌株を指す。好ましくは、粘度を変化させる変異菌株と親菌株との間の差異は、粘度の任意の直接又は間接的尺度に関して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は更には少なくとも50%、又はそれ以上である。
【0053】
本明細書で使用するとき、「溶存酸素」(DO)は、体積/体積単位で測定した場合の、液体培地中に存在する酸素(O
2)の量を指す。溶存酸素レベルは、高レベル、例えば、発酵全体を通して170−100%〜20%、100−80%〜20%、70%〜20%、65%〜20%、60%〜20%、55%〜20%、50%〜20%、45%〜20%、44%〜20%、43%〜20%、42%〜20%、41%〜20%、40%〜20%、35%〜20%、30%〜20%、及び25%〜20%で維持され得る。特に、溶存酸素は、発酵の開始時において高く、発酵が進行するにつれて減少してよい。溶存酸素レベルは、発酵の撹拌量及び/又は空気若しくは酸素の添加速度によって制御することができる。培養物は、400〜700rpmで撹拌してよく、溶存酸素レベルは、空気又は酸素の流速及びインペラ速度を変化させることによって、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、及び55%超で維持される。
【0054】
本明細書で使用するとき、「主要な遺伝的決定基」は、他の遺伝子又はその遺伝子操作の不在下で、特定の表現型を付与するのに必要且つ十分である遺伝子又はその遺伝子操作を指す。しかし、特定の遺伝子が特定の表現型を付与するのに必要且つ十分であることは、更なる遺伝子操作によって表現型に追加の効果が達成され得る可能性を除外するものではない。
【0055】
本明細書で使用するとき、「機能性ポリペプチド/タンパク質」は、酵素活性、結合活性、表面活性特性等の活性を保有するタンパク質であって、突然変異誘導、切頭ないしは別の方法で改変されてその活性が消失又は低下していないタンパク質である。機能性ポリペプチドは、指定に従って、熱安定性又は熱不安定性であり得る。
【0056】
本明細書で使用するとき、「機能性遺伝子」は、活性な遺伝子産物を、典型的にはタンパク質等を生成するために、細胞成分により使用可能な遺伝子である。機能性遺伝子は、活性遺伝子産物を生成するために細胞成分によって用いられ得ない、又は活性遺伝子産物を生成するために細胞成分によって用いられる可能性が低いように改変されている破壊遺伝子の反対語である。
【0057】
本明細書で使用するとき、変異細胞は、変異菌株と親菌株の間のタンパク質発現の差異が約20%未満、約15%未満、約10%未満、約7%未満、約5%未満、又は更には約3%未満であるならば、親菌株と比較して「高レベルのタンパク質発現及び/又は分泌を維持又は保持している」。
【0058】
本明細書で使用するとき、宿主細胞は、これらが、野生型タンパク質に特徴的な活性、特に菌糸の伸張を促進するないしは別の方法で液体培地において糸状菌の粘度を増加させる活性を呈する機能性タンパク質/ポリペプチドの生成を防ぐように遺伝子的又は化学的に変更されているならば、「特定のタンパク質の生成を防ぐように改変」されている。このような改変としては、限定するものではないが、タンパク質をコード化する遺伝子の欠失又は破壊、コード化されるポリペプチドが上記活性を失うような遺伝子の改変、翻訳後プロセシング又は安定性に影響を与える遺伝子の改変、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用するとき、「対象タンパク質」は、糸状菌細胞の深部培養において生成されることが所望されるタンパク質である。一般的に、対象タンパク質は、工業、製薬、動物の健康、及び飲食品用途のために商業的に重要であるので、大量に生産することが望ましい。対象のタンパク質は、糸状菌により発現される多種多様な他のタンパク質とは区別されるものであり、こうした他のタンパク質は一般に製品としての関心の対象とはならず、主にバックグラウンドのタンパク質混入物と見なされる。
【0060】
本明細書で使用するとき、変異菌株は、変異菌株により生成されるタンパク質量の低下が、親菌株により生成されるタンパク質量と比較して20%以下、15%以下、10%以下、更には5%以下であるならば、バイオマス単位量当たり、親菌株と「実質的に同量」のタンパク質を生成することになり、ここで、タンパク質量は、タンパク質生成が測定される細胞のバイオマスの合計量に対して正規化され、バイオマスは湿潤(例えば、細胞ペレットの)又は乾燥重量のいずれかで表現され得る。
【0061】
本明細書で使用するとき、変異菌株は、変異菌株により生成されるタンパク質量の増加が、親菌株と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%以上であるならば、親菌株よりも「バイオマス単位量当たり、実質的に多くのタンパク質」を生成することになり、ここで、タンパク質量は、タンパク質生成が測定される細胞のバイオマスの合計量に対して正規化され、バイオマスは湿潤(例えば、細胞ペレットの)又は乾燥重量のいずれかで表現され得る。
【0062】
本明細書で使用するとき、「蛍光色素」は、蛍光染料である。好ましい蛍光色素は、真菌の細胞壁中のセルロース及び/又はキチンに結合する。
【0063】
本明細書で使用するとき、単数形の冠詞「a」、「an」及び「the」は、内容的に明らかに示されていない限り、複数の対象物も包含する。本明細書に引用される参考文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。以下の省略形/頭字語は、特に定めのない限り、以下の意味を有する。
【0065】
III.Crz1タンパク質生成量が変化した糸状菌株
一態様では、親菌株に由来する糸状菌の変異菌株であって、前記変異菌株が、前記変異菌株の細胞に、前記親菌株の細胞と比較して、変更された量の機能性Crz1タンパク質を生成させる、遺伝子変化を含む、変異菌株を提供する。変異菌株の細胞は、続いて、深部培養における好気性発酵の間に親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、変更された撹拌量を必要とする、又は親菌株の細胞と比較して、予め選択された撹拌量で、変更された溶存酸素量を維持する、細胞ブロスを生成する。
【0066】
場合により、この遺伝子変化は、変異菌株の細胞の機能性Crz1タンパク質の変更された量が、親菌株の細胞と比較して、減少された量であり、得られた細胞ブロスは、親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、減少した撹拌を必要とする、又は予め選択された撹拌量でより高い溶存酸素量を維持する。このような場合には、この変異菌株の細胞集団は、親菌株の細胞集団と比較して粘度の低下を呈するものと考えられ、このことは、実施例に記載の通り、溶存酸素量及び撹拌に関する観察を説明する。
【0067】
機能性Crz1タンパク質の量の減少された量は、親菌株中に存在するcrz1遺伝子を破壊することで生じ得る。crz1遺伝子の破壊は、粘度を低下させる表現型を変異菌株に対して付与する主要な遺伝的決定基であるため、このような変異菌株は、crz1遺伝子が破壊されてさえいればよく、その一方で他の全ての遺伝子が無傷のままであってもよい。場合により、変異菌株は任意選択で、これらが由来する親菌株と比較して、追加の遺伝子変化を含み得る。このような追加の遺伝子変化は、粘度を低下させるために必須ではないが、更に粘度を低下させたり、変異菌株に他の利点を付与したりすることができる。
【0068】
crz1遺伝子の破壊は、機能性crz1遺伝子産物、すなわち、Crz1タンパク質の発現を実質的に防ぐ任意の好適な方法を用いて行うことができる。当業者に知られている通り、破壊の代表的な例としては、限定されないが、例えば、Crz1コード配列、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、又は別の制御エレメントの完全な又は部分的な欠失を含むcrz1遺伝子の完全な又は部分的な欠失;及びcrz1遺伝子の任意の部分を含む染色体の一部の完全な又は部分的な欠失が挙げられる。crz1遺伝子を破壊する特定の方法としては、crz1遺伝子の任意の部分、例えば、Crz1コード配列、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー又は別の制御エレメントにおけるヌクレオチドの置換又は挿入が挙げられる。好ましくは、欠失、挿入及び/又は置換(総じて、突然変異と称される)は、一般に特定の核酸配列を標的としない化学的変異誘導とは対照的な配列特異的分子生物学技術を用いる遺伝子操作により導入される。それにもかかわらず、化学的変異誘導をcrz1遺伝子を破壊するために用いることもできる。
【0069】
crz1遺伝子における突然変異は、crz1プロモーターの効率を低下させ、crz1エンハンサーの効率を低下させ、crz1 mRNAのスプライシング又はエディティングに干渉し、crz1 mRNAの翻訳に干渉し、Crz1コード配列に終止コドンを導入して完全長のCrz1タンパク質の翻訳を防ぎ、Crz1タンパク質のコード配列を変化させて、より活性の弱い若しくは不活性のタンパク質を生成するか又は他の核タンパク質成分とCrz1との相互作用を低下させ、Crz1タンパク質のコード配列を変化させて、より不安定なタンパク質を生成させるために変化させるか又はタンパク質を破壊するための標的にし、Crz1タンパク質のミスフォールドを引き起こすか又は不正確に修飾をさせ(例えば、グリコシル化による)、あるいは、Crz1タンパク質の細胞輸送に干渉し得る。
【0070】
1つの実施形態では、これら及び他の遺伝子操作は、機能性Crz1タンパク質の発現を低下させるか又は防ぐ、あるいは、Crz1タンパク質の正常な生物活性を低下させるか又は防ぎ、それにより粘度を低下させる表現型の生じる細胞内における形態変化を生み出す。
【0071】
他の場合には、遺伝子変異は、機能性Crz1タンパク質の発現を増加又は回復させ、あるいは、Crz1タンパク質の通常の生物活性を増加させ、それにより、粘性が増加又は回復する表現型を生じる形態変化を生み出す。Crz1機能を増加又は回復させる代表的な遺伝子変化は、crz1遺伝子の追加のコピーを細胞中に導入する、crz1プロモーター、エンハンサー又は他の制御エレメントの効率を増加させる、Crz1タンパク質をコード化するmRNAの翻訳を増加させる、Crz1タンパク質をコード化するmRNAの安定性を増加させる、Crz1タンパク質の活性又は安定性を増加させる変化をcrz1遺伝子に導入する、他のタンパク質若しくは核酸等との相互作用を調節する変化をcrz1遺伝子に導入するものである。Crz1の機能を増加又は回復させる他の遺伝子変化は、機能性Crz1タンパク質の発現を低下させるか又は防ぐ遺伝子変化の効果を逆転するものである。
【0072】
上記のように操作及び使用するための糸状菌細胞は一般に、子嚢菌門チャワンタケ亜門からのものであり、特に栄養菌糸状態を有し且つcrz1遺伝子のホモログを含む真菌である。このような生物としては、商業的に重要な工業及び製薬タンパク質の生成に使用される糸状菌が挙げられ、限定するものではないが、トリコデルマ属の種、アルペルギルス属の種、フサリウム属の種、スケドスポリウム属の種、ペニシリウム属の種、クリソスポリウム属の種、セファロスポリウム属の種、タラロマイセス属の種、ゲオスミチア属の種、及びニューロスポラ属の種が挙げられる。具体的な生物としては、限定するものではないが、トリコデルマ・リーゼイ(かつてはトリコデルマ・ロンギブラキアタム又はハイポクレア・ジェコリーナとして分類されていた)、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・イタコニカス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ジャポニクス、スケドスポリウム・プロリフィカンス、ニューロスポラ・クラッサ、ペニシリウム・フニクロスム、ペニシリウム・クリゾゲナム、タラロマイセス(ゲオスミチア)・エマーソニイ、フザリウム・ベネナタム、及びクリソスポリウム・ロックンオウンズが挙げられる。
【0073】
真菌では、カルシニューリン媒介Ca
2+シグナル伝達が、多くの生物において生育、発生、及び毒性に必要であることが示されている。高カチオンレベル及びアルカリ性pHを含む多様な環境条件に適応することが必須である。遺伝子crz1は、カルシニューリンによって制御される転写因子をコード化する。Crz1p転写因子は、ホスファターゼカルシニューリンがCa
2+/カルモジュリンによって活性化されたときに脱リン酸化される。次いで、それは核に入り、多数の遺伝子の発現を誘導するが、そのうち多くは、細胞壁に関連する機能を有するタンパク質をコード化する(Yoshimotoら,2002;Lagorceら,2003;Garciaら,2004;Karababaら,2006;Pardiniら,2006,Munro,C.ら2009)。crz1又はホモログの欠失によって、菌糸の形態が変化する場合がある(Kothe,G.及びFree,S.1998,Prokisch,H.ら1997)。
【0074】
本開示は、形態変化とCrz1との関連について実験的証拠を提供する。
【0075】
理論に縛られるものではないが、糸状菌におけるcrz1発現及び/又は活性の変化は、細胞壁を変化させ、それによりより短い菌糸を特徴とするより小さな細胞形態、及びより酵母に類似した外観をもたらすと考えられる。
【0076】
クエリーとしてT.リーゼイのCrz1アミノ酸配列を用いて糸状菌及び酵母の公的に入手可能なゲノム配列を検索するためにBLASTを使用したところ、ホモログは見つかったが、これらタンパク質の機能は未知である。T.リーゼイ(配列番号1)、E.ニデュランス(配列番号2)、S.セレヴィシエ(cerevisiae)(配列番号3)、A.フミガーツス(配列番号4)、P.マルネッフェイ(marneffei)(配列番号5)、及びA.フラバス(flavus)(配列番号6)のCrz1タンパク質を以下に示す。
【0077】
T.リーゼイのCrz1タンパク質の予測アミノ酸配列を、以下の配列番号1として示す:
RGRSPSAGGFQSDINQSHSPARSPLAPTNEQPSAGLGVGLGQQQQRAFAAPLHPNYDSFGANGFLGAQANAVDPTNGFDPSASFGQQPATGPDSTLSLNAQAQHNYLSPNLHDGDFSLFPSAAEQGDQYNAPLFEQPPLGDLNAMTSPHSHQSPTPPQLFQPDSLQSPPFNRHQFSSPPTHSRNASLGPEAALLPSQIGDWTQPQFQGHRRTPSEYSDVSSVAPSPHLVSSDTFDADQSGHSPLQRPADVSLYQEVLGIGSFSLADHGSPGYHGRSPSHSPAISPRIMPQQMPDTMQPSFNLIPPNGGFDGVSGYPDLQPSHESFPSLSGGMGGDMHQMAPPAINIDFAPTNSRQGSFEPPKSQMDQDSLTPPERGRPKSRPRAVTDPFHPGSGILPPGNLGSSLGVDLAARSDTASRSLSPLDRSGTSSPASRRRQSTSSVPNNVIALRLADPEYQNSQEAGTSKRMQKHPATFQCTLCPKRFTRAYNLRSHLRTHTDERPFVCTVCGKAFARQHDRKRHESLHSGEKKFVCKGDLKTGGQWGCGRRFARADALGRHFRSEAGRICIKPLLDEEMVERQRQWQEQRMQQNMAQNMANPQVMGMDAGPAYPMDASGNYTLPQALLAQYPALAQMNWSATDMGGGLDDELSGRSSFDASDYDDGDDGGY
エメリセラ・ニデュランス(Emericella nidulans)のCrz1タンパク質のアミノ酸配列を、以下の配列番号2として示す:
MDPQDTLQDLGQAPAAHINRSASPSAHAHQQYNNNHNDLTIDPSVTSNSSYPPSSFANNSAPGSEAFAYSSSYLTPATATDHNFARPSLQIPQSFDQGLSHQPAEENFSNLLNSNTGDFDFSLYQGSSPNNTGSDYPSSGLLDPQQSGNQAVNPVDLVSQIPSPHPSNSSQTSPLDQPPSSAMSPPASSPGTFYTPQHSRHTSLDPASAAYMTNVSHPEWQAVMNNSAFHGHRRAPSEVSEVSSAAHSPYLPQHDSFDVADNNPSPLLAAQNDPSLYDNAALGIESFTLSEHHQPQTQGISPHHSPYISPQLMPQHPTDIIPGGPFISAPATNSAYPTPPTEGYPNGGDIGQASQMAPPSINVEFAPPAKAQVFPPEKSTADMDSLSPPPSLRTSRMRSKSDPYAVSISRPRSPSSPSASLDALAASSPRSLSPFNVGRHPYSNPSSREPSPARSARRLSTSSVDSRNYILGLADPQRPGSNNTDSKRVQKHPATFQCTLCPKRFTRAYNLRSHLRTHTDERPFVCTVCGKAFARQHDRKRHEGLHSGEKKFVCRGDLSRGGQWGCGRRFARADALGRHFRSEAGRICIKPLLDEESQERERTLINQQQQHLQPVNQPLMLPGQGTEAQHTGSFILPAALLAQYPALQTLQWDQIPAGTDDTSDIGGRNSFDASSGGEFGFDDDESGISVSGMSTGYASDQGNIYNVDAQGQMLGVNPGEAGYANPNWGK
サッカロマイセス・セレヴィシエのCrz1タンパク質のアミノ酸配列を、以下の配列番号3として示す:
MSFSNGNMASYMTSSNGEEQSINNKNDIDDNSAYRRNNFRNSSNSGSHTFQLSDLDLDVDMRMDSANSSEKISKNLSSGIPDSFDSNVNSLLSPSSGSYSADLNYQSLYKPDLPQQQLQQQQLQQQQQQQQQQQQQQQKQTPTLKVEQSDTFQWDDILTPADNQHRPSLTNQFLSPRSNYDGTTRSSGIDSNYSDTESNYHTPYLYPQDLVSSPAMSHLTANNDDFDDLLSVASMNSNYLLPVNSHGYKHISNLDELDDLLSLTYSDNNLLSASNNSDFNNSNNGIINTADTQNSTIAINKSKVGTNQKMLLTIPTSSTPSPSTHAAPVTPIISIQEFNEGHFPVKNEDDGTLQLKVRDNESYSATNNNNLLRPDDNDYNNEALSDIDRSFEDIINGRKLKLKKSRRRSSQTSNNSFTSRRSSRSRSISPDEKAKSISANREKLLEMADLLPSSENDNNRERYDNDSKTSYNTINSSNFNEDNNNNNLLTSKPKIESGIVNIKNELDDTSKDLGILLDIDSLGQFEQKVGFKNDDNHENNDNGTFSVKKNDNLEKLDSVTNNRKNPANFACDVCGKKFTRPYNLKSHLRTHTNERPFICSICGKAFARQHDRKRHEDLHTGKKRYVCGGKLKDGKPWGCGKKFARSDALGRHFKTESGRRCITPLYEEARQEKSGQES
アスペルギルス・フミガーツスのCrz1タンパク質のアミノ酸配列を、以下の配列番号4として示す:
MASQEMFPELGQSPAPGVKSRGVSRSPHPHQQQQQQQHQQHQGQFTGTVTGLDLDSSIATASSFANSSFDPNSNNVSPSAESYGYTAAGYLSGTPASQTDQNYANSLQIPQSYGTGLVPQFNESRGLPIQQQSQQQHHQQPSLDDNFSDLLNSNATEYDFNTVYQTHSPSSNTAPEYDSSLLLDPQVHQQSHPTQIPSSHSSTSPQISPLEQQQHSSPGPMSTQGSTTVAYYTPQHSRHASLDPATAAFLTSNTHPDWQAVMGNSAAFQGHRRAPSEVSEISSAAPSPYLSQHESFDGVDNNPSPLLAPQNDPSLYDSALGIENFTLSEQHQQHQGFSPAHSPYISPRLMPQQGQEMMPNVPYLSGPAPNTQYPTPPNDMYGNGAEGMMNMSQGTHPSVDIGQASQMAPPSINVEFAPPSRIPSFGPSKPASNLDSLSPPPSSTRSRGRSKSDPYAHPSTSRLRSSSTSSSLDPLAPTTPRSLSPFDSFGRQQQSNPSSRDPSPSRSNRRLSTSSIDSRNYILGLADPQRPGASPNDSKRVQKHPATFQCNLCPKRFTRAYNLRSHLRTHTDERPFVCTVCGKAFARQHDRKRHEGLHSGEKKFVCQGELSRGGQWGCGRRFARADALGRHFRSEAGRICIKPLLDEESQERERSLMDQQQHHLQPLPQQVMVPVDNPHAGNFVLPAALLAQYPALQTLQWDQIAASADDPSDIGGRSSFDASSGNEFGFEDDDSGLSSVSGINAGYSAAGNFY
ペニシリウム・マルネッフェイのCzr1タンパク質のアミノ酸配列を、以下の配列番号5として示す:
MENHGQYANRGRSPSASVHSRNVSPSPHHGQHSPYHDPSAAGLMLDASTAGTGYQSNLTFTTAPPLSSSLAPDSNNPDLYNNFLTATTTSQQHDSLAAQNDQFASSVAATFQDQLDQSATHQDANYSNLLNPNPNDYDFTQYAVGGDNAVMQSAFDSSLLLDQQQQQQQQQQQHNTQNVQLMGQGDMTQMGSPNNLLSPEHHSSPGNSHTSPPISSGPFYSPGHSRSASLDPMSAAYMSNHNQAQDWKNMLENHSFQSHRRAPSEHSDVSSVAHSPYAGHHESFDALDGASPSLGAQNDPVLYDNTLAMDSFTLSEQQQGLSPHHSPYISPQMPSQDITSDAFILSGQQNMTQFPTLPHDIFTGQPDDGMLAGTQAPDMSGLDANQMNNMVPPPSINVEFAPPSRMPSFGPGGENDFDALSPPSRGSRGRSKSDPFGRPTPIVRPHSQSVSSTSSLDPAVGSSPRSLSPFDSMGGSRSNPGSRGVSPASRSSIRRQSTSSIERKVILDLADPQRPGATPGESKRTQKHPATFQCNLCPKRFTRAYNLRSHLRTHTDERPFVCTVCGKAFARQHDRKRHEGLHSGEKKFVCRGDLASRGQWGCGRRFARADALGRHFRSEAGRACIKALLDEEAIERNRIFMEQQAQQQAQQQHLQPVPQPLMVPGLDNQAGFTLPAALLAQYPALQNLQWDQIATSGTDDVSDISARNSFDAGSGGEFGFDDDDLSIGSFTGASGQGVIYAGGSHPTSAPNFALEATDPNFTGQEWSQ
アスペルギルス・フラバスのCrz1タンパク質のアミノ酸配列を、以下の配列番号6として示す:
MASQDTLRDAGQSTADVKNRSVSPSAHPQHQYNNASPGLTLDPSFTVSSFQNSASFNANPNSNSPGADSYSYTAGGYLSPTSAQTLAPPDQAFSHSLQLQSFDPGLVNQLDHSSGLSMQPQLQQHQQPHEENFSTLLNSNPTDFDFSLYPNHSPNSTTASEYDSSLMLDTQMQGHPQQVNQAVNPVDLIGQMPSPHSVTSPQMSPQEQQPHHSSPGPMSPPNSTPGAYYTPQHSRHTSLDPASAAYMTGNAPPDWQSMMGNAAFQGHRRAPSEVSEVSSAAPSPYMSHHESFDGVDNNPSPLLAPQNDPGLYDSSLGIESFTLSEQQQQQQHQQGISPIHSPYISPQLMPQQGNDLIPNMPYISAPAGNRYSCPPTDIYGNGAEGVISMPQGTAMVGDIGQASQMAPPSINVEFAPPAKNPIFPPAKPAADLDSLSPPPSTRRMRSKSDPYAHPASRSRSPVSVSSSLEPLAPSSPRSLSPFDSTGRQPHSNPSSREPSPSRSRRLSTSSIDNRNYILGLADPQRPGASPNDSKRVQKHPATFQCHLCPKRFTRAYNLRSHLRTHTDERPFVCTVCGKAFARQHDRKRHEGLHSGEKKFVCRGDLSRGGQWGCGRRFARADALGRHFRSEAGRICIKPLLDEESQERERTLMDQQNQQHAGHLQPVPQPLMVPGMDGQHANGFVLPAALLAQYPALQNLQWDQITAAAEDPSDIGGRSSFDASSGGEFGFEDDESNLSSVSGMSGYGSPQDNLYVMNNQNQMLNVNPGDSGYA
本組成物及び方法の幾つかの実施形態では、生成レベルの変化したCrz1タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1、2、3、4、5、又は6のアミノ酸配列に対して特定の程度の全アミノ酸配列同一性、例えば、配列番号1、2、3、4、5、又は6に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には少なくとも約99%の同一性を有する。それぞれのアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列は、当業者に公知である通り、それぞれの対応するタンパク質に関するBLASTサーチから同定することができる。
【0078】
本組成物及び方法の幾つかの実施形態では、破壊されているcrz1遺伝子は、配列番号1、2、3、4、5、又は6のアミノ酸配列に対して特定の程度の全アミノ酸配列同一性、例えば、配列番号1、2、3、4、5、又は6に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には少なくとも約99%の同一性を有するCrz1タンパク質をコード化する。
【0079】
本明細書に提供されるアミノ酸配列情報は、当業者が、任意の糸状菌におけるCrz1タンパク質及びCrz1タンパク質をコード化する核酸配列を同定したり、Crz1タンパク質の生成に影響を与えるためにcrz1遺伝子を適切に破壊したりすることを容易にする。配列番号1、2、3、4、5及び6をコード化するポリヌクレオチド配列は、当業者に公知である通り、GenBank又はJGIデータベースに見出すことができる。
【0080】
別の態様では、糸状菌細胞の形態を変化させるための方法が提供される。変異糸状菌細胞は、固体培地において変化した生育形態を示し、親細胞の生育に比べて深部培養で生育させたとき異なる粘度を有する細胞ブロス、及び細胞ブロスの粘度を生成する。
【0081】
場合により、この方法は、好適な遺伝学的方法を用いて親菌株においてcrz1遺伝子を破壊することを含み、ここで、好気性発酵の間に、破壊されたcrz1変異菌株は、深部培養における好気性発酵の間に、親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、減少した撹拌を必要とする、又は、予め選択された撹拌量で、増加した溶存酸素量を維持する細胞ブロスを生成する。このような方法は、上記の任意の方法で、また当業者に公知である他の方法でcrz1遺伝子を破壊するために用いることができる。好ましくは、crz1遺伝子の破壊は、一般に特定の核酸配列を標的としない化学的変異誘導とは対照的な配列特異的分子生物学技術を用いる遺伝子操作により行われる。しかし、化学的突然変異誘発を用いて満足のいく結果を得ることもできる。
【0082】
幾つかの実施形態では、低粘度菌株を生じさせる粘度を低下させる表現型を導入される親菌株は、高レベルで発現させることが意図される対象の遺伝子を既に含んでいる。この方法によると、本発明の方法は、予め存在する粘度を低下させる菌株に、対象タンパク質を生成させるために遺伝子を導入する必要がなくなる。それゆえに、本発明の方法は、対象の遺伝子を既に含む親菌株から、粘度を低下させる糸状菌細胞の変異菌株を作製するために使用することができる。
【0083】
VI.有用性
粘度を低下させる糸状菌株を使用した場合、深部培養時の酸素及び栄養素の分布が改善し、深部培養物を撹拌するのに必要とされるエネルギー量が低下し、培養物中に存在する細胞集団を増加させ、タンパク質生成を増加させることが知られている。更に、糸状菌の本変異菌株は、既に記載されている低粘度菌株よりも著しい効果を提供する。
【0084】
第一に、本菌株は、完全に定義されたゲノムを有するため、後続の遺伝子操作、相補的操作、交配及びこれらに類する操作に非常に適する。第二に、本菌株は、例えば、付随する粘度変化を生じさせる(1つ又は複数の)操作によってタンパク質を高レベル生成することができる。第三に、粘度を低下させる菌株は、高レベルに発現させることを意図したタンパク質(すなわち、対象タンパク質)を既に生成している、選択マーカーを既にコード化している、又は生成宿主において望ましい他の特徴を既に含んでいる親菌株を含む本質的に任意の親菌株から生成することができる。それゆえに、本発明の菌株及び方法は、対象タンパク質をコード化する遺伝子を、粘度を低下させる既存の生成菌株の中に輸送する必要がない。
【0085】
本発明の菌株及び方法は、糸状菌の深部培養における商業的に重要なタンパク質の生成に利用される。商業的に重要なたんぱく質としては、例えば、セルラーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、リアーゼ、プロテアーゼ、キナーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、オキシダーゼ、レダクターゼ、クロロフィラーゼ、ヒドロホビン、キモシン、炭酸脱水酵素、チミジル酸シンターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、チロシンキナーゼ、多剤耐性タンパク質(例えば、ABC P−gpタンパク質)、CAD(カルミバル−Pシンターゼ、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、ジヒドロオロターゼ)、トポイソメラーゼ、リボヌクレオチドレダクターゼ、並びに抗体、並びに糸状菌で発現することができる他の酵素及び非酵素タンパク質が挙げられる。このようなタンパク質は、工業、製薬、動物の健康、及び飲食品用途に好適であり得る。
【0086】
以下の番号付き段落は、本組成物及び方法の様々な態様及び実施形態について更に記載する。番号付き段落のそれぞれの主題は、以下に示す通り、単独で用いてもよく、任意の他の番号付き段落の主題と組合せて用いてもよい。
【0087】
1.一態様では、親菌株に由来する糸状菌の変異菌株であって、前記変異菌株が、変異菌株の細胞に、前記親菌株の細胞と比較して、変更された量の機能性Crz1タンパク質を生成量させる、遺伝子変化を含み、前記変異菌株の細胞が、深部培養における好気性発酵の間に、(i)親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、変更された撹拌量を必要とする、及び/又は、(ii)親菌株の細胞と比較して、予め選択された撹拌量で、変更された溶存酸素量を維持する、細胞ブロスを生成する、変異菌株を提供する。
【0088】
2.段落1に記載の幾つかの実施形態では、機能性Crz1タンパク質の前記変更された量が、減少された量であり、前記変異菌株は、深部培養における好気性発酵の間に、(i)親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、減少した撹拌を必要とする、及び/又は、(ii)親菌株の細胞と比較して、予め選択された撹拌量で、増加した溶存酸素量を維持する、細胞ブロスを生成する。
【0089】
3.段落1又は2に記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記遺伝子変化は、親菌株中に存在するcrz1遺伝子の破壊を含む。
【0090】
4.段落3に記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、crz1遺伝子の全て又は一部の欠失の結果である。
【0091】
5.段落3に記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、crz1遺伝子を含むゲノムDNAの一部の欠失の結果である。
【0092】
6.任意の請求項3に記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、crz1遺伝子の突然変異誘発の結果である。
【0093】
7.段落3〜6のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、部位特異的組み換えを用いて行われる。
【0094】
8.段落3〜7のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、前記crz1遺伝子の遺伝子座に選択マーカーを導入と共に行われる。
【0095】
9.段落1〜8のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記変異菌株は、機能的Crz1タンパク質を生成しない。
【0096】
10.段落1〜8のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記変異菌株は、Crz1タンパク質を生成しない。
【0097】
11.段落1〜10のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記変異菌株は、対象タンパク質をコード化する遺伝子を更に含む。
【0098】
12.段落1〜11のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、sfb3遺伝子の破壊を更に含む。
【0099】
13.段落1〜12のいずれかに記載の幾つかの実施形態では、sfb3遺伝子、seb1遺伝子、mpg1遺伝子、gas1遺伝子、及びtps2遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の破壊を更に含む。
【0100】
14.段落1〜13のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記変異菌株は、バイオマスの単位量当たり、親菌株と実質的に同量、又はそれ以上のタンパク質を生成する。
【0101】
15.段落1〜14のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記糸状菌は、チャワンタケ亜門の種である。
【0102】
16.段落1〜15のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記糸状菌は、トリコデルマ属の種である。
【0103】
17.段落1〜16のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記糸状菌は、トリコデルマ・リーゼイである。
【0104】
18.別の態様では、糸状菌細胞の変異菌株の作製方法であって、遺伝子変化を糸状菌細胞の親菌株に導入する工程であり、前記遺伝子変化が、前記親菌株の細胞と比較して機能性Crz1タンパク質の生成量を変更させる、該工程、それにより、深部培養における好気性発酵の間に、(i)前記親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、変更された撹拌量を必要とする、及び/又は、(ii)前記親菌株の細胞と比較して、予め選択された撹拌量で、変更された溶存酸素量を維持する、細胞ブロスを生成する、変異糸状菌細胞を生成する工程、を含む、方法を提供する。
【0105】
19.段落18の方法の幾つかの実施形態では、前記遺伝子変化は、機能性Crz1タンパク質の生成を低下させるか又は防ぎ、それにより、深部培養における好気性発酵の間に、(i)前記親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、減少した撹拌を必要とする、及び/又は、(ii)前記親菌株の細胞と比較して、予め選択された撹拌量で、増加した溶存酸素量を維持する、細胞ブロスを生成する、変異糸状菌細胞を生成する。
【0106】
20.段落18又は19に記載の方法の幾つかの実施形態では、前記遺伝子変化は、遺伝子操作を用いて親糸状菌細胞においてcrz1遺伝子を破壊することを含む。
【0107】
21.段落18〜20のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記遺伝子変化は、遺伝子操作を用いて親糸状菌細胞においてcrz1遺伝子を欠失させることを含む。
【0108】
22.段落18〜21のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記遺伝子変化は、部位特異的遺伝子組み替えを用いて行われる。
【0109】
23.段落18〜22のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、crz1遺伝子の遺伝子座に選択マーカーを導入と共に行われる。
【0110】
24.段落18〜23のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、sfb3遺伝子の破壊と共に行われる。
【0111】
25.段落18〜24のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、sfb3遺伝子、seb1遺伝子、mpg1遺伝子、gas1遺伝子、及びtps2遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の破壊と共に行われる。
【0112】
26.段落18〜25のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記変異菌株は、バイオマスの単位量当たり、親菌株と実質的に同量、又はそれ以上のタンパク質を生成する。
【0113】
27.段落18〜26のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記糸状菌は、チャワンタケ亜門の種である。
【0114】
28.段落18〜27のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記糸状菌は、トリコデルマ属の種である。
【0115】
29.段落18〜28のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記糸状菌は、トリコデルマ・リーゼイである。
【0116】
30.段落18〜29のいずれかに記載の方法の幾つかの実施形態では、前記親菌株は、対象タンパク質をコード化する遺伝子を更に含む。
【0117】
31.段落30に記載の方法の幾つかの実施形態では、前記対象タンパク質をコード化する遺伝子は、機能性Crz1タンパク質の生成を低下させるか又は防ぐ遺伝子変化を導入する前に、前記親菌株内に存在する。
【0118】
32.別の態様では、段落11に記載の変異菌株により生成される対象タンパク質を提供する。
【0119】
33.別の態様では、段落18〜31のいずれかに記載の方法によって生成される糸状菌の変異菌株を提供する。
【0120】
34.別の態様では、親菌株に由来する糸状菌の変異菌株であって、
(a)(i)深部培養において、前記親菌株の細胞と比較して、予め選択された溶存酸素量を維持するために、減少した撹拌の必要性、及び/又は、(ii)深部培養において、前記親菌株の細胞と比較して、予め選択された撹拌量で、増加した溶存酸素量の維持、をもたらす遺伝子変化、並びに
(b)(a)における遺伝子変化の前に前記変異菌株中に存在する対象タンパク質をコード化する遺伝子、を含む、変異菌株。
【0121】
35.段落34に記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記遺伝子変化は、前記親菌株に存在するcrz1遺伝子の破壊を含む。
【0122】
36.段落35に記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記crz1遺伝子の破壊は、前記crz1遺伝子の遺伝子座に選択マーカーを導入と共に行われる。
【0123】
37.段落35又は36に記載の方法の幾つかの実施形態では、crz1遺伝子の破壊は、sfb3遺伝子、seb1遺伝子、mpg1遺伝子、gas1遺伝子、及びtps2遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の破壊と共に行われる。
【0124】
38.段落35〜37のいずれかに記載の変異菌株の幾つかの実施形態では、前記Crz1遺伝子の破壊は、seb1遺伝子の破壊と共に行われる。
【0125】
本発明の菌株及び方法の、これらの及び他の、態様及び実施形態は、本説明を見た当業者にとっては、明白であろう。以下の実施例は、菌株及び方法を更に例示することを意図するものであり、限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0126】
実施例1.T.リーゼイの突然変異体Morph 77B7に由来するcrz1遺伝子の欠失
トリコデルマ・リーゼイのMorph菌株は、cbhI、cbhII、egII、及びegIVを含む4つの主なセルラーゼ遺伝子が欠失しているので、セルラーゼバックグラウンドの非存在下で又は低下したセルラーゼバックグラウンド下で他のタンパク質を発現させるのに特に適している。国際公開第05/001036号を参照されたい。
【0127】
A.TrGA生成菌株Morph 77B7
上記Morph菌株を、マーカーとしてamdSを用いて、CBH1プロモータの制御下でネイティブのトリコデルマ・グルコアミラーゼ遺伝子(TrGA)で予め形質転換した。次いで、2つのタンデムなコピーのグルコアミラーゼ(TrGA 29−9)を含有する突然変異体を単離し、ランダムな化学的突然変異誘発を用いて、突然変異体(77B7)を作製した。次いで、自然pyr2突然変異体誘導体を、5−フルオロ−オロチン酸(FOA)選択によって単離した。
【0128】
B.crz1破壊カセットの作製
トリコデルマ・リーゼイのcrz1(PID 36391)を、突然変異体Morph 77B7から欠失させた。
【0129】
crz1破壊カセットプラスミドpRATT261(
図1)を、標準的な分子生物学的手順を用いて調製した。このプラスミドは、3番目のエキソンの一部及び隣接する上流配列(左隣接領域)にわたるDNA配列に相同な2.6Kbの領域を有するDNA配列を含んでいた。また、プラスミド内には、crz1遺伝子の3番目のエキソンの一部及び隣接する下流配列(右隣接領域)にわたるDNA配列に相同な2.4Kbの領域を有するDNA配列も含まれていた。これら配列は、crz1遺伝子を標的とし、介在カセット配列で左隣接領域と右隣接領域との間のゲノムの領域、スカフォールド4の領域122703〜123270を置換するよう設計した。これら介在配列は、形質転換される菌株のゲノムにおける内因性のT.リーゼイpyr2に対する相同性を最小限に抑えるためにトリコデルマ・アトロビリデに由来するpyr2選択マーカーを含んでいた。pyr2選択マーカーの直上流は、マーカーの3’末端の直接反復複製であり、これは、マーカーのその後の喪失及び形質転換体/欠失体の有用なpyr2突然変異体誘導体の単離を促進した。このcrz1破壊カセットを、プライマーRPG486及びRPG489を用いてPCRによって増幅させた。複数のPCR反応物をプールし、後続工程で用いるために標準的な分子生物学的手順を用いて清浄化した。
【0130】
crz1遺伝子の核酸配列は、JGIデータベースから入手した:タンパク質ID:36391、名称:gw1.4.693.1、以下で入手可能:http://genome.jgi−psf.org/cgi−bin/dispGeneModel?db=Trire2&id=36391,(The Genome Portal of the Department of Energy Joint Genome Institute I.V.Grigoriev,H.Nordberg,I.Shabalov,A.Aerts,M.Cantor,D.Goodstein,A.Kuo,S.Minovitsky,R.Nikitin,R.A.Ohm,R.Otillar,A.Poliakov,I.Ratnere,R.Riley,T.Smirnova,D.Rokhsar,及びI.Dubchak.Nucleic Acids Res 2011 0:gkr947v1−gkr947)非翻訳領域はイタリック体で記載し、上流又は下流配列によって5’及び3’に隣接し、コード領域は太字で記載し、イントロンは小文字で記載する(配列番号13):
【0132】
C.菌株Morph 77B7 Δcrz1の作製
PEG媒介形質転換を用いて菌株Morph TrGA 77B7 Δpyr2をcrz1破壊カセットで形質転換し、ソルビトールを含有するVogel最少培地にプレーティングして、pyr2マーカーによって獲得されるウリジン原栄養性に基づいて候補を選択した。個々の形質転換体を単離し、Vogel最少培地に移すことによって増殖させた。PCR解析を用いて、相同組み換えによってcrz1遺伝子座にcrz1破壊カセットが挿入されている形質転換体を同定した。crz1遺伝子座におけるΔcrz1破壊カセットの相同挿入は、2対のプライマーを用いて予測されるサイズのDNA断片を増幅することによって確認した。プライマー対RPG492及びRPG253は、破壊カセット領域の5’末端の外側から始まって3’領域内で終わるDNA断片を増幅した。プライマー対RPG491及びRPG273は、破壊カセット領域の5’領域内から始まって3’末端の外側で終わるDNA断片を増幅した。crz1破壊カセットの相同挿入が確認された、生成された菌株をMorph 77B7 Δcrz1と命名した。
【0134】
上記手順から得られたMorph 77B7 Δcrz1は、Morph 77B7親よりも短いフィラメントを有する液体培養物中で形態が変化していることが観察された。液体培地では、Morph 77B7 Δcrz1突然変異体を含有する培養物は、また、Morph 77B7親を含有する培養物に比べて、生育中の溶存酸素レベルがより高いことを示した(表2)。
【0135】
菌株Morph 77B7及びMorph 77B7 Δcrz1を深部(液体)培養にて同様の条件下で生育させ、これらの生育表現型を比較した。簡潔には、両面及び底部にバッフルを有する3Lフラスコ内の500mLの最少培地に、各菌株の胞子を別々に添加した。30分間オートクレーブした後、滅菌60%グルコースを最終濃度が27.5g/Lになるように添加した。培養物を振盪インキュベータ内で34℃で48時間生育させた。
【0136】
48時間後、4.7g/LのKH
2PO
4、1.0g/LのMgSO
4・7・H
2O、4.3g/L(NH
4)
2SO
4及び2.5mL/Lの同様の微量元素溶液を含有する9.5Lの培地を含有する14Lの発酵槽に各フラスコの内容物を別々に加えた。これらの成分を共に121℃にて30分にわたって熱滅菌した。60%グルコース及び0,48% CaCl
2・2・H
2Oの溶液を別々にオートクレーブし、冷却し、最終濃度が75g/Lグルコース及び0.6g/L CaCl
2・2・H
2Oになるように発酵槽に添加した。培地を28% NH
3を用いてpH 3.5に調整し、全生育期間中温度を34℃で維持した。
【0137】
ヘッドスペースへの圧力の印加がなかった場合の溶存酸素(DO)プローブを100%に較正した(すなわち、0kPa(0bar)のゲージ圧、100kPa(1bar)の絶対圧)。ヘッドスペース内の圧力を次に70kPa(0.7bar)(ゲージ圧)に設定した。その後、播種培地を添加する前に酸素プローブは170%の読み取り値を示した。この発酵槽は、500rpmに初期設定された可変速度モーターにより混合を行う4枚ブレードタービンを2つ備えた。
【0138】
培養物が生育するにつれて、糸状菌菌糸の増殖によってブロスの粘度が上昇したことに少なくとも部分的に起因して、DO含量レベルは低下した。DO含量レベルが40%未満に低下した場合には、撹拌量を増加させて、DO含量レベルを40%に維持した。750rpmの撹拌に達したら、DO含量レベルを40%未満に低下させる。DO含量レベルが40%未満に低下しなかった場合には、発酵工程中の撹拌量を増加させる必要がなかったので、初期撹拌量は必要とされている量よりも速かった。グルコースが完全に消費された時点で、各発酵槽で生成されたバイオマスの量を測定したところ、両方の菌株について生成量が実質的に同じであったことが判明した。
【0139】
所与の撹拌量における各発酵槽のDO含量濃度、並びに、所与のDO含量レベルを維持するために必要とされる撹拌量は、複数の異なる菌株生育表現型により、複数の異なるブロスから得られる粘度の間接的尺度である。一方の変数(例えば、DO含量又は撹拌)のみを変更してもう一方を測定するのが理想であるが、各発酵槽において十分なバイオマスの生成を確保するためにDO含量レベルが40%未満に低下するのを防止して、それにより、異なる菌株の生育特性の中でもより有意な比較を可能にすることが望ましい。
【0140】
一般に、標的とするDO含量レベルを維持するには、撹拌量を増加させる必要があるが、撹拌量は、ブロスの粘度に相関する基準を提供する発酵槽タービンを駆動するモーターに供給される電力の量により推定することができる。具体的には、懸濁した培地を撹拌するのに必要とされる割増電力は、撹拌量の三乗に比例する。
【0141】
表2に示す通り、Morph 77B7 Δcrz1は、親Morph 77B7に比べてブロス粘度が低下した。バッチ生育相の最後に、全てのグルコースが消費されたとき、両方の菌株が同様のバイオマス濃度に達した。バッチ生育相の最後に到達するために、Morph 77B7対照菌株のsaw撹拌は、616rpmまで増加し、saw DO含量レベルは、わずか40%にまで低下した。菌株Morph 77B7 Δcrz1は、同じバイオマス濃度を得るために多くのエネルギーを必要としなかった。撹拌量は、500rpm超には増加せず、% DOは、100未満には低下しなかった。
【0143】
実施例2.Sfb3、Seb1、Mpg1、Gas1及びTps2生成のうちの少なくとも1つを変化させることによって生じる追加の効果
A.破壊されたsbf3における粘度低下
Sfb3遺伝子(Lst1としても知られる)は、かつては、出芽酵母(すなわち、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae))においてのみ特徴付けれていたが、この遺伝子は、小胞体からゴルジ体へタンパク質を運搬する輸送小胞を囲むCOPIIタンパク質コートに関連するタンパク質をコード化する。Sfb3及びSfb2は、Sec24のホモログであり、これらの遺伝子は全て、小胞の中に特定の積荷タンパク質をパッケージングすることと関連する。
【0144】
表3に示す通り、菌株29−9 Δsfb3由来のsfb3遺伝子の破壊により、生育相の最後に40%の溶存酸素を維持するために必要な最高撹拌量が低下した菌株が得られた。これら生育条件下で、40%のDOを維持し、且つバイオマスの量を生成するために、元の菌株29−9は、70H2(化学的に突然変異誘発された29−9)又は29−9 Δsfb3菌株よりも2.6倍多い力を必要としていた。菌株70H2及び29−9 Δsfb3は、同様の粘度特性を有しており、懸濁培養物中において同様のレベルの対象タンパク質(TrGA)を生成し、これは、粘度の低下した生育表現型が、sfb3遺伝子の破壊によって糸状菌に付与され得ることを示す。粘度を変化させるSfb3タンパク質における変化は、参照により本明細書に援用される2011年8月25日に国際出願第PCT/US2011/049164号として出願された2012年3月1日公開の国際公開第2012/027580 A1号に更に記載されている。
【0146】
B.破壊されたseb1における粘度低下
トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)に由来するSeb1は、STRE−エレメント結合タンパク質であり、seb1遺伝子は、酵母のmsn2/4遺伝子及びアスペルギルス・ニデュランスのmsnA遺伝子のオルソログであると考えられる。なお、seb1遺伝子は、酵母においてmsn2/4遺伝子を補完することはできないので、恐らく機能的ホモログではない(Peterbauer,C.ら((2002)Molecular Genetics and Genomics 268:223〜31)。Seb1は、浸透圧ストレス応答に関与しているが必須ではない。しかし、形態変化に関連していること、特に、seb1遺伝子が破壊されたときに低粘度表現型を生じさせることは見出されている。seb1破壊の詳細は、2011年4月22日出願の米国仮出願第61/478,160号に見出すことができ、この全文を参照することによって本明細書に援用する。
【0147】
表4に示す通り、菌株Morph1/1 Δku80に由来するseb1遺伝子の欠失により、ブロス粘度を低下させる菌株が得られた。バッチ生育相の最後に、全てのグルコースが消費されたとき、両方の菌株が同様のバイオマス濃度に達した。そこに達するために、対照菌株のsaw撹拌は、最高750rpmまで増加し、saw DOはわずか29%にまで低下した。seb1欠失菌株は、バイオマス濃度を得るためにそれほど多くのエネルギーを必要としなかった。撹拌量は、500rpmを超えて増加することなく、DOは55%までしか低下しなかった。
【0149】
C.破壊されたmpg1における粘度低下
mpg1遺伝子は、GTP:アルファ−D−マンノース−1−ホスフェートグアニルトランスフェラーゼをコード化する。mpg1遺伝子の過剰発現は、タンパク質のグリコシル化の初期段階で主な調節的役割を果たし得るGDP−マンノースレベルを上昇させる。
【0150】
表5に示す通り、MAGI 10−8g、mpg1破壊変異体菌株は、親MAGIに比べてブロス粘度が低下している。バッチ生育相の最後に、全てのグルコースが消費されたとき、両方の菌株が同様のバイオマス濃度に達した。そこに達するまでに、MAGI対照菌株のsaw撹拌は、最高750rpmまで増加し、saw DOは35%にまで低下した。菌株MAGI 10−8gは、同じバイオマス濃度を得るために多くのエネルギーを必要としなかった。撹拌量は、% DOが40%まで低下したとき、513rpmまでわずかに増加した。タンパク質生成は、MAGIに比べてMAGI 10−8gにおいて有害な影響を受けなかった(図示せず)。mpg1破壊の詳細は、2011年4月22日出願の米国仮出願第61/478,162号に見出すことができ、この全文を参照することによって本明細書に援用する。
【0152】
D.破壊されたgas1における粘度低下
菌類のβ(1,3)−グルカノシルトランスフェラーゼのGel/Gas/Phrファミリーは、主成分であるβ(1,3)−グルカンを加工することによって細胞壁の生合成において重要な役割を果たす(Popoloら,2008)。gas1(PID 22914)は、β−1,3−グルカンを破壊及び接合することができるGPI(及び/又はグルカン)アンカー型タンパク質であるβ−1,3−グルカノシルトランスフェラーゼをコード化する。5つを有するT.リーゼイを含む多くの真菌類のゲノムには複数のパラログが存在する。別の研究では、gas1遺伝子(又はアスペルギルス・フミガーツフにおいて知られているgel1遺伝子)の突然変異が、真菌類の細胞壁構造に影響を与え、また、形態変化、並びにカルコフロールホワイト、コンゴレッド、及びドデシル硫酸ナトリウムに対する過敏性を導き得ることが示されている(Schirawski,J.ら2005,Mouyna,I.ら2005)。
【0153】
トリコデルマ・リーゼイのMorph菌株は、cbhI、cbhII、egII、及びegIVを含む4つの主なセルラーゼ遺伝子が欠失しているので、セルラーゼバックグラウンドの非存在下で又は低下したセルラーゼバックグラウンド下で他のタンパク質を発現させるのに特に適している。国際公開第05/001036号を参照されたい。Morph菌株を、マーカーとしてamdSを用いて、CBH1プロモータの制御下でネイティブなトリコデルマ・グルコアミラーゼ遺伝子(TrGA)で予め形質転換した。次いで、2つのタンデムなコピーのグルコアミラーゼ(TrGA 29−9)を含有する突然変異体を単離し、ランダムな化学的突然変異誘発を用いて、突然変異体(77B7)を作製した。次いで、自然pyr2突然変異体誘導体を、5−フルオロ−オロチン酸(FOA)選択によって単離した。トリコデルマ・リーゼイのgas1(PID 22914)を、突然変異体Morph 77B7から欠失させた。
【0154】
PEG媒介形質転換を用いて菌株Morph TrGA 77B7 Δpyr2をgas1破壊カセットで形質転換し、ソルビトールを含有するVogel最少培地にプレーティングして、pyr2マーカーによって獲得されるウリジン原栄養性に基づいて候補を選択した。表6に示す通り、Morph 77B7 Δgas1は、親Morph 77B7に比べてブロス粘度が低下する。バッチ生育相の最後に、全てのグルコースが消費されたとき、両方の菌株が同様のバイオマス濃度に達した。バッチ生育相の最後に到達するために、Morph 77B7対照菌株のsaw撹拌は、616rpmまで増加し、saw DO含量レベルは、わずか40%にまで低下した。菌株Morph 77B7 Δgas1は、同じバイオマス濃度を得るために多くのエネルギーを必要としなかった(すなわち、撹拌におけるrpmが増加した)。撹拌量は、500rpm超には増加せず、% DOは、115未満には低下しなかった。タンパク質生成は、Morph 77B7に比べてMorph 77B7 Δgas1には負の影響を与えなかった(データは示さない)。gas1破壊の詳細は、2011年4月29日出願の米国仮出願第61,480,602号に見出すことができ、この全文を参照することによって本明細書に援用する。
【0156】
E.破壊されたtps1における粘度低下
遺伝子tps2は、二糖類であるトレハロースの合成に関与するトレハロース−ホスフェートホスファターゼをコード化する。トレハロースは、細胞質及びERにおける変性したタンパク質のリフォールディングを緩衝する、ストレスによって誘導される糖である(Singer,Mら1998,Simola,Mら2000)。この二糖類は、様々なストレスに応答して多様な生物によって大量に生成される。酵母では、トレハロースは、高温においてタンパク質を安定化させ、熱で損傷したタンパク質のリフォールディングに役立つ(Simola,Mら2000)。
【0157】
トリコデルマ・リーゼイのMorph菌株を上記の通り調製した。トリコデルマ・リーゼイのtps2(PID 48707)を、突然変異体Morph 77B7から欠失させた。PEG媒介形質転換を用いて菌株Morph TrGA 77B7 Δpyr2をtps2破壊カセットで形質転換し、ソルビトールを含有するVogel最少培地にプレーティングして、pyr2マーカーによって獲得されるウリジン原栄養性に基づいて候補を選択した。表7に示す通り、Morph 77B7 Δtps2は、親Morph 77B7に比べてブロス粘度が低下した。バッチ生育相の最後に、全てのグルコースが消費されたとき、両方の菌株が同様のバイオマス濃度に達した。バッチ生育相の最後に到達するために、Morph 77B7対照菌株のsaw撹拌は、616rpmまで増加し、saw DO含量レベルは、わずか40%にまで低下した。菌株Morph 77B7 Δtps2は、同じバイオマス濃度を得るために多くのエネルギーを必要としなかった。撹拌量は、500rpm超には増加せず、% DOは、110未満には低下しなかった。tps1破壊の詳細は、2011年4月29日出願の米国仮出願第61,480,629号に見出すことができ、この全文を参照することによって本明細書に援用する。
【0159】
上記の組成物及び方法は、理解を明瞭にする目的で例示及び実施例により幾分詳細に記載されてきたが、特定の変化及び修正がなされ得ることは当業者には明白であろう。したがって、本説明は、添付の特許請求の範囲により詳述される本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0160】
本明細書に引用された全ての公刊物、特許及び特許明細書は、これによって、あらゆる目的のためにこれらの全体が参照により組み込まれ、各個別の公刊物、特許又は特許明細書が特定的に及び個々に示されている場合には参照により同程度そのように組み込まれる。
【0161】
参考文献
以下の参考文献及び本明細書に引用される追加の参考文献は、これによって参照により組み込まれる。
【0162】
Kothe,G.及びFree,S.(1998)Fungal Genet.Biol 23:248〜258。
【0163】
Prokisch,H.,ら(1997)Gen.Genet.256:104〜114。
【0164】
Yoshimotoら(2002)J.Biol.Chem.227:31079〜31088。
【0165】
Lagorceら(2003)J.Biol.Chem.278:20345〜20357。
【0166】
Garciaら(2004)J.Biol.Chem.279:15183〜15195。
【0167】
Karababaら(2006)Mol.Microbiol.59:1429〜1451。
【0168】
Pardiniら(2006)J.Biol.Chem.281:40399〜40411。
【0169】
Munro,C.ら(2009)Mol.Microbiol.63:1399〜1413。
【0170】
Hughes,H.及びStephens,D.J.(2008)Cell.Biol.129:129〜51。
【0171】
Karhinen,L.ら(2005)Traffic 6:562〜74。
【0172】
Passolunghi,S.ら(2010)Microbial Cell Factories 9:7〜17。
【0173】
Peng,R.ら(2000)J.Biol.Chem.275:11521〜28。
【0174】
Roberg,K.J.ら(1999)J.Cell.Biol.145:659〜72。
【0175】
Shimoni,Y.ら(2000)J.Cell.Biol.151:973〜84。
【0176】
Turchini,A.ら(2000)J.Bacteriol.182:1167〜71。