【実施例】
【0036】
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
[薬剤溶出バルーンの作製または市販のバルーンの準備]
〈アミノ酸エステル溶液の調製例〉
(30mg/mL アルギニンエチルエステル溶液)
L−アルギニンエチルエステル二塩酸塩(CAS No.36589−29−4)(60mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、30mg/mL L−アルギニンエチルエステル溶液を調製した。
【0038】
(30mg/mL Nα−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル溶液)
Nα−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル塩酸塩(CAS No.2645−08−1)(60mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、30mg/mL Nα−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル溶液を調製した。
【0039】
(30mg/mL L−アスパラギン酸ジメチルエステル溶液)
L−アスパラギン酸ジメチルエステル塩酸塩(CAS No.32213−95−9)(60mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、30mg/mL L−アスパラギン酸ジメチルエステル溶液を調製した。
【0040】
(50mg/mL L−アスパラギン酸ジメチルエステル溶液)
L−アスパラギン酸ジメチルエステル塩酸塩(50mg)を量りとり、無水エタノール(0.5mL)およびRO水(0.5mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、50mg/mL L−アスパラギン酸ジメチルエステル溶液を調製した。
【0041】
(30mg/mL L−セリンエチルエステル溶液)
L−セリンエチルエステル塩酸塩(CAS No.26348−61−8)(60mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、30mg/mL L−セリンエチルエステル溶液を調製した。
【0042】
(70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液1)
L−セリンエチルエステル塩酸塩(140mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液を調製した。
【0043】
(70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液2)
L−セリンエチルエステル塩酸塩(140mg)を量りとり、RO水(1.5mL)および無水エタノール(0.5mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液を調製した。
【0044】
(70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液3)
L−セリンエチルエステル塩酸塩(140mg)を量りとり、RO水(2mL)に加えて溶解し、70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液を調製した。
【0045】
(30mg/mL グリシンエチルエステル溶液)
グリシンエチルエステル塩酸塩(CAS No.623−33−6)(60mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、30mg/mL グリシンエチルエステル溶液を調製した。
【0046】
(40mg/mL N−ベンジルグリシンエチルエステル溶液)
N−ベンジルグリシンエチルエステル塩酸塩(CAS No.6344−42−9)(80mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、40mg/mL N−ベンジルグリシンエチルエステル溶液を調製した。
【0047】
(40mg/mL L−アラニンエチルエステル溶液)
L−アラニンエチルエステル塩酸塩(CAS No.1115−59−9)(80mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、40mg/mL L−アラニンエチルエステル溶液を調製した。
【0048】
(30mg/mL L−バリンメチルエステル溶液)
L−バリンメチルエステル塩酸塩(CAS No.6306−52−1)(54mg)を量りとり、無水エタノール(1.5mL)およびRO水(0.3mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、30mg/mL L−バリンメチルエステル溶液を調製した。
【0049】
(50mg/mL L−バリンメチルエステル溶液)
L−バリンメチルエステル塩酸塩(CAS No.6306−52−1)(90mg)を量りとり、無水エタノール(1.5mL)およびRO水(0.3mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、50mg/mL L−バリンメチルエステル溶液を調製した。
【0050】
〈アミノ酸溶液の調製例〉
(40mg/mL L−アルギニン溶液)
L−アルギニン塩酸塩(CAS No.1119−34−2)(80mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびRO水(1mL)からなるエタノール/水混合液に加えて溶解し、40mg/mL L−アルギニン溶液を調製した。
【0051】
(70mg/mL L−セリン溶液)
L−セリン(CAS No.56−45−1)(70mg)を量りとり、RO水(1mL)に加えて溶解し、70mg/mL L−セリン溶液を調製した。
【0052】
〈パクリタキセル溶液の調製例〉
(20mg/mL パクリタキセル溶液)
パクリタキセル(CAS No.33069−62−4)(40mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびアセトン(1mL)からなるエタノール/アセトン混合液に加えて溶解し、20mg/mL パクリタキセル溶液を調製した。
【0053】
(40mg/mL パクリタキセル溶液1)
パクリタキセル(CAS No.33069−62−4)(80mg)を量りとり、無水エタノール(1mL)およびアセトン(1mL)からなるエタノール/アセトン混合液に加えて溶解し、40mg/mL パクリタキセル溶液1を調製した。
【0054】
(40mg/mL パクリタキセル溶液2)
パクリタキセル(160mg)を量りとり、テトラヒドロフラン(CAS No.109−99−9)(4mL)に加えて溶解し、40mg/mL パクリタキセル溶液2を調製した。
【0055】
(56mg/mL パクリタキセル溶液1)
パクリタキセル(336mg)を量りとり、テトラヒドロフラン(6mL)に加えて溶解し、56mg/mL パクリタキセル溶液1を調製した。
【0056】
(56mg/mL パクリタキセル溶液2)
パクリタキセル(224mg)を量りとり、テトラヒドロフラン(2.66mL)および無水エタノール(1.34mL)からなるTHF/エタノール混合液に加えて溶解し、56mg/mL パクリタキセル溶液2を調製した。
【0057】
(56mg/mL パクリタキセル溶液3)
パクリタキセル(336mg)を量りとり、テトラヒドロフラン(4mL)および無水エタノール(2mL)からなるTHF/エタノール混合液に加えて溶解し、56mg/mL パクリタキセル溶液3を調製した。
【0058】
(56mg/mL パクリタキセル溶液4)
パクリタキセル(224mg)を量りとり、テトラヒドロフラン(2mL)および無水エタノール(2mL)からなるTHF/エタノール混合液に加えて溶解し、56mg/mL パクリタキセル溶液4を調製した。
【0059】
(56mg/mL パクリタキセル溶液5)
パクリタキセル(448mg)を量りとり、無水エタノール(4mL)およびアセトン(4mL)からなるエタノール/アセトン混合液に加えて溶解し、56mg/mL パクリタキセル溶液5を調製した。
【0060】
〈グリセリン溶液の調製例〉
(50% グリセリン溶液1)
グリセリン(CAS No.56−81−5)(100μL)と、無水エタノール(100μL)とを混合し、50% グリセリン溶液1を調製した。
【0061】
(50% グリセリン溶液2)
グリセリン(500μL)と、無水エタノール(500μL)とを混合し、50% グリセリン溶液2を調製した。
【0062】
〈実施例1〉
(1)コーティング溶液1の調製
40mg/mL N−ベンジルグリシンエチルエステル溶液(25μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(150μL)と、無水エタノール(25μL)とを混合し、コーティング溶液1を調製した。コーティング溶液1中のパクリタキセルに対するベンジルグリシンエチルエステルの質量比(BnGly−OEt/PTX)は0.50であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。パクリタキセル量が約2μg/mm
2となるように、コーティング溶液1を拡張したバルーンにピペットでコートし、バルーンを乾燥させ、薬剤溶出バルーンを作製した。
【0063】
〈実施例2〉
(1)コーティング溶液2の調製
30mg/mL L−アルギニンエチルエステル溶液(50μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(60μL)とを混合し、コーティング溶液2を調製した。コーティング溶液2中のパクリタキセルに対するL−アルギニンエチルエステルの質量比(Arg−OEt/PTX)は0.63であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液2を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0064】
〈実施例3〉
(1)コーティング溶液3の調製
30mg/mL Nα−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル溶液(50μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(50μL)とを混合し、コーティング溶液3を調製した。コーティング溶液3中のパクリタキセルに対するNα−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステルの質量比(BzArg−OEt/PTX)は0.75であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液3を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0065】
〈実施例4〉
(1)コーティング溶液4の調製
30mg/mL L−アスパラギン酸ジメチルエステル溶液(50μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(75μL)とを混合し、コーティング溶液4を調製した。コーティング溶液4中のパクリタキセルに対するL−アスパラギン酸ジメチルエステルの質量比(Asp−DiOMe/PTX)は0.63であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液4を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0066】
〈実施例5〉
(1)コーティング溶液5の調製
30mg/mL グリシンエチルエステル溶液(50μL)と、40mg/mLパクリタキセル溶液1(110μL)とを混合し、コーティング溶液5を調製した。コーティング溶液5中のパクリタキセルに対するグリシンエチルエステルの質量比(Gly−OEt/PTX)は0.63であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液5を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0067】
〈実施例6〉
(1)コーティング溶液6の調製
30mg/mL L−セリンエチルエステル溶液(50μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(90μL)とを混合し、コーティング溶液6を調製した。コーティング溶液6中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液6を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0068】
〈実施例7〉
(1)コーティング溶液7の調製
30mg/mL L−アルギニンエチルエステル溶液(160μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(200μL)と、50%グリセリン溶液1(20μL)とを混合し、コーティング溶液7を調製した。コーティング溶液7中のパクリタキセルに対するL−アルギニンエチルエステルの質量比(Arg−OEt/PTX)は0.60であった。
コーティング溶液7は、L−アルギニンエチルエステル(Arg−OEt、アミノ酸側鎖の疎水性指標=−4.5)およびパクリタキセル(PTX)に加えて、さらにグリセリンを含有するコーティング溶液である。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液7を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0069】
〈実施例8〉
(1)コーティング溶液8の調製
50mg/mL L−アスパラギン酸ジメチルエステル溶液(90μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液2(240μL)とを混合し、コーティング溶液8を調製した。コーティング溶液8中のパクリタキセルに対するL−アスパラギン酸ジメチルエステルの質量比(Asp−DiOMe/PTX)は0.47であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液8を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0070】
〈実施例9〉
(1)コーティング溶液9の調製
70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液1(80μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液1(240μL)と、50% グリセリン溶液2(16μL)とを混合し、コーティング溶液9を調製した。コーティング溶液9中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液9を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0071】
〈実施例10〉
(1)コーティング溶液10の調製
70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液1(80μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液1(240μL)とを混合し、コーティング溶液10を調製した。コーティング溶液10中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液10を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0072】
〈実施例11〉
(1)コーティング溶液11の調製
70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液1(800μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液2(2400μL)とを混合し、コーティング溶液11を調製した。コーティング溶液11中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PT)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液11を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0073】
〈実施例12〉
(1)コーティング溶液12の調製
70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液1(600μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液5(1800μL)とを混合し、コーティング溶液12を調製した。コーティング溶液12中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液12を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0074】
〈実施例13〉
(1)コーティング溶液13の調製
70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液1(600μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液3(1800μL)とを混合し、コーティング溶液13を調製した。コーティング溶液13中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液13を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0075】
〈実施例14〉
(1)コーティング溶液14の調製
70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液2(500μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液4(1500μL)とを混合し、コーティング溶液14を調製した。コーティング溶液14中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液14を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0076】
〈実施例15〉
(1)コーティング溶液15の調製
70mg/mL L−セリンエチルエステル溶液3(500μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液4(1500μL)とを混合し、コーティング溶液15を調製した。コーティング溶液15中のパクリタキセルに対するL−セリンエチルエステルの質量比(Ser−OEt/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにコーティング溶液15を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0077】
〈比較例C1〉
(1)パクリタキセル溶液16の調製
40mg/mL L−アラニンエチルエステル溶液(60μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(50μL)とを混合し、パクリタキセル溶液16を調製した。パクリタキセル溶液16中のパクリタキセルに対するL−アラニンエチルエステルの質量比(Ala−OEt/PTX)は1.20であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにパクリタキセル溶液16を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0078】
〈比較例C2〉
(1)パクリタキセル溶液17の調製
30mg/mL L−バリンメチルエステル溶液(70μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(50μL)とを混合し、パクリタキセル溶液17を調製した。パクリタキセル溶液17中のパクリタキセルに対するL−バリンメチルエステルの質量比(Val−OME/PTX)は1.05であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにパクリタキセル溶液17を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0079】
〈比較例C3〉
(1)パクリタキセル溶液18の調製
40mg/mL アルギニン溶液(60μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液1(50μL)とを混合し、パクリタキセル溶液18を調製した。パクリタキセル溶液18中のパクリタキセルに対するL−アルギニンの質量比(Arg/PTX)は1.05であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにパクリタキセル溶液18を用いた点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0080】
〈比較例C4〉
(1)パクリタキセル溶液19の調製
20mg/mL パクリタキセル溶液をパクリタキセル溶液19とした。パクリタキセル溶液19は、アミノ酸エステルまたはアミノ酸を含有しない、パクリタキセル(PTX)溶液である。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液1の代わりにパクリタキセル溶液19を用いた点およびパクリタキセル量が約3μg/mm
2となるようにコートした点を除き、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0081】
〈比較例C5〉
(1)パクリタキセル溶液20の調製
50mg/mL L−バリンメチルエステル溶液(80μL)と、40mg/mL パクリタキセル溶液2(240μL)とを混合し、パクリタキセル溶液20を調製した。パクリタキセル溶液20中のパクリタキセルに対するL−バリンメチルエステルの質量比(Val−OMe/PTX)は0.42であった。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
調製したパクリタキセル溶液20を用いて、実施例1と同様にして薬剤溶出バルーンを作製した。
【0082】
〈比較例C6〉
市販品のバルーンカテーテルであるIN.PACT(Invatec社)を準備した。比較例C6のバルーンは、パクリタキセルが表面にコートされた薬剤溶出バルーンである。
【0083】
〈比較例C7〉
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、ナイロンエラストマー素材)を準備した。比較例C7のバルーンは、薬剤がコートされていない薬剤無塗布バルーンである。
【0084】
〈比較例C8〉
(1)コーティング溶液21の調製
70mg/mL L−セリン溶液(300μL)と、56mg/mL パクリタキセル溶液3(900μL)とを混合し、コーティング溶液20を調製した。コーティング溶液は白濁していた。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
コーティング溶液21は白濁していたため、バルーンにコートすることができなかった。従って、L−セリン溶液では、薬剤コーティング溶液を調製できないことが明らかとなった。
【0085】
実施例1〜15、比較例C1〜C5およびC8について、調製したコーティング溶液と、そのコーティング溶液に含まれる薬剤、アミノ酸エステル塩酸塩/アミノ酸、そのアミノ酸エステル塩酸塩またはアミノ酸の疎水性指標、低級アルコール(使用した場合に限る)および溶媒とを、表2に記載する。表2中、実施例/比較例の列の1〜15は実施例であり、C1〜C5およびC8は比較例である。また、薬剤の列の“PTX”はパクリタキセルを意味し、アミノ酸エステル/アミノ酸の列の“Bn−Gly−Et”はN−ベンジルグリシンエチルエステルを、“L−Arg−Et”はL−アルギニンエチルエステルを、“Bnz−Arg−Et”はNα−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステルを、“L−Asp−2Me”はL−アスパラギン酸ジメチルエステルを、“Gly−Et”はグリシンエチルエステルを、“L−Ser−Et”はL−セリンエチルエステルを、“L−Ala−Et”はL−アラニンエチルエステルを、“L−Val−Me”はL−バリンメチルエステルを、“L−Arg”はL−アルギニンを、“L−Ser”はL−セリンを、それぞれ意味する。また、低級アルコールの列の“Glycerine”はグリセリンを意味する。また、溶媒の列の“EtOH”はエタノールを、“RO−W”はRO水を、“THF”はテトラヒドロフランを、“AC”はアセトンを、それぞれ意味する。
【0086】
【表2】
【0087】
[バルーンにコートされたパクリタキセル量の測定]
実施例1〜15および比較例C1〜C5の薬剤溶出バルーンについて、バルーンにコートされたパクリタキセル量を、以下の手順により測定した。
【0088】
1.方法
調製した薬剤溶出バルーンをメタノール溶液に浸して、その後、10分間、振とう機を用いて振とうし、バルーンにコートされたパクリタキセルを抽出した。パクリタキセルを抽出したメタノール溶液の227nmでの吸光度を、紫外可視吸光光度計を用いて高速液体クロマトグラフィーにて測定し、バルーンあたりのパクリタキセル量([μg/balloon])を求めた。さらに、求めたパクリタキセル量と、バルーン表面積とから、バルーンの単位面積あたりのパクリタキセル量([μg/mm
2])を算出した。
【0089】
2.結果
表3に示す結果を得た。表3中、実施例/比較例の列の1〜15は実施例であり、C1〜C5は比較例である。また、表3中、「バルーン表面積」はバルーンの拡張時表面積(単位:mm
2)を、「バルーン上のPTX量」の「バルーンあたり」はバルーン1個あたりのパクリタキセル量(単位:μg/バルーン)を、「バルーン上のPTX量」の「単位面積あたり」はバルーンの表面積1mm
2あたりのパクリタキセル量(単位:μg/mm
2)を、それぞれ表す。
【0090】
【表3】
【0091】
表3に示すとおり、実施例1〜15および比較例C1〜C5のいずれも、バルーンにコートされたパクリタキセル量は、約2μg/mm
2(実施例1〜7、比較例C1〜C3)または約3μg/mm
2(実施例8〜15、比較例C4およびC5)であり、目標とするパクリタキセル量をバルーン表面にコートすることができた。
【0092】
[模倣血管を用いた薬剤コート層耐性評価]
実施例1〜7および比較例C1〜C4の薬剤溶出バルーンについて、病変患部に送達する過程でどれだけ薬剤コート層が脱落するかを評価するために、模倣血管を用いてデリバリー操作を行い、デリバリー後のバルーン上に残存するパクリタキセルを定量することで薬剤コート層耐性試験を行った。
【0093】
1.方法
(1)90度の角度がついている中空の模倣血管1を準備し、その中にガイディングカテーテル2(外径:5Fr.)を通した(
図1を参照)。
(2)ガイディングカテーテル2の内部を37℃で加温したPBSで満たした。
(3)作製した薬剤溶出バルーン(拡張時サイズ 直径3.0×長さ20mm)を、ラッピング機で折りたたんだ。
(4)ラッピング後のバルーンカテーテル3を、PBSで満たしたガイディングカテーテル内に挿入し、ガイディングカテーテルの出口に向かって1分間にわたりバルーン4のデリバリー操作を行った。
(5)ガイディングカテーテル内をデリバリー後のバルーンを回収し、液体クロマトグラフによってバルーン上に残存したパクリタキセル量(残存PTX量)を定量した。さらに、薬剤溶出バルーンにコートされたパクリタキセル量(搭載PTX量)と残存PTX量とから、バルーン上のパクリタキセルの残存率(PTX残存率)を算出した。
【0094】
2.結果
表4に示す結果を得た。表4中、実施例/比較例の列の1〜7は実施例であり、C1〜C4は比較例である。また、表4中、「搭載PTX量」は薬剤溶出バルーン1個当たりにコートされたパクリタキセル量(単位:μg/バルーン)を、「バルーン上残存PTX量」はデリバリー操作後のバルーン1個あたりに残存したパクリタキセル量(単位:μg/バルーン)を、「バルーン上PTX残存率」はデリバリー操作後にバルーン上に残存していたパクリタキセルの割合(単位:質量%)を、それぞれ表す。
【0095】
また、
図2に、模倣血管を用いた薬剤コート層耐性評価における、実施例1〜7および比較例C1〜C4の薬剤溶出バルーンのデリバリー操作後のバルーン上パクリタキセル残存率を表すグラフを示す。
図2において、横軸は実施例または比較例を表し、数字1〜7は、それぞれ、実施例1〜7を意味し、アルファベット付き数字C1〜C4は、それぞれ、比較例C1〜C4を意味する。また、縦軸はデリバリー操作後のバルーン上パクリタキセル残存率(単位:質量%)を表す。“mass %”は「質量%」の意味である。
【0096】
【表4】
【0097】
本評価系において、デリバリー操作後のバルーン残存薬剤量が60質量%以上である場合、デリバリー操作における薬剤保持能が良好であり、多くの薬剤を病変患部に送達することができる。一方、60質量%を下回ると、デリバリー操作で剥がれる薬剤量が多いため、安全面でも好ましくなく、また病変患部へ送達できる薬剤量が少ないので組織移行性も期待できない。したがって、本評価系では、デリバリー操作後にバルーンに残存するパクリタキセル量が60質量%以上であると送達過程において良好な薬剤保持能があると判断できる。
【0098】
表4に示すとおり、実施例1〜7で作製した薬剤溶出バルーンのデリバリー操作後のバルーンに残存したパクリタキセル量は、塗布量に対して60質量%以上であった。一方、比較例C1〜C4の薬剤溶出バルーンについては、バルーンに残存したパクリタキセル量は50質量%以下であった。以上の結果から、実施例1〜7で使用した、アミノ酸側鎖の疎水性指標が0以下であるアミノ酸エステル塩酸塩化合物は、パクリタキセルを均一にコートし、バルーン対するパクリタキセルの付着力を向上させ、デリバリー操作における薬剤保持能を高めることが明らかとなった。一方、アミノ酸側鎖の疎水性指標が1よりも大きく、比較的疎水性の高いアミノ酸のエステル塩酸塩化合物は、デリバリー操作での薬剤保持能を高めることは困難であった。また、比較例C3に示すように、側鎖の疎水性指標が0以下であってもエステル化していないアミノ酸の場合は、好ましい薬剤耐性能は得られなかった。
【0099】
[ウサギ腸骨動脈における薬剤組織移行性評価]
実施例8、比較例C5およびC6の薬剤溶出バルーンについて、以下の手順により、ウサギ腸骨動脈におけるバルーン拡張1時間後の血管へのパクリタキセル組織移行性を評価した。
【0100】
1.方法
(1)ウサギにガイドワイヤーをX線透視下で右腸骨動脈または左腸骨動脈まで挿入した。次いで、薬剤溶出バルーン(拡張時サイズ直径3.0×長さ20mm(拡張部))を、ガイドワイヤーに沿わせて、該腸骨動脈まで移行させた。
(2)7atmで1分間バルーンを拡張させた。その後、直ちに、バルーンを抜去した。
(3)バルーン拡張60分後に、血管(分枝より約3.5cmの範囲)を採取した。
(4)採取した血管にメタノールを添加し、ホモジネイトして、組織ホモジネイトとした。
(5)組織ホモジネイトを、高速液体クロマトグラフを用いて分析し、組織中パクリタキセル量(組織1gあたりのパクリタキセル量)を定量した。さらに、薬剤溶出バルーンにコートされたパクリタキセル量と、バルーン上に残存したパクリタキセル量とから、バルーン上のパクリタキセルの残存率(バルーン上PTX残存率)を算出した。
【0101】
2.結果
表5に示す結果を得た。表5中、実施例/比較例の列の8は実施例であり、C5およびC6は比較例である。また、表5中、「組織中PTX量」は血管組織1g中に含まれるパクリタキセル量(単位:μg/g組織)を、「組織へのPTX移行率」はバルーン上から血管組織中に移行したパクリタキセルの割合(単位:質量%)を、「バルーン上PTX残存率」はバルーン上に残存したパクリタキセルの割合(単位:質量%)を、それぞれ表す。
【0102】
また、
図3に、ウサギ腸骨動脈における薬剤組織移行性評価における、実施例8ならびに比較例C5およびC6の血管組織中パクリタキセル量を表すグラフを示す。
図3において、横軸は実施例または比較例を表し、数字8は実施例8を意味し、アルファベット付き数字C5、C6は、それぞれ、比較例C5、C6を意味する。また、縦軸は血管組織1g中に含まれるパクリタキセル量(単位:μg/g組織)を表す。“μg/g tissue”は「μg/g組織」の意味である。
【0103】
【表5】
【0104】
実施例8は、バルーンの単位面積あたりのパクリタキセル量が3.2μg/mm
2であり、比較例C6のIN.PACT(Invatec社製)の4.1μg/mm
2よりも少ない。しかし、表5および
図3に示されるように、血管内拡張60分後に回収された組織中パクリタキセル量は、組織1gあたり500μgを上回り、比較例C6を超え、パクリタキセルの良好な血管組織への移行を示唆した。一方、疎水性アミノ酸エステル塩酸塩(L−バリンメチルエステル、アミノ酸側鎖の疎水性指標=4.2)を用いた比較例C5の薬剤溶出バルーンは、バルーンへの残存量が高く、パクリタキセルの血管組織への移行率は低かった。以上のことから、アミノ酸側鎖の疎水性指標が0以下であるアミノ酸エステル塩酸塩とともにコートしたパクリタキセルは、効率よく薬剤が組織に移行し、良好な薬剤移行性を示すことが明らかとなった。
【0105】
[ウサギ腹大動脈における組織中薬剤滞留性評価]
実施例9および10の薬剤溶出バルーンについて、以下の手順により、ウサギ腹大動脈におけるバルーン拡張1時間後および24時間後の組織中パクリタキセル量を求め、薬剤滞留性を評価した。
【0106】
1.方法
(1)薬剤溶出バルーンをラッピング後、ステントをプレマウントした。ステントプレマウント後の薬剤溶出バルーンを用いた。
(2)ウサギにガイドワイヤーをX線透視下で腹大動脈まで挿入した後、ガイドワイヤーの位置を保持しながら、ガイディングカテーテルを抜去した。次いで、ステントプレマウントした薬剤溶出バルーン(拡張時サイズ直径3.0×長さ20mm(拡張部))を、ガイドワイヤーに沿わせながら、該腹大動脈まで移行させた。
(3)7atmで1分間バルーンを拡張させた。その後、直ちに、バルーンを抜去した。
(4)バルーン拡張1時間後および24時間後に、血管(分枝より約3.5cmの範囲)を採取した。
(5)採取した血管にメタノールを添加し、ホモジネイトして、組織ホモジネイトとした。
(6)組織ホモジネイトを、高速液体クロマトグラフを用いて分析し、バルーン拡張1時間後および24時間後の組織中パクリタキセル量(組織1gあたりのパクリタキセル量)を定量した。さらに、薬剤溶出バルーンにコートされたパクリタキセル量と、バルーン拡張1時間後および24時間後の組織中パクリタキセル量とから、バルーン拡張1時間後および24時間後のパクリタキセルの組織への移行率(組織へのPTX移行率)を算出し、バルーン上に残存したパクリタキセル量から残存率(バルーン上PTX残存率)を算出した。
【0107】
2.結果
表6に示す結果を得た。表6中、実施例の列の9、10は実施例である。また、表6中、「組織中PTX量」は血管組織1g中に含まれるパクリタキセル量(単位:μg/g組織)を、「組織へのPTX移行率」はバルーン上から血管組織中に移行したパクリタキセルの割合(単位:質量%)を、「バルーン上PTX残存率」はバルーン上に残存したパクリタキセルの割合(単位:質量%)を、それぞれ表す。さらに、「組織中PTX量」および「組織へのPTX移行率」の列の「1H」および「24H」は、それぞれ血管内拡張1時間後および24時間後を意味する。
【0108】
また、
図4に、ウサギ腹大動脈における組織中薬剤滞留性評価における、実施例9および10の、血管内拡張1時間後および24時間後の血管組織中パクリタキセル量を表すグラフを示す。
図4において、横軸は実施例を表し、数字9、10は、それぞれ、実施例9、10を意味する。また、縦軸は血管組織1g中に含まれるパクリタキセル量(単位:μg/g組織)を表す。凡例の「1H」および「24H」は、それぞれ、血管内拡張1時間後および24時間後を意味する。“μg/g tissue”は「μg/g組織」の意味である。
【0109】
【表6】
【0110】
表6に示されるように、実施例9および実施例10において、血管拡張1時間後および24時間後の血管組織中パクリタキセル量は、ほぼ同じ値を示し、時間とともに血管組織中のパクリタキセル量は大きく減衰しないことが示唆された。このことから、アミノ酸側鎖の疎水性指標が0以下であるアミノ酸エステル塩酸塩(L−セリンエチルエステル、アミノ酸側鎖の疎水性指標=−0.8)とパクリタキセルとを含む薬剤コーティング層は、薬剤が組織に移行した後も十分な量の薬剤が長時間にわたり組織内に滞留することが明らかとなった。薬剤コーティング層にグリセリンを含んでも十分な組織中薬剤滞留性を得ることができる。
【0111】
[ブタ冠動脈における有効性評価]
実施例9〜11および比較例C6の薬剤溶出バルーンならびに比較例C7の薬剤無塗布バルーンについて、ブタ冠動脈における有効性評価を、以下の手順により行った。
【0112】
1.方法
(1)ガイドワイヤーとともにガイディングカテーテルを8Fr.シースより挿入し、エックス線透視下でブタの左および右冠動脈開口部まで誘導した。
(2)各冠動脈の造影を行い(冠動脈:左冠動脈前下行枝(LAD)、右冠動脈(RCA)、左冠動脈回旋枝(LCX))、造影で得られた冠動脈の血管経をQCAソフトにより測定した。
(3)血管径に対しステントの径が1.2倍、かつ薬剤溶出バルーンの径が1.3倍になる部位を選択し、ステント留置以降の作業を実施した。
(4)選択した冠動脈内でステント(ステント径3mm×長さ15mm) を1.2倍になるように30秒間拡張した後、ステント留置用バルーンカテーテルを抜去した。ステント留置部位にて薬剤溶出バルーン(バルーン径:3mm×長さ20mm)を血管径に対し1.3倍になるように1分間拡張させた後、カテーテルを抜去した。
(5)薬剤溶出バルーン拡張終了後、ガイディングカテーテルおよびシースを抜去し、頚動脈の中枢側を結紮した後、頚部の創口は剥離した筋肉間を手術用縫合糸で縫合し、皮膚縫合用ステープラーで皮膚を縫合した。
(6)バルーン拡張28日後に、剖検を実施した。剖検時には冠動脈造影検査を行い、ステント留置部位の開存性(狭窄率)を確認し、血管径を測定した。バルーン拡張直後の平均血管径と28日後の平均血管径より狭窄率(%)を算出した。
【0113】
2.結果
表7に示す結果を得た。表7中、実施例/比較例の列の9〜11は実施例であり、C6およびC7は比較例である。
【0114】
また、
図5に、ブタ冠動脈における有効性評価における、実施例9〜11および比較例C6、C7の血管狭窄率を表すグラフを示す。
図5において、横軸は実施例または比較例を表し、数字9〜11は、それぞれ、実施例9〜11を意味し、アルファベット付き数字C6、C7は、それぞれ、比較例C6、C7を意味する。また、縦軸は血管の狭窄率(単位:%)を表す。
【0115】
【表7】
【0116】
比較例C7の、薬剤無処置対照として薬剤無塗布バルーンで処置した血管の狭窄率は35.0%であった。また、比較例C6の、市販の薬剤溶出バルーン(IN.PACT)で処置した血管の狭窄率は17.1%であった。
これに対して、実施例9〜11の本発明の薬剤放出バルーンで処置した血管の狭窄率は、それぞれ、16.1%、6.5%、7.3%であった。
以上のことから、アミノ酸側鎖の疎水性指標が0以下であるアミノ酸エステル塩酸塩(およびグリセリン)とパクリタキセルとを含む薬剤コーティング層は、良好な狭窄抑制効果を示すことが明らかとなった。
【0117】
本発明のコーティング組成物でコートした医療機器、例えば、バルーンカテーテルなど、を用いると、病変患部に送達する過程での薬剤コート層の脱落を抑えながら病変患部に効率よく薬剤を送達させることができ、しかも病変患部における医療機器からの迅速な薬剤放出を促し、薬剤の組織移行性を高めることができる。