【文献】
View of NCT01203202 on 2011_02_07,ClinicalTrials.gov archive,2011年 2月 7日,インターネット<URL:https://clinicaltrials.gov/archive/NCT01203202/2011_02_07>
【文献】
改訂 医薬品添加物ハンドブック,株式会社薬事日報社,2007年 2月28日,第1刷,p.611-615, 825-831
【文献】
Kim SC, Seo KK.,Efficacy and safety of fluoxetine, sertraline and clomipramine in patients with premature ejaculatio,J Urol. 1998 Feb;,1998年,159(2),p.425-427
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、一定期間服用することではなく、性交直前に服用するため、服用が簡便であり、効果発現が速く、早漏症の治療効果が卓越した早漏症治療用の薬学組成物を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、上記薬学組成物に含まれる有効成分の最適含有量、すなわち、服用量を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、有効成分の放出および溶出が速いので性交直前に服用しても吸収が速く、結果的に薬効発現が迅速であるだけでなく、患者および患者の胃腸管の状態による吸収偏差が少ない早漏症治療用の薬学組成物を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、このような薬学組成物の早漏症の治療、予防または改善の医薬用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、塩酸クロミプラミン14〜16mgを、望ましくは約15mgを有効成分として含有し、性交前に必要に応じて(on an as-needed basis, on demand)服用することを特徴とする男性早漏症の治療、予防または改善用薬学組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、塩酸クロミプラミン14〜16mgを早漏症の治療が必要な男性に投与することを特徴とする早漏症の治療、予防または改善の方法を提供する。望ましくは、本発明は、70kgの体重を持つ男性を基準にして塩酸クロミプラミン約15mgを早漏症の治療、予防または改善が必要な男性に投与することを特徴とする早漏症の治療、予防または改善の方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、塩酸クロミプラミン14〜16mgを、望ましくは約15mgを含む早漏症の治療、予防または改善用の医薬品を製造するための塩酸クロミプラミンの医薬用途を提供する。
【0014】
塩酸クロミプラミンは、うつ病の治療のために従来から使用されてきた薬物である。うつ病に対する塩酸クロミプラミンの用法・用量をみると、成人の場合は初回量として一日10mgの塩酸クロミプラミンを経口投与するようになっており、効果の増大のため、次第に一日30〜150mgまで増量して分割投与するよう勧めている。塩酸クロミプラミンの一日維持量は30〜50mgである。
【0015】
しかし、非常に驚くべきことに、上記うつ病の治療用量と異なり、早漏症の治療のための用途では、約15mgより多く投与する場合、早漏症の治療効果には大きな影響がなく、副作用だけが増加した。
【0016】
本発明の早漏症治療用の薬学組成物の用法において、性交前は性交0.5〜10時間前を意味し、より望ましくは性交2〜6時間前を意味する。
【0017】
望ましくは、本発明はまた、必要に応じて性交前に服用する本発明の組成物の用法上、極めて迅速に溶出される薬学組成物を提供し、塩酸クロミプラミンを極めて迅速に溶出させるための賦形剤としてアルファ澱粉(pregelatinized starch)
および澱粉グリコール酸ナトリウムを含む。より望ましくは、本発明による薬学組成物は塩酸クロミプラミン、乳糖、アルファ澱粉および澱粉グリコール酸ナトリウムを含み、最も望ましくは、本発明の薬学組成物は組成物の総重量に対する塩酸クロミプラミン7〜13重量%、乳糖70〜80重量%、アルファ澱粉7〜13重量%および澱粉グリコール酸ナトリウム1〜5重量%を含有する。
【0018】
望ましくは、本発明による塩酸クロミプラミン含有の薬学組成物は通常の溶出試験法(溶出媒質900ml、パドル法)によって溶出試験を実施した場合、pH1.2緩衝液、pH4.0緩衝液、精製水およびpH6.8緩衝液のすべてのケースでの15分目の溶出率が90重量%以上、より望ましくは95量%以上である。本発明による塩酸クロミプラミン含有の薬学組成物は、特定の賦形剤を特定含量で含有することにより、溶出が極めて迅速であって、必要に応じて性交前に服用する本発明の薬学組成物の効果が迅速に奏することができるだけでなく、多様なpH環境で溶出が低下せず(溶出率が均一になり)患者による薬効発生の偏差を画期的に減らすことができる。
【0019】
本発明の薬学組成物はまた、本発明の多様な目的を阻害しない範囲内で本発明が属する
分野でよく知られた結合剤および滑沢剤を追加で含み得る。但し、本発明の溶出改善の目的上、上記結合剤としてはポビドンが望ましい。
【0020】
本発明はまた、本発明による薬学組成物の早漏症の治療、予防または改善という医薬用途を提供する。
【0021】
本発明はまた、本発明による薬学組成物を早漏症の治療、予防または改善が必要な患者に投与することを特徴とする早漏症の治療、予防または改善の方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、塩酸クロミプラミンを約15mg含有することを特徴とする、効果発現が速く、患者の胃腸管のpHによる溶出(吸収)偏差が少なく、副作用が減少した早漏症の治療、改善または予防用の薬学組成物を提供する。
【0023】
本発明はまた、早漏症の治療、予防または改善が必要な(男性)患者に、体重70kgを基準にして塩酸クロミプラミン約15mgを投与することを特徴とする早漏症の治療、予防または改善の方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の理解を助けるために実施例などを挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多様な形態に変形され得、 本発明の範囲が下記実施例に限定されると
解釈されてはいけない。 本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をよ
り完全に説明するために提供されるのである。
【0025】
<速溶出性塩酸クロミプラミン含有製剤の製造>
必要に応じて性交直前に服用する用法が可能であるためには、クロミプラミン含有製剤の溶出が非常に速くなければならない。したがって、15分以内にほぼ100%の溶出率を達成する製剤を開発しようとし、非常に多様な処方を試験した結果、下記のような処方で製造したとき、溶出が非常に速く、溶出媒質のpH変化に大きな影響を受けず、高い溶出率を維持することができた。
【0026】
下記のような処方で塩酸クロミプラミン含有製剤(錠剤)を製造し、下記処方のうち、ポビドンを精製水に溶かして結合剤として使用した。
【0028】
上記表1で製造した本発明によるクロミプラミン製剤およびうつ病の治療剤として市販中である塩酸クロミプラミン含有製品(MYUNG IN PHARM製の塩酸クロミプラミン25mg含有製剤、MYUNG IN PHARM製の塩酸クロミプラミン10mg含有製剤およびWhanin Pharm製の塩酸クロミプラミン25mg含有製剤)の溶
出率を大韓薬典溶出試験法に基づき、多様な溶出媒質を使用して比較評価した。
【0029】
各溶出媒質(900ml)における溶出率(%、試験製剤のクロミプラミン含有量(mg)に対する検出時間に溶出されたクロミプラミン(mg)のパーセント比率)を下記表2〜5に示した。
【0034】
上記表2〜5に示したように、本発明による塩酸クロミプラミン含有製剤は塩酸クロミプラミンを含有している他の(うつ病治療用)市販製剤に対して溶出速度が非常に速いだけでなく、溶出媒質のpH変化と関係なく高い溶出率を示した。これは塩酸クロミプラミ
ンを服用する患者の胃腸管のpH偏差と関係なく均等な薬効を示し得ることを意味する。
【0035】
<クロミプラミン速効性製剤の臨床評価>
次のように、男性早漏患者における耐薬性評価と適正治療用量を決定するための並行臨床試験(後期2相、Phase 2b)(無作為割当、二重盲検、偽薬対照および固定用
量)を実施した。
【0036】
試験薬:
試験薬は、上記表1のように製造した塩酸クロミプラミン15mg含有製剤(PED−1)、塩酸クロミプラミン30mg含有製剤(PED−2)およびクロミプラミンの代わりに乳糖が補充された賦形剤だけで製造された偽薬(placebo)の三つであった。
【0037】
臨床実験場所:
臨床実験は、カトリック大学ソウル聖母病院および梨花女子大学付属モクドン病院で実施した。
【0038】
目的:
- 男性早漏患者を対象に、PED−1(塩酸クロミプラミン15mg)、PED−2(塩酸クロミプラミン30mg)および偽薬を、必要時療法で(on−demand)経口投与し、その後、偽薬対比PED−1とPED−2の早漏症治療のための適正用量を決定しようとした。
【0039】
- 塩酸クロミプラミン15mg、30mgおよび偽薬の間での早漏症治療効果を比較
評価した。
【0040】
- 塩酸クロミプラミン15mg、30mgおよび偽薬の間での安全性を比較評価した
。
【0041】
方法:
スクリーニングをクリアした被験者は4週間のラン-イン(run-in)期間の後、クロミプラミンの二つの用量群および偽薬投与群に1:1:1と無作為に割り当てられ、試験は二重盲検法で実施した。そのとき、ラン-イン(run-in)期間中に試した性交回数のうち75%以上のIELT(intravaginal ejaculation latency time)が2分以下である被験者だけが無作為に割り当てられた。各被
験者は4週間必要時療法で(on−demand)臨床試験用医薬品を服用した後に病院を訪問した。
【0042】
患者の数:
ITT(Intent to Treatment)(割り当てられた通り分析)
- 95例(偽薬群 32例、15mg群33例、30mg群30例)
PP(Per protocol)(計画書に応じた分析)
- 86例(偽薬群 29例、15mg群32例、30mg群25例)
安全性評価
- 92例(偽薬群 31例、15mg群33例、30mg群28例)
患者の体重および身長:
患者の平均体重は71.26±9.42kgであり、平均身長は170.26±5.66cmであった。より具体的に、偽薬投与群の平均体重は71.11kgであり、15mg投与群の平均体重は70.85kg、30mg投与群の平均体重は71.80kgであった。被験者はすべて東洋人であった。
【0043】
患者の要件:
1)平均4回のうち3回以上、すなわち75%以上の性行為でIELTが2分以下である患者
2)男性
3)満20歳以上65歳以下
4)6ヶ月以上、一人の異性と性関係を結んだ患者であって、試験期間中にこれを維持する計画のある患者
5)臨床試験に参加する前に6ヶ月以上の早漏病歴のある男性
6)韓国語版の早漏診断表(PEDT)上、9点以上(潜在的早漏を含む)
7)病歴、理学的検査(physical examination)、検査実績検査
、放射線検査、心電図検査上、異常のない健康な被験者または検査実績検査や心電図検査上、参考範囲(reference range)を外れる場合には臨床研究者が、検査
結果が臨床的に有意ではないと判断する場合であって、判断根拠が根拠文書に明確に記録された場合
8)可妊期の女性が性交パートナーである場合、避妊を約束した者
9)患者は治療をしないベースライン期間(baseline period)のうち
、4日間、少なくとも4回の性交を試そうとする意志のある者
10)臨床試験期間に他の形態の既存の早漏治療法(医薬品、行動治療または局所塗布治療剤など)を中断しようとする意志のある者など
投与用量および方法:
群0は偽薬15mg錠剤と偽薬30mg錠剤を、群1は塩酸クロミプラミン15mg錠剤と偽薬30mg錠剤を、群2は塩酸クロミプラミン30mg錠剤と偽薬15mg錠剤を4週間必要な場合に(on−demand)性交の約2時間から6時間前に水とともに経口服用した。
【0044】
効果の評価:
1)1次評価(Primary Endpoint)
本臨床試験の1次有効性評価の変数は、群0(偽薬治療群)、群1(塩酸クロミプラミン15mg治療群)、および群2(塩酸クロミプラミン30mg治療群)のそれぞれでベースライン値に対する訪問3(0週〜4週の間に測定)のIELT変化倍数(IELT f
old change)(=訪問3(0〜4週目)で測定されたIELT値/ベースライ
ンで測定されたIELT値)と定義し、群1と群0の差異と群2と群0の差異をウィリアムステスト(Wiliams Test)によって一連のtテストを通じて確認した。
【0045】
2)2次評価(Secondary Endpoint)
(i)偽薬とクロミプラミン15mgおよび偽薬とクロミプラミン30mgの投与前に対
する4週間投与終了後0週から4週の間で測定されたIELT値の%変化値 [(0〜4週目で測定されたIELT値−ベースライン時に測定されたIELT値)×100/(ベースライン時に測定されたIELT値)]を測定した。
【0046】
(ii)偽薬とクロミプラミン15mgおよび偽薬とクロミプラミン30mgの投与前に対する4週間投与終了後0週から4週の間で測定されたIELT値の平均変化値を測定した。
【0047】
(iii)DCIT(Drug Coitus Interval Time)(服用性交時間)は、患者日誌に記載された薬物服用時間と性交を試す時間の差異によって定義し、毎服用後に性交を試すごとにそれぞれ求めた。
【0048】
安全性評価:
1)異常反応
異常反応が発生するかどうかに関して各群間の差異があるかどうかを、変数の特性によって適切な統計分析方法を以って比較した。また、用量の増加にともなう影響があるかどうかも調べた。異常反応はMedDRA(Medical Dictionary for
Regulatory Activities)を利用してコード化して整理し、試験群ごとに異常反応が発生した被験者の比率と、これに対する90%信頼区間を提示した。すべての異常反応は重症度によって整理し、試験薬と関連性のある異常反応、死亡および臨床試験の中断をもたらした異常反応および重大な異常反応もそれぞれ整理した。追跡調査が可能なケースを対象にして治療可否に関する結果も提示した。異常反応評価は、無作為割当て治療の期間に収集された異常反応を対象にして実施した。
【0049】
2)実験実績検査値の異常変化
本研究で測定された実験実績資料のうち、異常値に対する報告があった場合、試験群別および訪問別に整理した。血液学的および生化学的な検査結果などのような連続型資料は、試験群別、訪問別に記述的統計量を提示し、尿検査のような範疇型資料は範疇別頻度および比率を提示した。また、試験薬投与前後の差異について、試験群内で適切な統計学的方法で適切に分析した。
【0050】
3)ECG、身体検査上の異常変化
本研究で測定された心電図資料のうち、異常値に対する報告があった場合、試験群別、訪問別に整理した。
【0051】
統計処理:
1)薬効1次評価(Primary Endpoint)
本臨床試験の1次有効性評価の変数は、偽薬群、 塩酸クロミプラミン15mg群、お
よび塩酸クロミプラミン30mg群のそれぞれで薬物投与前(訪問2)に実施したベースラインIELTに対する変化倍数(fold change)(=薬物投与後(訪問3)
に測定されたIELT値/ベースライン時に測定されたIELT値)と定義し、クロミプラミン15mg群と偽薬群の差異と、クロミプラミン30mg群と偽薬群の差異をウィリアムステスト(Wiliams Test)を通じて確認した。
【0052】
有効性評価の結果を提示するにおいて、ITT群とPP群を三つの形態で提示したが、その理由は、クロミプラミン15mg群に割り当てられた被験者(ID:2004)の場合、4週後のIELT点数が非常に大きい値(2865.46秒)を示しているためである。確認の結果、この被験者は大部分のケースで射精ができず、射精までの時間は性交が終了する時間と定義されるので、発生された異常値(outlier)と推定された。それにもかかわらず、射精までの時間の記入原則、そして性交試し回数、 すべて計画書の
規定を守った事項となる。 したがって、このような異常値によって分析結果に深刻な偏
倚(bias)が発生する可能性が高く、ITT群とPP群をそれぞれ1)計画書によって進行する場合(ID:2004の結果は変化なし)、2)ID:2004が含まれている塩酸クロミプラミン15mg群で、4週間後にIELT点数が二番目に高い494.690に該当する場合、そして3)ID:2004被験者の結果を除外して分析した場合に区分して提示した。
【0053】
2)薬効2次評価(Secondary Endpoint)
本研究で考慮した2次有効性評価は、1)各群(三つの群)で薬物投与前(訪問2)に実施したベースラインに対するIELT値の%変化(=(薬物投与後(訪問3)に測定されたIELT値−ベースライン時に測定されたIELT値)×100/ベースライン時に測定されたIELT値)、2)各群(三つの群)で薬物投与前(訪問2)に実施したベースラインに対するIELT値の平均変化(=薬物投与後(訪問3)に測定されたIELT値−ベースライン時に測定されたIELT値)、そして3)患者日誌に記載された薬物服
用時間と性交を試す時間の差異によって定義されるDCIT(Drug Coitus Interval Time)を以って行った。IELT値を利用する1)と2)の場合、
1次有効性評価変数の分析方法と同様に適用し、DCITは平均値の群間比較のためにANOVA模型を考慮した。
【0054】
3)安全性(Safety)
試験対象者から収集されたすべての異常反応、臨床実験実績検査値、胸部X−ray、12−リード(lead)ECGおよび活力徴候(血圧および脈拍数)に基づいて安全性評価を行った。ベースライン及び確率化割当と、治療期間に収集されたすべての上記安全性変数資料を被験者別に提示し、要約統計量を提示した。
【0055】
実験実績検査値、胸部X−ray、12−リードECGの異常値発現程度を群間に比較するため、カイ二乗テスト(Chi-squared Test)、フィッシャーの正確確率テスト(Fisher’s Exact Test)またはポアソンテスト(Poisson Test)を利用して分析し、活力徴候に対しては連続型資料の要約統計量を提示
し、ANOVAのF−テストを利用して検定した。
【0056】
薬効評価の結果:
薬効評価の結果を下記表6に示した。
【0058】
ITT(PP)1:計画書の記述にしたがって定義
ITT(PP)2:2004番患者の服用後の性交時間を該当群の最大値である494.690と代入した場合
ITT(PP)3:2004番患者を除外した場合
1)ベースラインIELTの比較: F−テスト(両側); 偽薬と15mg間の倍数変
化に対するウィリアムステスト:有意水準を0.0250にした片側検定;偽薬と30mg間の倍数変化に対するウィリアムステスト:有意水準を0.0250にした片側検定;偽薬と15mg間の変化及び%変化に対するウィリアムステスト:有意水準を0.0250にした片側検定;偽薬と30mg間の変化及び%変化に対するウィリアムステスト:有意水準を0.0250にした片側検定。
【0059】
挿入後から射精までの時間(IELT)が2分以下である早漏症患者を対象にして進め
た本臨床試験の結果、クロミプラミンのすべての用量群(15mg、30mg)で、挿入後から射精までの時間の延長効果を奏した。特に、試験薬投与前(ベースライン)に対する4週間投与した後の挿入後から射精までの時間の延長程度をIELT変化倍数(IELT fold change)値で示したとき、ITT分析群を基準にして偽薬群が1.75±0.84であるに比べて、クロミプラミン15mg群ではそれぞれの異常値(outlier)処理状況にしたがって、4.58±8.40、3.39±3.48、そして3.24±3.42と推定され、クロミプラミン30mg群での平均IELT変化倍数(IELT fold change)値は2.89±1.98であった。ITT1状況では、片側有意水準2.5%で、偽薬群とクロミプラミン15mg群の間での有意な差異を確認することができなかったが(p=0.0318)、IIT2と3の状況では偽薬群に比べて有意にIELT変化倍数(IELT fold change)が増加したことを確認することができた(p=0.0064、0.0115)。偽薬群とクロミプラミン30mgの比較では、片側有意水準2.5%で有意な差異が示された(p=0.0030)。結果的に、ITT1状況で最小有意効果用量(Minimum Effective Dose)はクロミプラミン30mgとなるが、ITT2と3で最小の有意効果用量はクロミプラミン15mgとなる。このような結果と異常値(outlier)が疾病特性をよく反映させていないという点を総合的に考慮してみるとき、クロミプラミン15mgが最小の有意効果用量と考慮され得、塩酸クロミプラミン15mgと30mgの間では1次有効性評価基準であるIELT変化倍数(IELT fold change)の面で差異がないだろうと判断される。
【0060】
安全性評価の結果:
安全性(異常反応)評価の結果を下記表7〜9に示した。
【0064】
無作為割当の後、一度でも試験薬或いは偽薬の投与を受けた被験者を対象にした安全性評価で発生した異常反応の大部分は軽症であり、重大であったり重症の異常反応は報告されなかった。異常反応はすべて軽症であったが、試験薬との因果関係があるだろうと推定される異常反応の発現率と被験者数の比率が用量依存的であると示された。
【0065】
結論:
結論的に、ITT群とPP群の結果をすべて考慮したとき、15mgの用量群で偽薬に対して有意な挿入後の射精時間(IELT)の増大効果とともに優れた耐薬性が確認されたという点を考慮すると、今後、15mgが治療用量として適切であると考えられる。