【実施例】
【0032】
図1は、種々の要素クラスを有する対象7の核画像を生成する核撮像システムを模式的にかつ例示的に示す。本実施例では、対象7は、テーブル8上に横たわっている人間であり、種々の要素クラスは、例えば、空気、及び、骨、肺、軟組織等のような種々の組織タイプである。要素クラスは更に、種々の骨要素クラス、特に、皮質骨要素クラス及び骨髄要素クラスを有し得る。核撮像システム1は、核データを獲得する核データ獲得装置2を備える。本実施例では、核データ獲得装置2は、PETデータを獲得するよう適合させる。しかし、別の実施例では、核データ獲得装置は更に、シングル・フォトン・エミッション・コンピュータ断層撮影(SPECT)データのような他の核データを獲得するよう適合させることが可能である。
【0033】
核撮像システム1は更に、核データ獲得装置2によって獲得された核データに基づいてTOF−NAC核画像を再構成する核再構成装置30を更に備える。核データ獲得装置2及び核画像再構成装置30は、人間7の対象画像(実施例では、
図2に模式的に、かつ例示的に示したTOF−NAC PAT画像である)を供給する対象画像供給装置を形成する。
【0034】
核撮像システム1は、TOF−NAC PET画像を処理する処理装置3を更に含む。処理装置3は、TOF−NAC PET画像を平滑化する平滑化装置9を備える。別の実施例では、代替的に、又は更に、TOF NAC−PET画像を前処理するために、他の前処理工程を行うことが可能である。例えば、TOF−NAC PET画像の画像値は特定の値範囲に打ち切ることが可能であるか、又は、TOF−NAC PET 画像においてエッジ構造をエンハンスすることが可能である。処理装置3は、
図3に模式的にかつ例示的に示す、グラジエント画像を生成するためにTOF−NAC PET画像を差分化する差分化装置10を更に備える。任意的には、グラジエント画像について、絶対値を算出することが可能であり、結果として生じる画像を、平滑化装置9を使用することによって平滑化することが可能である。処理装置3は、種々の組織タイプ又は空気のような要素クラスに割り当てるべき画像領域を含むセグメント化画像を生成するために、平滑化し得るグラジエント画像(特に、グラジエント画像の絶対値)にウォーターシェッド・セグメント化を適用するセグメント化装置11を更に備える。
図4は、ウォーターシェッド・ラインを備えた、結果として生じるセグメント化画像を模式的に、かつ例示的に示す。
【0035】
処理装置3は、対象画像の画像値に応じて画像領域の特徴を判定する特徴判定装置12を更に備える。特徴判定装置12は、i)当該画像領域の画像値全てに依存する特徴である画像領域の領域特徴、及びii)画像領域間の境界に関係する境界特徴の少なくとも一方を判定するよう適合され、境界特徴は、a)当該境界によって隔てられたラベリングしている画像領域の領域特徴、及びb)当該境界上の画像値の少なくとも一方に依存する。好ましくは、特徴判定装置12を、当該画像領域の画像値の平均、当該画像領域の最小画像値、当該画像領域の最大画像値、及び当該画像領域内の画像値の標準偏差の領域特徴のうちの少なくとも1つを判定するよう適合させる。特徴判定装置12を、当該境界上の画像値の平均、当該境界上の画像値の最小画像値、当該境界上の画像値の最大画像値、及び当該境界上の画像値の標準偏差の境界特徴のうちの少なくとも1つを判定するよう更に適合させる。
【0036】
図5は、平均画像値特徴画像を例示的に示し、別々の平均画像値、特に別々の平均グレー値を有する画像領域を別々のグレー値で示す。
図6は、境界特徴画像を例示的に示し、この例では、境界特徴は、当該境界上の画像値の当該最小画像値である。
図6では、別々の境界特徴を有する境界を、別々のグレー値で示す。
【0037】
核撮像システム1は更に、MRデータを獲得するMRデータ獲得装置5と、獲得されたMRデータからMR画像を再構成するMR再構成装置6とを更に備える。核撮像システム1は、予備画像領域と要素クラスとの間の第1の予備割り当てを備える予備要素画像を生成する予備要素画像生成装置31を更に備える。本実施例では、予備要素画像生成装置31は、予備要素画像として第1の予備ラベル画像を生成するよう適合され、別々の要素クラスに割り当てられた第1の予備ラベル画像の画像領域は違ったふうにラベリングされる。予備要素画像生成装置31は、予備要素画像を生成するために、例えば、閾値化ベースのセグメント化及び/又はウォーターシェッド・ベースのセグメント化を行うよう適合させることが可能である。特に、予備要素画像生成装置31は、MR画像からグラジエント画像を判定し、ウォーターシェッド・セグメント化をグラジエント画像に適用し、結果として生じる画像領域、及び/又は、結果として生じる画像領域間の境界の特徴(これは、次いで、予備要素画像の別々の予備領域にラベルを割り当てるために使用することが可能である)を判定するよう適合させることが可能である。MRデータ獲得装置5、MR再構成装置6、及び予備要素画像生成装置31は、予備画像領域と要素クラスとの間の第1の予備割り当てを備える予備要素画像を供給する予備要素画像供給装置としてみなすことが可能である。
【0038】
別の実施例では、予備要素画像供給装置は更に、コンピュータ断層撮影装置又は超音波撮像装置のような別の撮像モダリティに基づいて予備要素画像を供給するよう適合させることが可能である。本実施例ではTOF−NAC PET画像である、人間7の対象画像を供給する対象画像供給装置及び/又は予備要素画像供給装置は記憶装置でもあり得、記憶装置には、予備要素画像及び/又は対象画像がそれぞれ、既に記憶されており、記憶装置から、記憶された予備要素画像及び/又は対象画像それぞれを、予備要素画像及び/又は対象画像それぞれを供給するために取り出すことが可能である。対象画像供給装置及び/又は予備要素画像供給装置は更に、別のシステムから当該画像を受信し、受信された予備要素画像及び/又は対象画像を供給する受信装置であり得る。
【0039】
処理装置3は更に、判定された特徴及び第1の予備割り当てに応じて、要素クラスの分布を示す、人間7の要素画像の画像領域に要素クラスを割り当てる割り当て装置13を更に備える。本実施例では、割り当て装置13は、判定された特徴に応じて画像領域と要素クラスとの間の第2の予備割り当てを判定するよう適合され、予め定められた割り当て規則が、第2の予備割り当てを判定するために、判定された特徴に適用される。結果として生じる第2の予備割り当ては第2の予備ラベル画像につながり、これは
図7に模式的に、かつ例示的に示す。
【0040】
図7では、参照符号32は空気を表し、参照符号33は人体を表す。よって、
図7に示す例では、第2の予備ラベル画像は、人体と空気との間の差分をもたらす。
【0041】
割り当て装置13は、予備要素画像供給装置によって供給された第1の予備割り当て、及
び第2の予備割り当てを
、要素クラスの分布を示す組み合わせた割り当てを生成するため、組み合わせるよう更に適合させる。本実施例では、MR画像に基づいて判定された第1の予備割り当て
と、TOF−NAC PET画像に基づいて判定された第2の予備割り当て
とが、要素クラスの分布を示す組み合わせた割り当てを生成するために組み合わせられる。組み合わせた割り当ては、第1の予備割り当て及び第2の予備割り当てに適用される予め定められた組み合わせ規則に基づいて生成される。割り当て装置13は、第1及び第2の予備割り当て、並びに供給された解剖学的情報に応じて、組み合わせた割り当てを生成するために、第1及び第2の予備割り当て、並びに人間7の供給された解剖学的情報に適用可能であるよう構成された組み合わせ規則を使用するよう更に適合させることが可能である。
【0042】
割り当て規則及び組み合わせ規則は校正測定によって判定され、組み合わせた割り当てが判定される一方、実際の割り当ては分かっており、割り当て規則及び組み合わせ規則は、判定された割り当てが、知られている割り当てをできる限り良好に満たすように予め定められる。
【0043】
一実施例では、2つ以上の要素クラスが、同じ要素を表すが、異なる確率を表し得る。例えば、第1の要素クラス「空気」は、当該画像領域が空気に関することが比較的確かである場合に画像領域に割り当てることが可能であり、第2の要素クラス「場合によっては空気」は、画像領域が空気であり得るが、画像領域が実際に空気に関係しているか否かが確かでない場合に、画像領域に割り当てることが可能である。例えば、別々の人間によるいくつかのケースを検討することが可能であり、特定の特徴の組について、特定の特徴の組が空気を正しく示したケースの割合を判定することが可能である。判定された割合が特定の閾値よりも大きい場合、例えば、90%よりも大きい場合、当該特徴の組は、要素クラス「空気」を規定するものとみなし得、判定された割合が特定の閾値よりも小さいが、更なる第2の閾値よりも大きい場合、当該特徴の組は、要素クラス「場合によっては空気」を規定するものとみなし得る。
【0044】
相応に、平均画像値特徴が特定の第1の閾値未満である場合、画像領域が要素クラス「空気」に割り当てられ、平均画像値特徴が第1の閾値よりも大きな特定の第2の閾値未満であり、第2の閾値よりも大きな第3の閾値未満である場合、画像領域が要素クラス「場合によっては空気」に割り当てられ得、平均画像値が第3の閾値を上回るが、第4の閾値未満である場合、画像領域が要素クラス「場合によっては組織」に割り当てられ得るように割り当て規則を予め規定することが可能である。更に、平均画像値特徴が第4の閾値を上回る場合、画像領域を要素クラス「組織」に割り当てることが可能である。
【0045】
一実施例では、第1の予備割り当て(すなわち、第1の予備ラベル画像)はMR画像に基づき、第2の予備割り当て(すなわち、第2の予備ラベル画像)はTOF−NAC PET画像に基づき、要素クラスが「組織」、「場合によっては組織」、「空気」、「場合によっては空気」である場合に、第1の予備ラベル画像及び第2の予備ラベル画像の少なくとも一方において、当該画像領域に要素クラス「組織」が割り当てられている場合、要素画像の画像領域が要素クラス「組織」に割り当てられ、第1の予備ラベル画像及び第2の予備ラベル画像の両方に応じて要素クラス「場合によっては組織」が当該画像領域に割り当てられている場合、要素クラス「組織」を要素画像の画像領域に割り当てることが可能であり、要素クラス「空気」が、他のケース全てにおいて要素画像の画像領域に割り当てられるように組み合わせ規則を規定することが可能である。
【0046】
更に、組み合わせ規則は、解剖学的情報を更に考慮するよう適合させることが可能である。例えば、要素クラスが「空気」、「場合によっては空気」、「組織」、及び「場合によっては組織」であり、第1の予備割り当て(すなわち、第1の予備ラベル画像)がMR画像に基づき、第2の予備割り当て(すなわち、第2の予備ラベル画像)がTOF−NAC PET画像に基づく場合に、第1の予備ラベル画像において、この画像領域が要素クラス「場合によっては空気」に割り当てられており、第2の予備ラベル画像において、この画像領域が要素クラス「場合によっては組織」に割り当てられており、画像領域が人間の腕に配置されている場合、要素画像の画像領域が要素クラス「組織」に割り当てられるように組み合わせ規則を規定することが可能である。画像領域が人間の腕に配置されているか否かを判定するために、一実施例では、人体の輪郭を近似するために円を人体の輪郭に収容することが可能であり、第2の予備ラベル画像を使用することにより、要素クラス「場合によっては組織」が割り当てられている画像領域は、当該画像領域が人体の輪郭を近似する円の外に配置されている場合、腕に配置されているものとみなされる。組み合わせ規則の更なる実施例によれば、TOF−NAC PET画像ベースの予備ラベル画像に応じて、画像領域が要素クラス「場合によっては組織」に割り当てられ、この画像領域がMR視野の外に配置されている(この画像領域が、人間の打ち切られた腕に関係することを示す)場合、要素画像における対応する画像領域が要素クラス「組織」に割り当てられ、この実施例では、第2の予備ラベル画像がMR画像に基づくものとする。
【0047】
割り当て装置13は、減衰マップを生成するために、要素画像の画像領域に減衰値を割り当てるために、割り当てられた要素クラスを使用するよう更に適合させる。本実施例では、1つ又は別々の組織タイプ及び空気のような別々の要素クラスと、別々の要素クラスの減衰値との間の割り当てを備えるデータベースが設けられ、割り当て装置は、データベースを使用することにより、減衰値を割り当てるよう適合させる。好ましくは、減衰値は、PET撮像において存在している放射の別々の組織タイプ及び空気の減衰を表す。例えば、減衰値は、511keVのエネルギを有する放射の減衰に対応する。
【0048】
核撮像システム1は、生成された減衰マップ、及び核データ獲得装置2によって獲得された核データに基づいて核画像を再構成する更なる核画像再構成装置14を備える。本実施例では、更なる核画像再構成装置14は、減衰マップ及び核データ獲得装置2によって獲得されたPETデータに基づいて減衰補正(AC)PET画像を再構成するよう適合させる。再構成された核画像は、ディスプレイ15上に示す。処理装置3は、対象画像供給装置及び予備要素画像供給装置とともに、対象の画像の画像領域と、要素クラスとの間の割り当てを生成する装置とみなすことが可能である。
【0049】
図8は、肺を示すTOF−NAC PET画像である更なる対象画像を模式的にかつ例示的に示す。更に、
図8に示すTOF−NAC PET画像を対象画像供給装置2、30によって供給することが可能である。
【0050】
図8に示すTOF−NAC PET画像は、平滑化装置9によって平滑化され、グラジエント画像を生成するために差分化装置10によって差分化され、画像に示す要素クラスに対応する画像領域を含むセグメント化画像を生成するためにウォーターシェッド・セグメント化アルゴリズムを使用してセグメント化装置11によってセグメント化される。特徴判定装置12は次いで、上述したようにTOF−NAC PET画像の画像値に応じて画像領域及び/又は画像領域間の境界の特徴を判定する。割り当て装置13は、画像領域と要素クラスとの間の第2の予備割り当てを画像領域の判定された特徴に応じて判定し、判定された第2の予備割り当ては、要素クラスの分布を示す組み合わせた割り当てを生成するために、供給された第1の予備割り当てと組み合わせることが可能である。
図9は、(要素クラス「肺」が割り当てられているライン35によって取り囲まれた画像領域までの)人間7の肺を取り囲むライン35、及びウォーターシェッド・セグメント化によって生じるウォーターシェッド・ライン34を模式的に、かつ例示的に示す。
【0051】
セグメント化装置11は好ましくは、例えば、本明細書及び特許請求の範囲に参照によって援用する、L. Vincent及びP. Soilleによる論文「Watersheds in Digital Spaces: An Efficient Algorithm Based on Immersion Simulations, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., 13(6), 583−598 (1991)」に開示されたような標準ウォーターシェッド・セグメント化を行うよう適合されている。セグメント化装置11は、セグメント化された画像を生成するために、当該供給画像の高画像値又は低画像値に沿ってウォーターシェッド・ラインを生成するよう適合させることが可能であり、差分化されたグラジエント画像及び/又は非差分化画像をセグメント化するよう差分化させるよう適合させる。
【0052】
ウォーターシェッド・アルゴリズムは、画像を地形の起伏とみなし、画像値は起伏における高度として解釈される。一般に、ウォーターシェッド・アルゴリズムは、起伏における「山の尾根」に沿って、すなわち、高画像値に沿って、ウォーターシェッド・ラインを規定する。セグメント化装置を、低画像値に沿ってウォーターシェッド・ラインを生成するよう適合させた場合、対応するウォーターシェッド・アルゴリズムは、起伏における谷に沿ってウォーターシェッド・ラインを規定する。低画像値に沿った前述のウォーターシェッド・ラインは、標準的なウォーターシェッド・アルゴリズムを相応に修正することにより、又は、反転画像値を有する反転画像に、標準的なウォーターシェッド・アルゴリズムを適用することによって算出することが可能である。
【0053】
以下では、対象の対象画像の画像領域と要素クラスとの間の割り当てを生成する方法を、
図10に示すフローチャートを参照して例示的に説明する。
【0054】
工程101では、対象画像供給装置2、30は人間7の対象画像を供給する。特に、核データ獲得装置2はPETデータを獲得し、核再構成装置30はTOF―NAC PET画像を再構成する。
【0055】
工程102では、平滑化装置9はTOF−NAC PET画像を平滑化し、工程103では、差分化装置10が、平滑化されたTOF−NAC PET画像を差分化し、グラジエントの絶対値を算出し、任意的には、グラジエント画像を生成するために、算出された絶対値を平滑化する。工程104では、セグメント化装置11は、要素クラスに対応する(特に、例えば、軟組織、骨、右肺、左肺、腸内ガス、空気等に対応する)画像領域を含むセグメント化画像を生成するために、グラジエント画像にウォーターシェッド・セグメント化を適用する。工程105では、特徴判定装置12は、画像領域及び/又は画像領域間の境界の特徴をセグメント化画像の画像値に応じて判定し、工程106では、予備要素画像供給装置5、6、及び31は、予備画像領域と要素クラスとの間の第1の予備割り当てを備える予備要素画像を供給する。特に、対応する予備ラベル画像が供給され、別々の要素クラスは、本実施例においては、MRデータ獲得装置5によって獲得されたMRデータからMR再構成装置6によって再構成されたMR画像に応じて予備要素画像を生成する予備要素画像生成装置を使用することにより、別々のラベルによって示される。
【0056】
工程107では、割り当て装置13は、画像領域と要素クラスとの間の第2の予備割り当てを、判定された特徴に応じて(すなわち、本実施例では、画像領域の判定された特徴に応じて(すなわち、本実施例では、ウォーターシェッド・セグメント化をTOF−NAC PET画像に適用することによって生成されている画像領域の判定された特徴に応じて)判定する。工程108では、
要素クラスの分布を示す組み合わせた割り当てを生成するために、第1の予備割り当て及び第2の予備割り当てが
、割り当て装置13によって組み合わせられる。特に、組み合わせた割り当てを生成するために、予め定められた組み合わせ規則が第1の予備割り当て及び第2の予備割り当てに適用される。工程109では、割り当て装置13は、
割り当てられた要素クラスに減衰値を割り当てることで、要素画像の画像領域に減衰値を割り当て、
減衰マップを生成する。工程110では、核画像再構成装置14は、獲得されたPETデータ及び減衰マップに基づいてAC PET画像を再構成する。
【0057】
図11は、対象の核画像を生成する核撮像方法の実施例を例示するフローチャートを示す。
【0058】
工程201では、核データは核データ獲得装置2によって獲得される。本実施例では、PETデータは核データ獲得装置2によって獲得される。工程202では、減衰マップは、工程102乃至109を参照して上述のように判定され、工程203では、核画像再構成装置14は核画像(本実施例では、AC PET画像)を核データ及び減衰マップに基づいて再構成する。
【0059】
対象の画像の画像領域と要素クラスとの間の割り当てを生成する装置及び方法は、説明している実施例では、TOF−NAC PET画像をセグメント化するための一般的な画像セグメント化手順を使用する。装置及び方法は好ましくは、PET再構成における画像品質を向上させるために、関連した減衰値を有する解剖学的構造を含む画像領域を分離するよう適合される。
【0060】
図2は、一般的なTOF−NAF PET画像を示す。強度閾値の適用などの簡単な画像セグメント化手法は機能しないことがあり得る。TOF−NAC PET画像の強度がスライスにわたって変わり得るか、又は、スライスが、低強度組織値と区別することが可能でない、より強い散乱を表し得るからである。更に、TOF−NAC PET画像は、CT画像のような既知の絶対強度値を示す訳でない。したがって、強度閾値は、TOF−NAC PET画像毎に個別に判定される必要がある。
【0061】
対象の画像の画像領域と、要素クラスとの間の割り当てを生成する装置及び方法は、好ましくは、TOF−NAC PET画像のグラジエント画像を算出し(
図3)、グラジエント画像にウォーターシェッド変換を適用する(
図4)ことにより、変動するか、又は未知の画素強度の下での画像セグメント化の問題点を解消するよう適合させる。減衰マップ生成の特定の目的に関連する領域は、予め定められた規則を使用することによって、(すなわち、特に、近傍領域との関係、並びに、領域及び/又は境界特徴にわたるヒューリスティックスによって、)識別することが可能である。装置及び方法は、
図9に示すような肺及び他の組織のような別々の人体構造間を区別するよう適合させることが可能である。
【0062】
上述した実施例では、供給された対象画像は好ましくはTOF−NAC PET画像であるが、他の実施例では、供給された対象画像は更に、NAC PET画像又はMR画像のような別の画像であり得る。特に、対象画像供給装置は、人間7の対象画像としてNAC PET画像を供給するよう適合させることが可能である。例えば、核データ獲得装置2はPETデータを獲得するよう適合させることが可能であり、核再構成装置30は、減衰情報を考慮することなく、TOF情報を考慮することなく、再構成されている、NAC PET画像(すなわち、PET画像)を再構成するよう適合させることが可能である。前述のNAC PET画像は
図12に、模式的に、かつ例示的に示す。
【0063】
NAC PET画像をセグメント化するための簡単な画像セグメント化手法は、強度閾値の適用であり得る。結果として生じる考えられる画像は
図13に模式的に、かつ例示的に示す。しかし、強度閾値の適用は多くの場合、機能しない。NAC PET画像が通常、人間の形状の凸包と同様な輪郭を示し、それにより、人体及び腕のような近傍の構造の差分化は可能でない。更に、NAC PET画像の画像値の強度は、未知であり、かつ変動する高さを有する。更に、一般に、よりロバストにエッジを検出する「カニー・エッジ」フィルタをNAC PET 画像に適用することが可能である。結果として生じる対応する画像を
図14に模式的に、かつ例示的に示す。「カニー・エッジ」フィルタの適用は、検出されたエッジが多くの場合、閉輪郭に合流せず、よって、エッジが、取り囲まれた領域を画定するために更なる後処理によって何らかのやり方で外挿される必要があるという欠点を有する。
【0064】
対象の画像の画像領域と、要素クラスとの間の割り当てを生成する装置及び方法は、NAC PET画像にウォーターシェッド・セグメント化(すなわち、ウォーターシェッド変換)を適用することによる、不完全な輪郭という問題点を解消するよう適合させることが可能である。よって、一実施例では、セグメント化装置11は、ウォーターシェッド変換を適用することにより、画像領域にNAC PET画像をセグメント化するよう適合させる。ウォーターシェッド・ライン36を有する、結果として生じる画像を
図15に模式的に、かつ例示的に示す。減衰マップ生成の特定の目的に関連した領域は、特に近傍領域に関して、領域及び/又は境界特徴にわたるヒューリスティクスによって識別することが可能である。よって、対象画像供給装置はNAC PET画像を供給するよう適合させることが可能であり、平滑化装置は、供給されたNAC PET画像を平滑化し、NAC PET画像に対する更なる前処理工程を任意的に行うよう適合させることが可能である。次いで、セグメント化装置は、ウォーターシェッド・アルゴリズムを適用することにより、NAC PET画像を、より小さな領域にセグメント化することが可能である。本実施例では、グラジエント画像は、ウォーターシェッド・アルゴリズムを適用する前に生成される訳でない。次いで、特徴判定装置は、上述したように、領域及び/又は境界特徴を判定し得る。例えば、画像領域毎に、当該画像領域の画像値の平均を判定することが可能であり、それにより、
図16に模式的にかつ例示的に示すような平均画像値特徴画像が結果として生じ、別々の平均を有する画像領域は別々のグレー値と伴って示す。
図17は、境界特徴画像を例示的にかつ模式的に示し、別々の最小画像値を有する境界を別々のグレー値で示す。
【0065】
次いで、割り当て装置は、画像領域と要素クラスとの間の第2の予備割り当てを判定された特徴に応じて判定する。特に、判定された特徴にわたる論理付けにより、空気又は人体に割り当てられるように画像領域がラベリングされる。好ましくは、割り当て規則は、割り当て手順を行うために、判定された特徴に適用される。本実施例では、割り当て規則は、NAC PET画像の特徴について判定され、前述の割り当て規則は校正測定によって判定することが可能であり、特徴はNAC PET画像に基づいて判定され、NAC PET画像における要素クラス(特に、空気及び組織の要素クラス)の分布は知られており、割り当て規則は、判定された特徴に対する割り当て規則の適用によって生じる割り当てが、要素クラスに対する画像領域の既知の割り当てをできる限り良好に満たすように予め定められる。結果として生じる画像は、
図18に概略的にかつ例示的に示す。
図18では、参照符号37は組織を表し、参照符号38は空気を表す。
【0066】
第2の予備割り当て(すなわち、本実施例では、第2の予備ラベル画像)は、要素クラスの分布を示す組み合わせた割り当てを生成するために予備要素画像供給装置によって供給される要素クラスと予備画像領域との間の第1の予備割り当てによって組み合わせられる、
図18に示すような組織及び空気ラベルを供給する。
【0067】
第1の予備割り当ては、CT画像、MR画像、NAC PET画像、TOF−NAC PET画像のうちの少なくとも一方に基づき得る。よって、一実施例では、第1の予備割り当ては、NAC PET画像及びTOF−NAC PET 画像の少なくとも一方に基づき得、第2の予備割り当ては、NAC PET画像及びTOF−NAC PET画像の他方に基づき得る。すなわち、両方の予備割り当てを同じ獲得PETデータに基づいて生成することが可能である。
【0068】
更に、本実施例では、割り当て装置は、減衰マップを生成するために、要素画像の画像領域に減衰値を割り当てるために、割り当てられた要素クラスに減衰値を割り当てるよう適合させることが可能であり、核画像再構成装置は、獲得されたPETデータ及び減衰マップに基づいてAC PET画像を再構成するよう適合させることが可能である。
【0069】
MR画像に基づいて予備割り当てを供給するために、供給されたMR画像は好ましくは、平滑化され、グラジエント画像を生成するために差分化され、グラジエント画像にウォーターシェッド・セグメント化を適用することによってセグメント化される。領域及び/又は境界特徴が次いで、好ましくは判定され、判定された特徴は、判定された特徴に、対応する割り当て規則を適用することにより、予備割り当てを生成するために使用される。一実施例では、ウォーターシェッド・セグメント化は更に、MR画像をセグメント化するために非差分化MR画像に適用することが可能である。
【0070】
PETスキャナは一般に、PET/CTシステムとしてCTスキャナと組み合わせて提供される。対照的に、複合PET/MRシステムは、余分な線量がないこと、及び軟組織のコントラストがより良好であることという利点を有する。更に、複合PET/MRシステムは、PETデータ及びMRデータを同時に獲得するよう適合させることができる。
【0071】
複合PET/CTシステム、及び複合PET/MRシステムも、解剖学的構造について、単独のPETシステムよりも高精度の情報を提供し、放射減衰特性を、別々の人体領域について導き出すことが可能であり、特に、減衰マップはCT画像及びMR画像それぞれから導き出すことが可能である。PET/CTシステムの場合、減衰係数は、ハンスフィールド値の関数である。PET/MRシステムの場合、より高度な画像処理によって、(例えば、筋肉、脂肪、骨、肺のような別々の組織クラスへの画像セグメント化、及び、組織クラス毎の(すなわち、別々の要素クラスについての)標準減衰値の挿入によって、)得られる。
【0072】
減衰マップを導き出すためのCT及びMR画像の使用における制限は、限定された横断FOVであり、それにより、特に、大きな人間の場合に、周辺で、CT画像及びMR画像それぞれを打ち切られ得る。前述の制限はMR内で、より厳しい。横断FOVは通常、主に、再構成FOVの境界近くの信号劣化により、CTシステム内よりも小さいからである。更に、場合によっては、CR画像又はMR画像は例えば、金属インプラント又はポートが理由で歪曲させられ、これは、一部の画像領域について、減衰値を正しく導き出すことを不可能にしている。打ち切られた、又は他のやり方で歪曲させられたCT画像又はMR画像から導き出される誤った減衰マップがAC PET画像を再構成するために使用される場合、再構成AC/PET画像は不正確になり、かつ/又はアーチファクトを含み得る。
【0073】
対象の画像の画像領域と要素クラスとの間の割り当てを生成する装置及び方法は、特に、TOF情報を含まないNAC PET画像、及び/又はTOF情報を含むTOF−NAC PET画像と合成することにより、減衰情報を利用することなく再構成された1つ又は複数のPET画像と合成することにより、不完全であるか、又は歪曲させられたCT画像又はMR画像から得られる誤った減衰マップにより、不正確なPET画像という問題点を解消するよう適合させることが可能である。NAC PET画像及び/又はTOF−NAC PET画像は通常、CT画像又はMR画像において欠落している幾何学的構造を示す。NAC PET画像及びTOF−NAC PET画像は別々の解剖学的詳細を含み得、互いに使用し、CT又はMR画像と合成し得る。対象の画像の画像領域と、要素クラスとの間の割り当てを生成する装置及び方法は、好ましくは、それぞれの画像をセグメント化し、セグメント化されたそれぞれの画像をマージすることにより、NAC PET画像及びTOF−NAC PET画像の少なくとも一方とCT画像又はMR 画像を合成するよう適合させる。例えば、装置及び方法は、NAC PET画像又はTOF−NAC PET画像から導き出されたラベルにより、MRラベル画像における誤った空気組織割り当てを置き換えるよう適合させることが可能である。減衰マップは次いで、結果として生じるマージされたラベル画像から導き出される。
【0074】
よって、一実施例では、対象の画像の画像領域と、要素クラスとの間の割り当てを生成する装置及び方法は、まず、NAC PET画像及び/又はTOF−NAC PET画像を生成するよう適合させることが可能であり、次いで、NAC PET 画像及び/又はTOF−NAC PETがセグメント化される。画像領域間の境界及び/又はTOF−NAC PET画像及び/又はNAC PET画像の結果として生じるセグメント化画像領域について特徴が判定され、判定された特徴に基づいて、少なくとも空気又は組織が、場合によっては、肺組織などの組織タイプの差分化を伴って、当該画像領域の画像要素それぞれ、特に、画素又はボクセルそれぞれに割り当てられる。前述の割り当ては第2の予備割り当てを形成する。更に、CT画像又はMR画像を供給し、画像領域にセグメント化することが可能であり、結果として生じるセグメント化画像領域は、画像要素それぞれが少なくとも空気又は組織に割り当てられるように少なくとも空気又は組織に割り当てることが可能であり、可能であれば、別々の組織タイプ(肺組織など)の更なる差分化を提供し得る。前述の割り当ては、a)CT又はMR画像、及びb)NAC PET又はTOF−NAC PET画像に基づいて生成された第1の予備ラベル画像及び第2の予備ラベル画像を画定する第1の予備割り当てを形成する。
【0075】
第1の予備割り当てに対応する第1の予備ラベル画像は、一般に、第2の予備ラベル画像とは別のサイズ及び分解能を有し、これは、NAC PET画像又はTOF−NAC PET 画像に基づいて生成される。したがって、割り当て装置は、第1の予備ラベル画像を再フォーマッティングするよう適合させることが可能であり、よって、第1の予備割り当てを第2の予備ラベル画像のサイズ及び分解能に、よって、第2の予備割り当てのサイズ及び分解能に再フォーマッティングするよう適合させることが可能である。
【0076】
第1の予備割り当て及び第2の予備割り当ては、軟組織、肺、筋肉、脂肪、骨、空気等のような要素クラスの分布を示す、マルチソース・ラベル画像(すなわち、人間の要素画像)に第2の予備ラベル画像からのラベルと、第1の予備ラベル画像からのラベルをマージすることにより、要素クラスの分布を示す組み合わせた割り当てを生成するために組み合わせることが可能である。より高度な論理付けは、上述するように、解剖学的構造(すなわち、解剖学的情報)についての事前知識を含み得る。
【0077】
割り当て装置は次いで、好ましくは、マルチソース減衰マップを生成するために、画像領域に対するラベルに応じて、適切な減衰値を割り当てるよう更に適合させる。第1の予備割り当てが、第1の予備割り当てに応じてラベリングされたマルチソース減衰マップの画像領域についてCT画像に基づく場合、前述の画像領域に割り当てられた減衰値は、好ましくは、当初のCT画像の強度値から直接得られた減衰値である。マルチソース減衰マップは好ましくは、ACT PET画像を再構成するために核画像再構成装置によって使用される。
【0078】
対象の画像領域と、要素クラスとの間の割り当てを生成する装置及び方法は、特に、走査下にある対象が、CTにおいて高精度で再構成するには大きすぎる場合に、PET/CT撮像用に適合させることが可能である。上記装置及び方法は、特に、MR再構成FOVに近い対象の部分が目に見えない場合に、PET/MR撮像用に適合させることも可能であり、上記装置及び方法は、高精度の減衰マップの生成を歪曲させる金属インプラントにより、画像部分がアーチファクトを含む場合にPET/CT又はPET/MR撮像用に適合させることが可能である。
【0079】
上述の実施例では、予備画像領域と要素クラスとの間の第1の予備割り当て及び第2の予備割り当て(すなわち、対応する2つの第1の予備ラベル画像及び第2の予備ラベル画像)は、要素画像を生成するために組み合わせられている。更に、他の実施例では、3つ以上の予備割り当て(すなわち、3つ以上の予備ラベル画像)を、最終的に合成された要素画像を生成するために組み合わせることが可能である。
【0080】
開示された実施例に対する他の変形は、図面、明細書、及び特許請求の範囲を検討することにより、本特許請求の範囲に記載の発明を実施するうえで当業者が理解し、実施することが可能である。
【0081】
特許請求の範囲では、「comprising」の語は他の構成要素又は工程を排除するものでなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数形を排除するものでない。
【0082】
単一のユニット又は装置は、特許請求の範囲記載のいくつかの事項の機能を満たし得る。特定の方策が互いに別々の従属請求項に記載されているということは単に、前述の方策の組み合わせを有利に使用することが可能でないということを示している訳ではない。
【0083】
平滑化処理、差分化、セグメント化、特徴判定、割り当て手順、第1の予備割り当て及び第2の予備割り当ての組み合わせ、特に、1つ又はいくつかのユニット又は装置によって行われる第1の予備ラベル画像及び第2の予備ラベル画像等の組み合わせは、何れかの他の数のユニット又は装置によって行うことが可能である。例えば、工程102乃至109は、単一のユニット、又は何れかの他の数の別々のユニットによって行うことが可能である。核撮像方法による核撮像システムの制御、及び/又は、対象の画像の画像領域と要素クラスとの間の割り当てを生成する方法による対象の画像の領域と要素クラスとの間の割り当てを生成する装置の制御、並びに/又は、算出及び割り当て手順は、コンピュータ・プログラムのプログラム・コード手段として、かつ/又は、専用ハードウェアとして実現することが可能である。
【0084】
コンピュータ・プログラムは、光記憶媒体上又はソリッドステート媒体上などの適切な媒体上に記憶/配布し、他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として供給し得るが、インターネット、又は他の有線若しくは無線通信システム経由などの他の形態でも配布し得る。
【0085】
特許請求の範囲記載の参照符号はいずれも、その範囲を限定するものと解すべきでない。
【0086】
本発明は、対象の画像の画像領域と、要素クラスとの間の割り当てを生成する装置に関する。装置は、供給された対象画像の画像値、及び供給された第1の予備割り当てに応じて判定される領域及び/又は境界特徴に応じて要素クラスの配布を示す対象の要素画像の画像領域に要素クラスを割り当てる割り当て装置を備える。よって、要素クラスへの割り当てを備えた、結果として生じる要素画像は、必ずしも、供給された対象画像のみに基づいている訳でない一方、供給された予備割り当てにも基づき得る。要素画像によって規定された割り当ての品質が、供給された対象画像の制限によって制限される場合、供給された画像の前述の制限は、結果として生じる要素画像の品質を向上させることが可能であるように予備割り当てによって補償し得る。