(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンパクトであり、低減された寸法、特に低減された設置面積を有する抽出ユニットについての需要が増大している。
本発明は、上述した必要性に対処する抽出ユニットに関する。本発明は、抽出ユニットを含む、人間が消費するのに適した飲料を製造するためのマシンに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、飲料を製造するための抽出ユニットが提供される。この抽出ユニットは、少なくとも2つの抽出チャンバ部を有し、一方の抽出チャンバ部が他方の抽出チャンバ部に対して開いた位置から閉じた位置に且つその逆も同様に移動可能にされる抽出チャンバと;カプセル挿入開口部から抽出位置にカプセルを案内するためのカプセル案内部であって、このカプセル案内部が、カプセルのフランジ又はリムに摺動可能に係合するように構成され且つ配置された一対のカプセル案内チャネルを有するカプセル案内部と;抽出チャンバを閉じる前にカプセルを抽出位置に保持するとともに、抽出サイクルが完了した後に抽出チャンバ部を互いに離間させて移動させるときにカプセルの係合を解除するように、各カプセル案内チャネルの下端部に配置されたそれぞれのカプセル保持部材と;を備えており、両方の抽出チャンバ部は、カプセルを受け取るために、開いた位置から閉じた抽出位置に且つその逆も同様にカプセル案内部に対して移動可能であり、制御部材が、例えば抽出サイクルの完了時に、カプセル保持部材を間隔を開けるように構成され且つ配置されており、それによって、抽出チャンバ部が開いた位置に向けて移動するときに、使用済みカプセルが、カプセル保持部材から放出され、案内チャネルから放出されることになる。
【0008】
この構成によって、省スペースを必要とする特にコンパクトな抽出ユニットがもたらされ、それによって、マシンの寸法、ここでは抽出ユニットを、小さく配置することが可能になり、すなわち、より多くの空間が、追加のマシン部品のために利用可能となる。
【0009】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の文脈において、用語「抽出チャンバ」は、必ずしも密封チャンバとして理解されるものではない。むしろ、抽出チャンバは、カプセル又はカートリッジが配置された容積を規定するとともに、それ自体が密閉されていないようなチャンバ部によって形成され得る。この場合には、抽出チャンバ部は、加圧水がカプセルを通じて流れるときに、カプセルを保持するとともにカプセルの破裂を防止している。また一方、チャンバ部は、必ずしもカプセルの周りに防水シールを提供することなくカプセルを取り囲んでいる。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、制御部材は、各保持部材用のカムプロファイルを有している。カムプロファイルは、抽出チャンバが抽出サイクルの終了時に開かれるときに、カプセルを保持部材から係合を解除するためにこの保持部材に作用するように配置され且つ構成されている。これによって、特にコンパクトで安価な構成がもたらされ、カムプロファイルをカプセル保持部材に隣接して配置することができるので、カプセルハンドリング装置の寸法全体が低減される。
【0011】
有利な実施形態では、制御部材は、両方のカムプロファイルと2つの抽出チャンバ部を開いた位置から抽出位置に且つその逆も同様に移動させるように構成され且つ配置されている。これによって、装置の部品点数を削減し、組立工程の簡素化し、コストを削減して装置の信頼性を増加させることができる。有利には、カプセル保持部材の移動と抽出チャンバ部との移動が互いに同期されるので、カプセル保持部材が、カプセルを放出するために離間するように広げられる一方、抽出チャンバ部が閉じた位置から開いた位置に向けて移動され、抽出チャンバ部が開いた位置にあるときに、再びカプセル保持位置がもたらされ、それによって、新しいカプセルが、抽出ユニット内に導入され、カプセル保持部材によって正しく保持される。
【0012】
特に有利な実施形態では、カプセル保持部材は、アーチ形状の弾性部材の反対側に延びる突起部に沿って支持されている。アーチ形状の弾性部材の反対側に延びる突起部は、カプセル保持部材のカプセル放出運動を制御するカムプロファイルによって離間するように広げられ、この押し広げられる運動は、アーチ形状の弾性部材を弾性変形させることにより得られる。このように、2つのカプセル保持部材とアーチ形状の弾性部材とは、例えば簡易かつ安価に製造されるプラスチック成形部品等の単一の構成要素として成形される。
【0013】
いくつかの実施形態では、各カプセル保持部材は、それぞれのカムプロファイルと協働するように構成され且つ配置された形状プロファイルを有しており、それによって、抽出チャンバを開ける際のカムプロファイルの動きによって、カプセル保持部材を相互に距離を置いて配置させる。いくつかの実施形態では、カムプロファイルは、抽出チャンバを閉じる際に、このカムプロファイルが、形状プロファイルを越えて移動する一方、アーチ形の弾性部材が変形することを防止するように、弾性変形可能にされる。カムプロファイルは、抽出チャンバを開けるときに、反対向きの運動の時にのみ、カプセル保持部材に積極的に力を作用する。
【0014】
いくつかの実施形態では、カムプロファイルは、抽出チャンバを開ける運動の際にカプセルプロファイルの変形を防止するような固定支持構造体と協働することができ、それによって、カムプロファイルは、カプセル保持部材に十分な押込力を加えて、それらカプセル保持部材を離間させるように広げる。さらに有利な実施形態では、カプセル保持部材及び/又はそれらカプセル保持部材に組み合わせられた形状プロファイルは、抽出チャンバを閉じる動きの際に、カプセル保持部材がより近接して移動することを防止するような固定支持構造体と協働する。このように、形状プロファイルは、十分な力をカムプロファイルに加えて、そのカムプロファイルに変形を生じさせる一方、抽出チャンバ部を、閉じた位置に向けて移動させる。
【0015】
各カムプロファイルは、実質的に環状カムの形態であり、このカムは、それぞれのカプセル保持部材の対応する形状プロファイルの対向面と交互に協働するような対向する平坦面を有する。環形状は、カムプロファイルが周囲の少なくとも一部に従って拡張することを意味する。カムプロファイルは、180°未満、好ましくは120°未満、より好ましくは90°未満、例えば20〜60°である円弧上の周りに伸びることができる。カムプロファイルは、対向する面取り縁端と対向する平坦面とを提供することができる。各カムプロファイルの面取り縁端と平坦面とが、それぞれのカプセル保持部材のプロファイルの対向面の一方又は他方と交互に協働する。抽出チャンバを閉じる動作中に、2つのカムプロファイルの内向きに面する表面は、カプセル保持部材のプロファイルの外向きに向き合わせされた面に沿って摺動する。こうして発生した接触力が、カムを外向きに変形させる一方、カプセル保持部材の内向きの移動が防止される。抽出チャンバを開ける動作の際に、各カムプロファイルの対向する外向きに面する表面が、それぞれのカプセル保持部材と組み合わされた対応するプロファイルの内向きに面する表面に沿って摺動され、カプセル保持部材の外向きの移動を生じさせ、こうして、カプセル保持部材を離間させるように広げる。
【0016】
特に有利な実施形態では、カムプロファイルは、カプセル保持部材に隣接する回転軸線の周りに回転するように配置されている。例えば、回転軸線は、カプセル案内部付近の2つの抽出チャンバ部同士の間の中間位置に、すなわち2つの抽出チャンバ部が開いた位置にあるときに、2つの抽出チャンバ部同士の間に配置された位置に配置されている。カプセルハンドリング機構は、こうして2つの抽出チャンバ部同士の間に完全に位置しており、抽出ユニットの軸線方向の全体の寸法を減少させる。
【0017】
好ましくは、単一の制御部材は、カムと両方の抽出チャンバ部との移動を制御する。例えば、単一のシャフトがこの目的のために提供される。このシャフトは、アクチュエータ又はサーボモータによって駆動することができる。あるいはまた、手動で作動させることができるような制御レバーを提供することができる。制御レバーを、カプセル保持部材を離間させる動きを制御するようにカムの回転軸線の周りに回転させることができる。
【0018】
カプセル案内チャネルは、カプセルを、重力によって、例えば垂直方向の重力によって導入することができるように配置されている。抽出チャンバ部は、実質的に水平方向に沿って移動して、抽出位置のカプセルが、実質的に水平姿勢でその軸線に有利に維持されるように、開いた位置から閉じた位置に且つその逆も同様に移動するように配置され且つ制御される。カプセルの軸線は、抽出水及び飲料が流れるような、カプセルの上面及び下面に直交するようなカプセルの中心線として理解するべきである。
【0019】
いくつかの実施形態では、抽出ユニットは、給湯器、好ましくは貫流式又は瞬間給湯器を有しており、この給湯器は、抽出チャンバの開閉中に抽出チャンバ部の一方に沿って移動可能にされる。給湯器と共に移動可能にされる抽出チャンバ部は、給湯器と有利に熱的に接触しており、それによって、抽出サイクルが開始される前に、抽出チャンバが加熱される。
【0020】
本発明の追加の特徴及び有利な実施形態は、本開示の不可欠な部分を形成する添付の特許請求の範囲に記載されており、図面を参照して詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の開示された実施形態のより完全な理解及びそれらに付随する多くの利点は、添付図面を関連して考慮するときに、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解され、容易に得ることができる。
【0023】
例示的な実施形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して行われる。様々な図面における同一の参照符号は、同一又は類似の要素を特定する。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0024】
明細書を通じて「一実施形態」や、「ある実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、ある実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、開示された主題の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。こうして、明細書を通じて様々な箇所で出現する、「一実施形態では」や、「ある実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という語句は、必ずしも同じ実施形態(複数可)を参照するものではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、一つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0025】
これ以降、参照が、コーヒー飲料の製造のために予めパッケージ化されたカプセルを使用するコーヒーマシンの抽出ユニットについて特に行われる。しかしながら、本発明は、好ましくは高温加圧水によるカプセルからの抽出によって人間が消費するのに適した様々な種類の飲料を調整するための抽出ユニットとしても具体化することができることを理解すべきである。飲料は、実質的にあらゆる液体の食用品を含むものとして広範な意味に理解されたい。カプセルは、飲料を製造するための原料を含む任意のパッケージとして理解されるべきであり、このカプセルは、パッケージの周囲にフランジ又はリムを有しており、フランジ又はリムを抽出ユニット内に設けられた案内チャネルに係合させることができる。カプセルは、密封することができ、又は液体透過性を有する上面及び/又は底面を有することができる。
【0026】
本発明に係る抽出ユニットの第1の実施形態が、
図1〜
図8Cに示されている。
図1及び
図2には、本発明を具体化する抽出ユニット402を含む飲料製造マシン401の不等角投影図がそれぞれ示されている。このマシンの外側ハウジングのいくつかの部品は、抽出ユニットの内部構成要素を示すために取り外されている。
図1では、抽出ユニットが開いた位置にあり、すなわちカプセルを受容するために抽出チャンバが開いた状態である。
図2では、抽出ユニットは、閉じた位置にあり、すなわち抽出サイクルを実行するために抽出チャンバが閉じた状態である。
【0027】
この実施形態では、抽出ユニット402は、給湯器403を有する。この実施形態では、給湯器は、マシン401の前面の上部に配置されており、且つ(
図1及び
図2において取り外された)ハウジングの上部401Aによって、及び
図1及び
図2において取り外されているが
図3〜
図5に示されている前面に配置された摺動可能なカバー404によって覆われている。コーヒーディスペンス用注ぎ口405が、マシンハウジングの下部401Bに接続された水切りトレイ407の上方で、マシン401の前部に設けられている。
【0028】
他の実施形態では、給湯器403は、様々な位置に、例えばマシンの後部に配置することができる。いくつかの実施形態では、給湯器403は、瞬間給湯器であり、すなわち本体403Bを含む貫流式給湯器であり、例えばアルミニウムやアルミニウム系合金等の金属、又は他の熱伝導性材料から作製されたブロックによって形成されている。電気抵抗器体411と導水管413とが、本体403B内に埋め込まれている。電気抵抗器411と導水管413との両方を、給湯器403の本体403Bの軸線の周りに螺旋状に巻き付けることができる。導水管413の流入端部は、接続パイプを介して水ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、抽出チャンバは2つの部分を含む。
図1〜
図5に示される実施形態では、抽出チャンバは、第1の抽出チャンバ部421と第2の抽出チャンバ部423とを含む。この実施形態では、第1の抽出チャンバ部421は、給湯器403の本体403Bを形成するブロックの内部に設けられたキャビティ403Cに取り付けられている。好ましくは、第1の抽出チャンバ部421と給湯器403とが、他方に対して一方を固定し、相互に熱的に接触している。熱が伝導によって給湯器403の本体403Bから第1の抽出チャンバ部421に伝達されるような熱的接触手段では、給湯器403が、熱伝導により抽出チャンバ部421を周囲温度より高い温度に維持する。
【0030】
後で説明するように、給湯器403は、抽出チャンバを開閉するために、抽出チャンバの軸線A−Aに対して実質的に平行な方向に沿って、両矢印f421(
図3参照)に従ってコーヒーマシン401のハウジングに対してチャンバ部421に沿って移動可能にされる。この実施形態では、第2の抽出チャンバ部423は、抽出チャンバの軸線A−Aに対して実質的に平行な方向に沿って、両矢印f423(
図3参照)に従って第1の抽出チャンバ部421に対して且つコーヒーマシン401のハウジングに対して移動可能にされる。この実施例では、軸線A−Aは、実質的に水平方向である。
【0031】
他の実施形態では、第1の抽出チャンバ部421は、給湯器とは別個に支持することができ、給湯器は、マシン401の様々な位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、給湯器は、抽出チャンバ部421と共に移動可能にされるというよりも、マシンのハウジングに対して固定することができる。
【0032】
抽出チャンバ部421,423の一方又は両方には、抽出によりコーヒー飲料又は任意の他の食用品を製造する原料を含むカプセルCを穿孔するための穿孔手段を提供することができる。他の実施形態では、カプセルの構造に依存して、2つの抽出チャンバ部のうちの一方のみに穿孔手段を提供することができ、或いはどちらのチャンバ部にも穿孔手段が提供されていない。例えば、カプセルが、水透過性上壁及び/又は水透過性底壁を有している場合に、一方又は両方の穿孔手段を省くことができる。穿孔手段の一つの可能な構造が、これ以降に説明される。他の手段を、カプセルの上壁及び/又は底壁に1つ以上の開口部を生成するために提供することができる。
【0033】
図面に示される実施形態では、第2の抽出チャンバ部423には、ディスク部材427に設けられた貫通孔を通って延びる穿孔器425が設けられており、このディスク部材は、第2の抽出チャンバ部423に摺動可能に配置されている。ディスク部材427には、反対側の抽出チャンバ部421の環状縁部に協働するシール429が設けられている。抽出チャンバが閉じた状態になり、抽出サイクルが開始されるときに、給湯器403から流れてコネクタ415から出る高温加圧水は、第2の抽出チャンバ部423に設けられた導管424を通って抽出チャンバに入る。高温加圧水がディスク部材427に設けられた孔を通じて流れ、穿孔器425によってカプセルの上面にパンチ穴が開けられた開口部を通じてカプセルCに入る。
【0034】
ばね(図示せず)は、第2の抽出チャンバ部423の実質的に円筒形状の外壁によって形成されたハウジングの底部からディスク部材427を遠ざけ、抽出が行われた後に、カプセルCを穿孔器425から取り外すようにする。
【0035】
第1の抽出チャンバ部421はカップ形状にされ、その底部付近に穿孔突起部433が設けられたプレート431が配置されている。突起部433によって、カプセルCに含まれる原料から抽出された飲料が、突起433に沿って延びる通路を通って抽出チャンバから出て、ディスペンス用注ぎ口405と流体連通するディスペンス管434を通ってディスペンスされるように、開孔される。
【0036】
実質的に円筒形状の中空部材435を、第1のチャンバ部421の抽出凹部の内部に収容することができる。円筒形状の中空部材435には、ほぼ円錐形状の図示の例では、カプセルCの外面の形状を再現する形状を有するような内壁面435Aが設けられている。中空部材435は、円筒形状の中空部材435と第1の抽出チャンバ部421の底部との間に配置されたばね437によって弾性的に付勢される。この円筒形状の中空部材435は、抽出した後に、第1の抽出チャンバ部421の内部からカプセルCを排出する排出装置として作用する。
【0037】
飲料がディスペンスされるディスペンス管434は、給湯器403の本体403Bに設けられた内部キャビティ403Cに沿ってディスペンス用注ぎ口405まで延びている。この特別な構成によって、ディスペンス管434が、加熱され、且つ第1の抽出サイクルが行われる前であっても、周囲温度よりも高い温度がもたらされることを保証する。ディスペンス管434の加熱は、給湯器403からの熱伝導によって達成される。抽出チャンバ部421と給湯器403の本体403Bとの間の直接的な接触によって、2つの抽出チャンバ部421,423のより大きい方(421)が、抽出サイクルを開始する前に抽出水を加熱する同じ抵抗器によって加熱されるようになる。両方の措置によって、マシン401によってディスペンスされる一番最初の飲料分から既に温かい飲料がディスペンスされるようになる。
【0038】
図1〜
図5に示される実施形態によれば、カプセルCは、重力によって抽出チャンバに導入される。この目的のために、開口部又はスロット460が、マシンのハウジングの上面462に設けられている。カプセルCは、開口部又はスロット460を通じて矢印F1(
図3)に従って落下する。カプセルは、カプセルの環状フランジ又はリムFcが係合する下向きに延びるカプセル案内チャネル464に沿って案内される。各カプセル案内チャネル464の下端において、カプセル保持部材466が配置されている。2つの対向するカプセル保持部材466同士の間の距離は、カプセルのフランジ又はリムFcの外径よりも通常は小さく、カプセル案内チャネル464に導入された新たなカプセルは、
図3,3Aに示される最終位置に到達して、その最終位置で、そのカプセルは、
図3Aに示されるようなカプセル保持部材466に対してフランジ又はリムFcと共に載置されることになる。これは最終的な抽出位置となる。カプセルは、抽出サイクル中にこの位置に留まることになる。抽出チャンバは、両方の抽出チャンバ部421,423をカプセルに向けて移動させることによって閉じられる。
【0039】
抽出チャンバ部421,423の閉じる動作は、様々な方法で、例えば電動式又は油圧式アクチュエータを用いることによって制御することができる。図面に示される一実施形態では、単純な手動の機械的構成を、この目的のために使用することができる。この構成はコーヒーマシンのハウジングに対して固定され、回転軸線X−Xの周りにヒンジ結合された制御レバー467を含む。制御レバー467の回転によって、回転軸線X−Xに対して同軸の旋回部469Aの周りに一対のダブルクランク469の回転を生じさせる。2つのダブルクランク469は、一対のスロット形成されたL字型のロッカー(揺れ)アーム471に対して一端(469B)でヒンジ結合され、それぞれのアームには、湾曲スロット471Aが設けられている。第2の抽出チャンバ部423に堅固に接続された横方向ピン471Bが、この湾曲したスロット471A内に摺動可能に係合する両端部を有している。軸線X−Xの周りの制御レバー467の回転によって、こうして、第2の抽出チャンバ部423の矢印f423(
図3)に従った並進移動を生じさせる。
【0040】
第1の抽出チャンバ部421は、一対のロッカーアーム473によって2つのダブルクランク469の両端部に機械的に接続されている。各ロッカーアーム473は、それぞれのダブルクランク469の旋回ピン469Cに対して一端でヒンジ結合され且つ給湯器403に堅固に拘束された旋回部475に対して反対側の端部でヒンジ結合される。このような構成において、制御レバー467の回転は、給湯器403とその給湯器に拘束された第1の抽出チャンバ部421の両矢印f421(
図3)に従って摺動しながら移動する。
【0041】
こうして、制御レバー467の作動によって、抽出チャンバを開閉するために、両方の抽出チャンバ部421及び423をカプセルCに向けて同時移動させ且つカプセルCからこれら抽出チャンバ部を同時に遠ざける。
【0042】
制御レバー467の動作は、以下に説明されるように、一旦抽出サイクルが終了した後に、カプセルCを排出するための作動手段も生じさせる。
【0043】
抽出チャンバを閉じる前にカプセルを保持し且つ抽出サイクルの完了時に使用済みカプセルを排出するためのシステムの可能な実施形態が、
図6A〜8Cに示されている。これらの図は、機構を分離して示しており、より明確な表現のために抽出ユニットの動作中の様々な位置でいくつかの部品が取り外されている。
【0044】
より具体的には、
図6A,
図6B,及び
図6Cは、抽出チャンバが開いているときに、新しいカプセルを受け取る位置にある機構を確認する様々な視点から視た図を示している。抽出ユニットの移動が、制御レバー467等の制御レバーによって制御される場合に、
図6A〜6C位置は、
図1の制御レバー467が取る位置に対応する。
図7A〜
図7Cは、
図2の位置に対応する、抽出チャンバが閉じられるときの位置にある機構の同じ視点から視た図を示している。
図8A〜8Cは、抽出サイクルが完了した後であって、最終的に完全に開いた位置に到達する前の、抽出チャンバを開ける途中の位置にある機構の同じ視点から視た図を示している(
図1;
図6A〜
図6C)。
【0045】
図6A〜
図8Cに示される例示的な実施形態では、2つのカプセル保持部材466が、2つのダブルクランク469と協働するようなアーチ形状の弾性部材468の2つの下方に延びる突起部の両端で支持される。
図6〜8では、2つのダブルクランク469の1つのみが、明確にするために示されている。各ダブルクランク469は、旋回部469Aと同軸であるカムプロファイル470に一体化されている。各カムプロファイル470には、470Aにおいて弾性変形可能になるようなスロットが形成されている。各カムプロファイル470は、対応する保持部材466に一体化する又は堅固に接続される形状プロファイル472と協働する。
【0046】
他の実施形態では、図示されていないが、別の機構を、抽出チャンバを開閉するために使用することができる。そのような場合には、ダブルクランク469を省くことができ、カム470を、1つの電動シャフトや一対の電動シャフトによって制御することができる。
【0047】
図6A〜
図6Cでは、それぞれのカムプロファイル470は、
図6Cに確認される、対応するカプセル保持部材466のプロファイル472の上方に配置されている。ダブルクランク469が、矢印f467(
図1及び
図3)に従って回転軸線X−Xの周りに制御レバー467を回動させることによって、矢印fA(
図6C)に従って旋回部469Aの周りに旋回されるときに、2つのカムプロファイル470は、それらカムプロファイルが
図7A〜
図7Cに示される位置に到達するまで、軸線X−Xの周りを回転する。これによって、カムプロファイル470が、スロット470Aによって弾性変形可能になる。抽出ユニットの開いた位置(
図6A〜
図6C)から閉じた位置(
図7A〜
図7C)への回転運動は、カムプロファイル470の変形によって、カムプロファイル470をプロファイル472の上方の位置(
図6A)からプロファイル472の下方の位置(
図7A)に通過させる一方、カプセル保持部材466とアーチ形状の弾性部材468とが、内部に配置されたカプセルによって変形を受けることが防止される。実際には、カムプロファイル470を、プロファイル472の外向きの対向面に対して摺動させることが行われ、プロファイル472によって、保持部材466(
図6Bの点線参照)と係合するカプセルのリムの存在によって内向きの移動(すなわち、抽出ユニットの中心線に向けての移動)が防止される。
【0048】
抽出サイクルが完了した後であって抽出チャンバが開かれるときに、制御レバー467を作動させるとともに、矢印f467X(
図5)に従ってその制御レバーを回転させることによって、カプセル保持及び排出機構は、
図7A〜
図7Cに示される位置から、
図8Cの矢印fBに確認される
図8A〜
図8Cを通過して
図6A〜
図6Cの位置に戻るように移動する。カムプロファイル470は、その内向きの対向面に沿って摺動するプロファイル472と協働して、それらプロファイル472を外向きに押す。この動作によって、アーチ形状の弾性部材468の両端部を外向きに弾性変形させ、カプセル保持部材466によって保持されたカプセルCを放出するのに十分な状態に拡張させる。カムプロファイル470は、2つの抽出チャンバ部421,423が互いに十分に距離を隔てて配置されるまで、弾性部材468を外向きに変形した状態に維持し、使用済みのカプセルCをもはや保持しないようになる。使用済みのカプセルは、結果的に、重力によって収集トレイ480内に落下する。
図6A〜6Cの位置に対応する、
図1及び
図2の最終的に完全に開いた位置に到達する前に、カムプロファイル470は、プロファイル472との係合を解除し、カプセル保持部材466は、新しいカプセルを保持するのに適した位置において、互いに再び近接するように移動する。
【0049】
図9〜
図14Dには、本発明に係る抽出ユニットの第2の実施形態が示されている。以前説明した実施形態と同一又は対応する部分、要素又は構成要素は、同一の参照符号で示されている。
【0050】
全体として402として示される抽出ユニット(
図10)は、抽出ユニットの内部構成要素を示すために、
図10で部分的に取り外されたカバー406(
図9)の下に配置されている。カバー406は、カプセルCを抽出ユニットに導入するためのスロット又は開口部408を有する。
【0051】
抽出ユニット402は、第1の抽出チャンバ部421と第2の抽出チャンバ部423とから構成される抽出チャンバを有する(
図10)。第1の抽出チャンバ部421は、両矢印f421に従って移動可能にされ、第2の抽出チャンバ部423は、後述するように、例えば制御レバー467等のアクチュエータの制御下で、両矢印f423に従って移動可能にされる。
図9及び
図10に示される実施形態では、コーヒーは、抽出チャンバからディスペンス管434を通じてディスペンスされる。
【0052】
カバー406には、カプセルの環状フランジ又はリムFcと係合し且つカプセルがスロット又は開口部408に挿入された後に抽出位置に向けて案内されるような、下向きに延びるカプセル案内チャネル464が設けられている。
図9に示される実施例では、カプセル案内チャネル464は、カバー406と一体的に形成されており、例えばカバーと一体物として型成形される。他の実施形態では、カプセル案内チャネル464をカバー406上に又はマシンの別の静止部品上に取り付けられた別個の構成要素として形成することができる。
【0053】
それぞれのカプセル保持部材466は、
図10及び
図12Aを参照して、各カプセル案内チャネル464の下端に配置されている。以前説明した実施形態と同様に、各カプセル保持部材466は、カプセルCのリム又はフランジFcと係合する湾曲スリットを含んでおり、カプセルCは、開口部408を通じて導入され且つカプセル案内チャネル464に沿って案内される。
【0054】
2つのカプセル保持部材466は、カバー406に係合させることができるアーチ形状の弾性部材468によって支持される。アーチ形状の弾性部材468は、腕468Bで終端する2つの下向きに向き合わせされた突起部468A(特に、
図12A参照)を有する。腕468Bには、固定支持構造体474に対して載置されるようなそれぞれの歯468C(
図9,
図10及び
図12Aを参照)を設けることができる。この実施形態では、従って、以前説明した実施形態よりもむしろ、カプセル保持部材466は、アーチ形状の弾性部材468の下向きに向き合わせされた突起部468Aに沿って中間位置に位置している。
【0055】
各カプセル保持部材466には、
図12A〜12Dに最も良く示されているような、形状プロファイル472が設けられている。この形状プロファイル472は、それぞれの回転カムプロファイル470と協働する。ここで説明される例示的な実施形態では、カムプロファイル470は、制御レバー467によって制御され、後でより詳細に説明されるように、制御レバー467の回転軸線X−Xの周りに回転する。カムプロファイル470は、使用済みカプセルを抽出位置から排出するために、抽出チャンバ部421,423を開ける動作中にカプセル保持部材466を離間させて移動させるとともに、抽出チャンバが完全に開いた位置にあるときに、カプセルを受け取る位置に対してカプセル保持部材466を位置決めするように構成され且つ制御される。カムプロファイル470の動作は、後でより詳細に説明される。
【0056】
制御レバー467は、カムプロファイル470と抽出チャンバ部421,423との動きを以下のように制御する。
【0057】
第1の抽出チャンバ部421が、
図11の2つの側面パネル501に拘束されており、一方の側面パネルが、抽出チャンバ部421とは別個に示されている。2つの側面パネル501は、支持構造体474に摺動可能に係合されるとともに、カバー406に摺動可能に係合される。それぞれのクランク503は、
図10を参照して、各側面パネル501に隣接して且つその内側に配置される。
図11では、2つのクランク503と一方の側面パネル501とが分離して示されている。各クランク503には、ピン505が設けられており(
図11)、このピンは、レバー467に対してねじるように接続されており、且つ固定支持構造体474に回転するように支持されている。各ピン505は、それぞれの側面パネル501に設けられた直線的で且つ水平方向に延びるスロット501を貫通して延びており、それによって、側面パネル501は、抽出チャンバ部を開閉する際に、第1の抽出チャンバ421(矢印f421、
図10)に沿って移動することができる一方、ピン505は、制御レバー467の定置された回転軸線X−Xの周りを回転する。
【0058】
各クランク503には、それぞれの側面パネル501と係合するようなそれぞれの旋回部503Aが提供されている。このように、クランク503が、回転軸線X−Xの周りを矢印f503に従って回転するときに(
図11)、側面パネル501とこの側面パネルに拘束された第1の抽出チャンバ部421とが、方向f421に移動する。
【0059】
各クランク503には、第2の抽出チャンバ部423に拘束されたフィーラ(feeler)(図示せず)に係合するチャネル形状カム503Bがさらに設けられている。クランク503の回転は、こうして第2の抽出チャンバ部423の両矢印f423(
図10)に従った開閉動作も制御する。制御レバー467の回転運動を2つの抽出チャンバ部421,423に伝達する部材の異なる形状によって、これら抽出チャンバ部を異なるストロークで動くようにする。具体的には、第1の抽出チャンバ部421の開閉ストロークは、第2の抽出チャンバ部423の開閉ストロークよりもはるかに長い。
【0060】
各クランク503は、対応するカムプロファイル470にねじるように拘束されるキー形状部507とさらに係合する。制御レバー467の回転は、こうして、カムプロファイル470の回転運動も制御する。
【0061】
図12B,
図12C,
図13B,及び
図13Cから具体的に理解されるように、各カムプロファイル470は円形の一部として実質的に形成される。各カムプロファイルは、2つの対向する平坦面470A,470Bを有しており、これらの平坦面は、カムプロファイル470、第1の縁端470A及び第2の縁端470Bの回転軸線X−Xに対して直交している。これら2つの縁部は、平面形状とすることができ、対向する平坦面470A,470Bに対して傾斜している。カムプロファイル470の形状は、回転軸線X−Xに対して直交するような、カムプロファイルのうちの1つを上面で示す
図12Eの拡大図や概略図から最も良く理解される。カムプロファイル470の平坦面470Aは、内側を向いているが、平坦面470Bは、外側に向いている。
【0062】
図11及び
図12Cに確認されるように、カムプロファイル470は、実際に、ディスク470Gと一体化する接続部470Fによって片持ち式に支持されたリング470E上に形成されており、そのリング470Eはキー形状507と一体的に形成されている。接続部470Fは、カプセル保持部材466とカムプロファイル470の動作についての以下の説明から明らかになるような目的のために可撓性を有し、弾性変形可能である。
【0063】
図12A〜
図12Dでは、カプセル保持部材466とカムプロファイル470とが、
図10に示されるように、抽出チャンバを完全に開いた状態の位置に対応する位置にある。カムプロファイル470は、カプセル保持部材466のプロファイル472の上方と側方とに位置しており、そこでカプセル保持部材466と協働していない。この位置では、カプセルCを、開口部408(
図9)を通じて導入することができ、そこでカプセルリムFcがカプセル案内チャネルと係合する状態で、カプセルCが、重力によってカプセル案内チャネル464に沿って落下する。カプセルは、リムがカプセル保持部材466に係合するときに、カプセル案内チャネル464の端部で停止する。カプセルがカプセル保持部材466に対して衝突することによるアーチ形状の弾性部材468の偶発的な外向きの弾性変形を防止するために、歯468Cが、腕468Bの端部に設けられている。これらの歯は、固定支持構造体474に接触し、カプセルの衝突によるアーチ形状の弾性部材468の突起部468Aのいかなる曲げ変形も防止する。プロファイル472とカプセル保持部材466とに対するカムプロファイル470の位置が、
図12A〜12Dに示されている。
【0064】
抽出チャンバは、ここで閉じることができる。閉じる動作は、矢印f467に従って(
図9,
図10)、制御レバー467を回転させることによって駆動される。回転軸線X−Xの周りの制御レバー467の回転によって、第1の抽出チャンバ部421(矢印f421、
図10)と第2の抽出チャンバ部423(矢印f423、
図10)とをカプセルに向けて摺動させるように移動させ、このカプセルをカプセル保持部材466によって規定される抽出位置に静止したままにする。制御レバー467の移動は、上述したように、クランク503及び側面パネル501によって抽出チャンバ部421,423に伝達される。
【0065】
制御レバー467は、カムプロファイル470も回転させる。
図13A〜
図13Dには、抽出チャンバ421,423の閉じる動作中のカムプロファイル470の中間位置が示されている。各カムプロファイルは、面取りエッジ470Cと共に摺動し、その後、それぞれのプロファイル472の外向きの対向面に沿って内向きの対向する平坦面470Aと共に摺動する。プロファイル472の内向きの移動が、一方の側で、カプセル保持部材466同士の間に係合されたカプセルによって防止され、他方の側で、必要に応じて、固定支持構造体474の一部に載置されるプロファイル472によって防止される(特に
図13C参照)。カムプロファイル470は、こうして力が加わって外向きに弾性変形される一方、プロファイル472の外面に沿って摺動される。
【0066】
図14A〜14Dには、閉じる動作の最後における、すなわち抽出チャンバが完全に閉じているときのカムプロファイル470の最終的な位置が示されている。。カムプロファイル470は、プロファイル472の下に移動される。
【0067】
抽出サイクルが完了した後に、制御レバー467は、抽出チャンバを開けるために反対方向に回転させることができる。
図15A〜
図15Dには、開ける動作中のカムプロファイル470による中間位置と、カプセル保持部材466による中間位置とが示されている。
図15Cから具体的に理解されるように、各カムプロファイル470は、ここで、傾斜が付いた面取りエッジ470Dと共に摺動し、その後、プロファイル472の内向きに向き合わせされた面に沿って外向に向き合わせされた平坦面470Bと共に摺動する。カムプロファイル470によって及ぼされる押圧力によって、アーチ形状の弾性部材468の突起部468Aを外向きに変形させる。この弾性変形によって、カプセル保持部材466を互いに離間させるように移動させ、使用済みカプセルのリムFcをカプセル保持部材466から放出するのに十分な状態にまで拡張させる。カムプロファイル470は、例えば固定支持構造体474(
図15C参照)の一部に対してその内向きに向き合わせされた平坦面470Aと共に摺動させることによって変形が防止される。アーチ形状の弾性部材468の下向きに向き合わせされた突起部468Aの両端部に設けられた腕468Bは、カムプロファイル470によってプロファイル472の内向きの対向面に対して加えられた押付力の下で曲がるような十分な可撓性を有している。こうしては、カプセル保持部材466を互いに離間させて配置することが可能になる。
【0068】
本明細書に開示された主題の実施形態は、図面に示され、いくつかの例示的な実施形態に関連して上述したように具体的且つ詳細に完全に説明されているが、多くの修正、変更、及び省略が、本明細書に説明された新規な教示、原理及び概念から実質的に逸脱することなく可能となり、且つ添付の特許請求の範囲に記載された主題の利点を具体化することができることが当業者には明らかになろう。従って、開示されたイノベーションの適切な範囲は、このような修正、変更、及び省略をすべて包含するように、添付の特許請求の範囲の最も広範な解釈によってのみ決定される。「備える、有する、含む(comprising)」という用語は、請求項に記載された以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する「1つの(a, an)」という用語は、複数の要素の存在を除外するものではない。いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの一つ及び同一のアイテムによって具体化することができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。