特許第6042893号(P6042893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042893
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】永久磁石電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20161206BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20161206BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H02K1/27 501A
   H02K1/22 A
   H02K1/27 501K
   H02K21/14 G
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-531046(P2014-531046)
(86)(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公表番号】特表2014-526875(P2014-526875A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】AU2012001131
(87)【国際公開番号】WO2013044293
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年6月15日
(31)【優先権主張番号】2011903974
(32)【優先日】2011年9月26日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】2012902715
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】514061186
【氏名又は名称】ラディアル・フラックス・ラボラトリーズ・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】リリングトン,ポール・エヴァンズ
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04658165(US,A)
【文献】 特表2011−524735(JP,A)
【文献】 特開2011−217602(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/105049(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0121668(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02958466(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 1/22
H02K 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線型固定子と、
々が、異極が向き合うように角方向に離間して配置された1対の永久磁石からなる少なくとも2つの磁極、前記各々の磁極間に位置する回転子磁極片、前記各々の回転子磁極片の中央に位置する三角形状の空隙、および、前記三角形状の空隙と隣接する磁石との間の前記回転子磁極片内に位置する複数の細長いスロットを含み、前記スロットが、無負荷状態で直軸インダクタンス磁極軸線との間の角度を2等分する方向に配向されている回転子と、
を備えた、永久磁石電機。
【請求項2】
前記三角形状の空隙および前記複数の細長いスロットは、負荷下の出力電圧波形の相対的な全高調波歪みが5%未満となるような寸法および位置とされる、請求項1に記載の永久磁石電機
【請求項3】
前記回転子は、前記1対の永久磁石からなる2つの磁極を備え、かつ、前記三角形状の空隙と隣接する磁石との間4つのスロットが存在する、請求項1に記載の永久磁石電機
【請求項4】
前記回転子は、前記1対の永久磁石からなる4つの磁極を備え、かつ、前記三角形状の空隙と隣接する磁石との間3つのスロットが存在する、請求項1に記載の永久磁石電機
【請求項5】
前記極の前記1対の永久磁石間に位置する三角形状のスペーサを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の永久磁石電機
【請求項6】
発電機として構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の永久磁石電機
【請求項7】
電動機として構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の永久磁石電機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、同期発電機または同期電動機のいずれかとして動作する永久磁石(PM)電機に関する。更に詳細には、本発明は、負荷下での出力/固定子電圧波形および電流波形における高調波成分の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
PM同期機は、堅牢で、信頼性が高く、かつ効率的であり、また、比較的高いエネルギー密度を有する。これらの同期機は、ブラシ付きまたはブラシレス励磁装置を備えた巻線界磁型同期機と比較して、多くの魅力的な特性を有する。電動機および発電機のエネルギーを節約しかつ効率を高める必要性は、PM同期機がその損失のない回転子により有力な候補になっていることを意味する。場合によっては、巻線型回転子の代わりにPM回転子を使用することにより、最大20%のエネルギー節約を達成することができる。
【0003】
これらの利点にもかかわらず、PM同期機のいくつかの現在の設計には欠陥がある。現在の設計では、比較的大量の磁性材料を使用するので、コストが増大する。同期発電機として動作させる場合、電圧調整が不十分となり、負荷下で歪んだ電圧波形および電流波形が生じ得る。同期電動機として動作させる場合、何らかの形のセンサフィードバックなしに始動することが難しい。また、負荷下での(固定子)逆起電力波形が歪められ、効率が低下し、より複雑な制御エレクトロニクスが必要となる。
【0004】
これらの問題は、負荷下で深刻な波形歪みが頻繁に生じる極数の少ない(例えば、2極および4極)機械でより顕著である。歪みは、巻線の負荷電流により回転子の磁束を磁石の径方向軸線から離れるようにスキューさせるいわゆる磁束ドラッグ(flux drag)効果に起因して生じる。また、2極および4極のPM発電機では、同じ出力に対して、極数のより多い発電機で使用するよりも多くの磁石材料を使用する。よって、PM同期発電機は、5〜20kWの範囲における単相および3相の3000rpm(2極)または1500rpm(4極)のガソリン駆動発電機およびディーゼル駆動発電機などの小規模電力用途で広範囲に用いられていない。
【0005】
唯一実用的な現在の2極および4極設計は、表面貼付磁石型である。しかしながら、これらの設計でも、負荷下で歪んだ出力電圧/逆起電力波形および電流波形となり、高負荷下で磁石端部の減磁が生じ得る。2極および4極の回転子の表面貼付磁石セグメントは大きな円弧セグメントを有し、これは、製造の際に大量の廃材が発生することを意味し、磁石の金銭的コストを増大させる。現在の設計の表面貼付PM交流発電機は、負荷下で大きな電圧降下を示す。これらの機械のための一定速度で電圧調整する簡単な方法が存在しないので、良好な電圧調整を必要とする発電機用途では、PM同期型を使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、許容される波形および電圧調整を伴うPM同期発電機が存在する。これらのPM同期発電機は、一体のPM固定子を有する。これらの設計に関する主な問題は、かかる設計では、低電力であっても、同等の表面貼付設計よりも最大6倍またはそれ以上の磁石材料を使用し、4極構成での作製ができないことである。むしろ、そのような機械は、最大3kWの電力定格の2極設計においてのみ実用的である。このレベルを超えると、磁石のコストおよび体積が、回転子径の2乗に増加し、もはやコスト効率が高くなくなる。
【0007】
これらの問題は、現在の設計のPM発電機および電動機が電圧調整(すなわち、発電機)または逆起電力(すなわち、電動機)、および高調波歪みが重要でない低等級、低電力用途にのみ適していることを意味する。
【0008】
1つまたは複数のこれらの欠点を克服または少なくとも改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの広範な形態では、巻線型固定子と回転子とを具備する電気同期機が提供される。回転子は、各極が角方向に離間した1対の永久磁石で形成される少なくとも2つの磁極、各該極間に位置する回転子磁極片、回転子磁極片に位置する三角形状の空隙、および回転子磁極片に位置する複数のスロットを含む。
【0010】
その他の態様も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】2極機の断面図を示す。
図2A図1の機械に関する無負荷での磁束線を示す。
図2B図1の機械に関する全負荷での磁束線を示す。
図3図1の機械の部分断面図である。
図4】組み立てられた2極機の切欠き図を示す。
図5】4極機の断面図を示す。
図6A図5の機械に関する無負荷での磁束線を示す。
図6B図5の機械に関する全負荷での磁束線を示す。
図7】公知の(すなわち、磁束空隙のない)2極機に関する負荷下での出力電圧波形を示す。
図8図7の出力波形の基本周波数成分と高調波周波数成分のプロットを示す。
図9図1の2極機に関する負荷下の出力電圧波形を示す。
図10図9の出力波形の基本周波数成分と高調波周波数成分のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、「電機」(または単に「機械」)についての言及は、他に特に明示しない限り、発電機または電動機として構成されおよび/または動作させる機械にも等しく当てはまると理解すべきである。
【0013】
図1は、本発明を実現する2極機装置10を横断面で示している。固定子100は、単相構成または3相構成のいずれかで巻回された従来の形態の巻線101を有する。回転子は、重ねられた積層で形成される。かかる積層の数により機械の出力が決まる。積層は、間隔を隔てた孔102および117を通過する(図1には図示せず)ロッドにより一緒に締め付けられ、典型的には端板(図示せず)を使用して、一番端の積層で固定される。5〜20kW機についての典型的な回転子径は、130mm〜100mmの範囲である。積層は、2つの磁極間に位置する回転子磁極片107を含む。各極は、磁石間セグメント106により角方向に離間した1対の(埋設された)永久磁石103で形成される。磁石103および回転子磁極片107は、中心軸105から取り付けられている。軸は、典型的には非磁性材料で形成される。
【0014】
回転子磁極片107は、一連の等間隔のスロット109と中央空隙108とを含む。空隙は、理想的には、エアギャップ121付近の点114からそれぞれの磁石の基部の内点115および116に延びるが、図示のように、空隙108が回転子材料の縁から離れている場合には、回転子の構造的完全性が損なわれる。スロット109は、回転子表面に対して垂直な所望の角度で磁束を磁石103からエアギャップ121内に導くために種々の長さを有する。スロット109の幅や角度は、負荷下で所望の最小の波形歪みと最高のエアギャップ磁束を達成するように、モデリングまたは実験により変えられ得る。スロット109はまた、以下に記載するように、回転子の突極性の変更に寄与する。空隙108およびスロット109には、通常、自由空間が占めるが、同様にアルミニウムなどの非磁性材料を充填することもできる。
【0015】
突極性は、直軸インダクタンス(Xd)を横軸インダクタンス(Xq)で除算した比である。Xd軸線は図2Aに示す方向201にあり、Xq軸線はXd軸線に対して90°をなす。磁束線202もまた示されている。スロット109は、(グラフィック表示のために再配置された)Xd軸線208と磁極(N−S)軸線207との間の角度を2等分する方向206に配置される。そのようなスロットの向きは、Xd軸線と磁石の向きとの間の最良の技術的妥協を表し、負荷条件下および無負荷条件下の両方で図1の構成に対して最少の障害で最適な磁束の流れをもたらす。
【0016】
磁石102の長さ112および幅110は、磁石102を内点118に接触させ、外点104まで延ばすことにより決定する。2極回転子に理想的な長さ112は、回転子の半径である極弧長さの半分とするべきだが、これは磁石の幅110がゼロであり、軸105のスペースがない場合である。極弧長さ120に対する0.7の比により、適切な軸径113が可能となる一方で、最大エアギャップ磁束が得られることが判明した。外点104は、機械が全速になると生じる遠心力に抗して磁石が適所に保持された状態にする必要性により制限されるが、理想的には回転子の全直径に及ぶべきである。回転子磁極片107上の104の張り出しを取り除くこともでき、接着または接合などの他の方法を用いて磁石を適所に保持することもできる。2極回転子についての円弧セグメント111は60°であるか、または、(2極機に関して)1/3の円弧比を表す、円弧長さ119の半分であることが好ましい。この分割磁石装置は、必要な磁性材料の体積を約50%減少させることにより、コストの大幅な節約をもたらす。
【0017】
図2Bは、全電気負荷時または全機械的負荷時の図1の2極機10に関する磁束線を示している。Xd軸線201が無負荷時に磁束線間の中央にある一方で、負荷下でのXd軸線204が円弧205を通過し、その結果、軸105上のねじれ負荷および巻線101の電流により磁束ドラッグが引き起こされる。中央空隙108およびスロット109は、磁束ドラッグ効果を改善する。また、磁石103からの磁束線203が右に引っ張られていることが分かる。更に、巻線101に流れる電流が磁石103から磁石の右側に磁束を引っ張っていることが分かる。これが起こり得る場合、エアギャップ120に不均一な磁束が生じる。含まれるスロットの数は、突極性を高めることと、結果的に飽和状態となり、不十分な電力調整の原因となる、磁極片を形成する材料の不足を避けることとの間の妥協を表す。
【0018】
ここで図3を参照すると、磁石間セグメント106は湾曲して、大きな隙間301を形成している。この隙間は、固定子100への鎖交磁束を最小限に抑えるために形成されている。隙間301は、磁石間磁極片106が飽和状態となるのを防止するのに十分な磁性材料を提供する必要性により制限される。磁石間セグメント106はまた、磁石103を適所に確実に係止し、磁石を回転子磁極片107と密着させた状態に保つ。
【0019】
図4は、回転子磁極片107の重ねられた積層がボルト401により適所に保持された図1の回転子の切欠き図を示している。磁石103およびセグメント106は、重ねられた回転子磁極片107間に嵌合され、それぞれのボルトにより保持される。中間板404は、磁極片107を機械的に支持するために設けられる。ボルト401は、軟鋼または高張力鋼から作製され、また、磁束がボルトを通過できるように磁性である。ボルト401はフランジ406に固着され、その反対側では、板402とナット409が、回転子磁極片107を一緒に締め付けかつ磁石103と磁石間セグメント106を軸105に対して保持するように機能する。組み立てを容易にするために、より長い回転子の磁石はまた、セグメント103’に縦分割される。軸105は、機械をエンジンにより発電機として動作させるときに機械を駆動するための雌テーパを有する。このテーパ駆動は、任意の適切な駆動と置き換えることができる。軸105の後端部には、端部支持のための軸受を受けるスタブ軸408がある。
【0020】
図5は、本発明を実現する4極PM交流機50を示している。機械50は、図1に示す発電機の場合と同様に、固定子500と、巻線501と、埋設された永久磁石503(すなわち、各極当たり1対)と、磁石間セグメント506と、中心軸505とを有する。同じような方法で、回転子磁極片507と同様に、固定孔502が設けられる。この4極回転子装置において、磁石長さ512の正確な比は、極セグメント504の1/2である寸法515である。この寸法により、最小の磁石体積に対して最大の磁束集中が達成される。磁石を2分割することにより達成される磁石体積の減少は、2極回転子で約38%未満である。しかしながら、磁石の体積当たりの出力は、より高いエアギャップ磁束に起因して高くなる。これは、理想的な磁石対極弧比が4極設計で達成できるからである。中央空隙508は図1と同じ寸法の制約があるが、必要とされる4極の磁束線に沿うように湾曲した側面513を有する。同じく必要とされる磁束線に沿うように湾曲した輪郭を有する3つの磁束制御スロット509が存在する。図1の実施形態の場合よりも大きい軸寸法514を収容することができる。
【0021】
図6Aは、Xd軸線601が磁束線603間の中央にある、図5の4極の実施形態に関する無負荷での磁束線603を示している。2極構成と同じように、湾曲スロット509は、Xd軸線601と磁極軸線605を2等分する方向606に配向される。中央空隙508の湾曲側面513および湾曲スロット509が磁束線603に沿っていることが分かる。
【0022】
図6Bは、全負荷下での4極回転子の磁束線603を示し、この図から、磁束の有効中心が軸線601から604へと円弧距離602だけ移動していることが分かる。これは、図5の4極の実施形態の磁束ドラッグ効果を例示している。また、図6Aに示すように、巻線の電流が磁束線603を右に引っ張っていることが分かる。
【0023】
図7は、磁束空隙または磁束制御スロットのない公知の2極の埋設磁石機械に関する負荷下での出力電圧波形/逆起電力を示している。図8は、20%を超える全高調波歪み(THD)での約19.0%の第3高調波成分および約7.0%の第5高調波成分を示す、図7の波形における高調波のプロットである。
【0024】
図9は、近似正弦波形を表す、図1に示す機械に関する負荷下での出力電圧波形/逆起電力を示している。図10は、4%未満のTHDでの約1.0%の第3高調波成分および約1.5%の第5高調波成分を表す、図9の波形/逆起電力における高調波のプロットである。加えて、固定子をスキューすることにより、THDが更に全体で50〜60%低減される。
【0025】
他の実施形態において、巻線101を含む固定子100のスロットについては、THDを更に低減するために、固定子の長さ全体にわたって1つまたは複数のスロットをスキューすることができる。これにより、磁石により発生するスロット開口部を通過する高調波が低減される。回転子セグメント116を一緒に効果的に締め付けるために、スロットおよび空隙にダイカストアルミニウムを使用して、回転子を一体にダイカスト成形することができ、これにより締付ボルト401およびナット409が不要となる。回転子セグメント107における空隙およびスロットの副次的効果は、発電機として動作させる場合に負荷下での電圧調整を改善することである。電動機として動作させる場合、空隙およびスロットは、機械的負荷が増大するにつれて、トルク効率(Nm/A)を改善する。
【0026】
図示の実施形態において、発電機として動作させたときの無負荷から全負荷に至るまでに測定された電圧調整は、僅か±3%であった。また、改善されたTHDおよび電圧調整の効果により、発電機の効率が高まる。
【0027】
電動機として動作させたとき、公知の2極機と比較して、全負荷時に同じ電流に対して、伝達されるトルクに20%の改善が観察された。加えて、逆起電力は良好な正弦波を示すので、高効率が全負荷範囲にわたって達成される。更に、負荷トルクが磁束を中心点から追いやるにつれて逆起電力が変化するとともに、この逆起電力の低下により電流が増加し、これは変動負荷に関して可変周波数電源にフィードバックが必要ないことを意味する(すなわち、完全なセンサレス制御を提供する)。機械設計は非線形トルク/逆起電力の関係を示すので、回転子が有効トルクを発生させることができ、極数の少ない電動機の始動を容易にする結果として得られる大きな角度が存在する。
【0028】
上述では本発明のいくつかの実施形態のみを説明しているが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して修正および/または変更を行うことができ、実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10