(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口部を閉塞する密封を提供する、前記第1のプレート、前記第2のプレート、及び前記第3のプレートの1つ以上を覆う、ポリテトラフルオロエチレンを含んでなるカバーをさらに含んでなる、請求項1に記載の装置。
前記第1のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第2のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第1のワイヤーの前記第2の幾何学的形態、及び前記第2のワイヤーの前記第2の幾何学的形態の少なくとも1つが、その中に形成される柔軟な接続部を含む請求項23の装置。
前記第1のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第2のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第1のワイヤーの前記第2の幾何学的形態、及び前記第2のワイヤーの前記第2の幾何学的形態の各々が、それぞれのその中に形成される柔軟な接続部を含む請求項25の装置。
前記第1のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第2のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第1のワイヤーの前記第2の幾何学的形態、及び前記第2のワイヤーの前記第2の幾何学的形態の少なくとも1つが、伸びしろを有する請求項27の装置。
前記第1のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第2のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第1のワイヤーの前記第2の幾何学的形態、及び前記第2のワイヤーの前記第2の幾何学的形態の各々が、それぞれの伸びしろを有する請求項29の装置。
前記第1のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第2のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第1のワイヤーの前記第2の幾何学的形態、及び前記第2のワイヤーの前記第2の幾何学的形態の少なくとも1つが、その中に形成されるばねを含む請求項31の装置。
前記第1のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第2のワイヤーの前記第1の幾何学的形態、前記第1のワイヤーの前記第2の幾何学的形態、及び前記第2のワイヤーの前記第2の幾何学的形態の各々が、その中に形成されるばねを含む請求項33の装置。
【背景技術】
【0003】
心閉塞装置(heart occlusion device)は、医療分野において、心房中隔欠損症(atrial septal defects、「ASD」)、卵円孔開存(patent foramen ovale、「PFO」)欠陥、心室中隔欠損症(ventricular septal defects、「VSD」)、及び動脈管開存(patent ductus arteriosus、「PDA」)欠陥などの先天性の心臓欠陥を矯正するために使用される。PFOは、
図1の110に例示されており、心臓100の右心房102と左心房104との間の壁における、持続する、一方向の、通常はフラップ(flap)様の開口部である。卵円孔110は、胎児が子宮内で在胎されている際、望ましい目的を果たす。胎児の心臓の循環系は、発育中の肺を通してではなく、臍帯を通して酸素が血液に送り込まれるので、血液が右左短絡のための生理的導管として卵円孔を通して流れることを可能になる。生後、肺循環の確立とともに、左心房の血流及び左心房圧が増加して、卵円孔の機能的な閉鎖をもたらす。次いで、この機能的な閉鎖の後に、2つの重複組織層である一次中隔118及び二次中隔120から成る生体構造的な閉鎖が続く。
【0004】
ところが、PFOは多くの成人で存続することが分かっている。左心房(LA)圧は、普通は右心房(RA)圧より高いので、フラップは通常は閉じたままである。しかし、ある条件下では、右心房圧が左心房圧を超え得ることがあり、血液が右心房102から左心房104へ流れたり、血塊が体循環に入る可能性が生まれる。この状況は取り除かれることが望ましい。
【0005】
PFO欠陥の存在は、概して、他の面では健常な成人において治療の結果をもたらさないと考えられている。PFO欠陥を介した奇異性塞栓症は、PFOの存在下で脳卒中又は一過性脳虚血発作(transient ischemic attack、TIA)を患い、虚血性脳卒中の別の原因が特定されていない患者の診断において検討される。現在のところ因果関係の決定的証拠はないが、多くの研究により、PFO欠陥の存在と奇異性塞栓症又は脳卒中のリスクとの間に強い関連性があることを裏付けている。くわえて、脳血管イベントを経験したことのあるPFO欠陥の患者が、脳血管イベントを将来再発する危険性が高いという有効な証拠がある。
【0006】
従って、そのようなリスクの高い患者には、塞栓事象の再発のリスクを低減する予防的医学療法が考えられる。こられの患者は通常、経口血液凝固阻止薬を用いて治療されるが、経口血液凝固阻止薬には、出血、血腫、及びさまざまな他の薬物との相互作用などの有害な副作用の可能性がある。これらの薬物の使用により、患者個人の回復が変化したり、患者個人の日常生活パターンの調製が必要となりうる。
【0007】
抗凝血が禁忌である場合などのある特定の場合には、PFO欠陥を閉鎖するのに外科手術が必要であるか、又は望ましいことがある。手術は典型的には、二次中隔を一次中隔に付着させることによって閉鎖されるPFOを縫合することを含む。この縫合付着は、断続縫合又は連続縫合のいずれかを使用して達成でき、外科医が直接可視化の下でPFOを閉じる一般的な方法である。
【0008】
傘型装置(Umbrella devices)及びさまざまな他の類似の機械的閉鎖装置が、当初は心房中隔欠損症(ASD)の経皮的閉鎖のために開発され、症例によってはPFOを閉鎖するのに使用されてきている。これらの装置により、患者が、抗凝固療法に伴うことが多い副作用及び侵襲的手術のリスクを回避したり軽減したりできる可能性がある。しかし、ASD用に設計されている傘型装置などは、PFO閉鎖装置として使用するには最適ではない場合がある。
【0009】
ある種の現在利用可能な中隔閉鎖装置には、技術的に複雑な埋め込み手順といった難点があり得る。くわえて、血栓、構成要素の破損、伝導系の乱れ、心臓組織の穿孔、及び遺残漏出に起因して、合併症の可能性がある。ある種の装置は、高度な中隔としての特性(high septal profile)を有し、大量の異物を含み、装置の好ましくない身体の順応につながりうる。ASD装置が、穴部を閉塞するように設計されていることを考えると、そのような装置の幾つかは、PFOのフラップ様の生体構造との生体構造的な一致を欠いている。PFOのフラップ様の開口は複雑で、中央柱をもつ装置又は自己センタリング(self-centering)装置では、PFO欠陥を閉鎖する際に大変望ましい結果である完全な欠陥の閉鎖が可能でない場合がある。故に、欠陥に適合できるウエスト(waist、腰状のくびれ)をもつ装置は、欠陥を完全に閉じる可能性がより大きいことになる。閉塞密封が形成される場合でも、その装置は心臓に斜めに留置(deploy、展開)される可能性があり、幾つの構成要素が中隔に対して不安定に固定されたままになり、それによって血液動態障害による血栓形成のリスクがある。そして、幾つかの中隔閉鎖装置は、製造が複雑で、結果として一貫性のない製品性能をもたらす可能性がある。
【0010】
他の心欠陥、例えば、ASD、VSD、PDAを閉塞する、ある種の装置もまた、潜在的な欠点をもつ。例えば、ある種の現在利用可能な装置は、自己センタリング又は非自己センタリング(non-self-centering)のいずれかである傾向があり、心臓内の生体構造に適切に適合しないことがある。これらの特徴の両方は、明白な有利な点及び不利な点をもつ。非自己センタリング装置は、完全に欠陥を閉鎖しない可能性があり、大きさが著しく過大である必要である可能性がある。この種の装置は、大きい欠陥に対しては利用可能ではないことがある。さらに、自己センタリング装置は、大きさが適切ではない場合、心臓に損傷を与える可能性がある。幾つかの装置は鋭い縁を有し、潜在的な臨床における問題を引き起こして心臓を損傷する可能性がある。幾つかの装置は過剰のニチノール/金属を含有し、患者に望ましくない反応をもたらす可能性がある。幾つかの現在のところ販売されている装置には、非常に多くのモデル数(数種の大きさで入手可能)があり、先天的及び器質的心臓治療介入プログラムを始めるにあたり、病院及び市場が投資することを困難かつ非経済的にしている。本開示は、ある種の既存の閉鎖装置のこれらの欠陥及び他の欠陥に対処するように設計されている。
【0011】
装置はまた、血管の内腔の閉塞や血管壁における開口部の閉塞などの用途といった他の開口部の閉塞にも使用される。
【0012】
従って、組織又は血管における開口部を閉塞するための改良された装置を提供することが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい機構及び特徴が、添付図面及びこの背景技術と併せて、以下の詳細な説明及び添付の請求項から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の詳細な記載は、本質的に例示に過ぎず、本開示又は本開示の適用及び使用を制限することを意図するものではない。さらに、前述の背景技術又は以下の詳細な説明に提示されている、いかなる理論に拘束されることを意図はない。
【0047】
本開示は、体組織又は血管内の開口部を閉塞する装置を提供する。本開示の装置及び方法は、本明細書において論じられている特定のものに加えて、他の生体構造上の状態を治療するのに使用されうることを、当業者なら理解するであろう。従って、本開示は、いかなる特定の生体構造上の状態への適用性に限定されると見なされるべきではない。
【0048】
本明細書において記載されているように、
図1は、右心房102、左心房104、右心室106、及び左心室108を有するヒトの心臓100を例示する。さまざまな生体構造上の異常110、112、及び114を示す。心房中隔116は、一次中隔118及び二次中隔120を含む。中隔116の生体構造は、集団内で大きく異なる。一部の人々では、一次中隔118は、二次中隔120に延び、二次中隔120と重なる。一次中隔118は、非常に薄い場合がある。PFOが存在する場合、血液は、一次中隔118と二次中隔120との間の孔110(「PFOトンネル」と呼ばれる)を通して流れうる。さらに又は代わりに、ASDの存在は、例えば開口部112で概略的に例示されている中隔組織における開口部を通して血液が流れることを可能にしうる。VSDは、開口部114が心臓の左心室と右心室との間の中隔に存在すること除いて、ASDと同類である。
【0049】
PDAは、動脈管における欠陥によって起こる。ヒトの血液循環は、体循環回路及び肺循環回路を含んでなる。ヒトの発育における胎児期(embryonic phase)では、前記2つの循環回路は、動脈管によって互いにつながっている。その管は、大動脈(体への循環)を肺動脈(肺循環回路)に接続する。乳児の正常な発育過程において、生後、この管は閉じられる。発育が不全である場合、その管が閉じず、その結果として2つ血液循環回路が生後でもつながったままであることが起こりうる。
【0050】
本明細書で使用される場合、本出願において、「遠位」はカテーテル挿入位置から離れた方向を指し、「近位」は挿入位置により近い方向を指す。本明細書で使用される場合、「記憶」又は「形状記憶」は、保存の間又は生体内送達プロセスの間といった時間の間、変形しても、意図された形状を回復及び維持する材料の性質を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「開口部(aperture)」は、患者の体における隙間、穴部、又は開口を指す。開口部は、組織(例えば、臓器を含む)、又は血管にありうる。例として、心臓組織における開口部としては、PFO、ASD、VSD、及びPDAが挙げられるが、これらに限定されない。血管における開口部としては、血管の壁における開口部(例えば、限局性大動脈欠陥(focal aortic defect)、偽性動脈瘤、穿通性潰瘍、又は大動脈解離における真腔と偽腔との連絡異常)が挙げられるほかに、動脈又は静脈自体が挙げられ、ここで開口部は血管の内腔を指す。
【0052】
以下、
図2〜15を参照するに、本開示のオクルーダー装置(occluder device、閉塞器)200が提供される。簡潔さのために、「オクルーダー装置200」という用語は、全体を通して総称的に使用されているが、実施形態又は説明において、カバーが描写又は記載されてない場合、その実施形態は「オクルーダーの骨組み」を指していることが理解されるべきである。同様に、実施形態においてカバーが描写又は記載されている場合、その実施形態は「オクルーダー装置」を指していることが理解されるべきである。
【0053】
オクルーダー装置200は、例えば、
図1で描写された心臓100の異常110、112、114の1つ以上などの心臓の欠陥を含む開口部を閉塞するように構成される。また、血管オクルーダー又は栓としての使用及び心耳オクルーダーとしての使用に、装置が適用されることを当業者なら分かるであろう。
【0054】
図2に描写されているように、オクルーダー装置200は、2つの別個の独特の形状をした記憶ワイヤー201を含んでなる。幾つかの実施形態では、一対の形状記憶ワイヤーの1つの部材は、その一対のもう1つの部材の形状と異なる形状に作られる一方で、幾つかの実施形態では、一対の形状記憶ワイヤーの各部材は、その一対のもう1つの部材の形状と同一の形状を有する。記憶ワイヤー201は、生体吸収性ポリマー、形状記憶ポリマー、形状記憶合金、生体適合性金属、生体吸収性金属、又はそれら組み合わせなどの生体適合性金属又は生体適合性ポリマーから形成されることができる。具体例としては、鉄、マグネシウム、ステンレス鋼、ニチノール、又はこれらの及び/若しくは類似の材料の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本開示のための好ましい金属は、ニチノール合金である。ニチノール(Nickel(ニッケル)Titanium(チタン)Naval Ordinance Laboratory(海軍兵器研究所)の頭字語)は、金属間材料の仲間であり、ニッケル(55重量%)及びチタンのほぼ等量の混合物を含む。他の元素を加えて、材料の性質を調節又は「調整する(tune)」ことができる。ニチノールは、独特の性状、具体的には明確な「形状記憶」及び超弾性を呈する。概して、記憶能をもついかなる生体適合性材料が、本開示で使用されることができる。形状記憶ポリマー及び形状記憶合金の熱形状記憶及び/又は超弾性の性質により、オクルーダー装置200は、送達プロセス(delivery process)の間に変形しても、その装置の意図された形状を生体内で回復及び維持することができる。ある実施形態では、その記憶はまた、PFOトンネルなどの開口部を押圧する助けとなりうる。ワイヤーの直径又は厚さは、装置の大きさ及び種類に依り、つまり装置が大きいほど、ワイヤーの直径が大きい。概して、直径が約0.2mm〜0.8mmのワイヤーが使用されることができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、オクルーダーは、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、又は6つ以上の別個の独特の形状をした記憶ワイヤーを含む。そのような実施形態の幾つかでは、1つ以上の形状記憶ワイヤーが、他の形状記憶ワイヤーの形状と異なる形状を有する一方で、幾つかの実施形態では、2つ以上の記憶ワイヤーが同一の形状を有し、他の実施形態では、形状記憶ワイヤーの各々が同一の形状を有する。
【0056】
図2〜5の実施形態では、記憶ワイヤーは、第1のワイヤー202及び第2のワイヤー204を含んでなる。ある実施形態では、記憶ワイヤー201は、1つ以上のさらなるワイヤーをさらに含んでいてもよい。
図2〜5の実施形態では、ワイヤー202、204の各々は、他のそれぞれのワイヤー204、202の形状を鏡映する形状を形成する。その他の実施形態では、異なるワイヤー201のそれぞれの形状は、例えば、対角関係又は対となって鏡映した関係(double-mirrored relationship)によって、その他の面では互いに関連しうる。
【0057】
第1のワイヤー202は、1つ以上の第1の幾何学的形態206及び1つ以上の第2の幾何学的形態208を形成する。本明細書において使用される場合、「幾何学的形態」は、対称の形態も非対称の形態も含んでなる。下記でさらに詳細に論じられている送達取り付け機構すなわちハブ230に関連して、第1のワイヤー202の第1の幾何学的形態206は、好ましくは遠位の幾何学的形態を含んでなり、第1のワイヤーの第2の幾何学的形態208は、好ましくは各々、近位の幾何学的形態を含んでなる。
図2〜5の実施形態では、第1のワイヤー202の、単一で第1の又は遠位の幾何学的形態206が存在する。また、
図2〜5の実施形態では、第1のワイヤー202の、2つの第2の又は近位の幾何学的形態208(すなわち、208(A)及び208(B))が存在する。しかし、第1のワイヤー202の第1及び/又は第2の幾何学的形態206、208の数及び構造は異なりうる。
【0058】
同様に、第2のワイヤー204は、第1の幾何学的形態210及び第2の幾何学的形態212を形成する。ハブ230に関連して、第2のワイヤー204の第1の幾何学的形態210は、好ましくは遠位の幾何学的形態を含んでなり、第2のワイヤーの第2の幾何学的形態212は、好ましくは近位の幾何学的形態を含んでなる。
図2〜5の実施形態では、第2のワイヤー204の、単一の第1の又は遠位の幾何学的形態210が存在する。また、
図2〜5の実施形態では、第2のワイヤー204の、2つの第2の又は近位の幾何学的形態212(すなわち、212(A)及び212(B))が存在する。しかし、第2のワイヤー204の第1及び/又は第2の幾何学的形態210、212の数及び構造は異なりうる。
【0059】
第1のワイヤー202の第1の幾何学的形態206及び第2のワイヤー204の第1の幾何学的形態210は、第1の平面218における、ディスクなどの第1のプレート、又はそうでなければ別の比較的平坦な面(以降、「プレート」と呼ばれる)214を形成する。第1のワイヤー202の第2の幾何学的形態208及び第2のワイヤー204の第2の幾何学的形態212は、第1の平面218に平行で第1の平面218から離れている第2の平面220における第2のプレート216を形成する。
図2〜5の実施形態では、第1及び第2のプレート214、216は各々、1つ以上の半円のディスクを含んでなる。しかし、このことは他の実施形態では異なる可能性がある。というのは、第1及び第2のプレート214、216は、多くの他の異なる型の幾何学的形態のいずれか1つ又はそれより多くを含んでいてもよいからである。
【0060】
具体的には、
図2〜5の実施形態では、ワイヤー202、204の各々は、2つの近位の四半円又は四半ディスク208(A)、208(B)、又は212(A)、212(B)に加えて、それぞれの遠位の半円又は半ディスク206、210を形成する。各ワイヤーの2つの近位の四半円は一緒に、近位の半円又は半ディスク208(A)、208(B)、又は212(A)、212(B)を形成する。それぞれのワイヤー202、204各々の2つの遠位の半円は一緒に、オクルーダー装置200の遠位のプレート214(
図2〜5では遠位のディスクとして描写されている)を含んでなる。4つの近位の四半円208(A)、208(B)、212(A)、212(B)は、
図2〜5の実施形態では、「四つ葉のクローバー(four-leaf clover)」構造を形成し、オクルーダー装置200の近位のプレート216(
図2〜5では近位のディスクとして描写されている)を含んでなる。
【0061】
図2〜5の実施形態では、各ワイヤー201の近位の半円208(A)、208(B)、又は212(A)、212(B)は、ウエスト(waist)構成要素224、226によって形成されるウエスト222によって、遠位の半円206又は210に接続される。
図2に示されるように、第1のワイヤー202の2つのウエスト構成要素224及び第2のワイヤー204の2つウエスト構成要素226が存在する。4つのウエスト構成要素(各ワイヤーから2つ)224、226は一緒に、オクルーダー装置200の限定された領域すなわちウエスト222を含んでなる。同一ワイヤー内のウエスト構成要素間の距離及びワイヤー間のウエスト構成要素間の距離の両方が、ウエスト222の大きさを決める。ウエスト222の大きさは、特定の適用及びオクルーダー装置200の大きさに依存する。ウエスト構成要素224、226の弾力性及び記憶、ならびに放射状に拡張する能力が、心臓開口部におけるオクルーダー装置200の自己センタリング機構としての役割を果たす。第1及び第2のワイヤー202、204は、送達取り付け機構又はハブ230に、取り付けられるか、結合されるか、又はそうでなければ連結される。ワイヤー202、204の端232、234は、ハブ230に溶接されるか、接着されるか、又はそうでなければ付着される。
【0062】
本明細書において想定されるある実施形態よれば、遠位のプレート214及び/又は近位のプレート216は、
図6及び7に例示される膜質のカバー236及び238を含みうる。膜質のカバー236及び238は、開口部をより完全に覆うことを確実にし、組織の封入(encapsulation)及び内皮化(endothelialization)を促進し、それによってさらに組織の生体構造的な閉鎖を促進して閉鎖率を向上する。カバー236及び238はまた、オクルーダー装置200を安定化する助けになる。
【0063】
図6及び7では、プレートは、それぞれのカバーを含んで描写されている。例えば、カバー236及び238は
図6に描写され、カバー236は
図7に描写されている。同様に、
図12に関連して下記でさらに記載される第3のプレート217もまた、同様の膜質のカバーを含みうる。しかし、ある実施形態では、1つ以上のプレートはカバーを含んでいてもよく、一方である別のプレートはカバーを含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上のプレートは、少なくとも部分的に膜質のカバーで覆われる。くわえて、ある実施形態では、ウエスト(
図6又は
図7には示されていない)もまた、膜質のカバーを含んでいてもよく、一方で他の実施形態では、ウエストは膜質のカバーを含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、ウエストは、部分的に膜質のカバーで覆われる。
【0064】
膜質のカバー236及び238は、組織増殖を促進することができる、及び/又は封止材として作用することができる、いかなる柔軟な生体適合性材料から形成されてもよい。好適な膜質のカバーとしては、例えば、DACRON.RTM.、ポリエステル織物、テフロン−系材料、ePTFE、ポリウレタン、金属材料、ポリビニルアルコール(PVA)、細胞外マトリックス(ECM)、もしくは他の生体工学材料、合成生体吸収性高分子材料、他の天然材料(例えばコラーゲン)、又は前述の材料の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、米国特許第7,335,426号(該特許の全体が参照により本願明細書に組み込まれる)に記載されているように、膜質のカバー236及び238は、薄い金属膜又は金属箔、例えばニチノール膜又はニチノール箔から形成されうる。1つの好ましい材料は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)であり、厚みなどの幾つかの重要な特長と、伸縮能力とを兼ね備えているからである。また、カバーをオクルーダー装置200にしっかりと留めるために、輪状のものが、膜質のカバー236及び238に縫い付けられることがある。カバーは、さらに又は代わりに、ワイヤー(
図6又は
図7には示されていない)を介してオクルーダー装置200に接着されるか、溶接されるか、又はそうでなければ取り付けられうる。
【0065】
上で述べたように、膜質のカバーの微多孔性構造は、組織内部成長及び/又は内皮化を促進するよう調整することができる。例えば、カバーは、さまざまな化学的又は物理的プロセスによって改変され、ある特定の機械的性質又は物理的性質を高めることができる。親水性のコーティングがカバーに塗布され、カバーの湿潤性及び/又はエコー透過性(echo translucency)を促進することができる。くわえて、生理化学的な修飾が用いられて、それによりカバーは、内皮細胞接着(endothelial cell attachment)、遊走(migration、移動)、及び/もしくは増殖を促進するか、又は血栓形成に抵抗する化学部分を含むことができる。共有結合ヘパリンで修飾された面は、カバーの修飾の1つの例である。
【0066】
幾つかの実施形態では、カバーは開口部を通した血流を妨げる(例えば急性閉塞)、一方で他の実施形態では、カバーの微多孔性により、開口部を通した幾らかの血流を許容する(例えば部分閉塞)。そのような実施形態の幾つかでは、カバーの組織内部成長及び/又は内皮化によって、この血流は時間と共に減少する。
【0067】
幾つかの実施形態では、プレート214、216は、同じ大きさであり、ハブ230を中心とする。その他の実施形態では、プレート214、216は、同じ大きさではないことがある。さらに他の実施形態では、プレート214、216は、同じ大きさではあるが、ハブ230から相対する方向へのシフトにより互いにずれていることがある。
【0068】
遠位のプレート214及び近位のプレート216の直径は、接続しているウエスト222の直径より、概ね5〜8mm大きい。例えば、接続しているウエスト222直径が4mmである場合、プレート214、216直径は、概ねそれぞれ約9mmである。ウエスト222における柔軟性のために、ウエストが12mmの装置は、6mm〜12mmの欠陥内に設置できることになる。より大きいウエスト222又はより大きい装置に関しては、プレートの大きさの直径は、比例して増加することになる。
【0069】
多くの異なる大きさで入手可能なオクルーダー装置を想定することは、本開示の範囲内である。幾つかの実施形態では、装置は、次の直径を有するウエストの大きさを含む:6mm、12mm、18mm、24mm、30mm、36mm、及び42mm。
【0070】
概して、オクルーダー装置200は開口部に挿入され、それを通して血液の流れを妨げうる。非限定的な例として、(
図1における心臓100に示されるように)遠位のプレート214が左心房104に位置し、近位のプレート216が右心房102に位置するように、オクルーダー装置200は、PFO110又はASD112を通って延びうる。上で言及したように、血管オクルーダー又は栓としての使用及び心耳オクルーダーとしての使用にオクルーダー装置200が適用されることを当業者なら分かるであろう。これらの組織及び他の組織における開口部の閉鎖、ならびに他の種類の開口部の閉鎖が、下記のように明らかになるであろう。
【0071】
以下に
図8〜10を参照するに、オクルーダー装置200は、ハブ230においてオクルーダー装置200に取り外し可能に取り付けられている留置ケーブル240に取り付けられる。
図10に例示されるように、留置ケーブル240をハブ230に解放可能に取り付ける方法の1つは、ハブ230内の見えていない雌ねじと係合するねじ端248を利用するねじ式の係合による。他の公知の取り付け手段が、留置ケーブル240を、取外しが可能にハブ230に接続するのに使用できる。
【0072】
幾つかの実施形態では、オクルーダー装置200は、装置の近位端及び遠位端の両方にハブ230を含み、使用者は装置の方向付けを簡便に選択できるようになる。また下記のように、ハブ230により、使用者がそのように望む場合、装置を再配置できるようになる。
【0073】
留置ケーブル240が、
図8及び9に例示されるように、ハブ230に係合される場合、オクルーダー装置200は、オープンチャネル(開放流路)244を有する柔軟な送達カテーテル242内に初めは収納される。
図8を参照して、ワイヤー202及び204の記憶拡張(memory expansion)のために、遠位のプレート214が拡張され、送達カテーテル242のオープンチャネル244内に収納されているオクルーダー装置200を例示する。オクルーダー装置200の設置の初期段階の間に、遠位のプレート214及び近位のプレート216の両方、ならびにカバー236及び238は、送達カテーテル242のオープンチャネル244内に収納されている。このように、カテーテル242は、既に設置されている鞘(sheath)を通して血管に送り込まれ、血管系を介して例えば組織における開口部(例えば、PFO、ASD、VSD、PDAを含む心臓における開口部、又は心耳)を含む開口部へ進められる。上記のように、オクルーダーはまた、血管の内腔を閉鎖もしくは遮蔽したり、又は血管の壁における開口部を閉鎖もしくは遮蔽するのに使用されうる。
【0074】
送達カテーテル242が、閉塞すべき開口部、例えば心臓における穴をいったん横断すると、
図8に例示されるように、オクルーダー装置200はカテーテル242から部分的に進められることになる。オクルーダー装置200はカテーテル242を離れるので、カバー236を含む遠位のプレート214は、開口部の遠位側に拡張し始める。ワイヤー202及び204の記憶能に起因して、オクルーダー装置200は、遠位のプレート214が開口部の遠位側に拡張するように、オクルーダー装置200の通常の形状に戻り始める。
図9に示されるように、いったん遠位のプレート214が、完全にカテーテルの開口244の中から出ると、遠位のプレート214及び取り付けられているカバー236は完全に拡張されるようになる。さらに、カテーテル242は引き抜かれて、ウエスト222を剥き出しにし、これが次いでワイヤー202及び204の記憶形状に起因して、出現及び拡張し始める。有利には、ウエスト222は拡張するように設計され、その結果、ウエスト222を形成しているワイヤーの各々が開口部に対して付勢されて、オクルーダー装置200の、開口部内にぴったり適合すべく特別に作られた装置(custom fit device)をもたらす。カテーテル242がさらに引き抜かれるにつれて、近位のプレート216及びカバー238は、開口部の近位側に拡張するプロセスを開始する。近位のプレート216がカテーテル242から完全に送達されたとき、近位のプレート216が拡張し、開口部を覆う密封を効果的に形成することになる。遠位のプレート214及び近位のプレート216は、開口部に対して付勢しているウエスト222中のワイヤーの作用によって適所に固定される。この段階において、
図10に示されるように、留置ケーブル240はハブ230から取り外され、カテーテル242及び留置ケーブル240は体から取り外される。オクルーダー装置200は、開口部の部位に残される。数箇月にわたって、組織及び他の膜質の構造体が、オクルーダー装置200に結合して、それによってオクルーダー装置200を開口部の特定の領域に永久に固定することになる。
【0075】
2つのワイヤー202、204は、開口部の各側に円形のプレート214、216を形成する機能を果たす。ワイヤー202、204の記憶能により、プレート214、216は円形の形状を維持する。幾つかの実施形態では、カバー236、238は、ディスクを安定化する助けになり、好ましくは欠陥を完全に閉塞するように作用する。
【0076】
自己センタリングが望ましい実施形態では、ウエスト構成要素224、226におけるワイヤー202、204は、オクルーダー装置200を自己センタリングさせるのに充分に、ウエスト222において隔たれているであろう。この設計の適合性により、オクルーダー装置200は、ウエスト222が開口部のいかなる型にも適合できるので、通常の形(例えば円形、楕円)をした中隔の欠陥の内部で自己センタリングすることになる。
【0077】
より大きい直径のウエスト222が必要な場合、ウエスト222は、バルーンの助けを得て、(必要に応じて)より大きいサイズに拡張する能力を有する。このように、中央チャネル(中央流路)246が、留置ケーブル240、ハブ230、及びねじ端248を通って延びる。オクルーダー装置がカテーテル242から取り外されて拡張した後、しかしハブ230が留置ケーブル240から外される前に、バルーン(示されていない)が、中央チャネル246を通して付勢される。バルーンはウエスト222内に設置され、拡張される。ウエスト222は、バルーンの弱い圧力がかかったとき、膨張可能(dilatable)、すなわち拡張可能である。ウエスト222の膨張により、ウエスト構成要素224、226が拡張することになる。いったん所望の直径に達すると、バルーンは収縮され、中央チャネル246を通して引き抜くことによって取り外される。オクルーダー装置200が安定しているようになったら、上で論じられたように、オクルーダー装置200は留置ケーブル240から離される。大抵の場合、バルーン膨張は必要でないだろう。
【0078】
図11〜15を参照して、オクルーダー装置及び/又はその構成要素に関して、さまざまな好ましい実施形態が提供されている。
図11及び11Aは、第1のワイヤー202をもつ、本明細書において想定されるオクルーダー装置の実施形態、及び第1のワイヤー202のずらした配置の幾何学的形態206、208を描写している。第2のワイヤー及び第2のワイヤーのずらした配置の幾何学的形態は、
図11に示されていない。
図11Aは、
図11の実施形態に関して参照のために、
図2の第1及び第2の平面218、220についての平面四半部(planar quadrants、象限)の好ましい区分を描写している。4つ未満又は4つを超える四半部が利用できることを、当業者なら分かるであろう。
【0079】
図11及び11Aを参照して、
図2の第1の平面218は、第1の四半部(第1象限)1401(A)、第1の四半部1401(A)に隣接する第2の四半部(第2象限)1402(A)、第1の四半部1401(A)の下方にある第3の四半部(第3象限)1403(A)、及び第2の四半部1402(A)の下方にあり、第3の四半部1403(A)に隣接する第4の四半部(第4象限)1404(A)を有する。
図2の第2の平面220は、第1の四半部1401(B)、第1の四半部1401(B)に隣接する第2の四半部1402(B)、第1の四半部1401(B)の下方にある第3の四半部1403(B)、及び第2の四半部1402(B)の下方にあり、第3の四半部1403(B)に隣接する第4の四半部1404(B)を有する。第1の平面218の第1の四半部1401(A)は、第2の平面220の第2、第3、又は第4の四半部1402(B)、1403(B)、1404(B)より第2の平面220の第1の四半部1401(B)に近い。第1の平面218の第2の四半部1402(A)は、第2の平面220の第1、第3、又は第4の四半部1401(B)、1403(B)、1404(B)より第2の平面220の第2の四半部1402(B)に近い。第1の平面218の第3の四半部1403(A)は、第2の平面220の第1、第2、又は第4の四半部1401(B)、1402(B)、1404(B)より第2の平面220の第3の四半部1403(B)に近い。第1の平面218の第4の四半部1404(A)は、第2の平面220の第1、第2、又は第3の四半部1401(B)、1402(B)、1403(B)より第2の平面220の第4の四半部1404(B)に近い。
【0080】
図11の描写されている実施形態では、第1のワイヤー202の第1の幾何学的形態206は、好ましくは半球形状で、第1の平面218の第1及び第2の四半部1401(A)、1402(A)を通って延びる。第1のワイヤー202の第2の幾何学的形態208は、やはり好ましくは半球形状で、第2の平面220の第3及び第4の四半部1403(B)、1404(B)を通って延びる。2つの半球形状は、第1の平面218から第2の平面220に対して角度をつけて延びる第1のワイヤー202の一部分によって結合される。好ましくは半球形状で、第1の平面の第3及び第4の四半部を通って延びている第2のワイヤーの第1の幾何学的形態の描写は、
図11には示されない。やはり好ましくは半球形状で、第2の平面の第1及び第2の四半部を通って延びている第2のワイヤー204の第2の幾何学的形態の描写は、
図11には示されない。2つの半球形状は、第1の平面から第2の平面に対して角度をつけて延びる第2のワイヤーの一部分によって結合される。第1のワイヤー202及び第2のワイヤーは好ましくは、平面218、220における半球形状を形成するけれども、本発明はそれに限定されず、装置に適したさまざまな形状が使用されうる。
【0081】
第1の平面218はまた、第1の半平面1411(A)及び第2の半平面1412(A)を含むと考えられうる。例えば、第1の半平面1411(A)は、第1の平面218の第1及び第2の四半部1401(A)、1402(A)を含んでいてもよい。同様に、第2の半平面1412(A)は、第1の平面218の第3及び第4の四半部1403(A)、1404(A)を含んでいてもよい。
【0082】
同じく、第2の平面220はまた、第1の半平面1411(B)及び第2の半平面1412(B)を含むと考えられうる。例えば、第1の半平面1411(B)は、第2の平面220の第1及び第2の四半部1401(B)、1402(B)を含んでいてもよい。同様に、第2の半平面1412(B)は、第2の平面220の第3及び第4の四半部1403(B)、1404(B)を含んでいてもよい。
【0083】
従って、描写されている実施形態ではまた、第1のワイヤー202の第1の幾何学的形態206は、第1の平面218の第1の半平面1411(A)を通って延び、第1の平面218の第1の半平面1411(A)内に配置される。第1のワイヤー202の第2の幾何学的形態208は、第2の平面220の第2の半平面1412(B)を通って延び、第2の平面220の第2の半平面1412(B)内に配置される。第1の平面の第2の半平面を通って延び、第1の平面の第2の半平面内に配置される第2のワイヤーの第1の幾何学的形態の描写は、
図11には示されない。第2の平面の第1の半平面を通って延び、第2の平面の第1の半平面内に配置される第2のワイヤーの第2の幾何学的形態の描写もまた、
図11には示されない。
【0084】
第1及び第2の平面218、220はまた、集合的に4つの空間四分位(spatial quartiles)1421、1422、1423、及び1424を含むと考えられうる。例えば、第1の空間四分位1421は、第1の平面218の第1の半平面1411(A)を含んでいてもよく、第2の空間四分位1422は、第1の平面218の第2の半平面1412(A)を含んでいてもよく、第3の空間四分位1403は、第2の平面220の第1の半平面1411(B)を含んでいてもよく、第4の空間四分位1424は、第2の平面220の第2の半平面1412(B)を含んでいてもよい。
【0085】
従って、描写されている実施形態ではまた、第1のワイヤー202の第1の幾何学的形態206は、第1の空間四分位1421を通って延び、第1の空間四分位1421内に配置される。第1のワイヤー202の第2の幾何学的形態208は、第4の空間四分位1424を通って延び、第4の空間四分位1424内に配置される。第2の空間四分位を通って延び、第2の空間四分位内に配置される第2のワイヤーの第1の幾何学的形態、及び第3の空間四分位を通って延び、第3の空間四分位内に配置される第2のワイヤーの第2の幾何学的形態は示されていない。
【0086】
図12は、
図2の実施形態と比較してプレート及びウエストの数が多い、本明細書において想定されるオクルーダー装置の実施形態を描写する。追加のプレート及びウエストは、例えば、さらなる支え及び/もしくは安定性の提供、ならびに/又は心臓又は血管内のより深部にある開口部への到達、複数の開口部の閉鎖、及び/もしくは不均一な組織に囲まれている開口部の閉鎖に有益でありうる。幾つかの実施形態では、オクルーダー装置は、動脈又は静脈における開口部(例えば、限局性大動脈欠陥、偽性動脈瘤、穿通性潰瘍、もしくは大動脈解離における真腔と偽腔との連絡異常、又は動脈自体もしくは静脈自体)を閉鎖するように設計又は使用されうる。具体的には、
図12の実施形態は、上で参照されている第1及び第2のプレート214、216に加えて、第3のプレート217を含む。上で言及したように、第1のプレート214は、第1の平面218内に配置され、第2のプレート216は、第2の平面220に配置される。やはり上で言及したように、第1及び第2の平面218、220は互いに平行で離れている。くわえて、
図12の実施形態では、第3のプレート217は、第1及び第2の平面218、220の両方に平行で第1及び第2の平面218、220の両方から離れている第3の平面221に配置される。
【0087】
幾つかの実施形態では、留置(deploy、展開)された際に、1つ以上のプレートが他のプレートに平行でないことがある一方で、ある実施形態では、留置された際に、いずれのプレートも他のプレートに平行でない。その他の実施形態では、
図16に描写されているように、留置された際に、3つ(又はそれ以上)プレートは互いに実質的に平行でありうる。
【0088】
図12の実施形態はまた、第1のウエスト222に加えて、第2のウエスト223を含む。上で言及したように、第1のウエスト222は、第1のワイヤー202の第1の構成要素224及び第2のワイヤー204の第1の構成要素226によって形成される。くわえて、
図12に示されるように、第2のウエスト223は、第1のワイヤー202の第2、又はさらなる構成要素225、及び第2のワイヤー204の第2、又はさらなる構成要素227によって形成される。
【0089】
図12の実施形態ではまた、第1のウエスト222は、第1及び第2のプレート214、216の間に取り付けられ、第2のウエスト223は、第2及び第3のプレート216、217の間に取り付けられる。第1、第2、及び第3のプレート214、216、217は、大きさが同じではなく、大きさが増加する順に配列される。幾つかの実施形態では、第3のプレート217は、(例えば、直径及び/又は表面積の点で)第2のプレート216より大きく、第2のプレート216は、(例えば、直径及び/又は表面積の点で)第1のプレート214より大きい。第1のウエスト222及び第2のウエスト223は、
図12に描写されるように、およそ等しい大きさでありうる一方で、幾つかの実施形態では、第1及び第2のウエストの長さ及び/又は直径は異なりうる。それに沿って、プレート214、216、217、及び/又はウエスト222、223の数、大きさ、及び/又は形状は、他の実施形態では異なりうる。
【0090】
幾つかの実施形態では、装置は3つ以上のプレート214、216、217を含み、そこにおいて、各プレートは実質的に同じ大きさである。他の実施形態では、第1及び第3のプレート214及び217は実質的に同じ大きさであり、第2のプレート216より大きい。他の実施形態では、第1及び第3のプレート214及び217は実質的に同じ大きさであり、第2のプレート216より小さい。幾つかの実施形態では、2つのプレートが実質的に同じ大きさであり、第3のプレートより大きい。幾つかの実施形態では、2つのプレートが実質的に同じ大きさであり、第3のプレートより小さい。
【0091】
ある実施形態では、すべてのプレートがカバーを含むわけではない一方で、幾つかの実施形態では、すべてのプレートがカバーを含む。
【0092】
ある実施形態では、
図12のオクルーダー装置200のプレート214、216、217の1つ以上が、湾曲及び/又は反転していてもよい。さらに、ある実施形態では、第1及び第2のプレート214、216の間の最短距離は、第2及び第3のプレート(pates)216、217の間の最短距離と異なりうる。ある実施形態では、プレート214、216、217の1つ以上は、その一端又は両端に、1つ以上のフック、アンカー、もしくはかかり(barb)、又はその組み合わせを有し、装置の意図しない移動を減らして取り除きうる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのフック、アンカー、又はかかりが、装置の最も遠位のプレートに付着される。装置が2つより多くのプレートを有する実施形態の幾つかでは、ある実施形態は、装置の2つの最も遠位のプレートに付着される、少なくとも1つのフック、アンカー、又はかかりを含む。フック、アンカー、又はかかりの空間配置は、閉塞すべき開口部の位置に応じて選択されうる。
【0093】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのフック、アンカー、又はかかりが、第1及び/又は第2のワイヤーに付着される。ある実施形態では、少なくとも1つのフック、アンカー、又はかかりが、閉塞面の周辺部に置かれる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのフック、アンカー、又はかかりが、装置の閉塞面から突起又は突出する。幾つかの実施形態は、閉塞面の周辺端部と実質的に接するか、又は鋭角を成して突起又は突出する、少なくとも1つのフック、アンカー、又はかかりを有する。フック、アンカー又はかかりは、あらゆる好適な材料で作られることができる。幾つかの実施形態では、フック、アンカー、又はかかりは、生体適合性材料で作られる。幾つかの実施形態では、フック、アンカー、又はかかりは、非永久生分解性材料又は生体吸収性材料から構築される。フック、アンカー、及びかかりは、任意の好適な方法によって、第1及び/又は第2のワイヤーに取り付けることができる。
【0094】
血管でのいくつかの実施(vascular implementations)では、例えば、装置は、血管以外で実施(non-vascular implementation)のための装置より、比較的少ないフック、アンカー、又はかかりを有しうる。幾つかの実施形態では、装置は、フック、アンカー、又はかかりを含まない。
【0095】
図13及び14は、柔軟な接続部を有する、本明細書において想定されるオクルーダー装置の実施形態を描写する。
図13の実施形態では、第1のワイヤーウエスト構成要素224及び第2のワイヤーウエスト構成要素226は、ウエスト222が、第1及び第2のプレート214、216の間に柔軟な接続部2000を含んでなるように構成される。柔軟な接続部2000の結果として、好ましくは、ウエスト222は伸びしろを含む。本明細書で使用される場合、「伸びしろ(stored length)」という用語は、プレート214、216が互いに遠ざけられたとき、ウエスト222が、ウエスト222の静止長から延びることができるウエスト222の付加的な長さを意味する。ある実施形態では、柔軟な接続部2000は、第1及び第2のプレート214、216の間に取り付けられるばねを含んでなる。柔軟な接続部及び/又はばねは、例えば、異なる形状及び大きさの開口部に適合するオクルーダー装置の柔軟性又はより高い能力を提供するのに有益でありうる。
【0096】
図14を参照して、オクルーダー装置のプレートの1つ以上はまた、ばね又は柔軟な接続部などの1つ以上の張力緩和機構を含みうる。
図14に描写されるように、プレート214、216の両方は、
図13に関連して上で記載されているものと同様の柔軟な接続部2000を含む。ある実施形態では、柔軟な接続部2000のそれぞれが、1つ以上の幾何学的形態206〜212内に形成されるばねを含んでなる。従って、ある種のプレート214、216及び/又は幾何学的形態206〜212は、
図13に関連して上で記載されているものと同様の伸びしろを含みうる。
【0097】
図14は、柔軟な接続部2000を有するように幾何学的形態206〜212の各々を描写するが、ある実施形態では、幾何学的形態206〜212の1つ以上が、柔軟な接続部を含みうるが、一方で他の幾何学的形態206〜212の1つ以上が柔軟な接続部2000含まないことがある。同様に、ある実施形態では、一方のプレート214、216が柔軟な接続部2000を含みうるが、もう一方のプレート214、216は含まない。さらに他の実施形態では、
図12の第3のプレート217は、第1及び第2のプレート214、216の一方又は両方に代わるか又は加えて、柔軟な接続部2000を同様に含みうる。
【0098】
図15は、ウエストが中心を外れて並ぶ、本明細書において想定されるオクルーダー装置の実施形態を描写する。具体的には、
図15の実施形態では、第1のワイヤー202のさまざまなウエスト構成要素224(
図15において224(A)及び224(B)で表わされる)は、オクルーダー装置200の中心部分又は中心軸線2100に対してずれている。同様に、第2のワイヤー204のさまざまなウエスト構成要素226(
図15において226(A)、226(B)、及び226(C)で表わされる)もまた、オクルーダー装置200の中心部分又は中心軸線2100に対してずれている。くわえて、この実施形態の1つのバージョンでは、第1のワイヤー202は、オクルーダー装置200の中心領域を第1の点及び第2の点にて横断し、第2のワイヤー204は、中心領域を第3の点及び第4の点にて横断する。
【0099】
図15の実施形態は、ウエスト222の増加した安定性及び自己センタリングを提供する。くわえて、安定性及び自己センタリングが増したために、
図15の実施形態では、プレート214、216は、他の実施形態と比較して、大きさが減少しうる。例えば、先に記載されている
図2の実施形態のある特定のバージョンでは、プレート214、216の各々は、好ましくは開口部の表面積の2倍である表面積を有する。対照的に、
図15の実施形態のある特定のバージョンでは、プレート214、216の各々は、開口部の表面積より約25%だけ大きい表面積を有する。
【0100】
図16(
図16A、
図16B)は、心臓における開口部欠陥を閉塞する方法1600の好ましい実施形態のフローチャートである。方法1600は、
図1の心臓100及び
図2〜15のオクルーダー装置200のさまざまな実施形態に関連して利用できる。具体的には、方法1600は、好ましくは、
図2〜15のオクルーダー装置200の1つ以上の実施形態を利用して、心臓の開口部欠陥、例えば
図1に描写されている心臓100の異常110、112、114の1つ以上などを塞ぐ。また、血管オクルーダー又は栓としての使用及び心耳オクルーダーとしての使用に該方法が適用されることを当業者なら分かるであろう。
【0101】
図16に描写されているように、方法1600は、オクルーダー装置を提供する工程(工程1602)を含む。さまざまな実施形態において、オクルーダー装置は、
図2〜15に描写されている実施形態及び/又は上記の実施形態のいずれかに描写されているオクルーダー装置200に相当する。オクルーダー装置は、好ましくは、第1の柔軟なワイヤー(上記のワイヤー202など)及び第2の柔軟なワイヤー(上記のワイヤー204など)を含んでなる。第1及び第2のワイヤーの各々は、形状記憶材料から成る。第1のワイヤーの第1の幾何学的形態及び第2のワイヤーの第1の幾何学的形態は、第1の平面に、第1のプレート(上記のプレート(pate)214など)を形成し、第1のワイヤー202の第2の幾何学的形態208及び第2のワイヤー204の第2の幾何学的形態212は、第1の平面に平行で第1の平面から離れている第2の平面に、第2のプレート(上記のプレート216など)を形成するように、第1及び第2のワイヤーの各々は、内部領域の周りに(上記の206、208、210、及び212を形成するなど)第1及び第2の幾何学的形態に成形される。第1及び第2のプレートは、第1のワイヤーの2つの部分及び第2のワイヤーの2つの部分から形成されるウエスト(上記のウエスト222など)によって隔てられている。密封カバー(上記のカバー236又は238)は、好ましくは、第1及び第2のプレートの少なくとも1つを覆って配置される。カバーは、開口部欠陥(上記の心臓100の異常110、112、114の1つ以上など)に密封を提供する。第1及び第2のワイヤーの各々は、第1の端及び第2の端を有する。第1及び第2のワイヤーの第1及び第2の端の各々は、ハブ(上記のハブ230など)に接続される。さらにハブは、取り外し可能な留置ケーブル(上記の留置ケーブル240など)に取り付けるための送達取り付け機構を含んでなる(例えば、上記のカテーテル242を含むか、又はカテーテル242に接続して使用されるなど)。
【0102】
方法1600はまた、オクルーダー装置を取り外し可能な留置ケーブルに取り付ける工程(工程1604)を含む。オクルーダー装置は、オープンチャネル(上記のチャネル244)を有する柔軟な送達カテーテル(上記のカテーテル242)内に設置される(工程1606)。カテーテルは、血管系(上記の心臓100の血管系)に送り込まれ、血管系を介して心臓における開口部欠陥に進められる(工程1608)。同様にカテーテルは、その内部に配置されたオクルーダー装置と共に、開口部欠陥を通って進められる(工程1610)。
【0103】
幾つかの実施形態では、バルーンサブプロセス1612もまた、心臓における開口部欠陥を塞ぐのに利用される。
図16に描写されている幾つかの実施形態では、バルーンは、開口部欠陥にあるオクルーダー装置に向かって、オープンチャネルを通して心臓に進められる(工程1614)。またバルーンは、オクルーダー装置のウエストの中に挿入される(工程1616)。次に、心臓欠陥付近にオクルーダー装置を位置決めするのを助けるためにバルーンを膨張させる(工程1618)。いったんオクルーダー装置が適切に位置決めされると、バルーンは収縮され(工程1620)、次に、オクルーダー装置のウエスト(工程1622)から取り除かる。
【0104】
幾つかの実施形態では、フックサブプロセス(hook sub-process)1624は、心臓における開口部欠陥を塞ぐのに利用されうる。例えば
図16に記載の幾つかの実施形態では、1つ以上のフックは、好ましくはねじ系を介して、送達取り付け機構(カテーテルなど)に係合される(工程1626)。フックは、送達取り付け機構を用いて操作され、オクルーダー装置を再配置(工程1628)するのに使用される。幾つかの実施形態では、フックはまた、心臓から離れる方向に送達取り付け機構に力を及ぼすことによって、オクルーダー装置を回収するのに利用される(工程1630)。
【0105】
次に、カテーテルは、オクルーダー装置から引き抜かれる(工程1632)。好ましくは、カテーテルは、工程1632おいて、オクルーダー装置の第1のプレートが、開口部欠陥の第1の側に拡張するように、オクルーダー装置から引き抜かれる。くわえて、カテーテルは、オクルーダー装置の第2のプレートが、開口部欠陥の第2の側に拡張するように、オクルーダー装置からさらに引き抜かれる(工程1634)。好ましくは、カテーテルは、工程1634において、オクルーダー装置のウエストが、記憶保持によって開口部欠陥内で拡張して、オクルーダー装置を自己センタリングするように、オクルーダー装置から引き抜かれる。次に、カテーテルは血管系から引き抜かれ(工程1636)、留置ケーブルはハブのオクルーダー装置から取り外される(工程1638)。
【0106】
方法1600のある特定の工程は、特定の実施形態によって異なりうることが理解されよう。また、方法1600の特定の工程は、
図16に描写されているのと異なる順序で起こりうることが理解されるであろう。例えば、随意のフックサブプロセス1624が、随意のバルーンサブプロセス1612の前に実行されうる。同様に、方法1600の特定の工程は、互いに同時に起こりうることが理解されるであろう。また、さらなる随意の工程が実行されうる。例えば、幾つかの実施形態では、臨床医は開口部内の装置の位置を可視化することを望むことがある。そのような可視化は、当業者に周知の画像技術を用いて実行されうる。臨床医が、例えば装置の可視化に基づく装置の位置決めに満足しない場合は、臨床医は装置を除去及び/又は再配置することを選ぶことがある。
【0107】
図17は、3つのプレート214、216、及び217をもつ、本明細書において企図され、血管250に留置されるオクルーダー装置200の実施形態を描写する。第1のウエスト222は、第1のワイヤーの第1の構成要素224及び第2のワイヤーの第1の構成要素226によって形成される。第2のウエスト223は、第1のワイヤーの第2、又はさらなる、構成要素225及び第2のワイヤーの第2、又はさらなる、構成要素227によって形成される。第1のプレート214は、第1の平面218内に配置され、第2のプレート216は、第2の平面220内に配置される。第1及び第2の平面218、220は、互いに平行で、互いに離れている。第3のプレート217は、第1及び第2の平面218、220の両方に平行で、第1及び第2の平面218、220の両方から離れている第3の平面221に配置される。
図17の実施形態では、ハブ230、231が、装置の遠位端及び近位端に位置する。
【0108】
他の実施形態が、本明細書において記載されている実施形態及び/又は図面に記載されている実施形態のいかなる組み合わせを含んでいてもよい。本開示は、本明細書において例示されている部分及び記載されている部分の特定の構成及び構成に限定されないが、以下の請求項の範囲内に入るような修正形態を包含することが理解される。くわえて、さまざまな実施形態が制限されずに一緒に組み合わせられうること、及び/又は異なる実施形態のさまざまな特長が制限されずに一緒に組み合わせられうることが理解されるであろう。
【0109】
幾つかの好ましい実施形態が前述の詳細な説明に提示されているが、膨大な数の変形が存在することが理解されるべきである。好ましい実施形態又は好ましい実施形態(複数)は例にすぎず、本発明の範囲、適用性、又は構成を限定することを決して意図しないことが理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の好ましい実施形態を実施するための簡便な指針を当業者に提供することになり、添付の請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態に記載されている構成要素の機能及び構成に対してさまざまな変更がなされうることが理解される。