(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042887
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ポリクロイックミラーチェンジャー付き蛍光顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20161206BHJP
G01J 3/12 20060101ALI20161206BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
G02B21/06
G01J3/12
G01N21/64 F
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-522790(P2014-522790)
(86)(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公表番号】特表2014-525057(P2014-525057A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】SE2012050821
(87)【国際公開番号】WO2013015734
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月3日
(31)【優先権主張番号】61/511,094
(32)【優先日】2011年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598041463
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,ジェレミー・アール
(72)【発明者】
【氏名】カーツ,カイル・ジャスティン
【審査官】
森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−523320(JP,A)
【文献】
特開2005−308985(JP,A)
【文献】
特開2011−90248(JP,A)
【文献】
国際公開第02/41064(WO,A1)
【文献】
特開2011−118371(JP,A)
【文献】
特開平10−197801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 − 3/52
G01N 21/62 − 21/74
G02B 21/00 − 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支持体と、
前記第1の支持体に取り付けられ、第1の開口部及び第2の開口部を有する第2の支持体と、
第1平面と、前記第1平面の反対側に位置する第2平面と、前記第1平面から前記第2平面まで貫通する複数の穴とを有するプレートを含むとともに、前記第1の支持体と前記第2の支持体との間の単一の運動平面内で動かせるように前記プレートに取り付けられたポリクロイックミラーの平面配列を含むポリクロイックミラーアレイであって、各ポリクロイックミラーが、前記第1の開口部を通して励起チャネルを受け取り、前記第2の開口部を通して前記励起チャネルのサブセットを反射して、対物レンズを通して試料を照らす、ポリクロイックミラーアレイと、
を含む、顕微鏡のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項2】
各ポリクロイックミラーは、前記第1平面に取り付けられており、
前記各ポリクロイックミラーは、前記複数の穴のうちの対応する穴を通して前記励起チャネルを受け取り、前記対応する穴を通して励起チャネルのサブセットを反射するように、前記穴を覆う、請求項1記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項3】
ポリクロイックミラーの前記平面配列が一次元又は二次元である、請求項1又は2記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項4】
前記ポリクロイックミラーアレイに接続されたモーターを含み、
前記モーターは、ポリクロイックミラーが前記励起チャネルと交差するように、前記ポリクロイックミラーアレイを前記単一の運動平面内で移動させる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項5】
ポリクロイックミラーの前記平面配列が前記単一の運動平面内にある、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項6】
前記第1の支持体が、前記単一の運動平面を形成するように前記第1の支持体の受け口に配置された少なくとも3つの運動学的球を含み、
前記第2の支持体が、前記プレートの第1平面を前記運動学的球に押しつける少なくとも3つのスライディング要素を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項7】
各ポリクロイックミラーが、前記励起チャネルの異なるサブセットを反射する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項8】
前記第2の支持体に取り付けられたミラーであって、前記第2の開口部を通して出力される励起光の前記サブセットを受け取り、前記第2の支持体の第3の開口部を通して前記サブセットを前記対物レンズに反射するミラーを含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【請求項9】
ポリクロイックミラーの前記平面配列が前記単一の運動平面内にある、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のポリクロイックミラーチェンジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光顕微鏡検査法に関し、詳細には蛍光顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光顕微鏡は、一般的には、別個に撮像することができるいくつかの異なる蛍光発光チャネルを励起するために、ポリクロイックチェンジャーに取り付けられた複数のポリクロイックミラーを使用する。しかしながら、複数のポリクロイックミラーのシステムの配列には依然として課題がある。具体的には、励起ビーム光路に配置された1つのポリクロイックミラーを別のポリクロイックミラーと取り替えることを、高度な位置合わせ精度及び再現性で実現することが困難である。さらに、複数のポリクロイックミラーの相互の位置合わせ(co−alignment)は実現が非常に困難である。
【0003】
これまでの手法は、ターレットシステムの傾斜面に装着されたポリクロイックミラーを使用することを含む。ターレットの各傾斜位置には、異なるポリクロイックミラーがある。従来のターレットには、ポリクロイックミラーの位置を互いに対して、並びにことに顕微鏡に対して割り出しする(index)一般的に複数の部分が存在するので、再現性の問題がある。これにより、2つ以上のポリクロイックミラーを相互に位置合わせすることを正確に保証することがほとんど不可能になる。機械的調整制御を追加して、複数のポリクロイックミラーを相互に位置合わせするための必要な自由度を提供することができる。しかしながら、こうした追加の機械的調整制御は、顕微鏡のコスト及び複雑さを大幅に増大させるだけでなく、長期的な位置合わせの再現性をさらに低減させる。例えば、ポリクロイックミラーチェンジャーに調整機構と関連する部品を追加すると、時間とともに光学構成要素の位置が変わるという結果になる。こうした理由から、蛍光顕微鏡の製造者及び技術者は、ポリクロイックミラーを交換するための信頼できるシステムを探究し続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第20070177257号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ポリクロイックミラーチェンジャーを備えた蛍光顕微鏡検査システムについて説明する。1つの態様では、ポリクロイックミラーチェンジャーは、ポリクロイックミラーアレイを含む。アレイは、平面を有するプレートと、プレートに形成されたいくつかの穴とを含む。アレイはまた、プレートの平面に取り付けられたポリクロイックミラーを含み、各ポリクロイックミラーが穴の1つを覆い、各ポリクロイックミラーの反射面はプレートの平面に隣接して、プレートの平面と位置合わせされるようになっている。各ポリクロイックミラーは、対応する穴を通して部分的に露出されて、チェンジャーに入力された励起光のビームの励起チャネルの異なるサブセットを反射する。ポリクロイックミラーアレイは、励起チャネルの異なるサブセットを選択して試料を照らすとき、平面が3つ以上の接触の運動学的点の上をスライドして、アレイが単一の運動面内で動かされるように、チェンジャーに装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】モジュラー撮像システムの例示的ポリクロイックミラーチェンジャーの等角図である。
【
図3】ポリクロイックミラーチェンジャーの、
図2に示すA−A線に沿った断面図である。
【
図4A】ポリクロイックミラーの一次元アレイを有する例示的ポリクロイックミラーアレイの組立分解等角図である。
【
図4B】ポリクロイックミラーアレイのプレートの等角図である。
【
図4C】
図4Bに示すC−C線に沿ったポリクロイックミラーアレイの断面図である。
【
図5】ポリクロイックミラーアレイの支持体の側面図である。
【
図6】
図5に示す支持体及びポリクロイックミラーアレイの断面図である。
【
図7】励起チャネル、並びにポリクロイックミラーアレイのポリクロイックミラーと関連する透過率及び反射率の例示的グラフである。
【
図8】
図4Cに示すポリクロイックミラーアレイの断面図である。
【
図9】ポリクロイックミラーの二次元アレイを有するポリクロイックミラーアレイのプレートの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、例示的顕微鏡検査機器100の略図を示す。機器100は、対物レンズ102と、光源104と、検出器106と、ポリクロイックミラーチェンジャー108とを含む。光源108は、λ
iexで示されるN個の別個の単色励起波長から成る高強度の光のビーム110を生成することができ、ここでNは整数、iは1からNの範囲の整数の指数である。顕微鏡のスライド112に配置された試料は、試料台114によって支持される。試料の成分は、蛍光プローブで標識付けされる。各タイプのプローブは、試料の特定の成分に特に結合するように設計され、各タイプの蛍光色素分子が、特定のタイプのプローブと結合されて、試料がビーム110で照らされると、各蛍光色素分子が、電磁スペクトルの可視部及び近可視部において異なる発光波長λ
iemを有する光を放つようになる。言い換えれば、試料の各成分を、異なる関連波長で表示することができる。言い換えれば、N個の励起波長は、N個の異なるタイプの蛍光色素分子からの発光を励起する。
図1は、可視スペクトルにおける波長の範囲に対する強度のグラフ116を含む。グラフ116の各曲線は、特定の波長を中心とする非常に狭い範囲の波長についての強度分布を表す。例えば、曲線118は、第1のタイプの蛍光色素分子を励起する励起波長λ
1exを中心とする狭い範囲の励起波長を表し、曲線120は、第1の蛍光色素分子によって発せられる発光波長λ
1emを中心とする狭い範囲の発光波長を表す。発光波長が、電磁スペクトルの可視部にあるとき、異なる色を有する試料の画像で成分を表示することができる。N個の励起波長は、「励起チャネル」と呼ばれ、N個のタイプの蛍光色素分子から発せられる光のN個の波長は、「発光チャネル」と呼ばれる。
【0008】
図1の例に示すように、チェンジャー108はビーム110を受け取り、励起チャネルの1つ以上から構成されるサブセットを選択して、対物レンズ102を通過させて試料を照らすように操作される。対応する発光チャネルは、対物レンズによって集められ、チェンジャーによって検出器106に向けられる。例えば、チェンジャー108は、ビーム110中の励起チャネルの全セットから励起チャネルのサブセットλ
iex,λ
jex,…λ
kexを選択し、対物レンズ102を通過させて、試料を照らすように操作される。対応する蛍光色素分子は、発光チャネルλ
iem,λ
jem,…λ
kemで光を発し、これが対物レンズ102によって集められ、チェンジャー108によって検出器106に向けられる。検出器106は、光検出器アレイ、CCDカメラ又はCMOSカメラとすることができる。
【0009】
図2は、ポリクロイックミラーチェンジャー200の例示的実施の等角図を示す。チェンジャー200は、第1の開口部204と、第1の開口部204の上に位置している第2の開口部206とを有するハウジング202を含む。光源によって生成される励起光208のビームが、第1の開口部204を通ってハウジング202に入り、ミラー210から励起チャネルセレクター214の開口部212に反射される。セレクター214は、ミラー216と、ミラー216の位置を固定するミラー支持体218とを含み、また第2の開口部206内に配置されたモーター220を含む。セレクター214は、対物レンズに入って試料台104に配置された試料を照らすビーム224として開口部222を通って出力される1つのチャネル又はチャネルのサブセットを選択する。
【0010】
図3は、励起チャネルセレクター214の構成要素を示すポリクロイックミラーチェンジャー200の、
図2に示すA−A線に沿った断面図を示す。
図3に示すように、セレクター214は、一方の端部をモーター220に、反対側の端部を球面ロッドエンド304に取り付けられたシャフト302を含む。球面ロッドエンド304は、ヨーク306のU字形の端部に収まり、クレビスピン308によりヨーク306に取り付けられる。セレクター214はまた、ハウジング202に取り付けられた第1の支持体312と、第1の支持体312に取り付けられた第2の支持体314との間に位置しているポリクロイックミラーアレイ310を含む。ポリクロイックミラーアレイ310は、ヨーク306のU字形端部と反対側に取り付けられる。モーター220は、方向矢印316で示すように、一定の増分距離でシャフト302を前後に動かすステッピングモーター又は線形アクチュエータとすることができる。結果として、ポリクロイックミラーアレイ310もまた、第1の支持体312と第2の支持体314との間の開口(図示せず)内で同じ距離だけ動かされる。
【0011】
図4Aは、例示的ポリクロイックミラーアレイ310の組立分解等角図を示す。アレイ310は、スチール、カーバイド又は他の好適な耐摩耗材料から構成された、平らで、均一の厚さの、長方形のプレート402を含む。プレート402は、平面の第1の面404と、第1の面404に平行であって、反対側である平面の第2の面406とを有する。他の実施形態では、プレート402は、剛体材料から構成することができ、第1の面404は、セラミックコーティングのように、高度に磨かれた耐摩耗材料をコーティングする又は埋め込むことができる。
図4Aの例では、プレート402は、4つの規則的間隔の細長い穴408〜411と、第1の面から離して示す4つの対応するポリクロイックミラー412〜415の1次元の配列を含む。ミラー412〜415の反射面は、第1の面404に隣接し、第1の面404と位置合わせされる。
図4Bは、4つのポリクロイックミラー412〜415を第1の面404に取り付けられてアレイ310を形成するプレート402の等角図を示す。ポリクロイックミラー412〜415は、反射面を第1の面404に向けて又は同一平面にして装着される。
図4Bに示すように、ポリクロイックミラー412〜415のそれぞれが、穴408〜411の1つを覆う。
図4Cは、
図4Bに示すC−C線に沿ったアレイ310の断面図を示す。ポリクロイックミラー413の反射面418の外縁は、膠又はエポキシ樹脂のような接着剤を使用して第1の面404に取り付けられ、穴409から反射面418の残部を露出させる。各ポリクロイックミラーは、
図7及び8に関連して以下にさらに詳細に説明するように、励起チャネルセレクター214に入力されるビーム208のチャネルの異なるサブセットを反射し、透過させる。
【0012】
図5は、第1の支持体312及び第2の支持体314、並びに第2の支持体314に取り付けられたミラー支持体218の側面図を示す。第1の支持体312は、第1の支持体312を
図3に示すようにハウジング202に取り付ける2つのねじ502及び504を含む。この側面図は、第1の支持体312及び第2の支持体314には、ポリクロイックミラーアレイ310が中に設置される開口部502を形成する対面するくぼみがあることを示す。半球体506〜508は、プレート402と接する運動学的球(kinematic ball)の露出部分を表す。運動学的球506及び507は、第1の支持体312のソケット(図示せず)内に一部埋め込まれ、第1の面404と接触している。言い換えれば、運動学的球506及び507は、ポリクロイックミラーの反射面が取り付けられるプレート402の同じ面404と接している。運動学的球508もまた、第1の支持体312内に埋め込まれ、プレート402の縁部と接している。第1の支持体312は、第1の面404と接し、球506又は球507の後方に位置している可能性がある1つ以上の他の運動学的球(図示せず)を含む。第2の支持体314は、プレート402を押して運動学的球506〜508と接触させる、あらかじめ装着されたスライディング要素510〜512を含む。要素510及び511は、第2の面406と接し、要素512はプレート402の縁部と接する。アレイ310がx方向に開口部502の中で前後に動かされるとき、アレイ310は開口部502内で滑らかに前後にスライドするので、運動学的球は静止している。破線514及び516のような破線は、ビーム208を遮られずに透過できるようにする第2の支持体314中の開口部を特定する。例えば、破線514及び516は、
図2に示す開口部212を特定し、ビーム208はこの開口部212を通って、開口部212の上に配置されたアレイ310と相互に作用する。ポリクロイックミラーは、ビーム208の選択されたチャネルを反射して、開口部518を通り、ミラー支持体218のミラー216から反射されて、開口部222を通って、ビーム224として対物レンズに入る。
【0013】
図6は、第1の支持体312及び第2の支持体314、並びにポリクロイックミラーアレイ310の断面図を示す。
図6に示すように、運動学的球506及び508は、第1の支持体312の対応する受け口602及び604に位置している。またスライディング要素510〜512は、第2の支持体314の開口部に挿入されたホルダー605〜607のばね荷重受け口内に設置されている。例えば、要素511は、ホルダー606の受け口に位置しており、ばね608によって押し出される。第1の支持体312に設置された各運動学的球は、第2の支持体314に設置された対応するスライディング要素の反対側に位置していることに注意する。スライディング要素510〜512に対してばねが及ぼす力は、面404を運動学的球506〜508に押しつける。例えば、ばね荷重スライディング要素510及び511は、対応するばねによって第2の面406に押され、第2の面406が同様に、第1の面404を運動学的球506及び507に押しつける。結果として、アレイ310は、運動学的球506〜508及びスライディング要素510〜512によってyz面の定位置に維持され、運動学的球506〜508は、対応する受け口に静止して配置され、プレート400はスライディング要素510〜512と運動学的球506〜508との間をスライドすることができるので、アレイ310は、第1の支持体312と第2の支持体314との間でしっかりと定位置に維持され、x方向に開口部502内で前後に動かすことができる。言い換えれば、プレート402の第1の面404が運動学的球506〜508の上をスライドするとき、ポリクロイックミラーの反射面は、スライディング運動全体を通して単一平面内に維持される。結果として、プレート402の繰返し動作後に、ポリクロイックミラー412〜415の相互の位置合わせを維持することができる。
【0014】
多くの異なる成分で構成される試料が、
図1に関して上述したモジュラー撮像システムの試料台に設置されたスライドに置かれる。試料の各タイプの成分は、特定の蛍光プローブで標識付けすることができる。言い換えれば、各タイプのプローブは、試料の特定の成分に特に結合するように設計され、異なるタイプの蛍光色素分子が、特定のタイプのプローブと結合される。上述のように、ビーム208は、いくつかの別個の、高強度の、実質的に単色の励起チャネルから成る。試料がビーム208によって照らされるとき、各チャネルによってあるタイプの蛍光色素分子が、電磁スペクトルの可視部に異なるチャネルを有する光を発するようになる。結果として、試料の各成分を、異なる関連チャネル又は色で表示することができる。蛍光色素分子から発せられる光の異なる波長は、「発光チャネル」と呼ばれる。
図5に示すように、アレイ310の特定のポリクロイックミラーをスライドさせてビーム208の光路に入れることによって、試料の成分の異なるサブセットを照らすことができる。言い換えれば、アレイ310の各ポリクロイックミラーは、開口部212を通して励起チャネルセレクター214に入力されるビーム208の励起チャネルの異なるサブセットを反射する。励起チャネルの特定のサブセットは、ポリクロイックミラーアレイ310をスライドさせることによって選択され、ポリクロイックミラーが、励起チャネルの選択されたサブセットを、ミラー支持体218のミラー216に反射するようになる。
【0015】
図7は、励起光のビームの励起チャネル並びにアレイ310のポリクロイックミラー412〜415と関連する透過率及び反射率の例示的グラフ701〜704を示す。各グラフは、横軸706のような、波長を表す横軸と、縦軸708のような、強度を表す第1の縦軸と、縦軸710のような、反射率及び透過率のパーセンテージを表す第2の縦軸とを含む。グラフ701〜704では、各ピークが、特定の励起チャネルを中心とする波長の非常に狭い範囲を表す。例えば、ピーク712は、励起チャネル
λ
3ex
を中心とする。曲線714のような実線の曲線は、反射率を表し、曲線716のような破線の曲線は、透過率を表す。各ポリクロイックミラーは、励起チャネルのあるサブセットを反射すると同時に、他の励起チャネルを透過させるフィルタとして作用する。例えば、グラフ701〜704は、それぞれポリクロイックミラー412〜415の反射率及び透過率を表すことができる。グラフ701では、ミラー412は、チャネル
λ
1ex、λ
4ex及びλ
5exを反射し、チャネルλ
2ex及びλ
3exを透過させる。グラフ702では、ミラー413は、チャネルλ
3ex、λ
4ex及びλ
5exを反射し、チャネルλ
1ex及びλ
2exを透過させる。グラフ703では、ミラー414は、チャネルλ
1ex、λ
3ex及びλ
5exを反射し、チャネルλ
2ex及びλ
4exを透過させる。グラフ704では、ミラー415は、チャネルλ
1ex及びλ
5exを反射し、チャネルλ
2ex、λ
3ex及びλ
4exを透過させる。
【0016】
図8は、
図4Cに示すアレイ310の断面図を示す。ポリクロイックミラー413の反射面802は、第1の面404に取り付けられ、穴409を通して露出される。
図8に示すように、ビーム208は、励起チャネルλ
1ex、λ
2ex、λ
3ex、λ
4ex及びλ
5exから成り、穴409を通ってミラー413の反射面802に当たる。破線の方向矢印804は、透過された励起チャネルを表し、実線の方向矢印806は、反射された励起チャネルを表す。グラフ702に関して上述したように、励起チャネルλ
3ex、λ
4ex及びλ
5exは、穴409を通過するビーム802として面418から反射され、励起チャネルλ
1ex及びλ
2exは、ビーム804としてミラー413を透過される。
【0017】
前述の内容は、説明のために、本開示を完全に理解できるように特定の名称を使用した。しかしながら、本明細書に記載するシステム及び方法を実践するために特定の詳細は必要とされないことは、当業者には明らかであろう。特定の例の前述の内容は、例示及び説明のために提示している。例は、網羅的であること又は本開示を記載した精密な形に限定することを意図していない。例えば、ポリクロイックミラーアレイは、一連の4つのポリクロイックミラーに限定されない。アレイは、線形又は一次元の配列を用いて任意の数のポリクロイックミラーで構成することができる。さらに、ポリクロイックミラーアレイは、
図9に示すように、二次元アレイのポリクロイックミラーで構成することができる。
図9では、アレイ900は、反射面をプレート904の第1の平面902に取り付けた2列のポリクロイックミラーから成る。ミラーの反射面は、
図4に関して上述したように、対応する穴を通して露出される。他の実施形態では、アレイは、第1の面と第2の面が平行であることに限定されない。第1の面と第2の面は、平行ではない可能性があり、プレートは、均一の厚さではないことがある。他の実施形態では、第1の面は、上述のように高度に磨かれた平面である可能性があり、第2の面は高度に磨かれた平面ではない。さらに他の実施形態では、第1の面は、プレートに接着されるとき単一の運動面に対応する同じ平面内にあるようにポリクロイックミラーを支持するために第1の面の平面に2つ以上の支持部分を残しつつ、例えば機械加工又はエッチング加工によって、開口部の周囲のプレートの領域に1つ以上のくぼみを設けることができる。
【0018】
明らかに、上記の教示に照らして多くの変更形態及び変形形態が考えられる。例は、本開示の原理及び実際の応用を最も良く説明するために示して記載しており、それによって当業者が、予想される特定の利用に適合する様々な変更形態とともに本開示及び様々な例を最も良く利用できるようにする。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されるものとする。
【符号の説明】
【0019】
208 ビーム
212 開口部
216 ミラー
218 ミラー支持体
222 開口部
224 ビーム
310 ポリクロイックミラーアレイ
312 支持体
314 支持体
402 プレート
404 第1の面
406 第2の面
412 ポリクロイックミラー
502 開口部、ねじ
504 ねじ
506 運動学的球
507 運動学的球
508 運動学的球
510 スライディング要素
511 スライディング要素
512 スライディング要素
514 破線
516 破線
518 開口部